2007年12月12日

秋吉敏子『ザ・トシコ・トリオ』

The Toshiko Trio.jpg

今日はわれらが日本人の誇り、秋吉(穐吉)敏子さんの78歳の誕生日です。
秋吉さんは、1929年12月12日、中国東北部(当時満州)の遼陽で生まれました。終戦後、引き揚げ船で帰国した彼女は、別府の進駐軍向け「つるみダンスホール」で職を得て、見様見真似でジャズピアニストとしての生活をスタートさせます。
彼女がジャズに開眼したのは、テディ・ウィルソンが奏でる〈スウィート・ロレイン〉のレコードを聴いてから。以下は、自伝『ジャズと生きる』(岩波新書)からの引用です。

このレコードを聞いた瞬間から私の人生は変わった、といってもよいと思う。テディ・ウィルソンがアメリカでも最高のジャズ・ピアニストだということは、当時の私には知る由もなかったが、その端麗なピアノの音、そしてスケールをプレイするその流れは、一つ一つの音が同じサイズの真珠を並べたようで、こんなきれいな音楽がジャズなのか、と息のつまる思いがした。

17歳で福岡へ、18歳で東京へと活躍の場を移した彼女に転機が訪れたのは1953年。JATPツアーで来日していたオスカー・ピーターソンにその才能を見出され、彼の推薦で急遽レコーディングすることになったのです。
録音は当時、有楽町にあったラジオ東京(TBS)で行われました。オスカーのリズム・セクション(ギターのハーブ・エリス、ベースのレイ・ブラウン)にドラマーの J.C. ハードを加えて収録された『アメイジング・トシコ・アキヨシ』(原題は『トシコズ・ピアノ』)は、ノーマン・グランツのノーグラン・レコード(のちのヴァーヴ)から発売されました。

日本人の無名のミュージシャンが全米デビューを果たしたわけです。それだけでも驚きですが、彼女はその後、ボストンのバークリー音楽院への切符も手にします(日本人生徒第1号)。渡米自体が珍しかった当時、奨学金を得てアメリカで学ぶなんて夢のまた夢だったはずですが、彼女は強い意志でそれを実現します。まさにシンデレラ・ストーリー。

推薦盤『ザ・トシコ・トリオ』は、彼女がバークリー時代に残した2枚のストーリーヴィル盤のうちの1枚で、ニューポート・ジャズ・フェスティバルのプロモーター、ジョージ・ウィーンが制作しています(彼女のマネジメントも担当していたそうです)。
いくら日本人が物珍しかった時代とはいえ(彼女はちょっとした有名人で、番地も何もない「トシコ・アキヨシ、ボストン、マサチューセッツ州、USA」という日本からきた手紙が無事に配達されたとこともあったというエピソードが、先の自伝で紹介されています)、ノーマン・グランツにジョージ・ウィーンという大物2人を味方につけた彼女の実力を知るにはもってこいのアルバムです。

李香蘭の〈蘇州の夜〉を取り上げたことで知られていますが(この曲のみソロ演奏)、むしろ聴きものは、彼女の情趣あふれるオリジナルとパウエル・ライクなピアノ奏法にあります。
ポール・チェンバースにエド・シグペンという当代一流のプレーヤーをバックに、堂々たる弾きっぷりを聴かせる彼女に拍手! ハツラツとした演奏のなかに時折見せる繊細な響きは、日本人ならでは。イントロのうまさは特筆ものです。

 

Toshiko Akiyoshi "The Toshiko Trio"
(Storyville STLP 912)

Toshiko Akiyoshi (piano)
Paul Chambers (bass)
Ed Thigpen (drums)

Produced by George Wein
Recorded in NYC; summer 1956

[Tracks]
01. Between Me And Myself Toshiko Akiyoshi (music)
02. It Could Happen To You Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Burke (lyrics)
03. 郷愁 (Nostalgia) Toshiko Akiyoshi (music)
04. Homework Toshiko Akiyoshi (music)
05. Manhattan Address Toshiko Akiyoshi (music)
06. Sunday Afternoon Toshiko Akiyoshi (music)
07. Blues For Toshiko Toshiko Akiyoshi (music)
08. 蘇州の夜 仁木他喜雄 (music) / 西條八十 (lyrics)
09. Softly, As In A Morning Sunrise Sigmund Romberg (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)

[Links: Toshiko Akiyoshi]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Paul Chambers]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Ed Thigpen]
Ed Thigpen (Official Site)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

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posted by ユキヒロ at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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