2007年02月27日

ウェス・モンゴメリー『フル・ハウス』

wes_fullhouse.jpg Wes Montgomery - Full House (Live)

飛行機が苦手で、生まれ故郷のインディアナポリスからなかなか外に出ようとしなかったウェス・モンゴメリー。しかし、元祖チャーリー・クリスチャンに次いでジャズ・ギター界に革命を引き起こしたといわれるウェスの存在を世間がほっておくわけがありません。レコーディングのたびに東と西の海岸沿いの大都市に呼び出され、そこでこの世の奇跡を記録して、ふたたび帰途についたのでした。

1962年の6月、ウェスが向かったのはカリフォルニア州バークレー。湾をはさんで対岸のサンフランシスコとはベイブリッジでつながっています。折しもマイルス・バンドがサンフランシスコのブラックホークに出演中、ジョニー・グリフィンもジャズ・ワークショップに出演中ということで、集められたのが、バークレーにあったコーヒーハウス「ツボ's」。そして生まれたのが、世紀の傑作『フル・ハウス』でした。

聴衆を入れたライヴ盤ですが(Full House は「大入り満員」の意味)、レギュラー・セットではなく、録音のためだけのスペシャル・セット。メンバーも寄せ集めのスペシャル・ユニットなのにもかかわらず、ここに聴かれる一体感はどうしたことでしょう? ウェスのマイルス&コルトレーン好きはつとに知られるところですが、最高のリズム・セクションを借り受け、心の底からスイングしまくるウェスの喜びが伝わってくるようです。

タイトルにもなったウェスのオリジナル〈フル・ハウス〉。テナーとギターが奏でるテーマ・ユニゾンが聴こえてきた瞬間、体温が2、3度上昇します。ウェスの代名詞、オクターヴ奏法も全開です。小さな巨人グリフィンもこのころになると、例の大ボラ吹きが影を潜め、フレーズが素直になったようで、聴いていて気持ちいいことこのうえない。われらがケリーも楽しげにピョンピョンと跳ね回っています。

ギター・トリオでやさしく奏でられるラーナー&ロウの〈アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ハー・フェイス〉。ミュージカル『マイ・フェア・レディ』からのセレクトですね。最初バックにかすかに聴こえていたベースとドラムがいつのまにか姿を消し、やがてウェスの独り舞台に。ポロンポロンと奏でられるブロック・コードの甘美な響きに、もうメロメロです。身体中がとろけてしまいそうです。チョーしあわせ〜(笑)。

ラテン・フレーバーあふれる〈キャリバ〉。珍しくチェンバースのベース・ソロからはじまって少し肩すかしを食いますが、ケリー、グリフィンと徐々に体温が上がってきたところで真打ち登場、ウェスの必殺「三段変則ソロ」が炸裂します。出だしはいつもどおりのシングルトーン、途中でギアをセカンドに入れてオクターヴ奏法へ、さらに、もう一段階ギアを入れ直してコード弾きへ。

ウェスのオクターヴ奏法やコード弾きは、ホーン奏者に負けない分厚いサウンドを出すために編み出されたという説がありますが、さもありなんの、迫力のギターワーク。これで盛り上がらなきゃ、ウソです、ホンマに。

ここまででもじゅうぶん満腹ですが、このライヴのピークはいちばん最後にやってきます。ソロの途中、何度もくり返される「ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャン、ジャーン」にしびれまくる〈S.O.S.〉。もうめちゃめちゃカッコいいっす!

信じられない猛スピードで超絶技巧のかぎりを尽くすウェスに、かつて早撃ちで鳴らしたグリフィンも必死の形相でついていきます。熱にうなされたように、あらんかぎりのテクニックで応酬するケリー。これぞジャズ、これぞライヴの大熱演です!!!

ジャケットには、ウェスの両手が大写しになっています。DVD『JAZZ625 ウエス・モンゴメリー』が出た今でこそ、彼の親指弾きが「真実」であることは疑いようがありませんが、その昔、「動くウェス」を知らなかった時代には、このジャケ写によって、その特異な右手の動きをあれこれ想像したそうです。

 

Wes Montgomery "Full House"
(Riverside RLP 434/9434)

Johnny Griffin (tenor sax) except #2
Wynton Kelly (piano) except #2
Wes Montgomery (guitar)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Produced by Orrin Keepnews
Recorded by Wally Heider
Recorded live at Tsubo, Berkeley, CA; June 25, 1962

[Tracks] Wes Montgomery - Full House (Live)
01. Full House Wes Montgomery (music)
02. I've Grown Accustomed To Her Face Frederick Loewe (music) / Alan Jay Lerner (lyrics)
03. Blue 'n' Boggie Dizzy Gillespie, Frank Paparelli (music)
04. Cariba Wes Montgomery (music)
05. Come Rain Or Come Shine Harold Arlen (music) / Johnny Mercer (lyrics)
06. S.O.S. Wes Montgomery (music)

[Links: Johnny Griffin]
Johnny Griffin Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wes Montgomery]
Wes Montgomery Fan Club
Wes Montgomery Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Wes Montgomery Discography (by Ed Fila)
[Links: Jimmy Cobb]
Jazz Legend Jimmy Cobb (Official Website)

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2007年02月26日

ミルト・ジャクソン&ウェス・モンゴメリー『バグズ・ミーツ・ウェス』

wes_bagsmeetswes.jpg Milt Jackson & Wes Montgomery - Bags Meets Wes

ウィントン・ケリー特集(だったんですよ)の最後を飾るのは、天才ギタリスト、ウェス・モンゴメリーとの共演盤です。まずは、ギターとヴァイブの両巨頭がそろい踏みした『バグズ・ミーツ・ウェス』から。

バグズことミルト・ジャクソン(本名 Milton Jackson)はモダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のヴァイブ奏者。1923年1月1日(元旦)、ミシガン州デトロイト生まれ。1999年10月9日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。享年76歳。

オクターヴ奏法(1オクターヴ離れた2つの音を同時にかき鳴らす)がトレードマークのギタリスト、ウェス・モンゴメリー。本名、John Leslie Montgomery。1923年3月6日、インディアナ州インディアナポリス生まれ。1968年6月15日、インディアナポリスの自宅で死去。享年45歳。

偶然にも同い年の2人の名人を看板に、リヴァーサイド御用達のリズム・セクションがつきしたがう本作は、いかにもリラックスしたジャム・セッション的気配が濃厚で、名手たちの妙技を堪能できる、スウィンギーでご機嫌な1枚です。

こういうアルバムは、能書きを垂れるよりも頭を空っぽにして聴くに限ります。冒頭の〈S.K.J.〉(ミルトの奥さんのイニシャルだそうです)から、ソウルフルでくつろぎにみちた演奏が続きます。無駄な力を抜いて、気持ちよさげにギターを操るマエストロ。ミルトのヴァイブは、聴く者の心をとろけさせる妙薬です。う〜ん、こりゃたまらんわ(笑)。

フィリー・ジョーの連打ではじまる〈ステイブルメイツ〉。テーマに続いてウェスの切れ味のよいシングルトーンが炸裂します。ウェスといえば、ピックを使わない親指弾きが有名ですが、ホントにこれ、親指で弾いているの???

対するミルトは、魔法のようなマレットさばきで応戦します。アップテンポでもリキみを感じさせないのは、さすがです。こういうノリノリの曲ではウィントン・ケリーも黙っちゃいません。いつもながらの小気味いい、よく跳ねるピアノで彩りを添えます。

忘れちゃいけない、サム・ジョーンズのベースに火がついた、その名も〈サム・サック〉。よく走るミルトのヴァイブにからみあうリズム・ギター。いいねえ。ウェスのソロもシングルトーンからオクターヴへよどみなく続いていきます。ケリーのソロは、この曲がベストか。コロコロとよく歌っています。そして、ブンブンブルンと重低音を響かせるサム・ジョーンズのロング・ソロ、もうサイコーです。

続くウェスのオリジナル〈ジングルズ〉。リヴァーサイド・デビュー盤『ザ・ウエス・モンゴメリー・トリオ』や、兄のモンク (bass)、弟のバディ (vibe, piano) と組んだ兄弟ユニットのファンタジー盤『モンゴメリー・ブラザーズ』(輸入盤『Groove Brothers』で聴くことができます)でも取り上げられていた曲です。

ソロの先発はミルトに譲っていますが、このミルトがすごい。まさに縦横無尽に走りまわります。これを聴いて、作曲者のウェスが熱くならないほうがおかしい。クールな熱気を発散させながら突き進むウェスのカッコよさといったら。病みつき間違いなし、です。

 

Milt Jackson, Wes Montgomery "Bags Meets Wes!"
(Riverside RLP 407/9407)

Milt Jackson (vibraphone)
Wes Montgomery (guitar)
Wynton Kelly (piano)
Sam Jones (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Orrin Keepnews
Recorded by Ray Fowler
Recorded at Plaza Sound Studios, NYC; December 18 (#2-4, 6), 19 (#1, 5, 7), 1961

[Tracks] Milt Jackson & Wes Montgomery - Bags Meets Wes
01. S.K.J. Milt Jackson (music)
02. Stablemates Benny Golson (music)
03. Stairway To The Stars Matty Malneck, Frank Signorelli (music) / Mitchell Paris (lyrics)
04. Blue Roz Wes Montgomery (music)
05. Sam Sack Milt Jackson (music)
06. Jingles Wes Montgomery (music)
07. Delilah Victor Young (music) / Jay Livingston, Raymond Evans (lyrics)

[Links: Milt Jackson]
Milt Jackson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wes Montgomery]
Wes Montgomery Fan Club
Wes Montgomery Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Wes Montgomery Discography (by Ed Fila)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月22日

ハンク・モブレー『ワークアウト』

mobley_workout.jpg Hank Mobley - Workout

ブルーノート4000番台に残されたハンク・モブレーの3部作、『ソウル・ステーション(4031)に『ロール・コール』(4058)、そしてこの『ワークアウト』(4080)は、モブレーの長いキャリアのなかでも頂点に位置するアルバムという評価が定まっています。

すでに1961年初頭(60年末?)にはマイルス・バンドに加わり、一躍メジャーの仲間入りを果たしたモブレーですが、親分マイルスの評価は低く、本人もらしくない演奏を強いられるなど、実はストレスのたまる日々を送っていたのではないかというのは私の勝手な想像ですが、実際はどうだったんでしょう?

モブレーは気心の知れた仲間に囲まれてようやくふだんの実力を出せるタイプなので、ハスキー・ヴォイスで威嚇するこわもての親文がいないだけで、演奏もずいぶんと違ってきます。フロントを分け合う相手がギターだということも、いい結果を生んでいるようです。

管楽器どうしだと心のどこかで張り合う気持ちが出てきそうですが、相手がギターなら、対決とか撃ち合いという雰囲気にはなりにくい。とくにグラント・グリーンは超絶技巧をひけらかすタイプではないし、相手をビビらすようなハッタリもかまさないので、モブレーは適度な緊張感を保ちながらも、自然体で録音にのぞむことができています。

個人的には、モブレーは典型的なハードバッパーではないと思っているので(2管、3管は不向きという意味です)、このアルバムが典型的なハードバップのアルバムとして成功していることに、実は少なからず驚きを感じています。だって、タイトル曲なんか、単純にカッコいいでしょ? モブレーのソロも、なかなかどうして堂に入ったもんです。その理由を考えていて、グリーンの存在にハタと思い至ったわけです。

3曲目の〈スモーキン〉なんかも、いかにもハードバップという臭いがプンプンしてきます。なんだ、やればできるじゃん。スタジオの片隅でタバコをくわえて物思いにふけるモブレーの写真をあしらい、黒字に真っ赤なタイポグラフィーがまぶしいジャケットのようなキリリと引き締まった風情がなんとも耳に心地よいです。

 

Hank Mobley "Workout"
(Blue Note BLP 4080 / BST 84080)

Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Grant Green (guitar)
Paul CHambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; March 26, 1961

[Tracks] Hank Mobley - Workout
01. Workout Hank Mobley (music)
02. Uh Huh Hank Mobley (music)
03. Smokin' Hank Mobley (music)
04. The Best Things In Life Are Free Ray Henderson, Buddy G. DeSylva, Lew Brown (music and lyrics)
05. Greasin' Easy Hank Mobley (music)

[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Grant Green]
Grant Green Page (by John Harris)
Grant Green: a discography with cover photo (by Atushi acchan Ueda)
Grant Green Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ハンク・モブレー『ロール・コール』

mobley_rollcall.jpg

ハンク・モブレーの『ロール・コール』は、前作『ソウル・ステーション』のメンバーに、トランペットのフレディ・ハバードを加えた2管ハードバップ作品です。

同年6月に初リーダー作『オープン・セサミ』を吹きこんだ勢いそのままに、才気走った演奏をくりひろげるハバードに、偉大なる凡人モブレーははたして対抗できたのでしょうか。

実は、ハバード&モブレーの組み合わせは、ハバードの 2nd『ゴーイン・アップ』(1960年11月6日録音)にはじまり、本作『ロール・コール』(1960年11月13日録音)、ケニー・ドリューの『アンダーカレント』(1960年12月11日録音)と続き、2人はほとんど毎週のようにスタジオで顔をあわせていました。

プロデューサー、アルフレッド・ライオンの意気込みを感じますが、この組み合わせはベターではあってもベストではないと思います。地味なモブレーには、ハバードのいかにも「金管」らしいキンキンとした響きは強すぎる、というのがその理由です。

ハバードのペットの「鳴り」のよさはよく知られるところですが、相手がハバードだと、相方をつとめる人はがんばらざるを得ません。フツーに吹くだけでは、どうしたって見劣りしますから。放っといてもリキがはいってしまうシチュエーションは、モブレーのような自然体が売りの人には、ふさわしくありません。

加えて、2管になったことで、前作ではひかえなサポートに徹していたブレイキーが、意図的に前に押し出してきます。その分、前回あんなに気持ちよさげに舞っていたケリーのピアノが後ろに下がる形になって、バランスが崩れます。つまりは、モブレーはワン・ホーン・カルテットで真価を発揮するタイプだというのが私の意見なのですが、みなさんはいかがですか?

このアルバムで唯一のスタンダード・ナンバー〈ザ・モア・アイ・シー・ユー〉が流れてきてホッとした人には、おそらく私のいっていることが理解していただけると思うのですが。モブレーがハバードとかぶることなく一人でゆったりと吹き、ハバードがミュートをつけてキュートな面をのぞかせるこの曲が、このアルバムのベストだと、私は思います。

ところで、この曲をヘッドフォンで聴いていて気づいたのですが、最初モブレーは右、ハバードは左から音が聞こえてきます。ケリーのソロをはさんで、もう一度モブレーのテーマに戻るのですが、途中でいきなり右から左に切り替わります(6分4秒)。で、切り替わった後、左から聴こえる音のほうがいいんですね。これって、テープの編集ミスなのでしょうか???

 

Hank Mobley "Roll Call"
(Blue Note BLP 4058 / BST 84058)

Freddie Hubbard (trumpet)
Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; November 13, 1960

[Tracks] 
01. Roll Call Hank Mobley (music)
02. My Groove Your Move Hank Mobley (music)
03. Take Your Pick Hank Mobley (music)
04. A Baptist Beat Hank Mobley (music)
05. The More I See You Harry Warren (music) / Mack Gordon (lyrics)
06. The Breakdown Hank Mobley (music)

[Links: Freddie Hubbard]
Hub Tunes: The Freddie Hubbard Discography
Freddie Hubbard (by hubtones)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Estate of Art Blakey (Official Website)
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ハンク・モブレー『ソウル・ステーション』

mobley_soulstation.jpg 

帝王マイルスにはダメ出しをされ、速射砲グリフィンには置いてけぼりを食わされて、散々な目に遭った「二流の男」ハンク・モブレー。でも、モブレーの本領は切った張ったの世界にはありません。もっと穏やかな、日々の暮らしのなかにこそ、モブレーの真実がある。

「普段着のテナー・サウンド」とでもいったらいいのでしょうか、モブレーのテナーには大げさなところや構えたところがありません。彼のまろやかな音色と感性が生きるのは、ゆったりとしたテンポの曲とくつろぎの空間。1960年録音の『ソウル・ステーション』には、そんなモブレーの最良の演奏が収められています。

有名ソングライター、アーヴィング・バーリンの無名曲〈リメンバー〉。心がほんわかとなるような曲調に、丸みをおびたあたたかみのあるテナーがよく似合います。いつもは自己主張の激しすぎるフロント陣の陰に隠れがちなウィントン・ケリーも、じゅうぶんなスペースを与えられて、嬉々としてピアノに向かっています。ケリーの名人芸を楽しむにはもってこいのアルバムです。

自作曲〈ディス・アイ・ディグ・フォー・ユー〉もいいねえ。モブレーは作曲の才能にも恵まれていたのでした。ソロの先発は、ウィントン・ケリー。ご機嫌な演奏です。続いてモブレーが登場しますが、この心地よさをどう表現したらいいのでしょうか。アタック感はないけれど、なめらかで耳にすっと入ってくる。叩きすぎないブレイキーにも好感がもてます。ひかえめなモブレー相手には、これくらいがちょうどいい。

これまたモブレーのオリジナル〈ディグ・ディス〉。なんてことない曲なんですが、
こういうフツーの曲をフツーに演奏するのって、実はえらくむずかしいことなんじゃないでしょうか。ハッタリをかましたり、奇をてらったりしなければ、それこそフツーの評価しか得られない。でも、モブレーはやってしまうんですね、フツーに。そして、それがモブレーらしさにつながっている。まったくもって、「普段着のテナー」とはよくいったものです。

そして、最後にひっそりと収められた極私的愛聴曲〈イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー〉。テーマ・メロディーが聴こえてきただけで、私なんかはもうたまりません。それをほとんど崩さずに吹き切るモブレー。まさに感涙ものです。

心がささくれだったとき、迷いを感じたとき、いつでも戻ってこられる場所がある。心のふるさと、『ソウル・ステーション』。心を安らかにして聴ける私の偏愛盤です。

 

Hank Mobley "Soul Station"
(Blue Note BLP 4031 / BST 84031)

Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; February 7, 1960

[Tracks] 
01. Remember Irving Berlin (music and lyrics)
02. This I Dig Of You Hank Mobley (music)
03. Dig Dis Hank Mobley (music)
04. Split Feelin's Hank Mobley (music)
05. Soul Station Hank Mobley (music)
06. If I Should Lose You Ralph Rainger (music) / Leo Robin (lyrics)

[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Estate of Art Blakey (Official Website)
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月21日

ソニー・ロリンズ『ニュークス・タイム』

rollins_newkstime.jpg Sonny Rollins - Newk's Time

ソニー・ロリンズがワン・ホーン・カルテットでブリブリ吹きまくる『ニュークス・タイム』。ブルーノート4000番台の幕開けを告げるとともに、ロリンズのブルーノート最終作でもあります(ただし、録音は『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』のほうが後です)。

オープニングの〈チューン・アップ〉からロリンズは全開です。男性的な野太いテナーの響きに、思わず笑みがこぼれます。バックのリズム・セクションの小刻みな動きを大きく広げた両腕で包みこむような、おおらかで力強いトーン。そうそう、これが聴きたかったんです。もちろん、高速スピードも難なくこなすロリンズです。あふれんばかりのメロディーの洪水に、私の頬の筋肉はもう、ゆるみっぱなしです。途中、ウィントン・ケリーが姿をくらましますが、それに気づかないくらい、充実したロリンズのソロです。

ドラマーのフィリー・ジョーもノリノリです。ウィントン・ケリーやダグ・ワトキンスのソロよりも先におかれたテナーとドラムのかけあいが、このアルバムの影の主役がフィリー・ジョーであることを予感させます。

続く〈エイジアティック・レイズ〉は、別名〈ロータス・ブラッサム(蓮の花)〉で知られるケニー・ドーハムの名曲ですが(『静かなるケニー』に収録)、決定版はやはり、このロリンズの豪快な演奏でしょう。いつまでも聴いていたいと思わせる、硬軟とりまぜたアドリブの至芸。続くケリーも健闘しますが、彼の全盛期はもうちょっと後の話。むしろ、異例のロングソロで軽快なスティックさばきを聴かせるフィリー・ジョーに、私の耳はひきつけられます。

揺りかごのような、ゆらゆらとしたテーマが印象的な〈ワンダフル・ワンダフル〉をはさんで、有名スタンダード〈飾りのついた四輪馬車〉がはじまります。ここではついに、ピアノもベースも脇に追いやってフィリー・ジョーと2人だけのガチンコ対決に突入です。ピアノレスのトリオ演奏はロリンズのトレードマークで、のちに完全無伴奏ソロ作品、その名も『ザ・ソロ・アルバム』を世に問うロリンズですから、ドラムとのデュオがあっても不思議ではないのですが、やはり自分の腕に相当の自信がなければできない芸当でしょう。で、結果はどう出たか。すごい、のひと言です。汲めどもつきないロリンズの豊かなアイディアに言葉もありません。

ところで、「ニューク (Newk)」 とはなんぞや。MLB ブルックリン・ドジャース(当時)の人気投手、ドン・ニューカムにそっくりだったロリンズは、彼のニックネーム「ニューク」と呼ばれていたそうです。そういわれると見比べてみたくなるのが人情ですね。こちらに写真がありますが、どうでしょう、似てますか? タクシーの運転手に本物のニュークに間違えられて、本人もその気になったというエピソードも伝わっていますが、、、

 

Sonny Rollins "Newk's Time"
(Blue Note BLP 4001 / BST 84001)

Sonny Rollins (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Doug Watkins (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; September 22, 1957

[Tracks] Sonny Rollins - Newk's Time
01. Tune Up Miles Davis (music)
02. Asiatic Raes (aka. Lotus Blossom) Kenny Dorham (music)
03. Wonderful! Wonderful! Sherman Edwards (music) / Ben Raleigh (lyrics)
04. The Surrey With The Fringe On Top Richard Rodgers (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
05. Blues For Philly Joe Sonny Rollins (music)
06. Namely You Gene DePaul (music) / Johnny Mercer (lyrics)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of the Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Complete Sonny Rollins
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Doug Watkins]
Doug Watkins Discography (by Vincent BESSIERES)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月20日

『ソニー・ロリンズ Vol. 1』

rollins_vol1.jpg Sonny Rollins - Sonny Rollins, Volume One

サキソフォン・コロッサス』を筆頭に、数々の名演を残したプレスティッジとのリーダー契約を終えたロリンズは、1956年の年末以降、フリーランスの名盤請負人として、ブルーノート、コンテンポラリー、リヴァーサイド、ヴァーヴなどに次々と快作を吹きこんでいきます。

第一弾がブルーノート盤『ソニー・ロリンズ Vol. 1』。クオリティーを追求するアルフレッド・ライオンと絶頂期を迎えていたロリンズの組み合わせですから、さぞかしすごいアルバムができただろうと思いきや、そんなことはまったくなくて、実に淡白な仕上がりです。

ブルーノートには、ロリンズ名義のアルバムが4枚残されていますが、豪華メンバーが集結した『ソニー・ロリンズ Vol. 2』、ピアノレス・トリオで押しまくる『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』、ロリンズがアドリブの鬼と化した『ニュークス・タイム』の強烈なインパクトと比べると、どうも印象が薄いんです。いったい、どうしちゃったんでしょうねえ。

ひとつには、ロリンズのオリジナルにこだわるあまり、歌もののキラー・チューンを用意しなかったことも影響しているように感じますが(原曲のメロディー以上にメロディアスなソロを吹くのがロリンズです)、それ以上に、いつものロリンズらしさが希薄な感じがするのです。

それは必要以上に音をブツ切りにして、ちっとも伸びていかない、この吹き方に原因があるのでは? バックを気にせず朗々と吹きまくるロリンズこそ聴きたいのに、妙にこじんまりとしたこの日のロリンズは、なにか迷いを抱えていたのでしょうか?

このジャケット、邦盤はタテ、輸入盤はヨコになっていて、どっちがオリジナルか迷っていたのですが、ジャズ批評ブックス『決定版ブルーノート・ブック』には、タテが正解とありました。日本人にはなじみのある英文タテ表記ですが、大胆にもタテ書きを採用したデザイナー、リード・マイルスのセンスが光ります。

 

"Sonny Rollins, Vol. 1"
(Blue Note BLP 1542)

Donald Byrd (trumpet)
Sonny Rollins (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Gene Ramey (bass)
Max Roach (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; December 16, 1956

[Tracks] Sonny Rollins - Sonny Rollins, Volume One
01. Decision Sonny Rollins (music)
02. Bluesnote Sonny Rollins (music)
03. How Are Things In Glocca Morra Burton Lane (music) / Edgar Y. Harburg (lyrics)
04. Plain Jane Sonny Rollins (music)
05. Sonnysphere Sonny Rollins (music)

[Links: Donald Byrd]
Donald Byrd Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of the Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Complete Sonny Rollins
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Max Roach]
Max Roach Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月19日

ジョニー・グリフィン『ザ・リトル・ジャイアント』

griffin_thelittlegiant.jpg

「小さな巨人」グリフィンのニックネームを冠した1959年録音のリヴァーサイド盤『ザ・リトル・ジャイアント』。極度のええカッコしいだけど、ちっともクールじゃない(笑)というグリフィンのもうひとつの側面を代表する大迷盤です。

オープニングの〈オリーヴ・リフラクションズ〉。なんともヤクザな曲ですねえ。でも、このテーマ、私は嫌いじゃないですよ〜。ホーン陣との掛け合いでピアノを弾きまくるウィントン・ケリー。これって、ハンコックの『スピーク・ライク・ア・チャイルド』と同じ発想じゃないですか。大言壮語のグリフィンの基本は「ハッタリ」ですから、これくらいわかりやすくハッタリをかましてくれると、こっちはもう笑うしかありません。

続く〈ザ・メッセージ〉が輪をかけて笑えます。B級ギャング映画のテーマ曲といえば、アート・ファーマー&ベニー・ゴルソンのジャズテットですが、この曲なんか、彼らのレパートリーだといってもちっとも不思議じゃありません。嫌みなほどワザとらしいグリフィンです。

本人は大真面目でヒップな路線を狙っているのかもしれませんが、生き方そのものがヒップだったマイルスなんかと比べると背伸びもいいところ(あっ、小さいからしょうがないか)。ローティーンの子どもが必死に悪ぶっているようなおかしさがあります。

〈63丁目のテーマ〉も同じ路線で、怒濤のB級攻撃に身悶えします。ブルー・ミッチェルにもグリフィンの毒が乗り移っています。そして、ついに〈プレイメイツ〉でコメディー路線へと突入。これ、狙ってやったんだとしたらすごい才能です(笑)。だって、ホントに大爆笑ものですから!

 

Johnny Griffin "The Little Giant"
(Riverside RLP 304/1149)

Blue Mitchell (trumpet) except #3
Julian Priester (trombone) except #3
Johnny Griffin (tenor sax)
Wynton Kelly (piano) except #3
Sam Jones (bass)
Albert "Tootie" Heath (drums)

Produced by Orrin Keepnews
Recorded by Jack Higgins
Recorded at Reeves Sound Studios, NYC; August 4, 5, 1959

[Tracks]
01. Olive Refractions Norman Simmons (music)
02. The Message Norman Simmons (music)
03. Lonley One Babs Gonzales Johnny Griffin (music)
04. 63rd Street Theme Johnny Griffin (music)
05. Playmates Saxie Dowell (music)
06. Venus And The Moon Norman Simmons (music)

[Links: Blue Mitchell]
"Blue" Mitchell: Biography, Selected Discography, Transcriptions (by Jeff Helgesen)
[Links: Johnny Griffin]
Johnny Griffin Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月18日

アイリーン・クラール『恋の行方』

irenekral_whereislove.jpg アイリーン・クラール - ホエア・イズ・ラヴ?

訃報です。アメリカの作詞家レイ・エヴァンスが亡くなりました。作曲家ジェイ・リヴィングストンとチームを組んで映画音楽に進出。〈モナ・リザ〉や〈ケ・セラ・セラ〉でアカデミー主題歌賞を受賞、とくにナット・キング・コールが歌った〈モナ・リザ〉は、8週連続ビルボード NO.1 の座を獲得するなど大ヒットしました(ナットのベスト盤ならたいてい入っています。たとえばこれとか)。

本名、Raymond Bernard Evans。
1915年2月4日、ニューヨーク州サラマンカ生まれ。
2007年2月15日、カリフォルニア州ロサンジェルスで死去。
亡くなった日は、奇しくもナット・コールの命日と同じでした。

ナットのヴェルヴェット・ヴォイスで聴く〈モナ・リザ〉もしびれますが、ジャズの世界では、1956年の映画『スカーレット・アワー』の主題歌〈ネヴァー・レット・ミー・ゴー〉のほうがカヴァー率が高いようです。

この曲、なんといってもキース・ジャレットの『スタンダーズ Vol. 2』の印象が強いのですが、作詞家を追悼するのにインスト曲では申し訳ないので、これまた渋いヴォーカルものをセレクションしてみました。

じわじわと心にしみるバラード・シンガー、アイリーン・クラール。1932年1月18日、イリノイ州シカゴ生まれ。1978年8月15日、カリフォルニア州 Encino で死去。乳がんを患い、わずか46歳の若さで逝きました。

細やかな感情をこめた、ひっそりとした歌いっぷりから、てっきり彼女はヨーロッパの人だと思いこんでいたのですが、シカゴ生まれとは驚きです。もっとも、両親はチェコ・スロヴァキア(当時)の人なので、そこらあたりに彼女らしさのルーツがあるのかもしれません。ちなみに、お兄さんは「ジャッキー&ロイ」のロイ・クラールです。

デビュー以来、いくつかのビッグバンドを渡り歩いたようですが、トランペット奏者ジョー・バーネットとの結婚を機に活動を休止、10年あまりの沈黙の後、ニュージーランド出身のピアニスト、アラン・ブロードベントと組んでカムバックを果たします。1974年録音のチョイス盤『恋の行方』は、数少ない彼女のアルバムの中でも最高傑作といわれています。

なにはともあれ、CDのトラックナンバーを「2」にセットしてみましょう。〈ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ〉。同じクラールでも、人気者ダイアナ・クラールが歌って有名になった曲ですが(1999年のアルバム『ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ』に収録)、アイリーンのひっそりと語りかけるような歌声を聴いてからダイアナのヴァージョンを聴くと、まだ荒削りな印象を受けます。どこかなげやりというか、歌詞に没入しきれていないというか。

ピアノだけをバックに、ひと言ひと言、感情をこめて歌うアイリーン。絶品です。実は重苦しい雰囲気がたちこめた気の滅入るアルバムなのですが、いったん聴いてしまうと、けっして途中で止めることはできません。どっぷりと、気の済むまで浸ってください。

ジョニー・マンデルの〈ア・タイム・フォー・ラヴ〉。ケイコ・リーも『ビューティフル・ラヴ』で歌ってましたね。大好きな曲ですが、この曲のイメージを決めたのは、間違いなくアイリーンのヴォーカルです。

そして、今回のテーマ曲〈ネヴァー・レット・ミー・ゴー〉。はっきりいって、ハマります。それも深く。間違いなく社会復帰するのに時間がかかりますから、夜寝る前に、静かな環境でひっそりと聴くことをおすすめします。

 

Irene Kral "Where Is Love"
(Choice CRS 1012)

Irene Kral (vocal)
Alan Broadbent (piano)

Produced by Joe Burnett
Recorded by Gabby Garcia
Recorded at Wally Heider Studios; December 1974

[Tracks] アイリーン・クラール - ホエア・イズ・ラヴ?
01. I Like You, You're Nice Blossom Dearie (music and lyrics)
02. When I Look In Your Eyes Leslie Bricusse (music and lyrics)
03. A Time For Love 〜 Small World Johnny Mandel (music) / Paul Francis Webster (lyrics) 〜 Jule Styne (music) / Stephen Sondheim (lyrics)
04. Love Came On Stealthy Fingers Bob Dorough (music and lyrics)
05. Never Let Me Go Jay Livingston (music) / Raymond B. Evans (lyrics)
06. Spring Can Really Hang You Up The Most Tommy Wolf (music) / Fran Landesman (lyrics)
07. Lucky To Be Me 〜 Some Other Time Leonard Bernstein (music) / Betty Comden, Adolph Green (lyrics)
08. Where Is Love Lionel Bart (music and lyrics)
09. Don't Look Back Johnny Mandel (music) / K.L. Dunham (lyrics)

[Links: Irene Kral]
Irene Kral Tribute Page

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デューク・ジョーダン『フライト・トゥ・デンマーク』

dukejordan_flighttodenmark.jpg デューク・ジョーダン - Flight to Denmark

昨日、品川の IMAX シアターで映画『ディープ・シー』を観てきました。海に棲む生き物たちの生態をまとめただけの作品なのですが、これが実にすばらしい! 3Dで観る珊瑚礁やクラゲの美しさといったら。巨大ヒトデとホタテ貝の壮絶なるデッドヒート(笑)、ウミガメに群がる熱帯魚たち(甲羅についた海藻を食べている)、暗黒の海で暗躍する巨大イカの驚くべき捕食シーンなどなど、まさに「手に取る」ようにくり広げられるリアルな映像は、ナマの水族館でも味わえないようなド迫力。上映時間は40分ほどで大人1300円、子供800円ですが、この値段なら水族館に行くより安いでしょ。イルカ・ショーより楽しめること請け合いです。超オススメ!

久しぶりに感激した映画だったので、「海」をキーワードに手持ちのCDをひっくり返してみたのですが、ありません。本当に見事にないのです。天高く飛翔する「バード」という圧倒的な存在のためか、「空」をイメージさせるアルバムはいくつもあるのですが、「海」「海底」「珊瑚礁」「南国リゾート」をダイレクトに感じさせるアルバムは思いつきませんでした。どなたか、そんなアルバムを知りませんか?(エロール・ガーナーの『コンサート・バイ・ザ・シー』の陽気なノリは、美しく、驚きにみちた海底のイメージにそぐわないので除外しました)

アルバム単位では該当作が思いつかなかったのですが、曲単位なら、ありました。〈ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン〉。ビング・クロスビーとフレッド・アステアが共演したミュージカル映画『ブルー・スカイ』(1946年)のためにアーヴィング・バーリンが書いたラヴ・ソングで、あなたへの想いは「海よりも深く、天よりも高い」と歌い上げます。そういう意味では、「海」とはほとんど関係ないのですが、それはよしとしましょう(笑)。

日本人好みのいぶし銀のピアニスト、デューク・ジョーダン。1922年4月1日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。2006年8月8日、デンマークの首都コペンハーゲンで死去。1973年録音のスティープルチェイス盤『フライト・トゥ・デンマーク』は、シーンから取り残され、60年代のほとんどを棒に振ったジョーダンが(一時引退してタクシー運転手をやっていたなんて話もあります)北欧に渡り、11年ぶりに録音した起死回生の1作で、訥々とした響きがなんともいえない味わいを醸し出しています。

問題の〈ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン〉は、アナログ時代のB面1曲目に登場します。古くは1947年にチャーリー・パーカーがダイヤル・レベールに録音していますが(『ストーリー・オン・ダイアル Vol. 2』などに収録)、このときのピアノがなんと、デューク・ジョーダンその人なのでした。時を経て、年輪を重ねた彼が絞り出す一音、一音がいとおしい。感傷的な気分に浸れます。

オープニング・ナンバーは彼の代表曲〈ノー・プロブレム〉。別名〈危険な関係のブルース〉として知られるこの曲は、1960年の仏映画『危険な関係』(ロジェ・ヴァディム監督)のためにジョーダンが書いたテーマ曲でしたが、ドサクサに紛れて他人名義で登録されてしまい、ほとんど印税を手にできなかったという、いわくつきの曲です。

サントラ盤『危険な関係』にはジョーダン本人も登場しますが、メインはブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズで、どういうわけかこの曲のピアノも、ジョーダンではなくボビー・ティモンズが弾いています。

あれから14年、ジョーダンは因縁のこの曲を、地味ながらもしっかり地に足をつけて弾いていきます。ポクポクと木魚のリズムを刻むエド・シグペンのドラムに乗った淡白なピアノは、さながら墨絵のような枯れた味わいですが、だいじょうぶ、この演奏によって、あなたのピアノと楽曲は私の心にしっかりと刻み込まれました。もう他の人の作品などとはいわせませんから。

3曲目〈エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー〉。弾き語りの名手マット・デニスの代表曲です。デニスはもともと声量で勝負するタイプではなく、洒落たセンスで聴かせる人でしたが、このジョーダンによる演奏なんかもその典型です。こういう何気ない曲をさりげなく聴かせてくれるピアニストに惹かれるなあ。渋いけれど、いいです、ジョーダン。

そして、ジョーダン自作のとってもかわいらしいワルツ、〈グラッド・アイ・メット・パット〉。全体にどんよりとしたアルバムの中に咲く一輪の可憐な花。大好きです。



Duke Jordan "Flight To Denmark"
(SteepleChase SCS 1011)

Duke Jordan (piano)
Mads Vinding (bass)
Ed Thigpen (drums)

Produced by Nils Winther
Recorded by Ole Hansen
Recorded at Sound Track, Copenhagen; November 25 (#1, 3, 4, 6, 7), December 2 (#2, 5, 8), 1973

[Tracks] デューク・ジョーダン - Flight to Denmark
01. No Problem Duke Jordan (music)
02. Here's That Rainy Day Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Burke (lyrics)
03. Everything Happens To Me Matt Dennis (music) / Tom Adair (lyrics)
04. Glad I Met Pat Duke Jordan (music)
05. How Deep Is The Ocean Irving Berlin (music and lyrics)
06. On Green Dolphin Street Bronislaw Kaper (music) / Ned Washington (lyrics)
07. If I Did - Would You? Duke Jordan (music)
08. Flight To Denmark Duke Jordan (music)

[Links: Duke Jordan]
Duke Jordan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mads Vinding]
Mads Vinding Home Page (Offisial Webiste)
[Links: Ed Thigpen]
Ed Thigpen Online (Official Website)

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2007年02月17日

ジョニー・グリフィン『ア・ブローイング・セッション』

griffin_ablowinsession.jpg Johnny Griffin - A Blowin' Session

前作『イントロデューシング〜』からほぼ1年後、グリフィンは超絶技巧に磨きをかけて堂々の帰還を果たします。血管を浮き上がらせてブロウするグリフィンの形相がおそろしい『ア・ブローイング・セッション』には、トランペットに3人のテナー・サックスという豪華な面子が集いました。

テナーの1人、ジョン・コルトレーンは、1956年のマイルスとのマラソン・セッションを終え、伝説のモンクとのファイヴ・スポット公演に向かわんとする時期で、まさに伸び盛り。もう1人のハンク・モブレーとペットのリー・モーガンは当時、ブルーノートで売り出し中の生きのいい若手の筆頭株。迎え撃つグリフィンはといえば、超高速のブロウを得意とする早撃ちの名手。はてさて、この果たし合いの結果はいかに。

冒頭の〈ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト(今宵の君は)〉から、いきなり壮絶な撃ち合いがはじまります。周囲をおいてけぼりにするほどすさまじいスピードで吹きまくるグリフィン。アドリブの構成も見事です。リー少年はさすが天才と呼ばれただけあって、このスピードをものともせずに突き進みます。

モブレーには、このスピードはちときついか。どうもこの人は他人の引き立て役に回ってしまうところがあって、いつも損な役回りをさせられています。ホントは歌心にあふれたいいテナー奏者なのにね。

そして、トレーンです。果敢に勝負を挑みますが、彼の代名詞シーツ・オブ・サウンドはまだ完成していません。ところどころに言い淀みが感じられます。というわけで、この時点での軍配はグリフィンに上がります。

自己主張の激しい4人のフロント陣を束ねるのは、御大アート・ブレイキーをおいてほかにはいません。当時のグリフィンのボスでもあったブレイキーは、厚みのある重量級ドラムで、フロント陣を鼓舞します。とくに調子の上がらないモブレーの出番になると、一段と激しく叩きまくって、煽りに煽ります。怖いねえ(笑)。

緻密に作り込まれた作品が多いブルーノートにしては珍しく、全体に一発録りのジャム・セッション的な安直さが感じられます。たとえば、〈ボール・ベアリング〉のテーマ部分を聴くと、全員が同じ音程で吹くだけでなんのアレンジも施されていません。全員でテーマを吹くだけ吹いて、あとは大ブローイング大会に突入というのは、いかにもプレスティッジやヴァーヴにありそうな作品です。そこが評価の分かれるところでもあるのでしょうが、これだけの面子ですから、妙な小細工なしの一発勝負でいきたくなる気持ちもわからんではありませんがね。

 

Johnny Griffin "A Blowing Session"
(Blue Note BLP 1559)

Lee Morgan (trumpet)
Johnny Griffin (tenor sax)
John Coltrane (tenor sax)
Hank Mobley (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Blakey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; April 6, 1957

[Tracks] Johnny Griffin - A Blowin' Session
01. The Way You Look Tonight Jerome Kern (music) / Dorothy Fields (lyrics)
02. Ball Bearing Johnny Griffin (music)
03. All The Things You Are Jerome Kern (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
04. Smoke Stack Johnny Griffin (music)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Johnny Griffin]
Johnny Griffin Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
John Coltrane Collection (by ANTAIOS)
[Links: Hank Mobley]
Hank Mobley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Art Blakey]
The Estate of Art Blakey (Official Website)
Art Blakey School of Hardbop
Art Blakey Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月15日

『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』

griffin_introducing.jpg Johnny Griffin - Introducing (Digital Remastered)

ここ数年、親父の誕生日のプレゼントはカニと決めているのですが、今年はカニの王様、毛ガニ。3尾も入って、なんと3000円強! カニ好きの親父も大満足の美味だそうで、私もホッとしました。

さて、ウィントン・ケリーの美味しいところは、『ブラックホークのマイルス・デイヴィス』やブルー・ミッチェルの大名盤『ブルーズ・ムーズ』、『ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリー・トリオ』なんかで聴けますが、それだけじゃおもしろくない。ハードバップの黄金期を代表するピアニスト、ケリー。他人名義の作品に顔を出したケリーを探して回るのも、これまた楽しいものです。

というわけで、トップバッターはシカゴ出身の高速テナー、『イントロデューシング・ジョニー・グリフィン』でいきましょう。「イントロデューシング」といっても、グリフィンはシカゴ時代に初リーダー作『JG』を収録済み(アーゴ・レーベル。1956年)、本作は彼のニューヨークお披露目盤だったわけで、ジャケットの裏側に『シカゴ・コーリング』という別名があるのは、「タイトルに偽りあり」のやましさ故のことかもしれません(笑)。

それはさておき、シカゴでいっぱしのテナー吹きとして名を馳せたグリフィンは、56年春、ニューヨークへ進出します。小さいながらも肩で風を切って歩く男前のグリフィンは、当然ケンカもめっぽう強くて、最初にガツンといわせてグウの音も出ないようにするわけです。それが急速調で展開するオープニング・ナンバー〈ミル・デュー〉。高速で走りまくるグリフィンのテナーをご堪能あれ。順風満帆、前途洋々、気分は上々、本場ニューヨークで一旗揚げてやるぜ、という意気込みがダイレクトに伝わってきます。

続く〈シカゴ・コーリング〉では、ミディアム・テンポでも誰にも負けない技量を見せつけています。オレは速吹きだけの男じゃないぜ、と宣言しているかのような、実に堂々とした吹きっぷりです。ちょっと大げさすぎるかな、と思うくらいのビッグマウスぶり。

さらに悪のりした〈ザ・ボーイ・ネクスト・ドア〉。何度もしゃくりあげるようにくり返すブローは、いやらしささえ感じますが(そこがかわいいんですけどね)、ニューヨークに出てきたばかりの気負いもあったのでしょう、ここはひとつ、大目に見てあげましょう。

むしろ、勢いにまかせた〈イッツ・オールライト・ウィズ・ミー〉のほうがはるかに楽しい。この時期のグリフィンは、早撃ちガンマンのようにくり出されるテナーの連打を、脳みそを空っぽにして聴くのが正しい聴き方です(笑)。

ジャケットには、4月のレコーディングなのに、なぜかアロハ姿で現れたグリフィンが収まっています。熱気のかたまりのような豪快な吹きっぷりから、グリフィンは汗っかきだったのではないかと想像しますが(笑)、このときの写真(フランシス・ウルフが撮影)をもとに、かのアンディ・ウォーホールが描いたのが、『ザ・コングリゲーション』のイラストなんですね.いやはや、世の中なにがどうつながるか、わからないものです。

 

"Introducing Johnny Griffin"
(Blue Note BLP 1533)

Johnny Griffin (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Curly Russell (bass)
Max Roach (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; April 17, 1956

[Tracks] Johnny Griffin - Introducing (Digital Remastered)
01. Mil Dew Johnny Griffin (music)
02. Cicago Calling Johnny Griffin (music)
03. These Foolish Things Jack Strachey, Harry Link (music) / Holt Marvell (lyrics)
04. The Boy Next Door Hugh Martin (music) / Ralph Blane (lyrics)
05. Nice And Easy Johnny Griffin (music)
06. It's All Right With Me Cole Porter (music and lyrics)
07. Lover Man Roger Ramirez, Jimmy Sherman (music) / Jimmy Davis (lyrics)

[Links: Johnny Griffin]
Johnny Griffin Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Max Roach]
Max Roach Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月05日

ウィントン・ケリー『枯葉』

kelly_wyntonkelly.jpg

ウィントン・ケリーのヴィージェイ第三弾は、いつ聴いても幸せになれるスタンダード集『枯葉』です。〈降っても晴れても〉に〈飾りのついた四輪馬車〉、〈風とともに去りぬ〉、そして〈枯葉〉とくれば、ケリー・ファンならずとも手が伸びようというものです。

歌ものを得意とした1961年当時のマイルス・バンド。そのリズム・セクションが集まって(曲によって、ベースがサム・ジョーンズに代わる)、とびっきりの名曲を料理したのですから、悪かろうはずがありません。

有名曲ばかり並んでいますが、個人的に気に入っているのは、2曲目と7曲目にひっそりと配置されたバラード、〈メイク・ザ・マン・ラヴ・ミー〉と〈ラヴ・アイヴ・ファウンド・ユー〉。とくに後者は3か月前に『ブラックホーク』で弾いたばかりのこの曲を、ケリーはメロディーをいつくしむかのようにやさしく、それでいてきらびやかに演じ切ります。いやあ、驚きです。ケリーの弾く絶品バラード。ごくごく短い演奏ですが、上質なモルト・ウイスキーのような余韻を楽しみましょう。もちろん、私は飲んでます(笑)。

 

"Wynton Kelly"
(Vee Jay 3022)

Wynton Kelly (piano)
Sam Jones (bass) #1, 2, 6
Paul Chambers (bass) #3-5, 7, 8
Jimmy Cobb (drums)

Produced by Sid McCoy
Recorded at Bell Sound Studos, NYC; July 20, 21, 1961

[Tracks]
01. Come Rain Or Come Shine Harold Arlen (music) / Johnny Mercer (lyrics)
02. Make The Man Love Me Arthur Schwartz (music) / Dorothy Fields (lyrics)
03. Autumn Leaves Joseph Kosma (music) / Jacques Prevert (French lyrics), Johnny Mercer (English lyrics)
04. The Surrey With The Fringe On Top Richard Rodgers (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
05. Joe's Avenue Wynton Kelly (music)
06. Sassy Wynton Kelly (music)
07. Love I've Found You Danny Small (music) / Reverend C.L. Moore (lyrics)
08. Gone With The Wind Allie Wrubel (music) / Herbert Magidson (lyrics)

[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb (Official Website)

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2007年02月02日

ウィントン・ケリー『ケリー・アット・ミッドナイト』

kelly_kellyatmidnite.jpg

陽気でスウィンギーな演奏で愛されるピアニスト、ウィントン・ケリーは、いってみれば「真昼の人」です。さんさんと降り注ぐ陽の光を思わせる快活さは、黄昏時の哀愁や真夜中にひとり噛みしめる孤独感とは別世界。

ところが、ケリーがヴィージェイに残した2作目のタイトルは、『ケリー・アット・ミッドナイト』。おいおい、そりゃないでしょう! ケリーは真夜中に聴くにはうるさすぎます。まどろむどころか、眠気も吹き飛ぶケリー節。おそらく収録が深夜におよんだことから名づけられたのでしょうが、それにしてもねえ、イメージが違うんだよなあ。

そう思って、CDを流しっぱなしにしていると、聴こえてくるのが、2曲目〈ウィアード・ララバイ〉。日本語に直すと〈世にも奇妙な子守唄〉とでもいうのでしょうか、このしっとりとした情感はまさに真夜中にうってつけ。なんだ、ケリーもやればできるじゃん! そうそう、これなんだよねえ、と意識がだんだん遠くなり、これでようやく眠りにつけるかと思いきや、次の〈オン・ステージ〉で、叩き起こされます(笑)。

冗談はさておき、『ケリー・アット・ミッドナイト』は玄人好みの傑作です。〈朝日のようにさわやかに〉(『ケリー・ブルー』に収録)とか、〈枯葉〉や〈降っても晴れても〉(『枯葉』に収録)といった、有名スタンダードが入っていない分、親しみやすさに欠けますが、ケリーのオリジナル〈テンペランス〉が流れてきたときのウキウキするような高揚感は、なかなか味わえるものじゃありません。

同じくケリー作〈ポット・ラック〉も楽しい。〈ありあわせの料理〉とか〈料理持ち寄りのパーティ〉といった意味なので、おそらくその場で即興でつくられたのではないかと推測しますが、トリオの生み出す陽気な音楽に、安心して身をまかせることができます。

ちなみに、有名な〈テンペランス〉。調べてみたら〈禁酒〉という意味だったんですね。このとき、ケリーは禁酒でもしてたのでしょうか?

 

Wynton Kelly "Kelly At Midnight"
(Vee Jay 3011)

Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Sid McCoy
Recorded in NYC; April 17, 1960

[Tracks]
01. Temperance Wynton Kelly (music)
02. Weird Lullaby Babs Gonzales (music)
03. On Stage Rudy Stevenson (music)
04. Skatin' Rudy Stevenson (music)
05. Pot Luck Wynton Kelly (music)

[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2007年02月01日

『イントロデューシング・ウェイン・ショーター』

shorter_introducing.jpg

昨年出版された『フットプリンツ:評伝ウェイン・ショーター』には、ウェインがジャズ・メッセンジャーズに誘われた経緯が載っています。舞台は、1959年7月24日のトロント・ジャズ・フェスティヴァル。メイナード・ファーガソン・ビッグ・バンドの一員だったショーターのプレイを気に入ったモーガンがブレイキーに推薦、その場で即採用となったそうです。

会場は競技場で、ステージはトラックの中央に建てられていた。そこを横切って、リーがこっちに向かってさささっと走ってきたんだ。日が暮れ始めていたから、他には誰も気づいていなかった――まるで、闇に紛れて行動するスパイみたいだったよ。突然僕の目の前に現れて、「メッセンジャーズに入りたいか?」と訊いてきたんだ。(潮出版社、新井崇嗣訳)

どうしても入りたい。でも、ショーターは、わずか4週間前にメイナード・ファーガソンのオーディションに受かったばかり。このままでは不義理を働くことになってしまいます。そこで登場するのが、御大ブレイキー。彼はファーガソンをこう諭します。「ウェインがビッグ・バンド・プレイヤーじゃないことぐらい分かるだろ?」

現代のテナー・タイタン、ウェイン・ショーターの初リーダー作、『イントロデューシング・ウェイン・ショーター』は、前回アップした『ケリー・グレイト』の3か月後、ほぼ同じメンバーを集めて収録されました(発売も同じヴィージェイから)。

ドラマーがフィリー・ジョーからジミー・コブに変わって、名実ともに「ジャズ・メッセンジャーズ+マイルス・バンド」の混成チームになったわけですが、変わったのはそれだけじゃありません。有名曲〈マック・ザ・ナイフ〉を除いて、全曲ウェインのオリジナル。コンポーザーとしての評価も高いウェインですが、その個性は、デビュー当時から発揮されていました。

たとえば、〈ブルース・ア・ラ・カルト〉。ウネウネ、グネグネととぐろを巻くテーマがなんとも印象的です。続くウェインのソロが、これまた輪をかけて変テコです(笑)。予測がつかないフレージング、予定調和を許さない姿勢、これこそウェインのウェインたるゆえんだと思うのですが、それにしても、ねえ。モンクとショーター、この2人の頭のなかはよくわかりません(笑)。

あるいは、〈パグ・ノーズ〉。獅子鼻、つまり低くて小鼻の大きく広がった鼻ですね。なんでこういうタイトルをつけたのかは不明ですが、この摩訶不思議なメロディーラインは、ウェインしか書けません。ゾクッとするような色気がありながら、内省的な雰囲気も感じさせる。いやあ、すごいね。

ハイライトは、全員が熱くたぎる〈ブラック・ダイヤモンド〉。リズム・セクションがタイトになっているほかは、まんまメッセンジャーズ・サウンドですが、好きだなあ。

録音が行われたのは、1959年の11月9日と10日の2日間。とくに2日目の10日は大忙しで、リーとウェインはこのセッションを終えてすぐに、ニュージャージーのヴァン・ゲルダー・スタジオへ直行します。ウェインにとっての JM 初録音『アフリケイン』は、同じ日の夜に収録されています(ただし、しばらくお蔵入りしていた)。

 

"Introducing Wayne Shorter"
(Vee Jay 3006)

Lee Morgan (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Produced by Sid McCoy
Recorded at Fine Sounds, NYC; November 9 (#1-2), 10 (#3-6), 1959

[Tracks]
01. Blues A La Carte Wayne Shorter (music)
02. Harry's Last Stand Wayne Shorter (music)
03. Down In The Depths Wayne Shorter (music)
04. Pug Nose Wayne Shorter (music)
05. Black Diamond Wayne Shorter (music)
06. Mack The Knife Kurt Weill (music) / Bertolt Brecht (German lyrics), Marc Blitzstein (English lyrics)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb (Official Website)

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ウィントン・ケリー『ケリー・グレイト』

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1959年にはじまるウィントン・ケリーの快進撃は、舞台をシカゴのヴィージェイ・レーベルに移してからも続きます(ヴィージェイのアルバム・リストはこちら)。

第一弾は、59年8月録音の『ケリー・グレイト』。ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのフロント陣に、マイルスのリズム・セクション(フィリー・ジョーのみ旧メンバー)を組み合わせた、2管クインテットによる吹き込みです。

このアルバムは、現役最高のテナー奏者、ウェイン・ショーターの初録音作品としても知られています。そのショーターが、ブレイキーに引き抜かれる前のリーダー、メイナード・ファーガソンに捧げたオリジナル〈ママ・G〉。フィリー・ジョーが煽りまくるこの曲で、メンバー全員が弾けます。モーガンの輝かんばかりのトランペット・サウンド、聴けばすぐにそれとわかるショーターの風変わりなテナー、チェンバース得意の弓弾きも炸裂します。ただ、ちょっと気になるのは、主役のケリーです。ソロの途中、いくつか「ためらい」が感じられるのです。

ケリーのピアノを楽しむなら、自作曲〈リンクルズ〉に軍配が上がります。このルーズな感じ、いいねえ。いつものハッピー・サウンドに粘っこさが加わって、実に気持ちがいい。リラックスして楽しめます。モーガンのミュートにも思わずニヤリ。

 

Wynton Kelly "Kelly Great"
(Vee Jay 1016/3004)

Lee Morgan (trumpet)
Wayne Shorter (tenor sax)
Wynton Kelly (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Recorded in NYC; August 12, 1959

[Tracks]
01. Wrinkles Wynton Kelly (music)
02. Mama "G" Wayne Shorter (music)
03. June Night Abel Baer (music) / Cliff Friend (lyrics)
04. What Know Lee Morgan (music)
05. Sydney Wayne Shorter (music)

[Links: Lee Morgan]
The Lee Morgan Discography (by Masaya MATSUMURA)
Lee Morgan Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wayne Shorter]
ウェイン・ショーターの部屋 (by Y. Yamada)
Dr. Morf's Wayne Shorter Page
The Complete Wayne Shorter
Wayne Shorter Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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posted by ユキヒロ at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | Vee Jay | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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