2005年12月13日

マイルス・デイヴィス『イン・ア・サイレント・ウェイ』

inasilentway.jpg

マイルスはカッコいい。彼が演る音楽もカッコいいし、彼の生き様もカッコいい。そして、何より「顔」がカッコいいのです。絵になります。マイルスほど、自分の「顔」のカッコよさを自覚していたミュージシャンはいません。その強烈な自己顕示欲の現れとして、マイルスの作品には「顔」のドアップ写真を使ったものが異常に多い。

ラウンド・アバウト・ミッドナイト』でしょ、『カインド・オブ・ブルー』でしょ、『ネフェルティティ』でしょ、『ゲット・アップ・ウィズ・イット』でしょ、『デコイ』でしょ、そして、きわめつけは『TUTU』なわけです(文字なし、装飾なしのマイルスの顔だけで構成されたジャケットをデザインしたのは、日本人の石岡瑛子さん。1986年のグラミー賞で Best Album Package に輝きました)。

マイルスは節目節目で自分のドアップ写真の作品を生み出しています。セルフ・プロデュースに長けたマイルスのこと、パッケージ・デザインには人一倍うるさかったようで、実際,『マイルス・アヘッド』の白人女性路線を、『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』や『ソーサラー』の黒人女性路線に変更させたのは、マイルス本人だといいます。

今日紹介する『イン・ア・サイレント・ウェイ』も、暗闇に浮かぶマイルスの「顔」が印象的な作品です。背景も黒なら、衣装も黒、顔も黒ときて、白目だけがにぶい光を放って目に飛び込んできます。カッコいいっす、マジで。

で、音楽的にはどうなのか。1968年の『マイルス・イン・ザ・スカイ』以来、エレクトリック路線に舵を切ったマイルスの、早くも1つめの到達点が明らかになります。

執拗にくり返される一定のリズムに、ザヴィヌルのオルガンとチック&ハンコックのエレピ、ジョン・マクラフリンのギターが彩りをそえていきます。その上をあてどなく漂うマイルスのペット。形あるものとしての「曲」がほとんど消え去り、どこまでも続く宙ぶらりんの浮遊感に心がざわついてきます。出口のない迷路。デジャビュのように現れては消える反復音楽。この不思議な「反復感」は、プロデューサーのテオ・マセロによって、文字どおり「切り貼り」された結果ですが、このセンスある編集作業によって、この作品は魔術的な魅力をもつ作品になりました。流れてくる音楽にただただ身を委ねていれば、一種のトランス状態に入ることができます。

邦盤ライナーを書いているピータ・バラカンさんも「無人島に持っていく1枚」にあげています。いわく、「人生が変わるよ」だって(笑)。人生が変わるかどうかはわかりませんが、ジャズ初心者の今の若い人たちには、マイルス入門の1枚としておすすめです。

 

Miles Davis "In A Silent Way"
(Columbia CS 9875)

Miles Davis (trumpet)
Wayne Shorter (soprano sax)
Joe Zawinul (organ)
Chick Corea (electric piano)
Herbie Hancock (electric piano)
John McLaughlin (guitar)
Dave Holland (bass)
Tony Williams (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Stan Tonkel, Russ Payne
Recorded at Columbia Studio B, NYC; February 18, 1969

[Tracks]
01. Shhh 〜 Peaceful (music: Miles Davis)
02.In A Silent Way 〜 It's About That Time (music: Joe Zawinul) 〜 (music: Miles Davis)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Zawinul]
The Official Website of Joe Zawinul
Zawinul Online (by Curt Bianchi)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea - Official Website
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Herbie Hancock]
The Official Website of Herbie Hancock
Herbie Hancock Discography (by Christian Genzel)
[Links: John McLaughlin]
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Server
Meeting of the Sprits: Mahavishnu John McLaughlin Fan Page
[Links: Dave Holland]
Dave Holland (Official Website)
Dave Holland (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Tony Williams]
Tony Williams a few Collction (by ANTAIOS)
Tony Williams (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

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posted by ユキヒロ at 14:32| Comment(1) | TrackBack(0) | Columbia (Epic) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんはわーい(嬉しい顔)夜このアルバムはビッチェズ・ブリューより取っつきやすかった記憶があります。良く聴くとベースだけ真面目にこなしエレピとオルガンが無茶苦茶やらかしてるのが面白い。マイルスのソロが良いのは当然としてショーターのソプラノがエレキマイルスにフィットしてます。マクラフリンは後の彼をしる耳にはおとなしく聴こえますけど。長く聴ける一枚ですね。
Posted by ウッチー at 2012年01月06日 19:18
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