2006年01月27日

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』

auclubsaintgermain1.jpg 

auclubsaintgermain2.jpg 

auclubsaintgermain3.jpg

1958年10月末に時代を画する傑作『モーニン』をものにしたアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ(JM)の面々は、その年の暮れ、ヨーロッパへと旅立ちます。

折しも、フランス映画界はヌーヴェル・ヴァーグ真っ盛り。早くも57年には、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)が映画『大運河』のために『たそがれのヴェニス』を吹き込み、マイルス・デイヴィスもサントラ盤『死刑台のエレベーター』を残すなど、ジャズと映画の熱い関係が注目された時期でした。そんな最中に同地を訪れた JM が放っておかれずはずもなく、彼らも初のサントラ盤『殺られる』を吹き込んでいます(58年11月28日録音)。

『モーニン』収録で勢いに乗るこの時期の JM は絶好調。58年末のツアーでも、彼らは2つの傑作ライヴを残します。1つは『パリ・オリンピア・コンサート』(11月12日、12月17日録音)。そして、もう1つが、今日紹介する『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ Vol. 1』『同 Vol. 2』『同 Vol. 3』です(いずれも、12月21日録音)。

「ファンキー・ジャズの伝道師」とは、名曲〈モーニン〉を引っさげて各国をまわった JM に与えられた称号ですが、ブームとなったのもうなずけるような、熱い演奏が続きます。

それにしても、フランス人はよくしゃべる(笑)。演奏中も、のべつまくなししゃべり続けています。じゃあ演奏は聞いてないかというと、そんなことはなくて、メンバーがくり出す音やリズムには敏感に反応します。知っているメロディーが流れれば、いっしょに歌いだすし、笑ったり、声を張り上げたり、忙しいことこのうえない。でも、やけに楽しそうなんですね。こういう観客って、演奏しているほうも楽しいだろうなあ。何かおかずを出すと、いちいち反応してくれるわけですから。

  



Art Blakey & The Jazz Messengers "Au Club Saint-Germain 1958, Vol. 1"
(RCA 430043)
Art Blakey & The Jazz Messengers "Au Club Saint-Germain 1958, Vol. 2"
(RCA 430044)
Art Blakey & The Jazz Messengers "Au Club Saint-Germain 1958, Vol. 3"
(RCA 430045)

Lee Morgan (trumpet)
Benny Golson (tenor sax)
Bobby Timmons (piano)
Jymie Merritt (bass)
Art Blakey (drums)

Recorded live at the Club Saint-Germain, Paris; December 21, 1958

[Tracks: Vol. 1]
01. Politely (music: Bill Hardman)
02. Whisper Not (music: Benny Golson)
03. Now's The Time (music: Charlie Parker)
04. The First Theme

[Tracks: Vol. 2]
01. Moanin' With Hazel (music: Bobby Timmons)
02. Evidence (music: Thelonious Monk)
03. Blues March For Europe No 1 (music: Benny Golson)
04. Like Someone In Love (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Burke)

[Tracks: Vol. 3]
01. Along Came Manon (music: Benny Golson)
02. Out Of The Past (music: Benny Golson)
03. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
04. Ending With The Theme

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Benny Golson]
Benny Golson's Official Website
[Links: Bobby Timmons]
Bobby Timmons Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:53| Comment(1) | TrackBack(0) | RCA Victor | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月25日

アート・ブレイキーズ・ジャズ・メッセンジャーズ『チュニジアの夜』

anightintunisia_vik.jpg Art Blakey - Night in Tunisia

1956年5月、ジャズ・メッセンジャーズ(JM)の両巨頭、アート・ブレイキーとホレス・シルヴァーはいよいよ別々の道を歩みはじめます。解散が先か、シルヴァーの独立が先かは定かではありませんが、結果的に、シルヴァーはブレイキー以外のすべてのメンバーを自己のグループのメンバーとして雇い入れることになります。

ブレイキーの側から見れば「裏切り」に等しい行為ですが、シルヴァーの側から見ると「仕事にあぶれた」メンバーを救ったということになります。まあ、こういうのは双方に言い分があって、どっちが正しいとか、どっちが悪いとかはいえませんが、シルヴァーとモブレイという作曲、編曲に秀でた2人の才能を同時に失ったブレイキーの窮状は想像するにあまりある。実際,この後数年にわたって JM は不遇時代を迎えます。

この『チュニジアの夜』は、そんな時代の作品です。RCA 傘下のヴィック・レーベルに残されました(1957年4月8日録音)。ブルーノートにも同じ JM 名義の『チュニジアの夜』というアルバムがあるので、注意してください(1960年8月7日、14日録音。BLP−4049)。

ヴィック盤のほうは、グループ名が「アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ」ではなく、「アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズ」となっているところに、ブレイキーの自負がにじみ出ています(笑)。

メンバーを見ると、不遇時代にしては意外と豪華で、アルトのジャッキー・マクリーンにテナーのジョニー・グリフィンが名を連ねています。メンバー総入れ替え後の JM は、まずマクリーン入りのクインテットでスタートし、その後、グリフィンがマクリーンと入れ替わります。この作品では例外的に2人が顔をそろえたようです。

それでも何となく印象がうすいのは、トランペット(とピアノ)が役不足だからですね。ビル・ハードマンには悪いですが、トランペットは何といってもハードバップの「華」ですから、そこが弱いと、全体に印象に残りにくい。それは事実です。

でも、私はこの作品が嫌いではありません。ガレスピー作の〈チュニジアの夜〉は、いつでも聞くものを熱くしてくれるジャム・セッションの定番曲ですが、マクリーンもグリフィンも、お互いにいい刺激になったのか、どちらも熱く突っ走ります。後半のブレイキーのロング・ソロなど、まさに彼の独壇場です。13分にも及ぶ長尺な演奏なのですが、ほとんどそれを感じさせません。この1曲のおかげで、このアルバムは歴史の彼方に消え去るのをまぬがれたといえるかもしれません。

 

Art Blakey's Jazz Messengers "A Night In Tunisia"
(Vik LXA 1115 → RCA LPM 2654/LSP 2654)

Bill Hardman (trumpet)
Jackie McLean (alto sax)
Johnny Griffin (tenor sax)
Sam Dockery (piano)
Spanky DeBrest (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Bob Rolontz
Recorded in NYC; April 8, 1957

[Tracks] Art Blakey - Night in Tunisia
01. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
02. Off The Wall (music: Johnny Griffin)
03. Theory Of Art (music: Bill Hardman)
04. Couldn't It Be You? (music: Jackie McLean)
05. Evans (music: Sonny Rollins)

[Links: Jackie McLean]
Jackie McLean (@ ジャズの酒蔵)
Bluesnik: Jackie McLean (by masaki nakano)
Jackie McLean Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Johnny Griffin]
Johnny Griffin Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 06:50| Comment(2) | TrackBack(0) | RCA Victor | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月03日

ポール・デスモンド『テイク・テン』

taketen.jpg Paul Desmond - Take Ten

ふっくらとやわらかいアルトの音色。力強さや派手さとは無縁の、なめらかでやさしい語り口。ポール・デスモンドは、あまたいるアルト奏者の中でも、特異な位置を占めています。ポール・デスモンド。本名は、Paul Emil Breitenfeld。1924年11月25日、カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。1977年5月30日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。

ふだん自己主張の強い音楽ばかり聞いていると(ジャズは個性を楽しむ音楽です!)、たまに恋しくなるんです、こういうひかえめな個性の持ち主が(彼自身は、ちょっとクセのあるタイプのようですが)。同じく「なごみ系」のギタリスト、ジム・ホールとの相性もバッチリです。

そういえば、このジム・ホール、つくづく「なごみ系」のアーティストで、以前はトランぺットのアート・ファーマーと組んで、極上のリラックス盤をいくつか残してくれました(仲は相当悪かったそうですが)。

さて、この『テイク・テン』は、変調子ジャズの代名詞、デイブ・ブルーベック・カルテットの〈テイク・ファイヴ〉(『タイム・アウト』に収録)の続編という位置づけです。白人中心のカレッジで人気を博したこの曲は、自身も作曲をよくしたピアニスト、ブルーベックのアルバムにしては珍しく、ポール・デスモンドのオリジナルでした。

ブルーベックのもとを離れたデスモンドは、自分のリーダー作ではほとんどピアニストを用いませんでしたが、その理由は定かではありません。もしかしたら、ブルーベックとの間に何か確執でもあったのでしょうか? ただ、もともと線の細い、軽やかなサウンドを得意としたデスモンドには、饒舌なピアノが似合わないのは事実です。ジム・ホールのひかえめなバッキングこそ、デスモンドの特質を浮かび上がらせるのに最適だといえそうです。

そして、彼の「らしさ」がもっとも際立ってくるのが、「軽さこそ命」のボサノヴァを吹いたときです。このアルバムには、あの〈カーニバルの朝〉が入ってます。別名〈黒いオルフェ〉としても知られるボッサの名曲ですが、デスモンドのアルトが軽やかにステップを踏みはじめたとたん、そこにはたちまち涼しげな風が吹きはじめます。心地よい音楽で気持ちよくリラクゼーション。いやあ、なごみだねえ〜。

ドラマーのコニー・ケイは、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)のメンバーです。デスモンドのなごみ系の音楽は、MJQ の室内楽ふうのサウンドとも近しい関係なのかもしれません。

 

Paul Desmond "Take Ten"
(RCA LPM-2569)

Paul Desmond (alto sax)
Jim Hall (guitar)
Gene Cherico (bass)
Gene Wright (bass) #1
Connie Kay (drums)

Produced by George Avakian
Recorded by Ray Hall
Recorded at Webster Hall, NYC; July 5 (#8), 10 (#5, 7), 12 (#3) 14 (#2, 4, 6), 25 (#1), 1963

[Tracks] Paul Desmond - Take Ten
01. Take Ten (music: Paul Desmond)
02. El Prince (music: Paul Desmond)
03. Alone Together (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
04. Embarcadero (music: Paul Desmond)
05. Black Orpheus [Manha De Carnaval] (music: Luiz Bonfa / words: Antonio Moraes)
06. Nancy (With The Laughing Face) (music: Jimmy Van Heusen / Phil Silvers)
07. Samba De Orfeu (music: Antonio Carlos Jobim, Luiz Bonfa)
08. The One I Love Belongs To Somebody Else (music: Isham Jones / words: Gus Kahn)

[Links: Paul Desmond]
Pure Desmond (by Paul Caulfield)
Paul Desmond Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jim Hall]
Jim Hall (Official Website)
Jim Hall Maniacs (by 益満妙 (エキマンタエ))

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:00| Comment(1) | TrackBack(0) | RCA Victor | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。