2006年10月26日

『マイルス&モンク・アット・ニューポート』

miles_miles&monkatnewport.jpg

マイルスは『自叙伝』(宝島社文庫)のなかで、ビル・エヴァンスが自分のバンドを去った理由について、こう述べています(訳は中山康樹さん)。

ビルがバンドを去る原因になったいくつかの事柄に、オレは本当に腹を立てた。たとえば、バンドにいるたった一人の白人というだけで、何人かの黒人連中がした仕打ちだ。ジャズ界最高のバンドで、ギャラも最高なんだから、黒人のピアニストを雇うべきだなんて考えてる野郎がたくさんいたんだ。もちろん、オレはそんなことにかまっちゃいない。いつだって最高のミュージシャンが欲しいだけだ。黒だろうが白だろうが、青でも赤でも黄でも、なんだっていい。オレの望むことを演奏できるミュージシャンなら、それだけで良かった。肌の色が原因で、ビルに馬鹿げたことが起きていて、居心地が悪いってことはわかっていた。奴はとても傷つきやすい人間だったから、連中が奴を嫌な気分にさせるのは簡単なことだった。それに、ビルの演奏は繊細すぎてスピード感や激しさが足りないと言う連中もいた。こんなことやツアーの問題やらで、自分の音楽ができる自分のバンドをやりたいという気持ちが強くなってしまったんだ。

黒人主体のジャズの世界で、白人のエヴァンスが観客のみならず、他のメンバーからも逆差別を受けたというのは、おそらく本当のことでしょう。傷つきやすい心をもったエヴァンスがそれを苦にしたことも、想像に難くありません。事実、エヴァンスはグループを脱退後、しばらく両親のもとに帰って心の傷を癒します。

でも、それだけではないと思うんですね。純粋に音楽的な意味でも、ほかのメンバーと相容れないものがあったのではないか、と。

よく知られるように、マイルスのバンドは、スタジオとライヴではまったく別の顔をもっていました。『1958マイルス』のほどよく抑制されたクールな味わいも、『カインド・オブ・ブルー』の奇跡のような完成度も、スタジオという空間のなかでしか成り立ちえないものでした(このことは、のちに「新主流派」と呼ばれる音楽が、ブルーノートのアルフレッド・ライオンが仕切ったヴァン・ゲルダー・スタジオでしか成立しなかったこととよく似ています)。

エヴァンスがこのバンドで真の実力を発揮するには、唯一の理解者、マイルスの協力が不可欠でした。マイルスがすべてを仕切り、メンバー全員を意のままに操ることができたスタジオだからこそ、ふたりの魂の出会いが、見事な「結晶」として記録されたのです。

しかし、ライヴでは別の要素が大きく作用します。オーディエンスの反応です。こればっかりは、いかにマイルスとて、どうしようもありません。しかも、観客の熱狂なしに、ライヴの成功はありえない。だから、どうしても盛り上がるナンバーが中心になるわけです。ところが、エヴァンスときたら、スピーディーな演奏も、泥臭いブルースも、得手とはいえません。好きでもない音楽を、来る日も来る日も人前で演奏する日々。これは堪えます。エヴァンスじゃなくても、人生をリセットしたくなるはずです。

たとえば、この『マイルス&モンク・アット・ニューポート』。ここには、エヴァンスを含むマイルス・セクステットが出てきます。そして、この演奏を聴くと、私は哀しくなるのです。メンバーはまったく同じなのに、ここには、『カインド〜』の「カ」の字も感じられません。あの幽玄な響きを求めてこのアルバムを手に取ると、あまりのフツーさに、きっとがっかりするでしょう。

でも、これが普段着のマイルス・バンドの姿だったはずです。スタジオに籠るのは、年にわずか数日。きわめて非日常的な時間なわけで、ふだんの彼らはツアーに出て、アメリカのどこかで演奏していました。だから、ライヴをおこなっている彼らこそ、日常なのです。その日常に、まったく溶け込めていないエヴァンス。「らしさ」が顔を出すのはほんの一瞬だけです。あとは、別にエヴァンスじゃなくてもいいというよりも、むしろ、ノリのいい黒人を連れてきたほうがいいのでは、と黄色人種の私でさえ思ってしまいます。

エヴァンスはこの後、『ジャズ・アット・ザ・プラザ』というこれまた中途半端な作品を残して、マイルスのバンドを去ります。自分の音楽を取り戻すためにエヴァンスがマイルスのもとを去ったのも、『カインド〜』を録るためにマイルスがエヴァンスを呼びもどしたのも、どちらもよくわかります。スタジオのなかだけで生み出される、ふたりの魂の交わり。しかし、それは永続性のない、非日常の一瞬なのでした。

ところで、このアルバム、タイトルからすると、マイルスとエヴァンスの共演のようにも見えますが、とんでもない! マイルスは1958年夏のニューポート・ジャズ・フェスティバル、モンクは1963年夏の同フェスティバルに出演したときの模様をカップリングしただけの話です。モンクはいらん、マイルスだけがほしいんだ、というファンには、米コロンビアから『Miles Davis at Newport 1958』というCDが出ています。でも実は、ピー・ウィー・ラッセルをゲストに迎えたモンク・カルテットのほうが聴きものだったリするので、要注意。

 

Miles Davis, Thelonious Monk "Miles & Monk At Newport"
(Columbia CL-2178/CS-8978)

Disc 1:
Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderlay (alto sax)
John Coltrane (tenor sax)
Bill Evans (piano)
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums)

Recorded live at the Newport Jazz Festival; July 3, 1958

Disc 2:
Pee Wee Russell (clarinet)
Charlie Rouse (tenor sax)
Thelonious Monk (piano)
Butch Warren (bass)
Frankie Dunlop (drums)

Recorded live at the Newport Jazz Festival; July 4, 1963

[Tracks: Disc 1]
01. Introduction
02. Ah-Leu-Cha Charlie Parker (music)
03. Straight, No Chaser Thelonious Monk (music)
04. Fran-Dance Miles Davis (music)
05. Two Bass Hit Dizzy Gillespie, John Lewis (music)
06. Bye Bye Blackbird Ray Henderson (music) / Mort Dixon (lyrics)
07. The Theme Miles Davis (music)

[Tracks: Disc 2]
01. Introduction
02. Criss-Cross Thelonious Monk (music)
03. Light Blue Thelonious Monk (music)
04. Nutty Thelonious Monk (music)
05. Blue Monk Thelonious Monk (music)
06. Epistrophy Thelonious Monk (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-Vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Bill Evans]
The BILL EVANS Webpages
Bill Evans's Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Cobb]
Jimmy Cobb

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2006年10月24日

マイルス・デイヴィス『1958マイルス』

miles_1958miles.jpg

池田満寿夫さんのジャケットが印象的な日本編集盤『1958 マイルス』です。このうち、1曲目から3曲目までは、もともと『死刑台のエレベーター』のサントラ盤といっしょに『Jazz Tracks』(Columbia CL-1268) というアルバムに収められていました。

さて、このアルバムは、なんといっても、ビル・エヴァンスの初参加に話題が集中します(ドラマーもジミー・コブに変わったんですけどね)。マイルスとエヴァンスのスタジオ共演作は、本作とそれに続く大名盤『カインド・オブ・ブルー』、それにフランス人アーティスト、ミッシェル・ルグランの一夜の夢『ルグラン・ジャズ』の3枚しかないと聞けば、そのありがたみがわかろうというものです。

マイルスがエヴァンスを自分のバンドに迎えたのは、ジョージ・ラッセルの推薦があったからだといわれています。そのあたりの事情を、ラッセル本人に語ってもらいましょう。引用は『ビル・エヴァンス―ジャズ・ピアニストの肖像』(水声社、訳は相川京子さん)より。

マイルスは自分のバンドがしばしば代理演奏者を起用せざるを得ない状況にあることに困って、私にいいピアニストを知らないか訊ねてきたんだ。私はビルを推薦した。
「そいつは白人か?」マイルスが訊いてきた。
「そうさ」と私。
「眼鏡をかけているか?」
「ああ」
「そいつなら知っている。バードランドで聴いたことがある――かなりの腕前だ。木曜の晩にブルックリンのコロニー・クラブに連れて来てくれ」
(中略)私はビルに電話して、バリー・ガルブレイスと一緒に私のフォルクスワーゲンに乗せ、クラブまで連れていった。(中略)ファースト・セットの後、ビルが代わってピアノを弾いた。演奏が終わると、マイルスが言ったんだ。「雇うことに決めた」

もっとも、エヴァンスにいわせると、マイルスから直接電話があり、「気絶しそう」になったということですが(前掲書より)、エヴァンスの記憶のあいまいさはよく知られるところなので、ここは話半分に聞いておいたほうがよさそうです(笑)。

それはさておき、『1958マイルス』です。冒頭の〈オン・グリーン・ドルフィン・ストリート〉。最初のエヴァンスのソロを聴いただけで、このアルバム、「アタリ」の予感がします。そこに寄り添うように入ってくるマイルスの軽やかな旋律。流れるような展開に、もううっとりです(笑)。無骨なトレーンや太っちょのキャノンボールまで、やさしく微笑んでいるようです。

マイルスの繊細な音色が印象的な〈フラン・ダンス〉。エヴァンスはバックでコードを弾いているだけですが、この美しすぎる音色は、エヴァンスならでは。マイルスがエヴァンスを呼び寄せたのには、やっぱり理由があったんだと大納得です。

これ以上ないほどゆったりと演奏された〈星影のステラ〉。ここではマイルスとエヴァンスの2人だけの世界がくり広げられています。なんという親密さ。赤の他人の私が聴いても嫉妬を感じます。その2人の仲を切り裂くように登場するトレーン。以前の彼ならせっかくのムードが台無しになるところですが、トレーンも大人になりました(笑)。抑制の効いた感情表現に、彼の成長を感じます。

実は、この〈ステラ〉。2つのテイクをつなげてできているそうです。『Legendary Session 1958/1961』(So What) というアルバムには、この曲でテイクを重ねる様子が30分近くにわたってノーカットで収録されているそうです。アマゾンにはないようですが、くわしくは、中山康樹さんの『エヴァンスを聴け!』(ロコモーションパブリッシング)をご覧ください。

『ジャズ・トラックス』には収録されていなかった〈ラヴ・フォー・セール〉。エヴァンスの回想によると、抑え気味の演奏にイライラしていたチェンバースとコブのためになにか派手な曲を、ということで、マイルスがいきなり後ろをむいて、〈ラヴ・フォー・セール〉といって演奏をはじめたのだそうです。

5曲目のジャッキー・マクリーン作〈リトル・メロネー〉のみ、明らかに「音」が違います。これ、実は55年10月26日に行われた、マイルスのコロンビア初レコーディングのときの音源なんですね(この日の録音からは、〈アー・リュー・チャ〉1曲だけが移籍第1弾『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に収録された)。

じゃあ、なんで『1958マイルス』に入っているかというと、マイルスは1958年にもこの曲を録音していて、どうもそちらと間違えたのではないか、と(笑)。前回アップした『マイルストーンズ』の2回目のセッション(58年3月4日)では、たしかに〈リトル・メロネー〉を録音しています。でも、この音は、とてもじゃないけれど、58年の音には聴こえません。わずか3年の間に、マイルスのバンドはここまで進化していたという証拠みたいな誤りです。



Miles Davis "1958 Miles"
(CBS/Sony SOPL-140)

Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderley (alto sax) except #3, 5
John Coltrane (tenor sax)
Bill Evans (piano) except #5
Red Garland (piano) #5
Paul Chambers (bass)
Jimmy Cobb (drums) except #5
Philly Joe Jones (drums) #5

Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; May 26, 1958 (#1-4)
Recorded at Columbia Studio D, NYC; October 26, 1955 (#5)

[Tracks]
01. On Green Dolphin Street Bronislaw Kaper (music) / Ned Washington (lyrics)
02. Fran Dance Miles Davis (music)
03. Stella By Starlight Victor Young (music) / Ned Washington (lyrics)
04. Love For Sale Cole Porter (music and lyrics)
05. Little Melonae Jackie McLean (music)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
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Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
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Miles Davis (@ allmusic.com)
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[Links: John Coltrane]
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[Links: Bill Evans]
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Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
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[Links: Philly Joe Jones]
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マイルス・デイヴィス『マイルストーンズ』

miles_milestones.jpg

マイルスの第1次黄金のクインテットは、1956年のマラソンセッションを最後に、スタジオから遠ざかります。重度のジャンキーに陥ったフィリー・ジョーとコルトレーンにかえて、テナーにロリンズ、ドラムにアート・テイラーを迎えたりして、ライヴ活動は続行しますが、マイルスの関心はすでにその先にありました。

57年には、ギル・エヴァンスとの一連のコラボレーションの端緒となる『マイルス・アヘッド』を吹きこみますが、これはオーケストラとの共演で、ピアニストは不参加。今は「マイルスのもとに去来したピアニスト」をたどる旅の途中なので、今回はとりあげません。

57年の暮れには、トレーンとフィリー・ジョーが戻り、アルトのキャノンボール・アダレイを加えたセクステットが始動。そのままツアーに出てバンドの熟成をはかり、翌58年の2月4日と3月4日の2回に分けて、モード時代の幕開けを告げた『マイルストーンズ』を録音します。

このアルバムは、なにはともあれ、LP のB面にあたる4曲目〈マイルストーンズ〉から聴いてください。頭から順に聴くと、このアルバムの新しさは伝わってこない。モード・ジャズといっても、最初からすべてができあがっていたわけでなく、この時期はまだ手探り状態。この曲だけは、今までにない新しさをストレートに感じることができます。

ところで、モードとはなんぞや。以下、引用は『マイルス・デイビス自叙伝2』より(訳は中山康樹さん)。

モードというのは、各音階、各音符から始まる7音のことだ。短音程の各音符から始まる音階とも言える。(中略)オレがモード奏法から学んだのは、限界がないってことだ。より多くのことが音列でできるから、和声進行といったようなことに悩まなくていいんだ。
モード奏法の演奏で大事なことは、旋律的にどれだけ創造的になれるかだ。コードに基づいてやるのとは違うから、32小節毎に、さっきやったことに変化をつけて繰り返すなんてこともなくなった。オレは、ワンパターンの演奏から遠ざかりつつあったし、もっと旋律的な方向へと向かっていた。だからモード手法に大きな可能性を感じたんだ。

楽器をやらない私には、わかったようなわからないような説明ですが、要は、演奏するときの音選びの自由度が飛躍的に増す、といったことでしょうか? こむずかしいことはさておき、ハードバップ時代のマラソンセッションを聴いたあとなら、絶対にこの「新しさ」はわかります。なにか違うぞ、と。この「なにか違うぞ」感こそがモードなんだと私は勝手に解釈しています(笑)。

ところで、2曲目の〈シッズ・アヘッド〉では、珍しくマイルスがピアノも弾いています。『マイルス・デイビス自叙伝2』によると、レコーディングの途中でレッド・ガーランドが怒って帰ってしまったとありますが、有名なマイルス・サイト Miles Ahead のSession Details を見ると、1958年3月4日のセッションでは、最初に〈シッズ・アヘッド〉が演奏され、レッド・ガーランドは遅れてきた、とあります。さて、真相はどっちでしょう?

いずれにしろ、モード時代に突入したマイルスにとって、ガーランドは「最適」なピアニストではなくなってしまいました。そこで、彼は次なるピアニストを探します。みなさんお待ちかね(?)、ビル・エヴァンスの登場です。

 

Miles Davis "Milestones"
(Columbia CL-1193/CS-8633)

Miles Davis (trumpet, flugelhorn #4, piano #2) except #5
Cannonball Adderley (alto sax) except #5
John Coltrane (tenor sax) except #5
Red Garland (piano) except #2
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded at Columbia 30th Street Studio, NYC; February 4 (#3-6), March 4 (#1, 2), 1958

[Tracks]
01. Dr. Jekyll Jackie McLean (music)
02. Sid's Ahead Miles Davis (music)
03. Two Bass Hit Dizzy Gillespie, John Lewis (music)
04. Milestones Miles Davis (music)
05. Billy Boy (traditional)
06. Straight, No Chaser Thelonious Monk (music)

[Links: Miles Davis]
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Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-Vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
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[Links: Philly Joe Jones]
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2006年10月20日

レッド・ガーランド『ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ』

garland_whentherearegreyskies.jpg

3日間にわたって続けて参りましたレッド・ガーランド特集も、いよいよフィナーレ。最後はやっぱり『ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ』でしょう。1962年10月9日録音のこのアルバムには、短い全盛期を終えた1人のピアニストが、時代の変化にあらがい、隠遁を決めた直前の演奏が収められています。

冒頭の〈ソニー・ボーイ〉を聴いて、あなたはなにを感じますか? これがあの、ガーランドのピアノでしょうか。同一人物とは思えない変貌ぶり。というよりも、「おいおい、お前、死ぬ気じゃないか?」と本気で心配したくなる、どうしようもない暗さ。指が動かない。というよりも、動かさない。いったい、彼になにが起きたというのでしょう?

2曲目でやや持ち直しますが、続く〈セント・ジェイムス病院〉で、絶望はさらに深刻度を増します。華やかなステージから遠く離れ、過ぎ去った過去を見つめる冷めた視線。持ち前の軽やかさはどこかに吹き飛び、重く、陰鬱な気分に包まれます。

そして、最後にひっそりと演奏される〈誰も知らない私の悩み〉。淡々と、ひたすら淡々と鍵盤に向かう彼に耳を傾けていると、いろいろな想いが走馬灯のように甦ってきます。これじゃ、まるっきり死の直前じゃないですか。でも、ガーランドはこのとき39歳。まだまだ働き盛りのはずなのに、枯淡の境地に至ってしまったのには、きっとなにか理由があるはず。時代のせいなのか、なにか重い病気を患ったのか。

アート・ペッパーの〈家路〉(『ゴーイン・ホーム』に収録)と並んで人生の黄昏を感じさせる、とても個人的で感傷的な演奏です。

 

Red Garland "When There Are Grey Skies"
(Prestige 7258)

Red Garland (piano)
Wendell Marshall (bass)
Charlie Pership (drums)

Produced by Ozzie Cadena
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; October 9, 1962

[Tracks]
01. Sonny Boy Ray Henderson, Al Jolson (music) / Buddy G. DeSylva, Lew Brown (lyrics)
02. My Honey's Lovin' Arms Joseph Meyer (music) / Harry Ruby (lyrics)
03. St. James Infirmary Joe Primrose (music and lyrics)
04. I Ain't Got Nobody Victor Young (music) / Charles Warfield (lyrics)
05. Baby, Won't You Please Come Home Clarence Williams (music) / Charles Warfield (lyrics)
06. Nobody Knows The Trouble I've Seen (traditional)

[Links: Redo Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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『レッド・ガーランド・アット・ザ・プレリュード』

garland_attheprelude.jpg Red Garland Trio - At the Prelude

さて、管入り2枚をはさんだところで、われらがレッド・ガーランドのトリオ作品に戻りましょう。『レッド・ガーランド・アット・ザ・プレリュード』。ニューヨークはブロードウェイの129丁目にあったサパー・クラブ、プレリュードでのライヴ録音です。

ガーランドには珍しいこのライヴ作品は、「ガーランド=カクテルピアノ」のイメージを植えつけた張本人だと思いますが、いわゆるライブハウスと違って、食事がメインの大人のお店。会話を邪魔しない、くつろいだ演奏のどこが悪い! 食事をしながらセシル・テイラーが聴けますか、ってんだ(爆)。

場をわきまえた軽妙な演奏のなかにも、随所にハッとするような美しいシングルトーンが響きます。そうそう、この軽やかな、コロコロと転がるようなピアノこそ、ガーランドの真骨頂。どれもリラックスして聴ける快演ばかりですが、エリントン・ナンバーの〈サテン・ドール〉、スタンダードの〈ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー〉、最後を飾るベイシーの〈ワン・オクロック・ジャンプ〉あたりが楽しくてお気に入りですね。

ちなみに、このときのライヴの模様は、『サテン・ドール』(Prestige 7859)、『リル・ダーリン』(Status 8314)、『レッド・ガーランド・ライヴ!』(New Jazz 8326)、計4枚のアルバムに分散収録されていましたが、今は、演奏順に並べたコンプリート盤が出ています。



 

"Red Garland At The Prelude"
(Prestige 7170)

Red Garland (piano)
Jimmy Rowser (bass)
Charles "Specs" Wright (drums)

Recorded live at the Prelude, NYC; October 2, 1959

[Tracks] Red Garland Trio - At the Prelude
01. Satin Doll Duke Ellington, Billy Strayhorn (music) / Johnny Mercer (lyrics)
02. Perdido Juan Tizol (music) / H.J. Lemgsfelder, Ervin Drake (lyrics)
03. There'll Never Be Another You Harry Warren (music) / Mack Gordon (lyrics)
04. Bye Bye Blackbird Ray Henderson (music) / Mort Dixon (lyrics)
05. Let Me See Count Basie, Harry Edison (music)
06. Prelude Blues Red Garland (music)
07. Just Squeeze Me Duke Ellington (music) / Lee Gaines (lyrics)
08. One O'Clock Jump Eddie Durham, Buster Smith, Oran "Hot Lips" Page (music)

[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』

pepper_meetsryhthmsection.jpg Art Pepper - Art Pepper Meets the Rhythm Section

重量級のテナーのあとは、軽やかなアルトといきましょう。『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』は、西海岸のスター、アート・ペッパーがマイルスのリズム・セクションを迎えて同じく西海岸のコンテンポラリー・レーベルに残した1枚です。

この記事を書くために、50年代のペッパーを久しぶりに聴きましたが、やっぱりいいですね。小鳥のさえずりのような軽やかな味わいは、この時期のペッパーしかもちえない代物です。男らしいロリンズのテナーを聴いたあとでは、なおさらです。とくに、フッと息をぬく瞬間のふわりとした感じ。この羽毛のようなやわらかさは、男が吹いていることを忘れるくらい、うっとりします。すばらしい!

どれも息をのむほど素敵な演奏ですが、〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉は、やっぱりはずせません。ニューヨークのため息(笑)ヘレン・メリル盤と並ぶ、名演です。シングルトーンで聴かせるガーランド以下、リズム・セクションも絶好調。日頃、マイルスの下で抑圧(?)されていた彼らが、かの地ではスターのような待遇を受けた、その喜びが演奏にあふれているかのようです。

そして、ペッパーのアルトを楽しむなら、彼のオリジナル、自伝のタイトルにもなった〈ストレート・ライフ〉。スピードをものともせず、どこまでも軽やかに飛翔するペッパー。この人、やっぱり天才だわ!!!

唯一残念なのは、私の持っている OJC の CD では、左右のスピーカーからペッパーとリズム隊が別々に聴こえてくることです(ほかの CD はどうですか?)。東のヴァン・ゲルダーと並び称される西海岸を代表する録音エンジニア、ロイ・デュナンの音はとてもクリアで、ペッパーの軽やかな魅力をあますところなく伝えていると思うのですが、いかんせん、意識が右に行ったり左に行ったりで、落ち着かないこと、このうえない。ステレオ録音導入期の名残なのかもしれませんが、これなら、ペッパーが真ん中にすっくと立つモノラル録音のほうがいいのかもしれません。

 

"Art Pepper Meets The Rhythm Section"
(Contemporary 3532)

Art Pepper (alto sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Lester Koenig
Recorded by Roy DuNann
Recorded at Contemporary's Studio, LA; January 19, 1957

[Tracks] Art Pepper - Art Pepper Meets the Rhythm Section
01. You'd Be So Nice To Come Home To Cole Porter (music and lyrics)
02. Red Pepper Blues Red Garland (music)
03. Imagination Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Burke (lyrics)
04. Waltz Me Blues Art Pepper, Paul Chambers (music)
05. Straight Life Art Pepper (music)
06. Jazz Me Blues Tom Delaney (music)
07. Tin Tin Deo Chano Pozo (music)
08. Star Eyes Gene DePaul, Don Raye (music and lyrics)
09. Birk's Works Dizzy Gillespie (music)

[Links: Art Pepper]
The Art Of Pepper
Art Pepper Discography Project (@ Jazz Discography Project
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ソニー・ロリンズ『テナー・マッドネス』

rollins_tenormadness.jpg Sonny Rollins Quartet - Tenor Madness

今でこそ、ピアノ・トリオはジャズの主戦場になっていますが、かつては、主役はあくまでトランペットやサックス奏者で、ピアノは脇役、リズム・セクションを構成する一人にすぎませんでした。だから、50年代半ばに継続的にトリオ作品を残したのは、プレスティッジのレッド・ガーランド、ヴァーヴのオスカー・ピーターソンくらいなもので、ようやく50年代の終わり近くになって、リヴァーサイドのビル・エヴァンス、ブルーノートのジーン・ハリス(ザ・スリー・サウンズ)が出てきますが、ほかの名だたるピアニストたちにトリオ作品(どころかリーダー作品)が少ないのは、やはり「脇役」という認識が一般的だったからでしょう。

レッド・ガーランドは私も大好きなピアニストですが、彼のトリオ作品を立て続けに2、3枚聴くと、さすがに飽きます。トリオというフォーマットは刺激が少ない分、どうしても金太郎飴になってしまうところがあって、こればっかりは、エヴァンスもキースもメルドーも避けられない。だから、管入りの作品をはさんで聴くのがちょうどいいわけです。

マイルスのリズム・セクションをバックに、テナーのロリンズとコルトレーン(1曲のみ)が相見えた『テナー・マドネス』。1回目のマラソンセッションの2週間後、名盤『サキコロ』の1か月前という録音時期、そして、なによりロリンズとトレーンの共演ということで話題の盤ですが、この時期のトレーンに聴くべきものはありません。1曲目の〈テナー・マッドネス〉は飛ばして、2曲目から、ロリンズの骨太テナーを心ゆくまで味わうのが、私の聴き方です(笑)。

たとえば、クラシックの作曲家ドビュッシーの〈Reverie〉をポピュラー音楽化した〈マイ・レベリー(私の夢)〉。ゆったりとして丸みをおびたこのテナーの音色はどうですか。水滴がしたたり落ちそうなくらい、しっとりと濡れそぼっています。う〜ん、たまりませんなあ〜。典雅なガーランドのピアノが彩りを添えます。うるさ型のフィリー・ジョーでさえも、格調高い曲の雰囲気に完全に呑まれています。

 

Sonny Rollins "Tenor Madness"
(Prestige 7047)

Sonny Rollins (tenor sax)
John Coltrane (tenor sax) #1
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; May 24, 1956

[Tracks] Sonny Rollins Quartet - Tenor Madness
01. Tenor Madness Sonny Rollins (music)
02. When Your Lover Has Gone Einer A. Swan (music and lyrics)
03. Paul's Pal Sonny Rollins (music)
04. My Reverie Debussy (music) / Larry Clinton (lyrics)
05. The Most Beautiful Girl In The World Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of the Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Philly Joe Jones]
Philly Joe Jones Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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レッド・ガーランド『グルーヴィー』

garland_groovy.jpg Red Garland - Groovy

レッド・ガーランドの代表作のみならず、ピアノ・トリオを代表する傑作、ガーランドのプレスティッジ第3弾『グルーヴィー』です。

名盤といわれるアルバムには必ずキラーチューンが入っているものですが、このアルバムのそれは、エリントンの〈Cジャム・ブルース〉。別名〈デュークス・プレイス〉でも知られるこの曲が流れてくると、そこはもうガーランドの世界。心なしか、いつもより「よく」聴こえるチェンバースのベースが気分を盛り上げます。いつ聴いても、どんな気分のときに聴いても、ハッピーになれること請け合いです。ああ、ジャズが好きでよかったと、心からそう思います。

そして、どの曲をとっても粒ぞろいの名演ばかりというのも、名盤の大切な要素です。続く〈ゴーン・アゲイン〉。ほかの人がとりあげないような、ほんとに何気ない曲なのですが、これがまた実にいいんです。ノリのいい曲にはさまれた一服の清涼剤。ブロックコードでやさしく奏でられるこの曲を聴けば、マイルスがなぜガーランドを愛したか、その理由がわかります。「花飾り」の名にふさわしい、可憐な演奏です。

あるいは、有名スタンダード〈ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー〉。重すぎず軽すぎず、明るすぎず暗すぎず、美に溺れず、力に頼らず、ワザをひけらかさず、洗練とも泥臭さとも一線を画した、まさに中庸の音楽。ガーランドの生命線は、この絶妙なバランス感覚にありそうです。「粋」に「小」をつけて「小粋」。まさにガーランドのためにあるような言葉です。

もう1つ、アルバムにとって大切な「顔」を忘れてはいけません。壁の落書きをあしらったこのジャケットは、そのセンスのよさにおいて、ジャズ史上まれに見る傑作です。

 

Red Garland "Groovy"
(Prestige 7113)

Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, December 14, 1956 (#4, 5), May 24 (#6), August 9 (#1-3), 1957

[Tracks] Red Garland - Groovy
01. C Jam Blues (aka. Duke's Place) Duke Ellington (music) / Bob Thiele, Ruth Roberts, Bill Katz (lyrics)
02. Gone Again Curtis Lewis, Curley Hamner, Gladys Hampton (music and lyrics)
03. Will You Still Be Mine Matt Dennis (music) / Tom Adair (lyrics)
04. Willow Weep For Me Ann Ronell (music and lyrics)
05. What Can I Say After I Say I'm Sorry Walter Donaldson, Abe Lyman (music and lyrics)
06. Hey Now Red Garland (music)

[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
Red Garland Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年10月19日

『レッド・ガーランズ・ピアノ』

garland_redgarlandspiano.jpg

レッド・ガーランドのプレスティッジ第2弾『レッド・ガーランズ・ピアノ』。メンバーは前回と変わらず。人気盤『グルーヴィー』(次回アップします)と同日録音を含む「裏グルーヴィー」的なアルバムです。

よく見ると、5曲目に〈イフ・アイ・ワー・ベル〉が入っています。わずかひと月半前に、マイルスのマラソンセッションで愛らしいピアノを聴かせたガーランドが(『リラクシン』収録)、今度はトリオでこの曲を料理しました。で、結果はどう出たか。残念ながら、マイルスのいない〈イフ・アイ・ワー・ベル〉は、大切ななにかを置き忘れた残り滓のようで、おすすめできません。

あるいは、マイルスのお気に入り、アーマッド・ジャマルでおなじみの〈バット・ノット・フォー・ミー〉。マイルスはジャマルのような「旋律的な控え目さと軽さ」をもったピアニストとして、ガーランドを自分のバンドに迎えたわけですが、「ジャマルのように弾いてくれ」といわれたガーランドの心境はいかばかりか。ここでは同じ「軽さ」を前面に出しながらも、「オレはジャマルじゃない」といわんばかりに、玉のようによく転がるピアノで、音の間隙を埋めていきます。でも、どこか気負いが感じられる演奏です。いまいちリラックスできないというか。

じゃあ、なにを聴けばいいの? というアナタ。忘れていませんか、冒頭の〈プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ〉を。フィニアス・ニューボーン Jr. の同名アルバムが有名ですが、フィニアスのこってりと脂ののった濃密な演奏と比べて、ガーランドのそれは、重すぎず軽すぎず、聴き疲れのしない心地よさをもっています。ガーランドの代名詞「ブロックコード」を堪能できる名演です。

 

"Red Garland's Piano"
(Prestige 7086)

Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; December 14, 1956 (#5,6), March 22, 1957 (#1-4, 7, 8)

[Tracks]
01. Please Send Me Someone To Love Percy MayField
02. Stompin' At The Savoy Edgar Sampson, Chick Webb, Benny Goodman (music) / Andy Razaf (lyrics)
03. The Very Thought Of You Ray Noble (music and lyrics)
04. Almost Like Being In Love Frederick Loewe (music) / Alan Jay Lerner (lyrics)
05. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics)
06. I Know Why Harry Warren (music) / Mack Gordon (lyrics)
07. I Can't Give You Anything But Love Jimmy McHugh (music) / Dorothy Fields (lyrics)
08. But Not For Me George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)

[Links: Red Garland]
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2006年10月18日

レッド・ガーランド『ア・ガーランド・オブ・レッド』

garland_agarlandofred.jpg

オリジナル・マイルス・クインテットのピアニスト、レッド・ガーランドの初リーダー作『ア・ガーランド・オブ・レッド』です。このアルバムが録音されたのは1956年8月17日ですから、ちょうど二つのマラソン・セッションの合間ということになります。

レッド・ガーランド、本名 William McKinley Garland。1923年5月13日、テキサス州ダラス生まれ。1984年4月23日、テキサス州ダラスで死去。若いころはクラリネットとアルトサックスを吹いたそうですが、軍隊生活を終えた後はプロボクサーとして30勝1敗の戦績を残します。数字だけ見るとなかなかの腕だと思うのですが、ボクサーは断念。以後、ジャズ・ピアニストとして生計を立てていきます。

レッドのあだ名は、20代のころ髪を赤く染めていたから。彼の名が世間に広まったのは
やはりマイルス・デイビスのバンドに参加してからのことで、冠なしの「ザ・リズム・セクション」といえば、ガーランドにポール・チェンバース、フィリー・ジョーンズのことでした。

引っ越し前のライブドアのブログには書きましたが、この『ア・ガーランド・オブ・レッド』は私にとって思い入れのある作品です。生まれてはじめて高級オーディオで聴いたアルバムであり、生まれてはじめてオリジナルのアナログ盤を聴いたアルバムでもあるからです。Hさんというオーディオマニアの方のお宅で聴かせていただいたのですが(Hさん、その節はたいへんお世話になりました)、いやもう驚いたのなんのって。これまでのガーランド観どころか、これまでのジャズ観が根底から覆されるような衝撃を受けました。

みなさん、音にさわることができるって知ってました? よく仕込まれたオーディオから出る分厚いサウンドは、その場に「音場」とでもいうべき確かな実体をともなっていて、手を伸ばせば触れられるような、そんな錯覚を抱かせるのです。よく「誰々が目の前にいるような」と表現したりしますが、まさしく2本のスピーカーと私の間の空間に鍵盤を転がすガーランドにベースをつまびくチェンバース、小気味よくシンバルを叩くアート・テイラーがいるような、そんな感じ。いずれも、どちらかといえば地味目の、玄人好みの人たちですが、眼前に見る(本当に「見える」んです!)彼らは、地味なんてとんでもない! ガーランドが「カクテルピアノ」だなんていうステレオタイプのイメージは完全に吹き飛びます。

くっきりと粒立ちのよいピアノの音色に、ファースト・コールの名に恥じないチェンバースのしびれる重低音、そして、耳元まで鋭く切り込んでくるアート・テイラーのシンバルが、ああ、もう快感です。ガーランドがリーダー作を録るにあたって、「ザ・リズム・セクション」のフィリー・ジョーではなく、アート・テイラーを選んだ理由がわかります。1曲目の〈ア・フォギー・デイ(霧の日)〉。マジでしびれます。

ちなみに、英語の garland には「花飾り、花輪」という意味があり、タイトルは「赤い花飾り」をもじったものです。

 

Red Garland "A Garland Of Red"
(Prestige 7064)

Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Art Taylor (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; August 17, 1956

[Tracks]
01. A Foggy Day George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)
02. My Romance Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
03. What Is This Thing Called Love Cole Porter (music and lyrics)
04. Makin' Whoopee Walter Donaldson (music) / Gus Kahn (lyrics)
05. September In The Rain Harry Warren (music) / Al Dubin (lyrics)
06. Little Girl Blue Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
07. Constellation Charlie Parker (music)
08. Blue Red Red Garland (music)

[Links: Red Garland]
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マイルス・デイヴィス『スティーミン』

steamin.jpg Miles Davis Quintet - Steamin' With the Miles Davis Quintet

いよいよ ING4部作のラスト、『スティーミン』です。これも1曲のみ10月の録音で、残りは5月11日の1回目のセッションからです。このアルバムがリリースされたのは61年ですから、実に、録音から5年後にようやく陽の目を見たことになります。どうしてそんなに発売が遅れたのか。

人気者マイルスをコロンビアに奪われたプレスティッジは、彼の忘れ形見であるマラソン・セッションの録音を、ほぼ1年おきに「新譜」として発売したんですね。61年のマイルスといえば、すでにビル・エヴァンスが去り、ウィントン・ケリーを迎えて『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』を録ったり、ギル・エヴァンスとのコラボレーションで『アット・カーネギー・ホール』を録ったりしていたころです。すでに次の地平に立っていたマイルスにとって、この時期に発売された56年録音の「新譜」ってどうだったんでしょう?

それはさておき、4部作のうちでもっとも影の薄い『スティーミン』には、マイルスには珍しいカルテット演奏が2曲も入っています。

ところで、ジャズファンというのは、ワン・ホーン・カルテットに目がないものですが、マイルスのカルテットって、あんまり気にしたことないと思いません? 『ブルー・ヘイズ』や『ザ・ミュージングス・オブ・マイルス』というアルバムもあるにはあるんですが、代表作にあがることは、まずありません。ふつうなら「マイルスのワン・ホーンものが聴きたい」と欲求不満に陥るところですが、マイルスの場合はほとんど感じない。

それはたぶん、マイルスがクインテットだろうがセクステットだろうが、テーマをたった独りで吹くからです。サックス奏者と音をかけあわせることももちろんありますが、「ここ」という決めどきは、必ず独りです。いちばんおいしいところは、誰にも渡さない。それが強烈な印象としてインプットされているから、マイルスのワン・ホーン作品を渇望するには至らないのだと思います。

 

"Steamin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7129)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax) except #3, 6
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; May 11 (#1-4, 6), October 26 (#5), 1956

[Tracks] Miles Davis Quintet - Steamin' With the Miles Davis Quintet
01. The Surrey With The Fringe On Top Richard Rodgers (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
02. Salt Peanuts Dizzy Gillespie, Kenny Clarke (music)
03. Something I Dreamed Last Night Sammy Fain (music) / Jack Yellen, Herb Magidson (lyrics)
04. Diane Erno Rapee, Lew Pollack (music)
05. Well, You Needn't Thelonious Monk (music)
06. When I Fall In Love Victor Young (music) / Edward Heyman (lyrics)

[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
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マイルス・デイヴィス『ワーキン』

workin.jpg Miles Davis - Workin'

ING4部作の第3弾、『ワーキン』。今回は1956年5月11日のセッションが中心で、10月26日からは〈ハーフ・ネルソン〉の1曲しか収録されていません。

はっきりいってジャケットがダサいために損をしている1枚です。「道路を掘ってるおっさんが、ちょっと一服しているところではないか」とは中山康樹さんの弁ですが(双葉文庫『マイルスを聴け!2001』より。現在は『Version 7』が出ています)、たしかに、こりゃないよな。いくらプレスティッジを去ったからといって、マイルスがかわいそうです。

『ワーキン』のどこがすごいか。冒頭の〈イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド〉。まさにマイルスのために書かれたような、スウィートな曲です。ライヴでは、女を口説くためにバラードを吹いたというマイルス。「100人も女がいた」というマイルスの発言はさておき、いろんなタイプの女たちをその気にさせるには、手練手管のワザが必要です。繊細でリリカル、ちょっと淋しげな素振りも見せたりして、悩ましいことこのうえない(笑)。

マイルスの引き立て役をつとめるガーランドが、これまたすばらしい。弾きすぎない。目立たないのにハッとさせるような音をつむぐ。ブロックコードが有名な彼ですが、シングルトーンの美しさも特筆ものです。いやあ、いいものを聴かせてもらいました。

デイヴ・ブルーベック作の〈イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ〉。白人嫌いで知られるマイルスですが、ビル&ギルの両エヴァンスしかり、テオ・マセロしかり、いいものはどん欲に吸収するのがマイルスでした。マイルスはこの曲をわずか2か月前に録音したばかりでしたが(テナーにロリンズを迎えた『コレクターズ・アイテムズ』に収録)、よほど気に入ったのでしょう、得意のミュートで思い入れたっぷりに吹いています。

6曲目、マイルスが惚れ込んでいたピアニスト、アーマド・ジャマルの〈アーマッズ・ブルース〉はフロントの2人はお休みで、トリオによる演奏です。ガーランドのブロックコードにチェンバースの弓弾き、つんのめりがちなフィリー・ジョーのドラミング。このトリオのおいしいところが詰まったような演奏です。

 

"Workin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7129)

Miles Davis (trumpet) except #6
John Coltrane (tenor sax) except #1, 6
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; May 11 (#1-6, 8), October 26 (#7), 1956

[Tracks] Miles Davis - Workin'
01. It Never Entered My Mind Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
02. Four Miles Davis (music)
03. In Your Own Sweet Way Dave Brubeck (music)
04. The Theme [take 1] Miles Davis (music)
05. Trane's Blues John Coltrane (music)
06. Ahmad's Blues Ahmad Jamal (music)
07. Half Nelson Miles Davis (music)
08. The Theme [take 2] Miles Davis (music)

[Links: Miles Davis]
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マイルス・デイヴィス『リラクシン』

relaxin.jpg Miles Davis - RELAXIN' (リラクシン)

前作『クッキン』に続いてリリースされたのが、この『リラクシン』です。タイトルは『リラクシン』ですが、ちっともリラックスできないことで知られています(笑)。

その理由は、ほかならぬマイルスです。彼の存在が、クインテットのほかのメンバーを圧倒します。息苦しいほどの緊張感。演奏の前後に、マイルスのハスキー・ヴォイスが響きます。

「先に演奏するぞ、曲名はあとで教える」
「そうじゃない、ブロックコードで演ってくれ」
「(もう1回やろう、という声に対して)ホワイ?」

マイルスの例のしわがれ声は強烈ですが、『マイルス・デイビス自叙伝』(宝島社文庫)には、声が嗄れたときのエピソードが載っています(訳は中山康樹さん)。

トロントでの出来事のすぐ後、1956年の2月か3月だったと思うが、喉の手術をして、回復するまでバンドを解散しなきゃならなかった。ずっと気になっていた非ガン性の咽頭腫瘍を取り除いたんだ。病院を出てすぐに、あるレコード会社の奴と会ったんだが、そいつはオレと契約しようと、うるさいくらい喋りつづけやがった。で、オレは嫌だったし、はっきりさせようと声を荒げて、声帯をダメにしてしまった。医者から、とにかく10日間は声を出しちゃいけないと言われていたのに、オレは喋るだけじゃなく大声で怒鳴ってしまった。だから、オレの声はこんなふうにしゃがれたんだ。最初は気になったが、結局はこんな声なんだと思うようになった。

『リラクシン』は10月26日の4曲と、5月11日の2曲で構成されています。聴きものは、1曲目フランク・レッサーの〈イフ・アイ・ワー・ア・ベル〉と、3曲目ロジャース&ハートの〈アイ・クッド・ライト・ア・ブック〉。どちらも心がうきうきしてくるような、楽しいな演奏です。

こういう曲を弾かせたら、ガーランドのコロコロとした愛らしいピアノにかなう人はいません。クールでヒップな野郎どもが垣間見せた、チャーミングな一面。例によって、トレーンが無粋なブロウでぶち壊しにしますが、ここはマイルスとガーランドに免じて、目をつぶりましょう。

 

"Relaxin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7129)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; May 11 (#5-6), October 26 (#1-4), 1956

[Tracks] Miles Davis - RELAXIN' (リラクシン)
01. If I Were A Bell Frank Loesser (music and lyrics )
02. You're My Everything Harry Warren (music) / Mort Dixon, Joe Young (lyrics)
03. I Could Write A Book Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
04. Oleo Sonny Rollins (music)
05. It Could Happen To You Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Burke (lyrics)
06. Woody 'n You Dizzy Gillespie (music)

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マイルス・デイヴィス『クッキン』

cookin.jpg Miles Davis - COOKIN'

あまりに昔のことですっかり忘れていましたが、マイルス&ピアニストの変遷を特集してたんですね(笑)。というわけで、久しぶりにマイルスのアルバムを。前回はセロニアス・モンクと共演した『バグズ・グルーヴ』と『アンド・ザ・モダン・ジャズ・ジャイアンツ』をとりあげたので、今回はレッド・ガーランド参加のクインテット、通称マラソン・セッションのなかから『クッキン』といきましょう。

マラソン・セッションというのは、1956年の5月11日と10月26日の2回にわたってプレスティッジに吹きこまれたスタジオ・ライヴ・セッションのことです。当時、マイルスはメジャーレーベル、コロンビアとの二重契約状態にあり、プレスティッジとの残りの契約をはたすため、2日間、文字どおりヴァン・ゲルダー・スタジオに缶詰になって、合計26曲の演奏を収録しました。この2回の録音から、『クッキン』『リラクシン』『ワーキン』『スティーミン』の「ING4部作」が誕生したというのは有名な話です。

メンバーは当時のレギュラー・クインテット。マイルスを筆頭にジョン・コルトレーン (tenor sax)、レッド・ガーランド (piano)、ポール・チェンバース (bass)、フィリー・ジョー・ジョーンズ (drums)。この第一次黄金のクインテットの初録音は、コロンビア盤『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』ですが、プレスティッジには5枚のアルバムが残されています。

いわゆる ING4部作のうち、ほかの3枚は、5月と10月の吹き込みがともに収められていますが、『クッキン』だけは10月の吹き込みだけで構成されています。つまり、55年に結成されたレギュラー・クインテットが活動1年を経て、もっとも脂ののった時期なだけに、演奏の密度が濃いわけです。ING4部作は57年から61年にかけて1枚ずつ発売されたのですが、最初に、録音的にはいちばん新しいこの『クッキン』をもってきたのには、やはり、それなりの理由があったのでしょう。

そして、アルバムの冒頭を飾る〈マイ・ファニー・ヴァレンタイン〉。ガーランドのかわいらしいピアノにつづいて入ってくるマイルスのミュート・トランペットのリリカルさといったら。「卵の殻のうえを歩く男」の異名をとったマイルスの面目躍如です。マイルスのソロのあとは、計算され尽くしたガーランドのピアノ。この美しすぎる曲で、トレーンにバトンタッチしないところはさすがです(笑)。

3曲目、ロリンズ作の〈エアジン〉。『バグズ・グルーヴ』での演奏よりいくぶんテンポアップして、ハードボイルドな雰囲気がなんともたまりません。フィリー・ジョーの切れ味鋭いドラミングが聴きものです。

続く4曲目の〈チューン・アップ〉もいいねえ。のっけから全速力で突っ走るフィリー・ジョー。ポール・チェンバースも力強く地を這います。途中ガーランドの姿がどこかに消えますが、マイルス、フィリー・ジョー、チェンバースだけでこの疾走感。ク〜ッ、たまらん(笑)。トレーンのソロ、ガーランドのソロと続いたあと、マイルスとフィリー・ジョーが短いやりとりをして終わりと思いきや、そのまま、ベニー・カーターのオールド・ファッションな〈ホエン・ライツ・アー・ロウ〉へと続きます。このほんわかとしたぬくもり。

ハードボイルドから心暖まるヒューマン・ストーリーまで、なんでもこなすこの時期のマイルスの充実ぶりといったら。ホンマ、脱帽です。

 

"Cookin' With The Miles Davis Quintet"
(Prestige 7094)

Miles Davis (trumpet)
John Coltrane (tenor sax)
Red Garland (piano)
Paul Chambers (bass)
Philly Joe Jones (drums)

Produced by Bob Weinstock
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack NJ; October 26, 1956

[Tracks] Miles Davis - COOKIN'
01. My Funny Valentine Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
02. Blues by Five Miles Davis (music)
03. Airegin Sonny Rollins (music)
04. Tune Up 〜 When Lights Are Low Miles Davis (music) 〜 Benny Carter (music)

[Links: Miles Davis]
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Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
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[Links: John Coltrane]
John Coltrane (Official Website)
John Coltrane (@ Dave Wild's WildPlace)
John Coltrane Discography (by ANTAIOS)
John Coltrane Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Red Garland]
Red Garland の世界 (by GAKO)
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iBook G4 でモバイル

ws002in1.JPG
左が通信モジュール W-SIM、右が WS002IN(通称 DD)

ws002in2.JPG
DD を iBook に挿したところ(USB 接続)

Mac ユーザーのみなさん、外出先での通信はどうしてますか? iBook や MacBook には AirMac が標準搭載されていて、自宅での無線 LAN 構築はとてもカンタンで便利ですが(うちでは、USEN の光ファイバーに AirMac Express を接続して、ネットからプリンタまでワイヤレスで接続してます)、唯一の泣き所は、モバイル。通信カードを挿そうにも、そもそもPC カードスロットがついてないし、手持ちのケータイも Mac 対応してなかったりして、外出先でのネット接続には、公衆無線 LAN のアクセスポイントを探すしかありませんでした。

最近は、外に Mac を持ち出す機会もふえ、どうしようかなあと思っていたのですが、USB 接続できるデータ通信カードというものがあることを知り(遅い???)思わず買っちゃいました、ウィルコムの DD/WS002IN

この DD、いってみれば USB 接続のカードスロットみたいなもので、主役は、なかに挿し込む W-SIM という通信モジュールなんですね。この W-SIM は、SIM STYLE の製品ならなんでも挿し込めるので、いったん手に入れれば、話題の W-ZERO3 にも使えるそうです(といっても、私は W-ZERO3 は買わないだろうけど)。

どういうわけか、WILLCOM STORE では在庫切れになっていたので、私は APPLE STORE で購入しました。まず、WS002IN(外側ね)だけが届くので、同封されている W-SIM の申込書をファックス(郵送)すると、数日中にウィルコムから W-SIM が送られてきます。設定はカンタン、インストーラーの指示どおりにすれば OK です。今お使いのプロバイダが AIR-EDGE に対応してなかったとしても、だいじょうぶです。PRIN というウィルコムのネット接続サービスがあるので、それを選択すれば、即つながります。

通信速度は、そうですね、4Xパケット方式なので、光ファイバーと比べるとかなりストレスは感じますが、外出先でのメールチェック、ブログの更新くらいなら問題ないと思います。

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2006年10月17日

マーク・コープランド&ビル・キャロザーズ『ノー・チョイス』

marccopland_nochoice.jpg

マーク・コープランドとビル・キャロザーズ。スケッチレーベル(扱いは澤野工房)の作品で名をあげた二人ですが、芸歴は意外と古いようです。

マーク・コープランド。1948年5月27日、ペンシルヴァニア州フィラデルフィア生まれというから、実はかなりのベテランなんですね。そのわりに名前が出てきたのが遅いなと思ったら、それもそのはず、彼はもともとサックス奏者だったんですね。いったんニューヨークに出て、エレクトリック・アルトなんかにも手を出したようですが、きっと鳴かず飛ばずだったんでしょう。故郷に戻ってピアノを学びはじめます。彼がシーンに復帰したのは80年代半ば。90年代にゲイリー・ピーコック (bass)、ビリー・ハート (drums) とトリオを組んだあたりから、現在のような小編成(ソロ、デュオ、トリオ)中心の活動を送っています。

ビル・キャロザーズ。生年月日はわかりませんが、もう20年以上もピアニストとしてのキャリアを積んでいるようです。第一次世界大戦など重苦しいテーマを取り上げたりして、内省的なイメージがある人ですが、ホームページを見ると、完全にイメージを覆されます(笑)。実はかなりお茶目な人じゃないか、と。

そんな二人が組むとどうなるか。アルバムは、オーネット・コールマンの名曲〈ロンリー・ウーマン〉で幕を開けます(初出はもちろん『ジャズ来るべきもの』です)。この重苦しさはどうでしょう! 人生のダークサイドに思わず足を踏み入れたような、底なしの暗さに気が滅入ります。淋しい女というより、絶望する女。左のスピーカーから聞こえるキャロザーズの鼻息ともうめき声ともつかぬ音が、恐怖を増幅します。

続く2曲目は必殺の「あなたと夜と音楽と」。でも、こちらも重く暗い出だしです。別に低音ばかり弾いているわけでもなく、すきまがないほど音で埋め尽くされているのに、ちっとも明るくない。でも、この張りつめた空気は尋常じゃありません。ぜひボリュームを上げて、音の洪水を全身で受け止めてください。内省的? 耽美的? 繊細? いや、二人とも思いのほか力強いタッチで耳元に迫ってきます。この二人、こんなに叩きつける弾き方だったっけ?

そして9曲目、セロニアス・モンクの「ベムシャ・スイング」でその疑いはいよいよ濃厚になってきます。モンクス・オリジナルには、演奏する人を多かれ少なかれ「モンク的」にしてしまう呪縛がありますが、このパーカッシヴな奏法は、まさしくモンク譲りです。

聴けば聴くほど、どんどんイメージが変わっていきます。もともと色彩感に乏しい二人ですが、淡い墨絵のような印象だったのが、もっと陰影のはっきりした、力強い筆致で描かれた禅書のようなインパクトがあります。

ところで、このアルバム、メンツといい、アートワークといい、いかにもスケッチレーベルっぽいわけですが、それもそのはず、プロデューサーもエンジニアも録音スタジオも、すべて倒産したスケッチとおんなじなんですね。良質な作品を生み出していたプロデューサー兼デザイナーの Phillippe Ghielmetti がパッケージ込みでフリーになったのか、それとも Minium レーベルに移籍したのかは定かではありませんが、ハイレベルの作品群にまた出会えるのですから、よしとしましょう(とはいえ、ジャケットの質感が若干落ちている気がするのは、紙代などのコスト削減のあおりを受けてのことでしょうか)。

Marc Copland, Bill Carrothers "No Choice"
(Minium 6128452)

Marc Copland (piano: right)
Bill Carrothers (piano: left)

Produced by Phillippe Ghielmetti
Recorded by Gerald de Haro
Recorded at Studio La Buissonne, Pernes-les-Fontaines; January 23, 24, 2006

[Tracks]
01. Lonely Woman Ornette Coleman (music)
02. You And The Night And The Music Arthur Schwartz (music) / Howard Dietz (lyrics)
03. The Needle And The Damage Done Neil Young (music)
04. Dim Some Marc Copland, Bill Carrothers (music)
05. Take The "A" Train Duke Ellington, Billy Strayhorn (music) / Johnny Mercer (lyrics)
06. Blue In Green (Chorale) Miles Davis, Bill Evans (music)
07. Blue In Green (Theme & Variations) Miles Davis, Bill Evans (music)
08. Masqualero Wayne Shorter (music)
09. Bemsha Swing Thelonious Monk (music)
10. Lonely Woman Ornette Coleman (music)

[Links: Marc Copland]
Marc Copland Home Page
Marc Coplamd (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Bill Carrothers]
Bill Carrothers Home Page

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2006年10月13日

カキ・キング『... アンティル・ウィ・フェルト・レッド』

kakiking_untilwefeltred.jpg Kaki King - ...Until We Felt Red

ギターを奏でるのでも、かき鳴らすのでもなく、叩くことで、耳目を奪ったカキ・キングの新作『... アンティル・ウィ・フェルト・レッド』。

「このアルバムではテクニックで誰かを感動させようとは思わなかった」という彼女の言葉どおり、いつもの打楽器奏法はひかえめで、奥行きと広がりを感じさせるサウンドにしあがっています。それもそのはず、かつての一人カーニバル状態から脱し、パートナーを迎えてつくったこのアルバムのコンセプトは、おそらくプロデューサーのジョン・マッケンタイアに負うところが大きいのでしょう。

カキ・キング。1980年、ジョージア州アトランタ生まれ。5歳の頃からギターを手にし、ローティーン時代にベースとドラムもマスター、大学時代はロックバンドでドラムを叩いていたんだそうです。卒業後、地下鉄の駅構内でストリート・パフォーマンスをしていたというから、彼女のワイルドな部分は、ストリート時代に築かれたのかもしれません。

ニッティング・ファクトリーでのライヴをヴェロア・ミュージックのスタッフに見初められて、デモテープをそのままリリースした 1st アルバム『エブリバディ・ラヴズ・ユー』が出たのが2003年。以後の活躍はご存じのとおりです(って知らないか)。

奇妙にゆがんだギターの音色にとろけます。生々しさを残しながらも、洗練された奥行きのあるサウンド。今回は5曲で歌も披露しています。ワイルドな風貌に似合わぬキュートな歌声。好きだなあ。

タイトルにかけて、赤いフェルトを全身にまとったジャケットも秀逸。CDの盤面にも、赤い毛糸が。こういう遊び心、大歓迎です。

 

Kaki King "... Until We Felt Red"
(velour PVCP-8803)

Kaki King (guitar)
John McEntire (drums)
Dan Brantigan (flugelhorn #3,6)
Katie Sassidy (harp #9)
Matt Hankle (drums #2)
Fred Lonberg (cello #8)
Dan Mintzer (drums #9)
Kelli Rudick (array m'bira #10)

Produced and Recorded by John McEntire
Recorded at Soma Studios, Chicago

[Tracks] Kaki King - ...Until We Felt Red
01. Yellowcake Kaki King (music)
02. ... Until We Felt Red Kaki King (music)
03. You Don't Have To Be Afraid Kaki King (music)
04. Goby Kaki King (music)
05. Jessica Kaki King (music)
06. First Brain Kaki King (music)
07. I Never Said I Love You Kaki King (music)
08. Ahuvatl Kaki King (music)
09. These Are The Armies Of The Tyrannized Kaki King (music)
10. Second Brain Kaki King (music)
11. Soft Shoulder Kaki King (music)
12. The Footsteps Die Out Forever Kaki King (music)
13. Gay Sons Of Lesbian Mothers Kaki King (music)
14. Brazilian Kaki King (music)

[Links: Kaki King]
Kaki King (Official Web Site)

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2006年10月11日

オーネット・コールマン『サウンド・グラマー』

ornette_soundgrammar.jpg Ornette Coleman - Sound Grammar

北朝鮮が核をもつ。なぜこの事実が、こうも私たちの心をざわつかせるのでしょうか。考えてみれば、日本は冷戦時代からつねに核の標的となってきました。旧ソ連の核ミサイルのうちいくつかは、間違いなく在日米軍基地に向けられていたでしょうし、現在、中国の仮想敵国はおそらくアメリカとその同盟国である日本でしょう。でも、私たちに今ほどの切迫感はなかった。なぜでしょう? おそらく、それは核がもたらす恐怖よりも、相手も同じ人間だ、だから使えるはずがない、というねじれた信頼関係(=抑止力)のほうが、リアリティをもって感じられたからでしょう。

ところが、今回は私たちの理解を超えた国が相手です。こちらの常識で対処できない相手に遭遇したとき、人は恐怖を感じます。1962年のキューバ危機にケネディ政権があれほど過剰に反応したのも、やはり予測がつかない国が相手だったことと無関係ではないはずです。アメリカに遅れること半世紀近く、日本はついに核の恐怖と真正面から向き合わなければならなくなった。さて、安倍政権はどういう方向に舵を取るのか。注目です。

得体の知れないものに遭遇したとき、人は恐怖を感じ、拒絶反応を起こします。しかし、時間が経つにつれて、分析され、解釈を施されて、徐々に理解可能な次元へと引き戻されていきます。前衛と呼ばれる芸術活動もそう。出てきた当初はセンセーショナルな話題を提供しますが、わけ知り顔の解説者がさまざまに解釈し、理解可能な「ルーツ」が明らかにされると、やがて、私たちの感性もそれになれてきて、いつしかそれは前衛ではなくなります。

前衛活動は、旧体制を破壊する衝動をともないますが、時が経ち、破壊すべき対象が古くさくなってしまうと、そもそも何に対する前衛なのかが見えなくなります。過激さがはぎとられ、それこそフツーの芸術表現として、日常にとけ込んでいくわけです。

フリー・ジャズがたどった軌跡も、まさにそのとおりでした。フリー・ジャズといえば、オーネット・コールマンなわけですが、久々に届いた彼の新作『サウンド・グラマー』を聴くと、あまりのフツーさに、かえって腰を抜かします。ダブル・ベースにドラム、サックスという組み合わせも、バイオリンをめちゃめちゃにかき鳴らす姿も、今となっては、あまりに日常的すぎて、間違っても「前衛」という言葉は思いつきません。

じゃあ、なんで聴くのでしょう? それは、オーネットのアルトが聴きたいからです。彼の調子っぱずれの甲高いアルトを耳にしただけで、私なんかは、完全に昇天します(笑)。ああ、もう快感。これ以上は、なんもいらない。

演っている曲はすべてオーネットのオリジナル曲ですが、けっこう有名な曲も入っているので、少し年期のいった人なら「ああっ、これって聴いたことある」という曲がきっとあります。そうなると、もはや懐古趣味。ノスタルジーな味わいさえ感じさせる、オーネット76歳の境地です。



Ornette Coleman "Sound Grammar"
(Phrase Text SG 11593)

Ornette Coleman (sax, violin, trumpet)
Gregory Cohen (bass)
Tony Falanga (bass)
Denardo Coleman (drums, percussion)

Produced by James Jordan
Recorded by Chris Agovino
Recorded live in Ludwigshafen, Germany; October 14, 2005

[Tracks] Ornette Coleman - Sound Grammar
01. Jordan Ornette Coleman (music)
02. Sleep Talking Ornette Coleman (music)
03. Turnaround Ornette Coleman (music)
04. Matador Ornette Coleman (music)
05. Waiting For You Ornette Coleman (music)
06. Call To Duty Ornette Coleman (music)
07. Once Only Ornette Coleman (music)
08. Song X Ornette Coleman (music)

[Links: Ornette Coleman]
Harmolodic.com (Official Website)
Ornette Coleman (by Masumas)
Ornette Coleman Discography (by Akio Kamiyama)
Ornette Coleman Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2006年10月05日

『メセニー/メルドー』

metheny_mehldau.jpg Brad Mehldau & Pat Metheny - Metheny Mehldau

ブラッド・メルドーの新譜は、驚きのパット・メセニーとのデュオ、その名も『メセニー/メルドー』です(4曲目と7曲目のみ、メルドー・トリオのラリー・グレナディア (bass) とジェフ・バラード (drums) が加わる)。

たしかに、伏線はあったんです。世紀の変わり目にパットが出したトリオ作『トリオ99→00』と、そのライヴ盤『トリオ→ライブ』には、メルドー・トリオでおなじみのベーシスト、ラリー・グレナディアが参加していました。メルドーの奥さん、フルーリーンの『クロース・イナフ・フォー・ラヴ』では、パットの楽曲「ベター・デイズ・アヘッド」がとりあげられていました。だから、いつかは共演か? なんて思っていたのですが、本当にやっちゃいましたねえ。

アルバムの冒頭を飾るのは、メルドーの最高傑作『ソングス』から、「アンリクワイテッド(報われぬ想い=片想い)」。このはかなく美しい曲に私は目がないのですが、あの一種独特な「気分」に浸ろうと思ってスタートボタンを押すと、あれ? ちょっと違うぞ。曲はもちろん美しいのですが、どうもメルドーのあやしさ、脆さが感じられません。カラッと乾いたさわやかさ。これって、やっぱりパットのせいなんでしょうねえ。

パットのギターには、いつものめりこめないものを感じるのですが、これなんかもそうだなあ。表面的には明るいんだけど、深みを感じないというか。メセニー&メルドーの夢の共演ということで、アマゾンのレビューなどもで激賞されていますが、どうもね。私はパットとは相性がよくないんでしょう、きっと。

というわけで、私はひたすらメルドーのピアノに耳を傾けるわけですが、パットの印象に引きずられたせいか、全体に平板な感じを受けました。ハッとさせられたのは、話題のデュオではなく、ベースとドラムが加わったカルテット演奏の4曲目。ドラムが入ると、こうも違うかと驚きます。息をつかせぬスリリングな展開。そうそう、こうじゃなくっちゃね。

 

Pat Metheny, Brad Mehldau "Metheny Mehldau"
(Nonesuch 79964-2)

Pat Metheny (guitar)
Brad Mehldau (piano)
Larry Grenadier (bass #4, 7)
Jeff Ballard (drums #4, 7)

Produced by Pat Metheny
Recorded by Peter Karam
Recorded at Right Track Recording, NYC; December 2006

[Tracks] Brad Mehldau & Pat Metheny - Metheny Mehldau
01. Unrequited Brad Mehldau (music)
02. Ahmid-6 Pat Metheny (music)
03. Summer Day Pat Metheny (music)
04. Ring Of Life Pat Metheny (music)
05. Legend Brad Mehldau (music)
06. Find Me in Your Dreams Pat Metheny (music)
07. Say the Brother’s Name Pat Metheny (music)
08. Bachelors III Pat Metheny (music)
09. Annie’s Bittersweet Cake Brad Mehldau (music)
10. Make Peace Pat Metheny (music)

[Links: Brad Mehldau]
Brad Mehldau: Official Web Site
Discography of Brad Mehldau
[Links: Pat Metheny]
Pat Metheny: Flash Home Page
Patweek: The Unofficial Pat Metheny Web Site (by Tomoyuki Kubo)
Pat Metheny Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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菅原正二『ジャズ喫茶ベイシーの選択』

book_jazzcafebasie.jpg

一関のジャズ喫茶ベイシーの話題が出てきたので、オーナーの菅原正二さんの著書、『ジャズ喫茶ベイシーの選択:ぼくとジムランの酒とバラの日々』(講談社+α文庫)といきましょう。

私はふだん iPod & iTunes でジャズを聴いているくらいですから、オーディオには完全に素人なのですが、オーディオマニアの人たちには、「ベイシー詣で」という言葉があるくらい、菅原さんというのは、その道では伝説的な存在らしいです。

お聞かせ専門のジャズ喫茶の商品は「音」ですから、店主のみなさんがオーディオにかける意気込みたるや、ものすごいものがあるわけで、オーディオ知識ゼロの私が読んでも、
その奮闘ぶりに、思わず笑みがこぼれます。とくに大物ミュージシャンが来店したときの手に汗握る緊張感というのは、まさに真剣勝負。読みごたえがありますよ〜。

今回、この記事を書くためにアマゾンを検索していたら、菅原さんの新刊が出ていたのですね。『聴く鏡 一九九四ー二〇〇六』(ステレオサウンド)私もさっそく入手して、いずれコメントを書きたいと思います。



菅原正二著
『ジャズ喫茶ベイシーの選択―ぼくとジムランの酒とバラの日々』
(講談社+α文庫)
ISBN4-06-256529-3
2006年6月20日第1刷発行

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ケイコ・リー『ライヴ・アット・ベイシー』

keikolee_liveatbasie.jpg

最近買った CD を何枚か。ケイコ・リーの新譜『ライヴ・アット・ベイシー』は、岩手県一関にあるジャズ喫茶ベイシーにおけるライヴ録音です。ゲストはベテラン・ピアニスト、ハンク・ジョーンズ。それに彼女の作品ではおなじみのベーシスト、坂井紅介が参加しています。

曲目を見ると有名スタンダードばかりだし、〈ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー(柳よ泣いておくれ)〉とか(デビュー作『イマジン』に収録)、〈ラヴァー・カムバック・トゥ・ミー(恋人よわれに帰れ)〉とか、〈カム・レイン・オア・カム・シャイン(降っても晴れても)〉とか(2nd アルバム『キッキン・イット・ウィズ・ケイコ・リ―』に収録)、〈マイ・ロマンス〉とか(3rd アルバム『ビューティフル・ラヴ』に収録)、くり返し聴いたので、彼女の歌い方が耳元に残っているような、なつかしい曲もちらほらしています。

これはもしや、ケイコ・リ―にハンク・ジョーンズをぶつけて(二人は以前、『バット・ビューティフル』で共演している)、いっちょライヴでも録っちゃいましょうか、みたいな安直なアルバムではないかと疑っていたのですが、ホントにそのとおりだったのには笑いました。

くわしくは、ベイシー店主の菅原正二さんのライナーノーツ「歴史は夜つくられる」を読んでほしいのですが、もともとはプロデューサーの伊東八十八さんの「ハンクのソロピアノ、ベイシーでやりませんか?」という一本の思いつき電話からはじまったこの企画、あれよあれよという間に、1枚のライヴ盤にまとまっていきます。メンバーは前日入りしたケイコ・リーを除いて、当日に一関入り。リハーサルもそこそこに、ほとんどぶっつけ本番でできあがったのが、このアルバムです。

ジャケット写真、いつものケイコ・リ―のアルバムとは雰囲気が違うな、と思っていたら、なんと、店主の菅原さんが自ら撮影したものだそうです。この手づくり感こそ、このアルバムの命です。控えめなハンクのピアノをバックに、ディープな歌声でしっとりと歌い上げるケイコ・リ―。企画は安直でも、いいものが録れる。ジャズだなあ。



"Keiko Lee Live At Basie With Hank Jones"
(Sony SICP 10027)

Keiko Lee (vocal)
Hank Jones (piano)
Benisuke Sakai (bass)

Produced by Yasohachi Itoh, Shoji Sugawara
Recorded by Naoto Tanemura
Recorded live at Basie, Ichinoseki; March 10, 2006

[Tracks]
01. Oh Look At Me Now Joe Bushkin, John De Vries (music and lyrics)
02. Willow Weep For Me Ann Ronell (music and lyrics)
03. Someone To Watch Over Me George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)
04. My Romance Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
05. 'S Wonderful George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)
06. Come Rain Or Come Shine Harold Arlen (music) / Johnny Mercer (lyrics)
07. 'Round Midnight Thelonious Monk, Cootie Williams (music) / Bernie Hanighen (lyrics)
08. But Beautiful Jimmy Van Heusen (music) / Johnny Burke (lyrics)
09. Lover Come Back To Me Sigmund Romberg (music) / Oscar Hammerstein II (lyrics)
10. The Very Thought Of You Ray Noble (music and lyrics)

[Links: Keiko Lee]
Keiko Lee: Official Web Site
Keiko Lee: Sony Jazz
[Links: Benisuke Sakai]
坂井紅介のHP

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posted by ユキヒロ at 12:55| Comment(1) | TrackBack(0) | Sony BMG 系 [新録音] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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