2006年06月19日

ミロスラフ・ヴィトウス『ユニバーサル・シンコペーションズ』

universalsyncopations.jpg

時間が空いてしまったので、おさらいを。

グループDは、メキシコ対アンゴラは、0−0で引き分け。ポルトガル対イランは、2−0でポルトガル。ポルトガルが一抜けを決めました。

グループEは、大混戦。チェコ対ガーナは、今大会初めての番狂わせ、0−2でガーナ。イタリア対アメリカは、3人の退場者を出し、荒れた試合でしたが、結局1−1でドロー。全チームに決勝トーナメント進出の可能性が残っています。

で、取り上げるのは、大番狂わせを演じられてしまったチェコ出身のベーシスト、ミロスラフ・ヴィトウスのカムバック作『ユニバーサル・シンコペーションズ』。実に11年ぶりの単独リーダー作となっています。

ジャコ登場以前、「超絶技巧ベーシスト」の称号をほしいままにしていたミロスラフ・ヴィトウス。1947年12月6日、チェコの首都プラハ生まれ。彼がニューヨークに渡ったのは1967年。それまでにない斬新なサウンドと聞いたこともないようなアルコ(弓弾き)テクニックで、一躍、時代の寵児となったヴィトウス。チック・コリアの『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』に参加していたベーシスト、あるいは(ジャコ以前の)ウェザー・リポートのオリジナル・メンバーだったといえば、彼が占めていたポジションというのがわかるはず。

オープニングの〈バンブー・フォレスト(竹林)〉。ガルバレクの最初の一音を聞いただけでこみあげてくる、いわく言いがたい「なつかしさ」。これぞ ECM サウンドという響きに、思わずニヤリとしてしまいます。ヴィトウスのあまりに多彩な表現力につい忘れてしまいがちですが、実はこれ、ガルバレク、ヴィトウス、デジョネットというピアノレス・トリオによる演奏なんですね。そして、このアルバムの中心をなすのは、この3者による演奏です。

チックやマクラフリンも参加していますが、オールスター・キャストによる豪華共演というよりも、もっとシンプルな音楽が展開されています。かつて超絶技巧で鳴らしたヴィトウスも還暦間近。けっして急ぎません。悠久の時をへて、人々の心に刻まれてきた原風景のような、シンプルでどこかなつかしい音楽。ベテランどうしの魂の交感が、郷愁を誘います。

 

Miroslav Vitous "Universal Syncopations"
(ECM 1863)

Jan Garbarek (soprano sax, tenor sax)
Chick Corea (piano)
John McLaughlin (guitar)
Miroslav Vitous (bass)
Jack DeJohnette (drums)

with Brass #2, 3, 4
Wayne Bergeron (trumpet)
Valerie Ponomarev (trumpet, flugelhorn)
Isaac Smith (trombone)

Produced by Manfred Eicher, Miroslav Vitous
Recorded at Universal Syncopation, Reinbow Studios, Oslo; March 2000 - March 2003

[Tracks]
01. Bamboo Forest Miroslav Vitous (music)
02. Univoyage Miroslav Vitous (music)
03. Tramp Blues Miroslav Vitous (music)
04. Faith Run Miroslav Vitous (music)
05. Sun Flower Miroslav Vitous (music)
06. Miro Bop Miroslav Vitous (music)
07. Beethoven Miroslav Vitous, Jan Garbarek (music)
08. Medium Miroslav Vitous, Jack DeJohnette (music)
09. Brazil Waves Miroslav Vitous, Jan Garbarek (music)

[Links: Jan Garbarek]
Jan Garbarek (@ musicolog.com)
Jan Garbarek Discography (by Brian Ritchie)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John McLaughlin]
John McLaughlin Official Website
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Serbver
John McLaughlin Discography (by Johann Haidenbauer)
[Links: Miroslav Vitous]
Miroslav Vitous (Official Website)
Miroslav Vitous (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Jack DeJohnette]
Jack DeJohnette (Official Website)
Jack DeJohnette Homepage (by Piotr Marek, Jr.)
Jack DeJohnette Complete Discograophy を目指すページ (@ 東北大学モダンジャズ研究会)
Jack DeJohnette Discography (by ANTAIOS)
Jack DeJohnette (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

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2006年06月10日

『マルチン・ボシレフスキ・トリオ』

marcinwasilewskitrio.jpg

第二試合、ポーランド対エクアドル。酸素の少ないホーム(高地にある)でしか勝てないとのおおかたの予想を覆して、0−2でエクアドルの勝利。私はさすがに前半だけで沈没しましたが、ポーランドの攻めに迫力なし。いかにも南米的なパス主体のエクアドルに魅力を感じました。ドイツを食うとしたら、エクアドルのほうが可能性が高い。注目です。

さすがにエクアドルのジャズメンは知らないので(笑)、ポーランドの注目株、マルチン・ボシレフスキといきましょう。「誰だ、それ?」というあなた、『ハバネラ』あるいはシンプル・アコースティック・トリオ(SAT)でピンときませんか? そうです、数年前に輸入盤市場で話題となった SAT が ECM デビューを飾るにあたり、ユニット名をやめて個人名義で勝負したのが、この『マルチン・ボシレフスキ・トリオ』なのです(邦題ではマルチンのリーダー作のように見えますが、原題はそのものずばりの『トリオ』。三者対等の名義です)。

ピアノのマルチン、ベースのスワヴォミル・クルキエヴィッツは15歳の頃からのつきあいで、同じ音楽学校で学ぶ生徒だったとか。そこにドラムのミハウ・ミスキエヴィッツが加わり、SAT が誕生したのが、1993年の秋でした。ポーランド・ジャズ界の重鎮トーマス・スタンコに見出された SAT は、スタンコとの共演を重ねてキャリアを積みます。SAT がデビューを飾ったのは95年。以来、数枚のアルバムをものにしますが、2000年録音の『ハバネラ』で日本でも火がつきました。

彼らの音楽をひとことで表すと、静謐。どこまでもおだやかな空気のなかで、切なくなるような美しいメロディーが紡ぎ出されていきます。クラシックに接近したころのキースのソロに、ベースとドラムがからみあう感じ。といっても、そのからみかたは、ゲイリー・ピーコックやジャック・デジョネットのそれではなくて、もっと洗練された、抽象絵画のおもむきです。

この透明な空気感こそ、彼らが ECM に迎え入れられた理由でしょう。クリアな ECM サウンドと出会うことで、彼らの美意識がさらに研ぎすまされ、より自由な空間を獲得したように感じられます。じわりと心のなかに広がり、拡散して、やがて消えていく。「はかなさ」にとくべつな情感を抱く日本人にとって、この音楽はきっと、訴えかけるだけのものをもっています。

 

Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz "Trio"
(ECM 1891)

Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass)
Michal Miskiewicz (drums)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded at Rainbow Studio, Oslo; March 2004

[Tracks]
01. Trio Conversation (Introduction) Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
02. Hyperballad Bjo¨rk (music)
03. Roxana's Song Karol Szymanowski (music)
04. K.T.C. Marcin Wasilewski (music)
05. Plaza Real Wayne Shorter (music)
06. Shine Marcin Wasilewski (music)
07. Green Sky Tomasz Stanko (music)
08. Sister's Song Ewa Wasilewska, Marcin Wasilewski (music)
09. Drum Kick Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
10. Free-Bop Marcin Wasilewski (music)
11. Free Combinations For Three Instruments Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
12. Entropy Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
13. Trio Conversation (The End) Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)

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2005年05月24日

キース・ジャレット『レイディアンス』

radiance.jpg 

ようやくここまでたどり着きました(笑)。現時点におけるキースのソロの最新盤、その名も『レイディアンス』(光輝)です。

2002年10月27日、大阪フェスティバル・ホール公演の全曲と、同30日、上野の東京文化会館におけるコンサート(来日通算150回目の記念公演)から4曲をピックアップして2枚の CD にまとめてあります。

曲目をみればわかるように、このコンサートはショートピースの連なりで構成されています。キース自身のライナーによれば、演奏のはじめに、その後の展開のもととなるメロディやモチーフをほとんどおかず、「たまたまひらめいた音楽を、深く考えることなく、そのまま演奏する」ことを目指していたといいます。

これが、今までの彼のソロ演奏とどう違うのか、私にはわかりませんが、彼の中では何か特別な啓示があったのでしょう。だから、「リスナーのみなさんは、私と一緒に耐えなければならない。新しい試みはつねにリスクがあるものだから」と、ごていねいに聞き方まで指示してくれています。

芸術家の発言はえてして信用できないものですが、これはどうなんでしょう? お金を出して買った作品に対する評価は、リスナーの側で決めるのが筋でしょう? それをはじめから外堀まで埋められて、「これは新しい試みなんだから、今回はガマンしてよ。今までだって、そうやってみんなに新しい地平を見せてきたんだから」みたいなこといわれても、素直に「ハイ、そうです」とはうなずけません。

でもまあ、こんなことに目くじら立ててもしょうがない(笑)。「あのときの感動をもう一度」というファン心理があるかぎり、はじめから勝負はついています。だって、聞きたいもんね、やっぱり。

というわけで、今回ははじめから目の前に景色が広がるような、感情移入しやすい演奏ばかりではありません。でも、たとえば〈パート3〉〈同8〉〈同13〉〈同16〉あたりは、好きな人は好きでしょうね。私も嫌いじゃありません。

ちなみに、上野のコンサートの完全版は、秋に DVD で発売されるそうです。途中、間の抜けた拍手のために2度ばかり中断して弾き直す場面があったという上野のライヴ。そのために今回の CD でも一部しか収録されなかったようですが、はたしてどうなることやら。

後日談:
上で触れた DVD はもう発売されました。『東京ソロ 2002: The 150th Concert in Japan』です。私はまだ買うかどうか迷っています。どうしようかな?

 

Keith Jarrett "Radiance"
(ECM 1960/61)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Martin Pearson
Recorded live at Osaka Festival Hall; October 27, 2002 (#1-13)
Recorded live at Tokyo Bunka Kaikan; October 30, 2002 (#14-17)

[Tracks: Disc 1] 
01. Radiance Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Radiance Part 2 (music: Keith Jarrett)
03. Radiance Part 3 (music: Keith Jarrett)
04. Radiance Part 4 (music: Keith Jarrett)
05. Radiance Part 5 (music: Keith Jarrett)
06. Radiance Part 6 (music: Keith Jarrett)
07. Radiance Part 7 (music: Keith Jarrett)
08. Radiance Part 8 (music: Keith Jarrett)
09. Radiance Part 9 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 2] 
01. Radiance Part 10 (music: Keith Jarrett)
02. Radiance Part 11 (music: Keith Jarrett)
03. Radiance Part 12 (music: Keith Jarrett)
04. Radiance Part 13 (music: Keith Jarrett)
05. Radiance Part 14 (music: Keith Jarrett)
06. Radiance Part 15 (music: Keith Jarrett)
07. Radiance Part 16 (music: Keith Jarrett)
08. Radiance Part 17 (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
The ultimate on-line Keith Jarrett Discography (by Mirko Caserta)
Keith Jarrett Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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キース・ジャレット『ザ・メロディー・アット・ナイト・ウィズ・ユー』

themelodyatnightwithyou.jpg

1997年4月、イタリア・ツアーで演奏中のキース・ジャレットを極度の倦怠感が襲います。突然のことで、何がどうなっているのか自分でもまったくわからない。「まるでエイリアンが自分の身体の中に入り込んできたみたいだった」とはキースの弁ですが、身体のコントロールを失う恐怖は想像するにあまりある(しかも演奏中にですよ!)。プロの矜持でなんとかそのツアーは終えたようですが、その後の予定はすべてキャンセル。無期限の活動休止に追い込まれてしまいます。

慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome)と呼ばれるその病気は、長期にわたって原因不明の微熱や疲労感、だるさが続き、ひどいときには起き上がることもできなくなるといいます。集中力が勝負の即興音楽の世界では、致命的ともいえる病気です。

その間の経緯については、キースの日本公演を一手に引き受けてきたプロモーター鯉沼利成さんの手になる Koinuma's Note「キース・ジャレット〜ソロ・コンサートへの長い道のり〜」にくわしく載っています。

この『メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』は、自宅で病気療養中のキースがリハビリをかねてひそかに録りためたものです。場所は自宅のスタジオ。録音もキースが自分で手がけています。

演奏しているのは、5曲目の後半のオリジナル〈瞑想〉を除いて、スタンダード・ソングばかり。キースのソロでは、はじめての「名曲集」になっています。

それにしても、なんという慈愛にみちた音楽でしょう。心のすきまにジワーッと染み込んでいくような、あたたかく、やさしいメロディーたち。けっして手数は多くはありません。むしろよけいな装飾をすべてはぎとって、最後に残った美しいメロディーの核だけが訥々と演奏されています。

人生の晩秋を迎えた老夫婦が、小春日和の陽気に誘われて、デッキチェアに腰を下ろして2人のこれまでをふりかえる。あたかかい眼差しと静かなほほえみが交差します。いいときも悪いときもいっしょに乗り越え、心の底からわかりあえる仲だからこその2人だけの世界。いいなあ、本当に。

どれもすてきな演奏ですが、なかでも感涙ものが5曲目の〈マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ〉。このアルバムは、夫人のローズ・アン(Rose Anne)に捧げられています。そして、この曲は、苦労をともに乗り越えてきた奥さんに対する感謝といたわりの心に満ちています。子守唄代わりにこの曲を聞くだけで、日常生活のいやなことはすっかり洗い流されてしまうでしょう。おすすめです。

 

Keith Jarrett "The Melody At Night, With You"
(ECM 1675)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Keith Jarrett, Manfred Eicher
Recorded by Keith Jarrett
Recorded at Cavelight Studio, NJ; late 1997

[Tracks]
01. I Loves You, Porgy (music: George Gershwin / words: DuBose Heyward, Ira Gershwin)
02. I Got It Bad (And That Ain't Good) (music: Duke Ellington / words: Paul Francis Webster)
03. Don't Ever Leave Me (music: Jerome Kern / words: Oscar Hammerstein II)
04. Someone To Watch Over Me (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
05. My Wild Irish Rose (traditional; arr. Keith Jarrett)
06. Blame It On My Youth 〜 Meditation (music: Oscar Levant / words: Edward Heyman) 〜 (music: Keith Jarrett)
07. Something To Remember You By (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
08. Be My Love (music: Nicholas Brodszky / words: Sammy Cahn)
09. Shenandoah (traditional; arr. Keith Jarrett)
10. I'm Thru With Love (music: Matty Malneck, Fud Livingston / words: Gus Kahn)

[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
The ultimate on-line Keith Jarrett Discography (by Mirko Caserta)
Keith Jarrett Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年05月23日

キース・ジャレット『ラ・スカラ』

lascala.jpg

前作『ウィーン・コンサート』はウィーン国立歌劇場での独奏会でしたが、今回の舞台はミラノのスカラ座。この2つにパリのオペラ座を加えれば、世界三大オペラ座と相成ります。格調高いスカラ座のステージで、キースはたった独りでもがき苦しみます。

そう、この『ラ・スカラ』を覆うのは、とても重苦しい雰囲気です。キースは音の響きを確かめるかのように、1音1音、ていねいに音を選びながら演奏をはじめます。とても静かな幕開けです。ははーん、徐々に盛り上げていくいつものパターンだなと思って聞いていると、裏切られます。今日のキースは、なかなかはじけません。どこまでいっても平たんな印象です。

「おいおい、今日はどうしちゃったんだよ。もしかして、このまま終わっちゃうつもり?」としびれを切らしかける頃、ようやくたどり着いた安住の地(41分前後から)。でも、『ウィーン』のように感動が束になってわきあがってくる感じはしません。やはりどこか引っかかる。今日はダメか。そうか、そういう日もあるよ。しかたがないさ。

前半の出来を本人がどう感じていたかは知る由もありませんが、パート2では、迷いを振り払うかのように、キースは頭からガンガン飛ばします。キースのソロのなかでは、おそらくもっともフリーっぽい展開です。パルス信号のように耳に突き刺さる高音の連打に、稀代のメロディー・メイカー、キースの別の一面をかいま見ることができます。

この演奏の好き嫌いは分かれるかもしれません。私自身も、うまく気持ちの整理ができないまま、この文章を書いています。ある種のスゴみは感じられます。セシル・テイラーとは別の意味で、フリーのソロピアノとして非常にレベルの高い演奏だとは思います。でも、それと好き嫌いは別なんですね。少なくとも今これを書いている時点では、『ウィーン』のほうが好きだなあ、私は。

そして、アンコールでひっそりと演奏される〈オーヴァー・ザ・レインボウ〉(虹の彼方に)。全身全霊でピアノと対峙し、ひと仕事をやり遂げたキースの満足感や安堵感がにじみ出ています。緊張の糸が解け、肩の力を抜いて奏でられるくつろぎのメロディー。パンチの効いたフルコースの最後に出てくる、ほんのりと甘い上品なデザート。この雰囲気は、次作の『ザ・メロディー・アット・ナイト・ウィズ・ユー』を彷佛させるものがあります。絶品です。

 

Keith Jarrett "La Scala"
(ECM 1640)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded and Remixed by Jan Erik Kongshaug, Mnfred Eicher
Recorded live at Teatro alla Scala, Milano; February 13, 1995

[Tracks]
01. La Scala, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. La Scala, Part 2 (music: Keith Jarrett)
03. Over The Rainbow (music: Harold Arlen / words: Edgar Y. Harburg)

[Links: Keith Jarrett]
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キース・ジャレット『ウィーン・コンサート』

viennaconcert.jpg

以前、作品としての完成度は『ケルン・コンサート』が一番だと前に書きましたが、ごめんなさい、前言撤回します。完成度は、この『ウィーン・コンサート』のほうが上です。いやもう、ホントにすばらしい! この美しさを言葉で表現することなど不可能です。

『ケルン』時代のキース・ジャレットのソロは、ゴスペル、フォーク、ジャズ、ラグタイム、ブルース、クラシックなどの旋律が、走馬灯(って見たことありますか?)のように入れ替わり立ち替わり現れては消える夢の世界。キースの来歴を見るかのような、さまざまな要素が入り乱れて、起伏の激しいダイナミックな展開が聞きものでした。

『ウィーン・コンサート』は違います。80年代から一連のクラシック作品をものにしてきたキースが、オペラの殿堂「ウィーン国立歌劇場」に乗り込んで、クラシックに対する思いのたけを披露します。まるで愛(しかも一方的な片思い)の告白を聞いているかのような、真摯で切ない美旋律。私は語るべき言葉を失い、ただひたすら酔いしれました。マジで感動します!

驚くほどよく練られた(いつ練っているのかはまったく不明ですが)構成と、1つのフレーズをとことんまで掘り下げて、そのなかに光り輝く美の核心を瞬時に取り出す力。即興によるソロ・コンサートという誰もが恐れをなす大事業に、長年取り組み続けてきたキースでしか到達できない境地がここにあります。

キースはここまで深化したのです(進化というより、深みをましたといったほうがふさわしい気がします)。それは初期のソロ作品と聞き比べるとよくわかります。キースは格段にうまくなっている。なんたることでしょう。あの『ケルン・コンサート』の、その先があるなんて!

ところで、キースの恋愛は成就したのか。それとも片思いで終わってしまったのか。私は「思いは遂げられた」と聴きました。

〈パート1〉の後半、セシル・テイラーばりの激しいフリー演奏(25分10秒あたりから。こんなに激しいキースはめったに聞けません。鬼気迫るものがあります)を経て、一瞬の静寂をさしはさんで、突如訪れる歓喜の瞬間(32分16秒前後)。

それまでの地を這うような展開から一転して、心を自由に解き放ち、大空高く舞うキース。今まさに眼前にくり広げられる天上の音楽。37分52秒あたりで轟くキースの「アーオ」という声も、すごいことをやってのけたという達成感に満ちています。感動的ですらあります。マジでおすすめです。まだ聞いていない人は今すぐゲット。きっと後悔はさせません。

 

Keith Jarrett "Vienna Concert"
(ECM 1481)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher, Keith Jarrett
Recorded by Peter Laenger
Recorded live at Vienna State Opera; July 13, 1991

[Tracks]
01. Vienna, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Vienna, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
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Keith Jarrett Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年05月20日

キース・ジャレット『パリ・コンサート』

parisconcert.jpg

キース・ジャレットのソロ・コンサートのなかで、もっとも内省的な雰囲気を感じさせるのが、この『パリ・コンサート』です。

まんま「クラシックの小品」的な美旋律で幕を開けるこの日の演奏は、どこまでいってもキースの独り舞台。観客に向かって開かれた演奏というより、外部とのパイプを切断して、ひたすら自己の内面深く掘り下げていくような、自己陶酔的な響きがします。

21分40秒あたりから延々とくり返される「ダダダッ、ダダダダッ、ダダダダダッ」という左手のリズム。執拗に刻まれる一定のパターンが、かえって人の心を惑わせるのだと、はじめて知りました。あまりのしつこさに、病的な徴候すら感じてしまうのです。この『パリ・コンサート』と比べると、初期の『ソロ・コンサート』や『ケルン・コンサート』なんかは、よっぽど聴衆に対して開かれた音楽でした。

もちろんたった独りの作業ですから、自己陶酔的な面はいつでも感じられるのですが、初期の作品には聞き手にカタルシスをもたらす瞬間が必ずあったのです。でも、この作品にはそれがありません。観客は、キースの自分探しの旅(ただし、ダークサイドの探求に限る)に、ただ黙ってつきあうしかないのです。ちょっとしんどい気がします。

コンサート中、唯一訪れる華やぎは、アンコールで〈ザ・ウインド〉というラス・フリーマンの曲を弾きはじめた瞬間ですが、それもすぐにかき消され、すぐにもとの殻に閉じこもってしまいます。ああ、キースよ、もう一度出てきて、私たちにお前の顔を見せておくれ!

このコンサートが催されたパリのサル・プレイエルといえば、フランスのピアノ・メーカープレイエル社が所有する名門コンサート・ホール。ジャズの世界でも、カウント・ベイシーやオスカー・ピーターソンらの録音が残っています(現在は改修中。2006年完成予定だそうです)。

「ドイツのピアノはピアノの音がする。フランスのピアノは香水の香りがする。そして、プレイエルはショパンの音がする」

プレイエルを紹介するとき、必ずといっていいほど出てくるこのフレーズ。ショパンの愛したピアノといわれると、なるほど「そんな音」が聴こえてくる気がするから不思議です。

 

Keith Jarrett "Paris Concert"
(ECM 1401)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Peter Laenger, Andreas Neubronner
Recorded live at Salle Pleyel, Paris; October 17, 1988

[Tracks]
01. October 17, 1988 (music: Keith Jarrett)
02. The Wind (music: Russ Freeman, Jerry Gladstone)
03. Blues (music: Keith Jarret)

[Links: Keith Jarrett]
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2005年05月18日

キース・ジャレット『ダーク・インターヴァル』

darkintervals.jpg

1984年、キース・ジャレットはソロ・コンサートの終結を宣言します。その名も「ラスト・ソロ」と銘打ったツアーが日本全国(12回公演)で開催され、同名の映像作品も残されています。DVD『ラスト・ソロ』1984年1月25日、東京簡易保険ホールにて。

すでに前年の1月にスタンダーズによる初録音を終え、ピアノ・トリオという古くて新しいフォーマットによって、ジャズの伝統を再構築する作業に没頭しはじめたキースにとって、ソロピアノによるインプロヴィゼーションは、自分のうちなる音楽を表現するのにふさわしい方法ではなくなってきたのでしょう、少なくともこの時点では。

「この時点では」と譲歩がついたことでわかるように、終結宣言からわずか3年後、キースは再びたった独りで舞台にあがります。「ニュー・ソロ・ピアノ」と題して行われた東京のサントリーホールにおけるコンサートは、キースの100回目の日本公演を記念するスペシャル・イベントでもありました。その模様を収録したのが、この『ダーク・インターヴァル』です(暗い幕間といった意味でしょうか)。

ラスト・ソロ・ツアーを観にいった人にはお気の毒ですが、そもそも芸術家に一貫性を求めることは無意味です。アーティストはその言動によってではなく、できあがった作品の完成度によって評価されるもののはず。ですから、その時々の感性の赴くまま、ソロが最適だと思えば躊躇なくソロを選択する。それが芸術家というものだと思います(ちょっとキースに甘いかな?)。

この作品は、ソロ・コンサートとしては初の短編集になっています。『ステアケイス』のところでも書きましたが、短編をものにするには、切りのいいところで「えいっ」と切りあげる思いきりのよさが必要です。音数が少ないため、1音1音によりいっそう神経を使って、全体の構成を瞬時にイメージできなければ、起承転結のはっきりした演奏にしあがりません。

おそらく、スタンダーズによるスタンダード解釈の方法論が、ここでの演奏に影響したのではないでしょうか。いったん長大な物語を書きはじめると、想像力がどんどんふくらんで、作品をコンパクトにまとめるのがむずかしくなるように、キースのソロもときには広がりすぎて収拾がつかなくなった(実際、破綻してしまったコンサートも少なくなかったようです。もちろんそれらは作品としては残りませんが、人間キースを実感できるエピソードです)。

どんどん拡散して、場合によっては希薄になってしまった。それを、いったんスタンダードという原点に立ち返ることで、もう一度ギュッと凝縮して作品としてまとめあげる力を手に入れた。そうして生まれたのが、この『ダーク・インターヴァル』ではないかと思うのです。

ここでの演奏は、おそろしく濃密です。音が幾重にも重なり、重苦しささえ感じられるほどです。サントリーホールの「響きすぎじゃないか」と思うくらいのピアノの音色が、その重層感に拍車をかけます。短編集なのに、聞くのにちょっとためらいがある。それくらい、重たい作品です。

実はこの3日後、同じサントリーホールで、追加公演が行われました。そこで演奏されたのは、誰もが知っているスタンダード・ソング。それまでもアンコールで〈オーヴァー・ザ・レインボウ〉を演奏したことはありましたが、ソロ・コンサートを丸々スタンダード・ソングで埋め尽くしたのは、後にも先にもこの1回かぎり。関係者も事前に知らされていなかった、キースの遊び心です。ここらへんの事情は、キースの来日公演をすべてプロモートしてきた鯉沼ミュージックのサイトにある「Koinuma's Note」にくわしく書かれています。

なお、この1回かぎりのスタンダード・ソロ・コンサートの模様は、DVD『ソング・ブック:ライヴ・アット・サントリー・ホール '87』で確認することができます。

 

Keith Jarrett "Dark Intervals"
(ECM 1379)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Kimio Oikawa
Recorded live at Suntory Hall, Tokyo; April 11, 1987

[Tracks]
01. Opening (music: Keith Jarrett)
02. Hymn (music: Keith Jarrett)
03. Americana (music: Keith Jarrett)
04. Entrance (music: Keith Jarrett)
05. Parallels (music: Keith Jarrett)
06. Fire Dance (music: Keith Jarrett)
07. Ritual Prayer (music: Keith Jarrett)
08. Recitative (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
The ultimate on-line Keith Jarrett Discography (by Mirko Caserta)
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2005年05月17日

キース・ジャレット『ブレゲンツ・コンサート』

concerts.jpg

前作『サンベア・コンサート』で行き着くところまで行ってしまった感のあるキースのソロですが、この『ブレゲンツ・コンサート』では新たな地平を切り開きます。クラシックへの接近がそれです。

『ブレゲンツ・コンサート』というのは CD の邦題です。原題『Concerts』が複数形なのは、LP 時代はブレゲンツ録音(1枚)とミュンヘン録音(2枚)をカップリングしていたから。ミュンヘン録音は、なぜか CD 化の際、カットされてしまいました。

1980年代のキースといえば、83年からはじまるスタンダーズの活動ばかりに目が向きますが、84年に ECM New Series の第1弾としてリリースされた(即興を中心としたジャズではなく、記譜された音楽=クラシックや現代音楽をメインとしたシリーズ)アルヴォ・ペルトの『タブラ・ラサ』に参加したあたりから、キースのクラシックへの傾倒が明らかになります。

キースが『バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻』『第2巻』『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』を録音するのは80年代後半になってからですが、すでにこの頃からキースの頭の中ではクラシック特有の旋律が鳴っていたのでしょう。この『ブレゲンツ・コンサート』でも、力強い演奏のそこかしこに、それらしいフレーズが聴かれます。

それにしても、ブレゲンツではインフルエンザでも流行っていたのでしょうか。客席のあちこちから聞こえてくる咳、咳、咳。その場にいない私でさえ気になるのですから、神経質なキースの耳に入らないわけありません。それを打ち消すかのように、いつにもまして唸り、吠え、足を踏み鳴らし、鍵盤を叩きつける指に力がこもるキース。でも、その力が異様な盛り上がりにつながっていくのです。

この『ブレゲンツ』では、『ケルン』で見せたこの世のものとは思えない美しさや『京都』や『札幌』(『サンベア・コンサート』に収録)で見せたそこはかとない可憐な響きは影を潜め、もっと力強く、激しい演奏がくり広げられます。そして、突如現れる幾何学文様のようなクラシックの響き。全体を通して、ポジティヴな響きに満ちている気がするのは、私だけではないようです。

この作品は、アンコールで「曲」を演奏したことでも話題になりました。まったくの白紙の状態で鍵盤に向かい、その場でストーリーを生み出していく従来のソロに加えて、あらかじめ作曲された「曲」を演奏した。それだけで話題になってしまうところが、キースのすごいところです(笑)。

〈アンタイトルド〉も〈ハートランド〉もいいのですが、私が聞きたいのは、未 CD 化のミュンヘン録音に含まれていた〈Mon Coeur Est Rouge〉。これは、『ステアケイス』と同日録音されたフランス映画のためのオリジナルで、その後『レインボー・ロータス』という阪神大震災のためのチャリティ盤に〈Paint My Heart Red〉というタイトルで収録された曲です。これがいいらしいんです(残念ながら、私はどちらも未聴です)。アマゾンなどでも激賞されています。ああ、聞いてみたいなあ〜!

 

Keith Jarrett "Concerts"
(ECM 1227/29)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Martin Wieland
Recorded live at Festspielhaus, Bregenz, Austria; May 28, 1981

[Tracks]
01. Bregenz, May 28, 1981, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Bregenz, May 28, 1981, Part 2 (music: Keith Jarrett)
03. Untitled (music: Keith Jarrett)
04. Heartland (music: Keith Jarrett)

未 CD 化のミュンヘン・コンサートのデータも載せておきます。
Recorded live at Herkulessaal, Munich; Jun 2, 1981

01. Munich, June 2, 1981, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Munich, June 2, 1981, Part 2 (music: Keith Jarrett)
03. Munich, June 2, 1981, Part 3 (music: Keith Jarrett)
04. Munich, June 2, 1981, Part 4 (music: Keith Jarrett)
05. Munich, June 2, 1981, Part 5 (music: Keith Jarrett)
06. Munich, June 2, 1981, Part 6 (music: Keith Jarrett)
07. Mon Coeur Est Rouge (music: Keith Jarrett)
08. Heartland (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
The ultimate on-line Keith Jarrett Discography (by Mirko Caserta)
Keith Jarrett Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年05月16日

キース・ジャレット『サンベア・コンサート』

sunbearconcerts.jpg

一部の好事家向けのコンプリートものや通販なんかでよく見かけるアンソロジーならいざ知らず、たった1人のピアニストの、わずか数日間のソロ・コンサートの記録だけで、LP 10枚組の超重量級 BOX セットを発売しようというのは、偉業を通り越して、はっきりいって暴挙です。商売を考えたら、とてもじゃないけれど割に合わない。そう考えるのがふつうの神経です。でも、それを実際にやってしまった人たちがいます。そして、それがかなりの勢いで売れたというのですから驚きです。

キース・ジャレットがはじめて日本の地を踏んだのは1974年。アメリカン・カルテットを率いての来日でした(全国10回公演。最終日のみソロ・コンサート)。翌75年も同じメンバーで来日(12回公演。最終日のみソロ・コンサート)。そして、76年11月、ついにたった独りで全国を縦断するソロ・ツアーが実現します。

ツアーは京都を皮切りに、福岡、大阪、名古屋、東京(2回公演)、横浜、札幌の計7都市で行われ、そのうちアルバムに収録されたのは、11月5日の京都(@京都会館)、11月8日の大阪(@大阪サンケイホール)、11月12日の名古屋(@愛知文化講堂)、11月14日の東京(@中野サンプラザ)、11月18日の札幌(@札幌厚生年金会館)の5回の公演です。

この全国ツアーの模様をすべて録音しようという遠大な企画は、当時、ECM の日本販売代理店をしていたトリオ・レコード(現ケンウッド)のほうから提案されました。最終決定権はレーベル・オーナーのマンフレート・アイヒャーが握っていたとはいえ、いわば日本主導で実現した快挙(暴挙?)だったわけです。

ここらへんの事情は、このブログでも何度か紹介している 稲岡邦彌さんの『ECM の真実』でどうぞ。誕生したばかりの ECM をなんとか日本に根づかせようと、試行錯誤を重ねた当時の人たちの熱いドラマが、「プロジェクトX」っぽくてちょっと感動的です。

ちなみに、タイトルの「サンベア(Sun Bear)」というのは、「ヒグマ(羆=日熊=Sun Bear)」の言葉遊びからつけられたそうで(キースとアイヒャーがこの「Sun Bear」をえらく気に入ったらしい)、表紙に鎮座するカタカナの題字は、稲岡さんのお父様が書かれたとのこと。いやはや、いろいろあるものです(笑)。

この『サンベア・コンサート』は、やはり万人向きとはいえません。なにせこのボリュームですから、聞き通すだけでもひと苦労です。今回、このブログのために、この2日間ですべてのディスクを2回以上聞きましたが、正直かなり骨の折れる作業でした。

CD(6枚組)になって少しは買いやすくなりましたが、それでも1万円近くの出費。私もこれを買うまでは、それなりの逡巡がありました(だからこそ、手に入れたときの感慨はひとしおなのですが)。

結論をいいましょう。ふだん BGM のようにジャズを聞く人。あなたはこの CD を買う必要はありません。きっと後悔します。いくらキースが天才だとはいえ、同じ人間がやることですから、似たような展開は当然訪れます。冗漫だと思うところもあるでしょう。ピアノの音色以外の刺激がないソロ演奏ですから、BGM として聞くのであれば、『ソロ・コンサート』や『ケルン・コンサート』などの単品でじゅうぶんです。

逆に、新しい CD を手にしたら、まずはじっくりとジャケットを眺めまわし、おもむろにプレイヤーにセットして、何度もくり返し聞き込んで悦に入る人。あなたはぜひこのアルバムを買ってください。きっと損はしません。細部に耳を傾ければ、聞くたびに新たな発見があるのが、キースのソロの魅力です。ときに激しく、ときにゆるやかに、そしてときには集中力が途切れかけて破たん寸前までいくこともありますが、そういう微妙な感情のヒダを敏感にキャッチできる神経の持ち主に対しては、キースはきっと頬笑みを返してくれるでしょう。聞けば聞くほど、キースが好きになる。それがこの『サンベア・コンサート』がもつ魔力です。

それでも、『サンベア・コンサート』は重たすぎるという人。そんなあなたには、私のとっておきの楽しみ方をお教えしちゃいましょう。まず、重たい箱から CD を出してください。それをそのまま CD ラックに戻してください。ハイ、それでおしまいです(笑)。

『サンベア・コンサート』が重たいというのは、6枚1セットという意識があるからです。それを単体にわけて考えればいいのです。「今日はケルンでいこう」「今日はブレーメン(ソロ・コンサートの1枚目)がいいな」というのと同じように、「今日は京都にしようか」「今日は札幌って気分だな」というのもアリなわけです。

実際、京都や札幌での演奏は、「京都コンサート」「札幌コンサート」として単品で勝負できるくらい、充実しています。「パリ」「ウィーン」「名古屋」「大阪」「ブレゲンツ」「東京」と並べていけば、別に違和感ないでしょう? 

そういうふうにバラバラにして考えると、1枚1枚違った個性にも自然と耳がいくようになります。居住まいを正さないと聞けなかった「サンベア」が、日常生活に溶け込んでくれるんです。単体聞き、おすすめです。

 

Keith Jarrett "Sun Bear Concerts"
(ECM 1100)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Okihiko Sugano, Shinji Ohtsuka
Recorded live in Kyoto; Nov 5, 1976 (Disc 1)
Recorded live in Osaka, Nov 8, 1976 (Disc 2)
Recorded live in Nagoya, Nov 12, 1976 (Disc 3, 6-3)
Recorded live in Tokyo, Nov 14, 1976 (Disc 4, 6-2)
Recorded live in Sapporo, Nov 18, 1976 (Disc 5, 6-1)

[Tracks: Disc 1]
01. Kyoto, Nobember 5, 1976, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Kyoto, Nobember 5, 1976, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 2]
01. Osaka, November 8, 1976, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Osaka, November 8, 1976, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 3]
01. Nagoya, November 12, 1976, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Nagoya, November 12, 1976, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 4]
01. Tokyo, November 14, 1976, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Tokyo, November 14, 1976, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 5]
01. Sapporo, November 18, 1976, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Sapporo, November 18, 1976, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 6]
01. Encores, Sapporo (music: Keith Jarrett)
02. Encores, Tokyo (music: Keith Jarrett)
03. Encores, Nagoya (music: Keith Jarrett)

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2005年05月14日

キース・ジャレット『ステアケイス』

staircase.jpg

キースのスタジオ録音によるソロ作品としては、『フェイシング・ユー』(71年録音)以来となる作品です。フランスの短編映画『Mon coeur est rouge』(英語名:Paint My Heart Red。1976年作品。残念ながら未見です)の音楽を依頼され、パリのダヴー・スタジオを訪れたのが75年10月。その仕事をいち早く切り上げ、そのスタジオにあったピアノに惚れ込んだキースは、残った時間を使って、急きょソロピアノの録音を決意します。そうして生まれたのが、この『ステアケイス』(階段)です。

ほかの楽器と違って、ピアノは持ち運ぶことができません。そのため、プロのピアニストは、ライヴ会場やスタジオにおいてある、さまざまなコンディションのピアノと折り合いをつけながら演奏することを強いられます。当然、好みもあるでしょう。場合によっては、調律の狂ったピアノを演奏しなければならないことだってあるわけです。だからこそ、いいピアノと出会ったときの喜びはひとしおです。このアルバムでは、「これはどう?」「こうやるとどう鳴る?」と、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のように、ピアノの一音、一音を楽しんでいるキースの様子を思い描くことができます。

ソロ・コンサート』や『ケルン・コンサート』が山あり谷ありの一大長編ロマンだとすると、4つの組曲(それぞれ2、3パートからなる)で構成されたこの作品は、さながら連作短編小説のような趣があります。

長編小説が人物描写や情景描写に時間(字数)をかけて徐々に盛り上げていくのとは異なり、短編には短編のよさがあって、いきなり核心をついて、いさぎよく切り上げる。したがって、余韻を楽しむには短編のほうが向いています。満腹になる前に終わってしまうからです。

「ステアケイス(階段)」「アワーグラス(砂時計)」「サンダイアル(日時計)」「サンド(砂)」と4つの題名がつけられたこの連作短編集が妙に心に引っかかるのは、その空腹感のせいじゃないかなと思います。

同じ構造が続く「階段」、区切られた時間を表す「砂時計」、逆に永遠にくり返す「日時計」、これ以上ないほどこまかく分解された「砂」。どういう意図でこのタイトルをつけたのかはよくわかりませんが、いずれも色彩感の乏しい理念的なお題のような気がします。そして、ここでくり広げられている音楽も、モノクロの絵画、もっというなら水墨画のような独特の味わいがあります。

一番好きなのは、「アワーグラス」ですね、やっぱり。美しいメロディーを瞬間的に創造できる才能こそ、キースがみんなから愛される理由だと思います。

 

Keith Jarrett "Staircase"
(ECM 1090/91)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded at Davout Studio, Paris; May 1976

[Tracks: Disc 1]
01. Staircase, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Staircase, Part 2 (music: Keith Jarrett)
03. Staircase, Part 3 (music: Keith Jarrett)
04. Hourglass, Part 1 (music: Keith Jarrett)
05. Hourglass, Part 2 (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 2]
01. Sundial, Part 1 (music: Keith Jarrett)
02. Sundial, Part 2 (music: Keith Jarrett)
03. Sundial, Part 3 (music: Keith Jarrett)
04. Sand, Part 1 (music: Keith Jarrett)
05. Sand, Part 2 (music: Keith Jarrett)
06. Sand, Part 3 (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
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2005年05月13日

キース・ジャレット『ケルン・コンサート』

thekolnconcert.jpg

前人未到、空前絶後のソロピアノによる完全即興コンサートの模様を収録した前作『ソロ・コンサート』は全世界で圧倒的な支持を得て、1974年のスイングジャーナル誌のジャズ・ディスク大賞金賞をはじめ(過去の受賞作については、JAZZ CD.JP で検索できます)、各国専門誌の賞を総ナメにしただけでなく、なんとニューヨーク・タイムスタイム誌のアルバム・オブ・ジ・イヤーまで獲得したそうです(でも、不思議なことに、キースはグラミー賞には一度も輝いていないんです。何かあるのでしょうか?)。

当然、次の作品に対する期待はふくらみます。プレッシャーも相当あったはずです。でも、キースとアイヒャーは見事にそれに打ち勝ちます。そうして生まれたのが、この『ザ・ケルン・コンサート』です。

作品としての完成度では、やはりこの『ケルン・コンサート』が一番だと思います。とくに〈パート1〉の美しさは筆舌に尽くしがたい。これが本当にその場で、その瞬間に生み出された即興芸術なのか。誰もが耳を疑うはずです。時間をかけ、試行錯誤をくり返し、いったんできあがった作品にもう一度手を入れる。そういう緻密な推敲を重ねて、ようやくたどり着くはずの完璧な構成美が、ここでは展開されています。

「インプロヴィゼーションというのは記譜による作曲を1000倍の速度で行うものだ」というキースの言葉がありますが、一方で彼は「私は自分で創造できるとは思いませんが、創造主とのチャネルになれると考えています。私は創造主を信じていて、事実このアルバムは、私という人間を通してあなたに届けられた創造主の作品なのです」と、前作『ソロ・コンサート』のライナーで告白しています(いわゆる「チャネリング」ってやつですね)。

おそらく、どちらも真実なのでしょう。これはあくまで私の印象ですが、『ケルン・コンサート』はかなりの割合で自己コントロールが効いたのではないかと思います。全神経を集中し、感覚を研ぎすまし、ものすごいスピードで頭をフル回転させて、次の展開を先読みする。そうでなくては生まれ得ない構成美だと思うのです。でも、『ソロ・コンサート』は自分のコントロールできる範囲を逸脱した。人智の及ばない領域で、誰かに導かれるように体が動き、物語をつむいでいった。まさに「神の存在」を身近に感じたのが、ブレーメンでのコンサートだったのではないかと思うのです。

みなさん、ナチュラル・ハイになったこと、ありますか? 私は何度かあります(私は酒もタバコもやりますが、ドラッグ関係に手を出したことはありません、念のため)。

職業柄、徹夜が多いのですが、締め切りが重なり睡眠不足が何日も続くと、ある瞬間から異常な集中力を発揮するようになります。アドレナリンが出まくり、極度の興奮状態に陥って、「オレってスゲエ」「オレってサイコー」とわめき散らしながら、ものすごい勢いで最後の追い込みをかけるわけです(笑)。もちろん、私のような凡人は、だからといって人を感動させるような作品が生まれるわけではないのですが、その瞬間は自分がふだんもっている力以上のもの、自分のコントロールを超えたパワーを発揮できるような気がします。

余談ながら、ドイツの古都ケルンは、ライン〜ドナウ川流域の多くの都市と同じく、古代ローマの植民市が発祥です。ケルンは植民市を表す「コロニア」のドイツ語読みで、「Koln」の「o」の上には2つの点が入ります。英語名は「Cologne」です(ネタ元は塩野七生さんの『ローマ人の物語』です)。

 

Keith Jarrett "The Koln Concert"
(ECM 1064/65)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Martin Wieland
Recorded live at the Opera, Koln, Germany; January 24, 1975

[Tracks]
01. Koln, January 24, 1975, Part I (music: Keith Jarrett)
02. Koln, January 24, 1975, Part II a (music: Keith Jarrett)
03. Koln, January 24, 1975, Part II b (music: Keith Jarrett)
04. Koln, January 24, 1975, Part II c (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
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2005年05月12日

キース・ジャレット『ソロ・コンサート』

soloconcerts.jpg

久しぶりにキースのソロが出ましたね。どういうわけか、私のまわりにはキース・ファンの女性が多いようなので(笑)、『レイディアンス』の発売を記念して、今日からキースのソロピアノ作品を頭から順番に紹介する、というちょっと無謀な特集を組みたいと思います(途中で飽きちゃったらゴメンなさい)。

キース・ジャレットが、ECM のプロデューサー、マンフレート・アイヒャーの申し出によって、初のソロピアノ作品『フェイシング・ユー』を録音したのが1971年11月。マイルス・バンドのヨーロッパ・ツアー中、わずか3時間の出来事だったといいます(稲岡邦彌さん『ECM の真実』より)。

続く72年から、キースとアイヒャーは計18回にも及ぶヨーロッパ・ツアー(ソロピアノによる完全即興演奏)を敢行。その中から、73年3月のスイス・ローザンヌでの演奏と、同年7月のドイツ・ブレーメンでの演奏をピックアップして3枚組のLPとしてまとめたのが、この『<ソロ・コンサート』です。

それにしても、どえらいことを考えたものです。譜面なし、曲なしで、たった独り舞台に立ち、1時間以上も途切れなく演奏しつづける。ものすごいプレッシャーだと思います。全神経を集中して、感覚を極限まで研ぎすませないと実現できないことです。しかも、その音楽が聴衆を魅了し、世界中の人に感動を与えているなんて、この世の奇跡としかいいようがありません。

比べるのもどうかとは思いますが、私も人前で講義をする身です。2時間の授業に事前の準備なしでのぞむなど、想像しただけでも恐ろしい。しかも、それで生徒に感動を与えつづけるなんて。若い人は正直ですから、こちらがちょっと準備を怠っただけで、すぐに居眠りする生徒が出てきます(笑)。だから、よけいにキースのすごさが実感できるんです。

それだけプレッシャーのかかる行為ですから、やはり肉体も精神もボロボロになります。先のヨーロッパ・ツアー中、アイヒャーは自分で車を運転して満身創痍のキースを運んでいたそうですが、とくにブレーメンではひどかった。コルセットでなんとか体を支えて長時間ドライヴを乗り切ったキースですが、ホテルに到着と同時にベッドに倒れ込んでしまった。もうだめだ、このままではコンサートは中止するしかない。でも、キースは舞台に立ちます。そして、静かに鍵盤をつまびきはじめるのです。〈ブレーメン・パート1〉

稲岡さんは前掲書で、その音楽を「山の岩陰に端を発した小さな流れが、森を走り、山を下り、表情を変えながら川幅を増し、急流になれば蛇行して速度をゆるめ、やがて、とうとうと流れる大河になって海に流れ込む」と評されていますが、まったく同感です。実は私も、まさに「川の一生」を想像しながらこの音楽を聞いていたのです。今回、飯岡さんがまったく同じようなイメージでこの音楽をとらえていたことを知って、うれしくなりました。

もう1つ、〈ブレーメン・パート2〉の15分00秒から19分20秒あたりまで続く「桜吹雪」(と勝手に呼んでいます。桜の花びらが風に舞うなかを、桜の妖しさに魅入られた男が一人佇む。そんなイメージなんです)が私のお気に入りです。あまりの美しさにため息しか出てきません。

一連のキースのソロ・コンサート作品で、最初に聞くべきアルバムはやはり『ソロ・コンサート』だと個人的には思っています。というのも、この『ソロ・コンサート』では、まだキースもはじめてということで猫を被っていたのか、例のうなり声がほとんど聞こえないからです(笑)。

キースのうなり声については、実は私も気にならなくなるまでに何年か費やしたのですが、特効薬は目で見ること。

コンサートに足を運ぶもよし、映像作品を観るもよし(ビデオアーツ・ミュージックから何作か出ています)、とにかく一度でもキースのプレイを目の当たりにすれば、立ったり、座ったり、顔をしわくちゃにしたり、うなったり、という一連の行為が、キースの音楽表現と一体化していることがわかります。いったんそうとわかると、今度は音だけの作品を聞いていても、「ああ、ここでキースは例の渋面をつくっているだろうな」「ここで興奮して立ち上がったかな」などと想像する別の楽しみもあったりします。

 

Keith Jarrett "Solo Concerts"
(ECM 1035/37)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Rolf Rockstroh (#1, 2), Pierre Grandjean, Alain Kobel (#3)
Recorded live at Radio Bremen, Kleiner Sendesaal, Losanna; Jul 12, 1973 (#1, 2)
Recorded live at Radio Suisse Romande, Studio Lausanne, Salle de Spectacles D'Epalinges; Mar 20, 1973 (#3)

[Tracks]
01. Bremen, July 12, 1973, Part 1 (music: Keith Jarrett)
03. Lausanne, March 20, 1973 (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
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2005年04月12日

キース・ジャレット『ヌード・アンツ』

nudeants.jpg

1970年代のキース・ジャレットが率いていたもう1つのカルテット、通称ヨーロピアン・カルテットも(彼らの最初のアルバム・タイトルから「ビロンギング」とも呼ばれる)、ヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライヴ作品を残しています。この『サンシャイン・ソング』がそうです(79年録音。原題は「Nude Ants」、裸のアリです)。

アメリカン・カルテットがキースのゴスペル・タッチのピアノを土台として、ときにフリー・ジャズっぽい激しさを聞かせるバンドだとすると、ヨーロピアン・カルテットはキースの美的センスが極限まで高められ、ヤン・ガルバレクの透明感あふれるサックスが天使のような神々しさをもって舞い降りる、まさに「天上の音楽」を奏でるグループです(彼らの代表作で、私の一番好きなキースのアルバム『マイ・ソング』については、後日あらためて)。

ヤン・ガルバレク(1947年、ノルウェーのオスロ生まれ)、パレ・ダニエルソン(1946年、スウェーデンのストックホルム生まれ)、ヨン・クリステンセン(1943年、ノルウェー生まれ)。白夜と氷の国の出身だけあって、南国特有のきらびやかな原色とは正反対の、澄み渡った冬の空のような無色透明でクリアな音を出す彼らも、本場アメリカのジャズ・クラブでは、いつもとはちょっと違った熱い演奏をくり広げます。

それにしても、タイトルの「裸のアリ」って何の意味だろうと思っていたら、『Nude Ants』と収録曲〈New Dance〉の音が似ているところからつけられたタイトルのようです(「ジャズ批評88キース・ジャレット大全集」より)。『フォート・ヤウ』のアナグラムに続く言葉遊び。こういう妙な遊び心はエヴァンスに通じるものを感じます。エヴァンスもアナグラムが好きでした。

 

Keith Jarrett "Nude Ants"
(ECM 1171)

Jan Garbarek (soprano sax, tenor sax)
Keith Jarrett (piano, timbales, percussion)
Palle Danielson (bass)
Jon Christensen (drums, percussion)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Tom McKenney
Mixed by Martin Wieland
Recorded live at the Village Vanguard, NYC; May 1979

[Tracks: Disc 1]
01. Chant Of The Soil (music: Keith Jarrett)
02. Innocence (music: Keith Jarrett)
03. Processional (music: Keith Jarrett)

[Tracks: Disc 2]
01. Oasis (music: Keith Jarrett)
02. New Dance (music: Keith Jarrett)
03. Sunshine Song (music: Keith Jarrett)

[Links: Jan Garbarek]
Jan Garbarek Discography (by Brian Ritchie)
Jan Garbarek (@ musicolog.com)
[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
The ultimate on-line Keith Jarrett Discography (by Mirko Caserta)
Keith Jarrett Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年01月18日

チック・コリア&ゲイリー・バートン『イン・コンサート』

inconcert.jpg

何でも続けるのはむずかしい。このブログも、「今日は時間がない」「徹夜あけで眠い」「二日酔いで体調が最悪」「どうしても気分が乗らない」などなど、いろいろ言い訳をつけては休みがちです。この年になると、生来の怠け癖がいっそう幅を利かして、なかなか思うようにコントロールできなくなってきます。よくないね、まったく。

気を持ち直して、チック・コリアとゲイリー・バートンのデュオ・ライヴ『イン・コンサート』にいきましょう。

クリスタル・サイレンス』でジャズの新しい地平を垣間見せてくれた2人が、7年後に再会して、すてきなコンサートを開いてくれました。あちらが「静」の音楽だとすると、こちらは「動」の音楽です。ピチピチとはじけるような躍動感、未来は無限の広がりをもって私の眼前にあるといった若さ特有の華やぎがあります。

もちろん、芸達者な2人のこと、リズム・セクションはまったく不要です。デュオという形式が、ここまで必然性を感じさせるペアはあまりいません。息もピッタリで、お互いの音楽性も近い。2人はこの後も、何作か共演を重ねています。

 

Chick Corea, Gary Burton "In Concert, Zurich, October 28, 1979"
(ECM 1182)

Gary Burton (vibraphone)
Chick Corea (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Martin Wieland
Recorded live at the Limmathaus, Zurich, October 28, 1979

[Tracks]
01. Senor Mouse (music: Chick Corea)
02. Bud Powell (music: Chick Corea)
03. Crystal Silence (music: Chick Corea)
04. Tweak (music: Chick Corea)
05. Falling Grace (music: Steve Swallow)
06. Mirror, Mirror (music: Chick Corea)
07. Song To Gayle (music: Chick Corea)
08. Endless Trouble, Endless Pleasure (music: Steve Swallow)

[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Gary Burton]
Gary Burton (Official Website)

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2005年01月11日

チック・コリア&ゲイリー・バートン『クリスタル・サイレンス』

crystalsilence.jpg

先週末、静岡にいって本年度最後の講義をしてきました(塾で大学受験向けの小論文を教えています)。最初の頃は、まともな日本語を書けない人もいましたが、若いときの成長ってすごいですね。最後には、ほとんどの生徒がどこに出しても恥ずかしくないような論文を書くようになりました。あとは吉報を待つばかり。彼らのこれからが楽しみです。

というわけで、若くてみずみずしい音楽を1つ。初期のチック・コリアの作品は、本当にすばらしい。クリアで透き通ったサウンドというのは、それまでのジャズにはなかったもので、はじめてチックを聴いたときには新鮮な驚きを感じたものです。チック・コリア、本名は Armando Anthony Corea。1941年6月12日、マサチューセッツ州チェルシーの生まれです。

なかでも、ヴィブラフォンのゲイリー・バートンとのデュオ作品では、『クリスタル・サイレンス』、つまり、「水晶のような透明な静けさ」というタイトルそのものの、まったく新しい音世界がくり広げられています。いつ聴いても新しい、不思議な作品です。

 

Chick Corea, Gary Burton "Crystal Silence"
(ECM 1024)

Gary Burton (vibraphone)
Chick Corea (piano)

Produced by Mnfred Eicher
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded at the Arne Bendiksen Studio, Oslo, November 6, 1972

[Tracks] 
01. Senor Mouse (music: Chick Corea)
02. Arise, Her Eyes (music: Steve Swallow)
03. I'm Your Pal (music: Steve Swallow)
04. Desert Air (music: Chick Corea)
05. Crystal Silence (music: Chick Corea)
06. Falling Grace (music: Steve Swallow)
07. Feelings And Things (music: Michael Gibbs)
08. Children's Song (music: Chick Corea)
09. What Game Shall We Play Today (music: Chick Corea)

[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Gary Burton]
Gary Burton (Official Website)

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2004年12月27日

ダラー・ブランド『アフリカン・ピアノ』

africanpiano.jpg

白人のソロピアノが続いたので、今度はうってかわって、バリバリの黒人といきましょう。南ア出身の生粋のアフリカ人ジャズ・ピアニスト、ダラー・ブランドのその名も『アフリカン・ピアノ』です。

ダラー・ブランド。回教徒名は、アブドゥラ・イブラヒム(Abdulla Ibrahim)。1934年10月9日、南アフリカの首都ケープタウン生まれです。アフリカ出身といっても、1962年以降はもっぱらヨーロッパで活躍していたようです。というのも、当時の南アといえばアパルトヘイトまっさかり。多くの黒人にとって、住みにくい国だったのですから。

異国の地で暮らすと、母国では考えもしなかった自分のルーツを強く意識するものですが、ダラー・ブランドもそうだったのでしょう、ここではアフリカの大地を強く感じさせる音楽が展開されています。アフリカン・アメリカンの郷愁にも似たアフロ・ミュージックとも異なり、もっと大地に根を張った、土のにおいのする音楽です。

まだ聞いたことがない人は幸せです。一聴して、脳天を割られたような衝撃を受けるでしょう。数日間は確実に脳裏を離れないほどインパクトのあるピアノです。

追記:
移行作業をしていて気づいたのですが、これって、あのジャズハウス・モンマルトル(カフェ・モンマルトル)でのライブだったんですね。スタン・ゲッツの『ピープル・タイム』といい、デクスター・ゴードンの『モンマルトル・コレクション』といい、セシル・テイラーの『ライヴ・アット・カフェ・モンマルトル』といい、ここには名演を生む独特の地場があったのかもしれません。

 

Dollar Brand "African Piano"
(Japo 60002 / ECM 3302)

Dollar Brand (piano)

Recorded live at Jazz-hus Montmatre, Copenhagen; October 22, 1969

[Tracks] 
01. Bra Joe From Kilimanjaro (music: Dollar Brand)
02. Selby That The Eternal Spirit Is The Only Reality (music: Dollar Brand)
03. The Moon (music: Dollar Brand)
04. Xaba (music: Dollar Brand)
05. Sunset In Blue (music: Dollar Brand)
06. Kippy (music: Dollar Brand)
06. Jabulani - Easter Joy (music: Dollar Brand)
07. Tintiyana (music: Dollar Brand)

[Links: Dollar Brand (Abdulla Ibrahim)]
Abdulla Ibrahim: The Official Website

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2004年12月21日

チック・コリア『ソロ Vol. 2』

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引き続き、チックの『ソロ Vol. 2』を。この作品の録音前、チック・コリアはエレクトリック路線を突き進むマイルス・デイヴィスのもとで腕をみがいていました。『イン・ア・サイレント・ウェイ』(69年2月録音)から『ビッチェズ・ブリュー』(69年8月録音)を経て、キースとの怒濤のツイン・キーボードが炸裂する『マイルス・デイヴィス・アット・フィルモア』(70年6月録音)へといたる、あの時期です。

それにしても、すごい集中力です。ピアノ1つを前にして、極度に集中力を高めた結果、ほとばしり出てきたのがこれらの美しい音楽だったというのは、やはり天賦の才としかいいようがありません。切れ味鋭いチックがそこにいます。

 

Chick Corea "Piano Improvisations, Vol. 2"
(ECM 1020)

Chick Corea (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded at Bendiksen Studio, Oslo, April 21-22, 1971

[Tracks]
01. After Noon Song (music: Chick Corea)
02. Song For Lee Lee (music: Chick Corea)
03. Song For Thad (music: Chick Corea)
04. Trinkle Tinkle (music: Thelonious Monk)
05. Masqualero (music: Wayne Shorter)
06. Preparation 1 (music: Chick Corea)
07. Preparation 2 (music: Chick Corea)
08. Departure From Planet Earth (music: Chick Corea)
09. A New Place: 1) Arrival 2) Scenery 3) Imps Walk 4) Rest (music: Chick Corea)

[Links: Chick Corea]
Chick Corea - Official Website
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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チック・コリア『ソロ Vol. 1』

pianoimprovisations1.jpg

ECM のソロピアノ作品といえば、まっさきに思い浮かぶのがキース・ジャレットの一連の作品ですが、キースに先立つこと半年あまり、レーベル・オーナー兼プロデューサーのマンフレート・アイヒャーが最初に白羽の矢を当てたのは、チック・コリアでした。本名は、Armando Anthony Corea。1941年6月12日、マサチューセッツ州チェルシー生まれ。プエルトリコ系の血を引く黒人です。

ソロ Vol. 1』は、ピアノによる完全即興演奏集です。当初、ECMの日本の販売元だったトリオ・レコード出身の稲岡邦彌さんがまとめた『ECM の真実』には、「あらかじめ用意することなく「無」の状態でレコーディングに臨み、その場で音楽を展開させていった」というチックのコメントが載っています。

譜面なし、曲想なしで、ゼロから音を紡ぎ出していくのが、どれだけすごいことか。楽器を操れない私には想像するしかありませんが、たとえば無心でパソコンに向かって、そこから途切れなく、意味のある言葉を入力し続けることのむずかしさを思ったら、なんとなく、そのすごさがわかる気がします。

 

Chick Corea "Piano Improvisations, Vol. 1"
(ECM 1014)

Chick Corea (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded at Bendiksen Studio, Oslo, April 21-22, 1971

[Tracks]
01. Noon Song (music: Chick Corea)
02. Song For Sally (music: Chick Corea)
03. Ballad For Anna (music: Chick Corea)
04. Song Of The Wind (music: Chick Corea)
05. Sometime Ago (music: Chick Corea)
06. Where Are You Now (Picture 1) (music: Chick Corea)
07. Where Are You Now (Picture 2) (music: Chick Corea)
08. Where Are You Now (Picture 3) (music: Chick Corea)
09. Where Are You Now (Picture 4) (music: Chick Corea)
10. Where Are You Now (Picture 5) (music: Chick Corea)
11. Where Are You Now (Picture 6) (music: Chick Corea)
12. Where Are You Now (Picture 7) (music: Chick Corea)
13. Where Are You Now (Picture 8) (music: Chick Corea)

[Links: Chick Corea]
Chick Corea - Official Website
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2004年12月20日

キース・ジャレット『フェイシング・ユー』

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今週はソロピアノ特集といきましょう。前人未到のソロピアノによる完全即興コンサートといえば、キース・ジャレットの『ソロ・コンサート』や『ケルン・コンサート』が有名ですが、あれはちょっと上級者向き。いきなり聞いても、例のうなり声ばかり気になって、そのすごさが実感できないかもしれません。

キースの入門盤としては、ソロ第1作『フェイシング・ユー』を強く推します(ECM レーベルより)。理由は、もっとも「親しみやすい=わかりやすい」キースが聞けるからです。

キース・ジャレット。1945年5月8日、ペンシルヴァニア州アレンタウン生まれ。初心者からベテランまで、誰からも愛されるビル・エヴァンスとは違って(わかりやすく、それでいて聞けば聞くほど奥行きを感じさせるエヴァンスは、やはり天才です)、キースの音楽は聴く人を選びます。聴衆に対して自分から歩み寄っていくことはない、どこまでも唯我独尊、孤高のスタイリスト。それがキースです。

でも、この『フェイシング・ユー』には、そのような屹立とした厳しさは感じられません。まず、曲の形が残っている(笑)。これがわかりやすさの第1点です。ソロ・コンサートで演奏されるのはもはや曲ではなく、その時々の心象風景、情動のような、とらえどころのない世界ですが、ここではきちんとした曲が演奏されます。すべてキースのオリジナルですが、どこかで聞いたような、なつかしさを感じさせるいい曲ばかりです。これも、このアルバムを入門編に推す理由です。

ここ数年でもっとも好きなソロピアノ作品は、間違いなくジョバンニ・ミラバッシの『アヴァンティ!』ですが、キースのこの作品も、それと並ぶくらい大好きです。キースって、ちょっとむずかしいなあ、と感じている人はぜひ。

 

Keith Jarrett "Facing You"
(ECM 1017)

Keith Jarrett (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Jan Erik Konshaug
Recorded at the Arne Bendiksen Studio, Oslo; November 10, 1971

[Tracks]
01. In Front (music: Keith Jarrett)
02. Ritooria (music: Keith Jarrett)
03. Lalene (music: Keith Jarrett)
04. My Lady; My Child (music: Keith Jarrett)
05. Landscape For Future Earth (music: Keith Jarrett)
06. Starbright (music: Keith Jarrett)
07. Vapallia (music: Keith Jarrett)
08. Semblence (music: Keith Jarrett)

[Links: Keith Jarrett]
keithjarrett.org (by Olivier Bruchez)
キース・ジャレット通信 (by TKO)
Keith Jarrett Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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