2008年01月04日

ポール・チェンバース『ベース・オン・トップ』

Bass on Top.jpg Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered]

今から39年前の今日、ポール・チェンバースがこの世を去りました。
ハードバップの黄金時代を支えたファースト・コールのベーシスト、ポール・チェンバース(Paul Laurence Dunbar Chambers, Jr.)。1935年4月22日、ペンシルヴァニア州ピッツバーグ生まれのデトロイト育ち。1969年1月4日、ニューヨーク州ニューヨークで結核のため亡くなりました(33歳のとき)。

マイルス・デイヴィス・クインテットへの参加やプレスティッジからアトランティック時代にかけてのジョン・コルトレーンとの共演で知られていますが、50年代半ばに大挙してニューヨークに押しかけたデトロイト出身のミュージシャンがらみの録音も数知れず。
通算4枚目となるリーダー作『ベース・オン・トップ』も、ピアノのハンク・ジョーンズとギターのケニー・バレルはデトロイト人脈からの人選です。

ベース(コントラバス)には、弦を指ではじくピッツィカート奏法と、弦を弓で弾くアルコ奏法がありますが、ポールは堅実に4ビートを刻むピッツィカート奏法の名手です。
本人はアルコも好きだったようで、ポールの弓弾きは、有名な〈イエスタデイズ〉の演奏で聴けます。耳をすませると、音程的にはあやしいところがなきにしもあらず。興味本位でなら聴けますが、これを名演とするのはいかがなものでしょう?
むしろ、聴くならポールのどっしりとしたピッツィカート奏法を楽しむ〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉とか、〈ディア・オールド・ストックホルム〉のほうがいいのでは?

ハンク兄貴のピアノは全体的にバッキングに徹していて、前面に出るのはケニー先生のギターとポール君のベースです。おとなしめの弦楽器どうしのやりとりが主体なので、全体に地味な印象があります。
こういう地味なアルバムは、細部に注目して聴くと楽しめます。地を這うようなポール君のベースラインだけを追っていくと、彼がなぜファースト・コールのベーシストだったのか、それがわかるしくみになっています。

 

Paul Chambers "Bass On Top"
(Blue Note BLP 1569 / BST 81569)

Hank Jones (piano)
Kenny Burrell (guitar)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; July 14, 1957

[Tracks] Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered]
01. Yesterdays Jerome Kern (music) / Otto Harbach (lyrics) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - Yesterdays
02. You'd Be So Nice To Come Home To Cole Porter (music and lyrics) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - You'd Be So Nice to Come Home To
03. Chasin' The Bird Charlie Parker (music) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - Chasin' the Bird
04. Dear Old Stockholm (traditional) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - Dear Old Stockholm 
05. The Theme Miles Davis (music) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - The Theme
06. I'm Confessin' (That I Love You) Ellis Reynolds (music) / Don Dougherty (lyrics) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - Confessin'
07. CHambers Mates Paul Chambers, Kenny Burrell (music) Paul Chambers - Bass On Top (2007 Rudy Van Gelder Edition) [Remastered] - Chamber Mates

[Links: Hank Jones]
Hank Jones (Official Website)
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[Links: Kenny Burrell]
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[Links: Paul Chambers]
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[Links: Art Taylor]
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2007年12月28日

ミシェル・ペトルチアーニ『ミュージック』

Music.jpg Michel Petrucciani - Music

1982年、アメリカに渡ったミシェル・ペトルチアーニは、隠遁生活を送っていたチャールズ・ロイド(あの『フォレスト・フラワー』のロイドです。フラワー・ムーヴメントの後、精神世界へと引き蘢っていたようです)を訪ねて西海岸へと移動、すっかりやる気をなくしていたロイドを、ふたたびジャズの世界へと連れ戻します。
(ここらへんの話は、ネルソンさんのペトちゃんに関する記事が秀逸です。「人とその周辺」やロイドの項目もあわせて読むと、ためになります)

ロイドのもとで研鑽を積んだペトちゃんは、86年、フランス人としてははじめて名門ブルーノートと専属契約を結びます。
ブルーノート時代は計7枚のアルバムを吹きこみますが、オーソドックスなトリオ作から、大好きなデューク・エリントンの作品集(ソロ演奏)、ウェイン・ショーター&ジム・ホールとの共演盤(モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの実況録音)など、1作ごとに趣向を変え、音楽家としての地位を確かなものにしていきます。

ミュージック』は、そんなブルーノート時代の集大成とでもいうべきアルバムです。ここで、ペトちゃんはなんと、シンセを導入しています。
「電化は苦手」というなかれ。ペトちゃんの明るい曲調と控えめなシンセの音色の相性は抜群。さわやかな風が頬をかすめます。

1曲目の〈ルッキング・アップ〉から、ペトちゃんワールド全開です。そうそう、これこれ。こんなに明るく、ポジティヴで、生命の輝きに満ちた音楽ってありますか? 伸びやかなピアノの高音がスーッと耳にとけ込んできます。私も大好きです。



Michel Petrucciani "Music"
(Blue Note 92563)

Michel Petrucciani (piano, synthesizer, organ, vocal)
Anthony Jackson (electric bass) #1, 5
Chris Walker (electric bass) #4, 8
Andy McKee (bass) #2, 3, 7
Eddie Gomez (bass) #6
Lenny White (drums) #1, 4, 5, 8
Victor Jones (drums) #2, 3, 6, 7
Frank Colon (percussion) #1, 2, 4, 5, 6, 7, 8
Adam Hozman (synthesizer) #1, 2, 4, 5, 7, 8
Robbie Kondor (synthesizer programming) #1, 2, 4, 5, 6, 7, 8

Gil Goldstein (accordion) #2
Romero Lubambo (acoustic guitar) #4
Tania Maria (vocal) #7

Produced by Michel Petrucciani, Eric Kressmann
Recorded by Tom Swift
Recorded at The Record Plant

[Tracks] Michel Petrucciani - Music
01. Looking Up Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - Looking Up
02. Memories Of Paris Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - Memories of Paris
03. My Bebop Tune Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - My Bebop Tune
04. Brazilian Suite No. 2 Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - Brazilian Suite No. 2
05. Bite Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - Bite
06. Lullaby Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - Lullaby
07. O Nana Oye Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - O Nana Oye
08. Play Me Michel Petrucciani (music) Michel Petrucciani - Music - Play Me

[Links: Michel Petrucciani]
Michel Petrucciani (by Rainer Wolffram)
J'adore Michel Petrucciani (by poisson)
Discography of Michel Petrucciani (@ Corner Pocket by thedia)
Michel Petrucciani (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
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[Links: Anthony Jackson]
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[Links: Chris Walker]
Chris Walker (Official Website)
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[Links: Andy McKee]
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[Links: Eddie Gomez]
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Lenny White (Official Website)
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[Links: Tania Maria]
Tania Maria (Official Website)
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2007年12月05日

ケニー・ドーハム『トランペット・トッカータ』

trompetatoccata.jpg Kenny Dorham - Trompeta Toccata

今日はトランペット奏者ケニー・ドーハムの命日です。ケニー・ドーハム(McKinley Howard Dorham)は1924年8月30日、テキサス州フェアフィールド生まれ。1972年12月5日、ニューヨーク州ニューヨークで腎臓病のために亡くなりました。享年48歳。

1940年代半ばから頭角を現したケニーは、ディジー・ガレスピーより9歳年下で、マイルス・デイヴィスより2歳年上、クリフォード・ブラウンとは6歳もの年の差がありました。
この年齢差が、実はケニーの立ち位置のむずかしさを表しているのではないでしょうか。つまり、生粋のビバッパーというには若すぎ、かといって年下のマイルスやブラウニーの影響は受けにくいというか受けたくない。

ケニーが一番輝いていたのは、炎のように燃え盛る『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol. 1』『<同 Vol. 2』(記事はこちら)や、ガレスピーばりのラテンの情熱を聴かせる『アフロ・キューバン』(記事はこちら)を吹きこんだ1955年(御年31歳)あたりだと思いますが、そこから徐々に路線変更を重ねて、ポクポクという木魚のような語り口が主体になっていきます。

もともとお世辞にも音色が美しいとはいえないケニーのことですから、ブラウニー直系のブリリアントなトランぺッター全盛の時代にあって、力を抜いた渋めの演奏に活路を見出したともいえそうですが、それが「クール」にならずに「枯れた味わい」になってしまうところが、いかにも彼らしい。やっぱりブラウニーにもマイルスにもなれないわけです。

ある意味かわいそうなケニーですが、ジャズの神様は彼を見捨てませんでした。40代を目前にした彼は、13歳年下のテナーマン、ジョー・ヘンダーソンと出会います。ジョーヘンという新たな才能を得て、ケニーはふたたび往時の勢いを取り戻します。
彼らのコラボレーションは、63年録音の『ウナ・マス』を皮切りに、ジョーヘン名義の『ページ・ワン』(ケニーの傑作オリジナル〈ブルー・ボッサ〉が入っています)、『アワ・シング』、『イン・ン・アウト』と続き、今回とりあげた『トランペット・トッカータ』で幕を降ろします。

このアルバムは、正式録音としてはケニーの最後のリーダー作です。この録音の直後、ジョーヘンがホレス・シルヴァーのグループに移籍したことで、彼らの蜜月は終わりを迎えます。ケニーが咲かせた最後の花は、相方を失ったことで散る運命にありました。
表題曲〈トランペット・トッカータ〉の出来がすばらしいだけに、実にもったいない。うちに秘めた炎がときおり顔を出すケニーのソロが絶品です。しかも、曲調は哀愁のラテン(笑)。大好きです。

 

Kenny Dorham "Trompeta Toccata"
(Blue Note BLP 4181 / BST 84181)

Kenny Dorham (trumpet)
Joe Henderson (tenor sax)
Tommy Flanagan (piano)
Richard Davis (bass)
Albert "Tootie" Heath (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; September 14, 1964

[Tracks] Kenny Dorham - Trompeta Toccata
01. Trompeta Toccata Kenny Dorham (music) Kenny Dorham - Trompeta Toccata - Trompeta Toccata
02. Night Watch Kenny Dorham (music) Kenny Dorham - Trompeta Toccata - Night Watch
03. Mamacita Joe Henderson (music) Kenny Dorham - Trompeta Toccata - Mamacita
04. The Fox Kenny Dorham (music) Kenny Dorham - Trompeta Toccata - The Fox

[Links: Kenny Dorham]
Una Mas: Kenny Dorham Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Kenny Dorham Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Joe Henderson]
Joe Henderson Discography (by Jeffrey Lovell)
Joe Henderson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Tommy Flanagan]
Tommy Flanagan Discography (by トミー・フラナガン愛好会)
Tommy Flanagan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Albert "Tootie" Heath]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

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2007年05月19日

ハービー・ハンコック『ザ・プリズナー』

theprisoner.jpg Herbie Hancock - The Prisoner

1968年の夏を境に、ハービー・ハンコックは5年間在籍したマイルス・バンドを退団します。当時、マイルスは複数のキーボード奏者を投入した分厚いサウンドを試していたため、何度かスタジオに足を運んだハービーですが(その成果は『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ジャック・ジョンソン』『ゲット・アップ・ウィズ・イット』『ライヴ・イヴル』『オン・ザ・コーナー』などに分散して収録されています)、ふだんは自己のグループを率いて活動していました。

そのグループがトリオでなくセクステットだったという事実は、この時期のハービーの指向をよく表しています。前作『スピーク・ライク・ア・チャイルド』で、3管ホーン・セクションをバックに美しいピアノ世界を描き出したハービーは、この路線をさらに追求しようとレギュラー・セクステットを結成、さらに曲ごとに2組の3管を加えた計6管でアレンジの才を見せつけたのが、1969年4月録音の『ザ・プリズナー』です。

1曲目〈アイ・ハヴ・ア・ドリーム〉(有名なマーティン・ルーサー・キング Jr. 牧師の演説の一節。1963年8月28日のワシントン大行進にて)、2曲目〈ザ・プリズナー〉(囚われの身)と続けば、当然、黒人の地位向上を訴えたゴリゴリのプロテスト・ミュージックだと思うでしょう? でも、聴こえてくる音楽は、アレンジ重視の白っぽい音楽だったりするわけで、その落差にちょっと戸惑います。対象に没入しない、ハービーらしさがこんなところにも見え隠れしています。

編成からいっても『スピーク〜』の延長線上の作品なのは明らかですが、この両者、聴いた印象はずいぶん違います。『スピーク〜』は奇跡的なバランスで描き出された一枚の美しい絵画、『ザ・プリズナー』はねらいすぎて的をはずしたイミテーションといったらいいすぎでしょうか(いいすぎですね、やっぱり)。

たしかに洗練の度合いはあがっています。よく考えられたアレンジが、耳に心地よい風を運んでくれます。でも、それだけです。CTI のイージー・リスニング路線と同じにおいがします(そういえばこの時期、ハービーは、ウェス・モンゴメリーの『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』を皮切りに、CTI の諸作に名前を連ねて、小遣い稼ぎに精を出していますね)。BGM として流すには気持ちのいい音楽ですが、残念ながら何度も取り出して聴く気にはなりません。

この作品を最後に、ハービーはブルーノートに別れを告げ、メジャーのワーナー・ブラザーズへ移籍します。人呼んで「暗黒時代」のはじまりです。

 

Herbie Hancock "The Prisoner"
(Blue Note BST 84321)

Johnny Coles (flugelhorn)
Garnett Brown (trombone)
Joe Henderson (tenor sax, alto flute)
Herbie Hancock (piano, electric piano)
Buster Williams (bass)
Albert "Tootie" Heath (drums)

with horn section on #1, 2, 4
Hubert Laws (flute)
Jerome Richardson (bass clarinet)
Tony Studd (bass trombone)

with horn section on #3, 5
Jerome Richardson (flute)
Romeo Penque (bass clarinet)
Jack Jeffers (bass trombone)

Produced by Duke Pearson
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 18 (#2, 4), 21 (#1), 23 (#3, 5), 1969

[Tracks] Herbie Hancock - The Prisoner
01. I Have A Dream Herbie Hancock (music)
02. The Prisoner Herbie Hancock (music)
03. Firewater Buster Williams (music)
04. He Who Lives In Fear Herbie Hancock (music)
05. Promise Of The Sun Herbie Hancock (music)

[Links: Joe Henderson]
Joe Henderson Discography (by Jeffrey Lovell @ JazzDiscography.com)
Joe Henderson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Buster Williams]
Buster Williams (Official Website)

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2007年05月17日

ハービー・ハンコック『スピーク・ライク・ア・チャイルド』

speaklikeachild.jpg Herbie Hancock - Speak Like a Child

ハービー・ハンコックのブルーノート第6弾『スピーク・ライク・ア・チャイルド』が吹きこまれたのは、1968年3月6日と9日。すでに前年、『ソーサラー』と『ネフェルティティ』でアコースティック音楽の頂点を極めたマイルスは、この時期、エレクトリック・サウンドに活路を見出して試行錯誤を重ねており(『マイルス・イン・ザ・スカイ』を参照)、ハービーもフェンダー・ローズをはじめとする新しいオモチャと格闘している最中でした。

マイルスのなかではアコースティックの時代は終わったのかもれませんが、ハービーはそうは思いませんでした。まだやり残したことがある。やりようによっては別の可能性を切り開くことができる。カギは「編曲」でした。学生のころからハーモニーとアレンジに関心をもっていたハービーにとって、それは自然な選択でした。

『スピーク〜』は一見すると3管セクステットの作品に見えますが、よく聴けば、ホーン陣にソロ・パートはありません。背後で「和音」を吹いているだけです。つまり、通常のフロント陣とリズム・セクションの関係が逆転していて、あくまでメインはピアノ・トリオです。

選ばれた3つの楽器というのがこれまた変わっていて、フリューゲルホーンにベース・トロンボーン、アルト・フルートという、ほかではあまり見かけない編成となっています。キンキン響くトランペットや肉声に近いサックスを外したこの編成、ねらいはその音色にあると見ました。全体に音がくぐもっていて、独特の丸みを生んでいます。「子供のように話す」繊細さを表現するのに、ハービーにはこの音色がどうしても必要だった。一風変わった楽器編成で独自のビッグ・バンド・サウンドを生み出したギル・エヴァンスに影響を受けたというハービーらしいチョイスです。

聴きものは、やはり表題曲〈スピーク・ライク・ア・チャイルド〉でしょう。これ、現代のピアノ・トリオとして聴いても、まったく違和感はありません。実に美しい。ホレボレします。曲の後半、ホーン・セクションがふたたび登場するあたりからの、ピアノとホーン・アンサンブルのからみあいは、何度聴いてもため息が出ます。

〈ライオット〉は『ネフェルティティ』で、〈ソーサラー〉は『ソーサラー』ですでに収録済みですね。とくにホーン・セクションが加わった〈ライオット〉は、ぜひマイルス・バンドの演奏と聴き比べることをおすすめします。跳ねるようなトニーのドラムスに触発されて、ロンが自由に動きまわる『ネフェルティティ』版〈ライオット〉は、一回限りの真剣勝負。破綻と隣り合わせの危うさが、ゾクゾクするような快感を生み出します。それに対して、リズムが一定な『スピーク〜』版〈ライオット〉は、再生可能なポップ・ミュージック。時流に乗ることにかけては、師匠マイルスをも凌駕したハービーの、いい意味のわかりやすさが出た演奏です。

ジャケット写真でキスしているのは、ハービーとまもなく奥さんになるジジその人。2人が幸せいっぱいのハネムーンから帰ってみると、マイルス・バンドのキーボードの椅子にはチック・コリアが座っていた(笑)という話は、いずれ『キリマンジャロの娘』で。

 

Herbie Hancock "Speak Like A Child"
(Blue Note BLP 4279 / BST 84279)

Thad Jones (flugelhorn) #1, 2, 4, 5
Peter Phillips (bass trombone) #1, 2, 4, 5
Jerry Dodgion (alto flute) #1, 2, 4, 5
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Mickey Roker (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; March 6, 9, 1968

[Tracks] Herbie Hancock - Speak Like a Child
01. Riot Herbie Hancock (music)
02. Speak Like A Child Herbie Hancock (music)
03. First Trip Ron Carter (music)
04. Toys Herbie Hancock (music)
05. Goodbye To Childhood Herbie Hancock (music)
06. The Sorcerer Herbie Hancock (music)

[Links: Jerry Dodgion]
Jerry Dodgion and the joy of Sax! (Official Website)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site

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2007年05月16日

ハービー・ハンコック『処女航海』

maidenvoyage.jpg Herbie Hancock - Maiden Voyage (The RVG Edition)

ハービー・ハンコックの代表作であるとともに、60年代新主流派を代表する超有名盤『処女航海』。1965年5月の録音ということは、マイルス・クインテットの『E.S.P.』の4か月後。前作『エンピリアン・アイルズ』のメンバーに加えて、1964年2月のライヴ盤『フォア&モア』ですさまじいバトルをくり広げたジョージ・コールマンが参加してます(ということは、ジョージはこの時点でハービーらと仲違いしてなかったのか。くわしくはここを見て)。

英国王室御用達の香水メーカー YARDLEY のテレビ CF 用に作曲したという〈処女航海(メイデン・ヴォヤージュ)〉。この曲を中心に、「海の広さと荘厳さ」を念頭に書き下ろした5つの美曲たち(ただし、〈リトル・ワン〉のみ『E.S.P.』が初出)。この時代には珍しいトータル・コンセプト・アルバムとして、『処女航海』はみずみずしい輝きを放っています。

アルバムはもちろん〈処女航海〉でスタートします。陽光きらめく朝の港から、たった今、はじめての航海へと船出する一艘の船。穏やかな波に揺られて、徐々に盛り上がっていくさまに、これからはじまる冒険への期待が高まります。前途洋々、旅立ちはいつも心躍るものです。

海風の香り漂う心地よい旅立ちから一転、船は嵐に遭遇します。〈ジ・アイ・オブ・ザ・ハリケーン〉。台風の目ならぬハリケーンの目です。不協和音に心がざわつきます。風雲急を告げる展開に、動揺が隠せません。大洋のなかでたった一人、取り残された不安と孤独。嵐に翻弄されるちっぽけな存在。〈リトル・ワン〉。自己の存在を見つめ直す機会です。嵐が去れば、時間だけは山ほどあります。瞑想の世界に浸ります。

嵐を生き残った自分という存在。ふとまわりを見渡すと、海には生命が満ちあふれています。〈サヴァイバル・オブ・ジ・フィッテスト〉。適者生存。過酷な生存競争を生き延びてきた生命にはどれも価値がある。その不思議に思いが至ったとき、自分はなぜ生かされたのか、その答えをつかんだ気がするのです。船の傍らをイルカの群れが泳いでいます。〈ドルフィン・ダンス〉。生きていてよかった。ホッとする一瞬です。心が洗われます。

 

Herbie Hancock "Maiden Voyage"
(Blue Note BLP 4195 / BST 84195)

Freddie Hubbard (trumpet)
George Coleman (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; May 17, 1965

[Tracks] Herbie Hancock - Maiden Voyage (The RVG Edition)
01. Maiden Voyage Herbie Hancock (music)
02. The Eye Of The Hurricane Herbie Hancock (music)
03. Little One Herbie Hancock (music)
04. Survival Of The Fittest Herbie Hancock (music)
05. Dolphin Dance Herbie Hancock (music)

[Links: Freddie Hubbard]
Freddie Hubbard Discography (by hubtones)
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: George Coleman]
George Coleman (Official Website)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

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ハービー・ハンコック『エンピリアン・アイルズ』

empyreanisles.jpg Herbie Hancock - Empyrean Isles

三日月山脈(the mountains of Lune)を越えて、大東洋(the Great Eastern Sea)の中心に、光り輝く4つの宝石、エンピリアン諸島がある。靄に覆われた島々はときに輝き、ときに歪められながら、水面の少し上を彷徨っているように見える。どうやら空想の世界でしかお目にかかれないようだ。神話と伝承によって、島は神秘のヴェールをまとっている。その存在はとらえがたく、ふつうの人間は近づくことができないといわれている。

ブルーのジャケットが印象的なハービー・ハンコックの 4th アルバム『エンピリアン・アイルズ』。ノラ・ケリーによるオリジナル・ライナーには、神と天使が住まうというエンピリアン(=天空)の島々が幻想的に描かれています(訳は拙訳です)。伝説のその島からは、熟したカンタロープ(メロンの一種。果肉はオレンジ色)の匂いがたちこめ、その実を食べると不老不死になるといいます。よく晴れた風の強い日には、龍が住むというドーム型の火山エッグの頂上を拝むことができます。夢の島にはオリロクィ渓谷があります。人々はそこで意識を奪われ、怪しげな言語を操り、指を鳴らす複雑でビューティフルなダンスについて、あれこれ話しているといいます。

この架空の物語はおそらく、ハービー自作の4つの楽曲をあとから聴いたノラ・ケリーが、頭のなかで組み立てたものだと思いますが(先にストーリーがあって、それにあわせて曲を作ったのではなく)、ある種のコンセプトを感じさせる統一感が、このアルバムにはたしかにあります。

〈ワン・フィンガー・スナップ〉、日本語ふうにいうと「指パッチン」ですね(爆)。もう、めちゃめちゃカッコイイです。クールな熱情を思う存分、味わってください。ロン・カーターのベースではじまる〈オリロクィ・ヴァレー〉。これもいいです。背中がゾクゾクしてきます。続いて〈カンタロープ・アイランド〉、訳して「メロン島」(訳すなってか)。メロンといえば〈ウォーターメロン・マン〉なわけで、この曲がファンキー路線の正統な後継者であることが題名からもわかります。そして、〈ジ・エッグ〉。トニーがフリーに暴れまくるこの曲がなんで「卵」なんだろうと前から疑問に思っていたのですが、ノラはいつ噴火するかわからない恐ろしい火山になぞらえたんですね。なるほど〜。

〈カンタロープ・アイランド〉が有名ですが、はっきりいって、このなかではいちばんゆるい演奏です。むしろ、それ以外の3曲こそ聴くべきです。異様に張りつめた空気。揺れ動く感情を極限まで抑え込むことで、息苦しいほどの緊張感を生み出しています。明晰な頭脳によって描き出される研ぎすまされた世界。シビレるね〜。

1964年6月に吹きこまれた本作は、時期的には『フォア&モア』『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』(64年2月)と、『マイルス・イン・トーキョー』(64年7月)のあいだにあたります。ハービー、ロン、トニーの3人が従来のリズム・セクションの役割をはるかに超えて、表舞台に名乗りをあげつつあった、その時期です。メンバーは上記の三人に加えて、珍しくコルネットを吹くフレディ・ハバードをフロントに迎えたワン・ホーン作品。このフレディがいいんです。いつもの饒舌を封印して、爆発寸前のエモーションをうまくコントロールすることで、異様なテンションを封じ込めることに成功しています。

 

Herbie Hancock "Empyrean Isles"
(Blue Note BLP 4175 / BST 84175)

Freddie Hubbard (cornet)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; June 17, 1964

[Tracks] Herbie Hancock - Empyrean Isles
01. One Finger Snap Herbie Hancock (music)
02. Oliloqui Valley Herbie Hancock (music)
03. Cantaloupe Island Herbie Hancock (music)
04. The Egg Herbie Hancock (music)

[Links: Freddie Hubbard]
Freddie Hubbard Discography (by hubtones)
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

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2007年05月11日

ハービー・ハンコック『インヴェンションズ&ディメンションズ』

inventionsanddimensions.jpg Herbie Hancock - Inventions and Dimensions RVG 2005

1963年5月、マイルスの『セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン』セッションに参加したハービーは、その後、ジャズ界を牽引するバンドのメンバーとして、長足の進歩を遂げます。3rd アルバム『インヴェンションズ&ディメンションズ』には、マイルス・バンド加入3か月後のハービーの姿が記録されています。

さて、このアルバム。ピアノ・トリオ作がほとんどないハンコックの、珍しい「トリオ+パーカッション」の作品だというとらえ方が一般的(?)で、私もそう思ってました。ところがよくよく聴いてみると、ドラムスなしのパーカッション2人に聴こえます。それもそのはず、ドラムスを叩いているのはコンガ奏者のウィリー・ボボ。つまり、彼は典型的なジャズ・ドラマーの役割を期待されていたのではなく、一風変わったパーカッション奏者として、この場に参加していたわけです。

さあ、困った。地味な印象しかなかった本作が、にわかに存在意義を主張しはじめました(笑)。さらに意識を集中して聴いていくと、あやしげな呪縛に意識がからめとられていくのがわかります。執拗にくり返されるリズム。同じところを行ったり来たりするフレーズ。けっして熱くならないのに、どういうわけかジワジワと身体がほてってきます。ジャワのガムランを聴いたときのような、不思議な恍惚感が全身を覆い尽くします。

なんだ、こりゃ。これまでまともに聴いてなかったのがバレバレですが、それにしても、こんな変なアルバムだったっけ? 聴けば聴くほど、妙な気分になってきます。ハイではない、即効性もない、でも徐々に身体が蝕まれる感じ。ジワジワと時間をかけてトランス状態にいたる摩訶不思議なこれらの音楽は、驚くべきことに、ほとんど事前の取り決めなしで、その場で即興的につくられたといいます。

でも、あらためてそういわれてみると、たしかにそんな気がします。曲として完結しない、出口の見えない迷宮のような音楽です。4曲目の〈ミモザ〉だけ、かろうじて「曲っぽさ」が感じられますが、これは正解でした。ナット・ヘントフの手になるオリジナル・ライナーには、この曲だけあらかじめ「書かれていた」と述べられています。おお、私の耳も捨てたもんじゃないな(笑)。

 

Herbie Hancock "Inventions And Dimensions"
(Blue Note BLP 4147 / BST 84147)

Herbie Hancock (piano)
Paul Chambers (bass)
Willie Bobo (drums, timbales)
Osvaldo "Chihuahua" Martinez (conga, bongo)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; August 30, 1963

[Tracks] Herbie Hancock - Inventions and Dimensions RVG 2005
01. Succotash Herbie Hancock (music)
02. Triangle Herbie Hancock (music)
03. Jack Rabbit Herbie Hancock (music)
04. Mimosa Herbie Hancock (music)
05. A Jump Ahead Herbie Hancock (music)

[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)

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2007年05月10日

ハービー・ハンコック『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』

mypointofview.jpg Herbie Hancock - My Point of View

モンゴ・サンタマリアがカヴァーした〈ウォーターメロン・マン〉の大ヒットによって、「ビューティフルで真っ白の人目を引くスポーツ・カー(コブラ)」を手に入れたハービー・ハンコック。ブルーノートがこの状況を放っておくはずはなく、ハービーは早くも1963年3月には、 2nd アルバム『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』を吹きこみます。

アルバムの冒頭を飾る〈ブラインド・マン、ブラインド・マン〉。これはもう完全に受け狙いの〈ウォーターメロン・マン〉路線ですね(笑)。シカゴ生まれのハービーはオリジナル・ライナーで「南部の綿花畑もワーク・ソングも知らない」と告白していますが、シカゴにだって黒人を取り巻く厳しい状況はあったわけで、「ストリートに立つ盲目のギタリスト」を題材にこの曲をつくったといいます。

でも、比較的裕福な家庭で育ち、クラシック・ピアニストの鍛錬も積んできたお坊ちゃんにとっては、「スイカ男」も「盲目のギタリスト」もあくまで観察の対象で、自分を同類視することはなかった。相手に共感し、ともに嘆き、ともに叫ぶという同胞愛的な熱さはなく、対象と距離をとって観察しているようです。ブルースの本場で育ちながらブルースを感じさせない、バリバリのブラック・ミュージックを演っても黒っぽさ一辺倒にならないハービー・ハンコックという特異なキャラクターは、この冷静な観察眼がもとになっている気がします。

印象に残るのは、ファンキー路線の1曲目や R&B の影響を受けたという5曲目〈アンド・ホワット・イフ・アイ・ドント〉よりも、むしろ3管メッセンジャーズ的な行き方にハッとする3曲目〈キング・コブラ〉です。ハービー自慢の愛車の名前を借りたこの曲は、のちに「新主流派」と称される音楽のクールネスを感じさせます。

メンバーでは、やはりトニー・ウィリアムズの参加が目を引きますね。ハービーとトニーの初共演かと思いきや、1か月ほど前にジャッキー・マクリーンのセッションで顔を合わせていたんですね。そのときの模様は『ヴァーティゴ』(Blue Note LT 1085)という後年発表盤で聴くことができます。

 

Herbie Hancock "My Point Of View"
(Blue Note BLP 4126 / BST 84126)

Donald Byrd (trumpet)
Grachan Moncur III (trombone)
Hank Mobley (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Grant Green (guitar)
Chuck Israels (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; March 19, 1963

[Tracks] Herbie Hancock - My Point of View
01. Blind Man, Blind Man Herbie Hancock (music)
02. A Tribute To Someone Herbie Hancock (music)
03. King Cobra Herbie Hancock (music)
04. The Pleasure Is Mine Herbie Hancock (music)
05. And What If I Don't Herbie Hancock (music)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Grachan Moncur III]
Trombone master and living regend Grachan Moncur III (Official Website)
Grachan Moncur III Discography (by Vincent Bessieres)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Grant Green]
The Green Room (Official Website)
Grant Green Page (by John Harris)
Grant Green: a discography with cover photos (by Atushi acchan Ueda)
Grant Green Discography Projact (@ Jazz Discography Projact)
[Links: Chuck Israels]
Chuck Israels (Official Website)
[Links: Tony Williams]
Tony Williams a few Collction (by ANTAIOS)

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2007年05月08日

ハービー・ハンコック『テイキン・オフ』

takinoff.jpg Herbie Hancock - Takin' Off

ハービー・ハンコック(Herbert Jeffrey Hancock)は1940年4月12日、イリノイ州シカゴで生まれました。7歳でクラシック・ピアノをはじめたハービーは、早くも11歳で(!)地元シカゴ交響楽団と共演しています。演目はモーツァルトのピアノ協奏曲だったとか。

早熟なピアノ少年はしかし、黒人の大衆音楽についてはウブでした。中学に入って R&B を聴くようになりますが、それも最初は「不思議なコードが鳴っていて、変わったフレーズが聞こえてきた」からでした。つまり、ハービーにとって、黒人のリズムやブルースは分析の対象であって、はじめから身体に備わった感覚ではなかった。ハービーの作品は、たとえそれがファンキー路線の曲であっても、非常に知的な営みを感じさせますが、対象に埋没せず、距離を置いて演奏する彼のクールネスは、このころから培われてきたものなのでしょう。

ハイスクール時代、ジョニー・スミスの『ヴァーモントの月』を聴いてジャズに目覚めたハービーの、最初のアイドルは英国人ジョージ・シアリングでした。デイヴ・ブルーベック、ピート・ジョリー、スタン・ケントン。出てくる名前は白人ばかり。さらには白人コーラス・グループ、ハイ・ローズのアレンジ(編曲はクレア・フィッシャー)に興味をもって、コピーに励んだりしたそうです。

大学は、オハイオ州グリネル・カレッジで電子工学を専攻します。途中、芸術学部作曲科に転入しますが、のちに電気楽器をあやつり、コンポーザー/アレンジャー・タイプのピアニストとして大成するハービーの関心は、当時から「電気」と「作編曲」にあったわけです。

そしてこの時期、世紀の傑作『カインド・オブ・ブルー』と出会います。ハービーの心をとらえたのは、ビル・エヴァンスの斬新なハーモニーでした。以下、引用はジャズ批評ブックス『定本ハービー・ハンコック』より。

「ビル・エヴァンスから影響を受けたのは、ハーモニー感覚だ。初めて『カインド・オブ・ブルー』を聴いた時、私はすでにある種のハーモニー感覚を身につけていたが、このレコードでビル・エヴァンスを知ってからは、勉強のためにずい分聴いた。ハーモニック・コンセプトが彼と似ているクリス・アンダーソンと共に、ビル・エヴァンスは私の基礎だ」

大学卒業後の1960年6月、ハービーは故郷のシカゴに戻り、コールマン・ホーキンスのバンドで演奏するなど、地元で頭角を現します。同年12月、シカゴを訪れたドナルド・バード&ペッパー・アダムスの双頭クインテットに参加(大雪で来られなかったレギュラー・ピアニスト、デューク・ピアソンの代役だった)。それがきっかけとなって、翌61年1月、ニューヨークに呼び寄せられ、すぐさまバンドの正式メンバーとなりました。

初リーダー作『テイキン・オフ』が吹きこまれたのは、1962年の5月。バード&アダムスのリズム・セクションをそのまま借り受け、フロントには進境著しいフレディ・ハバードと、前年シーンに復帰した生粋のビバッパー、デクスター・ゴードンを迎えます。新旧世代が入り交じった意表をつく組み合わせですが、ハービーのプレイそのものはまだおとなしく、完全に猫をかぶっています。有名なファンキー・チューン〈ウォーターメロン・マン〉だって、かわいいもんです(笑)。

幼少時代に見た、リヤカーを引きながらスイカを売る「スイカ男」をイメージしてつくったというこの曲、ハービー自身の演奏もシングルカットされたようですが、そのときはちっとも話題にならず、翌63年にキューバ生まれのパーカッション奏者モンゴ・サンタマリアがカバーしてから一気にブレイクします(ビルボードのチャートでトップ10入り)。「ヘイ! ウォーターメロン・マン」のかけ声も楽しいモンゴのカバー・ヴァージョンは、アルバム『グレイテスト・ヒッツ』などで入手可能です。

この曲のヒットで、ニューヨークに出てきてから〈エンプティ・ポケット〉(からのポケット=一文無し)だったというハービーの懐も少しは潤ったことでしょう。ここからハービーの躍進がはじまります。

 

Herbie Hancock "Takin' Off"
(Blue Note BLP 4109 / BST 84109)

Freddie Hubbard (trumpet)
Dexter Gordon (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Butch Warren (bass)
Billy Higgins (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; May 28, 1962

[Tracks] Herbie Hancock - Takin' Off
01. Watermelon Man Herbie Hancock (music)
02. Three Bags Full Herbie Hancock (music)
03. Empty Pockets Herbie Hancock (music)
04. The Maze Herbie Hancock (music)
05. Driftin' Herbie Hancock (music)
06. Alone And I Herbie Hancock (music)

[Links: Freddie Hubbard]
Freddie Hubbard Discography (by hubtones)
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: Dexter Gordon]
DexterGordon.com (Official Website)
Long Tall Dexter: Dexter Gordon Story (by Big-M)
Dexter Gordon Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Sophisticated Giant: The Dexter Gordon Discography
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)

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2007年02月22日

ハンク・モブレー『ワークアウト』

mobley_workout.jpg Hank Mobley - Workout

ブルーノート4000番台に残されたハンク・モブレーの3部作、『ソウル・ステーション(4031)に『ロール・コール』(4058)、そしてこの『ワークアウト』(4080)は、モブレーの長いキャリアのなかでも頂点に位置するアルバムという評価が定まっています。

すでに1961年初頭(60年末?)にはマイルス・バンドに加わり、一躍メジャーの仲間入りを果たしたモブレーですが、親分マイルスの評価は低く、本人もらしくない演奏を強いられるなど、実はストレスのたまる日々を送っていたのではないかというのは私の勝手な想像ですが、実際はどうだったんでしょう?

モブレーは気心の知れた仲間に囲まれてようやくふだんの実力を出せるタイプなので、ハスキー・ヴォイスで威嚇するこわもての親文がいないだけで、演奏もずいぶんと違ってきます。フロントを分け合う相手がギターだということも、いい結果を生んでいるようです。

管楽器どうしだと心のどこかで張り合う気持ちが出てきそうですが、相手がギターなら、対決とか撃ち合いという雰囲気にはなりにくい。とくにグラント・グリーンは超絶技巧をひけらかすタイプではないし、相手をビビらすようなハッタリもかまさないので、モブレーは適度な緊張感を保ちながらも、自然体で録音にのぞむことができています。

個人的には、モブレーは典型的なハードバッパーではないと思っているので(2管、3管は不向きという意味です)、このアルバムが典型的なハードバップのアルバムとして成功していることに、実は少なからず驚きを感じています。だって、タイトル曲なんか、単純にカッコいいでしょ? モブレーのソロも、なかなかどうして堂に入ったもんです。その理由を考えていて、グリーンの存在にハタと思い至ったわけです。

3曲目の〈スモーキン〉なんかも、いかにもハードバップという臭いがプンプンしてきます。なんだ、やればできるじゃん。スタジオの片隅でタバコをくわえて物思いにふけるモブレーの写真をあしらい、黒字に真っ赤なタイポグラフィーがまぶしいジャケットのようなキリリと引き締まった風情がなんとも耳に心地よいです。

 

Hank Mobley "Workout"
(Blue Note BLP 4080 / BST 84080)

Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Grant Green (guitar)
Paul CHambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; March 26, 1961

[Tracks] Hank Mobley - Workout
01. Workout Hank Mobley (music)
02. Uh Huh Hank Mobley (music)
03. Smokin' Hank Mobley (music)
04. The Best Things In Life Are Free Ray Henderson, Buddy G. DeSylva, Lew Brown (music and lyrics)
05. Greasin' Easy Hank Mobley (music)

[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Grant Green]
Grant Green Page (by John Harris)
Grant Green: a discography with cover photo (by Atushi acchan Ueda)
Grant Green Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ハンク・モブレー『ロール・コール』

mobley_rollcall.jpg

ハンク・モブレーの『ロール・コール』は、前作『ソウル・ステーション』のメンバーに、トランペットのフレディ・ハバードを加えた2管ハードバップ作品です。

同年6月に初リーダー作『オープン・セサミ』を吹きこんだ勢いそのままに、才気走った演奏をくりひろげるハバードに、偉大なる凡人モブレーははたして対抗できたのでしょうか。

実は、ハバード&モブレーの組み合わせは、ハバードの 2nd『ゴーイン・アップ』(1960年11月6日録音)にはじまり、本作『ロール・コール』(1960年11月13日録音)、ケニー・ドリューの『アンダーカレント』(1960年12月11日録音)と続き、2人はほとんど毎週のようにスタジオで顔をあわせていました。

プロデューサー、アルフレッド・ライオンの意気込みを感じますが、この組み合わせはベターではあってもベストではないと思います。地味なモブレーには、ハバードのいかにも「金管」らしいキンキンとした響きは強すぎる、というのがその理由です。

ハバードのペットの「鳴り」のよさはよく知られるところですが、相手がハバードだと、相方をつとめる人はがんばらざるを得ません。フツーに吹くだけでは、どうしたって見劣りしますから。放っといてもリキがはいってしまうシチュエーションは、モブレーのような自然体が売りの人には、ふさわしくありません。

加えて、2管になったことで、前作ではひかえなサポートに徹していたブレイキーが、意図的に前に押し出してきます。その分、前回あんなに気持ちよさげに舞っていたケリーのピアノが後ろに下がる形になって、バランスが崩れます。つまりは、モブレーはワン・ホーン・カルテットで真価を発揮するタイプだというのが私の意見なのですが、みなさんはいかがですか?

このアルバムで唯一のスタンダード・ナンバー〈ザ・モア・アイ・シー・ユー〉が流れてきてホッとした人には、おそらく私のいっていることが理解していただけると思うのですが。モブレーがハバードとかぶることなく一人でゆったりと吹き、ハバードがミュートをつけてキュートな面をのぞかせるこの曲が、このアルバムのベストだと、私は思います。

ところで、この曲をヘッドフォンで聴いていて気づいたのですが、最初モブレーは右、ハバードは左から音が聞こえてきます。ケリーのソロをはさんで、もう一度モブレーのテーマに戻るのですが、途中でいきなり右から左に切り替わります(6分4秒)。で、切り替わった後、左から聴こえる音のほうがいいんですね。これって、テープの編集ミスなのでしょうか???

 

Hank Mobley "Roll Call"
(Blue Note BLP 4058 / BST 84058)

Freddie Hubbard (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; November 13, 1960

[Tracks] 
01. Roll Call Hank Mobley (music)
02. My Groove Your Move Hank Mobley (music)
03. Take Your Pick Hank Mobley (music)
04. A Baptist Beat Hank Mobley (music)
05. The More I See You Harry Warren (music) / Mack Gordon (lyrics)
06. The Breakdown Hank Mobley (music)

[Links: Freddie Hubbard]
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
Freddie Hubbard (by hubtones)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Estate of Art Blakey (Official Website)
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ハンク・モブレー『ソウル・ステーション』

mobley_soulstation.jpg 

帝王マイルスにはダメ出しをされ、速射砲グリフィンには置いてけぼりを食わされて、散々な目に遭った「二流の男」ハンク・モブレー。でも、モブレーの本領は切った張ったの世界にはありません。もっと穏やかな、日々の暮らしのなかにこそ、モブレーの真実がある。

「普段着のテナー・サウンド」とでもいったらいいのでしょうか、モブレーのテナーには大げさなところや構えたところがありません。彼のまろやかな音色と感性が生きるのは、ゆったりとしたテンポの曲とくつろぎの空間。1960年録音の『ソウル・ステーション』には、そんなモブレーの最良の演奏が収められています。

有名ソングライター、アーヴィング・バーリンの無名曲〈リメンバー〉。心がほんわかとなるような曲調に、丸みをおびたあたたかみのあるテナーがよく似合います。いつもは自己主張の激しすぎるフロント陣の陰に隠れがちなウィントン・ケリーも、じゅうぶんなスペースを与えられて、嬉々としてピアノに向かっています。ケリーの名人芸を楽しむにはもってこいのアルバムです。

自作曲〈ディス・アイ・ディグ・フォー・ユー〉もいいねえ。モブレーは作曲の才能にも恵まれていたのでした。ソロの先発は、ウィントン・ケリー。ご機嫌な演奏です。続いてモブレーが登場しますが、この心地よさをどう表現したらいいのでしょうか。アタック感はないけれど、なめらかで耳にすっと入ってくる。叩きすぎないブレイキーにも好感がもてます。ひかえめなモブレー相手には、これくらいがちょうどいい。

これまたモブレーのオリジナル〈ディグ・ディス〉。なんてことない曲なんですが、
こういうフツーの曲をフツーに演奏するのって、実はえらくむずかしいことなんじゃないでしょうか。ハッタリをかましたり、奇をてらったりしなければ、それこそフツーの評価しか得られない。でも、モブレーはやってしまうんですね、フツーに。そして、それがモブレーらしさにつながっている。まったくもって、「普段着のテナー」とはよくいったものです。

そして、最後にひっそりと収められた極私的愛聴曲〈イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー〉。テーマ・メロディーが聴こえてきただけで、私なんかはもうたまりません。それをほとんど崩さずに吹き切るモブレー。まさに感涙ものです。

心がささくれだったとき、迷いを感じたとき、いつでも戻ってこられる場所がある。心のふるさと、『ソウル・ステーション』。心を安らかにして聴ける私の偏愛盤です。

 

Hank Mobley "Soul Station"
(Blue Note BLP 4031 / BST 84031)

Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; February 7, 1960

[Tracks] 
01. Remember Irving Berlin (music and lyrics)
02. This I Dig Of You Hank Mobley (music)
03. Dig Dis Hank Mobley (music)
04. Split Feelin's Hank Mobley (music)
05. Soul Station Hank Mobley (music)
06. If I Should Lose You Ralph Rainger (music) / Leo Robin (lyrics)

[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Estate of Art Blakey (Official Website)
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月21日

ソニー・ロリンズ『ニュークス・タイム』

rollins_newkstime.jpg Sonny Rollins - Newk's Time

ソニー・ロリンズがワン・ホーン・カルテットでブリブリ吹きまくる『ニュークス・タイム』。ブルーノート4000番台の幕開けを告げるとともに、ロリンズのブルーノート最終作でもあります(ただし、録音は『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』のほうが後です)。

オープニングの〈チューン・アップ〉からロリンズは全開です。男性的な野太いテナーの響きに、思わず笑みがこぼれます。バックのリズム・セクションの小刻みな動きを大きく広げた両腕で包みこむような、おおらかで力強いトーン。そうそう、これが聴きたかったんです。もちろん、高速スピードも難なくこなすロリンズです。あふれんばかりのメロディーの洪水に、私の頬の筋肉はもう、ゆるみっぱなしです。途中、ウィントン・ケリーが姿をくらましますが、それに気づかないくらい、充実したロリンズのソロです。

ドラマーのフィリー・ジョーもノリノリです。ウィントン・ケリーやダグ・ワトキンスのソロよりも先におかれたテナーとドラムのかけあいが、このアルバムの影の主役がフィリー・ジョーであることを予感させます。

続く〈エイジアティック・レイズ〉は、別名〈ロータス・ブラッサム(蓮の花)〉で知られるケニー・ドーハムの名曲ですが(『静かなるケニー』に収録)、決定版はやはり、このロリンズの豪快な演奏でしょう。いつまでも聴いていたいと思わせる、硬軟とりまぜたアドリブの至芸。続くケリーも健闘しますが、彼の全盛期はもうちょっと後の話。むしろ、異例のロングソロで軽快なスティックさばきを聴かせるフィリー・ジョーに、私の耳はひきつけられます。

揺りかごのような、ゆらゆらとしたテーマが印象的な〈ワンダフル・ワンダフル〉をはさんで、有名スタンダード〈飾りのついた四輪馬車〉がはじまります。ここではついに、ピアノもベースも脇に追いやってフィリー・ジョーと2人だけのガチンコ対決に突入です。ピアノレスのトリオ演奏はロリンズのトレードマークで、のちに完全無伴奏ソロ作品、その名も『ザ・ソロ・アルバム』を世に問うロリンズですから、ドラムとのデュオがあっても不思議ではないのですが、やはり自分の腕に相当の自信がなければできない芸当でしょう。で、結果はどう出たか。すごい、のひと言です。汲めどもつきないロリンズの豊かなアイディアに言葉もありません。

ところで、「ニューク (Newk)」 とはなんぞや。MLB ブルックリン・ドジャース(当時)の人気投手、ドン・ニューカムにそっくりだったロリンズは、彼のニックネーム「ニューク」と呼ばれていたそうです。そういわれると見比べてみたくなるのが人情ですね。こちらに写真がありますが、どうでしょう、似てますか? タクシーの運転手に本物のニュークに間違えられて、本人もその気になったというエピソードも伝わっていますが、、、

 

Sonny Rollins "Newk's Time"
(Blue Note BLP 4001 / BST 84001)

Sonny Rollins (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Doug Watkins (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; September 22, 1957

[Tracks] Sonny Rollins - Newk's Time
01. Tune Up Miles Davis (music)
02. Asiatic Raes (aka. Lotus Blossom) Kenny Dorham (music)
03. Wonderful! Wonderful! Sherman Edwards (music) / Ben Raleigh (lyrics)
04. The Surrey With The Fringe On Top Richard Rodgers (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
05. Blues For Philly Joe Sonny Rollins (music)
06. Namely You Gene DePaul (music) / Johnny Mercer (lyrics)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of the Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Complete Sonny Rollins
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent BESSIERES)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月20日

『ソニー・ロリンズ Vol. 1』

rollins_vol1.jpg Sonny Rollins - Sonny Rollins, Volume One

サキソフォン・コロッサス』を筆頭に、数々の名演を残したプレスティッジとのリーダー契約を終えたロリンズは、1956年の年末以降、フリーランスの名盤請負人として、ブルーノート、コンテンポラリー、リヴァーサイド、ヴァーヴなどに次々と快作を吹きこんでいきます。

第一弾がブルーノート盤『ソニー・ロリンズ Vol. 1』。クオリティーを追求するアルフレッド・ライオンと絶頂期を迎えていたロリンズの組み合わせですから、さぞかしすごいアルバムができただろうと思いきや、そんなことはまったくなくて、実に淡白な仕上がりです。

ブルーノートには、ロリンズ名義のアルバムが4枚残されていますが、豪華メンバーが集結した『ソニー・ロリンズ Vol. 2』、ピアノレス・トリオで押しまくる『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』、ロリンズがアドリブの鬼と化した『ニュークス・タイム』の強烈なインパクトと比べると、どうも印象が薄いんです。いったい、どうしちゃったんでしょうねえ。

ひとつには、ロリンズのオリジナルにこだわるあまり、歌もののキラー・チューンを用意しなかったことも影響しているように感じますが(原曲のメロディー以上にメロディアスなソロを吹くのがロリンズです)、それ以上に、いつものロリンズらしさが希薄な感じがするのです。

それは必要以上に音をブツ切りにして、ちっとも伸びていかない、この吹き方に原因があるのでは? バックを気にせず朗々と吹きまくるロリンズこそ聴きたいのに、妙にこじんまりとしたこの日のロリンズは、なにか迷いを抱えていたのでしょうか?

このジャケット、邦盤はタテ、輸入盤はヨコになっていて、どっちがオリジナルか迷っていたのですが、ジャズ批評ブックス『決定版ブルーノート・ブック』には、タテが正解とありました。日本人にはなじみのある英文タテ表記ですが、大胆にもタテ書きを採用したデザイナー、リード・マイルスのセンスが光ります。

 

"Sonny Rollins, Vol. 1"
(Blue Note BLP 1542)

Donald Byrd (trumpet)
Sonny Rollins (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Gene Ramey (bass)
Max Roach (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; December 16, 1956

[Tracks] Sonny Rollins - Sonny Rollins, Volume One
01. Decision Sonny Rollins (music)
02. Bluesnote Sonny Rollins (music)
03. How Are Things In Glocca Morra Burton Lane (music) / Edgar Y. Harburg (lyrics)
04. Plain Jane Sonny Rollins (music)
05. Sonnysphere Sonny Rollins (music)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of the Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
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2007年02月17日

ジョニー・グリフィン『ア・ブローイング・セッション』

griffin_ablowinsession.jpg Johnny Griffin - A Blowin' Session

前作『イントロデューシング〜』からほぼ1年後、グリフィンは超絶技巧に磨きをかけて堂々の帰還を果たします。血管を浮き上がらせてブロウするグリフィンの形相がおそろしい『ア・ブローイング・セッション』には、トランペットに3人のテナー・サックスという豪華な面子が集いました。

テナーの1人、ジョン・コルトレーンは、1956年のマイルスとのマラソン・セッションを終え、伝説のモンクとのファイヴ・スポット公演に向かわんとする時期で、まさに伸び盛り。もう1人のハンク・モブレーとペットのリー・モーガンは当時、ブルーノートで売り出し中の生きのいい若手の筆頭株。迎え撃つグリフィンはといえば、超高速のブロウを得意とする早撃ちの名手。はてさて、この果たし合いの結果はいかに。

冒頭の〈ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト(今宵の君は)〉から、いきなり壮絶な撃ち合いがはじまります。周囲をおいてけぼりにするほどすさまじいスピードで吹きまくるグリフィン。アドリブの構成も見事です。リー少年はさすが天才と呼ばれただけあって、このスピードをものともせずに突き進みます。

モブレーには、このスピードはちときついか。どうもこの人は他人の引き立て役に回ってしまうところがあって、いつも損な役回りをさせられています。ホントは歌心にあふれたいいテナー奏者なのにね。

そして、トレーンです。果敢に勝負を挑みますが、彼の代名詞シーツ・オブ・サウンドはまだ完成していません。ところどころに言い淀みが感じられます。というわけで、この時点での軍配はグリフィンに上がります。

自己主張の激しい4人のフロント陣を束ねるのは、御大アート・ブレイキーをおいてほかにはいません。当時のグリフィンのボスでもあったブレイキーは、厚みのある重量級ドラムで、フロント陣を鼓舞します。とくに調子の上がらないモブレーの出番になると、一段と激しく叩きまくって、煽りに煽ります。怖いねえ(笑)。

緻密に作り込まれた作品が多いブルーノートにしては珍しく、全体に一発録りのジャム・セッション的な安直さが感じられます。たとえば、〈ボール・ベアリング〉のテーマ部分を聴くと、全員が同じ音程で吹くだけでなんのアレンジも施されていません。全員でテーマを吹くだけ吹いて、あとは大ブローイング大会に突入というのは、いかにもプレスティッジやヴァーヴにありそうな作品です。そこが評価の分かれるところでもあるのでしょうが、これだけの面子ですから、妙な小細工なしの一発勝負でいきたくなる気持ちもわからんではありませんがね。

 

Johnny Griffin "A Blowing Session"
(Blue Note BLP 1559)

Lee Morgan (trumpet)
Johnny Griffin (tenor sax)
John Coltrane (tenor sax)
Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; April 6, 1957

[Tracks] Johnny Griffin - A Blowin' Session
01. The Way You Look Tonight Jerome Kern (music) / Dorothy Fields (lyrics)
02. Ball Bearing Johnny Griffin (music)
03. All The Things You Are Jerome Kern (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
04. Smoke Stack Johnny Griffin (music)

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2007年02月15日

『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』

griffin_introducing.jpg Johnny Griffin - Introducing (Digital Remastered)

ここ数年、親父の誕生日のプレゼントはカニと決めているのですが、今年はカニの王様、毛ガニ。3尾も入って、なんと3000円強! カニ好きの親父も大満足の美味だそうで、私もホッとしました。

さて、ウィントン・ケリーの美味しいところは、『ブラックホークのマイルス・デイヴィス』やブルー・ミッチェルの大名盤『ブルーズ・ムーズ』、『ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリー・トリオ』なんかで聴けますが、それだけじゃおもしろくない。ハードバップの黄金期を代表するピアニスト、ケリー。他人名義の作品に顔を出したケリーを探して回るのも、これまた楽しいものです。

というわけで、トップバッターはシカゴ出身の高速テナー、『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』でいきましょう。「イントロデューシング」といっても、グリフィンはシカゴ時代に初リーダー作『JG』を収録済み(アーゴ・レーベル。1956年)、本作は彼のニューヨークお披露目盤だったわけで、ジャケットの裏側に『シカゴ・コーリング』という別名があるのは、「タイトルに偽りあり」のやましさ故のことかもしれません(笑)。

それはさておき、シカゴでいっぱしのテナー吹きとして名を馳せたグリフィンは、56年春、ニューヨークへ進出します。小さいながらも肩で風を切って歩く男前のグリフィンは、当然ケンカもめっぽう強くて、最初にガツンといわせてグウの音も出ないようにするわけです。それが急速調で展開するオープニング・ナンバー〈ミル・デュー〉。高速で走りまくるグリフィンのテナーをご堪能あれ。順風満帆、前途洋々、気分は上々、本場ニューヨークで一旗揚げてやるぜ、という意気込みがダイレクトに伝わってきます。

続く〈シカゴ・コーリング〉では、ミディアム・テンポでも誰にも負けない技量を見せつけています。オレは速吹きだけの男じゃないぜ、と宣言しているかのような、実に堂々とした吹きっぷりです。ちょっと大げさすぎるかな、と思うくらいのビッグマウスぶり。

さらに悪のりした〈ザ・ボーイ・ネクスト・ドア〉。何度もしゃくりあげるようにくり返すブローは、いやらしささえ感じますが(そこがかわいいんですけどね)、ニューヨークに出てきたばかりの気負いもあったのでしょう、ここはひとつ、大目に見てあげましょう。

むしろ、勢いにまかせた〈イッツ・オールライト・ウィズ・ミー〉のほうがはるかに楽しい。この時期のグリフィンは、早撃ちガンマンのようにくり出されるテナーの連打を、脳みそを空っぽにして聴くのが正しい聴き方です(笑)。

ジャケットには、4月のレコーディングなのに、なぜかアロハ姿で現れたグリフィンが収まっています。熱気のかたまりのような豪快な吹きっぷりから、グリフィンは汗っかきだったのではないかと想像しますが(笑)、このときの写真(フランシス・ウルフが撮影)をもとに、かのアンディ・ウォーホールが描いたのが、『ザ・コングリゲーション』のイラストなんですね.いやはや、世の中なにがどうつながるか、わからないものです。

 

"Introducing Johnny Griffin"
(Blue Note BLP 1533)

Johnny Griffin (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Curly Russell (bass)
Max Roach (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; April 17, 1956

[Tracks] Johnny Griffin - Introducing (Digital Remastered)
01. Mil Dew Johnny Griffin (music)
02. Cicago Calling Johnny Griffin (music)
03. These Foolish Things Jack Strachey, Harry Link (music) / Holt Marvell (lyrics)
04. The Boy Next Door Hugh Martin (music) / Ralph Blane (lyrics)
05. Nice And Easy Johnny Griffin (music)
06. It's All Right With Me Cole Porter (music and lyrics)
07. Lover Man Roger Ramirez, Jimmy Sherman (music) / Jimmy Davis (lyrics)

[Links: Johnny Griffin]
Johnny Griffin Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
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[Links: Max Roach]
Max Roach Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年06月10日

『ユタ・ヒップ・アット・ザ・ヒッコリー・ハウス1&2』

atthehickoryhouse1.jpg atthehickoryhouse2.jpg

いよいよワールドカップがはじまりました。というわけで、このブログもW杯モードに突入です。マイルス&ピアニストの変遷はひとまずお休みして、W杯出場国のジャズ・ミュージシャンを紹介しましょう。

開幕戦を飾ったのは開催国ドイツ対コスタリカ。4対2でドイツが勝ちましたが、実にしまらない試合でした。ワンチョペのけっして速いとはいえない、のらりくらりとした動きに裏をとられてしまうドイツのディフェンダー、かなりの重症ですね。日本との親善試合でも見せたもろさを露呈してしまいました。地元開催という利点を考慮しても、優勝候補とはいえないでしょう。

黒人だらけ、男だらけのブルーノート1500番台にあって、数少ない白人というだけでなく、唯一の女性ピアニストとして知られるユタ・ヒップ。1925年2月4日、ドイツ・ライプツィヒ生まれ。2003年4月6日、ニューヨーク州クイーンズの自宅で死去。

ドイツのミュンヘンで演奏していたユタ・ヒップをニューヨークに連れてきたのは、評論家レナード・フェザーでした。ブルーノートは、ドイツからの移民アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフが旗揚げしたレーベルですから、同郷のよしみなのでしょう。ステーキハウス(?)ヒッコリーハウスでのライヴ録音が実現します。

MCでメンバー紹介しているのは、レナード・フェザーその人です。続いてユタ・ヒップの声が聞こえてきます。ベースはトリスターノ・スクールのピーター・インド。ドラムはのちにピーターソン・トリオに参加するエド・シグペンです。

一聴して、硬質な響きに驚きます。ジャケットの印象からか、女性らしい甘さを想像して聞くと、そのギャップに戸惑うかもしれません。この硬さは彼女がドイツ人ということと無関係ではないかもしれません。羽目をはずさないというか、融通が利かないというか、男を拒否しているような硬さが感じられますが、そこがたまらなくいい、という御仁もいるようです(笑)。

個人的には、彼女の曲紹介の「声」が大西順子さんのMCの声に似ている気がしますが、まあ、どうでもいいことですね。

 

"Jutta Hipp At The Hickory House, Vol. 1"
(Blue Note 1515)
"Jutta Hipp At The Hickory House, Vol. 2"
(Blue Note 1516)

Jutta Hipp (piano)
Peter Ind (bass)
Ed Thigpen (drums)

Produced by Alfred Lion, Leonard Feather
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Hickory House, NYC; April 5, 1956

[Tracks: Vol. 1]
01. Take Me In Your Arms Fred Markush (music) / Mitchell Parish (English lyrics)
02. Dear Old Stockholm (traditional)
03. Billie's Bounce Charlie Parker (music)
04. I'll Remember April Gene DePaul, Don Raye, Pat Johnston (music and lyrics)
05. Lady Bird Tadd Dameron (music)
06. Mad About The Boy Noel Coward (music and lyrics)
07. Ain't Misbehavin' Thomas "Fats" Waller (music) / Andy Razaf (lyrics)
08. These Foolish Things Jack Strachey, Harry Link (music) / Holt Marvell (lyrics)
09. Jeepers Creepers Harry Warren (music) / Johnny Mercer (lyrics)
10. The Moon Was Yellow Fred E. Ahlert, Edgar Leslie (music and lyrics)

[Tracks: Vol. 2]
01. Gone With The Wind Allie Wrubel (music) / Herbert Magidson (lyrics)
02. After Hours Avery Parish (music) / Robert Bruce, Buddy Fayne (lyrics)
03. The Squirrel Tadd Dameron (music)
04. We'll Be Together Again Carl Fischer (music) / Frankie Laine (lyrics)
05. Horacio Jutta Hipp (music)
06. I Married An Angel Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
07. Moonlight In Vermont Karl Suessdorf (music) / John Blackburn (lyrics)
08. Star Eyes Gene DePaul, Don Raye (music and lyrics)
09. If I Had You Ted Shapiro, James Campbell, Reg Connelly (music and lyrics)
10. My Heart Stood Still Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)

[Links: Ed Thigpen]
The Ed Thigpen website (Official Website)

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2006年05月17日

セロニアス・モンク&ジョン・コルトレーン『ライヴ・アット・カーネギー・ホール』

atcarnegiehallmonktrane.jpg Thelonious Monk Quartet With John Coltrane - Thelonious Monk Quartet With John Coltrane at Carnegie Hall

1957年の夏から秋にかけてファイヴ・スポットで行われたモンク&コルトレーンのロングラン公演は正式に録音されず、長い間「伝説」と化していました。この時期、トレーンは長足の進歩を遂げたといわれ、トレーン自身もモンクからの影響を隠そうとはしなかったため、世のトレーン・フリークたちは、幻のファイヴ・スポット・セッションを夢想するしかありませんでした。

そんななか、1993年に『ディスカヴァリー:アット・ザ・ファイヴ・スポット』というアルバムが世に出て、けっこう話題になりました。ついに出た、世紀の発掘音源だ、と。でも、健全なジャズファンは、このアルバムに手を出してはいけません(笑)。「超」がつくほど、音が悪い。聞けたものではありません。完全にマニアの領域の音源です。こういうのを大々的に宣伝して、一般の市場に出してしまう感覚が私にはわかりません。トレーン夫人のナイーマがポータブル・テープ・レコーダーを持ち込んで、トレーンのために録っていたものだそうです(J.C. トーマス著、武市好古訳『コルトレーンの生涯』によると、トレーンはモンクとの演奏をテープに録音し、滞在中のホテルに帰ってからも聞き直していたそうです。研究熱心なトレーンらしい逸話です。要は、まじめ、なんですね)。

というわけで、モンクとトレーンの共演を聞きたければ、ソロ作品『セロニアス・ヒムセルフ』にひっそりと収められたモンク&トレーン&ウィルバー・ウェアという変則トリオの1曲か、昨日アップしたセプテット作品『モンクス・ミュージック』か、リヴァーサイドの傍系ジャズランドに残された『セロニアス・モンク・ウィズ・ジョン・コルトレーン』あたりを聞くしかなかったわけです。

ところが、去年(2005年)の秋、驚くべき音源が発売されました。『ライヴ・アット・カーネギー・ホール』は、1957年11月29日、モンク&トレーンのカルテットがカーネギー・ホールで行われた感謝祭コンサートに出演したときの記録で、ビリー・ホリディ、ディジー・ガレスピーのビッグバンド、レイ・チャールズ、チェット・ベイカー&ズート・シムズ、ソニー・ロリンズら、錚々たるメンツがそろったステージだったようです。

内容は、聞いてのお楽しみ。のちに「シーツ・オブ・サウンド」を完成させるトレーンの成長過程が聞けるはずです(#7の後半など)。音質は非常にクリアで、期待を裏切りませんから、安心してください。

 

Thelonious Monk, John Coltrane "At Carnegie Hall"
(Blue Note 0946 3 35176 2 5)

John Coltrane (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
Ahmed Abdul-Malik (bass)
Shadow Wilson (drums)

Recorded by Harry Hochberg
Recorded live at Carnegie Hall. NYC; November 29, 1957

[Tracks] Thelonious Monk Quartet With John Coltrane - Thelonious Monk Quartet With John Coltrane at Carnegie Hall
01. Monk's Mood (music: Thelonious Monk)
02. Evidence (music: Thelonious Monk)
03. Crepuscule With Nellie (music: Thelonious Monk)
04. Nutty (music: Thelonious Monk)
05. Epistrophy (music: Thelonious Monk)
06. Bye-Ya (music: Thelonious Monk)
07. Sweet And Lovely (music: Thelonious Monk)music+words: Gus Arnheim, Harry Tobias, Jules Lemare
08. Blue Monk (music: Thelonious Monk)
09. Epistrophy [Incomplete] (music: Thelonious Monk)

[Links: Thelonious Monk]
THE MONK ZONE: The Official Thelonious Sphere Monk Website
The Thelonious Monk Website
Thelonious Monk Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年04月21日

ホレス・シルヴァー『ソング・フォー・マイ・ファーザー』

songformyfather.jpg Horace Silver - Song for My Father

強力なタッチと圧倒的なグルーヴ感でフロント陣を鼓舞するピアニスト、ホレス・シルヴァー。1928年9月2日、コネティカット州ノーウォーク生まれ。ポルトガル系の父と、アイルランド人と黒人のハーフの母をもち、ブルースやブギウギ・ピアノを聞いて育った彼の音楽人生は、意外や意外、スタン・ゲッツのもとではじまります。

ピアニストとしての彼にスポットを当てるなら、トリオ作品がいいのですが、いかんせん数がない。というか、最後までトリオで通した作品は、1952年の初リーダー・セッションを含む『ホレス・シルヴァー・トリオ&アート・ブレキー、サブー』しかないんですね。しかも、なぜかここには、アート・ブレイキーとサブーが2人だけで打楽器対決をくり広げる2曲が含まれています。

これじゃあんまりだ、というか、初期のシルヴァーはまだ熟す前の果実のようで、彼本来の「うまみ」を味わえない。というわけで、シルヴァーがいちばん輝いていたミッチェル&クック時代の最後の作品、『ソング・フォー・マイ・ファーザー』といきましょう(1963年10月31日、1964年10月26日録音)。

ジャケットにも登場しているホレスの父親はポルトガル系ですが、生まれたのはアフリカの西、大西洋上に浮かぶ小さな諸島国家カーボヴェルデ(Cape Verde)でした(その後、父親は若くしてアメリカに渡ります)。シルヴァーがまだ幼なかったころ、彼のまわりにはカーポヴェルデの民謡があふれていました。親しい人たちが集まったホーム・パーティで、父親はヴァイオリンやギターを弾いていたといいます。

時代は下って64年の2月、ブラジルを訪れたシルヴァーは、かの地で本物のボサノヴァのビートに出会います。そこで思い出したのです、幼いころの楽しかった思い出を。ブラジルは南米で唯一、ポルトガルを旧宗主国とする国です。大西洋を渡り、世代を超えて、一つにつながったポルトガルの伝統。それをシルヴァーは父親への感謝を込めて曲にします(ついでにいうと、シルヴァーの次作のタイトルは、そのものズバリ『カーポヴェルデのブルース』です)。

というわけで、このアルバムのメインは、メンバー総取っ替え後の1954年10月録音の4曲です。ブルー・ミッチェル・ファンの私としては残念ですが、出来は明らかに64年録音のほうがすぐれています。そして、意外といっては失礼ですが、カーネル・ジョーンズのペットがこれまたすばらしい。

今回意識的に聞き直して初めて気がついたのですが、彼の音色は、クリフォード・ブラウンとよく似ています。音の厚みやメロディーラインの美しさという点では劣りますが、上へ上へと伸びていく軽さ(悪い意味ではなく)がブラウニーのそれを思わせるのです。非常に「正統的」というか、くすんでいないのです。ぜひ2曲目の彼のソロを聞いてみてください。私の言わんとしていることが、わかってもらえるはずです。

63年の録音では、トリオで演奏された〈ロンリー・ウーマン〉が印象的です。オーネット・コールマンの同名曲のほうが有名ですが、シルヴァーのこの曲も、彼の繊細な一面が感じられる名曲です。

 

Horace Silver "Song For My Father"
(Blue Note BLP 4185 / BST 84185)

#3, 6
Blue Mitchell (trumpet) #3
Junior Cook (tenor sax) #3
Horace Silver (piano)
Gene Taylor (bass)
Roy Brooks (drums)

Recorded at theVan Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; October 31, 1963

#1, 2, 4, 5
Carmell Jones (trumpet)
Joe Henderson (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Teddy Smith (bass)
Roger Humphries (drums)

Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; October 26, 1964

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder

[Tracks] Horace Silver - Song for My Father
01. Song For My Father (music: Horace Silver)
02. The Natives Are Restless Tonight (music: Horace Silver)
03. Calcutta Cutie (music: Horace Silver)
04. Que Pas (music: Horace Silver)
05. The Kicker (music: Joe Henderson)
06. Lonely Woman (music: Horace Silver)

[Links: Blue Mitchell]
Blue Mitchell: Biography, Selected Discography, Transcriptions (by Jeff Helgesen)
[Links: Carmell Jones]
Carmell Jones: biography, discography (@ Andre Condouant: the offisial site)
[Links: Joe Henderson]
Joe Henderson Discography (by Jeffrey Lovell)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年04月03日

リー・モーガン『シティ・ライツ』

citylights.jpg Lee Morgan - City Lights

リー・モーガンのブルーノート4作目にして、モーガン&ゴルソンのコラボレーション最終作、『シティ・ライツ』です(1957年8月25日録音)。

〈シティ・ライツ〉(街の灯)とは何ぞや。ブロードウェイの喧噪というのが、作曲者ゴルソンのイメージです。ポール・チェンバースの必殺ワザ、弓弾きではじまるこの曲には、毎晩くり広げられていたであろう都会の夜の浮かれ騒ぎがいい塩梅に表現されています。眠らない街を煌煌と照らし続けるネオンの明かり。

続くワルツ・タイムの曲は、さながら都会の片隅で出会った男と女といった趣きです。一夜限りの出会い。名も知らず、その瞬間だけを楽しむ大人の男と女。刹那的な享楽につきまとうほのかな哀しさがにじみでます。

3曲目〈ユー・アー・マイン・ユー〉は、夜も更け、しっぽりと寄り添う男女といった感じでしょうか。LP 時代のA面3曲で、ゴルソンは見事にニューヨークの夜の断面を切り取って見せました。

ふたたびモーガン&ゴルソンがコンビを組むのは、2人がそろってブレイキーのジャズ・メッセンジャーズに参加する1958年を待たなければなりません。

 

Lee Morgan "City Lights"
(Blue Note BLP 1575)

Lee Morgan (trumpet)
Curtis Fuller (trombone)
George Coleman (tenor sax, alto sax)
Ray Bryant (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)
Benny Golson (arranger)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; August 25, 1957

[Tracks] Lee Morgan - City Lights
01. City Lights (music: Benny Golson)
02. Tempo De Waltz (music: Benny Golson)
03. You're Mine, You (music: Johnny Green / words: Edward Heyman)
04. Just by Myself (music: Benny Golson)
05. Kin Folks (music: Gigi Gryce)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Ray Bryant]
Ray Bryant Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年03月31日

『リー・モーガン・セクステット』

leemorgan2.jpg

ずいぶん長いこと、トランぺッターの話ばかりしてきましたが、さすがに飽きました(というか、ネタ切れか?)。しめくくりはこの人、ベニー・ゴルソンがらみでいきましょう。

リー・モーガンの華々しいデビューの影には、ガレスピー楽団の同僚で、同郷の先輩、ゴルソンの名アレンジがあったことは知られていますが、ブルーノート2作目にあたる『リー・モーガン・セクステット』では(別名『リー・モーガン Vol. 2』のほうが有名かも)、コンポーザー兼アレンジャーとして、いよいよゴルソンとオーウェン・マーシャルの名が表に出てきます(前作では、クレジットされていなかった)。

デビュー盤『リー・モーガン・インディード!』の約1か月後の録音、というより『ハンク・モブレー・セクステット』の翌週の録音というべきか。ドナルド・バードとリー・モーガンの顔合わせで知られるこの『セクステット』(BLP 1540)のメンバーから、バードを引いてアルトのケニー・ロジャーズを足せば、リー・モーガンの『セクステット』ができあがります(ついでに、ケニー・ロジャースもフィリー出身らしいですね)。

ということは、2週間にわたって同じメンバーがヴァン・ゲルダーの自宅に呼び集められたってわけです。なにやら安直な気がしますねえ。でも、安直にならないのがブルーノートの「らしい」ところで、モブレーの『セクステット』は全曲モブレーのオリジナル、モーガンの『セクステット』はゴルソン&オーウェンが仕切っています。

そして、ゴルソンの名曲〈ウィスパー・ノット〉の存在感。スタッカートをきかせたテーマ吹奏に続いて、ソロでは珍しくミュートをつけてプレイするモーガンが、成熟した(というのも変ですが)表現を聞かせます。

同じくゴルソン作〈ラテン・ハングオーヴァー〉。モーガンの堂々としたソロの背後で絶妙に絡み合うアンサンブルが聞きものです。こういうのをやらせたら、ゴルソンはほんとにうまい。哀愁のラテン、ここに極まれリ、です(笑)。



"Lee Morgan Sextet'"
(Blue Note BLP 1541)

Lee Morgan (trumpet)
Kenny Rodgers (alto sax)
Hank Mobley (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Paul Chambers (bass)
Charlie Persip (drums)
Benny Golson, Owen Marshall (arranger)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; December 2, 1956

[Tracks]
01. Whisper Not (music: Benny Golson)
02. Latin Hangover (music: Benny Golson)
03. His Sister (music: Owen Marshall)
04. Slightly Hep (music: Benny Golson)
05. Where Am I? (music: Benny Golson)
06. D's Fink (music: Owen Marshall)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年03月28日

ホレス・シルヴァー『ドゥーイン・ザ・シング』

dointhething.jpg Horace Silver - Doin' the Thing: The Horace Silver Quintet At the Village Gate

作品に完璧さを求めるホレス・シルヴァーは、行き当たりばったりのライヴ録音を嫌ったといいますが、オフィシャルなライヴ盤が1枚だけ残っています。それが、この『ドゥーイン・ザ・シング』です(1961年5月19日、20日録音)。

興奮のるつぼと化したライヴ会場は、アート・ドルゴフ(Art D'Lugoff)のヴィレッジ・ゲイト。ニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジのブリーカー St. とトンプソン St. の交差点にありました。コールマン・ホーキンスの『ジェリコの戦い』や、『ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー』、『ヴィレッジ・ゲイトのハービー・マン』あたりが有名でしょうか。

ライヴ盤といっても、つねに新しいものを求め続けたアルフレッド・ライオン率いるブルーノートのこと、バンド・テーマを除く全曲書き下ろしの新作です。〈フィルティ・マクナスティ〉があります。〈ドゥーイン・ザ・シング〉があります。〈キス・ミー・ライト〉があります。〈ザ・グリンゴ〉があります。

ひたすら気持ちよさそうに鍵盤の上を縦横無尽に駆け巡るシルヴァーがいます。手は休みなく動き回ります。ものすごいドライヴ感でグイグイ引っ張っていきます。そして、フロント陣を鼓舞するロイ・ブルックスの小気味のいいドラミング。それに負けじと、いつになく鋭く切り込んでくるミッチェル&クック。体の芯から火照ってくるような興奮。やっぱ、ライヴはこうじゃなくっちゃ。

 

Horace Silver "Doin' The Thing'"
(Blue Note BLP 4076 / BST 84076)

Blue Mitchell (trumpet)
Junior Cook (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Gene Taylor (bass)
Roy Brooks (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Village Gate, NYC; May 19 (#1, 2), 20 (#3, 4), 1961

[Tracks] Horace Silver - Doin' the Thing: The Horace Silver Quintet At the Village Gate
01. Filthy McNasty (music: Horace Silver)
02. Doin' The Thing (music: Horace Silver)
03. Kiss Me Right (music: Horace Silver)
04. The Gringo 〜 The Theme: Cool Eyes (music: Horace Silver)

[Links: Blue Mitchell]
Blue Mitchell: Biography, Selected Discography, Transcriptions (by Jeff Helgesen)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年03月27日

ホレス・シルヴァー『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』

browinthebluesaway.jpg Horace Silver - Blowin' the Blues Away

ホレス・シルヴァーの代表作を選ぶのは、むずかしい。たいていどのアルバムにも、ジュークボックス用にシングルカットされた必殺曲が入っているからですが、ノリ一発と思いきや、シルヴァーの楽曲は、すみずみまで行き届いた構成美が最大の特徴で、けっこう複雑なことをやっていながら、まったくそうは聞こえないところに、シルヴァーの作曲・アレンジ能力の高さがうかがわれます。

曲によって、さまざまな表情を見せるシルヴァーですが、一貫しているのは、スタジオ録音作なのに、熱いグルーヴを封じ込めることができたのは、彼のリーダーシップによるところが大きかったのでしょう。力強い鍵盤さばきで有名を馳せたホレス・シルヴァー。1928年9月2日、コネティカット州ノーウォーク生まれ。

で、彼の代表作は何か。1枚にしぼるのはむずかしいけれど、3枚あげろといわれてば、この『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』あたりは、全会一致で推挙されるのではないでしょうか。

このアルバムがすごいのは、はじめから終わりまで、すべて必殺のキラーチューンばかりそろっていることです。アルバム単位の鑑賞が基本のジャズの世界では、寄せ集めのベスト盤は無用というのが私の意見ですが、曲の完成度、独立度が非常に高いシルヴァーの場合、いわゆる「ベスト盤=名曲選」が成り立ちそうな気がします。そして、さながらシルヴァーの代表曲を集めた様相を呈しているのが、この『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』というわけです。

ここには、疾走するシルヴァーのピアノにフロント・ラインが熱い咆哮で応酬する〈ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ〉があります。これぞシルヴァー節というべき、トリオ演奏の〈ザ・セント・ヴィタス・ダンス〉があります。ロイ・ブルックスの切れ味鋭いドラムに煽られたミッチェル&クックが炎のソロを聞かせる〈ブレイク・シティ〉や〈バグダッド・ブルース〉があります。忘れられない佳曲〈ピース〉もあれば、ノリノリの代表曲〈シスター・セイディ〉もあります。

う〜ん、これはおいしすぎる。こんなにおいしい曲をたった1枚のアルバムに入れ込んじゃうなんて、この時期のシルヴァーは、ホントに絶好調だったんでしょうね。泉が湧き出るように、曲が生まれる。その曲がどれも、人気を博す要素をもっていた。そして、そこに熱気を封じ込めることができる理想のメンバー。まさに怖いものなしのシルヴァーです。

 

Horace Silver "Blowin' The Blues Away"
(Blue Note BLP 4017 / BST 84017)

Blue Mitchell (trumpet) except #2, 7
Junior Cook (tenor sax) except #2, 7
Horace Silver (piano)
Gene Taylor (bass)
Louis Hayes (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; August 29 (#1, 6), 30 (#3-5), September 13 (#2, 7), 1959

[Tracks] Horace Silver - Blowin' the Blues Away
01. Blowin' The Blues Away (music: Horace Silver)
02. The St. Vitus Dance (music: Horace Silver)
03. Break City (music: Horace Silver)
04. Peace (music: Horace Silver)
05. Sister Sadie (music: Horace Silver)
06. The Baghdad Blues (music: Horace Silver)
07. Melancholy Mood (music: Horace Silver)

[Links: Blue Mitchell]
Blue Mitchell: Biography, Selected Discography, Transcriptions (by Jeff Helgesen)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ホレス・シルヴァー『フィンガー・ポッピン』

fingerpoppin.jpg Horace Silver - Finger Poppin'

ホレス・シルヴァー・クインテットの全盛期は、トランペットのブルー・ミッチェルとテナー・サックスのジュニア・クックがフロントを飾った1959〜63年の間でした。

この2人、「トランぺッター列伝」「テナーサックス列伝」なんていう企画があっても、かろうじてブルー・ミッチェルが末席に連なるくらいで、ジュニア・クックは完全黙殺されておしまい、というくらいの存在です。そんな「B級(失礼!)」の2人も、ホレス・シルヴァーのマジックにかかると、一躍スター・プレイヤーの仲間入りを果たしたように聞こえるから不思議です。

1959年の正月末日に録音された『フィンガー・ポッピン』は、そんな彼らのデビュー盤です。これから数年にわたって続く快進撃を予感させるハツラツとした演奏に、思わず笑みがこぼれます。とはいえ、録音は最初からうまくいったわけではないようです。

ブルーはクラブではいつもぶっ飛んでいるが、スタジオでは最初、なかなかリラックスできなかった。緊張でガチガチになっていたが、リハーサルを重ねるにつれてだんだんよくなり、最初のOKテイクを取り終える頃にはすっかり調子を取り戻したんだ。

とは、ライナーノーツに残されたシルヴァーの弁ですが、それくらいミッチェルにとって、シルヴァーの録音に参加することは大きな挑戦であり、心身ともに負荷がかかるものだったのでしょう。でも、彼はそれをなんとか乗り越えた。そして、輝かしい音色とスピード感あふれる演奏で、立派にその大役を務めたのです。なんか微笑ましいエピソードですね(笑)。

表題曲〈フィンガー・ポッピン〉は、新生クインテットの誕生を高らかに歌い上げた傑作です。走り出したら止まらないこの勢い、このスピードこそ、シルヴァー・クインテットを聞く最大の楽しみです。私をどこまでも連れてって〜(笑)という感じです。

そして、問題の〈クッキン・アット・ザ・コンチネンタル〉。最初にレコーディングされたこの曲は、なかなか決まらず、テイク11まで数えたそうです。このOKテイクに、緊張で顔がこわばったミッチェルの姿を思い浮かべるのはむずかしい。ようやく体も温まって、パワー全開というところでしょうか。

意外なところで、〈ユー・ハプンド・マイ・ウェイ〉。何の変哲もないスロー・バラッドですが、これ、何かの曲に似ています。何の曲か思い出せないのですが、何でしたっけ? 喉まで出かかっているのに出てきません。ああ、もどかしい!!!

 

Horace Silver "Finger Poppin'"
(Blue Note BLP 4008)

Blue Mitchell (trumpet)
Junior Cook (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Gene Taylor (bass)
Louis Hayes (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; January 31, 1959

[Tracks] Horace Silver - Finger Poppin'
01. Finger Poppin' (music: Horace Silver)
02. Juicy Lucy (music: Horace Silver)
03. Swingin' The Samba (music: Horace Silver)
04. Sweet Stuff (music: Horace Silver)
05. Cookin' At The Continental (music: Horace Silver)
06. Come On Home (music: Horace Silver)
07. You Happened My Way (music: Horace Silver)
08. Mellow D (music: Horace Silver)

[Links: Blue Mitchell]
Blue Mitchell: Biography, Selected Discography, Transcriptions (by Jeff Helgesen)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年03月23日

ホレス・シルヴァー『ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー』

thestylingsofsilver.jpg Horace Silver - The Stylings of Silver

前作から、トランペットがアート・ファーマーに、ベースがテディ・コティックに代わって吹き込まれたホレス・シルヴァー・クインテットのブルーノート2作目、『ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー』です(1957年5月8日録音)。

ブルーノートの1500番台には珍しいフルカラーのジャケットです。紙の印刷では、フルカラーは CMYK の4色のかけあわせで表現するので(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色)、モノクロの4倍、2色刷りの2倍の印刷コストがかかります。インディーズにしては金をかけたわけですが、それも「売れ筋」のシルヴァーだからこそ、でしょう。バックに写っているのは、ニューヨークの国連ビル。「世界」を相手に打って出ようという意思の表れでしょうか。

しかし、中身はというと、いかにも黒人受けしそうなファンキー色がほどよく抑制されて、日本人にも受け入れやすい端正な風情となっています。これは、アート・ファーマーの参加によるところが大きい。ファーマーは無色無臭というか、中性的というか、とてもひかえめな個性の持ち主なので(そこがいいんですが)、あんまりド派手な演出では、存在が霞んでしまうんです。それを知ってか知らずか、いつもよりクローズドな雰囲気の曲を並べたシルヴァーです。

そして、最後に1曲だけ添えられたスタンダード、〈マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ〉のやさしい響き。トリオ作品がほとんどないシルヴァーの意外に愛らしいピアノ表現にうっとりです。



Horace Silver "The Stylings Of Silver"
(Blue Note BLP 1562)

Art Farmer (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Teddy Kotick (bass)
Louis Hayes (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; May 8, 1957

[Tracks] Horace Silver - The Stylings of Silver
01. No Smokin' (music: Horace Silver)
02. The Back Beat (music: Horace Silver)
03. Soulville (music: Horace Silver)
04. Home Cookin' (music: Horace Silver)
05. Metamorphosis (music: Horace Silver)
06. My One And Only Love (music: Guy Wood / words: Robert Mellin)

[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horece Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年03月21日

ホレス・シルヴァー『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』

6piecesofsilver.jpg 

話を1956年に戻しましょう。アート・ブレイキーと袂を分かったホレス・シルヴァーは、ブレイキー以外の旧ジャズ・メッセンジャーズのメンバーをみんな雇い入れ、ルイ・ヘイズをドラマーに迎えて、自らのグループをスタートさせます。

彼らのブルーノート初録音となった『6ピーシズ・オブ・シルヴァー』は、文字どおりシルバーの楽曲を6曲収めたアルバムです(スタンダードも1曲入っています。1956年11月10日録音)。

グループの船出を飾ったのは、7月に録音されたエピック盤『シルヴァーズ・ブルー』ですが、このセッションは3日間にわたっていて、初回録音日のトランペットはジョー・ゴードンでした。ドラマーも最初がケニー・クラーク、次いでアート・テイラーという布陣だったので、多少メンバーの異動がありました(私は未聴です)。

この作品を吹きこむにあたって、シルヴァーにプレッシャーがあったかどうかはわかりませんが、独り立ちの真価を問われる場面であることは間違いありません。ブレイキーなしでも十分やっていけることをいかに証明するか。そこでシルヴァーが出した答えが「ファンキー」でした。

それまでも〈ザ・プリーチャー〉など、ファンキー色の強い曲を生み出してきたシルヴァーですが、生まれたときから聞いて育ったゴスペルとブルースに、ラテンとクラシックとブロードウェイのミュージカルというスパイスを少々振りかけて混ぜ合わせれば、そこにファンキーという名の「シルヴァー節」が誕生する。

シルヴァーの曲はシンプルです。そして粘っこい。後を引きます。日本人なら納豆ですが、アメリカ人なら何でしょうか。とにかくシンプルなメロディーを執拗にくり返して、それが独特のリズムを生み出す。耳に残るんです。

シルヴァーの代名詞ともなった〈セニョール・ブルース〉。このシルヴァーのピアノはしつこい。これでもかというくらい、粘っこく、しつこく迫ります。意外とマッチしているのが、耳をつんざくドナルド・バードの金属音。キンキン耳に響いて、一定のリズムに華を添えます。

 

Horace Silver "6 Pieces Of Silver"
(Blue Note BLP 1539)

Donald Byrd (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Doug Watkins (bass)
Louis Hayes (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; November 10, 1956

[Tracks] 
01. Cool Eyes (music: Horace Silver)
02. Shirl (music: Horace Silver)
03. Camouflage (music: Horace Silver)
04. Enchantment (music: Horace Silver)
05. Senor Blues (music: Horace Silver)
06. Virgo (music: Horace Silver)
07. For Heaven's Sake (music+words: Don Meyer, Elise Breton, Sherman Edwards)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)

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2006年02月27日

フレディ・ハバード『ハブ・トーンズ』

hubtones.jpg Freddie Hubbard - Hub-Tones (The RVG Edition)

今日の午後、真新しいデスクに本棚2つが届きます。自宅の仕事部屋の模様替えです。これまで床に本が山積みになっていたので、かなりスッキリするはずです。楽しみだなあ。

フレディ・ハバードとブッカー・リトルの接点というと、どちらもドルフィーのバンドのメンバーだったことと、コルトレーンの『アフリカ・ブラス』にそろって参加していたことくらいしか思い浮かびませんが、尿毒症のため急逝(1961年10月5日)したリトルのために、フレディは美しくもはかない追悼曲を残します。

名曲〈ラメント・フォー・ブッカー〉は、同じく、道半ばにして逝ったトランペット奏者に捧げられたゴルソン作〈アイ・リメンバー・クリフォード〉のように、いろいろなミュージシャンに演奏される人気曲にはなりませんでしたが、作曲面でも絶望的な「暗さ」で新境地を切り開きつつあったリトルのユニークな曲調をうまく取り込みながら、フレディにしては珍しく、陰影のあるトランペットを聞かせます。「灰色のトランペット」と称されたリトルの音色を彷彿とさせるその演奏は、聞く者の涙を誘います。本当に惜しい人を亡くしたものです。

忘れられないこの曲が収録された『ハブ・トーンズ』は、フレディのブルーノート第5弾にあたります。フロントを分け合うジェイムズ・スポルディングは、フレディと同じインディアナポリス出身のアルト兼フルート奏者。ほかにハンコックやレジー・ワークマンらが参加しています。

アルバムの冒頭を飾る〈ユー・アー・マイ・エヴリシング〉。このトランペットの輝きはどうでしょう。そして、この繊細な表現。フレディは「うますぎる」トランぺッターですが、うまさが嫌みでなく、いい塩梅にしあがっています。〈君こそすべて〉はフレディ君のためにある曲です(笑)。

2曲目〈プロフェット・ジェニングス〉は、「予言者」とあだ名された画家、リチャード・ジェニングスに捧げられています。ドルフィーの『アウトワード・バウンド』や『アウト・ゼア』の表紙を飾った、例の摩訶不思議な絵を描く人です(前者には、フレディも参加していましたね)。

 

Freddie Hubbard "Hub-Tones"
(Blue Note BLP-4115)

Freddie Hubbard (trumpet)
James Spaulding (alto sax, flute)
Herbie Hancock (piano)
Reggie Workman (bass)
Clifford Jarvis (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; October 10, 1962

[Tracks] Freddie Hubbard - Hub-Tones (The RVG Edition)
01. You're My Everything (music: Harry Warren / words: Mort Dixon, Joe Young)
02. Prophet Jennings (music: Freddie Hubbard)
03. Hub-Tones (music: Freddie Hubbard)
04. Lament For Booker (music: Freddie Hubbard)
05. For Spee's Sake (music: Freddie Hubbard)

[Links: Freddie Hubbard]
Hub's Disc: Freddie Hubbard Discography
Hub-Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: James Spaulding]
James Spaulding (Official Website)
[James Spaulding Discography (by Vincent Bessieres)
Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Official Site
Herbie Hancock Discography (By Christian Genzel)
[Links: Reggie Workman]
Reggie Workman's BassScanz (Official Site)

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2006年02月18日

フレディ・ハバード『ハブ・キャップ』

hubcap.jpg Freddie Hubbard - Hub Cap

2日続けてシーサーのサーバーがダウンしたようで、アクセス不能になってました。どこかから攻撃でも受けたのでしょうか?

どんな曲も軽々と吹きこなす抜群のテクニック。モードからフリーまで自在に行き来する流麗なフレージング。「ザ・金管楽器」とでもいうべきメタリックな音色。フレディ・ハバードの特質をあげるとこんな感じになりますが、個人的には、彼のもっともおいしいところは、その「切れ味」にあるのではないかと思ってます。

ビールの宣伝じゃありませんが、コクとキレでいったら、フレディは断然「キレ」派です。スカッとした爽快感は味わえますが、演奏に奥行きというか、味わい深さは感じられません。でもまあ、そこがフレディのいいところでもあって、3管の真ん中にフレディのような人がいると、やっぱり存在が際立つんですね。陰影とか奥行きとかは、まわりの人が勝手につけてくれる。だから、真ん中の人は、ストレートに、高らかに、歌いあげてくれればそれでよし、てなわけです。

遅れてきたテクニシャン、フレディ・ハバード。1938年4月7日、インディアナ州インディアナポリス生まれ。

フレディ3枚目のリーダー作『ハブ・キャップ』は、彼の人脈で固められた作品です。シカゴ生まれのジュリアン・プリースターは、スライド・ハンプトン・バンド時代の同僚。ダラス生まれのシダー・ウォルトンは、J.J. ジョンソン・バンド時代の同僚。同じインディアナポリス出身のラリー・リドレイとは、カレッジ・バンド時代からの仲間だそうです。それだけじゃありません。フレディ自作の〈ルアーナ〉は姪っ子の名前。〈アーモン Jr.〉はピアニストでもある弟の名前。しかも、この曲のアレンジを担当しているのは、フレディの恩師エド・サマーリンというから、なんとも念の入ったことです(笑)。

注目はやはり、これまでも何度か紹介したシダー・ウォルトンの〈プレクサス〉ですが、実はフレディ自作曲の中に、モード時代に突入した3管メッセンジャーズにふさわしい曲が隠されています。1曲目〈ハブ・キャップ〉や3曲目〈ルアーナ〉なんか、けっこう好きですよ、単純にカッコいい。〈オジー・メエ〉のファンキーなノリもかなりそれっぽい。なんでドラマーがブレイキーじゃないんだろうと思うくらいです。

私は車に興味がないので知らなかったのですが、ハブ・キャップというのは、タイヤのホイール・キャップのことだったんですね。もちろん Hubbard の Hub とかけています。

 

Freddie Hubbard "Hub Cap"
(Blue Note BLP-4073)

Freddie Hubbard (trumpet)
Julian Priester (trombone)
Jimmy Heath (tenor sax)
Cedar Walton (piano)
Larry Ridley (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 9, 1961

[Tracks] Freddie Hubbard - Hub Cap
01. Hub Cap (music: Freddie Hubbard)
02. Cry Me Not (music: Randy Weston)
03. Luana (music: Freddie Hubbard)
04. Osie Mae (music: Freddie Hubbard)
05. Plexus (music: Cedar Walton)
06. Earmon Jr. (music: Freddie Hubbard)

[Links: Freddie Hubbard]
Hub's Disc: Freddie Hubbard Discography
Hub-Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: Jimmy Heath]
Jimmy Heath (Official SIte)
[Links: Larry Ridley]
Larry Ridley (Official Site)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年02月14日

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『モザイク』

mosaic.jpg Art Blakey & The Jazz Messengers - Mosaic

ジャズ・メッセンジャーズ(JM)が最もカッコよかったのは、トロンボーンを加えた3管時代だろうと個人的には思っています。ファンキー時代を支えたリー・モーガンとボビー・ティモンズが去り、新メンバーにトランペットのフレディ・ハバード、トロンボーンのカーティス・フラー、ピアノのシダー・ウォルトンを迎えた新生 JM を仕切るのは、もちろんウェイン・ショーターです。

初のスタジオ録音となる『モザイク』には、新生 JM の幕開けを飾るにふさわしい、フレッシュなサウンドが横溢しています(1961年10月2日録音)。キーワードは「モード」です。アルバムの冒頭、シダー・ウォルトンの〈モザイク〉から、JM が新たな局面に突入したことを実感させる演奏が続きます。ハードバップからファンキー時代にはなかったスタイリッシュな響き、この響きこそ、60年代を席巻したモード・ジャズの正体です。

モードがはたしてどういうものか、理論的にはよくわかりません(笑)。でも「これがそうだよ」といわれれば、私でもわかる。だって、聞いた感じがまったく違いますから。そして、この音楽を創り出したのが、ベニー・ゴルソンではなくショーターだったというのもうなずけます。ピアノは、ティモンズではなくウォルトンでなければならなかったし、トランペットも、モーガンではなくハバードでなければならなかった。う〜ん、聞けば一発でわかるはずなのに、私のつたない表現力では伝えきれないのがもどかしい(笑)。

このアルバム、JM のブルーノート作品としては、『ジャズ・コーナーで会いましょう Vol. 1』『同 Vol. 2』以来となるのですが、この間も録音は続いていました。モーガン&ショーターの2管時代だけでも、実に4枚ものアルバムが吹きこまれていますが、発売はすべて先送りされ、この『モザイク』を優先させた。その気持ち、わかります。それくらいこのアルバムは新しい。もちろん2管時代も悪くないけれど、『モザイク』のインパクトと比べると雲泥の差があります。

とにかくショーター作〈チルドレン・オブ・ザ・ナイト〉を聞いてください。うまく説明できないけれど、この新しさこそ、3管メッセンジャーズの命です。

 

Art Blakey & The Jazz Messengers "Mosaic"
(Blue Note BLP-4090)

Freddie Hubbard (trumpet)
Curtis Fuller (trombone)
Wayne Shorter (tenor sax)
Cedar Walton (piano)
Jymie Merritt (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; October 2, 1961

[Tracks] Art Blakey & The Jazz Messengers - Mosaic
01. Mosaic (music: Cedar Walton)
02. Down Under (music: Freddie Hubbard)
03. Children Of The Night (music: Wayne Shorter)
04. Arabia (music: Curtis Fuller)
05. Crisis (music: Freddie Hubbard)

[Links: Freddie Hubbard]
Hub's Disc: Freddie Hubbard Discography
Hub-Tunes: The Freddie Hubbard Discography
[Links: Wayne Shorter]
The Complete Wayne Shorter
ウェイン・ショーターの部屋 (@ T. Pot 氏)
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年02月09日

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『チュニジアの夜』

anightintunisia_bn.jpg Art Blakey & The Jazz Messengers - A Night In Tunisia

さて、絶頂期を迎えたブレイキーの JM ですが、1959年2月に音楽監督のベニー・ゴルソンが脱退。以後、テナー奏者が定まらず、旧メンバーのハンク・モブレイが復帰したり(『アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド Vol. 1』『同 Vol. 2』を収録)、フランスの貴公子バルネ・ウィランを迎えたりしましたが、(ジェラール・フィリップとジャンヌ・モローが共演した仏映画『危険な関係』のサントラ盤を収録)、同年秋、いよいよ本命ウェイン・ショーターが登場、以後、JM はショーターを中心にまわりはじめます。

ショーター参加後のブルーノート第1作は『アフリケイン』。でも、これはアルフレッド・ライオンによってボツにされます(後年、LT シリーズとして日の目を見た。LT-1088)。続いて『ザ・ビッグ・ビート』(BLP-4029)が吹き込まれ、そして、モーガン&ショーターの2管フロント時代の最高傑作『チュニジアの夜』へと続きます(1960年8月7日、14日録音)。

ガレスピー作〈チュニジアの夜〉は JM の十八番で、熱のこもった演奏がいくつか残されていますが、なかでも白眉は、このアルバムでの演奏でしょう。よく聞くと、非常に凝ったアレンジで(この曲だけで少なくとも6回のテイクを重ねたそうです)、ブレイキーの派手なドラムソロからはじまり、ジミー・メリットのベースが地を這い、小さな音でピアノがスタート、続いてショーターが短いリフをくり返し、最後に満を持してリー・モーガンが登場、テーマ・メロディーをかき鳴らす、というこの曲の出だしの部分はホントにかっこいい!

そして、ボビー・ティモンズの〈ソー・タイアド〉。ファンキー・ジャズを奏でるショーターというのが笑えます。妙にこまっしゃくれたフレーズが、ショーターなりになじもうと必死になっているようにも聞こえます(笑)。その点、モーガンはお手の物。この段階では、まだモーガンの影響力のほうが強そうです。

なにしろショーターの自作曲は1曲のみ。それよりも、モーガンのオリジナル2曲が目を引きます。「山」「小僧のワルツ」と日本語のタイトルがついているのは、当時、モーガンが日系人女性と結婚していたから。「小僧」はペットのプードルの名前だとか。

翌61年1月には、 JM はこのメンバーで初来日、日本中をファンキー・ブームに染め上げます。

 

Art Blakey & The Jazz Messengers "A Night In Tunisia"
(Blue Note BLP-4049)

Lee Morgan (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Bobby Timmons (piano)
Jymie Merritt (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; August 7 (#1, 3, 5), 14 (#2, 4), 1960

[Tracks] Art Blakey & The Jazz Messengers - A Night In Tunisia
01. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
02. Sincerely Diana (music: Wayne Shorter)
03. So Tired (music: Bobby Timmons)
04. Yama (music: Lee Morgan)
05. Kozo's Waltz (music: Lee Morgan)

[Links: Lee Motgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
The Complete Wayne Shorter
ウェイン・ショーターの部屋 (@ T. Pot 氏)
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Bobby Timmons]
Bobby Timmons Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年02月08日

『リー・モーガン Vol. 3』

leemorgan3.jpg 

ブルーノートがその他のレーベルと決定的に違うのは、ありがちなスタンダード曲をほとんど録らなかったことです。つねに新しいものを欲していたアルフレッド・ライオンにとって、「スタンダード曲をどう料理(Cook)するか」というのは、興味の対象外でした。アーティストには自作曲の提供を求め、それを中心にしてセッションを組み立てる。スタンダードは、演ったとしても刺身のつまのようなもので、メインディッシュはあくまでジャズメン・オリジナルでした。

ブルーノート作品に特有のキリリと引き締まった風情は、必ずリハーサルを行って作品としての完成度を追求した結果だといわれていますが(リハーサルにもギャラを払っていたそうです。インディーズとしては異例の待遇でしょう、やっぱり)、もう一つ、新しい楽曲にチャレンジすることの緊張感も、無視できないのではないかと思います。

リスナーはスタンダードに「くつろぎ」を求めます。ベテランの妙技にため息をつくのも、新人の斬新な解釈にハッとさせられるのも、メロディーをそらんじるほど聞き慣れた曲だからこそ、です。好きな曲を追っかけて、いろいろな人の演奏を楽しむ曲聞きは、だから、ジャズ・ファンの大きな楽しみでもあります。でも、曲聞きをしていると、どうしても縁遠くなってしまうのが、ブルーノートというレーベルの特徴なんです。そこが、好き嫌いが分かれるところでもあります。

オリジナル曲至上主義とでもいうべきブルーノートにあって、リー・モーガンの存在が特異なのは、デビュー当時は本人の自作曲がまったく取り上げられていないことです(彼のオリジナル曲が収録されるようになったのは、5枚目のリーダー作『ザ・クッカー』からです)。

つまり、神童といわれたリー・モーガンといえども、まだこの時点では作曲の才能が開花していなかった。でも、そんなことはたいした問題じゃない、と思わせるところに、天才の天才たるゆえんがあります。彼は与えられた曲をただ吹くだけでよかった。それだけで、そこには一筋の明るい光が差し込み、周囲の景色もバラ色に変えてしまう力がみなぎっていました。

リー・モーガンに欠けていた才能を補ったのは、同郷の先輩ベニー・ゴルソンでした。楽曲を提供し、アレンジも施して、天才少年リーの歩むべき道を示したのが彼でした。前2作では演奏にも参加せず、完全に黒子に徹していましたが(オーウェン・マーシャルとの2人体制でした)、この『リー・モーガン Vol. 3』はいよいよ本人も参加して、これぞゴルソン・ハーモニーという決定的な作品に仕上げます。

アルバムの冒頭で、同じく編曲も得意にしたジジ・グライスのフルートが聞こえてきただけで、名盤の予感がひしひしと押し寄せます。重厚でいながら色彩感に富んだアレンジの中を蝶のように舞うリー少年。う〜ん、やっぱりできすぎです、これは。

そして、極めつけはキラー・チューン〈アイ・リメンバー・クリフォード〉。同郷の故クリフォード・ブラウンに捧げられたこの曲は、誰からも愛されたというブラウニーの人柄を偲ばせる甘く切ない響きに満ちています。それを真正面から吹ききるリー・モーガンも見事! ここに、正真正銘のブラウニーの後継者が誕生します。



"Lee Morgan, Vol. 3'"
(Blue Note BLP-1557)

Lee Morgan (trumpet)
Gigi Gryce (alto sax)
Benny Golson (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Charlie Persip (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; March 24, 1957

[Tracks] 
01. Hasaan's Dream (music: Benny Golson)
02. Domingo (music: Benny Golson)
03. I Remember Clifford (music: Benny Golson)
04. Mesabi Chant (music: Benny Golson)
05. Tip-Toeing (music: Benny Golson)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Gigi Gryce]
Gigi Gryce (by David Griffith)
Gigi Gryce (by Noal Cohen)
[Links: Benny Golson]
Benny Golson's Official Website
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年02月03日

『リー・モーガン・インディード!』

leemorganindeed.jpg

クリフォード・ブラウンが自動車事故によって、突然この世を去ったのが1956年6月26日。それと呼応するかのように、この年、ブラウニー第二の故郷フィラデルフィア出身の若手ジャズメンが、大挙してニューヨークに進出します。

永遠のやんちゃ坊主、リー・モーガンもその1人。フィリー時代にブラウニーの薫陶を受けた少年は(家にもちょくちょく遊びにいったらしいです)、まだティーン・エイジャーのあどけなさを残したまま、勇躍ニューヨークの地に足を踏み入れます。

リー少年が他の誰とも違っていたのは、そのデビューの華々しさでした。初録音がいきなりリーダー作だっただけでも驚きなのに(ふつうの人なら、何作かサイドメンとして名を連ね、実績を積み重ねてから、満を持してリーダー作を吹き込みます)、それからわずか1か月の間に3枚のリーダー作を録音したのです。デビュー盤は当然まだ発売されていませんから、販売実績ゼロの新人にそこまで入れ込むなんて、プロデューサーに自信がなければ、できないことです。

で、その初録音は、56年11月4日に、アルフレッド・ライオン率いるブルーノートで行われます。『リー・モーガン・インディード!』。

天才リー少年は、このとき弱冠18歳(!)。脇を固めるのは、フィリー人脈から、アルトのクラレンス・シャープに、その名もフィリー・ジョー・ジョーンズ(ベテラン・ドラマー、ジョー・ジョーンズ(Jo Jones)と区別するために「フィリー」がついたそうです)。そして、クレジットはされていませんが、同じくフィリー出身のベニーゴルソンとオーウェン・マーシャルが楽曲とアレンジを提供しています。

ちなみに、ヴィック盤『チュニジアの夜』に参加していたベースのスパンキー・ディブレストも、フィリー出身でリー・モーガンの友人だとか。低迷期にフィリーを訪れたブレイキーは、すばらしい音色をもつ少年リーにも声をかけたのですが、あろうことか、リー少年のほうで断ったそうです(笑)。リー少年がニューヨークに進出して、ブレイキーのバンドに参加するのに、それから2年以上の年月が流れています。

 

"Lee Morgan Indeed!'"
(Blue Note BLP 1538)

Lee Morgan (trumpet)
Clarence Sharpe (alto sax)
Horace Silver (piano)
Wilbur Ware (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; November 4, 1956

[Tracks]
01. Roccus (music: Horace Silver)
02. Reggie Of Chester (music: Benny Golson)
03. The Lady (music: Owen Marshall)
04. Little T (music: Donald Byrd)
05. Gaza Strip (music: Owen Marshall)
06. Stand By (music: Benny Golson)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年01月25日

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ『モーニン』

moanin.jpg Art Blakey & The Jazz Messengers - Moanin'

いくつかのレーベルを渡り歩き、長らく不遇をかこってきたブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズ(JM)ですが、1958年秋、メンバーを刷新して古巣ブルーノートに復帰、これまでの低迷がウソのように、見事に復活を遂げます。

奇跡の復活劇の立役者は、トランペットのリー・モーガン。56年のデビュー以来、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでシーンを席巻していたモーガンを主役の座にすえ、音楽監督に、デビュー後のモーガンを陰で支えた名アレンジャー、ベニー・ゴルソンを迎えた時点で、彼らの成功は約束されたも同然でした(2人は第3次ガレスピー・ビッグバンドの同僚でした)。

ご存じ『モーニン』(58年10月30日録音)は、ファンキー時代の到来を高らかに宣言した傑作です。ブレイキーの黒光りしたどアップ写真が恐ろしいとか、品格に欠けるとか、いいかげん聞き飽きたとか、いろいろいわれていますが、心を真っ白にしてあらためて耳を傾けてみると、やっぱりいいんですよ、これが。これくらい、ジャズのにおいがストレートに漂ってくる作品はありません。もうクラクラのメロメロです(笑)。

このアルバムからは、新時代の息吹が感じられます。モーガンのブリリアントな音色もさることながら、ティモンズの後を引くピアノに、ナイアガラ瀑布にたとえられるブレイキーのド派手なパフォーマンスが華を添えます。

JM 最大のヒット曲といえば、このアルバムに収録されたティモンズ作〈モーニン〉とゴルソン作〈ブルース・マーチ〉ですが、この2曲、品がないといえば、たしかに品はありません(笑)。そもそもこういう曲に品格を求めるほうが間違いで、「イエ〜イ」とうめきながら(モーンは「うめく」という意味)、キメキメの決めセリフを楽しむというのが、正しい聞き方です。

でも、このアルバムが名盤たり得ているのは、同じくゴルソン作の〈アー・ユー・リアル〉が入っているから、といったら、いいすぎでしょうか? これはいいです! 非常に優雅で叙情的、高貴な雰囲気さえ感じられます。この曲を聞いた後では、〈ドラムサンダー組曲〉なんて下世話な曲でさえも、名盤特有のオーラが漂っている気がするから不思議です。

 

Art Blakey & The Jazz Messengers "Moanin'"
(Blue Note BLP-4003)

Lee Morgan (trumpet)
Benny Golson (tenor sax)
Bobby Timmons (piano)
Jymie Merritt (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; October 30, 1958

[Tracks] Art Blakey & The Jazz Messengers - Moanin'
01. Moanin' (music: Bobby Timmons)
02. Are You Real (music: Benny Golson)
03. Along Came Betty (music: Benny Golson)
04. The Drum Thunder Suite (music: Benny Golson)
05. Blues March (music: Benny Golson)
06. Come Rain Or Come Shine (music: Harold Arlen / words: Johnny Mercer)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Benny Golson]
Benny Golson's Official Website
[Links: Bobby Timmons]
Bobby Timmons Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年01月22日

『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』

roundaboutmidnightatbohemia.jpg Kenny Dorham - The Complete 'Round About Midnight At the Cafe (Rudy Van Gelder Edition)

ケニー・ドーハムの短命に終わったグループ「ジャズ・プロフェッツ」の唯一のライヴ盤、それが『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』です(1956年5月31日録音。ピアノはボビー・ティモンズに代わっています)。

といっても、ジャケットのどこを探してもグループ名は見当たりません。それがブルーノートのプロデューサー、アルフレッド・ライオンの美学によるものかどうかは判然としませんが、ひとつ言えるのは、このアルバムはジャズ・プロフェッツ単独の作品ではないということです。このライヴのわずか2日前に、初リーダー作となった『イントロデューシング・ケニー・バレル』を録り終えたばかりの新人ギタリスト、ケニー・バレルが客演しているからです。

アルフレッド・ライオンはバレルのギターに惚れ込んだ。それはわかるのですが(私も大好きです!)、だからといって、誕生したばかりのグループに(半ば強引に)メンバーではない人間を客演させたばかりでなく、そのグループの名前すら隠してしまうというのは、いかがなものでしょう。「ジャズ・プロフェッツ」は終わるべくして終わった。引導を渡したのは、他ならぬアルフレッドだった。そう言われてもしかたがないようなエピソードではあります。

それはさておき、カフェ・ボヘミアでくり広げられたこのライヴ、演奏的にはたいへん充実しています。というか、バレルがいいんですよ。完全に主役を食う勢いです。まあ、こういうのを聞かされると、アルフレッドの気持ちもわからないではないのですが。たとえば、〈メキシコ・シティ〉や〈ヒルズ・エッジ〉のバレルのソロに耳を傾けてください。「ク〜ッ、たまらん」のため息も漏れようというものです(笑)。

でもでも、ドーハムもいいんですよ(今さら遅い?)。この当時のドーハムは音に伸びがあって、クリアなんです。ハードバップのトランペットはこうじゃなくちゃ、という典型的な演奏です。実に気持ちいい。音を短く切ってブツ切りに刻んでいくモンテローズには
好き嫌いがあるとは思いますが、この男らしさに一度ハマると、けっこう楽しめます。

 

Kenny Dorham "'Round About Midnight At The Cafe Bohemia"
(Blue Note BLP-1524)

Kenny Dorham (trumpet)
J.R. Monterose (tenor sax) except #5
Bobby Timmons (piano)
Kenny Burrell (guitar) except #2, 5
Sam Jones (bass)
Arthur Edgehill (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at Cafe Bohemia, NYC; May 31, 1956

[Tracks] Kenny Dorham - The Complete 'Round About Midnight At the Cafe (Rudy Van Gelder Edition)
01. Monaco (music: Kenny Dorham)
02. 'Round Midnight (music: Thelonious Monk, Cootie Williams / words: Bernie Hanighen)
03. Mexico City (music: Kenny Dorham)
04. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
05. Autumn In New York (music+words: Vernon Duke)
06. Hill's Edge (music: Kenny Dorham)

[Links: Kenny Dorham]
Una Mas: Kenny Dorham Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Kenny Dorham Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: J.R. Monterose]
J.R. Monterose (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
J.R. Monterose Discography (@ JazzDiscography.com)
[Links: Bobby Timmons]
Bobby Timmons Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年01月21日

ケニー・ドーハム『アフロ・キューバン』

afrocuban.jpg Kenny Dorham - Afro-Cuban

ジャズ・メッセンジャーズ結成(1955年2月末)に参画したケニー・ドーハムは、この直後に決定的名演をものにします。ドーハムの名を、現代クラブシーンにまで轟かせた傑作、『アフロ・キューバン』は同年3月、オリジナル JM のメンバー(ブレイキー、シルヴァー、モブレイ)に、J.J. ジョンソン、セシル・ペイン、オスカー・ペティフォード、そして、コンガのポテト・ヴァルデスを加えたオクテット(8重奏団)で収録されました(前半の4曲のみ)。

とにかく冒頭の〈アフロディジア〉を聞いてください。これで腰がムズムズしなけりゃ、そりゃウソです。俺がグルーヴを教えてやる、といわんばかりのご機嫌な演奏で、「ドーハム=ラテンの情熱」という公式があなたの中にもくっきりと刻み込まれること、間違いなしです。オクテットということで、アレンジ過多のつまらない演奏を想像する人がいるかもしれませんが、そんな心配はご無用です。この分厚いサウンドがあってこそ、ラテンのノリも生きてきます。

そして、『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol. 1』でも取り上げられていた名曲〈マイナーズ・ホリデイ〉。ドーハムのソロではあちらに軍配が上がりますが、こっちの演奏もノリノリです。好きだなあ。

ところで、なんでドーハムが「アフロ・キューバン」なのか。それは、ドーハムがディジー・ガレスピーのビッグバンド出身ということと無関係ではありません。そもそもアフロ・キューバン・ジャズという音楽をこの世に知らしめたのがガレスピーだったわけで、彼が40年代中期に率いていた第2次ビッグバンドには、ドーハムのほかにも、ソニー・スティット (as)、ミルト・ジャクソン (vib)、ジョン・ルイス (p)、レイ・ブラウン (b)、ケニー・クラーク (ds) ら錚々たるメンバーが参加していました。この第2次ビッグバンドのリズム・セクションから、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)が生まれたというのは有名な話です(その時代の模様は『グルーヴィン・ハイ』などで聞くことができます)。

このアルバムはブルーノート1500番台初期の作品の例にもれず、10インチ盤の焼き直しを含んでいます。ラテン・フレイバーが横溢した前半の4曲(3月29日録音)は、同タイトルの10インチ盤(5065)から、残りの3曲は、1月30日録音の未発表音源から収録されています。

 

Kenny Dorham "Afro-Cuban"
(Blue Note BLP-1535)

Kenny Dorham (trumpet)
J.J. Johnson (trombone) #1-4
Hank Mobley (tenor sax)
Cecil Payne (baritone sax)
Horace Silver (piano)
Oscar Pettiford (bass) #1-4
Percy Heath (bass) #5-7
Art Blakey (drums)
Carlos "Potato" Valdes (conga) #1-4
Richie Goldberg (cowbell) #1, 3

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studiio, Hackensack, NJ; January 30 (#5-7), March 29 (#1-4), 1955

[Tracks] Kenny Dorham - Afro-Cuban
01. Afrodisia (music: Kenny Dorham)
02. Lotus Flower (music: Kenny Dorham)
03. Minor's Holiday (music: Kenny Dorham)
04. Basheer's Dream (music: Gigi Gryce)
05. K.D.'s Motion (music: Kenny Dorham)
06. The Villa (music: Kenny Dorham)
07. Venita's Dance (music: Kenny Dorham)

[Links: Kenny Dorham]
Una Mas: Kenny Dorham Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Kenny Dorham Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: J.J. Johnson]
J.J. Johnson Album Cover Gallery (@ Christo's Home Page)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Oscar Pettiford]
Oscar Pettiford (by Hans-Joachim Schmidt)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年01月20日

『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』

atcafebohemia1.jpg Art Blakey & The Jazz Messengers - The Jazz Messengers - At the Cafe Bohemia, Vol. 1

atcafebohemia2.jpg Art Blakey & The Jazz Messengers - Art Blakey: At the Cafe Bohemia, Vol. 2 (The Rudy Van Gelder Edition)

アート・ブレイキーは「メッセンジャーズ」という名前をはるか昔、1940年代から使っていましたが、そこに「ジャズ」をつけたのは、同僚のホレス・シルヴァーのアイディアだとか。1955年の2月末、「ジャズ・メッセンジャーズ(JM)」は誕生します。

オリジナルのメンバーは、トランペットのケニー・ドーハム、テナー・サックスのハンク・モブレイ、ベースのダグ・ワトキンス、それに、ブレイキーにシルヴァーという豪華な面々です。

ところが、このオリジナル・メンバーによる JM の作品は、『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol. 1』『同 Vol. 2』の2枚しか残されていません。『ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ』という作品もあるにはあるのですが(メンバーは同じ)、これは正式には JM を名乗る直前に録音されたもので、「ホレス・シルヴァー・クインテット」名義で発売された2枚の10インチ盤(5058、5062)を1枚の12インチ盤にまとめたものにすぎません(54年11月13日、55年2月6日録音)。

じゃあ、なんで JM とついているのかといえば、12インチ盤の発売順の関係で、まず『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』が出た(1507、08)。次に『ホレス・シルヴァー&ジャズ・メッセンジャーズ』が出た(1518)。「メンバーも同じだし、時期も近いから、まっいいか」というわけで、JM の名前を使ってしまったんですね。別に目くじらたてるほどのことでもないですが、安直なもんです(笑)。

さて、そうなると、困る人が出てきます。ブレイキーです。JM ってのは自分のグループだと思っていたら、最初に出た『カフェ・ボヘミアの〜』はリーダーなしの JM 名義、次に出た『ホレス・シルヴァー&〜』はもちろんシルヴァー名義です。「ひょっとして、俺ってグループ乗っ取られちゃった?」と疑心暗鬼におちいったかどうかは寡聞にして知りませんが(笑)、あたかもそれを埋め合わせるかのように、録音順では一番古い『バードランドの夜』(54年2月21日録音)が今度はブレイキー名義で「1521、22番」として発売されたあたりに、なにやらキナ臭いものを感じます(笑)。

まあ、それはそれとして、ブレイキーもシルヴァーも「お山の大将」なんですね。1つのグループに大将は1人でじゅうぶんです。2人が袂を分かつのは、当然のなりゆきだったのでしょう。生まれたばかりの JM は早くも56年5月には解散に追い込まれます。ブレイキーは名(JM というグループ名)を、シルヴァーは実(ブレイキーを除くメンバー全員)をとって、手打ちということに相成りました。

そんなわけで、オリジナル JM 唯一の形見となってしまった本作ですが、演奏はといえば、半年後の解散など信じられないような快演が続きます。とくに聞きものなのは、ケニー・ドーハムです。『静かなるケニー』というたった1枚のアルバムによって、渋いトランペット奏者という妙なレッテルを貼られてしまった彼ですが、ドーハムの本質は「哀愁」なんかにありません。熱くたぎるような「情熱」にこそ、ドーハムらしさがあふれています。それは、Vol. 1 の3曲目〈マイナーズ・ホリデイ〉を聞けばわかるはず。ここでのドーハムはほんとにすさまじい。神がかりとはこのことで、どこまでも熱く迫ります。

この曲は、ドーハムのラテン・サイドの傑作『アフロ・キューバン』でも演奏されていましたが、この曲に関しては、こちらのライヴ録音に軍配が上がります。だって、ホンマにキテまっせ。ドーハムの認識を改めるためにも、ぜひご一聴あれ。

あと、Vol. 2 の4曲目〈アヴィラ・アンド・テキーラ〉もいいね。こちらはモブレイの作品ですが、これこれ、このラテンのノリとにぎやかさこそ、ブレイキーにふさわしい。いい曲です。

 

 

"The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia, Vol. 1"
(Blue Note BLP-1507)
"The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia, Vol. 2"
(Blue Note BLP-1508)

Kenny Dorham (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Horace Silver (piano)
Doug Watkins (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at Cafe Bohemia, NYC; November 23, 1955

[Tracks: Vol. 1] Art Blakey & The Jazz Messengers - The Jazz Messengers - At the Cafe Bohemia, Vol. 1
01. Soft Winds (music: Benny Goodman / words: Fred Royal)
02. The Theme
03. Minor's Holiday (music: Kenny Dorham)
04. Alone Together (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
05. Prince Albert (music: Kenny Dorham, Max Roach)

[Tracks: Vol. 2] Art Blakey & The Jazz Messengers - Art Blakey: At the Cafe Bohemia, Vol. 2 (The Rudy Van Gelder Edition)
01. Sportin' Crowd (music: Hank Mobley)
02. Like Someone In Love (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Burke)
03. Yesterdays (music: Jerome Kern / words: Otto Harbach)
04. Avila And Tequila (music: Hank Mobley)
05. I Waited For You (Walter Gil Fuller)

[Links: Kenny Dorham]
Una Mas: Kenny Dorham Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Kenny Dorham Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年01月19日

アート・ブレイキー『バードランドの夜』

anightatbirdland1.jpg Art Blakey - A Night At Birdland, Vol.1

anightatbirdland2.jpg Art Blakey Quartet - A Night At Birdland, Vol.2

いやあ、死ぬかと思いました、この年末年始は。私はこれまで1日は24時間だと思い込んでいたのですが、それじゃたりないってことをはじめて知りました(笑)。1日が30時間とか40時間くらいになってくると、ちょうど3日間(72時間)くらいのサイクルで生活が回るようになって、その間になんとか9〜10時間の睡眠を確保するという日々を送ってました。生き地獄とはまさにこのことで、眠れない、意識がもうろうとする、イライラする、家族からは恨まれる、、、朝起きて夜眠るという当たり前のことが、人間らしさを保つうえでどれだけ大切なのか、実感しました。

で、そんな地獄のような日々とも昨日でお別れ。ようやくすべての原稿を入稿し終えて、今日は久しぶりにゆったりとした気持ちで朝を迎えました。あっ、そうそう、忘れるところでした。みなさん、明けましておめでとう。あいさつがまだでしたね。いつもサボりがちですが、今年も懲りずにおつきあいくださいな。

トランペット奏者の変遷をたどるときに避けて通れないのが、アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズ(以下、JM と略す)です。ブレイキーのもとには、のちに大物になったラッパ吹きが多数去来して、「ハードバップ・スクール」とでもいうべき様相を呈していました。校長はもちろんアート・ブレイキー(Arhur Blakey)。後にイスラム教に改宗して、Abdullah Ibn Buhaina を名乗ります。1919年10月11日、ペンシルヴァニア州ピッツバーグ生まれ。1990年10月16日、ニューヨーク州ニューヨークで死去しました。

ブレイキーは、ドラマー人生のほとんどを JM のリーダーとしてすごしましたが(そういう意味では、恵まれた人生でした)、この『バードランドの夜 Vol. 1』『同 Vol. 2』は、JM 結成前夜の模様をおさめた貴重なドキュメントです。

1954年2月に行われたこのライヴ、俗に「ハードバップ誕生の瞬間を記録した」作品といわれていますが、こういう評価は眉に唾をつけて聞いたほうがいい。たとえばマイルスは、早くも51年に『ディグ』を録音しているし、52年から54年にかけて行われた一連のブルーノート・レコーディングも(『マイルス・デイヴィス Vol.1』『同 Vol.2』)、まぎれもないハードバップの作品です。

にもかかわらず、この作品が「ハードバップ誕生の瞬間を記録した」といわれるのはなぜか。それは、熱狂的なライヴの興奮ということもさることながら、メロディアスなフレーズを連発するブラウニーに負うところが大きい。ここには、私たちが「ジャズ」という言葉を聞いて連想する音があります。リズムがあります。そして、興奮もつまっています。それは、それ以前のビバップから聞かれる音楽とは、似て非なるものでした。

ビバップが天才的な「個」のひらめきに頼った音楽だったのに対して、ハードバップは「集団」の音楽です。よくも悪くも、強烈な「個」の存在なしには成立し得なかったビバップは、ある意味、ミュージシャンに過度の緊張を強いる音楽でした。なにしろ毎日が殺るか殺られるかという殺伐とした世界です。ミュージシャンどうしの果たし合いは日常茶飯事、勝ち残った者だけがスポットライトをあびる戦国時代だったわけです。パーカーやパウエルといった破滅型のミュージシャンが多かったのも、彼らが受けていたプレッシャーを考えれば納得がいくというものです。

でも、乱世というのは、長続きしないんですね。ミュージシャンも聴衆も疲弊してしまうからです。そして、誰もがもっと安定した時代を求めるようになる。「個」の才能に左右された時代は終わりを遂げ、「集団」の安定や調和を志向するようになる。ハードバップがグループ表現に向かったのは必然だと思うのです。

もちろん、「個」から「集団」へ比重が移っていくと、グループの個々の構成員に求められる能力も変わります。瞬間的なひらめきよりも、周囲との協調性やハーモニー感覚が重視される。一発花火をドカンとあげればそれでおしまい、という刹那的な音楽から、時間的、空間的に広がりの感じられる音楽へ、メロディアスで親しみやすい演奏へと、変わっていったのです。

当然、ジャズのすそ野は広がりました。ビバップ時代には頭角を現すことができなかったような人に対しても、ハードバップの女神はほほえみを返してくれます。テクニックはないけれど、作曲の才能に恵まれている人、天才的なひらめきはないけれど、メロディ感覚にすぐれた人、そしてもちろん、そうした能力をすべてあわせもった奇跡的な天才、そういった人たちが、ハードバップの豊穣な世界を形作っていったのです。

当時はまだまだ珍しかったライヴ録音が行われたのは、名門バードランド。バードといえば、ビバップの生みの親チャーリー・パーカーというわけで、パーカーにちなんで名づけられたこのクラブは、ビバップの本場52番街のほど近く、ブロードウェイにありました(現在は移転して、315 West 44th Street にあります)。

別名「ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド」という大仰な名前でも知られるこのクラブを有名にしたのは、ジョージ・シアリング作〈バードランドの子守唄〉だけではありません(この曲を歌ったクリス・コナーの『バードランドの子守唄』は傑作です)。名物司会者ピー・ウィー・マーケットの甲高い声を聞けば、「ああ、あの声か」とピンとくる人も少なくないはず。なにしろ小人の彼がくりだす耳障りな「声」は、サンプリング・ネタとして今でも立派に「現役」なのですから。

ピー・ウィーの声で幕を開ける『バードランドの夜』には、まぎれもない天才なのに、誰からも愛される親しみやすさをあわせもった奇跡の人、クリフォード・ブラウンがいます。60年代初頭のファンキー時代を牽引した2人の立役者、アート・ブレイキーと、ホレス・シルバーがいます。そして、ふだんは少々おつむがたりない(失礼!)ルー・ドナルドソンも、場の雰囲気に呑まれたか、キリッと引き締まった演奏を聞かせます。「ハードバップ誕生」云々は別にして、これはやっぱり傑作だ〜!

ちなみに、この2枚の12インチ盤のLP(1500シリーズ)は、もともと10インチ時代(5000シリーズ)に3枚のアルバム(5037-39)としてリリースされたものを、2枚のアルバムに編集し直したものです。輸入盤のジャケットは、この10インチ時代の作品からとっています(中身は同じですが、ボーナストラックがいくつか入っています)。

 

 

Art Blakey "A Night At Birdland, Vol. 1"
(Blue Note BLP-1521)
Art Blakey "A Night At Birdland, Vol. 2"
(Blue Note BLP-1522)

Clifford Brown (trumpet)
Lou Donaldson (alto sax)
Horace Silver (piano)
Curly Russell (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at Birdland, NYC; February 21, 1954

[Tracks: Vol. 1] Art Blakey - A Night At Birdland, Vol.1
01. Split Kick (music: Horace Silver)
02. Once In A While (music: Michael Edwards / words: Bud Green)
03. Quicksilver (music: Horace Silver)
04. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
05. Mayreh (music: Horace Silver)

[Tracks: Vol. 2] Art Blakey Quartet - A Night At Birdland, Vol.2
01. Wee-Dot (J.J. Johnson, Leo Parker)
02. If I Had You (music+words: Ted Shapiro, James Campbell, Reg Connelly)
03. Quicksilver [alt.] (music: Horace Silver)
04. Now's The Time (music: Charlie Parker)
05. Confirmation (music: Charlie Parker)

[Links: Clifford Brown]
I Remember Clifford: The Clifford Brown Discography
Clifford Brown Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Lou Donaldson]
Lou Donaldson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Horace Silver]
Horace Silver Tribute and Discography (@ Hardbop Homepage)
Horace Silver Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Official Art Blakey Website
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年11月26日

キャノンボール・アダレイ『サムシン・エルス』

somethinelse.jpg Cannonball Adderley - Somethin' Else

シャンソン生まれの名曲〈枯葉〉(原題は Les Feuilles Mortes)は、その印象的な旋律ゆえ、多くのジャズメンのレパートリーともなっています。ジョゼフ・コスマ作曲のバレエ曲〈ランデヴー〉に、詩人兼脚本家ジャック・プレヴェールが詞をつけて、1946年の映画『夜の門(LES PORTES LA NUIT)』で、イヴ・モンタンが歌ってヒットしました(監督はマルセル・カルネ)。ジョニー・マーサーが英語詞をつけたのが1950年。52年に、ナット・キング・コールが歌ってから、アメリカでもポピュラー・ソングの仲間入りを果たしました。

ジャズの決定的名演はいくつもありますが、さしずめキャノンボール・アダレイの『サムシン・エルス』、ビル・エヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』、サラ・ヴォーンの『枯葉』あたりが三大名演名唱といえるでしょうか。

さて、この『サムシン・エルス』。キャノンボールの作品だとクレジットされていますが、実質的なリーダーはマイルスです。それは演奏を聞けばわかります。いつものように、いちばんおいしいところは、全部マイルスがもっていっちゃうわけです(笑)。自分だけにスポットライトが当たるように計算しつくされたアレンジ。こういう気恥ずかしいことをやってサマになるのは、やっぱりマイルスをおいて他にはいません。

ところが、このアレンジ。実はマイルスの独創ではなくて、元ネタがいます。当時、マイルスはシカゴのピアニスト、アーマッド・ジャマルに心酔していて、彼の演奏する〈枯葉〉のアレンジをそのまんま拝借したというのは、有名な話です。

ただ、私はジャマルが弾く〈枯葉〉を聞いたことがないので、正確なことはわかりません。気になる人は、『ポートフォリオ・オブ・アーマッド・ジャマル』とか、『The Legendary Okeh and Epic Recordings』で確認してください。

それはさておき、この『サムシン・エルス』には、心あたたまる逸話が残されています。マイルスが重度のジャンキーで演奏もままならなかったころ、救いの手を差し伸べたのが、ブルーノートのプロデューサー、アルフレッド・ライオンでした。2人は「1年に1度のレコーディング」を約束し、52年、53年、54年とその約束を忠実に果たしていきます。その時代の記録が『マイルス・デイヴィス Vol. 1』であり、『マイルス・デイヴィス Vol. 2』なわけです。

ところが、マイルスが55年に大手コロンビアと契約したため、この約束が途絶えてしまいます。しかし、マイルスは忘れていなかった。意外と義理堅いところもあるんです、マイルスは。コロンビアとの契約の関係で、リーダーは別人を立てるしかありませんでしたが、久々に古巣ブルーノートで録音します。それも、とびっきりの名曲をひっさげて。

ブルーノートの倉庫に残されたマスターテープの箱には、アルフレッドの字で大きく「Miles」と書かれていたそうです。彼にとっては紛れもなく「マイルスのセッション」だったのでしょう。2人の友情に乾杯!

 

Cannonball Adderley "Somethin' Else"
(Blue Note BLP 1595)

Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderley (alto sax)
Hank Jones (piano)
Sam Jones (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; March 9, 1958

[Tracks] Cannonball Adderley - Somethin' Else
01. Autumn Leaves (music: Joseph Kosma / words: Jacques Prevert, Johnny Mercer)
02. Love For Sale (music+words: Cole Porter)
03. Somethin' Else (music: Miles Davis)
04. One For Daddy-O (music: Nat Adderley)
05. Dancing In The Dark (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年10月28日

リー・モーガン『キャンディ』

candy.jpg Lee Morgan - Candy

トランペットのワン・ホーン作品、まだまだいきます。永遠のやんちゃ坊主、リー・モーガンの登場です。本名は、エドワード・リー・モーガン(Edward Lee Morgan)。1938年7月10日、ペンシルヴァニア州フィラデルフィア生まれ。1972年2月19日、ニューヨーク州ニューヨークで射殺されました。

いかにもアメリカを思わせる極彩色の瓶詰めキャンディをあえてモノクロにして(単なる予算の関係でしょうが)、そこにとぼけた顔のモーガンの写真をあしらった『キャンディ』。デビュー1周年にして、早くも通算7枚目のリーダー作、しかも生涯唯一のワン・ホーン作品となっています。

リー・モーガンのトランペットは、キレがいい。音の輪郭がクッキリしていて、いかにも金管楽器の音がします。こういう音色は、高速でアグレッシヴな曲を演るときは有利ですが、ミディアムからスロー・テンポの曲を吹くときは、ごまかしが効かない分、実はむずかしいんじゃないかと感じています。

たとえばアート・ファーマーは、音がまわりの空気にじんわりと浸透して、「磁場」のようなものを形作るので、1つの音から受ける情報量が多い気がします。聞こえていないはずの音が聞こえるというか、微妙なヒダまで(勝手に)感じ取ってしまうというか。だから、ファーマーのような雰囲気で聞かせるペット奏者は、スロー・バラッドにめっぽう強い。

それに対して、モーガンのトランペットは1音1音がはっきり分離していて聞き取りやすいので、誰と共演しても目立ちます。パーティに欠かせない盛り上げ役で、何しろ「華」がある。めちゃくちゃカッコイイわけです。だから、彼がゆったりとした曲を演奏しても、「場」や「雰囲気」といったあいまいなものではなく、音そのもの、音の連なり、メロディーに耳がいきます。これはある意味、辛いわけです。なんとなくお茶を濁すなんてことはできなくて、音楽そのもので勝負しなくちゃ、聞く人は満足できないからです。

ワン・ホーン・カルテットというのは、そういう意味で、ごまかしの効かない怖いフォーマットでもあります。で、結果はどう出たか。リー・モーガンは見事に勝利しました。どの曲にも真正面から取り組んで、完全に自分のものにしています。選曲は渋いですが、演奏は渋くならないモーガンの、非常にいい面が出た傑作となっています。彼が「早熟の天才」と呼ばれたのには、ちゃんと理由があったんですね(なにしろ、この録音当時、まだ若干19歳なのですから!)。

選曲は、ジミー・ヒースの〈C.T.A.〉を除いて、歌ものからのセレクションなんですが、渋いですねえ。インスト物ではほとんど聞かないナンバーばかりです。でも、だから、〈キャンディ〉といえばリー・モーガン、ということになったのかもしれませんね。この愛くるしい曲は、リー少年(笑)にしか吹きこなせません。

ほかには、ナット・キング・コールが甘い歌声で迫る『アフター・ミッドナイト』のボーナス・トラックと、ゲッツやマリガン、ハリー・スウィーツ・エディソンらがジャムった『ジャズ・ジャイアンツ '58』というアルバムがありますが、やっぱりモーガンのほうが、一枚も二枚も上手です。

シナトラ主演の映画『抱擁(The Joker Is Wild)』の主題歌〈オール・ザ・ウェイ〉は、同じ年(1957年)のアカデミー主題歌賞をとっていますが(こちらのサイトから Legacy → Past Winners と進めば、過去の受賞者などを検索できます)、これもインストで演奏されることはめったにありません。ハービー・ニコルズ(『ラヴ・グルーム・キャッシュ・ラヴ』に収録)に、マル・ウォルドロン(『インプレッションズ』に収録)とくれば、かなりクセのある人たちですから、モーガンの演奏を聞いてからこれらのアルバムを聞くと、彼らがいかにユニークな存在か、わかる仕組みになっています(マルなんて、原曲がほとんど認識できないくらいです。スゴイ!)。

 

Lee Morgan "Candy"
(Blue Note BLP 1590)

Lee Morgan (trumpet)
Sonny Clark (piano)
Doug Watkins (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; November 18, 1957, February 2, 1958

[Tracks] Lee Morgan - Candy
01. Candy (music: Mack David, Joan Whitney, Alex Kramer)
02. Since I Fell For You (music: Buddy W. Johnson)
03. C.T.A. (music: Jimmy Heath)
04. All The Way (music: Jimmy Van Heusen / words: Sammy Cahn)
05. Who Do You Love I Hope (music+words: Irving Berlin)
06. Personality (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Burke)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sonny Clark]
SONNY CLARK: a discography with cover photos (by Atushi acchan Ueda)
Sonny Clark (by Lee Bloom, Michael Waters)
Sonny Clark Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)

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2005年09月13日

ドナルド・バード『バード・イン・フライト』

byrdinflight.jpg

2管が主流のハードバップ時代は、トランペット奏者にとって幸福な時代でした。輝かしい音色で場を盛り上げる彼らは、ハードバップになくてはならない存在です。名門ブルーノートにあってその役を担ったのは、リー・モーガンとドナルド・バードの2人。当時のブルーノートのアルバムを順番に聞いていくと、この2人が才能あふれる新人として、いかに重用されていたかがわかります。

この『バード・イン・フライト』は、バードのブルーノート4作目。エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーの自宅スタジオで、毎週のように生み出されていた典型的なブルーノートのアルバムです。こういう質の高い作品が、当たり前のようにゴロゴロしているのが、ブルーノートの魅力といえば魅力ですね。

1、3、4曲目がテナーのハンク・モブレイ、2、5、6曲目がアルトのジャッキー・マクリーンとのセッションです。

1曲目〈ガーナ〉は生まれたばかりの黒人国家ガーナに贈られた歓喜と情熱の名演です(1957年にイギリスからサハラ砂漠以南のアフリカではじめて独立を勝ちとり、60年に共和国になりました)。同時期のマクリーンのアルバム『ジャッキーズ・バッグ』にも〈アポイントメント・イン・ガーナ〉という血が沸き立つような傑作があります。

作曲センスも光るリリカルなピアニスト、デューク・ピアソン作の〈ゲイト・シティ〉は、ピアソンのデビュー作『プロフィール』でも演奏されていました。

でも、このアルバムでいちばん好きなのは、同じピアソンのオリジナル〈マイ・ガール・シャール〉です。ハミングバード(はちどり)にもたとえられるバードの軽やかなペット、独特の憂いを帯びたマクリーンのアルトに、これほどふさわしい曲もありません。この名曲は、バードのライヴの傑作『ハーフノートのドナルド・バード』にも収められています(ただし、相方はバリトンのペッパー・アダムス)。

 

Donald Byrd "Byrd In Flight"
(Blue Note BLP 4048 / BST 84048)

Donald Byrd (trumpet)
Jackie McLean (alto sax) #2, 5, 6
Hank Mobley (tenor sax) #1, 3, 4
Duke Pearson (piano)
Doug Watkins (bass) #1, 3, 4
Reggie Workman (bass) #2, 5, 6
Lex Humphries (ds)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; Jan 17 (#3), 25 (#1, 4), Jul 10 (#2, 5, 6), 1960

[Tracks] 
01. Ghana (music: Donald Byrd)
02. Little Girl Blue (aka. Little Girl Blue) (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
03. Gate City (music: Duke Pearson)
04. Lex (music: Donald Byrd)
05. Bo (music: Duke Pearson)
06. My Girl Shirl (music: Duke Pearson)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jackie McLean]
Jackie McLean (@ ジャズの酒蔵)
Bluesnik: Jackie McLean (by Masaki Nakano)
So McLEAN (総まくりーん) (by F-red bill)
Jackie McLean Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Duke Pearson]
Duke Pearson Discography (by Michael Fitzgerald)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)
[Links: Reggie Workman]
Reggie Workman's BassScanz (Official Website)
The Reggie Workman Discography (by Rick Lopez)
[Links: Lex Humphries]
Lex Humphries (by Vincent Bessieres)

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2005年09月02日

『ヒア・カムズ・ルイ・スミス』

herecomeslouissmith.jpg 

ハーヴァード出の秀才トム・ウィルソンがシカゴにトランジション(アルバムリストはこちら)を興したのが1954年。当時としてはきわめて珍しい黒人のプロデューサーだった彼は、ドナルド・バードやセシル・テイラーのデビュー作をものにするなど、ジャズ・ファンの記憶に残る仕事をしましたが、57年にあえなく倒産。彼はその後、サヴォイ、ユナイテッド・アーティスツ、オーディオ・フィデリティといったレーベルを経て、コロンビアで大輪の花を咲かせます。

レーベル倒産の割を食った格好となったのが、ルイ・スミスです。1931年5月20日、テネシー州メンフィス生まれ。同じトランペットのブッカー・リトルとはいとこ同士です。

録音も済み、カタログ番号も決まっていながら、出せない。そんな窮状を聞きつけたブルーノートのプロデューサー、アルフレッド・ライオンは音源そのものを買い取り、ブルーノートの作品として発売します。アルフレッド在任中のブルーノートにあって、このアルバムだけプロデューサー名が違うのは、そんなわけです。録音エンジニアは、ブルーノートでもおなじみの RVG(ルディ・ヴァン・ゲルダー)。でもどこか、いつものブルーノート・サウンドと違うのは、やはりプロデューサーの個性によるものなのでしょうか。

ブルーノートの諸作はよくつくり込まれたカッチリとした印象で、よくいえば端正、悪くいえば遊びがない。ところが、トム・ウィルソン制作の『ヒア・カムズ・ルイ・スミス』は、いい意味で「ゆるい」んですね。大雑把というか。そこにかえって私なんかはジャズっぽさを感じてしまうのですが、まあこれは完全に個人の趣味の問題ですね。

冒頭の〈トリビュート・トゥ・ブラウニー〉という曲が物語るように、ルイ・スミスのトランペットはクリフォード・ブラウン直系のブリリアントな音色が特徴です。明るく力強いトランペット・サウンドは、ハードバップの演奏に欠かせません。

いとこのブッカー・リトルと比べると、その差は歴然です。マイナー調の曲で真価を発揮するリトルの陰影のあるペットは、やはり典型的なハードバップとはそぐわない。暗い時代の暗い音楽というと救いがないですが、リトルが頭角を現すには、やはり60年代を待たなければなりませんでした。

そして、ルイ・スミスが60年代になって音楽活動の一線から身を引いたのも、同じ理由からだろうと思います。時代は明るいだけのペットを必要としなかった。でも、幸運なことに、彼にはもうひとつ、すぐれた資質がありました。音楽を教える才能です。おおらかでやさしく、落ち着いた物腰のスミスは、自分が自分がと前に出るタイプではなく、若い人をサポートすることに情熱を傾けるタイプでした。だから、音楽教師という天職を得て、それに熱中することができたのです。

もうひとつ、このアルバムで聞きものは、エマーシーとの専属契約の関係で、「バックショット・ラ・ファンク」という珍名で参加しているキャノンボール・アダレイの演奏です。けっこうキテます。

 

"Here Comes Louis Smith"
(Blue Note BLP-1584)

Louis Smith (trumpet)
Cannonball Adderley (alto sax)
Duke Jordan (piano) #1, 2, 5)
Tommy Flanagan (piano) #3, 4, 6
Doug Watkins (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Tom Wilson
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; Feb 2 (#1, 2, 5), 4 (#3, 4, 6), 1957 (58?)

[Tracks] 
01. Tribute To Brownie (music: Duke Pearson)
02. Brill's Blues (music: Louis Smith)
03. Ande (music: Louis Smith)
04. Stardust (music: Hoagy Carmichael / words: Mitchell Parish)
05. South Side (music: Louis Smith)
06. Val's Blues (music: Louis Smith)

[Links: Duke Jordan]
Duke Jordan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent Bessieres)

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2005年05月25日

デクスター・ゴードン『アワ・マン・イン・パリ』

ourmaninparis.jpg Dexter Gordon - Our Man In Paris

キースのソロ・ピアノばかり聞いていたら、無性に男臭いジャズ、なかでもテナーの豪快なブロウが聞きたくなって取り出したのが、この1枚。私の大好きなデクスター・ゴードンの『アワ・マン・イン・パリ』です。

デックスこと、デクスター・ゴードン。1923年2月27日、カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。1990年4月25日、ペンシルヴァニア州フィラデルフィアで死去。「ロング・トール・デクスター」というあだ名もあるように、デックスは身長 195 センチの大男。しかも顔までタテ長(馬ヅラ?)ときています。その大男がサックスを吹くとどうなるか。

まず、音が分厚い。テナー本来のブリッ、ブーッという低音もさることながら、高音を続けざまに吹くときでも、どこかの誰かと違ってか細いペラペラな音にはなりません。どこまでも力強く、男性的なテナー・サウンドを楽しませてくれます。

雄大な大地を思わせるおおらかな響きも、デックスならではの持ち味です。絶品のバラードはもちろん、かなりアップテンポな曲を吹くときでも、独特のおおらかさが失われないのは、彼の極端な後ノリ感覚が原因です。音を出すタイミングが、人よりかなり遅い。これ以上遅いと、ちょっと「ノリ遅れ」ちゃうんじゃないか、というギリギリのところで吹くから、スピードをあんまり感じさせないんですね。

先、先へとつんのめるアグレッシヴなタイプもいいですが、露払いは下々の者にまかせて、自分は最後に登場するデックスのようなサウンドもいいものです。「いよっ、待ってました」のかけ声が似合う、スケールの大きなサウンド。それがデックスのテナーのおいしいところです。

このアルバムには、アメリカでの生活に嫌気が差したデックスが(ドラッグでの逮捕暦が影響して、クラブなどで演奏するための必需品「キャバレー・カード」が入手できなかったことも原因だといいます)、渡欧後パリで10年ぶりに再会した旧友バド・パウエルと行ったセッションが収録されています。

「パリ」「パウエル」「デックス」とくれば、勘のいい方ならすぐに思い浮かぶのが、映画『ラウンド・ミッドナイト』。度重なる人種差別が原因でパリに移り住んだパウエルを献身的に支えた一ジャズ・ファンのフランシス・ポードラ。彼が書き残した『Dance of the Infidels: A Portrait of Bud Powell』の感動的なストーリーを下敷きに、白人女性と結婚したばっかりに軍隊で袋叩きにあったというレスター・ヤングのエピソードなどを織り交ぜてつくられたこの映画の主役は、デックス扮するテナー奏者デイル・ターナーでした。

自身も似たような経歴をたどったデックスは、とても演技とは思えないようなハマリぶりで、アカデミー賞にノミネートもされました(ホント、いい映画です。まだ観ていない方はぜひ)。

そうそう、このアルバムにベースで参加しているピエール・ミシュロ(発音あってますか?)は、映画「ラウンド・ミッドナイト」にも出ています。こんなところにも接点があったんですね。

 

Dexter Gordon "Our Man In Paris"
(Blue Note BLP-4146/BST-84146)

Dexter Gordon (tenor sax)
Bud Powell (piano)
Pierre Michelot (bass)
Kenny Clarke (drums)

Recorded by Claude Ermelin
Recorded at CBS Studios, Paris; May 23, 1963

[Tracks] Dexter Gordon - Our Man In Paris
01. Scrapple From The Apple (music: Charlie Parker)
02. Willow Weep For Me (music+words: Ann Ronell)
03. Broadway (music+words: Henry Woode, Teddy McRae, Bill Byrd)
04. Stairway To The Stars (music: Matty Malneck, Frank Signorelli / words: Mitchell Parish)
05. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)

[Links: Dexter Gordon]
Long Tall Dexter: デクスター・ゴードン特集 (@ Big-M's Jazz Page)
Dexter Gordon Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Bud Powell]
Bud Powell Jazz (by Carl Smith)
Bud Powell Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年03月31日

ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』

anightatvillgevanguard.jpg Sonny Rollins - A Night At the Village Vanguard

エヴァンス&ラファロに敬意を表して、今日から「ヴィレッジ・ヴァンガード特集」を組みます。ジャズメンなら誰もが憧れるジャズの聖地。歴史に名を残す巨人たちの決定的瞬間を刻みつづけてきた名門クラブ。今年70周年を迎えたヴィレッジ・ヴァンガードは、ニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジの 178 セヴンス・アベニュー・サウスの地下にあります(オフィシャル・サイトの GALLERY をのぞくと、ヴィレッジ・ヴァンガードで録音された名盤の数々を確認できます)。

初代オーナーはマックス・ゴードン。マックス亡きあとは、ロレイン夫人が取り仕切っています。このロレイン夫人、実は、ブルーノートの創業者アルフレッド・ライオンの最初の奥さんで、当時はレーベルの広報担当をしていました。彼女の尽力で実現したのが、クラブ初のライヴ・レコーディングとなるこの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』です。テナー・タイタン、ソニー・ロリンズの最初のライヴ作品でもあります。

ソニー・ロリンズ。本名は、Theodore Walter Rollins。1930年9月7日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。御年75歳にしてバリバリの現役、最後のジャイアンツです。

アドリブの鬼、ロリンズだからこそ許されるピアノレス・トリオ(サックス+ベース+ドラムスからなるトリオのこと)。ピアノが抜けた分、演奏の自由度は飛躍的に増しますが、ふつうのサックス奏者だと間がもたない。諸刃の剣でもあるわけです。泉のごとく次から次へと湧きでるフレーズがあって、はじめてサマになる形態で、ロリンズは水を得た魚のように、楽しげに泳ぎまわります。

そう、いつも楽しげなんです、ロリンズは。お気に入りのフレーズ(ロリンズ節ともいう)を散りばめながら、余裕たっぷりに吹きまくるロリンズは、まさにアドリブの鬼なんですが、その鬼の顔はまったく怖くありません。むしろ笑っています。「ひょっとして、ちょっとたりない?」と聞きたくなるくらいです。このノーテンキな感じが、個人的にはどうしてもロリンズを好きになれない理由なのですが、本人はいたって真面目で、何度も挫折をくりかえすセンシティヴな神経の持ち主だったりします。

録音は午後と夜の2セットで行われます。午後はリハーサルですね。そして、ここがアルフレッドのすごいところだと思うのですが、リハーサルと本番でベースとドラムスをかえてしまうんです。ライヴであっても妥協しない、アルフレッドのこのこだわりが、ブルーノートのクオリティを保証しているんです。だから、例によって、このライヴも2枚組のコンプリート盤が出ていますが、私はよけいなオマケのないオリジナル仕様の作品性を高く評価します(ここらへんの議論は、中山康樹さんの本を読むとわかるるはずです。集英社新書『超ブルーノート入門:ジャズの究極・1500番台のすすめ』などをどうぞ)。

 

Sonny Rollins "A Night At The Village Vanguard"
(Blue Note BLP-1581)

Sonny Rollins (tenor sax)
Wilbur Ware (bass) except #5
Donald Bailey (bass) #5
Elvin Jones (drums) except #5
Pete LaRoca (drums) #5

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Village Vanguard, NYC; November 3, 1957

[Tracks] Sonny Rollins - A Night At the Village Vanguard
01. Old Devil Moon (music: Burton Lane / words: Edgar Y. Harburg)
02. Softly, As In A Morning Sunrise (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
03. Striver's Row (music: Sonny Rollins)
04. Sonnymoon For Two (music: Sonny Rollins)
05. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
06. I Can't Get Started (music: Vernon Duke / words: Ira Gershwin)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Elvin Jones]
Elvin Jones (Official Website)

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2005年03月09日

ジムー・スミス『ミッドナイト・スペシャル』

midnightspecial.jpg 

かのマイルス・デイヴィスがデビューまもないジミー・スミスを称して、「こいつは金になるぜ」とアルフレッド・ライオンにささやいたという話がまことしやかに伝えられていますが、その真偽は別として、スミスはまさに「金のなる木」として、ブルーノートになくてはならない存在でした。

2色刷りが当たり前だった当時のブルーノートのジャケットにあって、フルカラー+屋外撮影というスミスの諸作はきわだっています。それもそのはず、この『ミッドナイト・スペシャル』は、ブルーノート初のポップ・チャート入りを果たした作品なのです。全米ポップ・アルバム・チャート28位。シングルカットされた〈ミッドナイト・スペシャル〉も69位にランクイン。

「深夜特急」と題されたこの曲の、えもいわれぬ浮遊感はどうでしょう! レイジーでダルな、どこまでも脱力系の粘っこさ。黒いねえ。真っ黒です。スタンリー・タレンティンの参加もうれしいです。ただ、バレルのギターがあんまり聞こえません(笑)。バッキングに徹したバレルも好きなんですけどね。3曲目〈ジャンピン・ザ・ブルース〉もいいねえ。ノリノリです。

 

Jimmy Smith "Midnight Special"
(Blue Note BLP-4078/BST-84078)

Stanley Turrentine (tenor sax)
Jimmy Smith (organ)
Kenny Burrell (guitar)
Donald Bailey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 25, 1960

[Tracks] 
01. Midnight Special (music: Jimmy Smith)
02. A Subtle One (music: Stanley Turrentine)
03. Jumpin' The Blues (music: McShann, Parker, Brown)
04. Why Was I Born (music: Jerome Kern / words: Oscar Hammerstein II)
05. One O'Clock Jump (music: Count Basie)

[Links: Stanley Turrentine]
Stanley Turrentine Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Smith]
The Incredible Jimmy Smith

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2005年03月08日

ジミー・スミス『クレイジー・ベイビー』

crazybaby.jpg

ちょっと前の話ですが、訃報です。ジャズ界きってのファンキー親父ジミー・スミスが、去る2月8日にアリゾナ州の自宅で亡くなりました。1928年12月8日、ペンシルヴァニア州ノリスタウン生まれ。ホラ吹き親父ジミー・スミスらしく、25年生まれ説、30年生まれ説などがあるようです(笑)。

ジャズ・オルガンのパイオニアにして、あまたのエピゴーネンを生んで1960年代のソウルジャズ・ブームを牽引したスミスの死。というわけで、今週は急きょ「ジミー・スミス追悼特集」に切り替えます(「アルトサックス列伝」は次週以降に再開する予定です)。

ハモンド B3 オルガン。この楽器の名前を聞くと、私の脳裏には、ジミー・スミスがタップダンスのように足を踊らせながら鍵盤に向かっている姿が思い浮かびます(本人を見たことはありません。あくまで想像上の姿です)。フットペダルでベースラインを、左右の手でコードとメロディーラインを同時につま弾くスミスはまさに「一人オーケストラ」。ここまでそろえば、他のメンバーはいらないと思うのは素人で、オルガン+ギター+ドラムス(+時にはサックス)というベストな取り合わせを考えたのもスミスでした。

このブログで、創業者にしてプロデューサーのアルフレッド・ライオンが率いていた頃のブルーノートを取り上げるのは今回がはじめてですが、最初に紹介するのがジミー・スミスというのは、しごくまっとうな選択でしょう? ブルーノートの1500番台、4000番台でリーダー作が最も多いのはスミスだし、彼がいなければブルーノートは経営的に失敗していたでしょう。だから、ブルーノートの数多い名盤を聞くことができるのは、スミスのおかげともいえるわけです。

そういうと、「売らんかな」の商業主義じゃないかとの批判が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。アルフレッドはスミスのレコーディングを決めたとき、こういってはしゃいでいたそうです(中山康樹『超ブルーノート入門完結編』より引用。めちゃオモロイ本ですよ)。

これからはずっとジミーといっしょにツアーをしながらブルーノートのレコードを売る。そうすればいつでもジミーを聴けるからね。

それくらい、スミスの音楽は衝撃的だった。インクレディブル(= ウソでしょ? マジ? 超スゲエじゃん!)だったわけです。

クレイジー・ベイビー』あたりから、スミスはハードでシリアスなジャズ路線から、黒人のマーケットを意識した、よりファンキーで聞きやすい路線へとシフトします。むずかしいジャズからソウルフルでわかりやすいノリへ。そのあたりのニュアンスは「インクレディブル」と「クレイジー」の語感の違いにも現れている気がします。だって、〈ホエン・ジョニー・カムズ・マーチング・ホーム〉ですよ。たまりませんねえ、まったく。

 

Jimmy Smith "Crazy! Baby"
(Blue Note BLP-4030/BST-84030)

Jimmy Smith (organ)
Quentin Warren (guitar)
Donald Bailey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; January 4, 1960

[Tracks] 
01. When Johnny Comes Marching Home (music: Louis Lambert)
02. Makin' Whoopee (music: Walter Donaldson / words: Gus Kahn)
03. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
04. Sonnymoon For Two (music: Sonny Rollins)
05. Mack The Knife (music: Kurt Weill / words: Bertolt Brecht, Marc Blitzstein)
06. What's New (music: Bob Haggart / words: Johnny Burke)
07. Alfredo (music: Jimmy Smith)

[Links: Jimmy Smith]
The Incredible Jimmy Smith

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posted by ユキヒロ at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | Blue Note | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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