2006年10月20日

レッド・ガーランド『ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ』

garland_whentherearegreyskies.jpg

3日間にわたって続けて参りましたレッド・ガーランド特集も、いよいよフィナーレ。最後はやっぱり『ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ』でしょう。1962年10月9日録音のこのアルバムには、短い全盛期を終えた1人のピアニストが、時代の変化にあらがい、隠遁を決めた直前の演奏が収められています。

冒頭の〈ソニー・ボーイ〉を聴いて、あなたはなにを感じますか? これがあの、ガーランドのピアノでしょうか。同一人物とは思えない変貌ぶり。というよりも、「おいおい、お前、死ぬ気じゃないか?」と本気で心配したくなる、どうしようもない暗さ。指が動かない。というよりも、動かさない。いったい、彼になにが起きたというのでしょう?

2曲目でやや持ち直しますが、続く〈セント・ジェイムス病院〉で、絶望はさらに深刻度を増します。華やかなステージから遠く離れ、過ぎ去った過去を見つめる冷めた視線。持ち前の軽やかさはどこかに吹き飛び、重く、陰鬱な気分に包まれます。

そして、最後にひっそりと演奏される〈誰も知らない私の悩み〉。淡々と、ひたすら淡々と鍵盤に向かう彼に耳を傾けていると、いろいろな想いが走馬灯のように甦ってきます。これじゃ、まるっきり死の直前じゃないですか。でも、ガーランドはこのとき39歳。まだまだ働き盛りのはずなのに、枯淡の境地に至ってしまったのには、きっとなにか理由があるはず。時代のせいなのか、なにか重い病気を患ったのか。

アート・ペッパーの〈家路〉(『ゴーイン・ホーム』に収録)と並んで人生の黄昏を感じさせる、とても個人的で感傷的な演奏です。

 

Red Garland "When There Are Grey Skies"
(Prestige 7258)

Red Garland (piano)
Wendell Marshall (bass)
Charlie Pership (drums)

Produced by Ozzie Cadena
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; October 9, 1962

[Tracks]
01. Sonny Boy Ray Henderson, Al Jolson (music) / Buddy G. DeSylva, Lew Brown (lyrics)
02. My Honey's Lovin' Arms Joseph Meyer (music) / Harry Ruby (lyrics)
03. St. James Infirmary Joe Primrose (music and lyrics)
04. I Ain't Got Nobody Victor Young (music) / Charles Warfield (lyrics)
05. Baby, Won't You Please Come Home Clarence Williams (music) / Charles Warfield (lyrics)
06. Nobody Knows The Trouble I've Seen (traditional)

[Links: Redo Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 17:23| Comment(1) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『レッド・ガーランド・アット・ザ・プレリュード』

garland_attheprelude.jpg Red Garland Trio - At the Prelude

さて、管入り2枚をはさんだところで、われらがレッド・ガーランドのトリオ作品に戻りましょう。『レッド・ガーランド・アット・ザ・プレリュード』。ニューヨークはブロードウェイの129丁目にあったサパー・クラブ、プレリュードでのライヴ録音です。

ガーランドには珍しいこのライヴ作品は、「ガーランド=カクテルピアノ」のイメージを植えつけた張本人だと思いますが、いわゆるライブハウスと違って、食事がメインの大人のお店。会話を邪魔しない、くつろいだ演奏のどこが悪い! 食事をしながらセシル・テイラーが聴けますか、ってんだ(爆)。

場をわきまえた軽妙な演奏のなかにも、随所にハッとするような美しいシングルトーンが響きます。そうそう、この軽やかな、コロコロと転がるようなピアノこそ、ガーランドの真骨頂。どれもリラックスして聴ける快演ばかりですが、エリントン・ナンバーの〈サテン・ドール〉、スタンダードの〈ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー〉、最後を飾るベイシーの〈ワン・オクロック・ジャンプ〉あたりが楽しくてお気に入りですね。

ちなみに、このときのライヴの模様は、『サテン・ドール』(Prestige 7859)、『リル・ダーリン』(Status 8314)、『レッド・ガーランド・ライヴ!』(New Jazz 8326)、計4枚のアルバムに分散収録されていましたが、今は、演奏順に並べたコンプリート盤が出ています。



 

"Red Garland At The Prelude"
(Prestige 7170)

Red Garland (piano)
Jimmy Rowser (bass)
Charles "Specs" Wright (drums)

Recorded live at the Prelude, NYC; October 2, 1959

[Tracks] Red Garland Trio - At the Prelude
01. Satin Doll Duke Ellington, Billy Strayhorn (music) / Johnny Mercer (lyrics)
02. Perdido Juan Tizol (music) / H.J. Lemgsfelder, Ervin Drake (lyrics)
03. There'll Never Be Another You Harry Warren (music) / Mack Gordon (lyrics)
04. Bye Bye Blackbird Ray Henderson (music) / Mort Dixon (lyrics)
05. Let Me See Count Basie, Harry Edison (music)
06. Prelude Blues Red Garland (music)
07. Just Squeeze Me Duke Ellington (music) / Lee Gaines (lyrics)
08. One O'Clock Jump Eddie Durham, Buster Smith, Oran "Hot Lips" Page (music)

[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 15:52| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ソニー・ロリンズ『テナー・マッドネス』

rollins_tenormadness.jpg Sonny Rollins Quartet - Tenor Madness

今でこそ、ピアノ・トリオはジャズの主戦場になっていますが、かつては、主役はあくまでトランペットやサックス奏者で、ピアノは脇役、リズム・セクションを構成する一人にすぎませんでした。だから、50年代半ばに継続的にトリオ作品を残したのは、プレスティッジのレッド・ガーランド、ヴァーヴのオスカー・ピーターソンくらいなもので、ようやく50年代の終わり近くになって、リヴァーサイドのビル・エヴァンス、ブルーノートのジーン・ハリス(ザ・スリー・サウンズ)が出てきますが、ほかの名だたるピアニストたちにトリオ作品(どころかリーダー作品)が少ないのは、やはり「脇役」という認識が一般的だったからでしょう。

レッド・ガーランドは私も大好きなピアニストですが、彼のトリオ作品を立て続けに2、3枚聴くと、さすがに飽きます。トリオというフォーマットは刺激が少ない分、どうしても金太郎飴になってしまうところがあって、こればっかりは、エヴァンスもキースもメルドーも避けられない。だから、管入りの作品をはさんで聴くのがちょうどいいわけです。

マイルスのリズム・セクションをバックに、テナーのロリンズとコルトレーン(1曲のみ)が相見えた『テナー・マドネス』。1回目のマラソンセッションの2週間後、名盤『サキコロ』の1か月前という録音時期、そして、なによりロリンズとトレーンの共演ということで話題の盤ですが、この時期のトレーンに聴くべきものはありません。1曲目の〈テナー・マッドネス〉は飛ばして、2曲目から、ロリンズの骨太テナーを心ゆくまで味わうのが、私の聴き方です(笑)。

たとえば、クラシックの作曲家ドビュッシーの〈Reverie〉をポピュラー音楽化した〈マイ・レベリー(私の夢)〉。ゆったりとして丸みをおびたこのテナーの音色はどうですか。水滴がしたたり落ちそうなくらい、しっとりと濡れそぼっています。う〜ん、たまりませんなあ〜。典雅なガーランドのピアノが彩りを添えます。うるさ型のフィリー・ジョーでさえも、格調高い曲の雰囲気に完全に呑まれています。

 

Sonny Rollins "Tenor Madness"
(Prestige 7047)

Sonny Rollins (tenor sax)
John Coltrane (tenor sax) #1
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; May 24, 1956

[Tracks] Sonny Rollins Quartet - Tenor Madness
01. Tenor Madness Sonny Rollins (music)
02. When Your Lover Has Gone Einer A. Swan (music and lyrics)
03. Paul's Pal Sonny Rollins (music)
04. My Reverie Debussy (music) / Larry Clinton (lyrics)
05. The Most Beautiful Girl In The World Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of the Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:46| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レッド・ガーランド『グルーヴィー』

garland_groovy.jpg Red Garland - Groovy

レッド・ガーランドの代表作のみならず、ピアノ・トリオを代表する傑作、ガーランドのプレスティッジ第3弾『グルーヴィー』です。

名盤といわれるアルバムには必ずキラーチューンが入っているものですが、このアルバムのそれは、エリントンの〈Cジャム・ブルース〉。別名〈デュークス・プレイス〉でも知られるこの曲が流れてくると、そこはもうガーランドの世界。心なしか、いつもより「よく」聴こえるチェンバースのベースが気分を盛り上げます。いつ聴いても、どんな気分のときに聴いても、ハッピーになれること請け合いです。ああ、ジャズが好きでよかったと、心からそう思います。

そして、どの曲をとっても粒ぞろいの名演ばかりというのも、名盤の大切な要素です。続く〈ゴーン・アゲイン〉。ほかの人がとりあげないような、ほんとに何気ない曲なのですが、これがまた実にいいんです。ノリのいい曲にはさまれた一服の清涼剤。ブロックコードでやさしく奏でられるこの曲を聴けば、マイルスがなぜガーランドを愛したか、その理由がわかります。「花飾り」の名にふさわしい、可憐な演奏です。

あるいは、有名スタンダード〈ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー〉。重すぎず軽すぎず、明るすぎず暗すぎず、美に溺れず、力に頼らず、ワザをひけらかさず、洗練とも泥臭さとも一線を画した、まさに中庸の音楽。ガーランドの生命線は、この絶妙なバランス感覚にありそうです。「粋」に「小」をつけて「小粋」。まさにガーランドのためにあるような言葉です。

もう1つ、アルバムにとって大切な「顔」を忘れてはいけません。壁の落書きをあしらったこのジャケットは、そのセンスのよさにおいて、ジャズ史上まれに見る傑作です。

 

Red Garland "Groovy"
(Prestige 7113)

Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, December 14, 1956 (#4, 5), May 24 (#6), August 9 (#1-3), 1957

[Tracks] Red Garland - Groovy
01. C Jam Blues (aka. Duke's Place) Duke Ellington (music) / Bob Thiele, Ruth Roberts, Bill Katz (lyrics)
02. Gone Again Curtis Lewis, Curley Hamner, Gladys Hampton (music and lyrics)
03. Will You Still Be Mine Matt Dennis (music) / Tom Adair (lyrics)
04. Willow Weep For Me Ann Ronell (music and lyrics)
05. What Can I Say After I Say I'm Sorry Walter Donaldson, Abe Lyman (music and lyrics)
06. Hey Now Red Garland (music)

[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月19日

『レッド・ガーランズ・ピアノ』

garland_redgarlandspiano.jpg

レッド・ガーランドのプレスティッジ第2弾『レッド・ガーランズ・ピアノ』。メンバーは前回と変わらず。人気盤『グルーヴィー』(次回アップします)と同日録音を含む「裏グルーヴィー」的なアルバムです。

よく見ると、5曲目に〈イフ・アイ・ワー・ベル〉が入っています。わずかひと月半前に、マイルスのマラソンセッションで愛らしいピアノを聴かせたガーランドが(『リラクシン』収録)、今度はトリオでこの曲を料理しました。で、結果はどう出たか。残念ながら、マイルスのいない〈イフ・アイ・ワー・ベル〉は、大切ななにかを置き忘れた残り滓のようで、おすすめできません。

あるいは、マイルスのお気に入り、アーマッド・ジャマルでおなじみの〈バット・ノット・フォー・ミー〉。マイルスはジャマルのような「旋律的な控え目さと軽さ」をもったピアニストとして、ガーランドを自分のバンドに迎えたわけですが、「ジャマルのように弾いてくれ」といわれたガーランドの心境はいかばかりか。ここでは同じ「軽さ」を前面に出しながらも、「オレはジャマルじゃない」といわんばかりに、玉のようによく転がるピアノで、音の間隙を埋めていきます。でも、どこか気負いが感じられる演奏です。いまいちリラックスできないというか。

じゃあ、なにを聴けばいいの? というアナタ。忘れていませんか、冒頭の〈プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ〉を。フィニアス・ニューボーン Jr. の同名アルバムが有名ですが、フィニアスのこってりと脂ののった濃密な演奏と比べて、ガーランドのそれは、重すぎず軽すぎず、聴き疲れのしない心地よさをもっています。ガーランドの代名詞「ブロックコード」を堪能できる名演です。

 

"Red Garland's Piano"
(Prestige 7086)

Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; December 14, 1956 (#5,6), March 22, 1957 (#1-4, 7, 8)

[Tracks]
01. Please Send Me Someone To Love Percy MayField
02. Stompin' At The Savoy Edgar Sampson, Chick Webb, Benny Goodman (music) / Andy Razaf (lyrics)
03. The Very Thought Of You Ray Noble (music and lyrics)
04. Almost Like Being In Love Frederick Loewe (music) / Alan Jay Lerner (lyrics)
05. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics)
06. I Know Why Harry Warren (music) / Mack Gordon (lyrics)
07. I Can't Give You Anything But Love Jimmy McHugh (music) / Dorothy Fields (lyrics)
08. But Not For Me George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)

[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月18日

レッド・ガーランド『ア・ガーランド・オブ・レッド』

garland_agarlandofred.jpg

オリジナル・マイルス・クインテットのピアニスト、レッド・ガーランドの初リーダー作『ア・ガーランド・オブ・レッド』です。このアルバムが録音されたのは1956年8月17日ですから、ちょうど二つのマラソン・セッションの合間ということになります。

レッド・ガーランド、本名 William McKinley Garland。1923年5月13日、テキサス州ダラス生まれ。1984年4月23日、テキサス州ダラスで死去。若いころはクラリネットとアルトサックスを吹いたそうですが、軍隊生活を終えた後はプロボクサーとして30勝1敗の戦績を残します。数字だけ見るとなかなかの腕だと思うのですが、ボクサーは断念。以後、ジャズ・ピアニストとして生計を立てていきます。

レッドのあだ名は、20代のころ髪を赤く染めていたから。彼の名が世間に広まったのは
やはりマイルス・デイビスのバンドに参加してからのことで、冠なしの「ザ・リズム・セクション」といえば、ガーランドにポール・チェンバース、フィリー・ジョーンズのことでした。

引っ越し前のライブドアのブログには書きましたが、この『ア・ガーランド・オブ・レッド』は私にとって思い入れのある作品です。生まれてはじめて高級オーディオで聴いたアルバムであり、生まれてはじめてオリジナルのアナログ盤を聴いたアルバムでもあるからです。Hさんというオーディオマニアの方のお宅で聴かせていただいたのですが(Hさん、その節はたいへんお世話になりました)、いやもう驚いたのなんのって。これまでのガーランド観どころか、これまでのジャズ観が根底から覆されるような衝撃を受けました。

みなさん、音にさわることができるって知ってました? よく仕込まれたオーディオから出る分厚いサウンドは、その場に「音場」とでもいうべき確かな実体をともなっていて、手を伸ばせば触れられるような、そんな錯覚を抱かせるのです。よく「誰々が目の前にいるような」と表現したりしますが、まさしく2本のスピーカーと私の間の空間に鍵盤を転がすガーランドにベースをつまびくチェンバース、小気味よくシンバルを叩くアート・テイラーがいるような、そんな感じ。いずれも、どちらかといえば地味目の、玄人好みの人たちですが、眼前に見る(本当に「見える」んです!)彼らは、地味なんてとんでもない! ガーランドが「カクテルピアノ」だなんていうステレオタイプのイメージは完全に吹き飛びます。

くっきりと粒立ちのよいピアノの音色に、ファースト・コールの名に恥じないチェンバースのしびれる重低音、そして、耳元まで鋭く切り込んでくるアート・テイラーのシンバルが、ああ、もう快感です。ガーランドがリーダー作を録るにあたって、「ザ・リズム・セクション」のフィリー・ジョーではなく、アート・テイラーを選んだ理由がわかります。1曲目の〈ア・フォギー・デイ(霧の日)〉。マジでしびれます。

ちなみに、英語の garland には「花飾り、花輪」という意味があり、タイトルは「赤い花飾り」をもじったものです。

 

Red Garland "A Garland Of Red"
(Prestige 7064)

Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; August 17, 1956

[Tracks]
01. A Foggy Day George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)
02. My Romance Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
03. What Is This Thing Called Love Cole Porter (music and lyrics)
04. Makin' Whoopee Walter Donaldson (music) / Gus Kahn (lyrics)
05. September In The Rain Harry Warren (music) / Al Dubin (lyrics)
06. Little Girl Blue Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
07. Constellation Charlie Parker (music)
08. Blue Red Red Garland (music)

[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 22:39| Comment(2) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『スティーミン』

steamin.jpg Miles Davis Quintet - Steamin' With the Miles Davis Quintet

いよいよ ING4部作のラスト、『スティーミン』です。これも1曲のみ10月の録音で、残りは5月11日の1回目のセッションからです。このアルバムがリリースされたのは61年ですから、実に、録音から5年後にようやく陽の目を見たことになります。どうしてそんなに発売が遅れたのか。

人気者マイルスをコロンビアに奪われたプレスティッジは、彼の忘れ形見であるマラソン・セッションの録音を、ほぼ1年おきに「新譜」として発売したんですね。61年のマイルスといえば、すでにビル・エヴァンスが去り、ウィントン・ケリーを迎えて『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』を録ったり、ギル・エヴァンスとのコラボレーションで『アット・カーネギー・ホール』を録ったりしていたころです。すでに次の地平に立っていたマイルスにとって、この時期に発売された56年録音の「新譜」ってどうだったんでしょう?

それはさておき、4部作のうちでもっとも影の薄い『スティーミン』には、マイルスには珍しいカルテット演奏が2曲も入っています。

ところで、ジャズファンというのは、ワン・ホーン・カルテットに目がないものですが、マイルスのカルテットって、あんまり気にしたことないと思いません? 『ブルー・ヘイズ』や『ザ・ミュージングス・オブ・マイルス』というアルバムもあるにはあるんですが、代表作にあがることは、まずありません。ふつうなら「マイルスのワン・ホーンものが聴きたい」と欲求不満に陥るところですが、マイルスの場合はほとんど感じない。

それはたぶん、マイルスがクインテットだろうがセクステットだろうが、テーマをたった独りで吹くからです。サックス奏者と音をかけあわせることももちろんありますが、「ここ」という決めどきは、必ず独りです。いちばんおいしいところは、誰にも渡さない。それが強烈な印象としてインプットされているから、マイルスのワン・ホーン作品を渇望するには至らないのだと思います。

 

"Steamin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7129)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax) except #3, 6
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; May 11 (#1-4, 6), October 26 (#5), 1956

[Tracks] Miles Davis Quintet - Steamin' With the Miles Davis Quintet
01. The Surrey With The Fringe On Top Richard Rodgers (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
02. Salt Peanuts Dizzy Gillespie, Kenny Clarke (music)
03. Something I Dreamed Last Night Sammy Fain (music) / Jack Yellen, Herb Magidson (lyrics)
04. Diane Erno Rapee, Lew Pollack (music)
05. Well, You Needn't Thelonious Monk (music)
06. When I Fall In Love Victor Young (music) / Edward Heyman (lyrics)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『ワーキン』

workin.jpg Miles Davis - Workin'

ING4部作の第3弾、『ワーキン』。今回は1956年5月11日のセッションが中心で、10月26日からは〈ハーフ・ネルソン〉の1曲しか収録されていません。

はっきりいってジャケットがダサいために損をしている1枚です。「道路を掘ってるおっさんが、ちょっと一服しているところではないか」とは中山康樹さんの弁ですが(双葉文庫『マイルスを聴け!2001』より。現在は『Version 7』が出ています)、たしかに、こりゃないよな。いくらプレスティッジを去ったからといって、マイルスがかわいそうです。

『ワーキン』のどこがすごいか。冒頭の〈イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド〉。まさにマイルスのために書かれたような、スウィートな曲です。ライヴでは、女を口説くためにバラードを吹いたというマイルス。「100人も女がいた」というマイルスの発言はさておき、いろんなタイプの女たちをその気にさせるには、手練手管のワザが必要です。繊細でリリカル、ちょっと淋しげな素振りも見せたりして、悩ましいことこのうえない(笑)。

マイルスの引き立て役をつとめるガーランドが、これまたすばらしい。弾きすぎない。目立たないのにハッとさせるような音をつむぐ。ブロックコードが有名な彼ですが、シングルトーンの美しさも特筆ものです。いやあ、いいものを聴かせてもらいました。

デイヴ・ブルーベック作の〈イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ〉。白人嫌いで知られるマイルスですが、ビル&ギルの両エヴァンスしかり、テオ・マセロしかり、いいものはどん欲に吸収するのがマイルスでした。マイルスはこの曲をわずか2か月前に録音したばかりでしたが(テナーにロリンズを迎えた『コレクターズ・アイテムズ』に収録)、よほど気に入ったのでしょう、得意のミュートで思い入れたっぷりに吹いています。

6曲目、マイルスが惚れ込んでいたピアニスト、アーマド・ジャマルの〈アーマッズ・ブルース〉はフロントの2人はお休みで、トリオによる演奏です。ガーランドのブロックコードにチェンバースの弓弾き、つんのめりがちなフィリー・ジョーのドラミング。このトリオのおいしいところが詰まったような演奏です。

 

"Workin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7129)

Miles Davis (trumpet) except #6
John Coltrane (tenor sax) except #1, 6
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; May 11 (#1-6, 8), October 26 (#7), 1956

[Tracks] Miles Davis - Workin'
01. It Never Entered My Mind Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
02. Four Miles Davis (music)
03. In Your Own Sweet Way Dave Brubeck (music)
04. The Theme [take 1] Miles Davis (music)
05. Trane's Blues John Coltrane (music)
06. Ahmad's Blues Ahmad Jamal (music)
07. Half Nelson Miles Davis (music)
08. The Theme [take 2] Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『リラクシン』

relaxin.jpg Miles Davis - RELAXIN' (リラクシン)

前作『クッキン』に続いてリリースされたのが、この『リラクシン』です。タイトルは『リラクシン』ですが、ちっともリラックスできないことで知られています(笑)。

その理由は、ほかならぬマイルスです。彼の存在が、クインテットのほかのメンバーを圧倒します。息苦しいほどの緊張感。演奏の前後に、マイルスのハスキー・ヴォイスが響きます。

「先に演奏するぞ、曲名はあとで教える」
「そうじゃない、ブロックコードで演ってくれ」
「(もう1回やろう、という声に対して)ホワイ?」

マイルスの例のしわがれ声は強烈ですが、『マイルス・デイビス自叙伝』(宝島社文庫)には、声が嗄れたときのエピソードが載っています(訳は中山康樹さん)。

トロントでの出来事のすぐ後、1956年の2月か3月だったと思うが、喉の手術をして、回復するまでバンドを解散しなきゃならなかった。ずっと気になっていた非ガン性の咽頭腫瘍を取り除いたんだ。病院を出てすぐに、あるレコード会社の奴と会ったんだが、そいつはオレと契約しようと、うるさいくらい喋りつづけやがった。で、オレは嫌だったし、はっきりさせようと声を荒げて、声帯をダメにしてしまった。医者から、とにかく10日間は声を出しちゃいけないと言われていたのに、オレは喋るだけじゃなく大声で怒鳴ってしまった。だから、オレの声はこんなふうにしゃがれたんだ。最初は気になったが、結局はこんな声なんだと思うようになった。

『リラクシン』は10月26日の4曲と、5月11日の2曲で構成されています。聴きものは、1曲目フランク・レッサーの〈イフ・アイ・ワー・ア・ベル〉と、3曲目ロジャース&ハートの〈アイ・クッド・ライト・ア・ブック〉。どちらも心がうきうきしてくるような、楽しいな演奏です。

こういう曲を弾かせたら、ガーランドのコロコロとした愛らしいピアノにかなう人はいません。クールでヒップな野郎どもが垣間見せた、チャーミングな一面。例によって、トレーンが無粋なブロウでぶち壊しにしますが、ここはマイルスとガーランドに免じて、目をつぶりましょう。

 

"Relaxin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7129)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; May 11 (#5-6), October 26 (#1-4), 1956

[Tracks] Miles Davis - RELAXIN' (リラクシン)
01. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics )
02. You're My Everything Harry Warren (music) / Mort Dixon, Joe Young (lyrics)
03. I Could Write A Book Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
04. Oleo Sonny Rollins (music)
05. It Could Happen To You Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Burke (lyrics)
06. Woody 'n You Dizzy Gillespie (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 16:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『クッキン』

cookin.jpg Miles Davis - COOKIN'

あまりに昔のことですっかり忘れていましたが、マイルス&ピアニストの変遷を特集してたんですね(笑)。というわけで、久しぶりにマイルスのアルバムを。前回はセロニアス・モンクと共演した『バグズ・グルーヴ』と『アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』をとりあげたので、今回はレッド・ガーランド参加のクインテット、通称マラソン・セッションのなかから『クッキン』といきましょう。

マラソン・セッションというのは、1956年の5月11日と10月26日の2回にわたってプレスティッジに吹きこまれたスタジオ・ライヴ・セッションのことです。当時、マイルスはメジャーレーベル、コロンビアとの二重契約状態にあり、プレスティッジとの残りの契約をはたすため、2日間、文字どおりヴァン・ゲルダー・スタジオに缶詰になって、合計26曲の演奏を収録しました。この2回の録音から、『クッキン』『リラクシン』『ワーキン』『スティーミン』の「ING4部作」が誕生したというのは有名な話です。

メンバーは当時のレギュラー・クインテット。マイルスを筆頭にジョン・コルトレーン (tenor sax)、レッド・ガーランド (piano)、ポール・チェンバース (bass)、フィリー・ジョー・ジョーンズ (drums)。この第一次黄金のクインテットの初録音は、コロンビア盤『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』ですが、プレスティッジには5枚のアルバムが残されています。

いわゆる ING4部作のうち、ほかの3枚は、5月と10月の吹き込みがともに収められていますが、『クッキン』だけは10月の吹き込みだけで構成されています。つまり、55年に結成されたレギュラー・クインテットが活動1年を経て、もっとも脂ののった時期なだけに、演奏の密度が濃いわけです。ING4部作は57年から61年にかけて1枚ずつ発売されたのですが、最初に、録音的にはいちばん新しいこの『クッキン』をもってきたのには、やはり、それなりの理由があったのでしょう。

そして、アルバムの冒頭を飾る〈マイ・ファニー・ヴァレンタイン〉。ガーランドのかわいらしいピアノにつづいて入ってくるマイルスのミュート・トランペットのリリカルさといったら。「卵の殻のうえを歩く男」の異名をとったマイルスの面目躍如です。マイルスのソロのあとは、計算され尽くしたガーランドのピアノ。この美しすぎる曲で、トレーンにバトンタッチしないところはさすがです(笑)。

3曲目、ロリンズ作の〈エアジン〉。『バグズ・グルーヴ』での演奏よりいくぶんテンポアップして、ハードボイルドな雰囲気がなんともたまりません。フィリー・ジョーの切れ味鋭いドラミングが聴きものです。

続く4曲目の〈チューン・アップ〉もいいねえ。のっけから全速力で突っ走るフィリー・ジョー。ポール・チェンバースも力強く地を這います。途中ガーランドの姿がどこかに消えますが、マイルス、フィリー・ジョー、チェンバースだけでこの疾走感。ク〜ッ、たまらん(笑)。トレーンのソロ、ガーランドのソロと続いたあと、マイルスとフィリー・ジョーが短いやりとりをして終わりと思いきや、そのまま、ベニー・カーターのオールド・ファッションな〈ホエン・ライツ・アー・ロウ〉へと続きます。このほんわかとしたぬくもり。

ハードボイルドから心暖まるヒューマン・ストーリーまで、なんでもこなすこの時期のマイルスの充実ぶりといったら。ホンマ、脱帽です。

 

"Cookin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7094)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; October 26, 1956

[Tracks] Miles Davis - COOKIN'
01. My Funny Valentine Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
02. Blues by Five Miles Davis (music)
03. Airegin Sonny Rollins (music)
04. Tune Up 〜 When Lights Are Low Miles Davis (music) 〜 Benny Carter (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 15:43| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

『セロニアス・モンク・アンド・ソニー・ロリンズ』

theloniousmonksonnyrollins.jpg Sonny Rollins & Thelonious Monk - Thelonious Mon & Sonny Rollins

マイルスが自叙伝でいっていたように(『マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』を参照)、セロニアス・モンクはサックス奏者、なかでもテナー奏者と相性がよかったようです。唯我独尊のソロピアノは別として、モンクの傑作のほとんどには、テナー奏者が参加しています。そこで気になるのは、モンクのパートナーとして、誰がいちばん相性がよかったのか、ということです(よね?)。というわけで、モンクのもとに去来した4人のテナー奏者の聞き比べといきましょう。

まずは、ソニー・ロリンズから。2人の共演作はいくつかありますが、名は体を表すというわけで、『セロニアス・モンク・アンド・ソニー・ロリンズ』からいきましょう。モンクとマイルスに「クリスマス・セッション」があるように、モンクとロリンズには「13日の金曜日セッション」があります。

1953年11月13日の金曜日、ニューヨークの WOR スタジオに予定どおりに表れたのは、パーシー・ヒースとウィリー・ジョーンズの2人だけでした。トランペットのレイ・コープランドは病気でドタキャン、急遽、代役を仰せつかったのは、フレンチ・ホルンのジュリアス・ワトキンスでした。

3人は時間前にスタジオ入りしましたが、待てど暮らせどモンクもロリンズもやってきません。誰かが皮肉ります。「今日は13日の金曜日じゃないか」1時間がすぎるころ、ようやく姿を見せた2人がいうには、自分たちの乗ったタクシーがバイクと接触事故を起こしたとのこと。スタジオを暗い雰囲気が覆います。「おいおい、ほんとに13日の金曜日じゃないか」というわけで、このセッションでは、そのものずばり〈13日の金曜日〉という曲が吹きこまれました。

それにしても、なんて変てこりんな曲でしょうか。脳ミソがぐちゃぐちゃになりそうです。「悪魔的」というには妙に明るい。「能天気」というにはちと重い。かといって、暗くジメジメしているわけではなく、カラッと乾いた笑いが聞こえてきそうです。この気持ち悪さを生み出しているのは間違いなくモンクですが、ロリンズはモンクのヘタウマなバッキングをものともせずに、わが道を突き進みます。

ロリンズが生涯最良の時(1956年)を迎えるのはまだ数年先なので、「朗々と吹きまくる」というところまではいきませんが、モンクの呪縛にまきこまれず、自分の世界を現出させるという意味では、さすがはロリンズといえる演奏ですね(このセッションの模様は、どでかい「MONK」の文字が強烈な『セロニアス・モンク・クインテット』にも収録されています)。

1、2曲目はそれから1年近く後、ふたたびロリンズを迎えてワン・ホーン・カルテットで吹きこまれたものです。この日は3曲が録音されましたが、モンクのオリジナルはなく、いわゆる「歌もの」だけの収録となっています。これらを聞くと、ロリンズもモンクも他の何者にも惑わされない、確固とした個性の持ち主なんだなあ、としみじみとわかります。どちらも自分の世界がしっかりあって、相手がたとえ変な手癖の持ち主であったとしても、まったく動じない。モンクはモンクのねじれた世界を、ロリンズはロリンズの豪快な世界を堂々と表現していて、しかも相互にバランスがとれています。真のジャイアンツどうしの出会いとは、こういうものなのでしょう。

このセッションの残りの1曲〈モア・ザン・ユー・ノウ〉は、ロリンズ名義の『ムーヴィング・アウト』にひっそりと入っています。モンクの名脇役ぶりが聞ける名演として知られていますが、たしかに、この曲のモンクは驚くほど聞きやすい(笑)。居心地の悪さ、不安定さがモンクのモンクたるゆえんだとすれば、それがほとんど感じられない安定した演奏です。モンクに対する違和感をどうにかして消したい人は、この1曲だけで、このアルバムは「買い」だと思います。

3、4曲目は、タイトルに反してロリンズ抜きのトリオ演奏で、ブレイキー&パーシー・ヒースがパートナーをつとめています。『セロニアス・モンク・トリオ』にも入っていた54年9月22日のセッションです。このトリオの演奏は、やっぱりいいんですね。〈ワーク〉のモンクは、かなりいっちゃってますから(笑)、あわせるのがたいへんだと思うのですが、モンクの不安定さとリズム陣の安定ぶりがうまく調和して、不思議な魅力につながっています。

途中、突然モンクとヒースが姿を消し(2分15秒前後)、ブレイキーのドラムソロへとつながりますが、この唐突な演奏の切り方を聞いていると、例の「クリスマス・セッション」でモンクが突然演奏をやめたのは、別に調子が悪かったわけではなく、演出の一環で弾くのをやめたのじゃないかと勘ぐりたくもなります。それくらい、変な切り方です。そうしたハプニング(?)をも包み込むブレイキーの器の大きさ。モンクのベスト・パートナーは、この2人だということが実感できます。

 

"Thelonious Monk and Sonny Rollins"
(Prestige 7075)

#1, 2
Sonny Rollins (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
Tommy Potter (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; October 25, 1954

#3, 4
Thelonious Monk (piano)
Percy Heath (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; September 22, 1954

#5
Julius Watkins (French horn)
Sonny Rollins (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
Percy Heath (bass)
Willie Jones (drums)

Produced by Ira Gitler
Recorded by Doug Hawkins
Recorded at WOR Studios, NYC; November 13, 1953

[Tracks] Sonny Rollins & Thelonious Monk - Thelonious Mon & Sonny Rollins
01. The Way You Look Tonight (music: Jerome Kern / words: Dorothy Fields)
02. I Want To Be Happy (music: Vincent Youmans / words: Irving Caesar)
03. Work (music: Thelonious Monk)
04. Nutty (music: Thelonious Monk)
05. Friday The 13th (music: Thelonious Monk)

[Links: Thelonious Monk]
THE MONK ZONE: The Official Thelonious Sphere Monk Website
The Thelonious Monk Website
Thelonious Monk Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: The Official Website
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop (by Harvey Bloomfield)
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

『セロニアス・モンク・トリオ』

theloniousmonk.jpg Thelonious Monk - Thelonious Monk

モンクのトリオ作品は、意外なことに4つしかありません。プレスティッジ盤『セロニアス・モンク・トリオ』、リヴァーサイド盤『プレイズ・デューク・エリントン』、同じくリヴァーサイド盤『ザ・ユニーク』、ブラック・ライオン盤『ザ・ロンドン・コレクション Vol. 1』『Vol. 2』『Vol. 3』です。

このうち、リヴァーサイドの2枚は制作者の意図により、それぞれエリントン集、スタンダード集となっていて、一番おいしいモンクス・オリジナルは含まれていません。ブラック・ライオン盤はモンク最後の公式録音(1971年)ですが、ソロとトリオが半々くらいで、純粋なトリオ作品とはいえません。というわけで、モンクのトリオを楽しむなら、プレスティッジ盤『セロニアス・モンク・トリオ』で決まりです(1952年10月15日、12月18日、1954年9月22日録音)。

この時期のモンクは、まだ一般的な知名度を獲得していたわけではないようです。というのも、1951年8月にドラッグ所持の罪に問われた結果、キャバレーカード(労働許可証のようなもの)を没収され、ニューヨーク中のクラブ(お酒を出す店のみ)から締め出されて、人前で演奏する機会に恵まれていなかったからです(モンクがふたたびキャバレカードを入手するのは57年です)。

この1951年の「事件」は、モンクの才能を世に知らしめるのを遅らせただけでなく、もう一人、悲劇の主人公を生み出します。モンクと並び称されるビバップの巨人バド・パウエルです。この事件の顛末については、後日あらためて紹介しましょう。

さて、この『セロニアス・モンク・トリオ』は、プレスティッジ初録音を含む3つのセッションで構成されています。モンクと相性がよかったドラマーはアート・ブレイキーだといわれていますが、そのブレイキーが6曲、残りの4曲はマックス・ローチが相方をつとめています。そういわれると、聞き比べたくなりますね(笑)。実際にやってみましょうか。条件を同じにするために、52年の2つのセッションから、モンクス・オリジナル対決といきましょう!

3曲目の〈ベムシャ・スウィング〉にエントリーしているのは、正確無比を信条とするローチ選手です。のっけからモンク流の不協和音が炸裂します。バックのローチ選手はバタバタとうるさいです(笑)。でも、モンクは意外にのっているようで、うなり声も冴えわたっています。モンクにしては手数の多い演奏ですね。途中ベースが消えて、モンクとローチだけになりますが、どういうわけかコール&レスポンスにはならず、モンクの後ろでもローチはタタタタタと叩き続けています。本当にうるさいです。うるさいというのは、「五月蝿い」と書きますが、顔のまわりにまとわりつく蝿(ハエ)のように、追っ払いたくなる気がするのは、私だけですか?

5曲目の〈リトル・ルーティー・トーティー〉では、ブレイキー選手が登場します。甲高い不協和音という意味では、こちらのほうが強烈です。でも、テーマが終わった後の落ち着きが全然違います。スムーズに流れ出します。ローチとの演奏が「対決」だとすると、ブレイキーとのそれは「共同作業」です。非常にしっくりくる。演奏としては断然上ですね。

モンクのバックで演奏するときのブレイキーは非常に細やかに神経を使っているのがわかります。耳を澄ませ、モンクの出す音を聞き漏らさずにそばに寄り添い、あくまでモンクが気持ちよく演奏できるようにお膳立てする。ジャズ・メッセンジャーズで見せるド派手なドラミングは封印して、伴奏者に徹しています。いいねえ。

でも、このアルバムの聞きものは、54年のセッションの2曲、ブレイキーとパーシー・ヒースが参加した〈ブルー・モンク〉とこのアルバムで唯一のソロ演奏〈ジャスト・ア・ジゴロ〉です。52年の各曲は、録音時間の制約から3分前後の演奏ばかりですが、〈ブルー・モンク〉は7分を超える演奏で、楽曲の構成という意味で、格段に奥行きを感じさせます。〈ジャスト・ア・ジゴロ〉は3分ほどの短い演奏ですが、このしっとりとした味わいには、捨てがたい魅力があります。

 

"Thelonious Monk"
(Prestige 7027)

Thelonious Monk (piano)
Percy Heath (bass) #1-2
Gary Mapp (bass) #3-10
Art Blakey (drums) #1-2, 5-8
Max Roach (drums) #3-4, 9-10

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded in NYC; October 15 (#5-8), December 18 (#3-4, 9-10), 1952
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ :September 22, 1954 (#1-2)

[Tracks] Thelonious Monk - Thelonious Monk
01. Blue Monk (music: Thelonious Monk)
02. Just A Gigolo (music: Leonello Casucci / Julius Brammer [German], Irving Caesar [English])
03. Bemsha Swing (music: Thelonious Monk)
04. Reflections (music: Thelonious Monk)
05. Little Rootie Tootie (music: Thelonious Monk)
06. Sweet And Lovely (music+words: Gus Arnheim, Harry Tobias, Jules Lemare)
07. Bye-Ya (music: Thelonious Monk)
08. Monk's Dream (music: Thelonious Monk)
09. Trinkle Tinkle (music: Thelonious Monk)
10. These Foolish Things (music: Jack Strachey, Harry Link / words: Holt Marvell)

[Links: Thelonious Monk]
THE MONK ZONE: The Official Thelonious Sphere Monk Website
The Thelonious Monk Website
Thelonious Monk Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop (by Harvey Bloomfield)
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月29日

『マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』

milesdavisandthemodernjazzgiants.jpg Miles Davis Quintet - Miles Davis and the Modern Jazz Giants

1954年12月24日のクリスマス・イヴ、マイルスにモンク、ジョン・ルイスを除いた MJQ のメンバーは、ニュージャージー州ハッケンサックにあったルディ・ヴァン・ゲルダーの自宅スタジオに集まりました。「クリスマス・セッション」と呼ばれるこのときの模様は、前回アップした『バグス・グルーヴ』と、『マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』に収録されています。

さて、この「クリスマス・セッション」は、別名「ケンカ・セッション」として知られています。マイルスに「自分のソロのバックでピアノを弾くな」と言われ、怒ったモンクが、自分のソロの途中で弾くのを止めてしまった。事実、〈ザ・マン・アイ・ラヴ〉のテイク2で、モンクがソロの途中で弾くのを止めてしまうじゃないか、というのが、ケンカ派(なんて人がいるとすれば)の主張です。

事実はどうなのでしょうか? 冒頭の〈ザ・マン・アイ・ラヴ〉のテイク2を聞いてみましょう。テーマから、マイルスの匂い立つようなリリシズムが際立ちます。今回はバックで、モンクもミルトも弾いていますね。邪魔になるどころか、音楽的にもしっくりいっています。

2分12秒あたりでテンポが急に早くなってミルトのソロに引き継がれます。いかにもモンクらしいバッキングも聞こえます。

そして、いよいよから4分45秒モンクのソロがはじまります。ところが、モンクは調子が出ない。なかなか乗り切れないようです。「さあ困った、どうしよう」モンクはついに鍵盤から手を離してしまいます(5分27秒)。

沈黙が続きます。ベースとドラムはリズムを刻み続けますが、「ああ、ダメか、録り直しか」と思ったころに、マイルスが入ってくる(5分39秒)。まるでモンクの背中をそっと押すかのように。そしてモンクが復活、すぐにマイルスにバトンを渡します。

う〜ん、これのどこが「ケンカ」なのでしょうか。私なんかはむしろ、うまくソロに入れなかったモンクに対する、マイルスのいたわりを感じます。「おい、どうしたんだ」「こうやって弾けばいいんだよ」マイルスのペットはそう語りかけているかのようです。モンクもそれに助けられて、ふたたび鍵盤に向かっていく。これを「愛」といわずに、何を「愛」というのでしょうか?

ここらへんの話は、例によってマイルス本人に語ってもらいましょう。
以下、『マイルス・デイビス自叙伝』より引用です(訳は中山康樹さん)。

オレはただ、モンクが作った〈ベムシャ・スイング〉以外では、オレのソロのバッグでピアノを弾くな、休んでろ、と言っただけだ。理由は、ホーン・プレイヤーのバッキングについて、モンクがあまり理解していなかったからだ。モンクと一緒にやって良いサウンドが作れたのは、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、チャーリー・ラウズだけだ。みんなサックス・プレイヤーだ。(中略)トランペットは、演奏できる音符の数が限られている。だからリズム・セクションには、目一杯演奏させなきゃならない。だが、モンクのやり方は、それとは正反対だった。

彼(モンク)はケンカっ早い人間でもなかった。たとえ一週間、彼の足を踏みつづけたとしても、殴り合いになることはなかっただろう。雄牛みたいに強かったが、モンクはやさしく、静かで美しい人間だった。だいたい、もしオレがモンクをぶん殴るなんて言ったりしたら、誰かが飛んできて、オレを精神病院に入れなきゃ変だ。オレみたいなチビを持ち上げて壁に叩きつけることくらい、モンクにとっちゃ朝飯前のことだったんだからな。

モンクの自作曲は〈ベムシャ・スウィング〉だけではなく、〈ラウンド・ミッドナイト〉も収録されていますが、なぜかこの曲だけ、1956年のマラソン・セッションのときの録音です。

 

"Miles Davis And The Modern Jazz Giants"
(Prestige 7150)

#1, 2, 4, 5
Miles Davis (trumpet)
Milt Jackson (vibraphone)
Thelonious Monk (piano)
Percy Heath (bass)
Kenny Clarke (drums)

Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; December 24, 1954

#3
Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; October 26, 1956 (#3)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder

[Tracks] Miles Davis Quintet - Miles Davis and the Modern Jazz Giants
01. The Man I Love [take 2] (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
02. Swing Spring (music: Miles Davis)
03. 'Round Midnight (music: Thelonious Monk, Cootie Williams / words: Bernie Hanighen)
04. Bemsha Swing (music: Thelonious Monk)
05. The Man I Love [take 1] (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Milt Jackson]
Milt Jackson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Thelonious Monk]
THE MONK ZONE: The Official Thelonious Sphere Monk Website
The Thelonious Monk Website
Thelonious Monk Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マイルス・デイヴィス『バグス・グルーヴ』

bagsgroove.jpg Miles Davis - Bags Groove

春だというのに寒かったり暑かったり、なんかはっきりしない日が続くなあと思ったら、早くも GW 突入です。スカッと晴れるといいのですが。

1954年、マイルスはドラッグの魔の手に落ちて暗雲たれ込めたそれまでの数年を振り払うかのように、立て続けに名盤を吹き込みます。ミルト・ジャクソンの代表曲をタイトルに冠した『バグス・グルーヴ』には、ロリンズ自作の名曲が印象的な6月29日のセッションと、マイルスとモンク、ミルトが顔をそろえた12月24日の「クリスマス・セッション」の2曲が収録されています。

CD をセットすると、まず〈バグズ・グルーヴ〉の2つのテイクが耳に飛び込んできます。「バグズ」というのは「目の下のクマ」という意味で、目の下に袋状のたるみがあるミルト・ジャクソンのあだ名ですね。

イントロの部分に耳をすませてみましょう。トランペット、ヴァイヴ、ベース、ドラムは聞こえますが、いるはずのモンクのピアノが聞こえません。続いてトランペットのソロに移りますが、ここではミルトのヴァイブも姿を消して、マイルスはベースとドラムだけをバックに吹いています。実に気持ちよさげですね。気力が充実しているようです。

ところで、モンクとミルトはどこに行ったのかなと思っていると、忘れたころにミルトのソロがはじまります。自作曲なだけあって、ミルトも絶好調です。その背後では、モンクの不協和音がかすかに聞こえます。「あっ、いたいた、ようやく出てきた」ひと安心してしばらくすると、モンクのソロがはじまります。そして、先ほどの安心感が吹き飛ぶんです(笑)。やっぱりモンクはいつでもモンク。予定調和からはずれた音階は、人の心をざわつかせます。でも、不思議としっくりくる。モンクのモンクたるゆえんです。

モンクのソロが終わると、ふたたびマイルスが登場します。その最初の一音に耳を傾けてください。「オレ、ここから入っていいんだっけ」と少しだけ自信なさげなマイルスが笑えます。そして、モンクはふたたびその場から消えるのです。

マイルスの背後でモンクがピアノを弾かなかったのは、マイルスがモンクに対して、「オレのバックでピアノを弾くな」といったからです。それ以上でも、それ以下でもありません。この「クリスマス・セッション」については、『マイルス・デイビス・アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』でも紹介します(次回アップします)。

さて、3曲目からはうってかわって野太いテナーが登場します。ソニー・ロリンズです。当時のロリンズは完全なジャンキーで、刑務所を出たり入ったりしていたといいます。その他のメンバーは、2月録音の『ウォーキン』と同じですね。

ここには、ロリンズのオリジナルが3曲も入っていて、それぞれ他のミュージシャンにカヴァーされることの多い名曲ばかりなのですが、なぜかロリンズ名義の作品では見かけません。理由はよくわかりませんが、ひょっとしたら次のマイルスの発言のなかにヒントが隠されているのかもしれません。以下、『マイルス・デイビス自叙伝』より引用です(訳は中山康樹さん)。

本当のところを言うと、あのレコーディングの時、ソニーは曲を用意してはいたが、実際はスタジオで全部書き直したんだ。奴は紙を引き裂いて、小節か音符か和音か、あるいはコード進行かをとにかく書きなぐっていた。オレがスタジオに入って、「曲はどこだい?」って聞くと、「まだ書いてないよ」とか「まだ終わってないんだ」とか言うから、出来上がってるパートだけ吹いてみた。すると奴はどこか隅のほうに行って、少し経つと紙切れに何か書いて戻ってきて、「OK、マイルス、できたよ」と言うんだ。

つまり、まじめなロリンズはこれらの曲を「自作曲」として吹くことに抵抗があったのではないか。そう思ったりするわけです。これはマイルスとの共同作業でつくった曲だから、あるいは逆に、マイルスに乗っ取られた曲だから、私は吹けない(吹かない)。まあ、これは完全に私の個人的な想像ですが、すぐに自信を失って、何かといえば引退してしまうロリンズのことですから、あながち「ない」とも言い切れない気がするのは、私だけでしょうか?

〈エアジン〉はナイジェリア(Nigeria)のつづりを逆にしたもの。〈オレオ〉はバターの代替品として登場したオレオマーガリンのこと。〈ドキシー〉には「愛人、ふしだらな女」といった意味があります。この3つのオリジナルで聞きものは、〈オレオ〉の1分45秒あたりからはじまるロリンズのソロです。マイルスからソロを引き継いだロリンズは、自作曲であるにもかかわらず、ソロの出だしでつまずきます(笑)。音が出ない。頭のなかが真っ白になってしまったかのようです。なんとかしようと踏ん張りますが、どうしてもうまく流れていかない。あたりに緊張が走ります。たまらずホレス・シルヴァーが助け舟を出す(2分7秒あたり)。それでようやく、ロリンズも流れはじめるのです。テナー・タイタン、ロリンズにも、こんな時代があったんですねえ(笑)。

 

Miles Davis "Bags' Groove"
(Prestige 7109)

Miles Davis (trumpet)
Sonny Rollins (tenor sax) #3-7
Horace Silver (piano) #3-7
Thelonious Monk (piano) #1-2
Milt Jackson (vibraphone) #1-2
Percy Heath (bass)
Kenny Clarke (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; June 29 (#3-7), December 24 (#1-2), 1954

[Tracks] Miles Davis - Bags Groove
01. Bags' Groove [take 1] (music: Milt Jackson)
02. Bags' Groove [take 2] (music: Milt Jackson)
03. Airegin (music: Sonny Rollins)
04. Oleo (music: Sonny Rollins)
05. But Not For Me [take 2] (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
06. Doxy (music: Sonny Rollins)
07. But Not For Me [take 1] (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: The Official Website
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Thelonious Monk]
THE MONK ZONE: The Official Thelonious Sphere Monk Website
The Thelonious Monk Website
Thelonious Monk Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Milt Jackson]
Milt Jackson Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月20日

マイルス・デイヴィス『ウォーキン』

walkin.jpg Miles Davis - Walkin'

1949年、パリを訪れたマイルスはかの地で非常な歓待を受け、サルトルやピカソなど、地元の名士たちと交流をもちます。女優ジュリエット・グリコと恋に落ちたのも、このときです。いっしょに行ったケニー・クラークは、あまりの居心地のよさにパリに残る決心をしますが、マイルスは違いました。心をパリとジュリエットに残したまま、わずか1、2週間の滞在で帰国の途につきます。

最初にマイルスがヘロインに手を出したのは、彼女のいない寂しさを紛らわすためだったかもしれませんが、理由はどうあれ、一度ハマってしまえば、あとは落ちるしかない。カネをせびり、盗みを働き、ウソをつき、身なりも落ちぶれ、重度のジャンキーとなったマイルスは、心身ともに荒れ果てて、50年代前半のほとんどを棒に振ります。

自宅のあるセントルイスや近郊のミルスタッドの農場にたびたび舞い戻り、幾度となく挫折をくり返しながら、ドラッグとの長く苦しい闘いに勝利したマイルスは、1954年2月、いよいよニューヨークに本格的に復帰します。

マイルスが田舎に引き蘢っていた期間は、ちょうど白人中心のウェスト・コースト・ジャズの全盛期に当たります。主役の座を LA に明け渡し、不況に陥っていたニューヨークのシーンがふたたび活気を取り戻したのは、54年にいっせいに花開いたハードバップのおかげです(ブレイキーの『バードランドの夜』が録音されたのは、ほかでもない、1954年の2月のことでした)

復帰後のマイルスの初吹き込みは、ブルーノート盤『マイルス・デイヴィス Vol. 2』で聞くことができますが、これは、復帰以前の録音を含む3枚の10インチ盤からの編集盤なので、ここでは、『ウォーキン』をとりあげます(1954年4月3日、29日録音)。

ここには、60年代前半に立て続けに吹きこまれたライブ盤でも演奏されていた〈ウォーキン〉の初演が入っています。しかも、3管編成です。マイルスはつねに時代の数年先を行っていましたが、こんなところにも、彼の先見の明が表れている気がします。内容については、マイルス自身に語ってもらいましょう。以下、『マイルス・デイビス自叙伝』からの引用です(訳は中山康樹さん)。

だが、あのレコード(ウォーキン)のすごさが本当にわかったのは、その年の暮れに発売されてからだった。本当にすごいレコードだった。ホレスが彼流のファンキーなタッチでベーシックな部分を支え、ケニーはすばらしいリズムを刻んでいた。まさに傑作、本当の大傑作だった。オレは、ビバップの熱気と興奮を蘇らせようとした。ディズやバードがやっていた、あの要素をだ。さらに、もっとファンキーな感じのブルース、ホレスがやっていたような要素も取り入れたかった。そこにオレと J.J. とラッキーが加われば、新しい何かが生まれないわけがなかった。そして確かに、すごいものが生まれたんだ。

当時、マイルスとピアニストのホレス・シルヴァーは5番街の25丁目近くのアーリントン・ホテルに住んでいて、シルヴァーの部屋にあったアップライト・ピアノで、このアルバムのコンセプトは練られたと同書にはあります。前述の『バードランドの夜』でもイキのいいピアノを聞かせ、ジャズ・メッセンジャーズ結成にも参加したシルヴァーが、ハードバップの誕生にはたした役割は、もっと評価されてもいいのかもしれませんね。

 

Miles Davis "Walkin'"
(Prestige 7076)

Miles Davis (trumpet)
J.J. Johnson (trombone) #1-2
Lucky Thompson (tenor sax) #1-2
David Schildkraut (alto sax) #3-5
Horace Silver (piano)
Percy Heath (bass)
Kenny Clarke (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; April 3 (#3-5), 29 (#1-2), 1954

[Tracks] Miles Davis - Walkin'
01. Walkin' (music: Richard Carpenter)
02. Blue 'n' Boogie (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
03. Solar (music: Miles Davis)
04. You Don't Know What Love Is (music: Gene DePaul / words: Don Raye)
05. Love Me Or Leave Me (music: Walter Donaldson / words: Gus Kahn)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: J.J. Johnson]
J.J. Johnson Album Covers (by Christo)
[Links: Lucky Thompson]
The Lucky Thompson Discography (by Noal Cohen)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月17日

モダン・ジャズ・カルテット『コンコルド』

concorde.jpg The Modern Jazz Quartet - Concorde

というわけで、引き続き MJQ の『コンコルド』です(1955年7月2日録音)。この年の2月からドラマーがコニー・ケイに代わって、いよいよ MJQ の快進撃がスタートします。

ところで、まったく余談ながら、「Kay」という彼のラストネームは、本名の「Kirnon」をバードランドの名物司会者ピー・ウィー・マーケットが発音できなかったことからつけられたと、英文ライナーにあります。ホント、いい加減なもんです(笑)。

それはさておき、『コンコルド』です。クラシックのフーガの手法を取り入れたタイトル曲もいかにもフランス贔屓のルイスらしくて楽しいですが(ついでに、ジャケットにうすいピンクとブルーの2色でコンコルド広場をもってきたセンスには脱帽します)、やはり〈朝日のようにさわやかに〉ははずせません。イントロとエンディングに、バッハの〈音楽の捧げもの〉のカノンの1つを配した洒落たアレンジで、これぞ MJQ という雅やかな演奏を聞かせてくれます。

実は、MJQ は1951年録音の実質的なデビュー作『モダン・ジャズ・カルテット』(Savoy MG 12046。原題はたんなる「The Quartet」です)でも同曲を演奏しているのですが、ここでは、例のカノンはついていません。4年の歳月が、グループに洗練と気品をもたらしたのでしょうか。

もう一つ、これも有名スタンダードの〈四月の思い出〉。この曲や〈オール・ザ・シングス・ユー・アー〉といった曲は、どうにもジャズメンの気持ちを駆り立てるようで、急速調での名演が数多く残されています。ここでのミルト・ジャクソンもきてますねえ。スピードの限界に挑戦するかのようなミルトに思わず拍手喝采です(笑)。

で、笑ってしまうのがジョン・ルイスのピアノです。珍しく、一生懸命弾いています(笑)。彼のピアノをひと言でいうなら「寡黙」です。音数を極端に絞り込んで、「間」で勝負するタイプです。それが、この曲に限っては、けっこう頑張っちゃってます。といっても、そこはルイスですから、知的に抑制された表現なのですが、こんなに音数の多いルイスも珍しい。クラシックをこよなく愛する彼のことですから、指が動かないってことはないんでしょうが、コニー・ケイに煽られて(というのも妙な話ですね)つんのめりがちになるルイスがなんともかわいいです。

 

Modern Jazz Quartet "Concorde"
(Prestige PRLP 7005)

Milt Jackson (vibraphone)
John Lewis (piano)
Percy Heath (bass)
Connie Kay (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded in NYC; July 2, 1955

[Tracks] The Modern Jazz Quartet - Concorde
01. Ralph' New Blues (music: Milt Jackson)
02. All Of You (music+words: Cole Porter)
03. I'll Remember April (music+words: Gene DePaul, Don Raye, Pat Johnston)
04. Gershwin Medley: Soon 〜 For You, For Me, Forevermore 〜 Love Walked In 〜 Our Love Is Here To Stay (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
05. Softly, As In A Morning Sunrise (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
06. Concorde (music: John Lewis)

[Links: John Lewis]
Jazclass: about John Lewis (by Michael Furstner)
[Links: Milt Jackson]
Milt Jackson Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:43| Comment(2) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モダン・ジャズ・カルテット『ジャンゴ』

django.jpg The Modern Jazz Quartet - Django

クールの誕生』に名を連ねていたジョン・ルイス。たんなるピアニストというよりも、作編曲家として、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)の音楽監督として、歴史にその名を刻みました。1920年5月3日、イリノイ州ラグランジ生まれ。2001年3月21日、ニューヨーク州ニューヨークで死去(死因は前立腺がん)。

1951年、第二次ガレスピー楽団のリズム・セクションが集まって結成された MJQ は、ジャズ史上最高のコンボに数えられます。なぜ「最高」なのか。

まず、同一メンバーによる活動期間が群を抜いて長いこと。オリジナルのメンバーは、ピアノのジョン・ルイス、ヴァイブのミルト・ジャクソン、ベースのレイ・ブラウン、ドラムのケニー・クラークでしたが、すぐにベースがパーシー・ヒースに(52年から参加)、ドラムがコニー・ケイに代わり(55年から参加)、74年に一時解散しますが、81年に再結成され、実に40年以上の長きにわたって、活動を続けました。ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズも長いですが、メンバーを入れ替えて、つねにリフレッシュをはかっていました。キースのスタンダーズも長くなりましたが、まだ20年を超えたばかり。MJQ の長さが際立っているのがわかります。

また、ユニットとしての一体感が類を見ないレベルに達していました。クラシックの手法を取り入れたルイスの作曲、演奏の隅々まで気を配った完璧な構成美、室内楽を思わせる典雅な雰囲気は、他では味わえない MJQ ならではのもので、個人名でなく、ユニット名で売ったバンドの走りでもありました。

淡い色調に文字だけをあしらったジャケットが印象的な『ジャンゴ』は、ケニー・クラーク時代の MJQ の演奏を集めた初期の傑作です(1953年6月25日、1954年12月23日、1955年1月9日録音)。

なんといっても、タイトル曲が有名ですね。1953年にこの世を去ったジプシー・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトに捧げられたこの曲は、数あるジョン・ルイスの作品のなかでも屈指の名曲です。いろいろな人がカヴァーしていますが、MJQ による再録もいくつかあって、『ピラミッド』『ヨーロピアン・コンサート』『ラスト・コンサート』といったアルバムで聞くことができます。

3つのセッションの寄せ集めにしては、全体として非常に完成度が高い作品にしあがっています。でも、キッチリしすぎて遊びがないところが気になります。演奏がカタいというか、どこか硬質な響きがある。これがケニー・クラークのせいなのかはわかりませんが、私は、コニー・ケイが加わった『コンコルド』のほうが好きですね。こっちのほうがしっくりきます。

 

Modern Jazz Quartet "Django"
(Prestige PRLP 7057)

Milt Jackson (vibraphone)
John Lewis (piano)
Percy Heath (bass)
Kenny Clarke (drums)

Produced by Bob Weinstock (#1, 2, 3, 8), Ira Gitler (#4-7)
Recorded by Rudy Van Gelder (#1, 2, 3, 8)
Recorded in NYC; June 25, 1953 (#4-7)
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; December 23, 1954 (#1, 2, 8), January 9, 1955 (#3)

[Tracks] The Modern Jazz Quartet - Django
01. Django (music: John Lewis)
02. One Bass Hit (music: Dizzy Gillespie)
03. La Ronde Suite (music: John Lewis)
04. The Queen's Fancy (music: John Lewis)
05. Delaunay's Dilemma (music: John Lewis)
06. Autumn In New York (music+words: Vernon Duke)
07. But Not For Me (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
08. Milano (music: John Lewis)

[Links: John Lewis]
Jazclass: about John Lewis (by Michael Furstner)
[Links: Milt Jackson]
Milt Jackson Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:20| Comment(0) | TrackBack(2) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月24日

アート・ファーマー『ホエン・ファーマー・メット・グライス』

whenfarmermetgryce.jpg アート ファーマー & Gigi Gryce - When Farmer Met Gryce

アート・ファーマーとジジ・グライスというと、思い出すのは、1953年に行われたライオネル・ハンプトンの欧州ツアーです。クリフォード・ブラウンやクインシー・ジョーンズが参加したことでも知られるこのツアーでは、ファーマーとブラウニーのトランペット・バトルがフィ−チャーされ、聴衆を熱狂させたといいます。ファーマーはそのときのことを述懐して、こう述べています。

彼(ブラウニー)の並外れた才能に少なからず嫉妬したことは認めなければならない。だけど、彼はあまりにも心やさしく温かい人間なので、好きにならずにいるのは難しかった。彼がそんな人間だっただけに、トランぺッターとしての私の気持ちは複雑だった。

彼は、私がやりたいと思っていたことをやっていた。しかも、それは素晴らしかった。間違いなく私よりすぐれていたよ。私たちの歳は同じくらいのはずだが、トランぺッターとしての彼は、私よりはるかに先を進んでいた。

そんなブラウニーとのバトルは、ファーマーにとって相当なプレッシャーだったようで、「まるで私の人生と闘っているような感じがした。」(以上、引用はニック・カタラーノ著、川嶋 文丸訳『クリフォード・ブラウン:天才トランペッターの生涯』より)

ブラウニーはたしかに「好きにならずにはいられない」タイプだったのしょうが、それを素直に認めて、思わず心情を吐露してしまうファーマーの人柄に、私はひかれます。まさに「好きにならずにはいられない」のです(笑)。

それはさておき、全曲ジジ・グライスのペンになる『ホエン・ファーマー・メット・グライス』は、1954年という録音年が信じられないほど、完成度の高いハード・バップ作品にしあがっています。編曲家としても知られるグライスの知的に抑制されたアンサンブルが実に美しい。

こういうアレンジ重視の演奏には、ファーマーのようなペットこそふさわしい。クリフォードとの出会いを通じて、自分の限界を悟った(?)ファーマーは、リリカルな路線に自らの活路を見出したのかもしれません。たとえば、アルバムの最後を飾る〈ザ・インファンツ・ソング〉。この比類ない美しさをどんな言葉で表現すればいいのでしょう。自己主張の激しい世の中に疲れたら、ぜひ。

 

Art Farmer, Gigi Gryce "When Farmer Met Gryce"
(Prestige 7085)

Art Farmer (trumpet)
Gigi Gryce (alto sax)
Horace Silver (piano) #1-4
Freddie Redd (piano) #5-8
Percy Heath (bass) #1-4
Addison Farmer (bass) #5-8
Kenny Clarke (drums) #1-4
Art Taylor (durms) #5-8

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; May 19, 1954 (#1-4), May 26, 1955 (#5-8)

[Tracks] アート ファーマー & Gigi Gryce - When Farmer Met Gryce
01. A Night At Tony's (music: Gigi Gryce)
02. Blue Concept (music: Gigi Gryce)
03. Stupendous-Lee (music: Gigi Gryce)
04. Deltitnu (music: Gigi Gryce)
05. Social Call (music: Gigi Gryce)
06. Capri (music: Gigi Gryce)
07. Blue Light (music: Gigi Gryce)
08. The Infant's Song (music: Gigi Gryce)

[Links: Gigi Gryce]
Gigi Gryce (by David Griffith)
Rat Race Blues: The Musical Life of Gigi Gryce (by Noal Cohen and Michael Fitzgerald)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Freddie Redd]
The Complete Freddie Redd Discography (by Dr. Michael Frohne)
Freddie Redd

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:46| Comment(2) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月20日

ケニー・ドーハム『静かなるケニー』

quietkenny.jpg Kenny Dorham - Quiet Kenny

ケニー・ドーハムの人気盤『静かなるケニー』です。本名は、マッキンリー・ハワード・ドーハム。1924年8月30日、テキサス州フェアフィールド生まれ。1972年12月5日、ニューヨークで亡くなりました。

よくトランペットのワン・ホーン物の傑作と紹介されますが、どうも私の肌にはあわないようで、ふだんはあまり手が出ません。理由ははっきりしていて、音がモコモコして、前に出てこない。要はパンチがないんです。

アシッド・ジャズ・ムーヴメントで再発見された、『アフロ・キューバン』の強烈なインパクトが頭にあるから、よけいにそう感じるのでしょうか。もっとも、このアルバムと比べれば、JRモンテローズと組んだジャズ・プロフェッツの作品も、ジョーヘンを従えた一連のブルーノート盤も、かすんでしまうのは、しょうがないかもしれません。

「いかにも日本人好みのこじんまりした仕上がり」とはジャズ喫茶いーぐる店主の後藤雅洋さんの言葉ですが、まさにそんな感じで、小春日和に縁側でお茶でも飲みながら、というシチュエーションがぴったりの「小品」なんですね。まだまだそういう心境に達していない私には、やっぱり物足りない。

トランペットは華のある楽器ですが、ドーハムが吹くそれは、花は花でも蓮の花(ロータス・ブラッサム)。地味ですねえ。仏さんの台座(蓮華座:れんげざ)になったりしますが、蓮根(レンコン)ですからね、根っこをたどれば(蓮根は好きです。辛子蓮根とか、きんぴら蓮根とかおいしいよね)。

ただ、クルト・ワイルのミュージカル「三文オペラ」からのナンバー、〈マック・ザ・ナイフ(原題はマッキー・メッサーのモリタート)〉については、ケニーの軽妙な吹きっぷりが妙にマッチしていて、気に入ってます。『エラ・イン・ベルリン』もロリンズの『サキコロ』もいいけれど、どちらも重量級。この曲は、ちょっととぼけた感じでやったほうがサマになるので、ポツポツと語るケニーにぴったりです。

その昔『クルト・ワイルの世界』というトリビュート・アルバムで、スティングがこの曲を歌っていたけれど、あれも似たような雰囲気でよかったなあ。

 

Kenny Dorham "Quiet Kenny"
(New Jazz NJ 8225)

Kenny Dorham (trumpet)
Tommy Flanagan (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; November 13, 1959

[Tracks] Kenny Dorham - Quiet Kenny
01. Lotus Blossom (aka. Asiatic Raes) (music: Kenny Dorham)
02. My Ideal (music: Richard A. Whiting, Newell Chase / words: Leo Robin)
03. Blue Friday (music: Kenny Dorham)
04. Alone Together (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
05. Blue Spring Shuffle (music: Kenny Dorham)
06. I Had The Craziest Dream (music: Harry Warren / words: Mack Gordon)
07. Old Folks (music: Willard Robinson / words: Dedette L. Hill)
08. Mack The Knife (aka. Moritat) (music: Kurt Weill / words: Bertolt Brecht, Marc Blitzstein)

[Links: Kenny Dorham]
Una Mas: Kenny Dorham Tribute & Discography (@ The Hardbop Homepage)
Kenny Dorham Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Tommy Flanagan]
Tommy Flanagan Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:18| Comment(0) | TrackBack(1) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月10日

『ジョージ・ウォーリントン・アット・ザ・カフェ・ボヘミア』

georgewallinftonatbohemia.jpg 

デトロイト出身のドナルド・バードがニューヨークに渡り、本格的なレコーディング・デビューを飾ったのは、ドラマーのケニー・クラークのサヴォイ盤(1955年録音)『ボヘミア・アフター・ダーク』においてでした。このアルバムは、スペル違いのバード=チャーリー・パーカーの再来と騒がれたキャノンボール・アダレイのデビュー盤としても知られています。バードはその後、白人バップ・ピアニスト、ジョージ・ウォーリントンのクインテットに参加し、これ以降、何度も共演を重ねることになる盟友ジャッキー・マクリーンと出会います。

イタリア出身のピアニスト、ジョージ・ウォーリントン。1924年10月22日、シチリア島パレルモ生まれ。1993年2月15日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。

泣きのアルトで人気のジャッキー・マクリーン。本名は、ジョン・レンウッド・マクリーン(John Lenwood McLean, Jr.)。1931年5月17日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ(32年説は本人が年齢を誤摩化したときの名残だそうです)。

ジョージ・ウォーリントン・アット・カフェ・ボヘミア』はフロントに生きのいい若手2人を迎えたクインテットの白熱のライヴ盤です。アルバムは、バードとマクリーンが全力で駆け抜ける〈ジョニー・ワン・ノート〉で幕を開けます。これはカッコいいです、マジでシビれます。聴くたびにワクワクする名演ですね。

3曲目のマクリーンのオリジナル〈マイナー・マーチ〉。このライヴに先立つ『マイルス・デイヴィス&ミルト・ジャクソン』でも取り上げられていますが、出来はこちらのほうが断然上。マイルス盤のほうは、ゆるくて聞けません(笑)。でもでも、話はここで終わらないんです。実はこの曲、マクリーンのブルーノート・デビュー盤『ニュー・ソイル』でも、〈マイナー・アプリヘンション〉とタイトルを変えて演奏されています。この演奏が熱い! 同じくドナルド・バードとのコンビですが、スピード感がまるで違います。マクリーンのなかでも1、2を争う好きな演奏なので、軍配はどうしてもこっちにあげざるをえません。

5曲目〈ジェイ・マックス・クリブ〉はバードのオリジナルと表記されていますが、テーマ部分は有名な《朝日のようにさわやかに》のまんまパクリです。けっこういい加減なもんです。でも、原曲がいいので、それでも名演になってしまうところが、さすがジャズです。

6曲目〈ボヘミア・アフター・ダーク〉は、カフェ・ボヘミアを根城にしていたベースのオスカー・ペティフォードがクロージング・テーマとして演奏していた曲です。このアルバムは、同クラブにおける最初のライヴ録音だったので、そういう選曲になったのだろうとは、邦盤ライナーの油井正一さんの弁です。

ジャケットが2種類あるのは、当初、プログレッシヴからリリースされた(邦盤ですね)のが、プログレッシヴがすぐに倒産したため、マスターテイクの音源をプレスティッジが買い取って再発した(輸入盤です)からです。ところが、ややこしいことに、OJC(プレスティッジの再発元ファンタジー社のカタログ)盤の CD にも、ボーナストラック付きのものとそうじゃないものが出回っているそうです。

さらにさらに、プレスティッジに売却されたのはマスターテイクだけで、実は全曲別テイクが存在していて、Overseas というレーベルから、別テイクだけを集めたアナログ盤が出ているんだそうです。いやあ、奥が深いねえ。ここらへんのお話は、So McLEAN さんの受け売りです。興味のある方はぜひのぞいてみてください。

 

"George Wallington Quintet At The Bohemia"
(Progressive LP 1001 → Prestige PR 7820)

Donald Byrd (trumpet)
Jackie McLean (alto sax)
George Wallington (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Gus Grant
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Cafe Bohemia, NYC; September 9, 1955

[Tracks] 
01. Johnny One Note (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
02. Sweet Blanche (music: George Wallington)
03. Minor March (music: Jackie McLean)
04. Snakes (music: Jackie McLean)
05. Jay Mac's Crib (music: Donald Byrd)
06. Bohemia After Dark (music: Oscar Pettiford)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jackie McLean]
Jackie McLean (@ ジャズの酒蔵)
Bluesnik - Jackie McLean (by Masaki Nakano)
So McLEAN (総まくりーん) (by F-red bill)
Jackie McLean Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月20日

ロイ・ヘインズ『ウィ・スリー』

wethree.jpg

ロイ・ヘインズのリーダー作といえば、なんといっても『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』が筆頭格ですが、それに続くのがピアノ・トリオの人気盤『ウィ・スリー』です。

リーダーのロイには申し訳ないのですが、『ウィ・スリー』といわれて思い浮かぶのは、やっぱりフィニアス・ニューボーン Jr. のきらびやかなピアノです。1931年12月14日、テネシー州ホワイトヴィル生まれ。1989年5月26日、テネシー州メンフィスでなくなりました。

ブルース発祥の地であり、プレスリーを生んだ街メンフィス。驚異のテクニシャン、フィニアスはこの街で育ちます。右手のシングル・トーンのホーンライクなソロで一世を風靡したパウエル以降、ジャズ・ピアノの世界では左手はお飾り程度の役目しか果たさなくなりましたが、フィニアスは左手もよく動く。両手で数オクターブ離れた鍵盤を同時に弾くオクターブ・ユニゾンが、彼のピアノにゴージャスな響きをもたらします。

「10本の指と88の鍵盤をフルに使って演奏する」とはロイのフィニアス評ですが、モダン期以降で指がよく動くテクニシャンといえば、オスカー・ピーターソンが有名です。でも、抜群のドライヴ感でグイグイ引っ張るピーターソンとは違い、フィニアスのピアノは、もっと黒く粘っこい。メンフィスという土地が、そうさせたのかもしれません。アップテンポの曲よりもミディアムテンポの曲に、それがよく現れます。

冒頭の〈リフレクション〉は、同業のピアニスト、レイ・ブライアントの作品です。といっても、彼が演奏したヴァージョンは聴いたことがありません。〈リフレクション〉といえば、フィニアスと相場は決まっています。セロニアス・モンクに〈リフレクションズ(こっちは複数形)〉というオリジナルがありますが、あれとも無関係です。ライナーにもちゃんと「無関係だ」と断り書きがあるのが笑えます。

オープニングを聴いただけで「名盤」の予感がするのは、ロイの切れ味のいいドラミングもさることながら、チェンバースのベースがからみ、フィニアスのピアノがテーマを奏でるその瞬間です。う〜ん、いいねえ。この出だしを聞きたさに、何度もくり返し流してしまうのは、私だけではないはずです。

ジャケットをよく見ると、ロイもフィニアスも、ポール・チェンバースの肩くらいしか背がありません。しかも、腕を伸ばして2人いっぺんに肩を抱かれています。う〜ん、サイズが違いすぎる。まるで大人と子どもです。天才フィニアスも形なしですね(笑)。

 

Roy Haynes "We Three"
(New Jazz NJLP 8210)

Phineas Newborn, Jr. (piano)
Paul Chambers (bass)
Roy Haynes (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; November 14, 1958

[Tracks]
01. Reflection (music: Ray Bryant)
02. Sugar Ray (music: Phineas Newborn, Jr.)
03. Solitaire (music: Guion, Borek, Nutter)
04. After Hours (music: Avery Parish / words: Robert Bruce, Buddy Fayne)
05. Sneakin' Around (music: Ray Bryant)
06. Our Delight (aka. Tadd's Delight) (music: Tadd Dameron)

[Links: Phineas Newborn, Jr.]
Phineas Newborn Jr. Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月22日

ソニー・ロリンズ『サキソフォン・コロッサス』

saxophonecolossus.jpg Sonny Rollins - Saxophone Colossus (Rudy Van Gelder Remaster)

今週は急に3つも仕事が重なってなかなか時間がとれないのですが、更新できなかった理由はそれだけではありません。先日、いつも仕事でお世話になっているHさんのお宅にお邪魔して、生まれてはじめてオリジナル盤なるものを聞かせてもらったのですが、あれは予想以上にショッキングな体験で、あのとき聞いた音がボディーブローのように徐々に私の体を蝕んで、その体験を自分なりに消化するのに時間がかかっているのです。

どういうことかというと、高級オーディオで聞く音は、私がこれまで耳にしてきた音とはまったく別物なのです。別次元といってもいい。音が違うと、当然、そこから受ける印象もガラリと変わります。

たとえば、ロリンズ。以前の投稿で、ロリンズのノーテンキなところが好きになれないと書きましたが、LP(オリジナルではありません。リマスター盤です)で聞く『サキソフォン・コロッサス』(通称『サキコロ』)には、ノーテンキなロリンズなど、どこを探しても見つかりません。低音を吹いてもどこか軽く、その軽さゆえにいまいち好きになれなかったロリンズが、これぞ「テナー」という力強い低音で迫ってくる。腹にグッと力を入れておかないと、打ち負かされてしまうような気迫です。

『サキコロ』は名盤ランキングでつねに上位にありますが、その理由が今までわからなかった。これだけ誰もがほめる盤ですから、そのよさがわからないということは、自分にはジャズを聴く能力が欠落しているのではないかと、悩みましたねえ、冗談抜きで(笑)。

だから、ふつうの CD よりもはるかに聞きこんでいるんです。今日こそは、今日こそはロリンズのすごさがわかるんじゃないか、ってね。でも、やっぱり冒頭の〈セント・トーマス〉を聞いただけで、気持ちが萎えてしまうんです。そのくりかえし。最近じゃ、私とロリンズは相性があわないんだからしかたない、と半ば諦めの気持ちもあったりして、とにかく私にとってこの『サキコロ』というのは、別の意味で思い入れの深い盤でもあるのです。

ところが、Hさんのお宅で〈セント・トーマス〉がかかったとき、私は一発でロリンズに開眼してしまったのです。なんだ、これ。これじゃあ、まるで別人じゃん。ていうか、スゲエかっこいいじゃん! いったんそうなると、もう私はしびれっぱなしで、彼のくりだすフレーズの1つ1つが輝いてみえるんですね。ロリンズが、真のジャイアンツとして私の眼前に降臨した瞬間です。

私がもっているのは OJC 盤ですが、これをいくら聞いても、あの刺激的な音を再現することはできません。オーディオにだけははまるまいというのが、家庭円満の秘訣でもあると思うのですが(笑)、弱っちゃいましたね、まったく。

ちなみに、Hさんは私をオーディオの泥沼の世界にはめようと、手ぐすねひいて待っています。すばらしい先達です(笑)。

 

Sonny Rollins "Saxophone Colossus"
(Prestige PRLP-7079)

Sonny Rollins (tenor sax)
Tommy Flanagan (piano)
Doug Watkins (bass)
Max Roach (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; June 22, 1956

[Tracks] Sonny Rollins - Saxophone Colossus (Rudy Van Gelder Remaster)
01. St. Thomas (music: Sonny Rollins)
02. You Don't Know What Love Is (music: Gene DePaul / words: Don Raye)
03. Strode Rode (music: Sonny Rollins)
04. Mack The Knife (aka. Moritat) (music: Kurt Weill / words: Bertolt Brecht, Marc Blitzstein)
05. Blue 7 (music: Sonny Rollins)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins (Official Website)
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Tommy Flanagan]
Tommy FlanaganDiscography (by トミー・フラナガン愛好会)
Tommy Flanagan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)
[Links: Max Roach]
Max Roach Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月29日

エリック・ドルフィー『ヒア・アンド・ゼア』

hereandthere.jpg

ヒア・アンド・ゼア』はエリック・ドルフィーの死後に発売された寄せ集めの編集盤です。1、2曲目がファイブ・スポット・セッションから、3、4曲目はドルフィーのデビュー盤『アウトワード・バウンド』の未発表テイク、5曲目は『イン・ヨーロッパ Vol. 1』と同じセッションから収録されています。

聞きどころは、もちろんファイヴ・スポット・セッションの2曲。〈ステータス・シーキング〉はマル・ウォルドロンの『ザ・クエスト』のオープニングを飾った曲で、オリジナル・ヴァージョンよりもはやいテンポで突っ走るドルフィーのアルトがきてます。

ビリー・ホリディ作の〈ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド〉は、ドルフィーのバスクラのソロ演奏で有名です。すべての制約から解き放たれて、天高く舞い、地の底まで落ちていくドルフィーの「馬のいななき」をご堪能あれ。衝撃です。

「アルト・サックス列伝」はひとまずこれでおしまいにします。マクリーンはどうした、バド・シャンクやチャーリー・マリアーノもいるぞ、パーカーと並び称されるアルトの巨人ジョニー・ホッジズやベニー・カーターに触れなくてどうする、といった声も聞こえてきそうですが、それはまた後日ということで。



Eric Dolphy "Here And There"
(Prestige PRLP-7382)

#1, 2
Booker Little (trumpet) #1
Eric Dolphy (alto sax) #1, (bass clarinet) #2
Mal Waldron (piano) #1
Richard Davis (bass) #1
Ed Blackwell (drums) #1

Recorded live at the Five Spot, NYC; July 16, 1961

#3, 4
Freddie Hubbard (trumpet) #3
Eric Dolphy (alto sax) #3 (flute) #4
Jackie Byard (piano)
George Tucker (bass)
Roy Haynes (drums)

Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 1, 1960

#5
Eric Dolphy (flute)
Bent Axen (piano)
Erik Moseholm (bass)
Jorn Elniff (drums)

Recorded live at Berlingske Has, Copenhagen, Denmark; September 6, 1961

[Tracks]
01. Stratus Seeking (music: Mal Waldron)
02. God Bless The Child (music+words: Billie Holiday, Arthur Herzog Jr.)
03. April Fool (unknown)
04. G.W. (take 1)* (music: Eric Dolphy)
05. Don't Blame Me (take 2) (music: Jimmy McHugh / words: Dorothy Fields)
(* bonus track)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エリック・ドルフィー&ブッカー・リトル『メモリアル・アルバム』

memorialalbum.jpg

エリック・ドルフィーは、生きている間にまともな評価を受けることもなかったし(アンチ・ジャズとまで貶められていたんです)、恒常的なレギュラー・バンドをもつ幸運に恵まれませんでした。ブッカー・リトルとの双頭バンドにしても、このファイヴ・スポット・セッションのわずか3か月後、10月5日のリトルの急死によって、永遠に幕を閉じます(リトルの死因は尿毒症。享年23歳)。

この『メモリアル・アルバム』は、先に逝ってしまったリトルと、1964年6月29日にベルリンで客死したドルフィーの死後に出された追悼盤です(ドルフィーの死因は糖尿病による心臓発作。享年36歳。糖尿病といっても、いつも貧乏だったドルフィーがカロリーたっぷりの贅沢な食事を満喫できたことはなく、あまりの貧しさゆえ、蜂蜜のつぼを抱えて、そればかりなめていたというみじめな話をどこかで読みました)。

彼らの音楽からは、何かをつかもうと必死にもがく一途な気持ちが感じられますが、一方で、未完成ゆえのもろさ、ちょっとバランスを崩しただけでガラガラと崩壊してしまいそうな危うさも同居しています。そこにどうしようもなく惹きつけられてしまうんです。

1曲目はドルフィー作の〈ナンバー・エイト〉。2曲目〈ブッカーズ・ワルツ〉は〈グランド・ヴァルス〉としても知られるリトルの作品です(タイム盤『ブッカー・リトル』に収録)。

 

Eric Dolphy, Booker Little "Memorial Album"
(Prestige PRLP-7334)

Booker Little (trumpet)
Eric Dolphy (alto sax) #1 (bass clarinet) #2
Mal Waldron (piano)
Richard Davis (bass)
Ed Blackwell (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded live at the Five Spot, NYC; July 16, 1961

[Tracks]
01. Number Eight (Potsa Lotsa) (music: Eric Dolphy)
02. Booker's Waltz (aka. The Grand Valse) (music: Booker Little)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:55| Comment(3) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月28日

『エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 2』

atthefivespot2.jpg Eric Dolphy - At the Five Spot, Vol. 2 - Single

1961年7月16日。記憶力のなさから、歴史の年号を覚えることが苦手で、家族の記念日も忘れがちな私ですが(その結果、奥さんの怒りを買うのはいうまでもありません)、不思議とこの日付けだけは覚えています。

エリック・ドルフィーとブッカー・リトルの双頭バンドは、7月4日から2週間、ニューヨークのファイヴ・スポットに出演します。録音はその最終日、16日に行われました。通常のステージを終えた後、関係者や友人だけを招いて行われた究極のライヴ録音。2週間のステージの合間にもリハーサルを重ね、練りに練られた最高の演奏がくり広げられたはずです。ああ、なんという贅沢でしょう。私もその場にいて、歴史の一証人になりたかった。

エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 2』には、2つの演奏がおさめられています。

リトル作〈アグレッション〉。急速調のこの曲に、何かにせかされるように疾走し続けたドルフィー&リトルの生き様を投影してしまいます。彼らは何から逃れ、どこに向かっていたのでしょうか。

そして、有名スタンダードの〈ライク・サムワン・イン・ラヴ〉。ドルフィーはフルートを持つと表情が一変します。前衛(と呼ばれる音楽)特有の厳しさ、激しさが消え、ふっとやわらかい表情が顔を出す。親しみやすい人間ドルフィーがそこにいます。

 

"Eric Dolphy At The Five Spot, Vol. 2"
(Prestige PRLP-7294)

Booker Little (trumpet)
Eric Dolphy (bass clarinet) #1 (flute) #2
Mal Waldron (piano)
Richard Davis (bass)
Ed Blackwell (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded live at the Five Spot, NYC; July 16, 1961

[Tracks] Eric Dolphy - At the Five Spot, Vol. 2 - Single
01. Aggression (music: Booker Little)
02. Like Someone In Love (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Burke)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 1』

atthefivespot1.jpg Eric Dolphy - At the Five Spot

エリック・ドルフィーとブッカー・リトル。この2人の名前を聞いただけで、私はどうしても冷静ではいられません。胸が締めつけられ、動悸が激しくなり、焦燥感に駆られて、何かをしないではいられない気持ちになってしまう。私にとって、この2人は特別な存在なんです。

アルト・サックスにフルート、バス・クラリネットをよくしたマルチ・リード奏者エリック・ドルフィー。本名は、Eric Allan Dolphy。1928年6月20日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。1964年6月29日、西ドイツ・ベルリンで客死。

愁いをおびたトランペットが印象的なブッカー・リトル。1938年4月2日、テネシー州メンフィス生まれ。1961年10月5日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。

年を重ねるにつれて、どこかに置き忘れてしまった何か。永遠に失われてしまったその「何か」が、はたして何だったのか、今となってはもうわかりません。でも、若くして散ったドルフィーとリトルの叫びに耳を傾けていると、その「何か」が思い出せそうな錯覚に陥ります。

甘美な思い出ではありません。もっと切実で、一途な何か。何かを成し遂げられそうで、できないもどかしさ。生きることの意味がわからず、それでも何かを追い求めていたあの頃の焦り、欲望、そして希望。本来なら時の彼方に消えてなくなる若かかりし頃の記憶が、奇跡的に数枚のレコードに刻印された。それが、一連のファイヴ・スポット・セッションじゃないかと個人的に考えています。

エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 1』には、ドルフィー&リトルの3つの演奏がおさめられています。

冒頭の〈ファイア・ワルツ〉。『ザ・クエスト』でも取り上げられていたマル・ウォルドロンの曲ですが、本当に何度聞いても、この演奏は私の心をわしづかみにしてはなしません。共鳴するとかそういう生半可なものではありません。文字どおり、心が揺さぶられるんです。ドキドキと胸が高鳴り、訳もなく焦燥感に駆られます。

2曲目の〈ビー・ヴァンプ〉では、ドルフィーのバスクラが炸裂します。ドルフィーのバスクラというと、完全無伴奏ソロがあまりにも有名ですが、リズム陣に追い立てられるように疾駆するこの演奏も捨てたものではありません。

3曲目〈プロフェット〉(予言者)はドルフィーの友人の画家リチャード・ジェニングスのあだ名です。ドルフィーの初リーダー作『アウトワード・バウンド』や、2nd『アウト・ゼア』のジャケットの摩訶不思議なイラストは、彼の作品です。

 

"Eric Dolphy At The Five Spot, Vol. 1"
(New Jazz NJLP-8260)

Booker Little (trumpet)
Eric Dolphy (alto sax) #1, 3 (bass clarinet) #2
Mal Waldron (piano)
Richard Davis (bass)
Ed Blackwell (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded live at the Five Spot, NYC; Jul 16, 1961

[Tracks] Eric Dolphy - At the Five Spot
01. Fire Waltz (music: Mal Waldron)
02. Bee Vamp (music: Booker Little)
03. The Prophet (music: Eric Dolphy)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 16:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Prestige (New Jazz, Moodsville) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。