
マイルスに楽曲を持ち逃げされた(笑)ヴィクター・フェルドマン。
本名、Victor Stanley Feldman。
1934年4月7日、ロンドン北郊エッジウェア生まれのイギリス人。
1987年5月12日、カリフォルニア州ロサンジェルスで死去。
ジャズ界にはいわゆる「早熟の天才」がゴロゴロいますが、彼の怪童ぶりは、なかでも1、2を争うのではないでしょうか。プロとしてのキャリアを歩みはじめたのは弱冠7歳! 10歳のときにはグレン・ミラーのバンドのドラマーに抜擢されます。
初リーダー作を吹きこんだのは14歳のとき。このときはまだドラマーに専念していますが、その後数年でヴァイブとピアノの腕も磨いたフェルドマンは、50年代半ばからウディ・ハーマン・ハードに参加。57年にアメリカに移住して、カリフォルニアを拠点に主にスタジオ・ミュージシャンとして多忙な日々を送ります。
『ジ・アライヴァル・オブ・ビクター・フェルドマン
ラファロというと、エヴァンスとのインタープレイがあまりにも有名ですが、クリアなのにぶっとい低音をブイブイいわせる4ビートのラファロもまた、すばらしい。ほとんどカヴァーされることはない、マイルスの〈サーペンツ・ティース(ヘビの毒牙)〉(『コレクターズ・アイテムズ
フェルドマンのヴァイブは、残響があまりなくキレで勝負するタイプ。ドラマー出身なだけあって、リズミカルに手がよく動きます。〈フラミンゴ〉などのゆったりとしたスタンダードも演っていますが、ミルト・ジャクソンの「後を引く」音色に慣れていると、少し物足りなさを感じるかもしれません。
ヴァイブなら、ガレスピーの〈ビバップ〉のほうがおもしろい。ややキワモノ的な感じもしますが、このスピードは尋常じゃありません。というか、無理でしょ、ふつう。どうやっているのかわかりませんが、演奏を聴くかぎり、完全な千手観音状態です(笑)。しかし、このスピードで前のめりになるラファロっていったい、、、
フェルドマンのピアノを楽しむなら、ショパンの〈ワルツ〉をアレンジした典雅な2曲目か(ただし、途中でヴァイブに持ちかえます)、3曲目のオリジナル〈チェイシング・シャドウズ〉。意外にハード・ボイルドな面をのぞかせます。
"The Arrival Of Victor Feldman"
(Contemporary C 3549 / S 7549)
Victor Feldman (vibraharp, piano)
Scott LaFaro (bass)
Stan Levey (drums)
Produced by Lester Koenig
Recorded by Roy DuNann, Howard Hozler
Recorded at Contemporary's studio, LA; January 21, 22, 1958
[Tracks]
01. Serpent's Tooth Miles Davis (music)
02. Waltz Frederic Chopin (music)
03. Chasing Shadows Victor Feldman (music)
04. Flamingo Ted Grouya (music) / Edmund Anderson (lyrics)
05. S'posin' Paul Denniker (music) / Andy Razaf (lyrics)
06. Be-Bop Dizzy Gillespie (music)
07. There Is No Greater Love Isham Jones (music) / Marty Symes (lyrics)
08. Too Blue Victor Feldman (music)
09. Minor Lament Victor Feldman (music)
10. Satin Doll Duke Ellington, Billy Strayhorn (music) / Johnny Mercer (lyrics)
[Links: Victor Feldman]
Victor Feldman Discography (@ British Modern Jazz)
[Links: Scott LaFaro]
Scott LaFaro: Beacon for Jazz Bassists (by Charles A. Ralston)
Scott LaFaro Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Stan Levey]
Stan Levey "The Original Original" DVD
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