2007年04月23日

マイルス・デイヴィス『マイルス・イン・トーキョー』

miles_intokyo.jpg

フリーでアヴァンギャルドなリズム感覚をもった神童トニーと伝統的なコード演奏を好んだサックス奏者ジョージ・コールマン。この2人は反りが合わなかったようで、コールマンがバンドを去るのは時間の問題でした。

ウェイン・ショーターの評伝『フットプリンツ』には、トニーやハービーらとコールマンの間に確執があったことをうかがわせるエピソードが載っています(訳は新井崇嗣さん)。

ジョージと他のメンバーとの間には、それからかなりあとになってもまだ憎しみの感情が残っていたという事実を示す逸話を、複数のミュージシャンが語ってくれた。ヴィレッジ・ヴァンガードで記念パーティが開かれた際、ハービー、ロン、トニーはトリオを再結成した。すると、バックステージにジョージ・コールマンがホーンを手に現れた。旧交を温め合おうと言うジョージに対して、ハービーの返事はひと言「あり得ないね」だった。普段のハービーの性格からはとても考えられないほど、冷たい態度だったという。

こうなると、純粋に音楽的な理由だけではなさそうですね。もしかしたら、『フォア&モア』のチャリティ・コンサートでのケンカ(「追記」に書いておきました)が遠因なのかもしれません。

コールマンの後任には、トニーの推薦で前衛派のサム・リヴァースが迎えられました。前衛派といっても、リヴァースはこのとき41歳。リーダーのマイルスよりも年上なんですね。

70年代ロフト・ジャズ・ムーヴメントの立役者の一人サム・リヴァース。1923年9月25日、オクラホマ州エル・レノ生まれ。1947年からマサチューセッツ州ボストンを拠点に活動し、1959年には当時ボストンにいた13歳のトニーを「発見」します。以来、父親代わりの存在になって、トニーを育てます。

そんな浅からぬ縁でマイルス・バンドに加わったリヴァースですが、彼が残した公式盤は、この『マイルス・イン・トーキョー』1枚だけ。かわいそうに、すぐにウェイン・ショーターに取って代わられる運命にあります。

1964年7月、マイルス・デイヴィスは初来日を果たします。ツアーの詳細はわかりませんが、音源が残っているのは、7月12日の日比谷野外音楽堂。1日おいて14日に、新宿の厚生年金会館。翌15日は、京都の八坂神社の裏にある円山公園野外音楽堂。このうち『イン・トーキョー』は厚生年金会館でのライヴです。

音楽性がかみ合なかったといわれるサム・リヴァースですが、実際のところはどうなんでしょう? 

3曲目〈ソー・ホワット〉。出だしはいつものマイルスです。もちろんフロントは独り占め。一瞬の静寂を切り裂く、鋭い音色ですね。開始3分、ソロがリヴァースに受け渡されます。いきなり調子が変わりましたね(笑)。なにやらおかしなフレーズが飛び出してきました。さすがにトニーは手慣れたものですが、ハ―ビーはどうでしょう。つづく自分のソロの出だしで、やや躊躇するそぶりが見られます。

こうして聴いてみると、多少問題はあるにしても、「合わない」というほどではないですねえ。リヴァースの摩訶不思議系フレーズは、たしかにマイルスの好みではないのでしょうが、ハービーもトニーも、フリーにもっとも接近した時期だし、もしウェインがいなければ、しばらくはこのメンツで活動したのではないでしょうか。

  

Miles Davis "Miles In Tokyo"
(CBS/Sony SONX 60064/23AP 2564)

Miles Davis (trumpet)
Sam Rivers (tenor sax)
Herbie Hancock (piano)
Ron Carter (bass)
Tony Williams (drums)

Recorded by Kenichi Hanada
Recorded live at the Shinjuku Kohseinenkin Hall, Tokyo; July 14, 1964

[Tracks]
01. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics)
02. My Funny Valentine Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
03. So What Miles Davis (music)
04. Walkin' Richard Carpenter (music)
05. All Of You Cole Porter (music and lyrics)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sam Rivers]
Jazz Regend Sam Rivers (Official Website)
The Sam Rivers Sessionography and GIGography (by Rick Lopez)
[Links: Herbie Hancock]
Herbie Hancock: The Offcial Site (Official Website)
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: Ron Carter]
Jazz Basist Ron Carter Official Site
[Links: Tony Williams]
Tony Williams Discography (by ANTAIOS)

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posted by ユキヒロ at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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