2007年12月26日

『オスカー・ピーターソンの世界』

The Way I Really Play.jpg

オスカー・ピーターソンの世界』は、彼の大ファンであるというMPSの社長ハンス・ゲオルク・ブルナーシュワーのプライヴェート・スタジオで収録されました。エンジニアでもあるブルナーシュワーがみずから手がけた録音は、異様なまでにクリアで音の粒立ちがくっきりとしていて、まるで眼前でピーターソンがピアノを弾いているかのような錯覚に陥ります。
拍手が聞こえるのは、スタジオにお客を入れて録音されたから。そのことが、さらに臨場感を高めて、音の洪水を全身で浴びる快感があります。あ〜、気持ちいい〜。サイコー!

1曲目〈ワルツィング・イズ・ヒップ〉。これぞピーターソンともいうべき豪華絢爛なピアノが楽しめます。あまりのド派手ぶりに忘れがちになりますが、これ、ワルツなんです。ソロの途中で4拍子になったりしますが、3拍子でここまでノリノリの演奏ができなんて、やっぱりピーターソンはすごい!
ボビー・ダーハムも大活躍で、熱気あふれるドラム・ソロを聴かせます。ライヴなだけに、こりゃ盛り上がるわ。

5曲目〈不思議の国のアリス〉。ビル・エヴァンスやデイヴ・ブルーベックの演奏で有名ですが、こういう愛らしい曲を演らせても、ピーターソンはうまいです。
それにしても、とにかくよく指が動く。録音がよくて、細かな音まで拾ってあるから、余計にそう思うのかもしれませんが、この曲でこれだけ音数を多くして、しかもそれが違和感を生まないというのは奇跡に近いと思います。

全部聴くとお腹いっぱい。大満足のピーターソン盤です。

 

Oscar Peterson "The Way I Really Play"
(MPS 15180)

Oscar Peterson (piano)
Sam Jones (bass)
Bobby Durham (drums)

Produced and Recorded by Hans Georg Brunner-Schwer
Recorded at Hans Georg Brunner-Schwer Studio, Villingen, West Germany; April, 1968

[Tracks] 
01. Waltzing Is Hip Ray Brown, John Wayne (music) 
02. Satin Doll Duke Ellington, Billy Strayhorn (music) / Johnny Mercer (lyrics) 
03. Our Love Is Here To Stay George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics) 
04. Sandy's Blues Oscar Peterson (music) 
05. Alice In Wonderland Sammy Fain (music) / Bob Hilliard (lyrics) 
06. Noreen's Noctorne Oscar Peterson (music)

[Links: Oscar Peterson]
Oscar Peterson (Official Site)
Oscar Peterson: A Jazz Sensation (@ Library and Archives Canada)
Oscar Peterson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Jazz Giant : The Oscar Peterson Discography
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Sam Jones]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Bobby Durham]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

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2007年12月04日

『ジム・ホール・イン・ベルリン』

jimhallinberlin.jpg

更新をサボること約半年、今日からひそかに再開します。

今日はギタリスト、ジム・ホールの77回目の誕生日です。
ジム・ホール(本名 James Stanley Hall)は1930年12月4日、ニューヨーク州バッファローで生まれました。育ちはオハイオ州クリーブランド。ジャズ・ギタリストとしてのスタートは、55年に西海岸へ移住してチコ・ハミルトンのクインテットに参加してからです(この時代の代表作は『チコ・ハミルトン・クインテット(別名ブルー・サンズ)』)。
その後、ジミー・ジュフリーの変則トリオ(『ジミー・ジュフリー3』)を経てニューヨークへ進出、ソニー・ロリンズ(『』)、ポール・デスモンド(『テイク・テン』。このアルバムの記事はこちら)、アート・ファーマー(『スウェーデンに愛をこめて』。記事はこちら)らのグループに参加します。

こうして並べてみると、全部ピアノレスの変則コンボなんですね。ジム・ホールがいればピアノはいらない。それは、これらのアルバムを聴けばわかります。そこに彼がいるだけで、オブラートに包まれたかのように音楽が丸くなる不思議な名脇役。実に得がたい存在です。

1969年録音の『ジム・ホール・イン・ベルリン』は、9年ぶりに発表された彼のリーダー作です。10年近くリーダー作がなかったのも驚きですが、発売元がアメリカのレコード会社ではなくドイツのMPSだったというのも、当時のジムがおかれた状況を連想させますね。彼の繊細な音楽性は、60年代後半のハードなジャズとは相容れないものがありますから。

このアルバムのプロデューサーを務めたドイツのジャズ評論家ヨアヒム・ベーレントは、ジムの久々のリーダー作を収録するにあたって、ギター・トリオというミニマムなフォーマットを選択します。これ、大正解です。
ホーン奏者を入れてしまうと、ギターはどうしても脇役になってしまうし、かといって、ピアノといっしょではジムの微妙なコードワークにスポットが当たりにくい。うん、やっぱりギター・トリオで正解だ。

アルバムは、アップテンポな〈アップ・アップ・アンド・アウェイ〉で幕を開けます。ソニー・クリスの熱い演奏(アルバム『アップ・アップ・アンド・アウェイ』に収録)で知られるこの曲を、ジムは、ノリは生かしながらも知的に奏でます。よく聴くとかなり手の込んだことをやっているようですが、それが嫌みにならないところはさすがです。

続いて、名曲〈マイ・ファニー・ヴァレンタイン〉。ふだんはしっとりと演奏されるこの曲を、急速調で料理して周囲を驚かせたのは他ならぬジムですが(ビル・エヴァンスとの共演盤『アンダーカレント』に収録。記事はこちら)、ここでもかなり早いペースで妙技をくり出しています。
そういえば、最後に入っている自作曲〈ロメイン〉も『アンダーカレント』に入っていましたね。これ、ひょっとしてベーレントのリクエストかな?

 

"It's Nice To Be With You: Jim Hall In Berlin"
(SABA/MPS 15245)

Jim Hall (guitar)
Jimmy Woode (bass)
Daniel Humair (drums)

Produced by Joachim E. Berendt
Recorded by Eberhard Sengspiel
Recorded at Teldec Studio, Berlin; Jun 27, 28, 1969

[Tracks]
01. Up, Up And Away Jim Webb (music and lyrics)
02. My Funny Valentine Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
03. Young One, For Debra Jim Hall (music)
04. Blue JoeJim Hall (music)
05. It's Nice To Be With You Jane Herbert (music)
06. In A Sentimental Mood Duke Ellington (music) / Manny Kurtz, Irving Mills (lyrics)
07. Body And Soul Johnny Green (music) / Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton (lyrics)
08. Romaine Jim Hall (music)

[Links: Jim Hall]
Jim Hall (Official Website)
Jim Hall Maniacs (by 益満妙 エキマンタエ)
ジム・ホール アルバム蒐集 (by kawagu)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Jimmy Woode]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Daniel Humair]
Daniel Humair (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

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2006年06月11日

ジョン・テイラー『覚醒』

decipher.jpg

1次リーグB組の1試合目、イングランド対パラグアイ。1−0でイングランドがかろうじて勝利を手にしました。初戦のむずかしさはあるにしても、イングランドの運動量、少なすぎですね。暑さでバテたのか、後半の精彩を欠いたプレイが心配です。2メートルをこえるといわれるクラウチ(倉内、蔵内?)は、ゴール前ではほとんど仕事をさせてもらえませんでした。ストレスがたまった彼がこの先、出場停止をくらって、8年前のベッカムのような圧力を受けずにすむよう、祈るばかりです。

イギリス人ジャズ・ピアニスト、ジョン・テイラー。1942年9月25日、イギリス・マンチェスター生まれ。ドイツの MPS レーベルに残された『覚醒』は(原題は Decipher。「(暗号などを)解読する」という意味です)、ミスター金字塔(笑)星野秋男さんが「欧州ジャズの金字塔」の一枚に推す強力なアルバムです。

いまでこそ、ジョン・テイラーはいわゆる ECM 系アーティストの一人と思われていますが、デビュー当時の彼は、もっとアグレッシヴで切れ味鋭いピアノを聞かせていました。知的でスリリング、甘さを排したハードボイルドな響きに、おもわずのけぞります。感情移入を拒む厳しさがありますが、シャープに切れ込むテイラーのピアノに、リリカルとは違う、欧州ジャズの別の側面を見る思いです。

SABA/MPS レーベルについては、こちらで。SABA/MPS Records Listing (Jazz Label Listings Project)



John Taylor "Decipher"
(MPS 15316)

John Taylor (piano)
Chris Lawrence (bass)
Tony Levin (drums)

Produced by MPS Records
Recorded at MPS ton studio, Villingen, Germany; 1972, 73

[Tracks]
01. Chipher 〜 Wait For Me John Taylor (music)
02. Leaping John Taylor (music)
03. Speak To Me John Taylor (music)
04. Song For A Child John Taylor (music)
05. White Magic John Taylor (music)

[Links: John Taylor]
John Taylor (Official Website)

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2005年02月18日

ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン『ハンニバル・イン・ベルリン』

hannibalinberlin.jpg

ハンニバル・イン・ベルリン』は、ハンニバル・マーヴィン・ピーターソンと(現在は、Hannibal Lokumbe と名乗っているらしい)彼の率いるサンライズ・オーケストラ(といっても6人編成。女性のチェロが入っています)が、ベルリン・ジャズ・フェスティヴァルに参加したときの記録です。エネルギッシュで自由奔放、それでいてオドロオドロしいところもあるハンニバルのペットを全身で浴びてください。

あっそうそう、このアルバムには、あの〈マイ・フェイヴァリット・シングス〉が入っています。コルトレーンの演奏があまりにもすさまじかったせいか、なかなかほかの人が手を出そうとしないことで有名な曲です。われらがハンニバルはそんなことはおかまいなしに、バリバリ吹きまくっています(トレーンに対するリスぺクトが感じられるのはもちろんですが)。清々しささえ感じられる名演です。

ベルリン・ジャズ・フェスティヴァルのオフィシャル・サイトはここです(1964年〜。フリージャズの盛んな土地柄からか、フリー系のミュージシャンが多いらしい)、左側の「JazzFest Berlin」にいくと、過去の出演者などが検索できます。



Hannibal Marvin Peterson "Hannibal In Berlin”
(MPS 15496)

Hannibal Marvin Peterson (trumpet, koto, vocal)
George Adams (tenor sax)
Michael Cochrane (piano)
Diedre Murray (cello)
Steve Neil (bass)
Allen Nelson (drums)

Produced by Joachim-Ernst Berendt
Recorded by Carlos Albrecht
Recorded live at Berlin Jazz Festival, Philharmonie, Berlin; November 3, 1976

[Tracks] 
01. The 23rd Psalm (music: Hannibal Marvin Peterson)
02. Willow Weep For Me (music+words: Ann Ronell)
03. Bessie's Blues (music: John Coltrane)
04. Swing Low Sweet Chariot (traditional)
05. My Favorite Things (music: Richard Rodgers / words: Oscar Hammerstein II)

[Links: Hannibal Marvin Peterson]
Hannibal Peterson Online Archive (@ Robert's Jazz Corner)
[Links: George Adams]
George Adams Discography / Sessionography (@ Marcel Safier's Jazz Home Page)
[Links: Michael Cochrane]
Michael Cochrane (Official Website)

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2005年02月17日

ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン『ハンニバル』

hannibal.jpg

ハンニバルといえば、人肉食(!)のハンニバル・レクター、いや、ポエニ戦役でローマ人を恐怖に陥れたカルタゴの名将ハンニバルのことですが(知らない人は塩野七生さんの『ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記 (上)』『同 (4) ― ハンニバル戦記 (中)』『同 (5) ― ハンニバル戦記 (下)』をどうぞ)、ジャズの世界にもハンニバルを名乗る人がいます。それがこの ”ハンニバル” マーヴィン・ピーターソンです。1948年11月11日、テキサス州スミスヴィル生まれ。

こういうたいそうな名前を平気で名乗るぐらいですから、大のほら吹き(ラッパ吹き?)です。全身筋肉の塊のようなマッチョなトランペット・サウンドに身を委ねれば、鼻血が出るほど興奮すること間違いなし! 彼を称して「血液がガソリンでできてる」と書いているのをどこかのサイトで読みましたが、ホント、そのとおり! 燃費の悪いアメ車がガソリンを大量に食いながら暴走するような迫力があります。

MPS 盤『ハンニバル』。ジャケットをよく見ると、真ん中にいるのは鼻の先がラッパの形をしたゾウさんです。これはもちろん、ゾウをしたがえてアルプス越えを敢行したハンニバルの伝説をふまえてのことです。けっこう笑えます。



Hannibal Marvin Peterson "Hannibal"
(MPS 15444)

Hannibal Marvin Peterson (trumpet, koto, vocal)
Michael Cochrane (piano)
Diedre Murray (cello)
Stafford James (bass)
Thabo Michael Carvin (drums, percussion)
Chris Hart (percussion)

Produced by Joachim-Ernst Berendt
Recorded by Kurt Rapp, Martin Wieland
Recorded at Tonstudio Bauer Ludwigsburg, Germany; July 1, 2, 1975

[Tracks]
01. The Rabbit (music: Diedre Murray)
02. Revelation (music: Michael Cochrane)
03. Misty (music: Erroll Garner / words: Johnny Burke)
04. The Voyage (music: Hannibal Marvin Peterson)
05. Soul Brother (In Dedication To Malcolm X) (music: Hannibal Marvin Peterson)

[Links: Hannibal Marvin Peterson]
Hannibal Peterson Online Archive (@ Robert's Jazz Corner)
[Links: Michael Cochrane]
Michael Cochrane (Official Website)

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2004年12月30日

オスカー・ピーターソン『ソロ』

myfavoriteinstrument.jpg

ピアノの音を全身に浴びたいとき、私は MPS 時代のオスカー・ピーターソンを取り出します。カナダが生んだ最大のスター、ピーターソン。本名、Oscar Emmanuel Peterson。1925年8月25日、ケベック州モントリオール生まれ。

ヴァーヴ・レコードの創始者ノーマン・グランツがアート・テイタムのピアノを聞いて驚喜したように(グランツのテイタムに対する惚れ込みようは尋常じゃなくて、ヴァーヴ・レコードを丸ごと売却したにもかかわらず、テイタムの音源だけは後にふたたび興したパブロ・レーベルにまでもっていったのでした)、MPSのオーナー、ハンス・ゲオルク・ブルナーシュワーはピーターソンのピアノを録音したくてMPSレーベルを作ったのです。

ピーターソンにしては珍しいソロ・ピアノ作、その名も『ソロ』。原題は『マイ・ファイヴァリット・インストゥルメント』ですが、ピーターソンの「フェイヴァリットな楽器」とは何か。名器として名高いスタインウェイのピアノです。オーナー宅にある最高のスタインウェイを思うがままに弾きまくってできたのがこの作品です。ああ、なんという恍惚感。

河出書房新社から出ている『グレン・グールド』(KAWADE 夢ムック)で、坂本龍一浅田彰が対談していて、ピーターソンを称して「音がデカくて下品」というコメントが載っていて笑っちゃいましたが、たしかに知性を感じさせない下品なピアノです(笑)。でも、この下世話な感じ、饒舌でほっとけばいつまでもしゃべり続けるようなやかましさは、ほかの何者にも代えがたい。私は好きですよ、本当に。

 

Oscar Peterson "My Favorite Instrument"
(MPS 15181)

Oscar Peterson (piano)

Recorded by Hans Georg Brunner-Schwer
Recorded at the private studio of Hans Georg Brunner-Schwer; April 1968

[Tracks] 
01. Someone To Watch Over Me (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
02. Perdido (music: Juan Tizol / words: H. J. Lengsfelder, Ervin Drake)
03. Body And Soul (music: Johnny Green / words: Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton)
04. Who Can I Turn To (music: Anthony Newley / words: Leslie Bricusse)
05. Bye Bye Blackbird (music: Ray Henderson / words: Mort Dixon)
06. I Should Care (music: Axel Stordahl, Paul Weston / words: Sammy Cahn)
07. Lulu's Back In Town (music: Harry Warren / words: Al Dubin)
08. Little Girl Blue (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
09. Take The "A" Train (music+words: Billy Strayhorn)

[Links: Oscar Peterson]
Oscar Peterson (Official Website)

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