2007年12月28日

『ミシェル・ペトルチアーニ』

Michel Petrucciani.jpg Michel Petrucciani - Michel Petrucciani

今から45年前の今日、ペトちゃんことミシェル・ペトルチアーニがこの世に生を授かりました(1962年12月28日、南仏プロヴァンスのオランジュ生まれ)。
生まれつき骨形成不全症という病気を患っていて、身長は1メートルほど、骨ももろく、寿命は20年ほどだといわれていました(実際は36歳まで生きた)。身体は小さなペトちゃんですが、手は大きい。その大きな手を振りかざして全身全霊で演奏に打ち込む姿は、またに「ピアノの化身」。見る者に大きな感動を与えてくれる存在でした。

フランスのレーベル、アウルに吹きこまれた『ミシェル・ペトルチアーニ』(通称「赤ペト」)は、ペトちゃん18歳のときの公式デビュー盤です。
ジェニー・クラーク、アルド・ロマーノという、フリー・ジャズもこなす重量級のリズム・セクションをバックに、臆することなく、色彩豊かなメロディーをくりだすペトちゃんがいとおしい。

音の粒立ちの美しさも、ペトちゃんならではです。力強く、歯切れのよいタッチで、鍵盤のうえを縦横無尽にかけめぐるペトちゃんの右手はまさにビューティフル! 
このポジティヴな音色を聴きたくて、ついついペトちゃんのアルバムに手を伸ばしてしまうんです。えもいわれぬ高揚感。人生って悪くないな、と思える瞬間です。



"Michel Petrucciani"
(Owl 025)

Michel Petrucciani (piano)
J.F. Jenny Clark (bass)
Aldo Romano (drums)

Produced by Jean-Jacques Pussiau, Francois Lemaire
Recorded by Yan Willen
Recorded at Spitsbergen Studio, Holland; April 3, 4, 1981

[Tracks] Michel Petrucciani - Michel Petrucciani
01. Hommage A Enelram Atsenig Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Michel Petrucciani - Hommage A Enelram Atsenig
02. The Days Of Wine And Roses Henry Mancini (music) / Johnny Mercer (lyrics) Michel Petrucciani - Michel Petrucciani - Days Of Wine And Roses
03. Christmas Dreams Aldo Romano (music) Michel Petrucciani - Michel Petrucciani - Christmas Dreams
04. Juste Un Moment Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Michel Petrucciani - Juste Un Moment
05. Gattito Aldo Romano (music) Michel Petrucciani - Michel Petrucciani - Gattito
06. Cherokee Ray Noble (music and lyrics) Michel Petrucciani - Michel Petrucciani - Cherokee

[Links: Michel Petrucciani]
Michel Petrucciani (by Rainer Wolffram)
J'adore Michel Petrucciani (by poisson)
Discography of Michel Petrucciani (@ Corner Pocket by thedia)
Michel Petrucciani (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: J.F. Jenny Clark]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Aldo Romano]
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2006年07月12日

マルコ・ディ・マルコ『アット・ザ・リヴィング・ルーム』

atthelivingroom.jpg Marco Di Marco Trio - At the Living Room

終わっちゃいましたね、ワールドカップ。予選は1年前からはじまりますが、あの興奮を4年もガマンしなくちゃいけないなんて、、、

3位決定戦、ドイツ3−1ポルトガル。
決勝、イタリア1−1(PK5−3)フランス。

八百長疑惑にゆれるイタリアが24年ぶり4度目の優勝を飾りました。決勝に8選手も送り込んだユーベは、本当にセリアCに降格してしまうのでしょうか。

それにしても、ジダンはいかんでしょう。マテラッツィはたしかに札付きの悪のようで、何か口汚いことをいったのでしょうが、頭突きはいかん。ダメなものはダメです、やっぱり。そんなジダンを MVP に選んでしまうのも考えものです。試合前に投票を済ませた人が多かったそうですが、それを抜きにしても、ジダンに MVP を与えるということは、この8年間、サッカー界は進歩どころか後退したことを意味します。スペイン戦で一瞬の輝きを取り戻したジダンですが、やはり体力の衰えは隠せない。全盛期を知る者にとっては、見ていて辛いものがあったはずです。

私なら迷わずイタリアのキャプテン、DFのカンナヴァーロを選びます。準決勝、決勝の彼の守備、見ました? 絶好調のクローゼ(5得点で得点王を獲得)を完全に無力化し、防戦一方になった決勝後半、危ない場面にはことごとくカンナヴァーロが出てきて、フランスに得点を許しませんでした。まさに鬼気迫る守備。体格的には日本人とそんなに変わらないはずなのに、読みの正確さ、当たりの強さ、球を奪う技術、どれをとっても、うっとりするくらいのプレイヤーです。この試合が代表100試合目だった彼に、MVP をあげたかったなあ。

イタリアはボローニャ出身(1940年生まれ)のピアニスト、マルコ・ジ・マルコの『アット・ザ・リヴィング・ルーム』(1973年11月10日〜12日、パリで録音)。

オープニング。時代を感じさせるエレピの音を聞いただけでげんなりしてしまう人、ちょっと待った〜! 判断するのは、2曲目以降を聞いてからでも遅くありません。エレピは1曲目だけ、あとは純粋なピアノ・トリオです。

2曲目の輝かしいまでの音色とスピード感はどうですか。録音もいいです。ベースがズンズン、ドラムがビシッバシッと腹に響いてきます。こりゃ、気持ちいいぞ〜。一転して3曲目は、美しすぎるマルコのピアノに目を見張ります。ライナーを書いているマーシャル・ソラールに捧げられたソロ演奏なのですが、本当に惚れ惚れするほど美しい。

ほかにも、新主流派時代のハンコックを思わせる5曲目、心がうきうきするような、かわいらしい小品の7曲目など、美旋律の宝庫です。そう思って、冒頭のエレピをもう一度聞くと、あふれんばかりのリリカルさに思わずハッとするはずです。私はこのエレピの演奏もけっこう気に入ってます。



Marco Di Marco "At The Living Room"
(Arision Recordings ARI 014 CD)

Marco Di Marco (piano, Fender Rhodes #1)
Jacky Samson (bass)
Charles Saudrais (drums)

Recorded by William Flageolet
Recorded at the Living Room, Paris; November 10-12, 1973

[Tracks] Marco Di Marco Trio - At the Living Room
01. I Miei Ricordi Marco Di Marco (music)
02. Le Mors Aux Dents Marco Di Marco (music)
03. Solo Pour Martial Marco Di Marco (music)
04. Au Dceuf Gros Sel Marco Di Marco (music)
05. Valse Marco Di Marco (music)
06. Ballata N.1 Marco Di Marco (music)
07. Dopo Marco Di Marco (music)
08. Par Avion Marco Di Marco (music)

[Links: Marco Di Marco]
Marco Di Marco: Jazz Pianist and Composer

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2006年07月03日

ジョルジュ・アルヴァニタス『イン・コンサート』

inconcert.jpg

準々決勝第四試合、フランス1−0ブラジル。序盤の采配ミスもあって攻撃のリズムがなかなかつかめなかったブラジルですが、まさか負けるとは思いませんでした。ホンマに残念! アンリ・フリークのうちの奥さんは狂喜してますが、どうなんでしょう。今のフランスに準決勝、決勝と勝ち進むだけの力がありますか? 今大会、ことごとく期待を裏切られ続けている私の、現在の目標(?)は、ドイツの優勝を阻止すること(笑)。ブラジルがその一番手だと思っていたのですが、フランスでドイツに勝てるかなあ。ちと不安です。

まあ、フランスにとっては、不仲説がささやかれていたアンリとジダンのホットラインがはじめて通じたということで、明るい材料にはなるでしょうね。でも、アーセナルでのアンリと代表でのアンリは、やっぱり別人です。最後の最後でアンリに頼れるかというと、そんなことはないと思います。スマートすぎるアンリには、そういう重圧にこたえる覚悟はないと私には見えるのですが、どうでしょうか???

私がフランスに厳しすぎるように見えるとしたら、その一因は、間違いなく前日本代表監督のトルシエさんが決勝は「ドイツ対フランス」と予想したことにあると思います。どうも私はこの人と相性が悪く、いうことなすことすべて否定したくなるのです(笑)。これは理屈じゃなくて、感情的な反発にすぎないわけですが、同じような感情をもつ人も少なくないのでは、と勝手に想像しています。

フランス人ピアニスト、ジョルジュ・アルヴァニタス。1931年6月13日、フランス・マルセイユ生まれ。

この人、演っている音楽のわりに、どういうわけか、バルネ・ウィランと同じ「頑固親父」のにおいがします。モードを取り入れたりして、(当時としては)それなりに新しい試みをしているはずなのですが、そこに一本筋が通っているというか、理屈っぽさが感じられるのです。でも、その理屈は「屁」理屈ではなくて、もっと説得力のある何か。どっしりとしてぶれない人生哲学が基本にあって、それが有無をいわさぬ迫力を生み出している。そんな感じです。ミーハー度をゼロにしたマッコイ・タイナーといったら、怒られるかな?

Georges Arvanitas "In Concert"
(Futura GER-11)

Georges Arvanitas (piano)
Jacky Samson (bass)
Charles Saudrais (drums)

Produced by Gerard Terrones
Recorded by Roger Delongeas
Recorded at Centre Culturel Americain, Paris; November 25, 1969 (#2, 3), January 27, 1970 (#1, 4)

[Tracks]
01. Sixieme Sens Georges Arvanitas (music)
02. Colchique Dans Les Pres (traditional)
03. Ah! Le Chat Georges Arvanitas (music)
04. Indian Georges Arvanitas, Charles Saudrais (music)

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2006年07月02日

ジョアン・パウロ『Serra Sem Fim』

serrasemfim.jpg

準々決勝第三試合。ポルトガル0−0(PK3−1)イングランド。夜に客人があり、酔っぱらって寝てしまったので、私が見たのは0−0で迎えた延長戦から。予想外の展開に戸惑いながらも、あれよあれよという間にPK戦に突入。先に蹴ったポルトガルが2人連続で枠を外して万事休すと思いきや、ポルトガルの守護神リカルドが好セーブを連発。結局、4人中3人を止めるという離れ業を演じて、勝負が決しました。

PK戦というのは、やるほうはたまらんのでしょうが、見ているほうは盛り上がります。それにしても、あれほど見ていて入る気がしないGKというのも、ちょっと記憶にないなあ。GKが活躍したPK戦というと、アジアカップの準々決勝ヨルダン戦で、神がかったスーパーセーブを連発した川口のことが思い出されますが、あのときは、ホントに「神サマ」が乗り移ったような気がしたものです。でも、リカルドのそれはまったく違いました。理詰めでコースを読み切り、完璧にブロックした。圧倒的な力量の差で相手のシュートを無力化したリカルドは見事です。イングランドのGKが逆をとられてばかりいたのとは対照的でした。GKも立派な「戦力」だと痛感しましたね。

個人的にはポルトガルが勝ってうれしかったのですが、困ったのは、ポルトガルはジャズの不毛地帯なんですね。前回紹介した歌手のマリア・ジョアンは大好きで、何枚かアルバムももっていますが、それしか知らない。で、いろいろ調べていたら、1枚だけ手元にあることが判明しました。ジョアン・パウロの『Serra Sem Fim』。

この人のことは全然知らないのですが(ネットで調べようにも、そもそもポルトガル語がわからないし、「Joao Paulo」で検索しても前法王ヨハネ・パウロ二世がいっぱい出てくるしで、調べようがありませんでした)、とにかくポルトガル人であることは間違いないようです(笑)。

タイトルは「Endless Mountain」といった意味だそうで、ポルトガル(の国土でしょうね)のことを指すと、ライナーにはあります。ソプラノまたはアルト・サックス+ピアノ・トリオという編成ですが、オーソドックスなワン・ホーン・カルテットとは違って、カラッとしているけれど、少しだけ陰影のあるブラジル音楽(なんじゃそりゃ)といった不思議な印象の作品にしあがっています。

先入観なしに聞いて、この音楽の出自を当てるのは難儀ですが、ブラジルの旧宗主国ポルトガルのジャズだよ、といわれて聞くと、「あ〜、なんかわかる気がする」という反応が返ってきそうです。う〜ん、うまく説明できないな。

明るすぎず、重すぎず、知的な味わいもあって、気に入る人は気に入るんじゃないかなあ。このサックス、昨今のチャールズ・ロイドが好きな人なんか、けっこうハマりそうな気がするのですが。といっても、アマゾンにはリストアップされていないようでした。どこから入手できるかは不明。健闘を祈ります。

Joao Paulo "Serra Sem Fim"
(Farol 005/95)

Jorge Reis (alto sax, soprano sax)
Joao Paulo (piano)
Mario Franco (bass)
Jose Salgueiro (percussion)

Produced by Joao Paulo, Jose Salgueiro
Recorded by Fernando Abrantes
Recorded at Estudios Xangrula; December 3, 1993

[Tracks]
01. Samba Sem Fim 〜 Serra De Algures Joao Paulo (music)
02. Tambores Da Serra 〜 Valsa Para O Nao Parecer Joao Paulo (music)
03. Lua Cheia Mario Franco (music)
04. Paisagem Joao Paulo (music)

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2006年07月01日

ギド・マヌサルディ『イマジニ・ヴィジヴ』

immaginivisive.jpg

ドイツの対戦相手となるのは、堅守を誇るイタリアです。準々決勝第二試合、イタリア3−0ウクライナ。今大会不発だった遅咲きのストライカー、ルカ・トニが2ゴールをあげて、快勝しました。正確無比のゴール・マシーン、シェフチェンコといえども、たった一人でイタリアのカテナチオ(かんぬき)をこじ開けるのは無理でした。惜しい場面はいくつかあったけれど、ね。

地元の声援をバックに勢いにのるドイツと、伝統の堅守に、鋭い攻撃力を加えたイタリア。こいつは、おもしろい対決になりそうです。

イタリア人ピアニスト、ギド・マヌサルディ。1935年12月3日、イタリア・キアヴェンナ生まれ。といっても、彼の才能は母国イタリアを遠く離れ、欧州各地を転々とした後、北欧スウェーデンや東欧ルーマニアにおいて開花します。

かつて幻の名盤といわれた『イマジニ・ヴィジヴ』。一聴して驚くのは、その圧倒的な新しさです。ものの本(ジャズ批評ブックス『ジャズ・ピアノ入門』)で、杉田宏樹さんがチックの『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』をひきあいに出して、その新しさを表現していますが、その気持ち、わかりますよ〜。どこをきりとってもすべてフレッシュで、新時代の幕開けを強く印象づけた初期のチック。ソリッドステイト〜 ECM 時代のチックだけがもちえたあの「新鮮さ」を、このアルバムからは感じ取ることができます。

まあ、1曲目の〈オルトレメラ〉を聞いてみてくださいよ。絶対後悔させませんから。



Guido Manusardi "Immagini Visive"
(Dire FO-360)

Guido Manusardi (piano)
Furio Di Castri (bass)
Gianni Cazzola (drums)

Produced by Tito Fontana
Recorded at Fontana SAS, Recording Studio 7, Cordo Venezia 7, Milano; January 12, 13, 1981

[Tracks]
01. Oltremera Guido Manusardi (music)
02. Love Dance Guido Manusardi (music)
03. In Your Own Sweet Way Dave Brubeck (music)
04. Yesterdays Jerome Kern (music) / Otto Harbach (lyrics)
05. Poinciana Nat Simon (music) / Buddy Bernier (lyrics)
06. I Crott De Ciavena Guido Manusardi (music)
07. What Kind Of Fool Am I Anthony Newley, Leslie Bricusse (music and lyrics)
08. La Cort Di Asen Guido Manusardi (music)

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ヨアヒム・キューン『フロム・タイム・トゥ・タイム・フリー』

fromtimetotimefree.jpg

いよいよ準々決勝がはじまりました。グループリーグで敗れ去った日本には悪いですが、W杯の本番がはじまるのは決勝トーナメントから。とくに準々決勝は、いちばん面白いといいます。負けない試合を強いられる準決勝、決勝と比べると、ベスト8というのは、両チームとも勝ちにいきます。だから、見ている側にはこたえられないゲームがよくあるわけです。

第一試合は、地元ドイツ対アルゼンチン。決勝で当たってもおかしくない強国どうしの対戦です。試合前の私の予想は、ドイツ2−1アルゼンチン。結果は1−1のドロー(PK4−2)。アルゼンチンのGKは途中出場でしたから、かわいそうですが、PK戦になった時点で、レーマンのいるドイツの勝利を確信しました。

本当はアルゼンチンに勝ってほしかったのですが(どう見ても、ドイツの肉弾サッカーよりアルゼンチンのスペクタクルなサッカーのほうが面白いでしょ?)、地元の声援をバックに波に乗るドイツを止めるのは至難の業です。しかも、みずから「キャリアのピークを迎えている」と宣言した点取り屋クローゼがいます(ドイツの1点はクローゼが決めた)。修羅場をくぐり抜けたドイツは、この勢いで決勝までいってしまいそうな気がします。

旧東独ライプツィヒ生まれのピアニスト、ヨアヒム・キューン。彼が80年代に率いていたジェニー・クラーク、ダニエル・ユメールとのトリオのサウンドをひと言でいうなら、ヘヴィです。フリー・ジャズを消化して、メインストリームに帰ってきた彼らの音楽に、軟弱さなど微塵も感じられません。超重量級のサウンドでガンガン攻めまくります。この快感!

昨今流行りの癒し系サウンドも嫌いじゃないですが、そればっかりだと、さすがに飽きます。自分に「喝!」を入れたいときは、こういうパワフルな作品を聞くにかぎる。しかも、アルバムの頭とお尻でコルトレーンの曲を演っています。本気です。おそろしいです。怖い顔したオジサンたちが真っ向勝負を挑んでくれます。『フロム・タイム・トゥ・タイム・フリー』、ご一聴あれ。



Joachim Kuhn "From Time To Time Free"
(CMP CD 35)

Joachim Kuhn (piano)
J.F. Jenny-Clark (bass)
Daniel Humair (drums)

Produced by Kurt Renker, Walter Quintus, Joachim Kuhn
Recorded by Walter Quintus
Recorded at Ztudio Zerkall; April 1988

[Tracks]
01. India John Coltrane (music)
02. Spy vs. Spy John Scofield (music)
03. From Time To Time Free Daniel Humair, Joachim Kuhn (music)
04. Para Joachim Kuhn (music)
05. Sometimes I Don't Remember Joachim Kuhn (music)
06. Cannonball Joachim Kuhn, J.F. Jenny-Clark, Daniel Humair (music)
07. Trio Music Joachim Kuhn, J.F. Jenny-Clark, Daniel Humair (music)
08. Expression John Coltrane (music)

[Links: Joachim Kuhn]
Joachim Kuhn (Official Website)
Joachim Kuhn (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

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2006年06月30日

ティエリー・ラング『プライベート・ガーデン』

privategarden.jpg

とっくに終わっているはずの仕事が終わらなかったので、またしても見逃しました、決勝トーナメント1回戦の全試合。今回のW杯は、アンリ命(笑)のうちの奥さんのほうがよっぽど見ています。く、くやじぃ〜。

というわけで、結果だけ。ドイツ2−0スウェーデン、アルゼンチン2−1メキシコ、イングランド1−0エクアドル、ポルトガル1−0オランダ、イタリア1−0オーストラリア、ウクライナ0−0(PK3−0)スイス、ブラジル3−0ガーナ、フランス3−1スペイン。いわゆる大国が軒並みベスト8に勝ち残っています。今朝ようやく仕事が手離れしたので、準決勝が楽しみです。

で、とりあげるのは、スイスです。4試合戦って失点0という鉄壁の守備を誇りながら、PK戦でウクライナに敗れてしまいました。守るだけでは勝てない。たしかにそうです。でも、1点もとられていないのに、帰国しなければならない選手のやるせなさを思うと、ねえ。ちょっとかわいそうです。

ティエリー・ラング『プライベート・ガーデン』。スイス人ピアニスト、ラングのピアノは高原の空気のように澄み渡っています。そして、繊細です。少し力を入れただけで壊れてしまいそうな、繊細なタッチ。あまたいる欧州エヴァンス派のなかでも、そのピアノの響きの美しさは特筆ものです。

日本のラング人気は、このアルバムから火がつきました。輸入盤市場でこのアルバムが話題になったのは、90年代半ば頃だったでしょうか。私もさっそく手に入れて、そのリリシズムに酔いしれた口です。先に紹介したマシュー・ミッシェル『エスターテ』を買ったのも、このアルバムのティエリー・ラングに魅せられたからです。

ちなみに、今日は仕事が一段落したので、久しぶりにローディに遊びにきています。この記事は、最近のお気に入り、サイドカーを飲みながら書いてます(今宵は飲むぞ〜!)

 

Thierry Lang "Private Garden"
(Plainis Phare PL 1267-85)

Thierry Lang (piano)
Ivor Malherbe (bass)
Marcel Papaux (drums)

Recorded at St 1, Radio Suisse Romande; March 3-5, 1993

[Tracks]
01. A Star To My Father Thierry Lang (music)
02. Nunzi Thierry Lang (music)
03. Stella By Starlight Victor Young(music) / Ned Washington (lyrics)
04. Giant Steps John Coltrane (music)
05. Boulevard Perolles Thierry Lang (music)
06. Private Garden Thierry Lang (music)
07. I Hear A Rhapsody George Fragos, Jack Baker, Dick Gasparre (music and lyrics)
08. Nane Thierry Lang (music)

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2006年06月20日

ミシェル・ペトルチアーニ『エスターテ』

estate_pet.jpg

グループG、フランス対韓国は、相変わらず勝ちきれないフランスの弱さが出て、1−1の引き分け。スイス対トーゴは、2−0でスイス。トーゴ以外の3チームに勝ち残りの可能性あり。

グループH、ウクライナ対サウジアラビア、前回スペイン戦の鬱憤をはらすかのように4−0の大差でワールドカップ初勝利。スペイン対チュニジアは、3−1でスペイン。結果、2連勝のスペインだけが勝ち抜け決定です。

最終戦の相手はトーゴなので、よもや負けることはないでしょうが、攻撃に迫力が感じられない今のフランスは信用できません。日韓大会に続いてグループリーグ敗退という可能性も捨てきれないので(最終戦はジダンが累積警告で出れないので、かえって好都合かも。彼が時代を画する偉大なプレイヤーだということに異論はありませんが、ブラジルのロナウド同様、走れないフィールド・プレイヤーの存在を許すほど、今のサッカーは甘くありません)、今日はフランス出身のジャズメンをとりあげましょう。

このブログでも何度か紹介したミッシャル・ペトルチアーニ。『エスターテ』は、心がうきうきするような初期の傑作です。
ペトちゃんのデビュー時代の活動を支えたドラマーのアルド・ロマーノ(16歳でパリに進出して以来の仲)が参加、ピアニストとして影響を受けたビル・エヴァンスの楽曲に、当時、個人的な思い入れから突然自宅に押しかけ、意気投合して引退を撤回させたチャールズ・ロイドの楽曲と、ペトちゃんワールド全開のフレッシュなアルバムにしあがっています。

愁いをおびた名曲〈エスターテ〉の存在をこのアルバムで知ったという人も多いはず。かくいう私もその一人です。いいよねえ、大好きです。

 

Michel Petrucciani "Estate"
(Riviera 1)

Michel Petrucciani (piano)
Furio Di Castri (bass)
Aldo Romano (drums)

Produced by Maurizio Giammarco, Federica Roa, Amedeo Sorrentino
Recorded by Sergio Marcotulli
Recorded at Forum Rec. Studio, Rome; March 29, 30, April 16, May 5, 1982

[Tracks] 
01. Pasolini Aldo Romano (music) 
02. Very Early Bill Evans (music) 
03. Estate Bruno Martino (music) 
04. Maybe Yes Michel Petrucciani (music) 
05. I Just Say Hello Michel Petrucciani (music) 
06. Tone Poem Charles Lloyd (music) 
07. Samba Des Prophetes Aldo Romano, C. Nougaro (music) 

[Links: Michel Petrucciani]
Michel Petrucciani (by Rainer Wolffram)
J'adore Michel Petrucciani (by poisson)
Discography of Michel Petrucciani (@ Corner Pocket by thedia)
Michel Petrucciani (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Furio Di Castri]
Furio Di Castri (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Aldo Romano]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

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2006年06月16日

ラーシュ・ヤンソン『インヴィジブル・フレンズ』

invisiblefriends.jpg

グループBの2戦目、イングランド対トリニダード・トバコは、2−0でイングランド。なかなか点が入らないジリジリする展開のなか、後半38分、ベッカムのクロスに倉内さんが頭であわせて先制、次いで46分にジェラードがだめ押しの1点を入れて、決勝トーナメント進出を決めました。スウェーデン対パラグアイは、スウェーデンが終了間際の劇的勝利(1−0)。ここもどうやら下馬評どおりの展開になってきました。

日本でも人気のスウェーデン人ピアニスト、ラーシュ・ヤンソン。彼がスウェーデンのイモゲーナ・レーベルに吹きこんだのが、この『インヴィジブル・フレンズ』です(1995年録音)。ラーシュ・ダニエルソン、アンダーシュ・シェルベリという俊英たちをしたがえて、美しいメロディーを紡ぎ出していきます。

耳をすますと、キースばりのうなり声が聞こえてきます。そう、ラーシュ・ヤンソンの影にはメロディ・メイカー、キースの存在が色濃く感じられます。でも、たんなる模倣に終わっていないのはもちろんです。

おもしろいのは、鈴木大拙へのトリビュート曲が入っていること。ライナーにも、禅書のようなものが入ってます。かと思えば、ユングやジョン・ケージに捧げた曲も。どうやらこのヤンソン先生(デンマーク・オールヒュス音楽大学の教授だそうです)、精神世界に興味がおありのようです。

そして、最後を飾るのは〈菩提樹の木の下で〉。ヤンソン先生は、心のうちなる旅路の果てに、「見えない友」に会うことができたのでしょうか。



Lars Jansson "Invisible Friends"
(Imogena IGCD 055)

Lars Jansson (piano, synthesizer)
Lars Danielsson (bass)
Anders Kjellberg (drums)

Produced by Lars Jansson
Recorded by Jan-Erik Kongshaug
Recorded at Rainbow Studio, Oslo; January 1995

[Tracks]
01. Invisible Friends Lars Jansson (music)
02. Learn To Live Lars Jansson (music)
03. The Great Belonging Lars Jansson (music)
04. Freedom And Destiny 1 Lars Jansson (music)
05. Freedom And Destiny 2 Lars Jansson (music)
06. At Least Often Lars Jansson (music)
07. Free For Three Lars Jansson, Lars Danielsson, Anders Kjellberg (music)
08. The White Cliff Lars Jansson (music)
09. Autumn Blues Lars Jansson (music)
10. Presence Lars Jansson (music)
11. The Quiet Mind Lars Jansson (music)
12. The Return To Zero Lars Jansson (music)
13. I Have Nothing To Say And I Am Saying It Lars Jansson (music)
14. Under The Bodhi Tree Lars Jansson (music)

[Links: Lars Jansson]
Lars Jansson 日本語オフィシャルサイト (Official Website)
Lars Jansson Discography
[Links: Lars Danielsson]
Lars Danielsson (Official Website)

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2006年06月15日

マシュー・ミッシェル『エスターテ』

estate.jpg

グループG。韓国対トーゴ、2−1で韓国の逆転勝ち。フランス対スイス、0−0でスコアレス・ドロー。フランスは苦手のスイスに、またしても勝ちきれませんでした。欧州予選で2度対戦して、いずれも引き分け。なにかあるんでしょうか。

で、アルバム紹介はフランス人かと思いきや、スイスの健闘を祝して、これにしました。スイスの TCB レーベルに残されたスイス人トランペッター、マシュー・ミッシェル(発音あってますか?)の『エスターテ』。同じくスイス人ピアニスト、ティエリー・ラングも参加しています。

リシャール・ガリアーノのアコーディオンに、ティエリー・ラングの耽美的ピアノ、そこにやわらかいフリューゲルホーンの音色がからむといえば、これはもう、なごみの極地です。私なんか、完全に脱力します。気持ちいい〜っす。

選曲もまた渋いです。よくも見つけたという佳曲がずらり。リッチー・バイラークの〈リーヴィング〉(ECM ソロ作『ヒューブリス』に収録)。トム・ハレルの〈セイル・アウェイ〉(同名アルバムに収録)。そして、ペトちゃんもやってた〈エスターテ〉。これで悪かろうはずはありません。私的お宝盤です。心がなごみますよ。



Matthieu Michel "Estate"
(TCB 95802)

Matthieu Michel (flugelhorn)
Richard Galliano (accordion)
Thierry Lang (piano)
Heiri Kanzig (bass)
Joris Dudli (drums)

Produced by TCB Music
Recorded by Guy Simon
Recorded at Tadio Suisse romande, Geneva; May 17, 18, 1995

[Tracks]
01. Leaving Richie Beirach (music)
02. Never Let Me Go Jay Livingston (music) / Raymond B. Evans (lyrics)
03. Moon Princess Thierry Lang (music)
04. It Could Be Worse Matthieu Michel, Heiri Kanzig (music)
05. Estate Bruno Martino (music) / Bruno Brughetti (Italian lyrics)
06. Round Trip Ornette Coleman (music)
07. Sail Away Tom Harrell (music)
08. Caruso Lucio Dalla (music)
09. On The Spot Matthieu Michel (music)
10. Moment To Moment Henry Mancini (music) / Johnny Mercer (lyrics)

[Links]
Matthieu Michel (Official Website)
Richard Galliano (Official Website)
Joris Dudli (Official Website)

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エンリコ・ピエラヌンツィ『ライヴ・イン・パリ』

liveinparis.jpg Enrico Pieranunzi - Enrico Pieranunzi - Live In Paris

敗戦のショックから立ち直るのに日数を要しました(笑)。現実に追いつくために、駆け足でいきましょう。もう一つの死のグループといわれたE組、アメリカ対チェコは、0−3でチェコ。イタリア対ガーナが、2−0でイタリア。アメリカの大敗が予想外といえば予想外ですが、結果だけを見れば、ここも順当でしょうね。

現代のイタリアを代表するピアニストといえばこの人、エンリコ・ピエラヌンツィ。1949年、イタリアの首都ローマ生まれ。そのリリカルで繊細なタッチ、美しすぎる曲づくりから、長らく欧州エヴァンス派の最右翼と目されてきましたが、最近はそれだけにとどまらず、ある種の「凄み」を感じさせる存在に成長しました。

非常に多作で、代表作を1枚にしぼるのがむずかしいのですが、マッズ・ヴィンディング名義の『ザ・キングダム』は彼のリーダー作ではないので泣く泣く落とし(こいつは傑作です!)、去年、オランダのチャレンジ・レコードからリリースされた2枚組 CD『ライヴ・イン・パリ』にしました。

ピエラヌンツィの繊細なタッチは「聞き惚れる」に値します。うっとりしすぎて、ともするとそのまま寝てしまいそうになる。そう、あまりに美しすぎるその曲たちは、ちょっと聞いて楽しむもので、集中して長時間聞くのに向いていない。きれいだし、ものすごくうまいけれど、平板な印象なんですね。ガッツがないというか(彼にガッツを求めるのがそもそも間違っているのかもしれませんが)。

ところが、彼は、ごくたまに耳をそばだてる演奏をします。それは共演者、とくにドラマーに恵まれたとき。エヴァンスもそうでしたが、彼はドラマーに無頓着なところがある。同じ繊細な表現を得意とするタイプのドラマーよりも、すこしアグレッシヴなくらいのドラマーと出会ったときのほうが、核融合が生じて、おもしろい演奏になるんです。エヴァンスでいえば、ヴァーヴ時代の人気盤が、ジャック・デジョネットとの唯一の共演盤
お城のエヴァンス』だというのも同じ理由だと思います。

というわけで、ここでの演奏を引き締めているのは、南仏生まれのアンドレ・チェッカレリだと思います(例の『キングダム』のドラマーはアレックス・リールでした)。激しさとリリカルさがうまいぐあいに同居して、聞き飽きのしない傑作ライヴが生まれました。



Enrico Pieranunzi "Live In Paris"
(Challenge CHR 70126)

Enrico Pieranunzi (piano)
Hein Van de Geyn (bass)
Andre "Dede" Ceccarelli (drums)

Produced by Hein Van de Geyn
Recorded by Serge Babkine
Recorded live at Le Duc Des Lombards, Paris; April 22-24, 2001

[Tracks: Disc 1] Enrico Pieranunzi - Enrico Pieranunzi - Live In Paris
01. Introduction
02. Ouverthree Enrico Pieranunzi, Hein Van de Geyn, Andre Cecarelli (music)
03. Body And Soul Johnny Green (music) / Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton (lyrics)
04. I Hear A Rhapsody George Fragos, Jack Baker, Dick Gasparre (music and lyrics)
05. Footprints Wayne Shorter (music)
06. I Fall In Love Too Easily Jule Styne (music) / Sammy Cahn (lyrics)
07. But Not For Me George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)
08. Hindsight Enrico Pieranunzi (music)

[Tracks: Disc 2] Enrico Pieranunzi - Enrico Pieranunzi - Live In Paris
01. Someday My Prince Will Come Frank Churchill (music) / Larry Morey (lyrics)
02. What Is This Thing Called Love Cole Porter (music and lyrics)
03. Jitterbug Waltz Thomas "Fats" Waller (music)
04. One Lone Star Enrico Pieranunzi (music)
05. Una Picolla Chiave Dorata Enrico Pieranunzi (music)
06. Autumn Leaves Joseph Kosma (music) / Jacques Prevert (French lyrics), Johnny Mercer (English lyrics)

[Links: Enrico Pieranunzi]
Enrico Pieranunzi (@ IJM: Italian Jazz Musicians)
[Links: Hein Van de Geyn]
Bassline Music: Hein Van de Geyn's Official Website

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2006年06月11日

e.s.t.『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』

goodmorningsusiesoho.jpg e.s.t. Esbj!)rn Svensson Trio - Good Morning Susie Soho

B組第二試合、スウェーデン対トリニダード・トバゴ。カリブ海に浮かぶ人口130万の小国に、北欧の強国スウェーデンがまさかのスコアレス・ドロー。しかも、相手は一人退場の10人。スウェーデンには痛すぎる勝ち点1でした。

ここ数年、刺激的な作品を送り出しているスウェーデンのジャズ・シーンですが、なかでもとびっきりの話題といえば、e.s.t. (Esbjorn Svensson Trio) の躍進でしょう。かのキース・ジャレットが「いま最も注目するアーティスト」というエスビョルン・スヴェンソン(1964年、スウェーデン生まれ)。ベースのダン・ベルグルンド、ドラムのマグヌス・オストロムとともに、現代的なコンセプトの e.s.t. を結成したのが1993年のことでした。

一聴してわかるのは、その「現代的な響き」です。これはもはやジャズではない、そういう感想をもつ人もいるでしょう(事実、彼らが本国スウェーデンでランクインしたのは、ジャズ・チャートではなく、ポップ・チャートでした)。でも、ジャズに革新をもたらしてきたミュージシャンは、そういう型にはまったジャンル分けを拒んできました。そして、彼らの活躍がジャズの地平を切り開いてきたともいえます。

まあ、こういうのは、自分の耳でたしかめるしかありません。「これは私の音楽じゃない」という人がいてもけっこう、「これこそ私の求めていた音楽だ」という人もいるでしょう。個人的には、キースがあと30歳若かったら、今はこんな音楽を演っていたかもしれないと思いました。過去に築いた自分の殻にこもってしまったキースに「今の音楽」を求めることはできませんが、今まさに革新を遂げている e.s.t. には、それを求めることができます。『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』、私は「買い」だと思います。

 

e.s.t. "Good Morning Susie Soho"
(Superstudio GUL C-4 / ACT 9009-2)

Esbjorn Svensson (piano, keyboard)
Dan Berglund (bass)
Magnus Ostrom (drums, percussion)

Produced by e.s.t.
Recorded by Janne Hansson
Recorded at Atlantis Studios, Stockholm; March-April, 2000

[Tracks] e.s.t. Esbj!)rn Svensson Trio - Good Morning Susie Soho
01. Somewhere Else Before e.s.t. (music)
02. Do The Jangle e.s.t. (music)
03. Serenity e.s.t. (music)
04. The Wraith e.s.t. (music)
05. Last Letter From Lithuania e.s.t. (music)
06. Good Morning Susie Soho e.s.t. (music)
07. Providence e.s.t. (music)
08. Pavane (Thoughts Of A Septuagenarian) e.s.t. (music)
09. Spam-Boo-Limbo e.s.t. (music)
10. The Face Of Love Nurat Fateh Ali Khan, David Robbins, Tim Robbins (music)
11. Reminicence Of A Soul e.s.t. (music)

[Links: e.s.t.]
est-music.com (Official Website)

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2006年03月22日

ドナルド・バード『バード・イン・パリ1&2』

byrdinparis.jpg Donald Byrd - Jazz in Paris: Byrd in Paris

↑ 邦題『懐かしのストックホルム:バード・イン・パリ』

byrdinparis2.jpg Donald Byrd - Jazz in Paris - Byrd in Paris, Vol. 2: Parisian Thoroughfare

↑ 邦題『パリの目抜き通りで:バード・イン・パリ2』
 (いずれも「ジャズ・イン・パリ」シリーズのジャケット)

1950年代のドナルド・バードのリーダー作というと、アルトのジジ・グライスと組んだ「ジャズ・ラブ」か、バリトンのペッパー・アダムスと組んだ作品あたりが思い浮かびますが、それだけではおもしろくない。

デビューから数年間のバードの活躍ぶりには、目を見張るものがあります。なにしろ1957年の1年間だけでも、リーダー、サイドメンあわせて40枚近く(!)ものアルバムに参加しているのですから、ほとんど毎週、どこかのスタジオかクラブでエンジニアと向き合っていたことになります。

そんなわけで、彼のアルバムを選ぶときはいつも迷ってしまうのですが、好きな曲のあるなしで推薦盤を決めるというのが、私のやり方です。困ったときの曲頼みってやつです。

そうして出した結論が、『バード・イン・パリ』『同 Vol. 2』の2枚です。これはもともと Brunswick というところから出ていたものを、「ジャズ・イン・パリ」シリーズの1枚として復刻したものです(1958年10月22日、パリ・オリンピア劇場での実況録音)。

2000年からはじまったこのシリーズ、以前は完全無視していたんですよ。どれをとっても金太郎飴のような似たようなジャケットで何十枚も並べられても、ふつう、触手は伸びないでしょ? でも、知っていたんです、ここにはバードの吹く〈ディア・オールド・ストックホルム〉と〈スターダスト〉が入っていることは。

〈スターダスト〉については、以前『モーター・シティ・シーン』を取り上げた際に、バードの吹くこの曲は絶品だと書きましたが、その2年も前に吹きこまれたこの録音、やはり〈スターダスト〉を激賞する人も多くて、気にはなっていたんです、ずっと。でも「このジャケットじゃなあ……」となかなか踏ん切りがつかなかったのですが、「どうしても聞いてみたい」という欲に負けて、ついに買ってしまったのが去年の年末のことでした。

そしたら、やはりというか、当然というか、これまで我慢していたのがアホらしくなるほど、いいんですよ。この時期のバードが悪いわけがない。非常にクリアで輝かしい音色。耳の肥えたパリの聴衆を前に、演奏はあくまで熱いのですが、爆発一歩手前のところでクールさを保つ知的な風情がたまりません。

選曲がまたニクい。パリジャンにもおなじみのパウエルやモンクの曲を取り上げたかと思えば、ブラウニー(ソニー・スティット)の〈ブルース・ウォーク〉や御大ガレスピーの〈ソルト・ピーナッツ〉で場を盛り上げたり、2曲のスタンダードでしっとりと聞かせたり。

そう、やっぱり〈スターダスト〉が絶品なんです。ピアノとベースだけをバックに朗々と歌うバードのペットの輝きといったら。ホンマにため息が出ます。幸せです(笑)。演奏が短すぎるのがもったいないくらいです。

〈ディア・オールド・ストックホルム〉のバードは、遠くのほうからやってきます。それが徐々に近づいてきて、「いよっ、待ってました」という瞬間に、ボビー・ジャスパーに受け渡す。

ちなみに、この公演は、ベルギー生まれのテナーマン、ボビー・ジャスパーの凱旋公演の性格が強かったようです(ジャズパーは1956年に本場ニューヨークへ進出しました)。

 

Donald Byrd ”Byrd in Paris, Vol. 1”
(Brunswick 87 903)
Donald Byrd ”Byrd in Paris, Vol. 2"
(Brunswick 87 904)

Donald Byrd (trumpet)
Bobby Jaspar (tenor sax, flute)
Walter Davis, Jr. (piano)
Doug Watkins (bass)
Art Taylor (drums)

Recorded live at the Olympia, Paris; October 22, 1958

[Tracks: Vol. 1] Donald Byrd - Jazz in Paris: Byrd in Paris
01. Dear Old Stockholm (traditional)
02. Paul's Pal (music: Sonny Rollins)
03. Flute Blues (music: Bobby Jaspar)
04. Ray's Idea (music: Ray Brown)
05. The Blues Walk (aka. Loose Walk) (music: Sonny Stitt or Clifford Brown?)

[Tracks: Vol. 2] Donald Byrd - Jazz in Paris - Byrd in Paris, Vol. 2: Parisian Thoroughfare
01. Salt Peanuts (music: Dizzy Gillespie, Kenny Clarke)
02. Parisian Thoroughfare (music: Bud Powell)
03. Stardust (music: Hoagy Carmichael / words: Mitchell Parish)
04. 52nd Street Theme (music: Thelonious Monk)
05. At This Time (music: Donald Byrd)
06. Formidable (music: Walter Davis, Jr.)
07. Two Bass Hit (music: Dizzy Gillespie, John Lewis)
08. Salt Peanuts (music: Dizzy Gillespie, Kenny Clarke)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)

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2005年05月30日

カーリン・クローグ,デクスター・ゴードン『サム・アザー・スプリング』

someotherspring Dexter Gordon & Karin Krog - Some Other Spring

コペンハーゲンを中心に活躍していたデクスター・ゴードンとノルウェーを代表する歌手カーリン・クローグがブルースとバラードをテーマに1枚のすてきなアルバムをつくりあげてくれました。『サム・アザー・スプリング』と題されたこのアルバム。クリフォード・ブラウンにヘレン・メリルとの共演盤(エマーシー盤『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』)があるように、ビル・エヴァンスにモニカ・セッテルンドとの共演盤(オランダ・フィリップス盤『ワルツ・フォー・デビー』)があるように、われらがデックスには『サム・アザー・スプリング』があるわけです。

きれいな女性を前にすると、おおかたの男は妙に饒舌になったり、逆に照れ隠しに無口になったりして、そこがかわいかったりするのですが、それはジャズメンとて例外ではありません。ふだん野郎ばかりを相手に演奏しているミュージシャンが女性ヴォーカルものに登場すると、いつもとは違った一面を見せてくれて、そこが楽しみでもあるのですが、デックスはなんと野太い声で歌まで披露してくれます(たぶん、録音された唯一の歌声です)。

5曲目の〈ジェリー・ジェリー〉はデックスが若かりし頃に在籍したアール・ハインズ楽団でビリー・エクスタインが歌ったナンバーで、飄々としたデックスのヴォーカルと色気で迫るカーリンの歌声の落差が楽しい1曲です。

でも、ここから恋に発展して、、、なんて話は、残念ながらありません。だって、このアルバムをプロデュースしたのは、カーリンの夫君でジャズ評論家&コレクターのユース・バーグですから。旦那ににらまれながら、見破られないギリギリの線で口説きにかかるデックス、なんて考えながら聞くと、さらに楽しめます(笑)。

ビリー・ホリディを思わせる歌声で、一部に熱狂的なファンがいるジミー・スコット(もちろん、男性です。でも、一聴しただけでは、そうとはわからない声の持ち主です)に捧げられたメドレー(6曲目)も目を引きます。ジミー・スコットの大ファンだというカーリンの選曲です。

もう1つ、ちょっとマニアックなお楽しみは、スウェーデンのピアニストで、澤野工房が復刻した『子供』で人気に火がついたベント・エゲルブラダの曲が入っていること。「おお、こんなところにいましたか」的な発見が、これまた楽しい1曲です。

ちなみに、このアルバムは、1971年度のスイングジャーナル誌のジャズ・ディスク大賞ヴォーカル賞を受賞しました。

 

Karin Krog, Dexter Gordon "Some Other Spring: Blues And Ballads"
(Sonet SLP 1407)

Karin Krog (vocal)
Dexter Gordon (tenor sax)
Kenny Drew (piano)
Niels Henning Orsted Pedersen (bass)
Espen Rud (drums)

Produced by Jons Berg, Hallvard Kvale
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded in Oslo, Norway; May 10, 1970

[Tracks] Dexter Gordon & Karin Krog - Some Other Spring
01. Some Other Spring (music: Irene Kitchings / words: Arthur Herzog Jr.)
02. Blue Monk (music: Thelonious Monk / words: Abbey Lincoln)
03. How Insensitve (music: Antonio Carlos Jobim / words: Vinicius DeMoraes, Norman Gimbel [E])
04. Blues Eyes (music: Berndt Egerbladh / words: Karin Krog)
05. Jerry, Jerry (music: Earl Hines, Billy Ekstine)
06. Tribute To Jimmy Scott: I Wish I NewEverybody's Somebody's Fool (music: Harry Warren / words: Mack Gordon) 〜 (music: Lionel Hampton)
07. Shiny Stockings (music: Frank Foster / words: Jon Hendricks)

[Links: Karin Krog]
Karin Krog: Norwegian Jazz Singer (Official Site)
Karin Krog (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Dexter Gordon]
Long Tall Dexter: デクスター・ゴードン特集 (@ Big-M's Jazz Page)
Dexter Gordon Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Kenny Drew]
Kenny Drew Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年02月15日

ヨアヒム・キューン,ダニエル・ユメール,J.F. ジェニー・クラーク『ライヴ』

live(joachimkuhn).jpg 

フィル・ウッズのヨーロピアン・リズム・マシーンにも参加していたダニエル・ユメールつながりで、ヨアヒム・キューン、J.F. ジェニー・クラークの超重量級トリオが残した白熱のライヴ盤のご紹介といきましょう。

欧州フリー・ジャズの牽引者、ピアノのヨアヒム・キューン。オーネットとの共演盤『カラーズ』でもおなじみですね。1944年3月15日、旧東独ライプツィヒ生まれ。66年に西独に亡命。

ベースのジェニー・クラークの本名は Jean-Francois Jenny-Clark。1944年7月12日、フランスのトゥールーズ生まれ。
1998年10月6日、フランスのパリで死去(死因はガンだそうです)。

ドラムは現在も新譜を増産し続けるダニエル・ユメール。1938年5月23日、スイスのジュネーブ生まれ。

この『ライブ』、ガトー・バルビエリの〈ラスト・タンゴ・イン・パリ〉を取り上げたことで知られていますが(その昔、寺島靖国さんが『辛口 JAZZ 名盤 1001』(講談社+α文庫)で「棺桶にも入れたい究極の愛聴盤」の1枚として紹介してました)、こんなに熱いピアノトリオはちょっとほかでは見当たりません。スピード、テクニックとも申し分のない3人のこと、ライヴということでただでさえ熱くなる要素がそろっているのに、大観衆の異様な盛り上がりも手伝って、血がふつふつと煮えたぎるような錯覚を覚えます。熱い、熱い、ああ〜、カッカとしてきた〜!

ちなみに、ヨアヒムはキューン兄弟の弟で、兄はクラリネットのロルフ・キューンです。最近流行りのピアニスト、スティーヴ・キューンとは無関係です(笑)。



Joachim Kuhn, Daniel Humair, J.F. Jenny-Clark "Live"
(CMP Records 43)

Joachim Kuhn (piano)
J.F. Jenny-Clark (bass)
Daniel Humair (drums)

Produced by Kurt Renker, Walter Quintus, Joachim Kuhn
Recorded by Walter Quintus
Recorded live at Theatre de la Ville, Paris; November 27, 1989

[Tracks]
01. Changement (music: Joachim Kuhn)
02. Last Tango In Paris (music: Gato Barbieri)
03. Clever Feelings (music: Joachim Kuhn)
04. Guyl Ne (music: Daniel Humair, Joachim Kuhn)
05. Yesterdays (music: Jerome Kern / words: Otto Harbach)
06. Para (music: Joachim Kuhn)

[Links: Joachim Kuhn]
Joachim Kuhn (Official Website)

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2005年02月14日

フィル・ウッズ『アライヴ・アンド・ウェル・イン・パリ』

aliveandwellinparis.jpg 

女性ヴォーカルものが続いたので、熱気ムンムンの男くさい世界に戻りましょう(笑)。白人随一のパーカー派アルト奏者、フィル・ウッズ。1931年10月2日、マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。

フィル・ウッズがニューヨークでの生活を捨て、ヨーロッパに渡ったのは、1968年のことでした。かの地の腕っこきリズム・セクションと組んで「ヨーロピアン・リズム・マシーン」を結成、その第1弾がこの『アライヴ・アンド・ウェル・イン・パリ』です。

それにしても、この作品はウサンくさい(笑)。とにかくカッコよく見せようという意識が見え見えで、素人にもバレバレな演出過剰の「キメ」が、そこかしこに出てきます。せいいっぱい背伸びをして、なんとか大人に見られようとするやんちゃ坊主。そんな感じなんです(存在そのものがカッコよかったマイルスとの差は歴然!)。

でも、そこにたまらない愛着を感じてしまうのは、私だけではないはずです。たとえていえば、ジョン・ウー監督の映画に出てくる「2丁拳銃」や「ハト」くらいワザとらしくて笑ってしまう。でも、好きなんだなあ、こういうの(まだ観ていない人は『M:I-2 ミッション:インポッシブル2』をぜひ!)

とにかく、ちょっとかすれ気味のフル・トーンでバリバリ吹きまくるウッズを聞いてください。イケてないけど、イケてる作品です(笑)。



Phil Woods & His European Rhythm Machine "Alive And Well In Paris"
(Odeon SPTX-340844)

Phil Woods (alto sax)
George Gruntz (piano)
Henri Texier (bass)
Daniel Humair (drums)

Recorded in Paris; November 14, 15 (#2), 1968

[Tracks] 
01. And When We Are Young (Dedicated To Bob Kennedy) (music: Phil Woods)
02. Alive And Well (music: Phil Woods)
03. Freedom Jazz Dance (music: Eddie Harris)
04. Stolen Moments (music: Oliver Nelson)
05. Doxy (music: Sonny Rollins)

[Links: Phil Woods]
Phil Woods (Official Website)
The Who Dat Phil Woods Page

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2004年12月28日

マル・ウォルドロン『オール・アローン』

allalone.jpg

粘着質なピアノで一世を風靡したマル・ウォルドロン。本名は、Malcolm Earl Waldron。1925年8月16日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。2002年12月2日、ベルギーの首都ブリュッセルで亡くなりました。

60年代半ば以降、黒人ミュージシャンの多くがアメリカの人種差別から逃れるように大陸ヨーロッパへと渡りましたが、マルもその1人でした。『オール・アローン』は、マルがヨーロッパに渡った後、はじめて取り組んだソロピアノ作品です。

耳にまとわりつくような、粘着質のあるピアノ。一定のリズムで執拗に繰り返されるフレーズ。「黒い情念」という表現がぴったりの、底なし沼の深淵を覗き込むような音の悦楽が、マルの音楽からは感じられます。暗い。というか、黒い。そして、どこまでも深く、重い。こんなピアノ、ほかの誰が聞かせてくれたでしょうか?

冒頭の〈オール・アローン〉はビリー・ホリディが書き残した(そして、歌われることのなかった)〈レフト・アローン〉の詩の一節。映画「マンハッタンの哀愁」のテーマ曲でもあるらしい(未見)。

マルというと、ビリー・ホリディの最後の伴奏者、あるいは夭折の2人の天才、ドルフィー&リトルの双頭バンドでのインパクトが強烈で、どうしてもそういう色眼鏡で見てしまいがちですが、数多い死を乗り越えた者だけが醸し出すことのできる悲哀、そして深みが、演奏のあちこちから感じられます。

セロニアス・モンクには直系の後継者はいないとされていますが、打楽器的な奏法に注目すると、デューク・エリントンにはじまり(ピアニストとしての彼を知りたければ『マネー・ジャングル』をどうぞ)、セロニアス・モンク、マル・ウォルドロンときて、セシル・テイラー(!)へと続く一筋の流れが見えてきます。このライン、私の好きなピアニストの系譜でもあります。



Mal Waldron "All Alone"
(GTA GTLP-1004)

Mal Waldron (piano)

Produced by Mario Nicolao
Recorded by Remo Coatto
Recorded at FonoRoma, Milano; March 1, 1966

[Tracks] 
01. All Alone (music: Mal Waldron)
02. Due Torri (music: Mal Waldron)
03. A View Of S. Luca (music: Mal Waldron)
04. Blue Summer (music: Mal Waldron)
05. If You Think I'm Licked (music: Mal Waldron)
06. Three For Cicci (music: Mal Waldron)
07. Mosque Raid (music: Mal Waldron)
08. Waltz Of Oblivious (music: Mal Waldron)

[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2004年12月02日

アストル・ピアソラ『現実との57分間』

57minutes.jpg 

邦題『現実との57分間』。アストル・ピアソラ最晩年の六重奏団が残した57分間の濃密な記録。

なぜそれまでのキンテート(五重奏団)ではなく、六重奏団なのか。そのヒントは、もう1人のバンドネオン奏者の参加にあります。ピアソラはすでに心臓を患っていて、医者から無理な演奏は慎むように忠告されていた。だから、自分の手となり足となる、もう1人のバンドネオン奏者が必要だった。

で、結果はどう出たか。「ハズレ」というのがおおかたの評価のようです。たしかに、それまでのキンテートの作品のレベルがあまりに高いので、「ハズレ」といわれてもしかたのない側面はあります。でも、とあえていいたいのです。でも、この『現実との57分間』があるじゃないか、と。

この作品は、ドイツのインチュイションから出ていますが、プロデューサーはピアソラ晩年の傑作をものにしてきたキップ・ハンラハンその人です。この2人のコンビネーションで、いい作品が生まれないわけがないんです。

ヴァイオリンが抜けて、チェロに代わったことで、華やかさは失われましたが、低音がぐっと全面に出てきて、重苦しささえ感じさせる重厚な音楽となっています。これが燃えカスに聞こえますか? ピアソラは最後までピアソラだったんです。



Astor Piazzolla "57 Minutos Con La Realidad"
(Intuition INT 3079-2)

Astor Piazzolla (bandneon)
Daniel Binelli (bandoneon)
Gerardo Gandini (piano)
Jose Bragato (cello) #5-8
Carlos Nozzi (cello) #1-4
Horacio Malvicino Sr. (guitar)
Hector Console (bass) #5-8
Angel Ridolfi (bass) #3
Andy Gonzalez (bass) #1, 2

Recorded at BBC Televiron Studios, Bristol, England; June 1989 (#5-8)
Recorded at Conny's Studio, Neunkirchen, Germany; November 1989 (#1-4)
Recorded at Radio City Studio, NYC; August 1982 (#9)

[Tracks] 
01. Imagenes (music: Astor Piazzolla)
02. Milonga Para Tres (music: Astor Piazzolla)
03. Buenos Aires Hora Cero (music: Astor Piazzolla)
04. Pasajes Obscuras Dos Estrellas (music: Astor Piazzolla)
05. Tres Minutos Con La Realidad (music: Astor Piazzolla)
06. Mumuki (music: Astor Piazzolla)
07. Sextetu (music: Astor Piazzolla)
08. Adios Nonino (music: Astor Piazzolla)
09. Prelude To The Cyclical Night (Part 2) (music: Astor Piazzolla)

[Links: Astor Piazzolla]
Astor Piazzolla (Official Website)
さるでもわかるアストル・ピアソラ
ピアソラ資料室
Astor Piazzolla (@ 工藤庸介のPrivate Page)

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2004年11月11日

キザイア・ジョーンズ『ブルファンク・イズ・ア・ファクト!』

blufunkisafact.jpg

ナイジェリア出身、UK のストリート・シーンから
衝撃のデビューを飾ったキザイア・ジョーンズ。
といっても、もうひと昔前の話です。
カキ・キングのギターを聞いていたら、
あの頃のワクワク感を取り戻したくて、
久々に引っ張り出してきました(オッサンだな、私も)。

ブルファンク・イズ・ア・ファクト!』。
ザラリとした触感、跳ねるリズム、
くすぶった感情をそのまま表出したような荒々しさ、激しさ。
ふだんオブラートに包まれたような「作品」としての
音楽ばかり聞いているから、
こういうナマの音、ピュアで一途なソウルに接すると、
魂が激しく揺すぶられ、内なる野性に火が灯る。
フリー・ユア・ソウル!

キザイアはその後、何枚かのアルバムを出しますが、
このデビュー盤の衝撃を超えることはできませんでした。
獲物をねらうかのようなギラギラした感じがどんどんはぎ取られて、
ふつうの人になってしまったのです。
野生の動物が飼いならされていくような
物哀しさを感じたのを覚えています。続きを読む
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2004年10月08日

コーネリアス・クラウディオ・クロイシュ『スクープ』

scoop.jpg Cornelius Claudio Kreusch - Scoop

前作『ブラック・マッド・サウンド』の路線をさらに押し進めてボーカルやラップをフィーチャー、「踊れるジャズ」に磨きをかけたコーネリアス・クラウディオ・クロイシュ の『スクープ』です(ドイツのアクトレーベルより)。

アフリカ系のボーカリストを曲ごとに使い分け、うねるリズム、ほえるサックスをバックに、ひときわ美しいピアノが華麗に舞う。いやもうカッコイイのなんの。「ジャズは絶対4ビート」「ピアノトリオしか聴かないよ」というおカタい人はおいといて、ジャズに「今」のサウンドを求める人はぜひ。おすすめです。



Cornelius Claudio Kreusch "Scoop"
(Act 9255-2)

Cornelius Claudio Kreusch (piano)
Salif Keita (vocal)
Elisabeth Kontomanona (vocal)
Thomas Grimes (rap)
Fra-Fra Tribesmen (vocal)
Richard Bona (vocal)
Greg Osby (alto sax)
Bobby Watson (alto sax)
Ran Blake (tenor sax)
Johannes Tonio Kreusch (guitar)
Zaf Zapha (electric bass)
Anthony Cox (bass)
James Genus (bass)
Cyril Atef (drums)
Terri Lyne Carrington (drums)
Will Calhoun (drums)
Camille Gainer (drums)

Recorded at Systems Two, Brooklyn, NY, Studio SDS, Studio Le Garage, Paris; December 1996 - November 1997

[Tracks] Cornelius Claudio Kreusch - Scoop
01. Niles (music: Cornelius Claudio Kreusch)
02. Yarum (music: Cornelius Claudio Kreusch)
03. Salif (music: Cornelius Claudio Kreusch)
04. Scoop music: Cornelius Claudio Kreusch)
05. Imbao (music: Cornelius Claudio Kreusch)
06. Pulse (music: Cornelius Claudio Kreusch)
07. Faith (music: Cornelius Claudio Kreusch)
08. Feel! (music: Cornelius Claudio Kreusch)
09. Wocai (music: Cornelius Claudio Kreusch)
10. Flame (music: Cornelius Claudio Kreusch)
11. Nomad (music: Cornelius Claudio Kreusch)
12. Jafro (music: Cornelius Claudio Kreusch)

[Links: Cornelius Claudio Kreusch]
Cornelius Claudio Kreusch (Official Website)
[Links: Salif Keita]
Salif Keita (Official Website)
[Links: Richard Bona]
bonatology.com: Richard Bona's Official Website
The Wind of Savanna: Richard Bona unofficial fan site
bonatology.com: Richard Bona's Official Website
[Links: Greg Osby]
Greg Osby (Official Website)
[Links: Bobby Watson]
Bobby Watson (Official Website)
[Links: Ran Blake]
Ran Blake (Official Website)
[Links: Johannes Tonio Kreusch]
Johannes Tonio Kreusch (Official Website)
[Links: James Genus]
James Genus (Official Website)
[Links: Terri Lyne Carrington]
Terri Lyne Carrington (Official Website)
[Links: Will Calhoun]
Will Calhoun (Official Website)
[Links: Camille Gainer]
Will Calhoun (Official Website)

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2004年10月06日

ミリアム・アルター『サイレント・ウォーク』

silentwalk.jpg

前回紹介したデビュー盤に続くミリアム・アルターの第2弾、『サイレント・ウォーク』。レーベルがオランダのチャレンジに変わったのと、ベースが変わった以外はメンバーも同じ、プロデューサーも同じで(オランダ人ベース奏者 Hein Van de Geyn。なんて発音するんでしょう?)、基本的には前作の路線を踏襲したつくりになっています。

タイトル曲は自分の母親に捧げれたもの。老女が独り静かに歩く様子が目に見えるようです。続く5曲目〈希望の朝〉。部屋の中に降り注ぐやわらかな朝日が、生きる力を与えてくれます。そして、ボサノヴァの神様、アントニオ・カルロス・ジョビンに捧げられた2曲目。インスト曲なのに、情景が目の前に鮮やかに広がる。

ミリアムの曲にはセピア色の思い出がつまっています。ジャケットの雰囲気そのままの音楽です。



Myriam Alter "Silent Walk"
(Challenge CHR 70035)

Gino Lattuca (trumpet, flugelhorn)
Ben Sluijs (alto sax)
Myriam Alter (piano)
Stefan Lievestro (bass)
Jan de Haas (drums)

Produced by Hein Van de Geyn
Recorded at Soetelieve Studio's, Hertogenbosch; December 5, 6, 1995

[Tracks]
01. Bach Home (music: Myriam Alter)
02. Jobim (music: Myriam Alter)
03. Ypso Facto (music: Myriam Alter)
04. Silent Walk (music: Myriam Alter)
05. Morning Hope (music: Myriam Alter)
06. Talking With You (music: Myriam Alter)
07. Time To Move (music: Myriam Alter)
08. Three For Two (music: Myriam Alter)
09. One Upon A Time... (music: Myriam Alter)
10. Flues (music: Myriam Alter)

[Links: Myriam Alter]
Myriam Alter (@ enja records)

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2004年10月01日

ジャンゴ・ベイツ『今晩は、今日もニュースをお送りします』

goodevening.jpg

このブログをはじめたために、
今週は愛用の iPod(クリック・ホイール以前の40GB)
でジャンゴ・ベイツを聞きまくっているのですが、
どうもこの人の音楽は粘着質で、
一度ハマるとなかなか足抜けできません(笑)。
というわけで、今週は「ジャンゴ週間」ということで
勘弁してもらいましょう。

カルテット(ジャンゴのレギュラーグループ、ヒューマン・チェイン)
+オーケストラの作品あり、
ストリングス・カルテット(これもおなじみ、スミス・カルテット)あり、
サックス・カルテットありの
まさにジャンゴのショーケースともいうべき作品で、
もし彼に興味をもった人(あなたに幸せが訪れますように!)がいたら、
このアルバムあたりから入門するのがいいかも。
(調べたら、現在アマゾンでは取り扱っていないようです。残念!
 中古 CD ショップなどで見かけたら、即ゲットですね!!!)

ちなみに、アルバム・タイトルは「BBC World Service」の
出だしのあいさつらしいです。
「今晩は、今日もニュースをお送りします」という感じでしょうか。続きを読む
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2004年09月30日

ジャンゴ・ベイツ『サマー・フルーツ』

summerfruits.jpg

ジャンゴ・ベイツの jMT 三部作も今日が最後。
もぎたての『夏のフルーツ』を召し上がれ。

ジャンゴの楽しさは、バラエティに富んだ作曲にあるのですが、
タイトルづけにも、彼独特のユーモラスなセンスがにじみ出ています。
だって、
〈肘掛け椅子のマーチ〉
〈プランクトンの餌〉
〈プリンの女王〉
〈サーカスの夜〉なんですよ。
曲名を見ただけで、聞いてみたくなってきたでしょ? 
聞けばもっと楽しめます。
思わず口ずさみたくなるような、
印象的なメロディーの洪水を全身で浴びてください。

ジャケット写真にもオレンジ色の「兜」がありますが、
裏ジャケットには新聞紙でつくった「兜」をかぶった
ジャンゴその人が写っています。
何か意味があるのでしょうか?

ところで、ジャンゴ・ベイツは
1997年にデンマークの「ジャズパー賞」を受賞しました。
この賞がらみで2枚の CD も製作されています。
ライク・ライフ』と『クワイエット・ナイツ』がそれです。
それぞれ楽しい作品ですが、
こちらについては、またの機会に。続きを読む
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2004年09月29日

ジャンゴ・ベイツ『オータム・ファイア』

autumnfires.jpg

引き続きジャンゴ・ベイツの jMT 三部作から「秋」バージョンを。
といっても、この『オータム・ファイア』は
これまでの大所帯のにぎやかさとはかなり趣を異にして、
ジャンゴの一人舞台ソロピアノ作品となっています。

コンポーザー、アレンジャーとしての評価が先行する彼ですが、
ピアニストとしての腕も超一流。
が、そこはジャンゴのこと、原曲のメロディーをそのまま弾くような
野暮(?)ことはいたしません。
たとえば、1曲目の〈枯葉〉。
これが本当にあの〈枯葉〉かと思うくらい、
まったく別の曲に変身しています。
これこそジャンゴの真骨頂なんですが、
「そういうのは嫌い」という人には無理にすすめません。

驚いたのは、ジョン・コルトレーンの〈ジャイアント・ステップス〉。
初出はもちろん、アトランティック盤『ジャイアント・ステップス』ですね。
「なんでジャンゴがコルトレーン?」
という疑問を抱えたまま耳を傾けると、
意外や意外、けっこうまともに弾いています。
でも、妙な具合に低音が腹に響いてくる。
ここで私はハッと気づきました。これって、もしかして
「偉大な一歩」ならぬ「巨人の足音」じゃないの? 
そう思って聞いてみると、なるほど左手がドシン、ドシンと、
まるで大男が大地を揺るがすように歩いています。
いやあ、なんという遊び心。
ますますジャンゴが好きになってしまいました。続きを読む
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2004年09月28日

ジャンゴ・ベイツ『ウインター・トゥルース』

wintertruce.jpg

ジャンゴ・ベイツは、
ドイツの jMT (アルバム・リストはこちら)レーベルに
「夏」「秋」「冬」の三部作を残しています。
今日紹介する『ウインター・トゥルース』はその「冬」バージョン。
(jMT は活動停止。プロデューサーのステファン・ウィンターは
 現在、Winter & Winter レーベルを主宰しています)

ポップでアヴァンギャルド、
やっていることは実は相当ややこしいんだけど
独特のユーモアでそれを感じさせない、
というジャンゴの音楽を堪能できます。

メンバー全員がコーラスで盛り上げる
〈ユー・キャント・ハヴ・エブリシング〉。
(1曲目と10曲目は別アレンジです)
一度聞いたら忘れられないこのメロディーを
どう表現したらいいのでしょう? 
いや、ホントに耳に残って、数日間は頭の中で
グルグル「リプライズ」されること間違いなし。

そして、4曲目には、唯一のカバー曲
〈ニューヨーク、ニューヨーク〉が入っています。
前回の〈マイ・ウェイ〉に引き続いてのシナトラの代表曲。
何か意味があるんでしょうか?続きを読む
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2004年09月27日

ジャンゴ・ベイツ『ユー・リヴ・アンド・ラーン ...(アパレントリー)』

youliveandlearn.jpg

ジャズ好きとうたっておきながら、
のっけからジャンゴ・ベイツというのも何ですが、
久しぶりに届いた新作、
うれしくなって思わず最初の1枚に選んでしまいました。
ユー・リヴ・アンド・ラーン ...(アパレントリー)』です。

ジャンゴ・ベイツはイギリスの作曲家兼ピアニスト兼Ebホーン奏者。
1960年生まれというから、
けっこうオジサン(失礼!)のはずなんだけど、
子どものような遊び心で毎回楽しませてくれます。
その作品を一言でいうと、
おもちゃ箱をいっぺんにぶちまけたような、何でもありの楽しさ。
ジャケット写真やブックレットまで含めて、
こういう作品を手もとに置いておくと幸せになれます。

ジャンゴが率いるカルテット「ヒューマン・チェイン」に
ストリングスの「スミス・カルテット」に
ジョセフィン・リンドスタンドという女性ヴォーカルを中心に、
曲によってゲストを迎えながら、構成されています。
(なかにはデヴィッド・サンボーンなんてのも参加してます)

それにしても、この選曲はどうです。
オリジナル曲の楽しさはいつものことだけれど、
デヴィッド・ボウイの〈ライフ・オン・マーズ〉に、
(その昔、ボウイ好きの友達がカセットテープ(なつかしいね)
 に自ら選曲したベスト盤をダビングしてくれて、
 よく聞いていました。まさに感涙ものです)
ギルバート・オサリバンの〈アローン・アゲイン(ナチュラリー)〉、
(ホントにいい曲ですね)
それになんと、あの〈マイ・ウェイ〉まで入っている! 
オジサマたちのカラオケ御用達曲という、
ある意味不当な(?)扱いを受けてきたこの曲が、
ジャンゴの手にかかると、こんな楽しげな、
カラフルな曲に化けてしまうんです。
これぞ奇才。ぜひお試しあれ。続きを読む
posted by ユキヒロ at 12:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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