

引き続き、アニーの作曲者チャールズ・ストラウスのミュージカル『バイ・バイ・バーディー』より、〈ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ〉を。
パット・メセニーの純ジャズ作品『トリオ 99 → 00
ふつう、この展開だと期待するじゃないですか。特定のイメージと結びつかない抽象的なオリジナルの世界にあって、その片隅にそっと咲く一輪の花のように、具体的でたしかな何か。古くからあるスタンダード曲がもつ魅力というのは、親しみやすいメロディーに加えて、ある種の記憶とリンクしやすいところだと思うのですが、ここでは見事にそうした期待が裏切られます(笑)。
パットはなぜ、さほど有名ともいえないこの曲をとりあげたのでしょうか。ジョン・コルトレーンの〈ジャイアント・ステップス〉にしろ、ウェイン・ショーター〈カプリコーン〉にしろ、選曲の理由はなんとなくわかる気がします(あくまで想像ですが)。しかし、なぜ〈ア・ロット・オブ・リヴィン・トゥ・ドゥ〉なのか。私にはわかりませんでした。その曲に対する愛というか、思い入れというか、そういうのがダイレクトに伝わってこないんです。
私は楽器をやらないので情緒的な聴き方しかできませんが、パットのサラリとした音楽には、いつも、うまく感情移入できない自分を感じます。細かいところまで行き届いた、いつも清潔で新品同様の音楽。彼の作品につきまとう、よく作り込まれた商品パッケージのイメージは、私の心にある種のフィルターをつくってしまうようです。
いや、嫌いとかそういうわけじゃないですよ。でもジャズじゃないよね、やっぱり(ああ、言うてしもうた)。
Pat Metheny "Trio 99 → 00"
(Warner Bros. 9362 47632-2)
Pat Metheny (guitar)
Larry Grenadier (bass)
Bill Stewart (drums)
Produced by Pat Metheny
Co-Produced by Gil Goldstein, Stece Rodby
Recorded and Mixed by Rob Eaton
Recorded at Right Track Recording, NYC; August, 1999
[Tracks]

01. (Go) Get It Pat Metheny (music)
02. Giant Steps John Coltrane (music)
03. Just Like The Day Pat Metheny (music)
04. Soul Cowboy Pat Metheny (music)
05. The Sun In Montreal Pat Metheny (music)
06. Capricorn Wayne Shorter (music)
07. We Had A Sister Pat Metheny (music)
08. What Do You Want? Pat Metheny (music)
09. A Lot Of Livin' To Do Charles Strouse (music) / Lee Adams (lyrics)
10. Lone Jack Pat Metheny, Lyle Mays (music)
11. Travels Pat Metheny, Lyle Mays (music)
[Links: Pat Metheny]
Pat Metheny (Official Website)
Pat Metheny Discography Project (@ Jazz Discography Project)
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