2008年01月03日

マイルス・デイヴィス『ジャック・ジョンソン』

A Tribute to Jack Johnson.jpg

あけましておめでとうございます。今年もゆる〜く更新していきますので、おつきあいくださいな。

イン・ア・サイレント・ウェイ』(記事はこちら)以降、マイルス・デイヴィスはコロンビアのスタジオに足繁く通いますが、そこで収録された音源を1つのアルバムにまとめあげるという忍耐力は、彼には残されていませんでした。
マイルスは創作活動をやめたわけではありません。むしろ彼の創造力はピークにありました。なにかアイディアが浮かぶと、すぐさまそれに見合ったメンバーをセレクトし、スタジオにいって試してみる。複数のキーボードを組み合わせたり、ベースを倍にしたり、ギターを倍にしてみたりするのは、頭のなかに鳴っている音楽を具現化するための試行錯誤であって、いったん実現されてしまえば、それはもう彼の関心をとらえることはありませんでした。やりたいことは山ほどあったので、過去をふり返る余裕なんてなかった。録るだけ録ったら「あとはよろしく!」というわけです。
「あと」をまかされたのが、プロデューサーのテオ・マセロです。彼のテープの切り貼り編集がなければ、この時期のマイルスのスタジオ録音は、そのほとんどが垂れ流しの習作の域を出ませんでした。
これ以降、マイルスのオフィシャル盤は録音日やメンバーが入り乱れ、ほとんどがオムニバス盤のような体裁となっていきますが、それは、そもそもマイルスに1枚単位で区切られたアルバムを制作する意図がなかったからです。録りためた音源を、あるコンセプトで切り取って、売れる形に仕上げたのが、コロンビアの社員でもあったテオ・マセロです。

死刑台のエレベーター』(記事はこちら)以来、実に10数年ぶりのサントラ盤『ジャック・ジョンソン』は、テオの編集技術なくしては、この世に出てくることさえなかったであろうアルバムです。
なにしろマイルスは、映画のサントラ盤の依頼は受けたけれども、そのために曲をつくったわけでもなければ、それ専用に録音したわけでもない。宝島社文庫の『自叙伝2』には、

その春、ジャック・ジョンソンというボクサーの生涯を描いた映画「ジャック・ジョンソン」のサウンドトラックになる演奏をレコーディングした。(中略)オレの頭の中には、ボクサーがよくやる、摺り足のあの動きがあった。それはダンスのステップのようで、汽車の音のようなものだ。時速八〇マイル(約一三〇キロ)で走っている汽車に乗って、車輪が線路に触れているスピードが一定だと、ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトンと、車輪が線路の継ぎ目を走っていく一定のリズムが想像できる。ジョー・ルイスやジャック・ジョンソンといった偉大なボクサーを思った時、そんなイメージが湧いてきたんだ。大きなヘビー級のボクサーが向かってくると、汽車が走ってくるように見えるだろ?

と、もっともらしく語られていますが、実際はギャラの2000ドルの半分をテオに渡して、「よろしく」と丸投げしただけだということが、中山康樹さんの『マイルスを聴け!〈Version 7〉』(双葉文庫)で暴露されています。
テオは映画とは無関係に録音されたありものの素材を使って、それらしい音楽に仕上げただけでした。「エエッ? そんなのありかよ」というアナタ。それがありなのがマイルスです。そして、そういうマイルスのイメージは、テオ・マセロの手腕によって作られた部分も大きかったということです。

説明が後づけであろうがそうでなかろうが、ここで聴かれる音楽は、マイルスの音以外の何ものでもありません。そこがいかにもマイルス(&テオ)らしいと思うのは、私だけではないはずです。

 

Miles Davis "A Tribute To Jack Johnson"
(Columbia KC 30455)

Miles Davis (trumpet)
Steve Grossman (soprano sax)
Bennie Maupin (bass clarinet) #2
Herbie Hancock (keyboard)
Chick Corea (electric piano) #2
John McLaughlin (guitar)
Sonny Sharrock (guitar) #2
Michael Henderson (electric bass)
Dave Holland (electric bass) #2
Billy Cobham (drums)
Jack DeJohnette (drums) #2

Produced by Teo Macero
Recorded at Columbia Studio B, NYC; February 18 (part of #2), April 7 (#1, 2), 1970

[Tracks]
01. Right Off Teo Macero, Miles Davis (music)
02. Yesternow Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
Miles Davis (Official Website)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Steve Grossman]
Steve Grossman (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Bennie Maupin]
Bennie Maupin (Official Website)
Bennie Maupin Discography (by Christian Genzel)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: John McLaughlin]
John McLaughlin (Official Website)
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Server (by David Marshall)
John McLaughlin Archives
John McLaughlin Discography (by Johann Haidenbauer)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Sonny Sharrock]
The Sonny Sharrock Visual Discography
Sonny Sharrock: Sweet Butterfingers (by Enit Farber)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Michael Henderson]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Dave Holland]
Dave Holland (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Billy Cobham]
Billy Cobham (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Jack DeJohnette]
Jack DeJohnette (Official Website)
Jack DeJohnette Homepage (by Piotr Marek, Jr.)
Jack Dejohnette Collection (by ANTAIOS)
Jack DeJohnette Complete Discography を目指すページ (@ 東北大学モダンジャズ研究会)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング


posted by ユキヒロ at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月27日

マイルス・デイヴィス『1969マイルス』

1969 Miles.jpg

マイルス&芋づる式ピアニスト特集の続きです。
本来ならここで『イン・ア・サイレント・ウェイ』(記事はこちら)、『ビッチェズ・ブリュー』(記事はこちら)と来て、ジョー・ザヴィヌル特集へとなだれ込むべきなんですが(2か月前に亡くなってしまったんですよね、ザヴィヌル。ご冥福をお祈りします)、どちらもすでに紹介済み。ですから、とりあえずチック・コリアで行けるところまで行って、その後ザヴィヌル特集へと移りたいと思います。

マイルス・コンボに参加していた時代のチックは、ある意味かわいそうな存在でもあります。
せっかく憧れのマイルスに抜擢されたのに、自分の名前がクレジットされたオフィシャル盤がほとんど出ない。スタジオには何度も足を運びますが、キーボード奏者はたいてい自分一人ではなくて、前任者ハービー・ハンコックや新参者ジョー・ザヴィヌルの間にはさまれて、あんまり目立たないんです。
日々のライヴ活動ではレギュラー・キーボード奏者なのに(現在、発掘物のブートレグが大量に出回っています)、正式にリリースされるアルバムでは、その他大勢のなかの一人にすぎない、というのがチックの置かれたポジションでした。

60年代末にマイルスが率いていたのは、ウェイン・ショーター、チック・コリア、デイヴ・ホランド、新加入のジャック・デジョネットからなるクインテットでした。公式盤が1枚も残されなかったことから、ついた名前が「ロスト・クインテット」。今回紹介する『1969マイルス』にしても、1993年に日本で初めて陽の目を見た作品なので、純粋な公式盤とはいえません。

じゃあ、この時代は見るべきものがなかったのかというと、そんなことはありません。
取り上げられる楽曲こそ、〈マイルストーン〉〈ラウンド・ミッドナイト〉といった懐メロ(失礼!)がまじっていますが、耳を奪われるのは〈イッツ・アバウト・タイム〉(『イン・ア・サイレント・ウェイ』に収録)や〈マイルス・ランズ・ザ・ブードゥー・ダウン〉〈サンクチュアリ〉(1か月後に収録される『ビッチェズ・ブリュー』に収録)といったできたてホヤホヤの新曲です。
私の大好きな〈フットプリンツ〉が古臭く思えてしまうほど、ここでのサウンドは変化を遂げています。そして、それが見事にハマっているんです。

たとえば、1曲目の〈ディレクションズ〉。一聴して「なんじゃこれは???」のオンパレード。でも、これがやがて快感に変わってくるんです。
ジャックが完全にぶち切れてます。デイヴもベース版シーツ・オブ・サウンド(笑)で対抗します。暴力的なまでの音の氾濫に、私はなす術もありません。ただ口をあんぐり開けて聴き入るだけです。
ウェインがテナーを吹いていますが、これはご愛嬌。完全にかき消されています。そういえば、『フットプリンツ:評伝ウェイン・ショーター』(ミシェル・マーサー著、新井崇嗣訳)には、こんな記述が載っています。

「電化の波が押し寄せてきてからは、テナー・サックスは巨大なエレクトリック・サウンドの下に完全に埋もれてしまった」とウェインは言う。「大半のロックバンドでは、テナーは単なるバックアップのひとつにすぎない。シンセサイザーと一緒になって、ちょっとしたアクセントを加える役割しか与えられていないんだ」。そこでウェインは、電気的に増幅された音にかき消されず、自己の存在をしっかりと主張するために、楽器をテナーからソプラノ・サックスに持ち替えることを決意する。

ウェインのソプラノ・サックスがはじめてお目見えしたのは『イン・ア・サイレント・ウェイ』ですが、なるほど、そう言われてみれば、電化サウンドのなかでもはっきり聞き取れる度合いでいえば、ソプラノのほうが数段勝っているようです。個人的には、これは発見です。ウェインのソプラノに対する見方が変わりました。



Miles Davis "1969 Miles: Festival De Juan Pins"
(Sony SRCS 6843)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (soprano sax, tenor sax)
Chick Corea (electric piano)
Dave Holland (bass, electric bass)
Jack DeJohnette (drums)

Recorded live at La Pinède, Juan-les-Pins, France; July 25, 1969

[Tracks]
01. Directions Joe Zawinul (music)
02. Miles Runs The Voodoo Down Miles Davis (music)
03. Milestones Miles Davis (music)
04. Footprints Wayne Shorter (music)
05. 'Round Midnight Thelonious Monk, Cootie Williams (music) / Bernie Hanighen (lyrics)
06. It's About That Time Miles Davis (music)
07. Sanctuary ~ The Theme Wayne Shorter (music) ~ Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
Miles Davis (Official Website)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Complete Wayne Shorter Discography
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Dave Holland]
Dave Holland (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Jack DeJohnette]
Jack DeJohnette (Official Website)
Jack DeJohnette Homepage (by Piotr Marek, Jr.)
Jack Dejohnette Collection (by ANTAIOS)
Jack DeJohnette Complete Discography を目指すページ (@ 東北大学モダンジャズ研究会)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング


posted by ユキヒロ at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『キリマンジャロの娘』

fillesdekilimanjaro.jpg

マイルス・デイヴィスのもとに去来したピアニストの特集、ハービー・ハンコックのところで終わっていましたが、久しぶりに続きを(待ってくれていた人、ごめんなさい)。

話は1968年の夏に戻ります。
マイルス・イン・ザ・スカイ』(記事はこちら)以来、電化路線で試行錯誤を重ねていたマイルスは、早くも6月にはハービーにエレクトリック・ピアノを、ロン・カーターにエレクトリック・ベースをもたせて、『キリマンジャロの娘』の制作に取りかかります。
ところが、エレクトリック・ベースに馴染めなかったロン・カーターが6月にグループを脱退。後任は一時ミロスラフ・ヴィトウスがつとめたようですが、すぐに本命デイヴ・ホランドをロンドンから呼び寄せます(6月にイギリスへツアーに出たマイルスが現地でホランドに遭遇した。この話は『お城のエヴァンス』のこの記事で紹介しました)。
ハービーは8月31日、恋人ジジと結婚して新婚旅行でブラジルへ。ところが現地で食中毒になって、帰るに帰れない。マイルスには事情を説明したようですが、マイルスはハネムーンを延期するための仮病だと受け止めた。そこで、代役としてチック・コリアをスタジオに呼びます。そして、チックがそのままレギュラー・キーボードの座におさまるのです。

ここにきて、ついにマイルスの60年代黄金のクインテットは終焉を迎えます(トニーが去るのはこの年の12月、ウェインは1969年末までグループに残りました)。
でも、しょうがないんですね。どんなにすぐれたグループでも永遠には続かない。とくに前身に前身を重ねたマイルスにとって、この面子でできることはすべてやり遂げたという思いがあったはずです。だからこそのメンバー変更なのですが、実際、このアルバムで「新しさ」を感じさせるのは、ハービー&ロンがいた6月のセッションではなく、チック&デイヴの9月のセッションのほうなんです。

ジャケットの女性は、当時マイルスがつきあっていた歌手ベティ・メイブリー。5曲目の〈マドモワゼル・メイブリー〉は彼女に捧げられた曲です。
ベティはこの年の9月にマイルスと結婚(マイルス42歳、ベティ23歳のとき。年の差なんと19歳。ただし1年で離婚しました)、ベティ・デイヴィスとして何枚かのアルバムを残しています。

 

Miles Davis "Filles De Kilimanjaro"
(Columbia CS 9750)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (electric piano) #2-4
Chick Corea (electric piano) #1, 5
Ron Carter (electric bass) #2-4
Dave Holland (bass) #1, 5
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Frank Laico, Arthur Kendy
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; June 19 (#3), 20 (#2), 21 (#4), September 24 (#1, 5), 1968

[Tracks]
01. Frelon Brun (Brown Hornet) Miles Davis (music)
02. Tout De Suite Miles Davis (music)
03. Petits Machins (Little Stuff) Miles Davis (music)
04. Filles De Kilimanjaro (Girls Of Kilimanjaro) Miles Davis (music)
05. Mademoiselle Mabry (Miss Mabry) Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
Miles Davis (Official Website)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Complete Wayne Shorter Discography
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Ron Carter]
Ron Carter (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Dave Holland]
Dave Holland (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング


posted by ユキヒロ at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月19日

ハービー・ハンコック『フューチャー・ショック』

futureshock.jpg

V.S.O.P. の成功以来、作品によってアコースティックとエレクトリックを完全に使い分けてきたハービーが、満を持して発表した電化路線の傑作。それが1983年リリースの『フューチャー・ショック』です。ビル・ラズウェルとのコラボレーションによって、ミュージック/ダンス・シーンに旋風を巻き起こしました。

このアルバムの衝撃は、当時、チューボーだった私もよく覚えています。なにしろ、ヒップホップとかスクラッチとか、誰も知らない時代です(知らなかったのは私が幼かったから?)。今と違って、洋モノのランキングの大半は白人ロック系のアーティストだったわけで、そんななか、突如として登場した〈ロックイット〉の異質さ加減といったら。斬新とか革新とか、そんな言葉じゃたりないくらい、圧倒的に違っていました。そして、めちゃめちゃヒップだった!

音楽と同じくらい(いや、それ以上か)話題となった〈ロックイット〉のミュージック・ヴィデオ。YouTube で探してみたらありますねえ(Herbie Hancock Rockit で検索してください)。マネキンというかロボットというか、ヘンテコな人形たちがスクラッチにあわせて踊るという(笑)。CG 全盛の今から見ると、あまりのチープさに思わず脱力しちゃいますが、これ、当時はめちゃめちゃ新しかったんですよ。ヴィデオに金かけてる奴なんかいない時代ですからね。1984年の MTV MTV Video Music Awards も受賞しました。

 

Herbie Hancock "Future Shock"
(Columbia FC 38814)

Herbie Hancock (keyboards)
Michael Beinhorn (keyboards)
Bill Laswell (electric bass)
Grand Mixer D.S.T. (turntable) #1, 4, 6 (vocal) #6
Daniel Ponce (bata) #1, 4
Pete Cosey (guitar) #2
Sly Dunbar D (bongo) #2, 6
Dwight Jackson, Jr. (vocal) #2
Bernard Fowler (background vocal) #2, 6
Roger Trilling (background vocal) #6
Nicki Skopeltis (backing vocal) #6

Produced by Material, Herbie Hancock
Recorded by Martin Bisi (at OAO), Dominic Maita (at RPM)
Mixed by Dave Jerden
Recorded at OAO Studios, Brooklyn, NY / at RPM Studios, NYC; 1982

[Tracks]
01. Rockit Herbie Hancock, Bill Laswell, Michael Beinhorn (music)
02. Future Shock Herbie Hancock, Bill Laswell, Michael Beinhorn (music)
03. T.F.S. Herbie Hancock, Bill Laswell, Michael Beinhorn (music)
04. Earth Beat Herbie Hancock, Bill Laswell, Michael Beinhorn (music)
05. Autodrive Herbie Hancock, Bill Laswell, Michael Beinhorn (music)
06. Rough Herbie Hancock, Bill Laswell, Michael Beinhorn (music)

[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Michael Beinhorn]
Michael Beinhorn Discography (by Christian Genzel)
[Links: Bill Laswell]
Sacred Dub: The Music and Projects of Bill Laswall (by Kevin Potts)
Bill Laswell @ Silent Watcher
The Bill Laswell Discography (by Jurgen Geissler)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 05:04| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月13日

『ウィントン・マルサリスの肖像』

wyntonmarsalis.jpg

1981年7月27日にはじまったハービーのマラソン・セッション@東京信濃町。27日の『トリオ』、28日の『カルテット』と続いて、翌29日はウィントンの兄ブランフォードを加えたクインテット。ブランフォードはライヴ・アンダー・ザ・スカイには出演しなかったので、この日のためだけに来日をしています。

現代ジャズ界のオピニオン・リーダー、ウィントン・マルサリス。1961年10月18日、ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ。父エリスが同じピアニストとして尊敬するウィントン・ケリーの名前をつけたという話は、有名ですね。初リーダー作『ウィントン・マルサリスの肖像』収録時の年齢は弱冠19歳。ジャケットを見るかぎり、まだ少年の面影を残していますが、出てくる音楽の完成度の高さといったら! デビューの瞬間、並みいる先輩トランぺッターを全員置き去りにして、一躍シーンの中心に躍り出たモンスターのような人です。

プロデューサーのハービーは、若き天才をこの世に送り出すために、2種類のセットを用意します。ひとつは自らも参加した7月29日の東京セッション、もうひとつは8月にニューヨークで行われたセッションで、こちらには、のちにウィントンのレギュラー・バンドのメンバーとなるブランフォード、ケニー・カークランド、ジェフ・ワッツが顔をそろえています。

そうとなったら、聴き比べしたくなるのが人情ですが、どうでしょう? トニーの美曲〈シスター・シェリル〉が目を引く東京セッションですが、ハービー、ロン、トニーの3者が役者の違いを見せつけたかと思いきや、個人的には、若手だけで固めたニューヨーク・セッションに愛着を覚えます。この3者入りなら、前日録音の『カルテット』のほうが熱い。ブランフォードが加わったことで、バランス感が生じたというか、うまくまとめようという意思が働いている気がします。それならむしろ、これからひと旗揚げようという若さゆえの熱気のほうを買います。彼らはみんな抜群にうまい! うますぎる人というのは、えてして批判の対象となるものですが、この作品では、そのうまさが嫌みにならず、ストレートに感動につながっています。

 

"Wynton Marsalis"
(Columbia SRCS 9173)

#1, 2, 7
Wynton Marsalis (trumpet)
Branford Marsalis (tenor and soprano sax) omit #7
Kenny Kirkland (piano)
Clarence Seay (bass) #1, 2
Charles Fambrough (bass) #7
Jeff "Tain" Watts (drums)

Recorded at CBS Recording Studios, NYC; August, 1981

#3-6
Wynton Marsalis (trumpet)
Branford Marsalis (tenor and soprano sax) omit #6
Herbie Hancock (piano) omit #4
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Recorded at CBS/Sony Studio, Shinanomachi, Tokyo; July 29, 1981

Produced by Herbie Hancock
Recorded by Tomoo Suzuki (#3-6), Tim Geelan (#1 ,2, 7)

[Tracks]
01. Father Time Wynton Marsalis (music)
02. I'll Be There When The Time Is Right Herbie Hancock (music)
03. R.J. Ron Carter (music)
04. Hesitation Wynton Marsalis (music)
05. Sister Cheryl Tony Williams (music)
06. Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me) Anthony Newley, Leslie Bricusse (music and lyrics)
07. Twilight Wynton Marsalis (music)

[Links: Wynton Marsalis]
Wynton Marsalis (Official Website)
WyntonMarsalis.net (Official Website @ Sony Music)
[Links: Branford Marsalis]
Branford Marsalis (Official Website)
Branford Marsalis: a discography with cover photos (by Atushi acchan Ueda)
[Links: Kenny Kirkland]
Kenny Kirkland Homepage (@ Stone Alliance)
Kenny Kirkland Discography
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Jeff "Tain" Watts]
Jeff "Tain" Watts: the Chambers of Tain (Official Website)
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月11日

『ハービー・ハンコック・カルテット』

herbiehancockquartet.jpg

1980年、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズで衝撃的なデビューを飾ったウィントン・マルサリスは、自己の初リーダー作のプロデュースをハービー・ハンコックに依頼します。以下、引用はジャズ批評ブックス『定本ハービー・ハンコック』のハービーのインタビューより(インタビュアーは高木宏真さん)。

ウィントン・マルサリスは、僕に自分のリーダー・アルバムをプロデュースして欲しいと言って、テープを持ってきた。A面がクラシックで、トランペット・コンチェルト、B面が父親のエリス・マルサリスと演奏してるものだった。とてもファンタスティックなもので、感銘を受けた。そこで、他のツアーのメンバーである、ロンとトニーに、彼を入れるのはどうだろうと話してみたんだ。すると彼はまだ若すぎるし、経験も少ない、少しキビシイんじゃないか、と言うんだ。僕らだってそうだったじゃないか。若いんだから僕達が彼に経験させてやろう。そう言ったら彼らも同意して、ツアーに出た。結果は、素晴らしいもので、もはや何の問題もなかった。

トニーと仲が悪かったフレディ・ハバードが抜け(トニーのドラムスがうるさすぎることに、いつもぶち切れていたそうです)、障害児イスカを抱えるウェイン・ショーターも抜けた V.S.O.P. の後釜にウィントンが座ったのは、要するに、次回アップする『ウイントン・マルサリスの肖像』に向けたトレーニングの一環だったわけですね。1981年、ライヴ・アンダー・ザ・スカイのために来日したカルテットは、『ハービー・ハンコック・トリオ '81』の翌日ふたたびスタジオに入り、LP2枚分(CDでは1枚分)の演奏をわずか1日でレコーディングします。それが『ハービー・ハンコック・カルテット』で、3日間の現代版マラソン・セッションの中日(7月28日)に収録されました。

すでに一家をなした巨人たちに囲まれてひとり息巻く新人ウィントン。もちろん手練の三人は、そんなウィントンをあたたかく見守るだけではありません。ときに挑発し、ときにうまく先導しながら、将来ある若者の力を存分に引き出そうと、熱い情熱で応えます。昨日のリラックス・セッションとはうってかわった、リキの入った演奏です。ある意味、予定調和の V.S.O.P. よりおもしろい!

ハービー、ロン、トニーの楽曲が2曲ずつ、モンクス・オリジナル2曲にスタンダード1曲。完全に相手の土俵で勝負させられているわけですが、ウィントンは踏ん張ります。堂々たる吹きっぷりです。メンバーに臆することなく、豊かな音色と完璧な楽器コントロールで存在感を示します。さすが、ウィントン。彼の成功はこの時点で約束されていたのですね。

マイルス・クインテット時代に何度も演奏された名曲〈ラウンド・ミッドナイト〉。ウィントンのミュートは切れ味鋭いだけではありません。音に奥行きがある。細かい芸も達者です。ギル・エヴァンスのアレンジによる例のヴァンプあたりの展開は、まさに戦慄もの。背筋が寒くなるとはこのことです。やっぱ、どえらい才能です。

 

"Herbie Hancock Quartet"
(Sony SRCS 9343)

Wynton Marsalis (trumpet)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by David Robinson, Herbie Hancock
Recorded by Tomoo Suzuki
Recorded at CBS Sony Studios, Shinanomachi, Tokyo; July 28, 1981

[Tracks]
01. Well You Needn't Thelonious Monk (music)
02. 'Round Midnight Thelonious Monk, Cootie Williams (music) / Bernie Hanighen (lyrics)
03. Clear Ways Tony Williams (music)
04. A Quick Sketch Ron Carter (music)
05. The Eye Of The Hurricane Herbie Hancock (music)
06. Parade Ron Carter (music)
07. The Sorcerer Herbie Hancock (music)
08. Pee Wee Tony Williams (music)
09. I Fall In Love Too Easily Jule Styne (music) / Sammy Cahn (lyrics)

[Links: Wynton Marsalis]
Wynton Marsalis (Official Website)
WyntonMarsalis.net (Official Website @ Sony Music)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ハービー・ハンコック・トリオ '81』

herbiehancocktrio81.jpg

70年代から80年代初頭にかけて、毎年のように日本にやってきては膨大な数の録音を残したハービー・ハンコックですが、なかでも極めつけは1981年。ライヴ・アンダー・ザ・スカイ '81 のために来日したハービー様御一行は、7月27日〜29日の3日間、東京信濃町のソニー・スタジオに通いつめ、1日1枚、3日で3枚のアルバムを立て続けに録音します。

初日は、ハービー、ロン、トニーの3人で『ハービー・ハンコック・トリオ '81』を収録。「バッキング命」を公言するハービーには、ピアノ・トリオというフォーマットはさほど魅力的ではないようで、全編トリオで通したのは、77年来日時の『ハービー・ハンコック・トリオ '77』とロン・カーター名義の『サード・プレイン』、それに翌78年のライヴ・アンダー・ザ・スカイの模様を収めたロン・カーター盤『1+3』くらいしかありません。

じゃあ、この『トリオ '81』はつまらないかというと、そんなことはありません。V.S.O.P. ばりのド派手な演出や60年代マイルス・クインテット時代のスリリングな展開を期待すると肩すかしを食いますが、一見、手抜きと思われがちなこのアルバムは、実は意外なほど飽きがこない。最近のハービーのゴージャスなつくりのアルバムからは想像もできないほど、シンプルで、リラックスした好盤となっています。

天下無敵の暴れん坊少年トニーもこのとき35歳。20年近くも共演してきた彼らだからこそ実現できた、自然体の演奏です。みずみずしいハーモニーを生み出すハービーのピアノに「円熟」という言葉はあいませんが、肩肘張らずに聴ける佳作だと思います。



"Herbie Hancock Trio"
(CBS/Sony 25AP2190)

Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by David Rubinson
Recorded by Tom Suzuki
Recorded at CBS/Sony Shinanomachi Studio, Tokyo; July 27, 1981

[Tracks]
01. Stablemates Benny Golson (music)
02. Dolphin Dance Herbie Hancock (music)
03. A Slight Smile Ron Carter (music)
04. That Old Black Magic Harold Arlen (music) / Johnny Mercer (lyrics)
05. La Maison Goree Tony Williams (music)

[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハービー・ハンコック&チック・コリア『イン・コンサート』

herbie_chickinconcert.jpg

ハービー・ハンコックとチック・コリア。永遠のライヴァルともいわれる2人の歩みは、これまで何度か交差しています。

ともにマイルス・バンド出身で(ハービーは1963年〜68年の「黄金のクインテット」、チックは68年〜70年の「ロスト・クインテット」に参加)、名盤『イン・ア・サイレント・ウェイ』や『ジャック・ジョンソン』、『ライヴ・イヴル』のスタジオ・セッションでは共演も果たしています。マイルス・バンド脱退後、72年にチックが『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(通称カモメ)、73年にはハービーが『ヘッド・ハンターズ』を吹きこんで、クロスオーヴァー〜フュージョン時代を牽引したのもそっくりです。そういえば、チックがデビューしたのはモンゴ・サンタマリアのグループだったというのも、どこか因縁めいています(62年、リヴァーサイド盤『Go, Mongo!』が初録音。翌63年にはモンゴがハービーの〈ウォーターメロン・マン〉を大ヒットさせます)。

マイルスが火をつけた電化路線を邁進していた2人ですが、76年の『V.S.O.P. 〜 ニューポートの追想』の成功に気をよくしたハービーは、いち早くアコースティック&エレクトリックの二方面作戦に打って出ます。そんななか、かねてより共演を望んでいたというチックの『マッド・ハッター』にハービーが参加、伝説のエレピ・ソロを披露して主役を食う勢いを見せつけます(77年)。翌78年、意気投合した2人は1月25日から2月20日にかけて、アコースティック・ピアノによるデュオ・コンサート・ツアーを敢行、2月15日には日本の武道館にも立ち寄りました。

コロンビア盤『イン・コンサート』はこのときのツアーの模様をおさめたアルバムで、サンフランシスコのメイソニック・オーディトリアム、ロサンジェルス・ミュージック・センターのドロシー・チャンドラー・パヴィリオン、サンディエゴのゴールデン・ホール、ミシガン大学ヒル・オーディトリアムの4つの会場で行われたコンサートから、ベスト・テイクを集めて制作されました(もう1枚、チックが所属していたポリドールから『デュオ・ライヴ』というアルバムもつくられています。こちらは後日チック特集で)。

2大スターの夢の共演。こう書いてしまうと元も子もないのですが(笑)、看板に偽りなし。すばらしい演奏です。アコースティック・ピアノによる2人だけの対話。相手の音に感応してくり出す音がさらなる感応を生み出す。2人が対話を通じてどんどん高みへ登り詰めていくのが手に取るようにわかります。いやあ、こりゃミラクル・ワールドだ(笑)。

それにしても、2人の耳のよさには感動します。ブラック・ファンクで名を売ったハービーと、スパニッシュ路線に活路を見出したチックですが、根っこをたどれば、2人とも行き着く先はクラシック。鍛えられ方が違うんでしょうね、きっと。相手のちょっとした変化も聞き逃さない耳のよさと、変化を瞬時にとりこむ反応のはやさ、それにどんなスタイルの音楽も縦横無尽にかけめぐるテクニックがあれば、もう怖いものはありません。おすすめです。

 

"An Evening With Herbie Hancock & Chick Corea In Concert"
(Columbia PC2 35663)

Herbie Hancock (piano)
Chick Corea (piano)

Produced by Herbie Hancock, David Rubinson
Recorded by Bernie Kirsh
Recorded live at Masonic Auditorium, SF; Dorothy Chandler Pavillion, LA; Golden Hall, San Diego; Hill Auditorium, Ann Arbor; February, 1978

[Tracks: Disc 1]
01. Someday My Prince Will Come Frank Churchill (music) / Larry Morey (lyrics)
02. Liza George Gershwin (music) / Ira Gershwin, Gus Kahn (lyrics)
03. Button Up Herbie Hancock, Chick Corea (music)

[Tracks: Disc 2]
01. Introduction Of Herbie Hancock By Chick Corea
02. February Moment Herbie Hancock (music)
03. Maiden Voyage Herbie Hancock (music)
04. La Fiesta Chick Corea (music)

[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:22| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月06日

V.S.O.P.『ザ・クインテット』

vsopthequintet.jpg

1回限りのスペシャル・プロジェクトだったはずの V.S.O.P. が、1977年にレギュラー・バンドとして全米ツアーに打って出たのは、前作『V.S.O.P. 〜 ニューポートの追想』に予想を超える反響があったからですが、60年代新主流派の焼き直しにすぎない(どころか、大衆受けをねらってポップス化した)彼らの活動に意味があったとすれば、フュージョンしか知らなかった若い世代に、アコースティック・ジャズのおもしろさを知らしめたという点においてです。実際、彼らの成功なくして、80年代以降のアコースティック・ジャズの復権はなかったでしょうし、ネオ・コンサヴァティブ(新保守主義)路線を牽引したウィントン・マルサリスが第二期 V.S.O.P. から巣立っていった事実は、そのことを象徴してあまりあります。

ビ・バップ革命にはじまったモダン・ジャズの潮流は、周辺の音楽を飲み込みながら、刻々と姿を変えてきました。即興性を極限まで押し進めたフリー・ジャズは、67年にジョン・コルトレーン、70年にアルバート・アイラーという2人の巨人を失い、失速します。楽器の技術革新とともにあった電化路線のフュージョンも、すでにこの時期、爛熟の兆しを見せはじめ、20世紀生まれのモダニズム運動は行き詰まりつつありました。そこへ降って湧いたような、過去への回帰現象。成熟といえば聞こえはいいですが、モダン・ジャズの終焉を嘆く人がいても不思議じゃありません。

では、演奏している当人たちはどう思っていたのか。『フットプリンツ:評伝ウェイン・ショーター』には、ウェインのこんな証言が紹介されています(訳は新井崇嗣さん)。

V.S.O.P. の活動中、ウェインは観る者をしぶれさせる素晴らしいパフォーマンスを披露した。また、旧友たちと過ごす時間も楽しいものだった。しかし、過去を生き直すような行為が彼の心を満たすことはなかった、とウェインは言う。「メトロポリタン・オペラ・ハウスを壊しているとする。立て直すためにね。で、誰かがオペラ・シンガーに『古い建物がなくなって寂しい?』と訊くと、そのシンガーは『いいや、まったく!』と即答する。あれはそんな感じだったね」

う〜ん。相変わらずウェインの宇宙語は意味不明ですが(笑)、少なくとも、彼にとって、この時点で、昔ながらのアコースティック・ジャズを演奏することは、心惹かれるものではなかったらしいことだけはわかります。それはそうでしょう、ウェインは前年『ヘヴィー・ウェザー』でメガヒットを飛ばしたばかり。ハービーはヘッド・ハンターズで電化路線まっしぐら、フレディは CTI でポップス路線、トニーはライフタイムでジャズ・ロック路線を経験済み、ロンはよくわかりませんが(笑)、いずれにしても、V.S.O.P. での演奏は、彼らにとって60年代の回顧でしかなかったわけです。

とまあ、いろいろ書いてきましたが、V.S.O.P. を知るにはその音楽を聴くしかないわけで、アメリカ西海岸でのライヴ盤『ザ・クインテット』です。メンバーがメンバーなだけに、どうしても60年代マイルス・クインテットと比較してしまうのは悪いクセですが、マイルス・バンドが暴力的な衝動を無理矢理抑え込むことで、異様なテンションを保っていたのと比べると、実に開けっぴろげな音楽です。先の展開が読めるというか、予定調和というか、要はわかりやすいんですね。手練のミュージシャンが集まって、カッコつけて演奏するとこうなる、という見本のような演奏です。

カラッと晴れあがった青空のような、痛快なジャズ。これを楽しめるかどうかは、おそらく聴く人の音楽的バック・グラウンドによります。単純におもしろいと感じられる人は幸せです。頭でっかちな私は、ピュアな気持ちで彼らの音楽に向かい合うことができません。残念なことです。

 

V.S.O.P. "The Quintet"
(Columbia C2 34976)

Freddie Hubbard (trumpet, flugelhorn)
Wayne Shorter (soprano & tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by David Rubinson
Recorded by Fred Catero
Recorded live at The Greek Theatre, University Of California, Berkeley; July 16, 1977 / The San Diego Civic Theatre, July 18, 1977

[Tracks]
01. One Of A Kind Freddie Hubbard (music)
02. Third Plane Ron Carter (music)
03. Jessica Herbie Hancock (music)
04. Lawra Tony Williams (music)
05. Darts Herbie Hancock (music)
06. Dolores Wayne Shorter (music)
07. Little Waltz Ron Carter (music)
08. Byrdlike Freddie Hubbard (music)

[Links: Freddie Hubbard]
Freddie Hubbard Discography (by hubtones)
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月05日

ハービー・ハンコック『V.S.O.P. 〜 ニューポートの追想』

vsop.jpg

1976年6月29日は、当時36歳のハービー・ハンコックにとって忘れられない日となりました。ジョージ・ウィーン主催のニューポート・ジャズ・フェスティヴァル(ただし、この日の会場はニューヨーク市センター)のスペシャル・プログラムとして "Retrospective of the Music of Herbie Hancock" が開催されたからです。人生を「回顧」するにはちと若すぎる気もしますが(笑)、記念すべきその日のプログラムは、『V.S.O.P. 〜 ニューポートの追想』というアルバムに刻印されています。

プログラムには、それぞれ時代を画したハービーの3つのバンドが登場します。

トップバッターは、60年代のマイルス・クインテットを模した V.S.O.P (Very Special One-time Performance)。1回限りの復活劇ということで、当時、雲隠れしていたマイルス(75年9月5日のセントラル・パークでの野外ライヴを最後に、公の場から姿を消していた)を引っ張り出そうと画策したのではないかという憶測が飛び交っていますが、真相は不明。ウェインにハービー、ロン、トニーのおなじみの面子にフレディ・ハバードが加わっています。

続いて、ハービーが70年代初頭のワーナー時代に率いていた電化セクステットが登場します。メンバーそれぞれがスワヒリ語の名前を名乗り(ハービーは「ムワンディシ (MWANDISHI)」と称していた)、みずからのアフリカン・ルーツを模索した「暗黒時代」。フリー・ファンクの混沌とした世界に、今一度光を当てます。

トリを飾るのは、ミリオンセラーもかっ飛ばしたヘッド・ハンターズです。ワウ・ワウ・ワトソンとレイ・パーカー Jr. のツイン・ギターを加えた最強布陣で、もうノリノリ。実は彼らのベスト・パフォーマンスだと密かに確信しているのですが、あんまり話題になりませんねえ(笑)。

このアルバム、2枚組み CD の1枚目しか聴かない人も多いとか。オールスター・キャストが奏でるアコースティック・ジャズの魅力はたしかに捨てがたいものがありますが(といっても、ハービーが弾いているのは YAMAHA のエレクトリック・グランド・ピアノです。エレピと生ピの中間ぐらいの音がします)、V.S.O.P. からは、60年代マイルス・クインテットが身にまとっていた凄み(殺気という言葉がいちばん近い気がします)はまったく感じられません。メリハリがきいていて、とてもわかりやすい演奏ですが、どちらに転ぶかわからない崖っぷちのスリルは皆無です。どうにもビミョーなんですね。

前進を止めた懐古趣味のジャズなんてジャズじゃないという人もいれば、アコースティック・ジャズ復活の先鞭を付けたと評価する人もいます。どちらも一面の真実を言い当てているのでしょうが、私は、あんまり聴きません(あっ、言っちゃった)。むしろ、Disc 2 のほうが素直に楽しめます。

ところで、ブランデーなんかで見かける VSOP は Very Superior Old Pale の略で、18〜25年の長期熟成物を指します。11年以下が VO (Very Old) 、12〜17年が VSO (Very Superior Old) で、XO (EXtra Old) は26年以上の超高級ブランデーを指すそうです。本当においしいお酒をつくるには、四半世紀以上の時間がかかる。私の仕事人生はたかだか13年。ということは、本当にいい本をつくるには、あと12年は働き続けなければならないようです。先は長いなあ(笑)。

 

Herbie Hancock "V.S.O.P."
(Columbia PG 34688)

Disc 1: #1-4
Freddie Hubbard (trumpet)
Wayne Shorter (soprano & tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Disc 2: #1, 2
Eddie Henderson (trumpet, flugelhorn, effects)
Bennie Maupin (alto flute)
Julian Priester (trombone)
Herbie Hancock (piano, electric piano)
Buster Williams (bass)
Billy Hart (drums)

Disc 2: #3, 4
Bennie Maupin (soprano & tenor sax, lyricon)
Herbie Hancock (piano, electric piano, synthesizer)
Wah Wah Watson (guitar, voice bag)
Ray Parker, Jr. (guitar)
Paul Jackson (electric bass)
James Levi (drums)
Kenneth Nash (percussion)

Produced by David Rubinson
Recorded by Fred Catero, David Rubinson
Recorded live at New York City Center; June 29, 1976

[Tracks: Disc 1]
01. Piano Introduction Herbie Hancock (music)
02. Maiden Voyage Herbie Hancock (music)
03. Nefertiti Wayne Shorter (music)
04. Eye Of The Hurricane Herbie Hancock (music)

[Tracks: Disc 2]
01. Toys Herbie Hancock (music)
02. You'll Know When You Get There Herbie Hancock (music)
03. Hang Up Your Hang Ups Herbie Hancock, Paul Jackson, Wah Wah Watson (music)
04. Spider Herbie Hancock, Paul Jackson, Wah Wah Watson (music)

[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Freddie Hubbard]
Freddie Hubbard Discography (by hubtones)
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)
[Links: Eddie Henderson]
The Eddie Henderson Official Web Site
[Links: Bennie Maupin]
Bennie Maupin (Official Website)
Bennie Maupin Discography (by Christian Genzel)
[Links: Julian Priester]
The official website of Julian Priester
[Links: Buster Williams]
Buster Williams Website (Official Website)
[Links: Billy Hart]
Drummer Billy Hart (Official Website)
[Links: Wah Wah Watson]
Wah Wah Watson (Official Website)
[Links: Ray Parker, Jr.]
Ray Parker, Jr. (Official Website)
[Links: Paul Jackson]
Paul Jackson (Official Website)
[Links: Kenneth Nash]
Kenneth Nash Productions (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月04日

ハービー・ハンコック『洪水』

flood.jpg

なにかと日本と縁の深いハービー・ハンコックはこの時期、毎年のように日本にやってきては置き土産を残しています。『洪水』もそのひとつで、1975年、東京の渋谷公会堂中野サンプラザでライヴ録音され、日本のみでリリースされました。

こういうと、小遣い稼ぎの安直なアルバムと思いがちですが(実際、そうとしか思えないアルバムもあるにはあります)、エレクトリック・ファンク時代のハービー唯一のライヴ盤(アコースティック・バンドの演奏も含む『V.S.O.P.〜ニューポートの追想』は除きます)と聞けば、このアルバムの価値もわかろうというものです。

コンサートはアコースティック時代の一里塚〈処女航海〉で幕を開けます。おそらく日本のコアなファンを意識したのでしょうが、このメンバーでこの選曲は、はっきりいって違和感があります。一時代前の音がする。あちゃ〜、やっちゃった? そう思って停止ボタンを押そうと手を伸ばした瞬間、突然曲が切り替わります。〈アクチュアル・プルーフ〉。これが、めちゃめちゃカッコイイんです! ハービーは引き続きアコースティック・ピアノを弾いていますが、火が出るような熱いソロをくり広げています。必聴です。こんなに熱いハービーって、そうは聴けません。

私はいわゆるフュージョンはほとんど聴かないのですが、ヘッド・ハンターズがおもしろいのは、彼らのインプロヴィゼーションにまだ力があったからではないかと思います。クロスオーヴァーからフュージョンへと時代が下るにつれて、ジャズ色は希薄になり、ポップス色が強くなっていくわけですが、それは即興の度合いが減っていく過程でもあります。私はかなりジャズ寄りの人間ですが、たとえ楽器が電化しても、即興主体の音楽なら楽しめる。引退前のエレクトリック・マイルスも、初期の RTF も、ミロスラフ・ヴィトウス参加時代のウェザー・リポートも、同じ意味で楽しめます。

アルバムはヘッド・ハンターズのヒットパレードで、『ヘッド・ハンターズ』から2曲、『スラスト』から3曲、『マン・チャイルド』から1曲、セレクトされています。最初の2曲以外、ハービーはエレピやシンセを操っていますが、こちらも相当熱い。スタジオでは捉えきれなかったヘッド・ハンターズの全貌が明らかになります。



"Flood: Herbie Hancock Live In Japan"
(CBS/Sony SOPZ 98)

Bennie Maupin (soprano, tenor sax, saxello, bass clarinet, flute, percussion)
Herbie Hancock (piano, Fender Rhodes, clavinet, synthesizer)
DeWayne "Blackbird" McKnight (guitar)
Paul Jackson (Fender bass)
Mike Clark (drums)
Bill Summers (congas, percussion)

Produced by David Rubinson
Recorded by Tomoo Suzuki
Recorded live at Shibuya Kohkaido, Tokyo; June 28, 1975 / Nakano Sun Plaza, Tokyo; July 1, 1975

[Tracks]
01. Maiden Voyage Herbie Hancock (music)
02. Actual Proof Herbie Hancock (music)
03. Spank-A-Lee Herbie Hancock (music)
04. Watermelon Man Herbie Hancock (music)
05. Butterfly Herbie Hancock (music)
06. Chameleon Herbie Hancock, Bennie Maupin, Paul Jackson, Harvey Mason (music)
07. Hang Up Your Hang Ups Herbie Hancock (music)

[Links: Bennie Maupin]
Bennie Maupin (Official Website)
Bennie Maupin Discography (by Christian Genzel)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Paul Jackson]
Paul Jackson (Official Website)
[Links: Mike Clark]
Mike Clark (Official Website)
[Links: Bill Summers]
Bill Summers (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハービー・ハンコック『スラスト(突撃)』

thrust.jpg

ハービー・ハンコックが『ヘッド・ハンターズ』の大ヒットを受けて制作した続編『スラスト(突撃)』。ドラマーがマイク・クラークに代わったほかはメンバーも同じ、録音時期も比較的近く、裏ヘッド・ハンターズ的なアルバムに仕上がっています。

〈カメレオン〉のような、強烈にクセのある曲はありませんが、これはこれで完成度の高い一枚です。たとえば、ハービーがシンセで奏でる「ティティッ、ティティッ、ティーティッティ」のリフレインが病みつきになる〈パーム・グリース〉。あるいは、ファンク路線から一歩突き抜けた感のある〈バタフライ〉の美しさもすてがたい。

極めつけは、ファンク・ビートにカラフルで叙情的なメロディーを乗せた名曲〈アクチュアル・ブルーフ〉です。この曲の原題は〈The Spook Who Sat By The Door〉で、ハービーが音楽を担当した1973年公開の同名映画(日本未公開。『ブラック・ミッション/反逆のエージェント』としてビデオ化されたことがあるようです)からのセレクションです。

ところで、私が持っている CD (Columbia/Legacy CK 64984) のライナーは、ドラマーのマイク・クラークが過去をふり返って書いていて、ハービーのバンドに誘われた当時の様子も回想しています(訳は拙訳です)。

ハービー・ハンコック・バンドのオーディションの電話がかかってきた日は、ぼくの人生でもっともエキサイティングな日のうちのひとつだね。(中略)最初、ぼくらはトリオで演奏した。はじめてすぐに、ぼくらは「ワープ・スピード」に突入した。ハービーはポールとぼくがやっていたことを瞬時に悟って、最初の8小節でそれを別の次元に引き上げたんだ。全員が同時にソロをとっているかのようだった。ぼくらはみなお互いの音を注意深く聴いていたから、混乱はなかった。ファンクと情熱が惜しみなく注がれた、正真正銘のインプロヴィゼーションだ。20分ほど演奏したあと、ハービーはすっくと立ち上がり、黒のロングコートを羽織って、ぼくのそばを通りすぎながら、ひと言こういった。「月曜にはシカゴへ出発だ」ハービーは静かにドアを出て行った。まるでダース・ベイダーのようだったよ。

なんかどこかで聞いたような話です(笑)。かつてマイルスの自宅で隠しオーディションを受け、そのまま次のレコーディングに呼ばれたハービーは、自分でも同じことをやってみたかったのかもしれません。ジャズの伝統はこうやって先輩から後輩へと受け継がれていくのでしょう???

 

Herbie Hancock "Thrust"
(Columbia PC 32965)

Bennie Maupin (soprano, tenor sax, saxello, bass clarinet, alto flute)
Herbie Hancock (Fender Rhodes, clavinet, synthesizer)
Paul Jackson (electric bass)
Mike Clark (drums)
Bill Summers (percussion)

Produced by David Rubinson, Herbie Hancock
Recorded by Fred Catero
Recorded at Wally Heider Studios, SF; August 1974

[Tracks]
01. Palm Grease Herbie Hancock (music)
02. Actual Proof Herbie Hancock (music)
03. Butterfly Herbie Hancock, Bennie Maupin (music)
04. Spank-A-Lee Herbie Hancock, Mike Clark, Paul Jackson (music)

[Links: Bennie Maupin]
Bennie Maupin (Official Website)
Bennie Maupin Discography (by Christian Genzel)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Paul Jackson]
Paul Jackson (Official Website)
[Links: Mike Clark]
Mike Clark (Official Website)
[Links: Bill Summers]
Bill Summers (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月24日

ハービー・ハンコック『ヘッド・ハンターズ』

headhunters.jpg

ハービーの名を一躍世間に知らしめたメガヒット作、『ヘッド・ハンターズ』。電化路線に行き詰まりつつあったハービーが、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの演奏に衝撃を受け、ファンク・ビートを取り入れて、ある意味わかりやすい形で提示した本作は、ポップ・チャートを駆け上がって13位までのぼりつめ、150万枚を売ってプラチナ・ディスクを獲得したというから驚きです。

ビッチェズ・ブリュー』前後のマイルスのセッションに参加したミュージシャンのうち、ジャズ・ロック路線に活路を見出したチック・コリア(リターン・トゥ・フォーエヴァー)やジョン・マクラフリン(マハヴィシュヌ・オーケストラ)、フュージョン時代に天下をとったウェン・ショーターとジョー・ザウィヌル(ウェザー・リポート)とは違って、ハービーが押し進めたのはエレクトリック・ファンク路線。独特のうねるようなビートの主戦場は、コンサート会場ではなく、ダンス・フロアでした。

大ヒットしたディスコ・チューンというだけで引いてしまうジャズ・ファンも多いと思いますが(笑)、食わず嫌いなだけで、実はけっこう楽しめると思います。リズムはシンプルですが粘っこく、そのうえをエレピやシンセで駆け巡るハービーの妙技も堪能できます。電化以降のマイルス、とくに『ビッチェズ・ブリュー』や『オン・ザ・コーナー』にスッと入れた人なら、絶対気に入ります。一筋縄ではいかないマイルス盤よりはるかにわかりやすい(笑)。ハービーのポップな資質が見事に開花しています。

オープニングは、あまりにも有名な〈カメレオン〉。ポール・ジャクソンのベースが執拗にくり返す強烈なビートに思わず身体がよじれます。幾重にも重なるハービーのキーボード。ときおり聴こえるベニー・モウピンの低音ブロウが、電化サウンドのいいスパイスとなっています。七色に変化する曲調もそうですが、変幻自在のハービーの生き方を表してあまりあるタイトルです。

ハービー初のヒット曲〈ウォーターメロン・マン〉も、新たにアフリカンな装いをまとって再登場します。最初に聴こえる笛のような音は、なんでしょう? パーカッションのビル・サマーズの楽器リストに「Beer Bottle」とあるので、もしかしたらビール瓶に息を吹き込んで出した音!? まさかね。

〈スライ〉はそのものズバリ、ハービーがファンク路線に進むきっかけとなったスライ・ストーンに捧げた曲ですね。彼らの音楽に魅せられたハービーは、スライとの共演を望んだのに、スノッブな自分が邪魔をして果たせなかったとインタビューで答えています(『定本ハービー・ハンコック』より)。ベニー・モウピンが大活躍ですが、これ、サクセロですか? ソプラノ・サックスとはちと違うような。ローランド・カークのマンゼロを思わせる音色です。

 

Herbie Hancock "Head Hunters"
(Columbia KC 32731)

Bennie Maupin (soprano & tenor sax, saxello, bass clarinet, alto flute)
Herbie Hancock (Fender Rhodes, clavinet, synthesizer, pipes)
Paul Jackson (electric bass, marimbula)
Harvey Mason (drums)
Bill Summers (congas,shekere, balafon, agogo, cabasa, hindewho, tambourine, log drum, surdo, gankoqui, beer bottle)

Produced by David Robinson, Herbie Hancock
Recorded by Fred Catero, Jeremy Zatkin & Dane Butcher, John Vieira
Recorded at Wally Haider Studios & Different Fur Trading Co., SF; 1973

[Tracks]
01. Chameleon Herbie Hancock (music)
02. Watermelon Man Herbie Hancock (music)
03. Sly Herbie Hancock (music)
04. Vein Melter Herbie Hancock (music)

[Links: Bennie Maupin]
Bennie Maupin (Official Website)
Bennie Maupin Discography (by Christian Genzel)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Paul Jackson]
Paul Jackson (Official Website)
[Links: Harvey Mason]
Harvey Mason (Official Website)
[Links: Bill Summers]
Bill Summers (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:24| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月07日

マイルス・デイヴィス『マイルス・イン・ザ・スカイ』

miles_milesinthesky.jpg

GW 最終日の昨日は、原宿でドラリオンを観てきました(4人で4万円の出費!!!)。娘はもちろん、親の私たちもシルク・ドゥ・ソレイユは初体験。人間離れした技の数々に興奮しっぱなしでした。出演者はアジア系が多かったようですが、やっぱり中国雑技団の出身なのでしょうか? 

人間離れというか、世俗を遠く離れ、神の領域に踏み込もうとした哀れなジョン・コルトレーン。彼が肝硬変であの世へと旅立っていったのは、1967年7月17日のことでした。そのわずか2日後、スタジオ入りしたマイルスは『ネフェルティティ』を録り終え、トレーンとは別の意味で、この世のものとは思えない音楽を完成させます。

アコースティックの世界でやるべきことは残っていない。モダンジャズの生き証人、パーカーとの共演からクール、ハードバップ、モードと、つねにシーンの最前線で時代の変遷を目の当たりにしてきたマイルスをして、そう確信させるほどの、究極の音楽。『ネフェルティティ』のすばらしさについては、ジョニ・ミッチェルがコメントを残しているので、こちらの「追記」に引用しておきました。

アコースティックな音楽で前人未到の高みにまで登り詰めたマイルスの次なる関心は、当然のことながら、エレクトリック楽器に向かいます。とくにギターのヴォイシングをいかにみずからの音楽に取り入れるか。あわせて、同じコード楽器のピアノをどうするか。そこに焦点を絞ったマイルスは、1967年12月以降、立て続けにギタリストを加えたレコーディングを重ねます。

12月04日、ジョー・ベック (guitar)、ハービー (celeste)。
12月28日、ジョー・ベック (guitar)、ハービー (Fender Rhodes, clavinet)。
さらに年が明けて(1968年)、
01月12日、バッキー・ピザレリ (guitar)、ハービー (electric harpsichord)。
01月16日、ジョージ・ベンソン (guitar)、ハービー (piano, Fender Rhodes)。

こうしてみると、見事なまでにマイルスの試行錯誤のあとがうかがえます。このなかで、当初リリースされたのは最後のジョージ・ベンソンが参加したセッションだけでした。〈パラフェルナリア〉という曲が、エレクトリック・マイルスの端緒となった『マイルス・イン・ザ・スカイ』に収録されています(残りの演奏は後年発売されたオムニバス盤『サークル・イン・ザ・ラウンド』『ディレクションズ』に入っていました)。

ジャズ批評ブックス『定本ハービー・ハンコック』には、突如エレクトリック・ピアノを弾くよう指示されたハービーの戸惑いが記録されています。

ある日 CBS のスタジオへ行った。(中略)ところが……ピアノがないんだよ、どこにも。で、「マイルス、ボクに何を弾いて欲しいんだい?」って訊くと、「あれだ」って、例の奇妙な声で言うんだ。(中略)そこにあるのは、エレクトリック・ピアノ(フェンダー・ローズ)だった。でも僕は、エレクトリック・ピアノなんて、おもちゃだ、シリアスな楽器じゃないって思ってたんだ。こんなオカシな楽器なんて弾いてみたこともなかった。まあ、仕方なく弾いてみたんだけど、これがビューティフル・サウンドなんだ(笑)。暖かくて。

さすがに習作の域を出ない作品ですが、単純なリフのくり返しと生まれたばかりの電気ピアノ、フェンダー・ローズの響きが、その後のマイルスを予兆させるアルバムとなっています。ひとたびエレクトリックの世界に足を踏み入れたマイルスは、二度と振り返ることはありませんでした。

 

Miles Davis "Miles In The Sky"
(Columbia CS 9628)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano, electric piano #1, 2)
George Benson (guitar) #2
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Frank Laico, Arthur Kendy
Recorded at Columbia Studio B, NYC; January 16 (#2), May 15 (#4), 16 (#3), 17 (#1), 1968

[Tracks]
01. Stuff Miles Davis (music)
02. Paraphernalia Wayne Shorter (music)
03. Black Comedy Tony Williams (music)
04. Country Son Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: George Benson]
George Benson (Official Website)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 22:54| Comment(0) | TrackBack(1) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月04日

マイルス・デイヴィス『ソーサラー』

miles_sorcerer.jpg

1967年5月、西海岸での仕事を終えたマイルス・バンドの一行はニューヨークのスタジオに集結、『ソーサラー』を吹きこみます(といっても、ベースのロン・カーターは西海岸ツアーに不参加。リチャード・デイヴィスが代役をつとめています)。

オープニングは、ウェインのオリジナル〈プリンス・オブ・ダークネス〉。「暗黒の王子」とは恐れ入りますが、これ、マイルスの愛称です(笑)。どこから来たのか、どこへ行くのか。それともどこへも行かないのか。この独特なゆらぎを生み出しているのは、トニーのシンバルにからみつく、ロンの自在なベース・ワークです。才気走ったトニーやハービー、空中からメロディーをとりだすウェインの陰に隠れがちですが、ここでのロンのベースはすごい。本来のキープ役を放棄して、あっちへふらふら、こっちへふらふら。それでいて、曲のもつ雰囲気を見事に表現しています。

続いて、マイルス抜きのカルテットによる〈ピー・ウィー〉。トニーのオリジナルですね。〈マスクァレロ〉〈リンボ〉〈ヴォネッタ〉はウェインの作。表題曲〈ソーサラー〉(魔術師)はハ―ビーのオリジナルです。

ここにきてついに、マイルスのオリジナルさえ姿を消します。創造力のピークに達しつつあったウェイン、トニー、ハービー。彼ら自身の楽曲をとりあげ、思う存分演奏させながら、最後の一線だけは越させない、この異様なまでの威圧感。陰で糸を引きながら、すべてを「マイルスの音楽」にまとめあげるこの圧倒的な統率力こそ、「魔術師」マイルスのカリスマ性の源です。

ジャケットの女性はマイルスの新恋人シシリー・タイソン。邦盤ライナー(村井康司さん)の指摘で気づいたのですが、次作『ネフェルティティ』のマイルスとセットになっています(2枚を横に並べると、2人が向き合う格好になっている)。そういえばこの2枚、録音時期も近く(前者が67年5月、後者が6, 7月)、音楽的な方向性も似ています。にもかかわらず、アルバムから漂ってくるオーラが決定的に違う。それはひとえに、意味不明の〈ナッシング・ライク・ユー〉のせいです!

中山康樹さんはかねてより〈ナッシング・ライク・ユー〉の抹殺を主張されていますが(『マイルスを聴け! Version 7』)、まったく同感です。この世から消えてほしい(笑)。で、私は消しました。私の iTunes にはボブ・ドローの名前は出てきません(爆)。

私は基本的に、オリジナル盤の制作者の意図を無視したボーナストラックには反対の立場ですが(それは私が本の編集という制作者サイドの仕事を本職としていることと無関係ではありません)、これはいただけない。マイルスとウェインの初共演セッションだからといって、なぜ62年のまぬけな録音を『ソーサラー』に入れたのか。ホントにいまいましい。センス、ゼロです、テオ・マセロさん!!!

ちなみに、このセッションの残りの1曲は『ジングル・ベル・ジャズ』という身もふたもないコンピ盤に収められています。以下、マイルス自身の回想です(『マイルス・デイビス自叙伝2』より)

コロンビアは続いて、クリスマス・レコードを作ることを思いついて、ギルにアレンジを頼んだ。そこまではよかったが、ボブ・ドローという馬鹿げたボーカリストを入れて歌わせたほうがヒップだと考えやがった。ウェイン・ショーターのテナー、フランク・リハクというトロンボーン、ウィリー・ボボのコンガで、8月にレコーディングした。最悪のレコーディングだった。これについては話さなければ話さないほどいい。ただ、ウェインと初めて一緒にやれたし、彼のやったことは、すごく気に入った。


 

Miles Davis "Sorcerer"
(Columbia CL 2732 / CS 9532)

Miles Davis (trumpet) omit #2
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Fred Plaut, Ray Moore
Recorded at Columbia Studio B, NYC; May 16 (#5, 6), 17 (#3, 4), 1967
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; May 24 (#1, 2), 1967

#7
Bob Dorough (vocal)
Miles Davis (trumpet)
Frank Rehak (trombone)
Wayne Shorter (tenor sax)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)
Willie Bobo (bongo)

Recorded at Columbia Studio A, NYC; August 21, 1962

[Tracks]
01. Prince Of Darkness Wayne Shorter (music)
02. Pee Wee Tony Williams (music)
03. Masqualero Wayne Shorter (music)
04. The Sorcerer Herbie Hancock (music)
05. Limbo Wayne Shorter (music)
06. Vonetta Wayne Shorter (music)
07. Nothing Like You Fran Landesman, Bob Dorough (music and lyrics)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:21| Comment(1) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月02日

マイルス・デイヴィス『マイルス・スマイルズ』

miles_milessmiles.jpg

シカゴ、プラグド・ニッケルでの壮絶な果たし合いを経て、究極の高みへと達しつつあったマイルス・デイヴィス・クインテット。でも、すべてが順風満帆だったわけではありません。むしろ、プライヴェートな面では困難な時期を迎えていました。

1962年に父を、64年に母を失い、コカインに手を染めたマイルス。65年には、それが原因で妻フランシスさえ家を出ていきます(マーロン・ブランドとの浮気が新聞報道される、というダメージもあった)。みずからも股関節炎で手術、その後肝炎を患い一時離脱するなど、文字どおり心身ともにボロボロだったマイルスです。

同僚ウェイン・ショーターにも個人的な災厄がふりかかります。妻アイリーン(日本名テルコ)との離婚、そして父親の突然の交通事故死(どちらも1966年)。心にポッカリ空いたすきまを埋めるために、マイルスとウェインは夜な夜な酒を傾けたといいます。

ウェインはもともと孤独を好む人間で、ツアー中もメンバーと行動をともにすることはほとんどありませんでした。仕事が終わると一人でホテルの部屋に帰り、古い映画を観たり、本を読んだり、思索に耽ったりするのがウェインの日課でした。そのウェインがコニャックに溺れます。アルコールの影響はプレイにも現れ、メンバーの怒りを買ったといいます。

そんななか、20か月ぶりに訪れたスタジオで、傑作『マイルス・スマイルズ』が生まれます。ほとんどワン・テイクで録ったというのに驚くべき完成度の高さ。ウェインもマイルスも、悲しみに暮れるだけの男ではありませんでした。

ここには、ウェインの曲が3曲も収められています。〈オービット〉(軌道)。〈フットプリンツ〉(足跡)。そして、いとこの名をとったという〈ドロレス〉。ウェインの代表曲〈フットプリンツ〉の初出は、8か月前に吹きこんだリーダー作『アダムズ・アップル』ですが、アップテンポで演奏される本作のほうに強い愛着を覚えます。ちなみに、私のフリーランスの仕事の屋号は「フットプリンツ」です。

追記:タイトルについて

Miles は「マイルズ」と濁るのが正しい発音なので、本来なら『マイルズ・スマイルズ』となって、ダイレクトに洒落がわかる仕組みになっているのですが、そんなことが言いたいわけじゃありません。

「マイルスが笑う」って、変だと思いませんか? いや、マイルスだって人間だから笑うに決まっているのですが、ステージ上でも、いつもむっつりと押し黙り、「黙ってオレの歌を聴け」といわんばかりの傲慢さがマイルスの専売特許だったはず。その彼が「笑う」というのですから、これは一大事件です(笑)。

ジャケットを見ると、たしかにマイルスはニヤついています。だらしなく口を開け、目元も垂れ下がっています。この「笑い」が意味するのは何か。これこそ勝利の微笑みじゃないか、というのが私の解釈です。プラグド・ニッケルでのあからさまな謀反を抑え、バンドの主導権を取り戻した帝王マイルスの勝利の微笑み。

このアルバムでは、演ってることは相当激しいのに熱くならず、非常に均整のとれた音楽が展開されています。2曲目のマイルス唯一のオリジナル〈サークル〉なんか、まんま『カインド・オブ・ブルー』の世界です。メンバーの気持ちが冷めているわけじゃありません。彼らは内に熱い激情を燃やしている。でも、それをストレートに表出するのではなく、あくまでグループ表現のなかで自己の可能性を追求する。

表現したいという欲望とグループとしての統制。この両者が非常に高い次元でせめぎあい、極度の緊張を生む。このクインテットがほかのどのバンドとも決定的に違う、唯一無二の存在となったのは、このギリギリ感に負うところが大きいのではないかと思います(ついでにいうと、このギリギリのせめぎあいが最高潮に達し、爆発寸前までいったのが『ネフェルティティ』だと個人的には思っています)。

メンバーのあくなき表現欲をギリギリのところで統制するリーダー、マイルス。この統制力を手に入れた喜びが、はからずも微笑みとなって現れた。うがった見方だというのは百も承知。でも、そう考えたくもなるマイルスの奇妙な「笑い」なのでした。

 

Miles Davis "Miles Smiles"
(Columbia CL 2601 / CS 9401)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; October 24 (#1, 2, 4, 5), 25 (#3, 6), 1966

[Tracks]
01. Orbits Wayne Shorter (music)
02. Circle Miles Davis (music)
03. Footprints Wayne Shorter (music)
04. Dolores Wayne Shorter (music)
05. Freedom Jazz Dance Eddie Harris (music)
06. Gingerbread Boy Jimmy Heath (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月24日

『プラグド・ニッケルのマイルス・デイヴィス』

miles_atpluggednickel.jpg

1965年4月、持病の股関節痛が悪化したマイルスは手術を受けますが、術後の経過は思わしくなく、手術した側の脚を骨折したり、人工関節につけかえたりして、結局、回復までに半年もの時間を要することとなります。

その間、バンドのメンバーたちは、ブルーノートのセッションなどで糊口を凌ぎます。早くも65年3月にはハービーが『処女航海』を録り終え、同年8月にはトニーが『スプリング』を、10月にはウェインが『ジ・オール・シーイング・アイ』をそれぞれ吹き込んで、ボスの帰還に備えます。

マイルスの復帰は11月、フィラデルフィアのショーボートから。ニューヨークのカムバック公演はヴィレッジ・ヴァンガードで行われ、ベースは都合のつかなかったロン・カーターに代わって、レジー・ワークマンがつとめています。12月の下旬にはシカゴに移動して、プラグド・ニッケルで2週間のステージを行っています(このときはロン・カーターも参加)。

プラグド・ニッケルのマイルス・デイビス』。私がもっているのは、かつて「Vol. 1」として売り出されたものですが、「Vol. 2」があったり、「Cookin'」があったり、「More Cookin'」があったり、さらには「Highlights from」があったりして、ややこしいこと、このうえない。現在は、CD8枚組のコンプリート・ボックスが出ているので、収録曲のダブりが気になる人は、最初からそっちを買ったほうがいいかも。

さて、このライヴ。一聴して驚くのは、その激しさです。マイルスがもっともフリーに接近した瞬間の記録。ここには親分の帰還を祝福する雰囲気など微塵もありません。殺るか殺られるかという殺気がみなぎっています。実はこれ、マイルスに対するメンバーたちの謀反なんですね。

マイルス不在の間、彼らはただ待っていたわけではありません。新しいアイディアがどんどん湧いてくる。巷に吹き荒れるフリー・ジャズ旋風も気になる。『E.S.P.』で解き放たれた、真に創造的な音楽を希求する心がざわつきます。

ところが、ボスが帰ってきたとたん、かつてのレパートリーを演奏する日々に逆戻り。先の読める展開、予定調和の居心地のよさに、かえってメンバーたちの不満は高まります。もっと他のことができるはずだ、もっと新しい、もっと激しい何か。プラグド・ニッケルの楽屋で、トニーはメンバーに提案します。

「なあ、アンチ・ミュージック(反音楽)をやったらどうかな? 誰かに先の展開を読まれるようなプレイは、ぎりぎりまでやらないっていうことなんだけど、どう?」(『フットプリンツ:評伝ウェイン・ショーター』より。訳は新井崇嗣さん)

賽は投げられた。心の重しのとれた4人は集団即興演奏に突入します。驚いたのはマイルスです。「お前ら、いったい何をやってんだ!」マイルス怒りの一撃が響き渡ります。しかし、ここは下克上の世界。ボスの一喝にもひるまない反逆の闘士たちが、一丸となって燃え上がります。ああ〜、めっちゃ気持ちいい〜!

なにものにも束縛されない、ひたすら自由な音楽。伝統とアヴァンギャルドのギリギリのせめぎ合い。これこそ、究極のフリー・ジャズじゃないでしょうか。興奮してください。そして、圧倒されてください。それだけの音楽が、ここにはあります。

 

"Miles Davis At Plugged Nickel"
(CBS/Sony 23AP 2567)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Recorded live at Plugged Nickel, Chicago; December 23, 1965

[Tracks]
01. Walkin' Richard Carpenter (music)
02. Agitation Miles Davis (music)
03. On Green Dolphin Street Bronislaw Kaper (music) / Ned Washington (lyrics)
04. So What 〜 Theme Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 11:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月23日

マイルス・デイヴィス『E.S.P.』

miles_esp.jpg

1965年の正月、マイルスは新しいメンバーを率いて、『セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン』以来1年8か月ぶりにスタジオへと足を運びます。この時期マイルスはプロデューサーのテオ・マセロと絶交状態にあり(ギル・エヴァンスとのコラボ作『クワイエット・ナイト』の予定外の発売をめぐってケンカしていた)、ライヴ・レコーディングが続いたのはそのせいでもあったのですが、別の人間をプロデューサーに迎えてまでもマイルスをしてスタジオ入りの決断をさせたのは、やはりショーター加入の影響が大きかったはずです。

ショーターといえば、フレージングの新しさもさることながら、意表をつくメロディなのにどこか印象に残る、一風変わったオリジナル曲も大きな魅力のひとつです。コンポーザー・タイプのショーターの才能を引き出そうと思ったら、彼の自作曲にまさるものはないわけで、〈枯葉〉や〈ウォーキン〉といったライヴでおなじみのレパートリーからはうかがい知れない彼の凄みは、スタジオという閉ざされた空間のなかでこそ静かに燃え上がります。

「当時のウェインは、オレが知る限り、バードが書いたように何かを書いた、真に唯一の人間だった」とはマイルスの弁ですが、マイルスはショーターの作曲の才を愛していました。この『E.S.P.』からマイルスお得意のスタンダード曲が消え、メンバーのオリジナルばかりになったのも、偶然ではありません。

新しいクインテットには、可能性が詰まっていました。ロックの台頭で、ジャズはポピュラリティを失い、「食えない時代」になりつつありましたが、このアルバムが放つみずみずしさは、半世紀近く経ったいまも少しも損なわれてはいません。いかにもショーターらしく、奇妙にゆがんだ〈E.S.P.〉にはじまり、マイルス初の8ビート曲〈エイティ―・ワン〉、ハンコックの〈リトル・ワン〉と途切れなく続く冒頭の3曲。クールな情熱を封じ込めたこの3連発に、しびれます。

ジャケットでマイルスが見上げているのは、当時の奥さんのフランシス。でも、この写真が撮られた1週間ほどあとに、フランシスは家を出、2人の結婚生活は破綻します。マイルスは何を思ってこの写真をジャケットに採用したのでしょう。彼の「ESP(第六感)」がそうしろと囁いたのでしょうか。

余談ですが、私の高校以来の友人で、裏渋谷の名店ローディのオーナー、タニさんは好きなマイルス盤にこの『E.S.P.』をあげています。

 

Miles Davis "E.S.P."
(Columbia CL 2350 / CS 9150)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Irving Townsend
Recorded at Columbia Studio, Hollywood, CA; January 20 (#1, 4), 21 (#2, 3), 22 (#5-7), 1965

[Tracks]
01. E.S.P. Wayne Shorter (music)
02. Eighty-One Ron Carter (music)
03. Little One Herbie Hancock (music)
04. R.J. Ron Carter (music)
05. Agitation Miles Davis (music)
06. Iris Wayne Shorter (music)
07. Mood Ron Carter (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『マイルス・イン・ベルリン』

miles_inberlin.jpg

マイルスは執念の男でした。ほしいものは是が非でも手に入れる。けっしてあきらめない。そのしつこさはまさにストーカー並みです。ウェイン・ショーターに対するマイルスの執着ぶりは『マイルス・デイビス自叙伝2』や『フットプリンツ:評伝ウェイン・ショーター』にくわしく載っています。

話は1960年(59年?)、コルトレーン脱退時までさかのぼります。一本の電話がマイルスのもとにかかってきます。かけたのはウェインです。

「テナーを探しているそうですね。トレーンが僕を推薦したようですが」。ショックだった。「自分で見つけるさ!」と言って、ガチャンと切った。で、トレーンに会って言ってやった、「オレにあんなふうに電話してみろなんて、誰にも言うな。辞めたけりゃ辞めろ。だがヨーロッパから戻ってからにしたらどうだ」(『自叙伝2』より。訳は中山康樹さん)

素直に「ウン」と言えないマイルスです(笑)。でも、ここからマイルスのしつこい勧誘がはじまります。1961年、今度はマイルスからウェインにはじめて電話がかってきます。

ウェインが受話器を取ると、誰かが複雑なコード進行の曲を弾いているのが聞こえてきた。まるで僕が書いた曲みたいじゃないか。そう思いながらウェインは演奏に耳を傾け、その素晴らしさに魅了された。数分にわたって演奏が続いたあと、マイルスがついに口を開いた。「ギターはクソだな。そうだろ?」ウェインがこれに同意すると、マイルスが訊いてきた。「お前、今のところで満足してるのか?」「ベネディクト・アーノルドみたいな男を好きなやつはいませんよ」。それがウェインの答えだった。(『フットプリンツ』より。訳は新井崇嗣さん)

当時、ウェインは御大アート・ブレイキーのもとで研鑽を積んでいました。マイルスはジャズ・メッセンジャーズのステージに何度か足を運び、最前列に陣取って、食い入るような目つきでウェインを見ていたといいます。そのプレッシャー、いかばかりか。

そして、マイルスの求愛コールは続きます。最初は慎重を期してウェインの自宅へ。しかし、やがてそれでは我慢できなくなったマイルスは、大胆にも、ツアー中のメッセンジャーズの楽屋に電話をかけます。

電話に出たアートは、「ミスター・ショーター」に代わって欲しい、という声の主にすぐ気づいた。「デューイ、お前だろ?」アートが訊いた。マイルスは短気な性格を表に出して、大声でわめくこともできただろう。しかし、騒ぎを起こしたくはなかった。マイルスは冷静さを失わず、堂々とした物言いで会話を続けた。
「おいウェイン、マイルスがお前さんと話したいってよ」。アートは軽い口調でそう言うと、ウェインに受話器をぽんと手渡した。ところが、このバンドリーダーは急に興奮し出した。彼は部屋中を歩き回りながら、「マイルスはおれのテナー・プレイヤーを盗むつもりだ」と、呪文のように繰り返しつぶやき続けた。困ったウェインは通話口を手で覆い、声が漏れないようにしたという。(『フットプリンツ』より)

怖いですねえ。めちゃめちゃ怖いです。ブレイキーにぶん殴られると考えただけで卒倒もんです。しかし、幸いなことに殺傷沙汰は起きず(笑)、ウェインは1964年4月録音の『インデストラクティブル』を最後に独立、マイルスの行く手を遮るものはいなくなりました。

ウェイン・ショーターがジャズ・メッセンジャーズを辞めたという、待ちに待った知らせが入ってきたのは、ロサンゼルスにいる時だった。すぐにジャック・ウィットモアに電話して、ウェインに連絡するよう指示した。バンドの連中にもウェインに電話するように言ったが、それはみんなもオレと同じように、彼の演奏が大好きだったからだ。だからウェインには、オレ達全員からバンドへの参加を求める電話が殺到したはずだ。
とうとう彼から電話がかかってきた時には、オレは「飛んでこい!」と叫んだ。間違いなく来るように、しかも恰好もつけて来れるようにと、ファースト・クラスの切符を送ってやった。オレはそうまでしてウェインを入れたかったんだ。(『自叙伝2』より)

ようやく意中の人を口説き落としたマイルスの浮かれぶりが伝わってきます。ウェインの加入で、マイルスはついに完璧なバンドを手にします。トレーンの脱退から、すでに4年の歳月が経っていました。

マイルス・イン・ベルリン』はウェイン加入後、はじめて公式にレコーディングされたライヴ盤です。舞台はドイツ、かのベルリン・フィルのお膝元のホール。ウェインが仲間入りしてからまだ数週間しか経っていませんが、演奏のそこかしこに感じられる一体感はどうしたことでしょう? 60年代半ばを駆け抜けた「黄金のクインテット」の幕開けを飾るにふさわしい作品です。

 

Miles Davis "Miles In Berlin"
(CBS [Germany] SBPG 62976)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Recorded live at Philharmonie, Berlin; September 25, 1964

[Tracks]
01. Milestones Miles Davis (music)
02. Autumn Leaves Joseph Kosma (music) / Jacques Prevert (French lyrics), Johnny Mercer (English lyrics)
03. So What Miles Davis (music)
04. Walkin' Richard Carpenter (music)
05. Theme Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter Discography
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:17| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『マイルス・イン・トーキョー』

miles_intokyo.jpg

フリーでアヴァンギャルドなリズム感覚をもった神童トニーと伝統的なコード演奏を好んだサックス奏者ジョージ・コールマン。この2人は反りが合わなかったようで、コールマンがバンドを去るのは時間の問題でした。

ウェイン・ショーターの評伝『フットプリンツ』には、トニーやハービーらとコールマンの間に確執があったことをうかがわせるエピソードが載っています(訳は新井崇嗣さん)。

ジョージと他のメンバーとの間には、それからかなりあとになってもまだ憎しみの感情が残っていたという事実を示す逸話を、複数のミュージシャンが語ってくれた。ヴィレッジ・ヴァンガードで記念パーティが開かれた際、ハービー、ロン、トニーはトリオを再結成した。すると、バックステージにジョージ・コールマンがホーンを手に現れた。旧交を温め合おうと言うジョージに対して、ハービーの返事はひと言「あり得ないね」だった。普段のハービーの性格からはとても考えられないほど、冷たい態度だったという。

こうなると、純粋に音楽的な理由だけではなさそうですね。もしかしたら、『フォア&モア』のチャリティ・コンサートでのケンカ(「追記」に書いておきました)が遠因なのかもしれません。

コールマンの後任には、トニーの推薦で前衛派のサム・リヴァースが迎えられました。前衛派といっても、リヴァースはこのとき41歳。リーダーのマイルスよりも年上なんですね。

70年代ロフト・ジャズ・ムーヴメントの立役者の一人サム・リヴァース。1923年9月25日、オクラホマ州エル・レノ生まれ。1947年からマサチューセッツ州ボストンを拠点に活動し、1959年には当時ボストンにいた13歳のトニーを「発見」します。以来、父親代わりの存在になって、トニーを育てます。

そんな浅からぬ縁でマイルス・バンドに加わったリヴァースですが、彼が残した公式盤は、この『マイルス・イン・トーキョー』1枚だけ。かわいそうに、すぐにウェイン・ショーターに取って代わられる運命にあります。

1964年7月、マイルス・デイヴィスは初来日を果たします。ツアーの詳細はわかりませんが、音源が残っているのは、7月12日の日比谷野外音楽堂。1日おいて14日に、新宿の厚生年金会館。翌15日は、京都の八坂神社の裏にある円山公園野外音楽堂。このうち『イン・トーキョー』は厚生年金会館でのライヴです。

音楽性がかみ合なかったといわれるサム・リヴァースですが、実際のところはどうなんでしょう? 

3曲目〈ソー・ホワット〉。出だしはいつものマイルスです。もちろんフロントは独り占め。一瞬の静寂を切り裂く、鋭い音色ですね。開始3分、ソロがリヴァースに受け渡されます。いきなり調子が変わりましたね(笑)。なにやらおかしなフレーズが飛び出してきました。さすがにトニーは手慣れたものですが、ハ―ビーはどうでしょう。つづく自分のソロの出だしで、やや躊躇するそぶりが見られます。

こうして聴いてみると、多少問題はあるにしても、「合わない」というほどではないですねえ。リヴァースの摩訶不思議系フレーズは、たしかにマイルスの好みではないのでしょうが、ハービーもトニーも、フリーにもっとも接近した時期だし、もしウェインがいなければ、しばらくはこのメンツで活動したのではないでしょうか。

  

Miles Davis "Miles In Tokyo"
(CBS/Sony SONX 60064/23AP 2564)

Miles Davis (trumpet)
Sam Rivers (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Recorded by Kenichi Hanada
Recorded live at the Shinjuku Kohseinenkin Hall, Tokyo; July 14, 1964

[Tracks]
01. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics)
02. My Funny Valentine Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
03. So What Miles Davis (music)
04. Walkin' Richard Carpenter (music)
05. All Of You Cole Porter (music and lyrics)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sam Rivers]
Jazz Regend Sam Rivers (Official Website)
The Sam Rivers Sessionography and GIGography (by Rick Lopez)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『マイルス・イン・ヨーロッパ』

miles_ineurope.jpg

前作『セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン』でそろい踏みしたハービー、ロン、トニーのリズム・セクション。彼らの初の公式ライヴ盤『マイルス・イン・ヨーロッパ』は、マイルス怒濤のフリー・ブローイング時代の幕開けを飾る作品です。この時点での、メンバーの年齢を確認しておきましょう。

リーダーはもちろんマイルス・デイヴィス、37歳。
1926年5月26日、イリノイ州アルトン生まれ。
1991年9月28日、カリフォルニア州サンタモニカで死去。

テナーのジョージ・コールマン、28歳。
1935年3月8日、テネシー州メンフィス生まれ。

ピアノのハービー・ハンコック、23歳。
1940年4月12日、イリノイ州シカゴ生まれ。

ベースのロン・カーター、26歳。
1937年5月4日、ミシガン州ファーンデール生まれ。

ドラムのトニー・ウィリアムズ、17歳!
1945年12月12日、イリノイ州シカゴ生まれ。
1997年2月23日、カリフォルニア州デーリーシティで死去。

ボスのマイルスは別格として、ブッカー・リトルやフィニアス・ニューボーンと同じメンフィス・コネクション出身のコールマンが兄貴分で、トニーとハービーの若手二人がやんちゃ盛りの特攻隊、ロンがその押さえ役といった感じでしょうか。

マイルスは『自叙伝2』(訳は中山康樹さん)のなかで、トニーを手に入れた喜びをこう語っています。

トニーはメンバー全員をやたら燃え上がらせるんだ。ずっと気になっていた関節の痛みも忘れてしまうくらい、オレまで演奏に熱中させられた。トニーがいるこのバンドじゃ、なんでも望みどおりの演奏ができた。いつもトニーがバンドのサウンドの中心だった。トニーを中心に動きまわり、燃え上がった。本当にトニーは最高だった。(中略)トニーのことは、息子のように愛していた。トニーはサウンドに対して演奏していた。聴き取ったサウンドに適応できたんだ。とにかくヒップで洒落たドラムを叩いた。演奏の仕方を毎晩変えていたし、それぞれのサウンドに異なったテンポを叩き出していた。彼のやることすべてに油断なく注意を払っていないと、すぐに取り残されて、テンポもタイミングもサウンドも、まるで合わなくなってしまうほどだった。

えらいホメようです。でも、当時のバンドにおけるトニーの役割については、ハービーもインタビューに答えてこう語っています(ジャズ批評ブックス『定本ハービー・ハンコック』より。訳は高木宏真さん)

リズムに関しては、何たってトニーが凄いね。奴のリズム感はそれまでに無いモノだ。すごく刺激されるよ。(中略)そりゃ、練習したよ。随分練習した。先に言ったけど、その点はトニーが凄いからね。奴の家へ行って練習した。例えば、……ちょっと説明するのが難しいけど、ある複雑なスリリングで面白いリズム・パターンがある。トニーがやってみせるんだけど、僕にはちっとも出来なくてね(笑)。コンプレックスを持ったものだよ。そんなある時、マイルス・バンドでドイツに行ったんだ。ステージの上でトニーが例のリズム・パターンをフッてきた。僕もまた挑戦してみたら……「できた!」って叫びそうだった。練習の成果かどうか、とにかく急に出来るようになったんだ。

神童トニーを中心にまわりはじめたマイルス・バンド。ジョージ・コールマンが加わったクインテットはこの後、『フォア&モア』『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』という、ひと組の傑作ライヴを残します。

 

Miles Davis "Miles In Europe"
(Columbia CL 2183 / CS 8983)

Miles Davis (trumpet)
George Coleman (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded live at the Antibes International Jazz Festival, La Pinede, Juan-les-Pins, France; July 27, 1963

[Tracks]
01. Autumn Leaves Joseph Kosma (music) / Jacques Prevert (French lyrics), Johnny Mercer (English lyrics)
02. Milestones Miles Davis (music)
03. Joshua Victor Feldman (music)
04. All Of You Cole Porter (music and lyrics)
05. Walkin' Richard Carpenter (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: George Coleman]
George Coleman (Official Website)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:41| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月01日

マイルス・デイヴィス『セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン』

miles_sevenstepstoheaven.jpg

1962年の12月、その年のツアーの終了をもって、マイルスのレギュラー・バンドは解散します。当時のメンバーは、J.J. ジョンソン、ジミー・ヒース、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、ジミー・コブ。リズム・セクションの3人がそのままトリオを結成し、『ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリー・トリオ』で目の覚めるような快演を残したことは、前回触れました。

一方、残されたマイルスは、新たな人選に取りかかります。まず、トレーンの推薦でテナーのジョージ・コールマンが決まります。そのコールマンが連れてきたのが、同じメンフィス出身のアルトのフランク・ストロージャーとピアノのハロルド・メイバーン。ベースは、マイルス本人がアート・ファーマーのところからロン・カーターを引き抜きます。

残るはドラマー。マイルスの意中の人は出会ったばかりの神童(当時なんと17歳!)トニー・ウィリアムスでしたが、ジャッキー・マクリーンとの仕事が残っているということで、西海岸へのツアーでは、一時的にフランク・バトラーを雇います。

サンフランシスコのブラック・ホークでのパフォーマンスに満足できなかったマイルスは、ストロージャーとメイバーンをあっさり解雇、ピアノにイギリス出身のヴィクター・フェルドマンを迎えて、そのままレコーディングにのぞみます。それが『セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン』の半分(#1, 3, 5)、いわゆる LA セッション(1963年4月16日、17日録音)で、残りの半分(#2, 4, 6)はニューヨークに戻ってからメンバーもかえて録音されます(同年5月14日録音)。

なんでそんなことになったのかといえば、理由はかんたん、マイルスが LA セッションの出来に満足していなかったから。ニューヨークに戻れば待望のトニーが待っていたし、新たに才能あふれるピアニスト、ハービー・ハンコックを手に入れたマイルスは、なにかものすごいことが起こりそうな予感にうち震えます。

それはマイルスが久しく忘れていた感覚でした。エヴァンス、トレーン、キャノンボールが相次いで独立して以来、数年におよんだ停滞期は終わり、この作品からマイルスはふたたびシーンの最前線に躍り出ます。

というわけで、ここでの聴きものは、ハービー、ロン、トニーがはじめてそろい踏みしたNY セッションの3曲。とくに〈セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン〉と〈ジョシュア〉は、これからはじまる怒濤のライヴ・パフォーマンス時代の重要なレパートリーとなった曲ですから、聴き逃せません。

ところが、この2曲、作曲者名のクレジットを見ると、どちらもヴィクター・フェルドマンの名前が出てきます。LA に置いてきたはずのフェルドマンがなぜここに?

実は、上記の3曲は、フェルドマンが参加した LA セッションでも演奏されていたのです。ところが、その出来に飽き足らなかったマイルスは、ニューヨークに戻ってから、新しいメンバーでまったく同じ曲を録り直した。そして、非情にも、作曲者本人の演奏をボツにしたわけです。う〜ん、マイルスって人は、ほんとうに怖い(笑)。

でもまあ、フェルドマン(とバトラー)には悪いけれど、ハ―ビーとトニーでは、役者が違いすぎます。これは比べるまでもない。マイルスの下した結論のあまりの「正しさ」に、私ら凡人は、ただもうひれ伏すしかありません。

追記:
ジャズ批評ブックス『定本ハービー・ハンコック』には、ハービーがマイルス・バンドに誘われたいきさつを語ったインタビューが載っています(訳は高木宏真さん)。

ニューヨークのミュージシャン連中が「マイルスがニュー・バンドの為にキミを探してるよ」って言うけれど、信じられなかった。で、トニーまでが「マイルスがキミにTELするよ」。「ウソだい!」と言ったんだが、本当にTELして来たんだ。(中略)マイルスは「明日来い」っていって電話を切ったんだけど、住所を聞いてなかったんだよ(笑)。結局、トニーに聞いて行ったんだけどね。(中略)ジョージ・コールマン、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズ。マイルスは(2階に)上ったっきり降りて来なかった。次の日、またマイルスの家に行くと、ギル、フィリー・ジョーがいて、聴いていた。マイルスは降りて来て、2、3ノート吹いたら、また2階に上がっていっちまった。3日目、いくつかの新旧の曲をやってると、マイルスが降りてきて、「明日レコードを作る」って言うんだ。ショックだったね。この3日間、実はオーディションされていたんだ。


 

Miles Davis "Seven Steps To Heaven"
(Columbia CL 2051 / CS 8851)

Miles Davis (trumpet)
George Coleman (tenor sax) #2, 4, 6
Victor Feldman (piano) #1, 3, 5
Herbie Hancock (piano) #2, 4, 6
Ron Carter (bass)
Frank Butler (drums) #1, 3, 5
Tony Williams (drums) #2, 4, 6

Produced by Teo Macero
Recorded at Columbia Studio, Hollywood, CA; April 16 (#3, 5), 17 (#1), 1963
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; May 14 (#2, 4, 6), 1963

[Tracks]
01. Basin Street Blues Spencer Williams (music and lyrics)
02. Seven Steps to Heaven Victor Feldman, Miles Davis (music)
03. I Fall in Love Too Easily Jule Styne (music) / Sammy Cahn (lyrics)
04. So Near, So Far Tony Combie, Benny Green (music)
05. Baby, Won't You Please Come Home Clarence Williams (music) / Charles Warfield (lyrics)
06. Joshua Victor Feldman (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: George Coleman]
George Coleman (Official Website)
[Links: Victor Feldman]
Victor Feldman Discography (@ British Modern Jazz)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 17:27| Comment(2) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月30日

『ブラックホークのマイルス・デイヴィス1&2』

miles_inpersonfriday.jpg miles_inpersonsaturday.jpg

1961年の4月、サンフランシスコの老舗クラブ、ブラックホークを訪れたマイルスは不機嫌でした。

第一の原因は、ハンク・モブレーの存在。モブレーのもこもこしたテナーを、マイルスは好きになれませんでした(引用は『マイルス・デイビス自叙伝2』より。訳は中山康樹さん)。

ハンク・モブレーがイマイチだったから、音楽に飽きがきはじめていた。(中略)ハンクとの演奏は、オレの想像力を刺激しなかったし、およそ面白くないものだった。

原因の第二は、持病の関節炎。マイルスは当時、鎌形赤血球貧血を患っていて、左の尻の関節に耐えられない痛みがあり、それがイライラの原因だったといいます。

そして、最後の原因は、コロンビアがライヴ録音のためにたくさんの機材を持ち込み、スタッフがよってたかって音量のチェックなんかをしたから、調子が狂ってしまったと前掲書にはあります。

そんな悪条件のなか収録された音源は、2枚のアルバムにまとめられます。『ブラックホークのマイルス・デイビス Vol. 1』と『同 Vol. 2』がそれです(現在は『コンプリート・ブラックホーク』でも入手可能です)。

実はこれ、公式に発売されたマイルス初のライヴ盤なんですね。ブートレグ全盛の今でこそ、マイルスのライヴ盤なんて珍しくも何ともありませんが、当時は違いました。これ以前に録音されたオフィシャルのライヴ盤、たとえば『ジャズ・アット・ザ・プラザ』とか、『マイルス&モンク・アット・ニューポート』といったアルバムもあるにはあるのですが、陽の目を見たのは後年の話。ですから、リアル・タイムでマイルスを聴いていた人には、ある意味、衝撃の作品だったようです(邦盤ライナーより)。

では、肝心の演奏のほうはどうだったのでしょう? 悪くない? うん、悪くない。イケてる? うん、(モブレー以外は)けっこうイケてる。じゃあ、すごくよい? う〜ん、ピアノはね。

そうです、このアルバムはウィントン・ケリーを聴くためにあります。とくに『Vol. 2』の〈ソー・ホワット〉の後半で聴けるケリーのロング・ソロにはしびれます。カッコいい〜!

モブレーの冗長なソロには耳をふさいでガマン、ガマン(笑)。絶好調のケリーはその後に出てきます(モブレーの演奏が気に入らなかったマイルスは、自分のソロが終わると、次の出番までステージを降りたといいます。モブレーのソロが異様に長いのは、そのせいもありそうです。オリジナルではカットされていたというのも、ひとつの見識でしょう!)。

マイルスだって悪いわけではありません。でも、ハービー、ロン、トニーのリズム・セクションを従えた63年から64年の怒濤のライヴ盤を知ってしまったあとでは、どうしたって見劣りします。それはしかたない。

この『ブラックホーク』は、64年の『フォア&モア』よりも、56年のマラソン・セッションに近い演奏だという気がします。それくらい、停滞していたわけです。マイルスが新しいメンバーを物色しはじめるのに、それほど多くの時間はかかりませんでした。

 

 

 

"Miles Davis In Person: Friday Night At The Blackhawk"
(Columbia CL 1669 / CS 8469)
"Miles Davis In Person: Saturday Night At The Blackhawk"
(Columbia CL 1670 / CS 8470)

Miles Davis (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Recorded live at The Blackhawk, SF; April 21, 22, 1961

[Tracks: Friday Night]
01. Walkin' Richard Carpenter (music)
02. Bye Bye Blackbird Ray Henderson (music) / Mort Dixon (lyrics)
03. All Of You Cole Porter (music and lyrics)
04. No Blues Miles Davis (music)
05. The Theme [Bye Bye] Miles Davis (music)
06. Love, I've Found You C. Moore, D. Small

[Tracks: Saturday Night]
01. Well, You Needn't Thelonious Monk (music)
02. Fran Dance Miles Davis (music)
03. So What Miles Davis (music)
04. On Green Dolphin Street Bronislaw Kaper (music) / Ned Washington (lyrics)
05. Oleo Sonny Rollins (music)
06. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics)
07. Teo [aka. Neo] Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 17:22| Comment(2) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』

miles_somedaymyprincewillcome.jpg

1959年の3月と4月、スタジオにビル・エヴァンスを呼び寄せて、2人の共同作業とでもいうべき『カインド・オブ・ブルー』を収録した後、マイルスはウィントン・ケリーを含むセクステットを率いて、いつものクラブ巡りを再開します。キャノンボールにコルトレーン、そしてマイルスという、リーダー格を3人もそろえたバンドの人気は凄まじく、連日連夜、立ち見が出るほど盛況だったばかりか、有名人も多数来店、マイルスも得意の絶頂にありました。

そんなある日、事件は起きます。1959年8月25日、バードランドへの出演を終えたマイルスは、店の前で立っていました。そこにやってきた白人の警官がいきなり「そこをどけ」。マイルス、怒りを抑えながら「どけだと? どうしてだ?」。「どけと言ったらどけ。動かないなら逮捕するぞ」とすごむ警官。ところが、その警官はマイルスの気迫に押されて、物を落とします。

そこへ、別の白人警官が走ってきて、マイルスの頭を一発ガツン! 血がしたたり落ちます。人種暴動みたいな騒ぎになって、あたりは騒然とします。公務執行妨害と暴行罪で逮捕されたマイルスは翌朝まで勾留され、結局、裁判で無罪を勝ち取るまで2か月もの時間を要しました。

キャバレーカードも没収されたマイルスは、ニューヨークのクラブに出演できなくなりました。かねてより、弟とバンドを組もうと考えていたキャノンボールは9月の終わりにあっさり独立、コルトレーンも翌60年の3、4月に行われた欧州ツアー後、自分のバンドを結成するために、マイルスのもとを離れます。

テナーの座はその後、ジミー・ヒース、ソニー・スティットと受け継がれ、1961年のはじめには、ハンク・モブレーがその座につきました。同年3月録音の『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』は、レギュラー・クインテットに旧メンバーのトレーンを加えて収録されました。

とかく前進あるのみ、というイメージがあるマイルスですが、唯一この時期だけは、やや後退した感じがするのは、メンバーによるところが大きいと思います。次々とバンドを去ったエヴァンス、キャノンボール、トレーンは、その後数年間で歴史に名を残す偉業を成し遂げていますが、それと比べてしまうと、モブレー&ケリーはどうしても分が悪い。それは、モブレー&ケリーが悪いとか下手とか、そういうことではなくて、60年代初頭のエヴァンス、トレーンと比べて見劣りしないジャズメンなど、ほとんどいないということです(唯一の例外がオーネット、少し遅れてドルフィーあたりでしょうか)。

じゃあ、このアルバムの出来はひどいのかといえば、そんな心配はまったく無用です。だって、マイルスが吹く〈いつか王子様が〉、聴きたいでしょう? マイルスはいつだって女を口説かせたら天下一、なのです。

ジャケットを飾るのは、当時の奥さんフランシス。「オレはフランシスの『プリンス』でもあったから当然だろ?」とはマイルスの弁ですが、彼女に捧げた2曲目の〈プフランシング〉(別名〈ノー・ブルース〉のほうが有名ですね)というオリジナルとともに、色男マイルスらしいエピソードです。

一聴すると、レッド・ガーランド時代のマイルス・クインテットに逆戻りした感じがしますが、そこはそれ、マイルスのことですから、ただの懐古趣味で終わるはずがありません。ディズニー映画『白雪姫』のおとめチックな主題歌を大の男がよってたかって演奏するという図は笑ってしまいますが、こういう曲を演らせたら、マイルスのミュートはサイコーです。

ウィントン・ケリーの跳ね馬のようなピアノも、心なしかチャーミングに聴こえてくるから不思議です。野暮ったいモブレーのテナーは、ここでは不要か。もっとゆったりとしたテンポのほうが、よさが生きる気がします。むしろ、吹きすぎのトレーンのほうが、しっくりきています。やはり、マイルス・バンドは50年代よりも進化している。トレーンもまた然り、です。

そして、スパニッシュ・タッチの5曲目〈テオ〉。59年末、作編曲家ギル・エヴァンスとのコラボレーションで『スケッチ・オブ・スペイン』をものにしたマイルスですが、この曲でふたたびスペインの情景を鮮やかに描き出します。マイルスがいいのは当たり前ですが、トレーンが意外なほどこの曲にハマっているのが聴きどころ。

4曲目〈ドラッド・ドッグ (Drad-Dog)〉を逆に綴ると「Goddard」。これ、当時のコロンビア社長ゴダード・リーバーソンの名前からきています。

 

Miles Davis "Someday My Prince Will Come"
(Columbia CL 1656/CS 8456)

Miles Davis (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax) except #5
John Coltrane (tenor sax) #1, 5
Wynton kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded at Columbia 30th Street Studios, NYC, March 7 (#3, 4), 20 (#1, 2), 21 (#5, 6), 1961

[Tracks]
01. Someday My Prince Will Come Frank Churchill (music) / Larry Morey (lyrics)
02. Old Folks Willard Robinson (music) / Dedette Lee Hill (lyrics)
03. No Blues (aka. Pfrancing) Miles Davis (music)
04. Drad-Dog Miles Davis (music)
05. Teo Miles Davis (music)
06. I Thought About You Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Mercer (lyrics)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:10| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月26日

『マイルス&モンク・アット・ニューポート』

miles_miles&monkatnewport.jpg

マイルスは『自叙伝』(宝島社文庫)のなかで、ビル・エヴァンスが自分のバンドを去った理由について、こう述べています(訳は中山康樹さん)。

ビルがバンドを去る原因になったいくつかの事柄に、オレは本当に腹を立てた。たとえば、バンドにいるたった一人の白人というだけで、何人かの黒人連中がした仕打ちだ。ジャズ界最高のバンドで、ギャラも最高なんだから、黒人のピアニストを雇うべきだなんて考えてる野郎がたくさんいたんだ。もちろん、オレはそんなことにかまっちゃいない。いつだって最高のミュージシャンが欲しいだけだ。黒だろうが白だろうが、青でも赤でも黄でも、なんだっていい。オレの望むことを演奏できるミュージシャンなら、それだけで良かった。肌の色が原因で、ビルに馬鹿げたことが起きていて、居心地が悪いってことはわかっていた。奴はとても傷つきやすい人間だったから、連中が奴を嫌な気分にさせるのは簡単なことだった。それに、ビルの演奏は繊細すぎてスピード感や激しさが足りないと言う連中もいた。こんなことやツアーの問題やらで、自分の音楽ができる自分のバンドをやりたいという気持ちが強くなってしまったんだ。

黒人主体のジャズの世界で、白人のエヴァンスが観客のみならず、他のメンバーからも逆差別を受けたというのは、おそらく本当のことでしょう。傷つきやすい心をもったエヴァンスがそれを苦にしたことも、想像に難くありません。事実、エヴァンスはグループを脱退後、しばらく両親のもとに帰って心の傷を癒します。

でも、それだけではないと思うんですね。純粋に音楽的な意味でも、ほかのメンバーと相容れないものがあったのではないか、と。

よく知られるように、マイルスのバンドは、スタジオとライヴではまったく別の顔をもっていました。『1958マイルス』のほどよく抑制されたクールな味わいも、『カインド・オブ・ブルー』の奇跡のような完成度も、スタジオという空間のなかでしか成り立ちえないものでした(このことは、のちに「新主流派」と呼ばれる音楽が、ブルーノートのアルフレッド・ライオンが仕切ったヴァン・ゲルダー・スタジオでしか成立しなかったこととよく似ています)。

エヴァンスがこのバンドで真の実力を発揮するには、唯一の理解者、マイルスの協力が不可欠でした。マイルスがすべてを仕切り、メンバー全員を意のままに操ることができたスタジオだからこそ、ふたりの魂の出会いが、見事な「結晶」として記録されたのです。

しかし、ライヴでは別の要素が大きく作用します。オーディエンスの反応です。こればっかりは、いかにマイルスとて、どうしようもありません。しかも、観客の熱狂なしに、ライヴの成功はありえない。だから、どうしても盛り上がるナンバーが中心になるわけです。ところが、エヴァンスときたら、スピーディーな演奏も、泥臭いブルースも、得手とはいえません。好きでもない音楽を、来る日も来る日も人前で演奏する日々。これは堪えます。エヴァンスじゃなくても、人生をリセットしたくなるはずです。

たとえば、この『マイルス&モンク・アット・ニューポート』。ここには、エヴァンスを含むマイルス・セクステットが出てきます。そして、この演奏を聴くと、私は哀しくなるのです。メンバーはまったく同じなのに、ここには、『カインド〜』の「カ」の字も感じられません。あの幽玄な響きを求めてこのアルバムを手に取ると、あまりのフツーさに、きっとがっかりするでしょう。

でも、これが普段着のマイルス・バンドの姿だったはずです。スタジオに籠るのは、年にわずか数日。きわめて非日常的な時間なわけで、ふだんの彼らはツアーに出て、アメリカのどこかで演奏していました。だから、ライヴをおこなっている彼らこそ、日常なのです。その日常に、まったく溶け込めていないエヴァンス。「らしさ」が顔を出すのはほんの一瞬だけです。あとは、別にエヴァンスじゃなくてもいいというよりも、むしろ、ノリのいい黒人を連れてきたほうがいいのでは、と黄色人種の私でさえ思ってしまいます。

エヴァンスはこの後、『ジャズ・アット・ザ・プラザ』というこれまた中途半端な作品を残して、マイルスのバンドを去ります。自分の音楽を取り戻すためにエヴァンスがマイルスのもとを去ったのも、『カインド〜』を録るためにマイルスがエヴァンスを呼びもどしたのも、どちらもよくわかります。スタジオのなかだけで生み出される、ふたりの魂の交わり。しかし、それは永続性のない、非日常の一瞬なのでした。

ところで、このアルバム、タイトルからすると、マイルスとエヴァンスの共演のようにも見えますが、とんでもない! マイルスは1958年夏のニューポート・ジャズ・フェスティバル、モンクは1963年夏の同フェスティバルに出演したときの模様をカップリングしただけの話です。モンクはいらん、マイルスだけがほしいんだ、というファンには、米コロンビアから『Miles Davis at Newport 1958』というCDが出ています。でも実は、ピー・ウィー・ラッセルをゲストに迎えたモンク・カルテットのほうが聴きものだったリするので、要注意。

 

Miles Davis, Thelonious Monk "Miles & Monk At Newport"
(Columbia CL-2178/CS-8978)

Disc 1:
Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderlay (alto sax)
John Coltrane (tenor sax)
Bill Evans (piano)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Recorded live at the Newport Jazz Festival; July 3, 1958

Disc 2:
Pee Wee Russell (clarinet)
Charlie Rouse (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
Butch Warren (bass)
Frankie Dunlop (drums)

Recorded live at the Newport Jazz Festival; July 4, 1963

[Tracks: Disc 1]
01. Introduction
02. Ah-Leu-Cha Charlie Parker (music)
03. Straight, No Chaser Thelonious Monk (music)
04. Fran-Dance Miles Davis (music)
05. Two Bass Hit Dizzy Gillespie, John Lewis (music)
06. Bye Bye Blackbird Ray Henderson (music) / Mort Dixon (lyrics)
07. The Theme Miles Davis (music)

[Tracks: Disc 2]
01. Introduction
02. Criss-Cross Thelonious Monk (music)
03. Light Blue Thelonious Monk (music)
04. Nutty Thelonious Monk (music)
05. Blue Monk Thelonious Monk (music)
06. Epistrophy Thelonious Monk (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-Vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Bill Evans]
The BILL EVANS Webpages
Bill Evans's Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 16:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月24日

マイルス・デイヴィス『1958マイルス』

miles_1958miles.jpg

池田満寿夫さんのジャケットが印象的な日本編集盤『1958 マイルス』です。このうち、1曲目から3曲目までは、もともと『死刑台のエレベーター』のサントラ盤といっしょに『Jazz Tracks』(Columbia CL-1268) というアルバムに収められていました。

さて、このアルバムは、なんといっても、ビル・エヴァンスの初参加に話題が集中します(ドラマーもジミー・コブに変わったんですけどね)。マイルスとエヴァンスのスタジオ共演作は、本作とそれに続く大名盤『カインド・オブ・ブルー』、それにフランス人アーティスト、ミッシェル・ルグランの一夜の夢『ルグラン・ジャズ』の3枚しかないと聞けば、そのありがたみがわかろうというものです。

マイルスがエヴァンスを自分のバンドに迎えたのは、ジョージ・ラッセルの推薦があったからだといわれています。そのあたりの事情を、ラッセル本人に語ってもらいましょう。引用は『ビル・エヴァンス―ジャズ・ピアニストの肖像』(水声社、訳は相川京子さん)より。

マイルスは自分のバンドがしばしば代理演奏者を起用せざるを得ない状況にあることに困って、私にいいピアニストを知らないか訊ねてきたんだ。私はビルを推薦した。
「そいつは白人か?」マイルスが訊いてきた。
「そうさ」と私。
「眼鏡をかけているか?」
「ああ」
「そいつなら知っている。バードランドで聴いたことがある――かなりの腕前だ。木曜の晩にブルックリンのコロニー・クラブに連れて来てくれ」
(中略)私はビルに電話して、バリー・ガルブレイスと一緒に私のフォルクスワーゲンに乗せ、クラブまで連れていった。(中略)ファースト・セットの後、ビルが代わってピアノを弾いた。演奏が終わると、マイルスが言ったんだ。「雇うことに決めた」

もっとも、エヴァンスにいわせると、マイルスから直接電話があり、「気絶しそう」になったということですが(前掲書より)、エヴァンスの記憶のあいまいさはよく知られるところなので、ここは話半分に聞いておいたほうがよさそうです(笑)。

それはさておき、『1958マイルス』です。冒頭の〈オン・グリーン・ドルフィン・ストリート〉。最初のエヴァンスのソロを聴いただけで、このアルバム、「アタリ」の予感がします。そこに寄り添うように入ってくるマイルスの軽やかな旋律。流れるような展開に、もううっとりです(笑)。無骨なトレーンや太っちょのキャノンボールまで、やさしく微笑んでいるようです。

マイルスの繊細な音色が印象的な〈フラン・ダンス〉。エヴァンスはバックでコードを弾いているだけですが、この美しすぎる音色は、エヴァンスならでは。マイルスがエヴァンスを呼び寄せたのには、やっぱり理由があったんだと大納得です。

これ以上ないほどゆったりと演奏された〈星影のステラ〉。ここではマイルスとエヴァンスの2人だけの世界がくり広げられています。なんという親密さ。赤の他人の私が聴いても嫉妬を感じます。その2人の仲を切り裂くように登場するトレーン。以前の彼ならせっかくのムードが台無しになるところですが、トレーンも大人になりました(笑)。抑制の効いた感情表現に、彼の成長を感じます。

実は、この〈ステラ〉。2つのテイクをつなげてできているそうです。『Legendary Session 1958/1961』(So What) というアルバムには、この曲でテイクを重ねる様子が30分近くにわたってノーカットで収録されているそうです。アマゾンにはないようですが、くわしくは、中山康樹さんの『エヴァンスを聴け!』(ロコモーションパブリッシング)をご覧ください。

『ジャズ・トラックス』には収録されていなかった〈ラヴ・フォー・セール〉。エヴァンスの回想によると、抑え気味の演奏にイライラしていたチェンバースとコブのためになにか派手な曲を、ということで、マイルスがいきなり後ろをむいて、〈ラヴ・フォー・セール〉といって演奏をはじめたのだそうです。

5曲目のジャッキー・マクリーン作〈リトル・メロネー〉のみ、明らかに「音」が違います。これ、実は55年10月26日に行われた、マイルスのコロンビア初レコーディングのときの音源なんですね(この日の録音からは、〈アー・リュー・チャ〉1曲だけが移籍第1弾『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に収録された)。

じゃあ、なんで『1958マイルス』に入っているかというと、マイルスは1958年にもこの曲を録音していて、どうもそちらと間違えたのではないか、と(笑)。前回アップした『マイルストーンズ』の2回目のセッション(58年3月4日)では、たしかに〈リトル・メロネー〉を録音しています。でも、この音は、とてもじゃないけれど、58年の音には聴こえません。わずか3年の間に、マイルスのバンドはここまで進化していたという証拠みたいな誤りです。



Miles Davis "1958 Miles"
(CBS/Sony SOPL-140)

Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderley (alto sax) except #3, 5
John Coltrane (tenor sax)
Bill Evans (piano) except #5
Red Garland (piano) #5
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums) except #5
Philly Joe Jones (drums) #5

Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; May 26, 1958 (#1-4)
Recorded at Columbia Studio D, NYC; October 26, 1955 (#5)

[Tracks]
01. On Green Dolphin Street Bronislaw Kaper (music) / Ned Washington (lyrics)
02. Fran Dance Miles Davis (music)
03. Stella By Starlight Victor Young (music) / Ned Washington (lyrics)
04. Love For Sale Cole Porter (music and lyrics)
05. Little Melonae Jackie McLean (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Miles Davis (@ allmusic.com)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-Vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Bill Evans]
The BILL EVANS Webpages
Bill Evans's Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 15:43| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『マイルストーンズ』

miles_milestones.jpg

マイルスの第1次黄金のクインテットは、1956年のマラソンセッションを最後に、スタジオから遠ざかります。重度のジャンキーに陥ったフィリー・ジョーとコルトレーンにかえて、テナーにロリンズ、ドラムにアート・テイラーを迎えたりして、ライヴ活動は続行しますが、マイルスの関心はすでにその先にありました。

57年には、ギル・エヴァンスとの一連のコラボレーションの端緒となる『マイルス・アヘッド』を吹きこみますが、これはオーケストラとの共演で、ピアニストは不参加。今は「マイルスのもとに去来したピアニスト」をたどる旅の途中なので、今回はとりあげません。

57年の暮れには、トレーンとフィリー・ジョーが戻り、アルトのキャノンボール・アダレイを加えたセクステットが始動。そのままツアーに出てバンドの熟成をはかり、翌58年の2月4日と3月4日の2回に分けて、モード時代の幕開けを告げた『マイルストーンズ』を録音します。

このアルバムは、なにはともあれ、LP のB面にあたる4曲目〈マイルストーンズ〉から聴いてください。頭から順に聴くと、このアルバムの新しさは伝わってこない。モード・ジャズといっても、最初からすべてができあがっていたわけでなく、この時期はまだ手探り状態。この曲だけは、今までにない新しさをストレートに感じることができます。

ところで、モードとはなんぞや。以下、引用は『マイルス・デイビス自叙伝2』より(訳は中山康樹さん)。

モードというのは、各音階、各音符から始まる7音のことだ。短音程の各音符から始まる音階とも言える。(中略)オレがモード奏法から学んだのは、限界がないってことだ。より多くのことが音列でできるから、和声進行といったようなことに悩まなくていいんだ。
モード奏法の演奏で大事なことは、旋律的にどれだけ創造的になれるかだ。コードに基づいてやるのとは違うから、32小節毎に、さっきやったことに変化をつけて繰り返すなんてこともなくなった。オレは、ワンパターンの演奏から遠ざかりつつあったし、もっと旋律的な方向へと向かっていた。だからモード手法に大きな可能性を感じたんだ。

楽器をやらない私には、わかったようなわからないような説明ですが、要は、演奏するときの音選びの自由度が飛躍的に増す、といったことでしょうか? こむずかしいことはさておき、ハードバップ時代のマラソンセッションを聴いたあとなら、絶対にこの「新しさ」はわかります。なにか違うぞ、と。この「なにか違うぞ」感こそがモードなんだと私は勝手に解釈しています(笑)。

ところで、2曲目の〈シッズ・アヘッド〉では、珍しくマイルスがピアノも弾いています。『マイルス・デイビス自叙伝2』によると、レコーディングの途中でレッド・ガーランドが怒って帰ってしまったとありますが、有名なマイルス・サイト Miles Ahead のSession Details を見ると、1958年3月4日のセッションでは、最初に〈シッズ・アヘッド〉が演奏され、レッド・ガーランドは遅れてきた、とあります。さて、真相はどっちでしょう?

いずれにしろ、モード時代に突入したマイルスにとって、ガーランドは「最適」なピアニストではなくなってしまいました。そこで、彼は次なるピアニストを探します。みなさんお待ちかね(?)、ビル・エヴァンスの登場です。

 

Miles Davis "Milestones"
(Columbia CL-1193/CS-8633)

Miles Davis (trumpet, flugelhorn #4, piano #2) except #5
Cannonball Adderley (alto sax) except #5
John Coltrane (tenor sax) except #5
Red Garland (piano) except #2
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; February 4 (#3-6), March 4 (#1, 2), 1958

[Tracks]
01. Dr. Jekyll Jackie McLean (music)
02. Sid's Ahead Miles Davis (music)
03. Two Bass Hit Dizzy Gillespie, John Lewis (music)
04. Milestones Miles Davis (music)
05. Billy Boy (traditional)
06. Straight, No Chaser Thelonious Monk (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-Vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:16| Comment(0) | TrackBack(1) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月25日

セロニアス・モンク『モンクス・ドリーム』

monksdream.jpg

1961年、セロニアス・モンクに転機が訪れます。ブルーノート、プレスティッジ、リヴァーサイドと、ハードバップの三大レーベルを渡り歩いてきたモンクが最後にたどり着いたのは、メジャーレーベル、コロンビアでした。十分な予算と時間が与えられたモンクは、1日2曲しか吹きこまないという贅沢な環境で、移籍第一弾『モンクス・ドリーム』を完成させます(1962年10月31日、11月1日、2日、6日録音)。

モンクの音使いは相変わらず奇妙ですが、難解さ、近寄りがたさはほとんど感じられません。いや、むしろ非常にわかりやすい。演奏にメリハリが利いていて、ノリもテンポも心地いいです。これは、モンク流の「ポップス」ではないでしょうか。精神の安定がもたらした気力の充実が、いい方向に働いているようです。

歯切れのよいモンクのピアノも聞きものですが、驚いたのは、チャーリー・ラウズの成長ぶりです。昨日アップした『5・バイ・モンク・バイ・5』では、モンクとぶつからないことで相性のよさを示していましたが、ここでは一歩進んで、モンクと同化しつつあります。ここ数年の共演で、すっかりモンクの音楽性を消化したようで、音使いまでモンクのそれに酷似してきているのです。〈モンクス・ドリーム〉や〈ブライト・ミシシッピ〉におけるラウズのソロを聞けば、わかってもらえるはずです。

チャーリー・ラウズの代表作というと、ポール・クイニシェットとテナー・バトルをくり広げたベツレヘム盤『ザ・チェイス・イズ・オン』か、エピック盤『ヤー!』あたりだと思うのですが、ラウズのかすれ気味の色気のあるテナーの音色に聞き惚れることはあっても(いや、ホントにいい音です。未聴の方はぜひ!)、ラウズの音使いに「奇妙」なところはいっさい感じられません。ごくごくオーソドックスな吹き方だと思うのです。

それが、このアルバムでは、モンクのような奇妙にゆがんだ音選びが板についています。モンクとラウズは12年の長きにわたって行動をともにしますが、この「同質化」があったからこそ、続いたんだと思います。逆にいうと、それがモンクの作品から刺激を奪い、マンネリ化という批判を浴びることになるのですが、少なくとも、この『モンクス・ドリーム』については、その批判は当たりません。やっぱり、気持ちいいですから。このポップな感じは。

 

Thelonious Monk "Monk's Dream"
(Columbia CL 1965 / CS 8765)

Charlie Rouse (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
John Ore (bass)
Frankie Dunlop (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded in NYC; October 31 (#5, 7), November 1 (#2, 3), 2 (#1, 6), 6 (#4, 8), 1962

[Tracks]
01. Monk's Dream (music: Thelonious Monk)
02. Body And Soul (music: Thelonious Monk)music: Johnny Green / words: Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton
03. Bright Mississippi (music: Thelonious Monk)
04. Blues Five Spot (music: Thelonious Monk)
05. Blue Bolivar Blues (music: Thelonious Monk)
06. Just A Gigolo (music: Thelonious Monk)music: Leonello Casucci / Julius Brammer [German], Irving Caesar [English]
07. Bye-Ya (music: Thelonious Monk)
08. Sweet And Lovely (music: Thelonious Monk)music+words: Gus Arnheim, Harry Tobias, Jules Lemare

[Links: Thelonious Monk]
THE MONK ZONE: The Official Thelonious Sphere Monk Website
The Thelonious Monk Website
Thelonious Monk Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月22日

『ザ・ジャズ・メッセンジャーズ』

thejazzmessengers.jpg

話をジャズ・メッセンジャーズ(JM)に戻しましょう。ケニー・ドーハムがジャズ・プロフェッツ結成のために抜けた穴を埋めたのは、ドナルド・バードでした。コロンビア盤『ザ・ジャズ・メッセンジャーズ』には、JM 解散直前の模様が記録されています(1956年4、5月録音)。

このアルバムでは、ハードバップ期を代表する2人のコンポーザー、ホレス・シルヴァーのオリジナル2曲と、ハンク・モブレイのオリジナル3曲が演奏されています。

モブレイ作の1曲目〈インフラ・レイ〉は、のちにシカゴ出身のテナー奏者クリフ・ジョーダンのマネージャーをつとめることになる女性レイ・リスナー(Rae Lissner)に捧げられた曲。ケニー・ドーハムにも〈エイジアティック・レイズ〉という曲がありますが(別名〈ロータス・ブラッサム(蓮の花)〉のほうが有名ですね。例の『静かなるケニー』で演奏されています。〈エイジアティック・レイズ〉というタイトルでは、ソニー・ロリンズが『ニュークス・タイム』で演奏しています)、これも同じ女性に捧げられたものだといいます。

シルヴァーの代表曲ともなった2曲目〈ニカの夢〉は有名なパトロン、ニカ男爵夫人(Baroness Nica de Koenigswarter)に捧げられた曲で、この曲の初演でもあります。チャーリー・パーカーの最期を看取った人として知られていますが、食えないジャズメンに愛の手を差し伸べた人として、彼女ほど名前入りの曲を贈られた女性もいないのではないでしょうか。いちばん有名なのはこの〈ニカの夢〉ですが、他にも、セロニアス・モンクの〈パノニカ〉(『ブリリアント・コーナーズ』収録)、ジジ・グライスの〈ニカズ・テンポ〉(『ニカズ・テンポ』収録)、ソニー・クラークの〈ニカ〉(タイム盤『ソニー・クラーク・トリオ』収録)、などがあります。

5曲目の〈キャロルズ・インタールード〉のキャロルさんは、残念ながら誰だか知りません。というか、このアルバムは、もしかしたら女性への「メッセージ」だらけなのでしょうか??? だとしたら、5曲目〈ジ・エンド・オブ・ラヴ・ア・ラヴ・アフェア〉(情事の終わり)は、気の利いた洒落なのかもしれません(笑)。

ちなみに、4曲目〈エカロー(Ecaroh)〉は作曲者のホレス(Horace)のスペルを逆から読んだものです。愛の秘め事とは、あんまり関係ないですね(笑)。



"The Jazz Messengers"
(Columbia CL 897)

Donald Byrd (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Doug Watkins (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by George Avakian
Recorded by Tony Janick
Recorded live at Columbia 30th Street Studio, NYC; April 6 (#1-3, 5-6), May 4 (#4, 7), 1956

[Tracks]
01. Infra-Rae (music: Hank Mobley)
02. Nica's Dream (music: Horace Silver)
03. It's You Or No One (music: Jule Styne / words: Sammy Cahn)
04. Ecaroh (music: Horace Silver)
05. Carol's Interlude (music: Hank Mobley)
06. The End Of A Love Affair (music+words: Edward C. Redding)
07. Hank's Symphony (music: Hank Mobley)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop (by Harvey Bloomfield)
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月29日

マイルス・デイヴィス『オン・ザ・コーナー』

onthecorner.jpg

フリーで仕事をしていると、版元さんが休む年末年始に仕事をして年明け入稿というのが毎年恒例のパターンなのですが、今年はめちゃキビしいです。非常に手のかかる原稿が1本、ホントに終わるのでしょうか?

そんなわけで、みなさんの期待を裏切り続けているわけですが(見にきてくれたみなさん、ごめんさない)、いくらなんでも年内にはマイルス特集を終えないと次に行けないので、『オン・ザ・コーナー』のご紹介といきましょう。

『オン・ザ・コーナー』は、ジャケットの雰囲気そのままの作品です。意図的に歪められた音が、奇妙なうねりを生み出しています。奇妙? そう、奇妙というか、ヘンテコな音楽です。でも、このヘンテコ感がたまらない。クセになります。こんなもの、理屈で聞いてもしょうがありません。身体で感じてください。

個人的には、5曲目〈ブラック・サテン〉から聞くことをすすめます。手拍子が生み出すこの奇妙なリズムに、調子っぱずれなマイルスのワウワウ・トランペット。ヘンテコリンなんだけど、妙に粘っこい。歪められた音が脳ミソをグニャグニャにしてくれます。ムンクの「叫び」のように、目の前がグニャグニャと曲がり、そのとらえどころのなさが、不安ではなく、かえって快感につながるという奇妙な感触。ヘヴィロテ間違いなしの中毒性の高い音楽です。

続く〈ワン・アンド・ワン〉では、マイケル・ヘンダーソンのこれまた歪んだベースが炸裂します。この曲を聞いて、ジャズ云々という人はもはやいないでしょう。マイルスは、このアルバムで完全にジャズと縁を切りました。これは,ファンクです。ストリート・ミュージックです。間違っても、ジャズではありません。でも、だからどうした、というのが正直な気持ちなんですね。こんなにノリのいい音楽って、そうザラにあるもんじゃない。ジャケットのイラストにある「Free Me」ならぬ「Free Your Soul」です。こむずかしい理屈をこねるヒマがあったら、心を空っぽにしてこの音楽に身を委ねたほうがはるかに得るものがある。だって、気持ちいいんだも〜ん!

というわけで、ここには、かつてリリカルで鳴らしたマイルスの姿はありません。でも、第2期黄金のクインテット以来、リズムの可能性を追求してきたマイルスがついに足を踏み入れた境地がここにはあります。耳慣れた音楽のジャンル分けがむなしくなるほど、圧倒的な作品です。1曲目から4曲目、7曲目と8曲目は、タイトルこそ別になっているものの、ひと続きの作品です。曲のはじまりとか終わりとか、そういう些末なこととは無関係に突き進むマイルス。いやはや、この時期のマイルスの創造力のすさまじさといったら。

ちなみに私は、インドの楽器シタールとタブラの参加は、世にいわれているほど、劇的な効果をあげているとは思いません。スパイスとしてはおもしろいですが、それ以上のものではない気がします。

 

Miles Davis "On The Corner"
(Columbia KC-31096)

Miles Davis (trumpet)
Dave Liebman (soprano sax) #1-4
Carlos Garnett (alto sax, tenor sax) #5-8
Bennie Maupin (bass clarinet) #5-8
Herbie Hancock (organ) #1-4 (electric piano, synthesizer) #5-8
Harold "Ivory" Williams (electric piano, synthesizer)
Chick Corea (synthesizer) #1-4
Lonnie Liston Smith (organ) #5-8
John McLaughlin (guitar) #1-4
David Creamer (guitar) #5-8
Paul Buckmaster (cello)
Michael Henderson (electric bass)
Jack DeJohnette (drums, hand claps)
Billy Hart (drums. percussion, bongo, hand claps)
James "Mtume" Foreman (conga, percussion, hand claps)
Don Alias (drums) #1-4
Collin Walcott (sitar)
Badal Roy (tabla)

Produced by Teo Macero
Recorded by Stan Tonekel, Russ Payne
Recorded at Columbia Studio, NYC; June 1 (#1-4), 6 (#5-8), 1972

[Tracks]
01. On The Corner (music: Miles Davis)
02. New York Girl (music: Miles Davis)
03. Thinkin' One Thing And Doin' Another (music: Miles Davis)
04. Vote For Miles (music: Miles Davis)
05. Black Satin (music: Miles Davis)
06. One And One (music: Miles Davis)
07. Helen Butte (music: Miles Davis)
08. Mr. Freedom X (music: Miles Davis)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Dave Liebman]
The Official David Liebman Website
Dave Liebman (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Carlos Garnett]
Carlos Garnett Jazzsite (by Amoye Neblett)
[Links: Benni Maupin]
Bennie Maupin Discography (by Christian Genzel)
[Links: Herbie Hancock]
The Official Website of Herbie Hancock
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea - Official Website
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Lonnie Liston Smith]
Lonnie Liston Smith Select Discography
[Links: Paul Buckmaster]
Paul Buckmaster's Page
[Links: John McLaughlin]
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Server
Meeting of the Sprits: Mahavishnu John McLaughlin Fan Page
[Links: Jack DeJohnette]
Jack DeJohnette Official Website
Jack DeJohnette Homepage (by Piotr Marek, Jr.)
Jack Dejohnette Collection (by ANTAIOS)
Jack DeJohnette Complete Discography を目指すページ (@ 東北大学モダンジャズ研究会)
[Links: James "Mtume" Foreman]
MTUME is pronounced EM-TOO-MAY (@ Feel So Good)
[Links: Collin Walcott]
Collin Walcott: The Offcial Website

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 02:14| Comment(1) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

マイルス・デイヴィス『ビッチェズ・ブリュー』

bitchesbrew.jpg

ここ数日の冷え込みで、朝起きるのがつらいなあと思っていたら、娘の小学校のクラスが学級閉鎖になってしまいました。インフルエンザ(ふつうの)が原因です。みなさんも、くれぐれもお身体には気をつけて。

さて、いよいよ『ビッチェズ・ブリュー』です。おどろおどろしいジャケットに目を奪われるこのアルバムは、70年代フュージョン時代の幕開けを高らかに宣言した作品として、あまりに有名ですね。

ところがこの作品、いわゆるフュージョン的なものを求めて聞くと、あまりの黒っぽさに違和感を覚えるのではないかと思います。誤解をおそれずにいえば、いわゆるフュージョンという言葉からは、ノーテンキなほどの明るさ、軽薄な電子音、バカテクのオンパレードというイメージがわきますが(笑)、このアルバムから聞き取れるのは、大地を轟かせるような粘りのあるリズム、どこまでも黒いファンクのビートです。フュージョンの原義は「融合」ですが、ジャズの即興性とファンクのビート、アフリカのポリリズムをマイルスという何でも飲み込む「器」にぶち込んで、出てきた結果が、この『ビッチェズ・ブリュー』ではないかと思います。いわゆるフュージョンが「ロックとジャズの融合」といわれるのとは出自からして違うのではないかと思うのです。

もちろん、この時期のマイルスがジミヘンにぞっこんで、彼との共演を強く望んでいたというのは、よく知られています。その昔、アーマッド・ジャマルのピアノに惚れ込んで、配下のレッド・ガーランドに「ジャマルのように弾け」と命令したマイルスのことですから(よく考えたらひどい話です)、ジミヘンの音を再現するために、ジョン・マクラフリンを雇っていたという可能性は高い。仮にそうだとしても、マイルスがねらっていたのは、(白人の)ロック路線ではなく、(黒人の)ファンク路線だったというのは、おそらく間違っていない。そう思います。

ここで聞かれる音楽は、いわゆるフュージョンものよりも、たとえばオーネットのプライム・タイムの行き方のほうに、よっぽど近い気がします。オーネットの音楽がフリー・ファンクと呼ばれるように、「ファンク」というキーワードでくくると、見えてくるものがありそうです(ここでいうファンクは、ブレイキーやシルヴァー、キャノンボールに代表される60年代前半のファンキー・ジャズとは似て非なるものです)。

それは、前作『イン・ア・サイレント・ウェイ』との違いとしても、如実に現れています。録音は半年後、メンバーも重なりが多いということで、当然、前作の延長線上の作品かと思いきや、聞いた印象はまったく異なります。その違いを際立たせているのが、全編にみなぎるファンクのビートです。『イン・ア・サイレント〜』をアンビエントの先駆けとするなら、『ビッチェズ・ブリュー』はエレクトリック・ファンクの頂点に位置する作品なのです。

まあ、こむずかしい話はこれくらいにして、電化マイルスを楽しめるかどうかは、この作品を楽しめるかどうかにかかっています。なにせ CD 2枚組の大作です。どこから手をつけたらいいか迷うようなら、ディスク2の〈スパニッシュ・キー〉から聞いてください。このカッコよさがわからないなら、あなたは電化マイルスを聞く必要はありません。それ以前のマイルスだって、じゅうぶんカッコいいし、電化マイルスなど聞かなくたって、別に人生に影響はありません。でも、「オイオイ、なんだこりゃ」と思ったあなた、あなたの前には、これまでとは別の楽しみが開けています。

マイルスはいつでもサイコーにクールですが、彼がもっともクールでヒップなスーパースターだったのは、この70年代をおいて、他にはありません。『アット・フィルモア』があります。『オン・ザ・コーナー』もあります。『アガルタ』も『パンゲア』も待っています。なにしろマイルスのアルバムの半分以上は電化以降の作品なんです。これを聞かない手はないと思いませんか?

 

Miles Davis "Bitches Brew"
(Columbia CS 9996)

Miles Davis (trumpet) omit #2-2
Wayne Shorter (soprano sax) omit #2-2 (tenor sax) #1-1
Benny Maupin (bass clarinet) omit #2-4
Joe Zawinul (electric piano)
Chick Corea (electric piano)
Larry Young (electric piano) #1-1, 2-1
John McLaughlin (electric guitar)
Dave Holland (bass)
Hervey Brooks (bass) omit #2-2
Jack DeJohnette (drums)
Lenny White (drums) omit #2-3
Don Alias (drums, conga)
Jim Riley (percussion)

Produced by Teo Macero
Recorded by Stan Tonkel, Ray Moore
Recorded at Columbia Studio B, NYC; August 19 (#1-1, 2-2, 2-4), 20 (#2-3), 21 (#1-1, 2-1), 1969

[Tracks: Disc 1]
01. Pharaoh's Dance (music: Joe Zawinul)
02. Bitches Brew (music: Miles Davis)

[Tracks: Disc 2]
01. Spanish Key (music: Miles Davis)
02. John McLaughlin (music: Miles Davis)
03. Miles Runs The Voodoo Down (music: Miles Davis)
04. Sanctuary (music: Wayne Shorter)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Zawinul]
The Official Website of Joe Zawinul
Zawinul Online (by Curt Bianchi)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea - Official Website (by Curt Bianchi)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John McLaughlin]
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Server
Meeting of the Sprits: Mahavishnu John McLaughlin Fan Page
[Links: Dave Holland]
Dave Holland (Official Website)
Dave Holland (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
Dave Holland (@ jAZZHOLE)
[Links: Jack DeJohnette]
Jack DeJohnette Official Website
Jack DeJohnette Homepage (by Piotr Marek, Jr.)
Jack Dejohnette Collection (by ANTAIOS)
Jack DeJohnette Complete Discography を目指すページ (@ 東北大学モダンジャズ研究会)
[Links: Lenny White]
Lenny White (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:30| Comment(3) | TrackBack(1) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月13日

マイルス・デイヴィス『イン・ア・サイレント・ウェイ』

inasilentway.jpg

マイルスはカッコいい。彼が演る音楽もカッコいいし、彼の生き様もカッコいい。そして、何より「顔」がカッコいいのです。絵になります。マイルスほど、自分の「顔」のカッコよさを自覚していたミュージシャンはいません。その強烈な自己顕示欲の現れとして、マイルスの作品には「顔」のドアップ写真を使ったものが異常に多い。

ラウンド・アバウト・ミッドナイト』でしょ、『カインド・オブ・ブルー』でしょ、『ネフェルティティ』でしょ、『ゲット・アップ・ウィズ・イット』でしょ、『デコイ』でしょ、そして、きわめつけは『TUTU』なわけです(文字なし、装飾なしのマイルスの顔だけで構成されたジャケットをデザインしたのは、日本人の石岡瑛子さん。1986年のグラミー賞で Best Album Package に輝きました)。

マイルスは節目節目で自分のドアップ写真の作品を生み出しています。セルフ・プロデュースに長けたマイルスのこと、パッケージ・デザインには人一倍うるさかったようで、実際,『マイルス・アヘッド』の白人女性路線を、『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』や『ソーサラー』の黒人女性路線に変更させたのは、マイルス本人だといいます。

今日紹介する『イン・ア・サイレント・ウェイ』も、暗闇に浮かぶマイルスの「顔」が印象的な作品です。背景も黒なら、衣装も黒、顔も黒ときて、白目だけがにぶい光を放って目に飛び込んできます。カッコいいっす、マジで。

で、音楽的にはどうなのか。1968年の『マイルス・イン・ザ・スカイ』以来、エレクトリック路線に舵を切ったマイルスの、早くも1つめの到達点が明らかになります。

執拗にくり返される一定のリズムに、ザヴィヌルのオルガンとチック&ハンコックのエレピ、ジョン・マクラフリンのギターが彩りをそえていきます。その上をあてどなく漂うマイルスのペット。形あるものとしての「曲」がほとんど消え去り、どこまでも続く宙ぶらりんの浮遊感に心がざわついてきます。出口のない迷路。デジャビュのように現れては消える反復音楽。この不思議な「反復感」は、プロデューサーのテオ・マセロによって、文字どおり「切り貼り」された結果ですが、このセンスある編集作業によって、この作品は魔術的な魅力をもつ作品になりました。流れてくる音楽にただただ身を委ねていれば、一種のトランス状態に入ることができます。

邦盤ライナーを書いているピータ・バラカンさんも「無人島に持っていく1枚」にあげています。いわく、「人生が変わるよ」だって(笑)。人生が変わるかどうかはわかりませんが、ジャズ初心者の今の若い人たちには、マイルス入門の1枚としておすすめです。

 

Miles Davis "In A Silent Way"
(Columbia CS 9875)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (soprano sax)
Joe Zawinul (organ)
Chick Corea (electric piano)
Herbie Hancock (electric piano)
John McLaughlin (guitar)
Dave Holland (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Stan Tonkel, Russ Payne
Recorded at Columbia Studio B, NYC; February 18, 1969

[Tracks]
01. Shhh 〜 Peaceful (music: Miles Davis)
02.In A Silent Way 〜 It's About That Time (music: Joe Zawinul) 〜 (music: Miles Davis)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Zawinul]
The Official Website of Joe Zawinul
Zawinul Online (by Curt Bianchi)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea - Official Website
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
The Official Website of Herbie Hancock
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: John McLaughlin]
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Server
Meeting of the Sprits: Mahavishnu John McLaughlin Fan Page
[Links: Dave Holland]
Dave Holland (Official Website)
Dave Holland (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Tony Williams]
Tony Williams a few Collction (by ANTAIOS)
Tony Williams (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:32| Comment(1) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月10日

マイルス・デイヴィス『ネフェルティティ』

nefertiti.jpg

裏渋谷の名店 Bar & Dinning Lo-d(ローディ) のオーナー、タニさんは、マイルスの『E.S.P.』が大のお気に入り。つい先日もお店にお邪魔したところ、「最近、マイルスのこと書いてるじゃん、ユキヒロの『E.S.P.』評が読みたいよ」とリクエストされたのですが、よく考えたら、私、能書きを垂れるほど『E.S.P.』のことを知らない。というわけで、タニさんには申し訳ないけれど、私がこのクインテットでいちばん好きな『ネフェルティティ』にいかせてもらいます(ゴメン,タニさん。今度までに勉強しておくよ (笑))。

この作品の衝撃度は、なんといってもウェイン・ショーター作の〈ネフェルティティ〉に負うところが大きい。ここで、マイルスとウェインはいっさいソロをとりません。ひたすらテーマ・メロディーを吹き続けるだけです。ジャズの本質、アドリブを意図的に放棄しているのです。それで、どうして演奏が成立するかって? フロント陣に代わって、リズム・セクションが大暴れするからです。

トニー・ウィリアムズもハービー・ハンコックも、バックでリズムをキープするなんて野暮なことはしません。これでもかというくらい激しく暴れ回ります。つまり、完全に立場が逆転しているのです。こういうと、いかにもつくられた実験的な臭いがするかもしれませんが、そんなことはこれっぽっちも感じません。それくらい、トニーもハ―ビーもはじけまくっています。この〈ネフェルティティ〉に封じ込められたクールな熱気こそ、私がこのクインテットをイチ押しする理由です。ホントにシビれまっせ〜。

この第2期黄金のクインテットは、スタジオ録音ではありきたりのスタンダードは演奏しませんでしたが、前作『ソーサラー』からは、いよいよマイルスのオリジナルさえ姿を消します。ウェイン3曲、ハ―ビー2曲、トニー1曲。この時期のマイルスは、曲づくりよりもリズムの革新に意識が向いていたというと聞こえはいいですが、やはり若いメンバーが発散するエネルギーに気圧されて、グループを乗っ取られた、というのがふさわしい気がします。

ウェインにしろ、ハ―ビーにしろ、トニーにしろ、1対1ではマイルスに太刀打ちできなかったかもしれませんが、束になってかかれば、肩を並べるくらいまできていた。ブルーノートで、一連の「新主流派」作品を生み出していた彼らは、この時期のマイルスと同様、時代の最先端を突き進んでいたわけです。

では、マイルスはリーダーの座を手放したのかというと、自己顕示欲のかたまりみたいな人が、そんなことするはずがない。では、どうしたか。マイルスはマイルスなりにこのグループをコントロールしていた、人形遣いのように。

たしかに、この時期のグループは、マイルスの生涯を通じてもっともリーダーシップが希薄に感じられます。とくにウェイン作の3曲は、このクインテットの雰囲気を決定づけるほど力をもっています。〈ネフェルティティ〉しかり、〈ピノキオ〉しかり。でも、出てくる音はマイルスの音なんですね。同時期のウェインの作品を聞いても、このテンションは味わえない。それこそ、マイルスのマイルスたるゆえんではないでしょうか。

ちなみに、タイトルになったネフェルティティは、古代エジプトの女王で、クレオパトラと並んで三大美女に数えられる美貌の持ち主だったとか。「ネフェル」が「美しい」、「ティ」が「やってくる、歩いてくる」という意味だそうです。魔術的・神秘的なものに凝っていたウェインらしいネーミングです。

追記:〈ネフェルティティ〉について

2006年11月に発売されたミシェル・マーサー著、新井崇嗣訳『フットプリンツ:評伝ウェイン・ショーター』(潮出版社)には、名曲〈ネフェルティティ〉の誕生秘話が載っています。それによると、1967年のある晩、ウェインが自宅のピアノに向かった瞬間、ある曲の完全なメロディーが浮かんできたそうです。

「〈ネフェルティティ〉は、僕の作曲家人生の中でも特別な曲さ。ほぼ出来上がった状態で、突然ふって沸いたように生まれたんだよ」

神の啓示か才能の一瞬のきらめきか。ウェインはその曲に、ニューアーク芸術高校時代に胸像をつくったネフェルティティの名を冠します。そして、この曲の随だけをとりだし、これ以上ない最高の形に仕上げたのは、他ならぬマイルスでした。

最初のランスルーを終え、通常ならば次は、テーマに沿って各々がインプロヴァイズする番だった。だが、ここでマイルスが提案をする。「なあ、この曲、メロディーだけを演ったらどうなると思う?」(中略)数テイクを録り終え、マイルスはプロデューサーのテオ・マセロにファースト・テイクをプレイバックするよう命ずる。この曲の本質を捉えようとするバンドのひらめき、発見の精神がそこにある、と感じたからだ。ところが残念なことに、テオはこのファースト・テイクの途中から次のテイクを重ねて録っており、半分が消されていた。そのため、最終的には4番目のテイクがアルバムに収められた。

のちにウェインやハービーと共演するジョニ・ミッチェルが、〈ネフェルティティ〉に対してコメントを残しています。少し長いですが、引用します。

「普通とはまったく違う音楽。まるでシルク・スクリーン印刷のよう。2管ユニオンで始まり、そこから少しずつふたりのプレイヤーの個性が現れてくる。シルク・スクリーンにわずかに印刷ズレが生じるかのように。曲の頭から終わりまで、トニーのプレイはとにかく激しい。ここでのソリストは彼ひとりだけ。きわめてシンプルな作りで、フォーク・ソングとほとんど変わらない。ヴァース、ヴァース、ヴァースと続き、コーラスやブリッジさえない。同じフレーズが延々と繰り返される。この形式はジャズ・ミュージシャンには馴染みのないものだーー『おい、ちょっとこれを聞いてみろよ。普通じゃないね』と誰かが言ったのを私は記憶している。確かに、形こそシンプルなフォーク・ミュージックと同じだが、そこで何が起きているのかに注目して欲しい。聴き手はソロを待ちわびてはいけない。メロディーだけで、十分満ち足りてしまうからだ。その一方でドラマーは激しく、ただただ激しく叩きまくる。そのプレイに、私は深夜のニューヨーク・シティの光景を思い出す。チャイナタウンから誰かがふらふらと歩いてくる。酒に酔ったこの男は、ゴミ箱を思い切り蹴飛ばし、アップタウンに着くまでの道すがら、大声でわめき散らし続けている。トニーのドラミングには徐々に激しさを増していく怒りが感じられる。それが、この作品を美しいものにしている」


 

Miles Davis "Nefertiti"
(Columbia CS 9594)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero (#1, 3, 4), Howard A. Robearts (#2, 5, 6)
Recorded by Fred Plaut, Ray Moore
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; June 7 (#1), 22 (#3, 4), July 19 (#2, 5, 6), 1967

[Tracks]
01. Nefertiti (music: Wayne Shorter)
02. Fall (music: Wayne Shorter)
03. Hand Jive (music: Tony Williams)
04. Madness (music: Herbie Hancock)
05. Riot (music: Herbie Hancock)
06. Pinocchio (music: Wayne Shorter)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
The Official Website of Herbie Hancock
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)
Tony Williams (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 02:05| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月07日

マイルス・デイヴィス『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』

myfunnyvalentine.jpg

昨日アップした『フォア&モア』と同じコンサートから、『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』の紹介です。『フォア&モア』が火を吹くようなスピード感あふれる作品なのに対して、『マイ・ファニー〜』はバラードを中心としたセレクションになっています。

オープニングを飾るのは、名曲〈マイ・ファニー・ヴァレンタイン〉。ロジャース&ハートの作品で、1957年の映画『パル・ジョーイ』で歌われました。プレスティッジ盤『クッキン』の冒頭で、軽く触れただけで壊れてしまいそうな、リリカルなペットを聞かせて、「卵の殻の上を歩く男」と評されたマイルスですが、このコロンビア盤の〈マイ・ファニー〜〉はちと違う。リリカルというには、あまりにハードです。別にリキんでいるわけではありません。曲に込められた想いの違いというか、もっと暗くて救いようがない。

スタジオ録音とライヴの違いは差し引いても、2つの〈マイ・ファニー・ヴァレンタイン〉の差は歴然です。コロコロとよく転がり、かわいらしささえたたえたレッド・ガーランドのピアノに代わって、ハンコックが聞かせるのは、もっと抽象度の高い世界です。

キースを経た耳にはほとんど違和感はありませんが、ハードバップ時代のピアニストにはなかった新しい響き。それはソロを弾いているときだけにかぎりません。バッキングにまわっているときだって、ハンコックはかなり大胆に自己主張を重ねていきます。いやむしろ、バックにまわったときにどれだけ冒険できるか、ということを楽しんでいるようにすら感じられます。

このコンサートでは、テナーがジョージ・コールマンですが、ここにショーターが加われば、第2期黄金のクインテットの完成です(この半年後くらいに加入します)。このクインテットのすごさは、マイルスだけではなく、メンバー全員がそれぞれ自分の究極の演奏を目指しながら、それがグループ全体の完成度にもつながっていたことにあると思うのですが、早くもその萌芽がこのコンサートで見られます。

バックでリズムをキープするという意味での「リズム・セクション」という言葉は、彼らには当てはまりません。ハンコックも、トニーも、そしてロン・カーターでさえも、隙あらば主役の座に躍り出ようと、虎視眈々とねらっている。それが演奏に緊張感をもたらし、バラード集なのにちっともくつろげない(笑)という不思議な現象を生み出しています。

3曲目〈星影のステラ〉。開始1分53秒、マイルスのためいきが出るようなソロの途中でどこかのバカが「イエエエ〜〜イ!」と叫びます。でも、この気持ち、わかるなあ。言葉にならないこの感動を表すには、叫ぶしかなかったんでしょう。私ならさしずめ「ウォォォォォーッ」という感じでしょうか。

カインド・オブ・ブルー』でもとりあげられた〈オール・ブルース〉。完成度という意味では、『カインド〜』に勝る演奏はありえませんが、エヴァンスとは別の意味で、ハンコックのすごさを実感できる演奏です。

 

Miles Davis "My Funny Valentine"
(Columbia CL 2306 / CS 9106)

Miles Davis (trumpet)
George Coleman (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded live at Lincoln Center "Philharmonic Hall", NYC; February 12, 1964

[Tracks]
01. My Funny Valentine (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
02. All Of You (music+words: Cole Porter)
03. Stella By Starlight (music: Victor Young / words: Ned Washington)
04. All Blues (music: Miles Davis)
05. I Thought About You (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Mercer)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: George Coleman]
George Coleman (Official Website)
[Links: Herbie Hancock]
The Official Website of Herbie Hancock
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)
Tony Williams (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:31| Comment(2) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月06日

マイルス・デイヴィス『フォア&モア』

fourandmore.jpg

マイルス・デイヴィスを聞く楽しみは人それぞれ。リリカルなミュート・トランペットの音色に「マイルスってステキ(笑)」と虜になるのも、ハード・ボイルドな決めセリフに「く〜、たまらんっ」((c) 中山康樹)となるのも、エレクトリック時代のグルーヴに思わず「イエ〜イ」と腰が動き出すのも、どれもマイルス・ミュージックの本質を表しています。

ところが、です。「マイルス=燃えたぎる情熱」という図式は、なかなか当てはまらない。マイルスが額に汗してペットを吹く姿というのは、想像の埒外にあるわけです(実際には、汗は当然流れたのでしょうが、そこはそれ、ツツーッと頬を伝わり落ちる汗であって、周囲に汗を撒き散らして突き進む暴走機関車みたいな迫力は、マイルスからは感じられません)。マイルスは究極の「ええかっこしい」だから、どんなときにも熱くなりすぎない。そこがクールでたまらない。これが一般的なイメージじゃないかと思うんです。でも、そのイメージを覆すのが、この『フォア&モア』です。

ここでのマイルスは、本当にすごい! 血管が切れちゃうんじゃないかと心配になるくらい、バリバリ吹きまくっています。かつてガレスピーの圧倒的な演奏を目の当たりにして、高音路線は封印したはずのマイルスですが、ここでは、これでもかと高音を攻めまくります。「見たか、オレだってやれるんだ」といわんばかりの耳をつんざくフリー・ブローイング。この爽快感は、ちょっと他では得がたいものがあります。

圧巻は〈ソー・ホワット〉から〈ウォーキン〉へと続く冒頭の2曲。これ、数あるジャズのライブ録音のなかでも、興奮度、熱狂度では屈指の作品ではないでしょうか。いきなりトップ・ギアで走り出すマイルス。こんなマイルス、聞いたことがありません。

しかも、この高速走行は最後まで続きます。メリハリもなにもありません。テンション上げっぱなしで、しかもダレない。いやはやこれは興奮ものです。気合いを入れて聞かないと、こちらが殺られます(笑)。トニーも熱い、ハンコックも熱い。理想的なリズム・セクションを得たマイルスの喜びがひしひしと伝わってくるようです。

ちなみに、このライヴはクラシックの殿堂、リンカーン・センターのフィルハーモニック・ホール(現在はエイブリー・フィッシャー・ホールと改称)で行われたはじめてのジャズ・コンサートです。以来、このホールは、マイルスが節目、節目でコンサートを開くホールとして、ジャズ・ファンにも認知されていきます(それが現在のウィントンまでつながっているのですね)。

追記:犯人はジョージ・コールマン???

この日、マイルスがここまで熱かったのはなぜか。
宝島社文庫『マイルス・デイビス自叙伝2』によると、このライヴは、NAACP(全国有色人種地位向上協会)などが主催した黒人の地位向上を目指したチャリティ・コンサートだったそうで、つまりはノー・ギャラ。それに不満をいだいた人物とひと悶着あって、舞台にあがったときには、メンバー全員頭に血が昇っていたそうです。

その夜のオレ達の演奏は、まさに天井をぶっ飛ばしてしまいそうな勢いだった。みんなが、本当に一人残らず全員が、ものすごい演奏をした。曲はほとんどがアップ・テンポだったが、ただの一度も狂わなかった。ジョージ・コールマンも、この夜が最高だった。それに、バンドには創造的な緊張感が漂っていた。このコンサートをやるまでの少しの間、バンドとしての仕事を休んで、みんな違うことを勝手にやっていたし、慈善コンサートがノー・ギャラなのが気に食わない奴もいた。とてもいい奴で評判もいいし、つまらん迷惑はかけたくないから名前は言わない。だがそいつは、「なあ、オレの金をくれよ。そこから自分で好きなだけ寄付するからさ。慈善コンサートなんて嫌だぜ。マイルス、オレはお前ほど稼いじゃいないんだ」と言っていた。話し合いは行ったり来たりしたが、結局、今度だけは演奏するということで全員が落ち着いた。だから演奏が始まる時には、みんなカッカしていた。その怒りが火をつけて、バンドに緊張感が漲った。たぶんそれが、全員があんなにも力強い演奏をした理由だったんだろう。


 

Miles Davis "Fore & More"
(Columbia CL 2453 / CS 9253)

Miles Davis (trumpet)
George Coleman (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded live at Lincoln Center "Philharmonic Hall", NYC; February 12, 1964

[Tracks]
01. So What (music: Miles Davis)
02. Walkin (music: Richard Carpenter)
03. Joshua 〜 Go-Go (Theme And Announcement) (music: Victor Feldman) 〜 (music: Miles Davis)
04. Four (music: Miles Davis)
05. Seven Steps To Heaven (music: Victor Feldman, Miles Davis)
06. There Is No Greater Love 〜 Go-Go (Theme And Announcement) (music: Isham Jones / words: Marty Symes) 〜 (music: Miles Davis)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: George Coleman]
George Coleman (Official Website)
[Links: Herbie Hancock]
The Official Website of Herbie Hancock
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)
Tony Williams (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:09| Comment(0) | TrackBack(1) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月05日

マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』

kindofblue.jpg

先週は仕事で立て続けに3つのミスが発覚し、ものすごくへこみました。気分はまさにブルー。でも、週末に静岡で教え子たちの顔を見てきて、ようやくマックに向かう気持ちになりました。ありがたいことです。

ブルーといえば、『カインド・オブ・ブルー』(って、そんなイントロかい!)。20世紀のジャズが到達した1つの頂点を記録したこのアルバムは、一説には全世界で数百万枚を売って、録音から半世紀近くすぎた今なお万単位で売れ続けているというマンモス・アルバムです。

ジャズ界広といえども、たった1枚のアルバムのために、本が出版されたという例は、聞いたことがありません。しかも、何冊も(アマゾンの洋書で「Kind Of Blue」で検索すると、何冊も出てきます)。

その中の1冊、Ashley Kahn 著『Kind of Blue』は、翻訳版『カインド・オブ・ブルーの真実』が出ています(訳はご存じ中山康樹さんほか)。

この本の存在は前から気になっていたのですが、なかなか手が出ない。出版界のはしくれで生計を立てている身としては、本はできるだけ買うようにしているのですが(みなさん、本は買いましょう。図書館で借りてばかりいると、こういう「売れない本(失礼)」がどんどん出版されなくなりますよ)、1枚のアルバムのためだけに書かれた本というのがネックになって、いまだに買わないでしまっています。ごめんなさい。

で、気になっていろいろ調べていたら、あるんですねえ、こういう親切なサイトが。その名も「Excerpt from "KIND OF BLUE"」(「カインド・オブ・ブルー」の抜粋という意味ですね)。サイト・オーナーのまつさんが原書「Kind of Blue」を訳しながら、自身のコメントを加えて、アルバム『カインド・オブ・ブルー』にまつわるさまざまなエピソードを解説してくれます。

このコメントが秀逸なんです。とかくいろいろなことがいわれてきたアルバムですが、それに対する解答がきちんと整理されています。読んで納得、こんなすばらしいサイトがあるのに、私風情がコメントを書くのは恐れ多いというわけで、このアルバムについて知りたい方は、まつさんのサイトへどうぞ。

ともあれ、これは聞いてもらうしかありません。汗がしたたり落ちる興奮も、躍動するリズムもないけれど、このアルバムには、ジャズという音楽がもつアート(芸術)としての可能性がつまっています。知的で繊細、とてもおだやかでいながら、ひとところにとどまらない不思議な感覚。それ以前のジャズとはまったく違った新しい地平。このアルバムを最後に、マイルスとエヴァンスは袂を分かちます。

 

Miles Davis "Kind Of Blue"
(Columbia CL 1355 / CS 8163)

Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderley (alto sax) except #3
John Coltrane (tenor sax)
Bill Evans (piano) except #2
Wynton Kelly (piano) #2
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded at the Columbia 30th Street Studio, NYC; March 2 (#1-3), April 6 (#4, 5), 1959

[Tracks]
01. So What (music: Miles Davis)
02. Freddie Freeloader (music: Miles Davis)
03. Blue In Green (music: Bill Evans, Miles Davis)
04. All Blues (music: Miles Davis)
05. Flamenco Sketches (music: Miles Davis)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Bill Evans]
The BILL EVANS Webpages
Bill Evans's Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:48| Comment(3) | TrackBack(1) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月25日

マイルス・デイヴィス『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』

roundaboutmidnightjpg.jpg

マイルスは、ジャズが地殻変動を迎えていた50年代と60年代に、時代を画する2つのクインテットを率いていましたが、この『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』は、50年代の「第1次黄金のクインテット」の初録音を含むアルバムです。

この録音に先立つこと3ヵ月あまり、マイルスは第2回ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルに出演します(1955年7月17日)。このライヴ・パフォーマンスは伝説になっていて、この日の演奏を聞いて感激したメジャー・レーベル、コロンビアのプロデューサー、ジョージ・アヴァキャンはさっそくマイルスと専属契約を結びます。当時、マイルスはインディーズ系のプレスティッジと契約していましたが、それを解除するべく動いたのも,アヴァキャンでした。マイルスが、史上名高い「マラソン・セッション」を敢行したのも、プレスティッジとの契約を早く終えたかったからだといいます(『クッキン』『リラクシン』『ワーキン』『スティーミン』と続く、いわゆる「ING 四部作」のことです)。

メジャー・レーベルと契約し、名実ともにビッグになった帝王マイルス。当時は、黒人のジャズメンがコロンビアと専属契約を交わすなんて、常識では考えられないことでした。破格の待遇だったわけです。その期待に応えようと、マイルスは張り切ります。といっても、究極の「ええかっこしい」のマイルスのことですから、ねじり鉢巻に袖まくりなんて野暮なことはしなくて、緻密に計算されたリリシズムの極地をさらりと表出して見せます。それが、冒頭の〈ラウンド・ミッドナイト〉です。そのカッコよさといったら。もう何度聞いてもシビれます。マイルス、サイコ〜!

マイルスの張り切りぶりは、プレスティッジのマラソン・セッションと比べるとよくわかります。コロンビア盤『ラウンド・アバウト〜』のほうは、55年10月27日、56年6月5日、10月27日の3回のセッションから選りすぐりの演奏を1枚のアルバムに封じ込めていますが、プレスティッジのほうは、56年5月11日、10月26日のたった2回のセッションを4枚のアルバムに分散収録しているのです。中身の濃さはいわずもがな、ですね(それでも名盤になってしまうところが、マイルスのすごさですが)。

さて、〈ラウンド・ミッドナイト〉です。この曲がカッコいいのは、きちんと練られたアレンジに基づいているからです。そのアレンジを施したのは、誰あろうギル・エヴァンス。クレジットはされていませんが、ギル本人が認めています。いわく、

もともとあのアレンジはあるシンガーのために用意しておいたものなんだ。イントロからして私が書いたものだし、コルトレーンがテーマのバックで吹くカウンター・メロディは本来オーケストラのためのものだったんだよ。フレンチホルンだとかフルートを主体としたホーンやブラスがあの低音部を演奏して、それをバックにシンガーがメロディを歌う。でも、カウンター・メロディを使うアプローチはマイルスも以前からやっていたと言っていたけれどもね。まあそれはそれとして、穏やかで繊細な感じのテーマが終了すると、一転してビッグ・バンドの迫力あるサウンドが例のヴァンプを演奏するんだ。それをマイルスは、コルトレーンとの2管で上手く表現していた。(日本盤ライナーより引用。訳は小川隆夫さん)

ここで「例のヴァンプ」と述べられているのは、マイルスのソロが終わって、2分45秒からはじまる「パッパッパ〜ッパッパ、パッパ〜パ、(ドドドドドドッ)、プワァァァ〜」の部分です。これがホントにカッコいい。これ聞きたさに、何度もくり返しかけてしまうんです。だって、ホントにシビれまっせ〜!

マイルスがこの曲を演ったのは、実は今回がはじめてではありません。53年の『コレクターズ・アイテムズ』で吹き込んでいるのですが、ここには、例の「決めセリフ」は入っていません。これがあるとなしとでは、本当に天と地ほども違いますから、興味がある方はぜひ聞き比べてみてください。

ちなみに、アルバム名が『ラウンド・ミッドナイト』でなく『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』となっているのは、原曲の曲名をとったからです。セロニアス・モンクの自作曲のなかで、もっともモンク臭がうすい(だからこそ、いちばん有名になったともいえますが)この曲には、もともと「アバウト」が入っていたのですが、バーニー・ハニガンが詞をつけたときに、どうもこの「アバウト」のおさまりが悪い。「ラウン・ミッナイ〜、ラウン・ミッナイ〜」と歌ってこそ味が出る。というわけで、とっちゃったんですね、「アバウト」を。「そんなのアリ〜?」というようなエピソードですが、本当らしいです。

 

Miles Davis "'Round About Midnight"
(Columbia CL 949 / CS 8649)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by George Avakian
Recorded by Ray Moore
Recorded at Columbia Studio D, NYC (#2)
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; June 5 (#4-6), September 10 (#1, 3), 1956

[Tracks]
01. 'Round Midnight (music: Thelonious Monk, Cootie Williams / words: Bernie Hanighen)
02. Ah-Leu-Cha (music: Charlie Parker)
03. All Of You (music+words: Cole Porter)
04. Bye Bye Blackbird (music: Ray Henderson / words: Mort Dixon)
05. Our Delight (aka. Tadd's Delight) (music: Tadd Dameron)
06. Dear Old Stockholm (traditional)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:02| Comment(4) | TrackBack(1) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

クリフォード・ブラウン『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』

thebeginingandtheend.jpg

クリフォード・ブラウン。熱いですね、みなさん。コメントの量が違います(笑)。ブラウニーというと、あまりの完璧さゆえに溺愛できない、感情的にのめり込むことができない、と村上春樹さんが心情を吐露していて(『ポートレイト・イン・ジャズ2』)、私はその印象に引きずられていたのですが、そんなことはないんですね、やっぱり。アーティストやその作品に感情移入するのも人間なら、そこに完璧なもの、完成された美を求めるのも人間なのでしょう。

ブラウニーの音楽は「スキがない」「完璧だ」といわれますが、これくらい圧倒的な力量を見せつけられると、あとはもうひれ伏すしかない(笑)。しかも、人格的にもきわめて「スウィート」で、誰からも愛される好人物だったといいます。

いわゆる「いい人」というのは、イコール「どうでもいい人」だったりするのが世の常ですが、ごくたまに、根っからのいいヤツで、青臭い正論も、そいつがいうと、なんか実現できそうな気がする、自然と信じる気持ちにさせる、そういう人間がいるものです。ブラウニーもきっと本人にその気はなくても、自然とそういう影響力を発揮してしまう人だったのでしょう。

この『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』は、文字どおりブラウニーの最初と最後の録音をカップリングした作品です。ラスト録音といっても、たいていは「最後のスタジオ録音」であったり「最後の正式録音」であったりして、その後に延々と「死の直前の発掘音源(ブートレグ盤)」が出てきたりするものですが、ブラウニーのこれは正真正銘のラスト録音です。なにしろ、この演奏を終えた後、車でシカゴに向かう途中で事故に遭ってあの世へ旅立ってしまったのですから、これより後の演奏が発掘されることなんて、ありえないわけです。だから、歴史的に価値がある。

でも、こういう歴史的名盤というのはくせ者で、演奏がボロボロだったり、録音状態がひどかったりして、聞くに堪えない作品が実に多い。このアルバムも、最初に流れてくる「アイ・カム・フロム・ジャ〜マイカ〜」(笑)というミョ〜な歌声で興ざめしてしまう人も多いはず。

1、2曲目は、ブラウニーのファースト録音で、クリス・パウエル率いるR&Bバンドの演奏です。ブラウニーのソロが入っている、というだけで、ここに収録されています。非常に短い(どちらも2分程度)のでガマンするか、思い切って飛ばしちゃいましょう。

3〜5曲目が問題のラスト録音です。ブラウニーは、生まれはデラウェア州ウィルミントンですが、学生時代からフィラデルフィアで活動していました。いわば、フィリーは第二の故郷というわけで、地元に凱旋した偉大なトランぺッターをかの地のミュージシャンが出迎えて、和気あいあいとジャム・セッションに興じた。日常のたんなるひとコマが、悲しいことに、歴史的な記録になってしまったのです。

ここには、わずか数時間後に死を迎えるなんて微塵も感じさせない、まばゆいばかりの幸福感が満ちあふれています。マックス・ローチとのクインテットでは、よくも悪くもキッチリした印象を抱かせるブラウニーですが、この夜は、とてもおだやかで、くつろいでいたのでしょう。なんと楽しそうな雰囲気でしょうか。

きっとこの夜は、周囲が寝静まった後も、録音場所となった楽器店「ミュージック・シティ」だけは、こうこうと照る灯りと笑い声に包まれていたことでしょう。ブラウニーの短いけれど、幸せな一生に合掌。

追記(2006年3月13日記す):

ブラウニー生前最後の録音ということで知られていた『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』ですが、従来いわれていた1956年6月25日の録音ではなく、その1年以上前の1955年5月31日の録音だということがニック・カタラーノによるブラウニーの伝記、『クリフォード・ブラウン:天才トランペッターの生涯』に記されています。そのセッションに参加していたビリー・ルートの言葉。

クリフォードと私は「ブルーノート」で仕事していた。私はそのころクラブのハウス・バンドに入っていたんだ。その夜(5月31日)私たちは、エリス・トーリンに誘われて「ミュージック・シティ」で演奏した。フレッド・マイルスという男がその夜のセッションをテープに録っていたよ。

もう1つ、「あなたはクリフォード・ブラウンのラスト・レコーディングで彼と共演していますね」という質問に対するビリー・ルートの回答。

えーと、それは間違いだ……私はフィラデルフィアの「ブルーノート」にクリフォードと同時に出演していた。フィラデルフィアには、ジャズ・クラブに入れない若い連中のために、街にやってくる有名なプレイヤーの演奏を聴いたりできる場所があって、そのひとつ、「ミュージック・シティ」で私とクリフォードは演奏し、誰かがそれをテープに録った。それは彼が亡くなる8、9か月前か、もしかしたら1年前だったかもしれない。みんなはそれを彼が亡くなる直前の演奏だと言っているが、それは違う。1年かそこら前に録音されたものだ。

さて、みなさんはどう思われますか? 私には真相は確かめようがありませんが、「ラスト録音」でなくなると、困るのは発売元のソニーでしょうね(笑)。



Clifford Brown "The Beginning And The End"
(Columbia KC 32284)

#1, 2: Chris Powell & his Blue Flames
Chris Powell (vocal, percussion)
Clifford Brown (trumpet)
Vance Wilson (alto sax, tenor sax)
Duke Wells (piano)
Eddie Lambert (guitar)
James Johnson (bass)
Osie Johnson (drums)

#3-5
Clifford Brown (trumpet)
Billy Root (tenor sax) #3, 4
Mel "Ziggy" Vines (tenor sax) #3
Sam Dockery (piano)
Ace Tisone (bass)
Ellis Tollin (drums)

Produced by Don Schlitten
Recorded by Fred Miles (#3-5)
Recorded in Chicago; March 21, 1952 (#1, 2)
Recorded at Music City, Philadelphia; June 25, 1956 (#3-5)

[Tracks]
01. I Come From Jamiaca (music+words: Chris Powell)
02. Ida Red (music+words: Chris Powell)
03. Walkin' (music: Richard Carpenter)
04. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
05. Donna Lee (music: Charlie Parker)

[Links: Clifford Brown]
I Remember Clifford: The Clifford Brown Discography
Clifford Brown Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:57| Comment(2) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月04日

デイヴ・ブルーベック『タイム・アウト』

timeout.jpg

朝起きたら、思いきり降ってますね、雪(@東京)。寒そうだな〜。外に出たくないな〜。でも、今日はゲラの戻しがあるしな〜。ああ、いやだいやだ。そうだ、こんな気分のときは、デイヴ・ブルーベックの『タイム・アウト』を聞きながら出かけよう。さんさんと降り注ぐカリフォルニアの太陽を思い浮かべながら(見たことはないけど)、晴れやかな気持ちで仕事に行きましょう!

美曲〈イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ〉の作者としても知られるピアニスト、デイヴ・ブルーベック。1920年12月6日、カリフォルニア州コンコード生まれ。

ジャズをまったく聞かない人でも、どこかで必ず耳にしたことのある超メジャー曲〈テイク・ファイヴ〉。作曲者は、リーダーのブルーベックではなく、アルトのポール・デスモンドです。

この人、スムースな語り口のアルト奏法からソフトな印象をもたれがちですが、実際はかなりの変わり者だったようです。当たりはソフト、でも出てくる言葉は、よくいえば知的でウィットに富んでいる、悪くいえば頑固で口数の多い変なオジサン(笑)。自己名義のアルバムでは、デスモンド流の人を食ったような文章を目にすることができます。だいたい、フォービートが主流のジャズの世界に変調子を持ち込もうという発想自体「変」ですから(笑)。

デスモンドのアルトを称して、「ドライ・マティーニのような音色」とはよくいわれることですが、なるほど、都会的な洗練、辛口の批評精神、わかる気がします。デイヴ・ブルーベック・カルテットはカレッジを中心にたいへんな人気だったそうで、パーカー亡きあと、ダウン・ビート誌(ジャズ雑誌)の読者人気投票でアルト部門の1位に輝いたのは、なんとデスモンドです。ひかえめな性格といわれていますが、なんとなく目立ってしまう人。それがデスモンドなのかもしれません。

〈テイク・ファイヴ〉があまりにも有名なので、アルバム名を『テイク・ファイヴ』だと勘違いしている人がいますが、正式には『タイム・アウト』といいます。つまり、タイムがアウト(つまり変調子)の作品が他にも入っていて、こちらは正真正銘のブルーベック作、〈トルコ風ブルー・ロンド〉なんかも演っています。こういう実験的な曲を演奏しても、まったく嫌みがないのは、やはりデスモンドによるところが多い気がします。

 

Dave Brubeck "Time Out"
(Columbia CL-1397/CS-8192)

Paul Desmond (alto sax)
Dave Brubeck (piano)
Eugene Wright (bass)
Joe Morello (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Fred Plaut
Recorded at 30th Street Columbia Studios; June 25 (#4-6), July 1 (#2, 3), August 18 (#1, 7), 1959

[Tracks] 
01. Blue Rondo A La Turk (music: Dave Brubeck)
02. Strange Meadow Lark (music: Dave Brubeck)
03. Take Five (music: Paul Desmond)
04. Three To Get Ready (music: Dave Brubeck)
05. Kathy's Waltz (music: Dave Brubeck)
06. Everybody's Jumpin' (music: Dave Brubeck)
07. Pick Up Sticks (music: Dave Brubeck)

[Links: Paul Desmond]
Pure Desmond (by Paul Caulfield)
Paul Desmond Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Deve Brubeck]
Dave Brubeck (Official Website)
Dave Brubeck (by Malcolm Wallace)
Dave Brubeck Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Morello]
Joe Morello (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月20日

オーネット・コールマン『ヴァージン・ビューティー』

virginbeauty.jpg 

オーネット・コールマン率いるプライム・タイムの傑作『ヴァージン・ビューティー』です。ハーモロディスクというのは、ハーモニーとメロディの融合をめざしたオーネットの造語ですが、これ、よくわかんないです、はっきりいって(笑)。でも、そんな理屈めいた話は抜きにして、聞こえてくる音楽にひたすら身をまかせるだけで、そりゃもう、悦楽の境地に入れますよ、マジで。

ギター2本、ベース2本、ドラム2セットのダブル・リズム・セクションがくり出す摩訶不思議な音世界(曲によってグレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが参加)。年齢構成もバラバラで、実の息子デナードも参加しているほどですが、58歳のオーネットがいちばんハジケてるかも(笑)。

そうそう、同じエレクトリック路線でも、マイルスとオーネットではこんなに違う(笑)。フリーファンクともいわれますが、どこまでも軽やかに飛翔するオーネットのアルトの楽しさ、美しさを何に喩えたらいいのでしょう? 

これは強調してもしすぎることはないと思いますが、オーネットのアルトの音色はほんとにクリアで美しいんです。ファンクのリズムから立ち昇る神々しいまでのアルト。必聴です。

 

Ornette Coleman And Prime Time "Virgin Beauty"
(Portrait PRT 44301 / Columbia RK 44301)

Ornette Coleman (alto sax, trumpet violin)
Charlee Ellerbe (guitar)
Bern Nix (guitar)
Jerry Garcia (guitar) #1, 6, 7
Al MacDowell (bass)
Chris Walker (bass)
Denarde Coleman (drums, keyboard, percussion)
Calvin Weston (drums)

Produced by Denard Coleman
Recorded by Tom Lazarus
Recorded at Master Sound Astoria, Atantic Studios, Clinton Studios; 1988

[Tracks] 
01. 3 Wishes (music: Ornette Coleman)
02. Bourgeois Boogie (music: Ornette Coleman)
03. Happy Hour (music: Ornette Coleman)
04. Virgin Beauty (music: Ornette Coleman)
05. Healing The Feeling (music: Ornette Coleman)
06. Singing In The Shower (music: Ornette Coleman)
07. Desert Players (music: Ornette Coleman)
08. Honeymooners (music: Ornette Coleman)
09. Chanting (music: Ornette Coleman)
10. Spelling The Alphabet (music: Ornette Coleman)
11. Unknown Artist (music: Ornette Coleman)

[Links: Ornette Coleman]
Ornette Coleman (Official Website)
Ornette Coleman (@ Masuma's Website)
Ornette Coleman Discography (by Akio Kamiyama)
Ornette Coleman Discograohy Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。