2006年06月30日

ティエリー・ラング『プライベート・ガーデン』

privategarden.jpg

とっくに終わっているはずの仕事が終わらなかったので、またしても見逃しました、決勝トーナメント1回戦の全試合。今回のW杯は、アンリ命(笑)のうちの奥さんのほうがよっぽど見ています。く、くやじぃ〜。

というわけで、結果だけ。ドイツ2−0スウェーデン、アルゼンチン2−1メキシコ、イングランド1−0エクアドル、ポルトガル1−0オランダ、イタリア1−0オーストラリア、ウクライナ0−0(PK3−0)スイス、ブラジル3−0ガーナ、フランス3−1スペイン。いわゆる大国が軒並みベスト8に勝ち残っています。今朝ようやく仕事が手離れしたので、準決勝が楽しみです。

で、とりあげるのは、スイスです。4試合戦って失点0という鉄壁の守備を誇りながら、PK戦でウクライナに敗れてしまいました。守るだけでは勝てない。たしかにそうです。でも、1点もとられていないのに、帰国しなければならない選手のやるせなさを思うと、ねえ。ちょっとかわいそうです。

ティエリー・ラング『プライベート・ガーデン』。スイス人ピアニスト、ラングのピアノは高原の空気のように澄み渡っています。そして、繊細です。少し力を入れただけで壊れてしまいそうな、繊細なタッチ。あまたいる欧州エヴァンス派のなかでも、そのピアノの響きの美しさは特筆ものです。

日本のラング人気は、このアルバムから火がつきました。輸入盤市場でこのアルバムが話題になったのは、90年代半ば頃だったでしょうか。私もさっそく手に入れて、そのリリシズムに酔いしれた口です。先に紹介したマシュー・ミッシェル『エスターテ』を買ったのも、このアルバムのティエリー・ラングに魅せられたからです。

ちなみに、今日は仕事が一段落したので、久しぶりにローディに遊びにきています。この記事は、最近のお気に入り、サイドカーを飲みながら書いてます(今宵は飲むぞ〜!)

 

Thierry Lang "Private Garden"
(Plainis Phare PL 1267-85)

Thierry Lang (piano)
Ivor Malherbe (bass)
Marcel Papaux (drums)

Recorded at St 1, Radio Suisse Romande; March 3-5, 1993

[Tracks]
01. A Star To My Father Thierry Lang (music)
02. Nunzi Thierry Lang (music)
03. Stella By Starlight Victor Young(music) / Ned Washington (lyrics)
04. Giant Steps John Coltrane (music)
05. Boulevard Perolles Thierry Lang (music)
06. Private Garden Thierry Lang (music)
07. I Hear A Rhapsody George Fragos, Jack Baker, Dick Gasparre (music and lyrics)
08. Nane Thierry Lang (music)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月24日

エゴ・ラッピン『色彩のブルース』

色彩のブルース.jpg EGO-WRAPPIN' - 色彩のブルース - EP

グループリーグが終わりましたね。結果をまとめておきます。

グループA。ドイツ3ー0エクアドル、ポーランド2−1コスタリカ。結果:ドイツ勝ち点9、エクアドル6、ポーランド3、コスタリカ0

グループB。イングランド2−2スウェーデン、パラグアイ2−0トリニダードトバコ。結果:イングランド7、スウェーデン5、パラグアイ3、トリニダードトバコ1

グループC。アルゼンチン0−0オランダ、コートジボワール3−2セルビア・モンテネグロ。結果:アルゼンチン7(得失点差7)、オランダ7(同2)、コートジボワール3、セルビア・モンテネグロ0

グループD。ポーランド2−1メキシコ、アンゴラ1−1イラン。結果:ポーランド9、メキシコ4、アンゴラ2、イラン1

グループE。イタリア2−0チェコ、ガーナ2−1アメリカ。結果:イタリア7、ガーナ6、チェコ3、アメリカ1

グループF。ブラジル4−1日本、オーストラリア2−2クロアチア。結果:ブラジル9、オーストラリア4、クロアチア2、日本1

グループG。スイス2−0韓国、フランス2−0トーゴ。結果:スイス7、フランス5、韓国4、トーゴ0

グループH。スペイン1−0サウジアラビア、ウクライナ1−0チュニジア。結果:スペイン9、ウクライナ6、チュニジア1、サウジアラビア1

実は、仕事が立て込んでいて、残念ながら、グループリーグ最終戦は日本戦しか見ていません。日本についてひと言だけいうとするなら、アウェーのW杯で、日本はまだ1勝もしていないという事実です。フランスW杯では3戦全敗、今回は2敗1分け。勝ち点1をゲットした分だけ、この8年間で成長したということでしょう。

前回ベスト4の韓国、ベスト16の日本が今回ともにグループリーグで敗退したという事実は、サッカーにおけるホーム・アドヴァンテージがどれだけ大きいかの証明であって(だから、今回はダークホース、ドイツが優勝するかもしれません)、両国の実力は今回のほうが正確に反映されているはずです、悔しいけれど。

ただ、韓国は今回初めてアウェーの地で1勝をもぎとりました。若手も順調に伸びているようだし、次回の南ア大会では、さらなる躍進が期待できそうです。日本は、現実的な目標としては、まず1勝。そのためには、今回のメンバーが数人を除いてほとんど入れ替わるくらい、若手の底上げが必要です。

ジーコもいっていたように、とにかくW杯に出続けること。欧州選手権やチャンピオンズ・リーグのようなレベルの高い大会がないアジア勢にとっては、W杯は目標であると同時に、成長の場でもあります。フィジカル面で劣るアジア勢は、最低でも走り負けない体力が必要です。異常な熱さを敗因にあげる人もいるようですが、実力で劣るときは消耗戦に持ち込むしかない、むしろ天の恵みではないかと、個人的には思っていました。その消耗戦で走り負けたということが、最大の敗因ではないでしょうか。

だからこその、若手です。走って走って走りまくる。シュートの精度が多少低くても、10本打てば1本は入る。次の監督(オシム監督、引き受けてくれませんか?)には、とにかく90分間、走り続けるチームをつくってほしいと思います。

推薦盤は、エゴ・ラッピン『色彩のブルース』。昭和歌謡のねっとりとしたムードで憂さを晴らしましょう。〈色彩のブルース〉は、一度聞いたらヘヴィロテ間違いなしの名曲です。妙にいやらしいヴォーカルが耳にまとわりついて離れません。



EGO-WRAPPIN’ "色彩のブルース"
(RD Records RDR-1030)

Yoshie Nakano (vocal)
Masaki Mori (guitar)

Satoru Takeshima (tenor sax, flute) #1, 3, 4, 5
Katsuhiro Mahune (bass) #1, 3, 4, 5
Akira Suefusa (drums) #1, 3, 4, 5
Chieko Maki (piano) #1, 3, 4
Yoichi Nakajima (percussion) #2, 3, 4, 5
Kosuke Shimizu (bass) #2
Yuko Ikoma (accordion) #2

Recorded by Hiroshi Asayama
Recorded at Broadvasting Art College, Alchemy Studio, Flat Five, Flashpoint Studio

[Tracks] EGO-WRAPPIN' - 色彩のブルース - EP
01. Nervous Break Down Masaki Mori, Yoshie Nakano (music) / Yoshie Nakano (lyrics)
02. Gigolo Masaki Mori, Yoshie Nakano (music) / Yoshie Nakano (lyrics)
03. 色彩のブルース Masaki Mori, Yoshie Nakano (music) / Yoshie Nakano (lyrics)
04. Flowers Masaki Mori, Yoshie Nakano (music) / Yoshie Nakano (lyrics)
05. タバコ Masaki Mori, Yoshie Nakano (music) / Yoshie Nakano (lyrics)

[Links: EGO-WRAPPIN']
EGO-WRAPPIN' official website
EGO-WRAPPIN' (@ Universal Music)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:13| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 [新録音] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月20日

ミシェル・ペトルチアーニ『エスターテ』

estate_pet.jpg

グループG、フランス対韓国は、相変わらず勝ちきれないフランスの弱さが出て、1−1の引き分け。スイス対トーゴは、2−0でスイス。トーゴ以外の3チームに勝ち残りの可能性あり。

グループH、ウクライナ対サウジアラビア、前回スペイン戦の鬱憤をはらすかのように4−0の大差でワールドカップ初勝利。スペイン対チュニジアは、3−1でスペイン。結果、2連勝のスペインだけが勝ち抜け決定です。

最終戦の相手はトーゴなので、よもや負けることはないでしょうが、攻撃に迫力が感じられない今のフランスは信用できません。日韓大会に続いてグループリーグ敗退という可能性も捨てきれないので(最終戦はジダンが累積警告で出れないので、かえって好都合かも。彼が時代を画する偉大なプレイヤーだということに異論はありませんが、ブラジルのロナウド同様、走れないフィールド・プレイヤーの存在を許すほど、今のサッカーは甘くありません)、今日はフランス出身のジャズメンをとりあげましょう。

このブログでも何度か紹介したミッシャル・ペトルチアーニ。『エスターテ』は、心がうきうきするような初期の傑作です。
ペトちゃんのデビュー時代の活動を支えたドラマーのアルド・ロマーノ(16歳でパリに進出して以来の仲)が参加、ピアニストとして影響を受けたビル・エヴァンスの楽曲に、当時、個人的な思い入れから突然自宅に押しかけ、意気投合して引退を撤回させたチャールズ・ロイドの楽曲と、ペトちゃんワールド全開のフレッシュなアルバムにしあがっています。

愁いをおびた名曲〈エスターテ〉の存在をこのアルバムで知ったという人も多いはず。かくいう私もその一人です。いいよねえ、大好きです。

 

Michel Petrucciani "Estate"
(Riviera 1)

Michel Petrucciani (piano)
Furio Di Castri (bass)
Aldo Romano (drums)

Produced by Maurizio Giammarco, Federica Roa, Amedeo Sorrentino
Recorded by Sergio Marcotulli
Recorded at Forum Rec. Studio, Rome; March 29, 30, April 16, May 5, 1982

[Tracks] 
01. Pasolini Aldo Romano (music) 
02. Very Early Bill Evans (music) 
03. Estate Bruno Martino (music) 
04. Maybe Yes Michel Petrucciani (music) 
05. I Just Say Hello Michel Petrucciani (music) 
06. Tone Poem Charles Lloyd (music) 
07. Samba Des Prophetes Aldo Romano, C. Nougaro (music) 

[Links: Michel Petrucciani]
Michel Petrucciani (by Rainer Wolffram)
J'adore Michel Petrucciani (by poisson)
Discography of Michel Petrucciani (@ Corner Pocket by thedia)
Michel Petrucciani (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Furio Di Castri]
Furio Di Castri (Official Website)
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic
[Links: Aldo Romano]
>> ウィキペディア / Wikipedia / allmusic

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング


posted by ユキヒロ at 10:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大西順子『WOW』

wow.jpg 大西順子 - WOW

注目のグループFの第2戦、日本対クロアチアは、0−0のスコアレス・ドロー。ブラジル対オーストラリアは、2−0でブラジルの勝利。勝ち点6をゲットしたブラジルだけが決勝トーナメント進出を決めました。

それにしてもヤナギサワ。日本中が悲鳴をあげたあの場面。インサイドで軽く触れれば「ごっつぁんゴール」のはずなのに、なぜわざわざ難しいアウトサイド・キックを選んでしまうのか。本当に理解に苦しみます。私たちは彼を甘やかしすぎたのではないかと今さらながら思います。「点を取るだけがフォワードじゃない」これはヤナギの常套句となっていて、それ以外の働きも見てほしいということなのでしょうが、「点を取れるときに取らないのはフォワードじゃない」というのは、世界の常識です。やはり決めるべきときに決められるFWがいない国は、ギリギリの攻防を勝ち残ることができません。FWの強化、真剣に考えてください、川淵キャプテン。

情けないオトコ連中はこの際忘れて、日本の将来を担うのは、力強い女性たちです、きっと。で、そんな時代の幕開けを感じさせたのが、オトコもビビる強烈なタッチで低音を弾きまくる大西順子さんのデビュー盤『WOW』でした(1992年9月3〜5日録音)。

なにはさておき、彼女のオリジナル〈ザ・ジャングラー〉を聞いてください。ベースとともに地を這うような低音が腹の底から響いてきます。この衝撃! この破壊力!! この重厚なサウンド!!! エリントンのジャングル・サウンドをイメージしたといいますが、この低音への異様な執着ぶりは、私の大好きなエディ・コスタを彷彿とさせます。

そして、品格すら漂う名曲〈Bラッシュ〉。エリントンやミンガス好きで知られる大西さんは、作曲面でもその能力を遺憾なく発揮します。モンクの〈ブリリアント・コーナーズ〉にオーネットの〈ブロードウェイ・ブルース〉という選曲にも、彼女らしさが出ています。

突然の引退から数年、2005年に一時復帰したようですが、その後の消息は不明です。大西さん、どれだけ時間がかかってもいいから、いつの日か、あなたの新作が聞けることを願っています。



Junko Onishi "Wow"
(Somethin'else 5547)

Junko Onishi (piano)
Tomoyuki Shima (bass)
Dairiki Hara (drums)

Produced by Junko Onishi
Recorded by Masuzo Iida
Recorded at Sound City (Studio I), Tokyo; September 3-5, 1992

[Tracks] 大西順子 - WOW
01. The Jungular Junko Onishi (music)
02. Rockin' In Rhythm Harry Carney, Duke Ellington (music) / Irving Mills (lyrics)
03. B-Rush Junko Onishi (music)
04. Prospect Park West Junko Onishi (music)
05. Point-Counter-Point Junko Onishi (music)
06. Brilliant Corners Thelonious Monk (music)
07. Nature Boy Eden Ahbez (music and lyrics)
08. Broadways Blues Ornette Coleman (music)

[Links: 大西順子]
大西順子のリーダーアルバム (@ Jazz & ダイニングバー No Trunks)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | EMI 系 [新録音] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月19日

ミロスラフ・ヴィトウス『ユニバーサル・シンコペーションズ』

universalsyncopations.jpg

時間が空いてしまったので、おさらいを。

グループDは、メキシコ対アンゴラは、0−0で引き分け。ポルトガル対イランは、2−0でポルトガル。ポルトガルが一抜けを決めました。

グループEは、大混戦。チェコ対ガーナは、今大会初めての番狂わせ、0−2でガーナ。イタリア対アメリカは、3人の退場者を出し、荒れた試合でしたが、結局1−1でドロー。全チームに決勝トーナメント進出の可能性が残っています。

で、取り上げるのは、大番狂わせを演じられてしまったチェコ出身のベーシスト、ミロスラフ・ヴィトウスのカムバック作『ユニバーサル・シンコペーションズ』。実に11年ぶりの単独リーダー作となっています。

ジャコ登場以前、「超絶技巧ベーシスト」の称号をほしいままにしていたミロスラフ・ヴィトウス。1947年12月6日、チェコの首都プラハ生まれ。彼がニューヨークに渡ったのは1967年。それまでにない斬新なサウンドと聞いたこともないようなアルコ(弓弾き)テクニックで、一躍、時代の寵児となったヴィトウス。チック・コリアの『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』に参加していたベーシスト、あるいは(ジャコ以前の)ウェザー・リポートのオリジナル・メンバーだったといえば、彼が占めていたポジションというのがわかるはず。

オープニングの〈バンブー・フォレスト(竹林)〉。ガルバレクの最初の一音を聞いただけでこみあげてくる、いわく言いがたい「なつかしさ」。これぞ ECM サウンドという響きに、思わずニヤリとしてしまいます。ヴィトウスのあまりに多彩な表現力につい忘れてしまいがちですが、実はこれ、ガルバレク、ヴィトウス、デジョネットというピアノレス・トリオによる演奏なんですね。そして、このアルバムの中心をなすのは、この3者による演奏です。

チックやマクラフリンも参加していますが、オールスター・キャストによる豪華共演というよりも、もっとシンプルな音楽が展開されています。かつて超絶技巧で鳴らしたヴィトウスも還暦間近。けっして急ぎません。悠久の時をへて、人々の心に刻まれてきた原風景のような、シンプルでどこかなつかしい音楽。ベテランどうしの魂の交感が、郷愁を誘います。

 

Miroslav Vitous "Universal Syncopations"
(ECM 1863)

Jan Garbarek (soprano sax, tenor sax)
Chick Corea (piano)
John McLaughlin (guitar)
Miroslav Vitous (bass)
Jack DeJohnette (drums)

with Brass #2, 3, 4
Wayne Bergeron (trumpet)
Valerie Ponomarev (trumpet, flugelhorn)
Isaac Smith (trombone)

Produced by Manfred Eicher, Miroslav Vitous
Recorded at Universal Syncopation, Reinbow Studios, Oslo; March 2000 - March 2003

[Tracks]
01. Bamboo Forest Miroslav Vitous (music)
02. Univoyage Miroslav Vitous (music)
03. Tramp Blues Miroslav Vitous (music)
04. Faith Run Miroslav Vitous (music)
05. Sun Flower Miroslav Vitous (music)
06. Miro Bop Miroslav Vitous (music)
07. Beethoven Miroslav Vitous, Jan Garbarek (music)
08. Medium Miroslav Vitous, Jack DeJohnette (music)
09. Brazil Waves Miroslav Vitous, Jan Garbarek (music)

[Links: Jan Garbarek]
Jan Garbarek (@ musicolog.com)
Jan Garbarek Discography (by Brian Ritchie)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: John McLaughlin]
John McLaughlin Official Website
Pages of Fire: The John McLaughlin WWW Tribute Serbver
John McLaughlin Discography (by Johann Haidenbauer)
[Links: Miroslav Vitous]
Miroslav Vitous (Official Website)
Miroslav Vitous (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Jack DeJohnette]
Jack DeJohnette (Official Website)
Jack DeJohnette Homepage (by Piotr Marek, Jr.)
Jack DeJohnette Complete Discograophy を目指すページ (@ 東北大学モダンジャズ研究会)
Jack DeJohnette Discography (by ANTAIOS)
Jack DeJohnette (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ECM (Japo, Watt) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月17日

アストル・ピアソラ『セントラル・パーク・コンサート』

thecentralparkconcert.jpg

グループCの2戦目。アルゼンチン対セルビア・モンテネグロは、6−0でアルゼンチンの圧勝。オランダ対コートジボワールは、2−1でなんとかオランダが逃げ切り。この2チームが2連勝で決勝トーナメント進出を決めました。

いやあ、アルゼンチンは強かったね。少なくとも、今日まで見たなかでは最強じゃないですか? あのテベスやメッシがスターティング・メンバーに名を連ねていないなんて、なんてぜいたくなのでしょうか。信じられないほどの選手層の厚さです。でも、見ていておもしろかったのは、もう一つの試合でした。個人的にはコートジボワールに追いついてほしかった。なんとしてでも1点もぎとろうと攻め続けた後半。あんなに防戦いっぽうのオランダなんて、ちょっと記憶にありません。終わった瞬間、思わず「あ〜〜」とうめいてしまいました。残念。

気分はコートジボワールのジャズといきたいところですが、知りません。というわけで、アルゼンチンです。アルゼンチンといえば、タンゴ。タンゴといえばもちろん、アストル・ピアソラです(それしか知らない、って話もありますが)。

ピアソラ後期キンテート(五重奏団)時代の、ニューヨークはセントラル・パークでの伝説のコンサート『セントラル・パーク・コンサート』(1987年9月6日録音)。ジャズ・ファンには、かのギル・エヴァンスが「私の生涯でいちばん信じられないコンサートの一つを聞いたよ」と絶賛したというエピソードのほうがピンとくるかもしれません。

あの鳥肌が立つような傑作『タンゴ・ゼロ・アワー』のほとんどの曲を再演、代表曲〈ブエノスアイレスの夏〉〈アディオス・ノニーノ〉も演ってます。それだけでなく、珍しくピアソラ本人が英語、スペイン語、イタリア語で聴衆に語りかけた肉声も入ってます。

それにしても、この時期のピアソラ・キンテートのすばらしさといったら。楽曲の成熟度、グループ表現の完成度、すさまじいテンション、どれをとっても完璧です。怖いくらいです。ピアソラ未体験の人は、ぜひ。感動で全身が震えますよ。キンテート、最後のライヴ録音です。



Astor Piazzolla "The Central Park Concert"
(Chesky Records JD 107)

Astor Piazzolla (bandoneon)
Pablo Ziegler (piano)
Fernando Suarez Paz (violin)
Horacio Malvicino (guitar)
Hector Console (bass)

Produced by Joe Killan
Recorded by WNYC, 93.9 FM, New York Public Radio
Recorded live at Central Park, NYC; September 6, 1987

[Tracks]
01. Verano Porteno Astor Piazzolla (music)
02. Lunfardo Astor Piazzolla (music)
03. Milonga Del Angel Astor Piazzolla (music)
04. Muerte Del Angel Astor Piazzolla (music)
05. Astor's Speech
06. Tanguedia III Astor Piazzolla (music)
07. Mumuki Astor Piazzolla (music)
08. Adios Nonino Astor Piazzolla (music)
09. Contra Bajissmo Astor Piazzolla (music)
10. Michelangelo Astor Piazzolla (music)
11. Concierto Para Quinteto Astor Piazzolla (music)

[Links: Astor Piazzolla]
Piazzolla.org: The Internet Home of Astor Piazzolla and his Tango Nuevo
tangodelic! (by 斎藤充正)
アストル・ピアソラ (by よしむら)
ASTOR PIAZZOLLA Score List (by Noritake YONEZAWA)
Astor Piazzolla (by Eiji MURAYAMA)
Astor Piazzolla (by 工藤庸介)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 03:08| Comment(2) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月16日

ラーシュ・ヤンソン『インヴィジブル・フレンズ』

invisiblefriends.jpg

グループBの2戦目、イングランド対トリニダード・トバコは、2−0でイングランド。なかなか点が入らないジリジリする展開のなか、後半38分、ベッカムのクロスに倉内さんが頭であわせて先制、次いで46分にジェラードがだめ押しの1点を入れて、決勝トーナメント進出を決めました。スウェーデン対パラグアイは、スウェーデンが終了間際の劇的勝利(1−0)。ここもどうやら下馬評どおりの展開になってきました。

日本でも人気のスウェーデン人ピアニスト、ラーシュ・ヤンソン。彼がスウェーデンのイモゲーナ・レーベルに吹きこんだのが、この『インヴィジブル・フレンズ』です(1995年録音)。ラーシュ・ダニエルソン、アンダーシュ・シェルベリという俊英たちをしたがえて、美しいメロディーを紡ぎ出していきます。

耳をすますと、キースばりのうなり声が聞こえてきます。そう、ラーシュ・ヤンソンの影にはメロディ・メイカー、キースの存在が色濃く感じられます。でも、たんなる模倣に終わっていないのはもちろんです。

おもしろいのは、鈴木大拙へのトリビュート曲が入っていること。ライナーにも、禅書のようなものが入ってます。かと思えば、ユングやジョン・ケージに捧げた曲も。どうやらこのヤンソン先生(デンマーク・オールヒュス音楽大学の教授だそうです)、精神世界に興味がおありのようです。

そして、最後を飾るのは〈菩提樹の木の下で〉。ヤンソン先生は、心のうちなる旅路の果てに、「見えない友」に会うことができたのでしょうか。



Lars Jansson "Invisible Friends"
(Imogena IGCD 055)

Lars Jansson (piano, synthesizer)
Lars Danielsson (bass)
Anders Kjellberg (drums)

Produced by Lars Jansson
Recorded by Jan-Erik Kongshaug
Recorded at Rainbow Studio, Oslo; January 1995

[Tracks]
01. Invisible Friends Lars Jansson (music)
02. Learn To Live Lars Jansson (music)
03. The Great Belonging Lars Jansson (music)
04. Freedom And Destiny 1 Lars Jansson (music)
05. Freedom And Destiny 2 Lars Jansson (music)
06. At Least Often Lars Jansson (music)
07. Free For Three Lars Jansson, Lars Danielsson, Anders Kjellberg (music)
08. The White Cliff Lars Jansson (music)
09. Autumn Blues Lars Jansson (music)
10. Presence Lars Jansson (music)
11. The Quiet Mind Lars Jansson (music)
12. The Return To Zero Lars Jansson (music)
13. I Have Nothing To Say And I Am Saying It Lars Jansson (music)
14. Under The Bodhi Tree Lars Jansson (music)

[Links: Lars Jansson]
Lars Jansson 日本語オフィシャルサイト (Official Website)
Lars Jansson Discography
[Links: Lars Danielsson]
Lars Danielsson (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヨキ・フロイント『ヨギ・ジャズ』

yogijazz.jpg

ようやく現実に追いつきました(ふうっ)。グループAの2戦目、ドイツ対ポーランドは、終了間際に得点したドイツが1−0で勝利。エクアドル対コスタリカは、3−0でエクアドルの勝利。どちらも3戦目を待たずに、決勝トーナメント進出を決めました。ドイツはバーやポストに阻まれ、なかなか得点できないジリジリとした展開。ポーランド戦に、ポーランド生まれのクローゼとポドルスキーという2人のフォワードを先発させたクリンスマン監督が間違いじゃないかと疑っていましたが、最後はゲルマン魂で押し切りましたね。そうそう、これこそドイツ本来の姿です。

ごぞんじ澤野工房はときどき信じられないような復刻盤を出しますが、この『ヨギ・ジャズ』などはその最たるものではないでしょうか。ドイツ生まれ(1926年)のテナー奏者ヨキ・フロイントの代表作『ヨギ・ジャズ』の登場です。これも「欧州ジャズの金字塔」(笑)の一枚ですが、見ているだけで気持ち悪くなりそうなへなちょこジャケットから連想されるとおりの妙ちくりんな音楽がくり広げられています。

フルートにソプラノ、2ベースで奏でられる〈キャラバン〉の異様な雰囲気。これが楽しめるかどうか。軽いんだか重いんだか、判断に苦しむ音楽です。居心地はよくありません。でも、妙に心にひっかかるんです。

たとえば、2曲目のマッコイ・タイナーのオリジナルなんて、ルパンの「カリオストロ」にでも出てきそうな曲想です。でも、どこかまともじゃない。得体の知れないものでも、やっぱり気になる。そういう気分を楽しむ盤ではないかと個人的には感じました。

そうそう、ベニー・ゴルソンの〈キラー・ジョー〉なんていうふつうでない曲を取り上げているのも、いかにも「らしく」て笑ってしまいます。

Joki Freund "Yogi Jazz"
(CBS [Germany] 62 273 / Atelier Sawano AS 058)

Emil Mangelsdorff (alto sax, flute)
Joki Freund (tenor sax, soprano sax)
Wolfgang Dauner (piano)
Eberhard Weber (bass)
Karl Theodor Geier (bass)
Peter Baumeister (drums)

Produced by Horst Lippmann
Recorded by Dieter von Goetze
Recorded at Walldorf Tonstudio, Franfurt am Main; November 20, 1963

[Tracks]
01. Caravan Duke Ellington, Juan Tizol (music) / Irving Mills (lyrics)
02. Aisha McCoy Tyner (music)
03. The Caribbean Ringo Joki Freund (music)
04. Killer Joe Benny Golson (music)
05. HL 20 Joki Freund (music)
06. Yogiana Joki Freund (music)

[Links: Wolfgang Dauner]
Wolfgang Dauner, Pianist, Komponist, Jazzmusiker

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 01:44| Comment(3) | TrackBack(0) | 澤野工房系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

テテ・モントリュー『テテ・ア・テテ』

teteatete_montoliu.jpg Tete Montoliu - T!)te !) Tete

最後はグループH。スペイン対ウクライナ、4−0で予想外の大差がついてスペイン勝利。チュニジア対サウジアラビア、サウジがリードを守りきれず、ロスタイムに同点に追いつかれて、2−2のドロー。惜しい! スペインの4点目、すごかったですね。きっちり決めたフェルナンド・トレスもすごいけれど、自ら持ち込み、最後にヘッドでお膳立てしたプジョルもすごかった。だって彼、センターバックですよ。信じられません。

スペインはカタロニアが生んだ盲目の天才、テテ・モントリュー。1933年3月28日、スペイン・バルセロナ生まれ。1997年8月24日、スペイン・バルセロナで死去。

粒立ちのはっきりしたクリアな音色。抜群のスイング感と繊細でいながら力強いタッチ。どんなスピードでもゆるがぬテクニック。ジャズ・ピアニストに求められる能力のほとんどすべてを身につけたテテの演奏は、聞くものを圧倒します。そして、恍惚の彼方へと誘うのです。

実際、これほどジャズ・ピアノの楽しさを満喫させてくれる人はそうはいません。しかも実力が非常に安定しています。本当に非の打ち所がないのです。こういう完璧な人は、得てして聞いてもつまらなかったりするものですが、テテについては、それすらも当てはまらない。いつ聞いても、何を聞いても、楽しめます。もちろん推薦盤『テテ・ア・テテ』もすばらしい! ホント、類い稀なる存在です。

 

Tete Montoliu "Tete a Tete"
(SteepleChase SCS 1054)

Tete Montoliu (piano)
Niels-Henning Orsted Pedersen (bass) #1, 2, 5
Albert "Tootie" Heath (drums) #1, 2, 5

Produced by Nils Winther
Recorded by Emile Elsen
Recorded at Dureco Studio, Weesp, Netherlands; February 15 (#1, 5), 16 (#2), March 20 (#3, 4), 1976

[Tracks] Tete Montoliu - T!)te !) Tete
01. What's New Bob Haggart (music) / Johnny Burke (lyrics)
02. We'll Be Together Again Carl Fischer (music) / Frankie Laine (lyrics)
03. Scandia Skies Kenny Dorham (music)
04. Lush Life Billy Strayhorn (music and lyrics)
05. Catalan Suite Tete Montoliu (music)

[Links: Tete Montoliu]
Tete Montoliu Discography (by Agustin Perez)
Tete Montoliu (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | SteepleChase | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月15日

ジョアン・ジルベルト『三月の水』

joaogilberto.jpg Jo!)o Gilberto - Joao Gilberto

F組の残りの1試合、ブラジル対クロアチアは、1−0で王者ブラジルの貫録勝ち。カカのミドルシュートが炸裂しました。ゴール正面のミドルシュートはこうやって打つんだという見本みたいな、ねらいをすましたビューティフルなゴールでした(福西さん、ちゃんと見てましたか?)。

ブラジルといえばボサノヴァ、ボサノヴァといえばこの人、ジョアン・ジルベルトです。ジョアンの魅力は、あの力の抜けた素朴な歌声にあると思うのですが、それを思う存分味わえるのが、ジョアンがひかえめにリズムを刻むパーカッションだけをバックに、ギターの弾き語りで通した、この『三月の水』というアルバムです。

この時期、ジョアンは故郷ブラジルを離れ、放浪の旅に出ていたそうですが、心地よい海風を思わせるジョアンの軽い歌声は、さらに根無し草的な浮遊感をもって、心のすきまにすっと入り込んできます。ふっと気持ちが楽になります。あまりの気持ちよさに、抜け出せなくなるかもしれません。

最後の〈イザウラ〉は、奥さんミウシャとのほほえましいデュエット。根無し草でも奥さんはいたんですね(笑)。



Joao Gilberto "Joao Gilberto"
(Polydor UCCU-5052)

Joao Gilberto (guitar, vocal)
Sonny Carr (percussion)
Miucha (background vocal) #10

Produced by Rachel Elkind
Recorded by W. Cartos, 1973

[Tracks] Jo!)o Gilberto - Joao Gilberto
01. Aguas De Marco Antonio Carlos Jobim (music and lyrics)
02. Undiu Joao Gilberto (music and lyrics)
03. Na Baixa Do Sapateiro Ary Barroso (music and lyrics)
04. Avarandado Caetano Veloso (music and lyrics)
05. Falsa Baiana Geraldo Pereira (music and lyrics)
06. Eu Quero Um Samba Haroldo Barbosa (music) / Janet De Almeida (lyrics)
07. Eu Vim Da Bahia Gilberto Gil (music and lyrics)
08. Valsa (Como Sao Lindos Os Youguis) (Bebel) Joao Gilberto (music and lyrics)
09. E Preciso Perdoa Alcivando Luz (music) / Carlos Coqueijo (lyrics)
10. Izaura Herivelto Martins (music) / Roberto Roberti (lyrics)

[Links: Joao Gilberto]
Joao Gilberto Discography (by Laura Pelner McCarth )
ジョアン・ジルベルト joao gilberto (@ ブラジル音楽の世界)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | Polydor | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マシュー・ミッシェル『エスターテ』

estate.jpg

グループG。韓国対トーゴ、2−1で韓国の逆転勝ち。フランス対スイス、0−0でスコアレス・ドロー。フランスは苦手のスイスに、またしても勝ちきれませんでした。欧州予選で2度対戦して、いずれも引き分け。なにかあるんでしょうか。

で、アルバム紹介はフランス人かと思いきや、スイスの健闘を祝して、これにしました。スイスの TCB レーベルに残されたスイス人トランペッター、マシュー・ミッシェル(発音あってますか?)の『エスターテ』。同じくスイス人ピアニスト、ティエリー・ラングも参加しています。

リシャール・ガリアーノのアコーディオンに、ティエリー・ラングの耽美的ピアノ、そこにやわらかいフリューゲルホーンの音色がからむといえば、これはもう、なごみの極地です。私なんか、完全に脱力します。気持ちいい〜っす。

選曲もまた渋いです。よくも見つけたという佳曲がずらり。リッチー・バイラークの〈リーヴィング〉(ECM ソロ作『ヒューブリス』に収録)。トム・ハレルの〈セイル・アウェイ〉(同名アルバムに収録)。そして、ペトちゃんもやってた〈エスターテ〉。これで悪かろうはずはありません。私的お宝盤です。心がなごみますよ。



Matthieu Michel "Estate"
(TCB 95802)

Matthieu Michel (flugelhorn)
Richard Galliano (accordion)
Thierry Lang (piano)
Heiri Kanzig (bass)
Joris Dudli (drums)

Produced by TCB Music
Recorded by Guy Simon
Recorded at Tadio Suisse romande, Geneva; May 17, 18, 1995

[Tracks]
01. Leaving Richie Beirach (music)
02. Never Let Me Go Jay Livingston (music) / Raymond B. Evans (lyrics)
03. Moon Princess Thierry Lang (music)
04. It Could Be Worse Matthieu Michel, Heiri Kanzig (music)
05. Estate Bruno Martino (music) / Bruno Brughetti (Italian lyrics)
06. Round Trip Ornette Coleman (music)
07. Sail Away Tom Harrell (music)
08. Caruso Lucio Dalla (music)
09. On The Spot Matthieu Michel (music)
10. Moment To Moment Henry Mancini (music) / Johnny Mercer (lyrics)

[Links]
Matthieu Michel (Official Website)
Richard Galliano (Official Website)
Joris Dudli (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エンリコ・ピエラヌンツィ『ライヴ・イン・パリ』

liveinparis.jpg Enrico Pieranunzi - Enrico Pieranunzi - Live In Paris

敗戦のショックから立ち直るのに日数を要しました(笑)。現実に追いつくために、駆け足でいきましょう。もう一つの死のグループといわれたE組、アメリカ対チェコは、0−3でチェコ。イタリア対ガーナが、2−0でイタリア。アメリカの大敗が予想外といえば予想外ですが、結果だけを見れば、ここも順当でしょうね。

現代のイタリアを代表するピアニストといえばこの人、エンリコ・ピエラヌンツィ。1949年、イタリアの首都ローマ生まれ。そのリリカルで繊細なタッチ、美しすぎる曲づくりから、長らく欧州エヴァンス派の最右翼と目されてきましたが、最近はそれだけにとどまらず、ある種の「凄み」を感じさせる存在に成長しました。

非常に多作で、代表作を1枚にしぼるのがむずかしいのですが、マッズ・ヴィンディング名義の『ザ・キングダム』は彼のリーダー作ではないので泣く泣く落とし(こいつは傑作です!)、去年、オランダのチャレンジ・レコードからリリースされた2枚組 CD『ライヴ・イン・パリ』にしました。

ピエラヌンツィの繊細なタッチは「聞き惚れる」に値します。うっとりしすぎて、ともするとそのまま寝てしまいそうになる。そう、あまりに美しすぎるその曲たちは、ちょっと聞いて楽しむもので、集中して長時間聞くのに向いていない。きれいだし、ものすごくうまいけれど、平板な印象なんですね。ガッツがないというか(彼にガッツを求めるのがそもそも間違っているのかもしれませんが)。

ところが、彼は、ごくたまに耳をそばだてる演奏をします。それは共演者、とくにドラマーに恵まれたとき。エヴァンスもそうでしたが、彼はドラマーに無頓着なところがある。同じ繊細な表現を得意とするタイプのドラマーよりも、すこしアグレッシヴなくらいのドラマーと出会ったときのほうが、核融合が生じて、おもしろい演奏になるんです。エヴァンスでいえば、ヴァーヴ時代の人気盤が、ジャック・デジョネットとの唯一の共演盤
お城のエヴァンス』だというのも同じ理由だと思います。

というわけで、ここでの演奏を引き締めているのは、南仏生まれのアンドレ・チェッカレリだと思います(例の『キングダム』のドラマーはアレックス・リールでした)。激しさとリリカルさがうまいぐあいに同居して、聞き飽きのしない傑作ライヴが生まれました。



Enrico Pieranunzi "Live In Paris"
(Challenge CHR 70126)

Enrico Pieranunzi (piano)
Hein Van de Geyn (bass)
Andre "Dede" Ceccarelli (drums)

Produced by Hein Van de Geyn
Recorded by Serge Babkine
Recorded live at Le Duc Des Lombards, Paris; April 22-24, 2001

[Tracks: Disc 1] Enrico Pieranunzi - Enrico Pieranunzi - Live In Paris
01. Introduction
02. Ouverthree Enrico Pieranunzi, Hein Van de Geyn, Andre Cecarelli (music)
03. Body And Soul Johnny Green (music) / Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton (lyrics)
04. I Hear A Rhapsody George Fragos, Jack Baker, Dick Gasparre (music and lyrics)
05. Footprints Wayne Shorter (music)
06. I Fall In Love Too Easily Jule Styne (music) / Sammy Cahn (lyrics)
07. But Not For Me George Gershwin (music) / Ira Gershwin (lyrics)
08. Hindsight Enrico Pieranunzi (music)

[Tracks: Disc 2] Enrico Pieranunzi - Enrico Pieranunzi - Live In Paris
01. Someday My Prince Will Come Frank Churchill (music) / Larry Morey (lyrics)
02. What Is This Thing Called Love Cole Porter (music and lyrics)
03. Jitterbug Waltz Thomas "Fats" Waller (music)
04. One Lone Star Enrico Pieranunzi (music)
05. Una Picolla Chiave Dorata Enrico Pieranunzi (music)
06. Autumn Leaves Joseph Kosma (music) / Jacques Prevert (French lyrics), Johnny Mercer (English lyrics)

[Links: Enrico Pieranunzi]
Enrico Pieranunzi (@ IJM: Italian Jazz Musicians)
[Links: Hein Van de Geyn]
Bassline Music: Hein Van de Geyn's Official Website

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月13日

ケイコ・リー『ビューティフル・ラヴ』

beautifullove.jpg

F組第一試合、日本対オーストラリア。後半39分から立て続けに3点を失い、1−3で逆転負け。一晩たっても、立ち直れません。昨日はたしかに日本にも勝機がありました。1−0でリードしていた段階であと1点入っていたら、オーストラリアは戦意を喪失していたはずです。

あの後半31分のカウンター。高原がドリブルで相手を引きつけ、柳沢へのラストパス。お膳立ては完璧。完全フリーの柳沢はなにを思ったのか、キーパーにナイスパス(あれはシュートではありません!)。高原のパスが体の向きとは逆に入ったといっても、フリーですよ。ひと呼吸おいても十分シュートまでもっていけるタイミングでした。

あるいは、1−1に追いつかれた直後の福西。あれが入っていれば、相手にとってはものすごいダメージで、日本も落ち着きを取り戻していたはずです。福西は前半にもフリーでミドルシュートを外していましたね。ゴールに向かうメンタリティーの弱さを最後の最後まで克服できませんでした。

どうしようもなく落ち込んだとき、私はこれをとりだします。ケイコ・リー『ビューティフル・ラヴ』。アート・ファーマーの至芸。ケニー・バロンのうますぎるバッキング。そして、ケイコ・リーのどこまでも深いヴォイス。

言葉はいりません。だまって耳を傾けてください。そして、心の平穏を取り戻してください。



Keiko Lee "Beautiful Love"
(Sony SRCS-8363)

Keiko Lee (vocal, piano #10)
Kenny Barron (piano)
Cecil McBee (bass)
Grady Tate (drums, vocal #11)
Art Farmer (trumpet #1-4, 10, 12)
Jiro Yoshida (guitar #7, 12)
Mino Cinelu (percussion #2)

Produced by Kozo Watanave
Recorded by David Baker
Recorded at Clinton Studio, NYC; March 2-4, 1997

[Tracks]
01. Beautiful Love Victor Young, Wayne King, Egbert Van Alstyne, Heven Gillespie (music and lyrics)
02. A Time For Love Johnny Mandel (music) / Paul Francis Webster (lyrics)
03. My Romance Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
04. The Summer Knows Michel Legrand (music) / Marilyn Bergman, Alan Bergman (lyrics)
05. You've Changed Carl Fischer (music) / Bill Carey (lyrics)
06. The Shadow Of Your Smile Johnny Mandel (music) / Paul Francis Webster (lyrics)
07. Don't Let Me Be Lonely Tonight James Taylor (music and lyrics)
08. The End Of A Love Affair Edward C. Redding (music and lyrics)
09. I'll Be Around Alec Wilder (music and lyrics)
10. Go Away Little Boy Carol King, Gary Goffin (music and lyrics)
11. Love Is All There Is Keiko Lee (music) / Linda Hennrick (lyrics)
12. If It's Magic Stevie Wonder (music and lyrics)

[Links: Keiko Lee]
Keiko Lee (Official Website)
[Links: Kenny Barron]
Kenny Barron (Official Website)
Kenny Barron Discography (by Michael Fitzgerald)
[Links: Jiro Yoshida]
Jiro Yoshida (Official Website)
[Links: Cecil McBee]
Cecil McBee (Official Website)
[Links: Mino Cinelu]
Mino Cinelu (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Sony BMG 系 [新録音] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月12日

マリア・ジョアン『Cor』

cor.jpg Maria Jo!)o & M!)rio Laginha - Cor

ここも二強でかたいといわれるD組。メキシコ対イランは、3−1でメキシコ、ポルトガル対アンゴラは、1−0でポルトガルの勝利。う〜ん、やっぱり波乱は起きませんね。4年後のアジア出場枠(今大会は 4.5 枠でした)を考えると、イランにはがんばってもらわないと困るんです。前回のサウジアラビアのような大敗が続くと、枠を削られてしまうかもしれません。次回からオーストラリアがアジア予選に参加するので、ただでさえ厳しくなるわけです。だから、イランがんばれ!

ポルトガルのジャズシーンがどうなっているか、残念ながら、私はほとんど知りません。でも、一人だけ、とびっきりの歌手を知っています。マリア・ジョアン。七色の歌声をもつといわれる現代最高のヴォーカリスト。1956年、ポルトガルの首都リスボンの生まれです。

ヴォイス・パーカッションからスキャット、裏声、なんでもこなします。目の回りそうな早口です。純粋に「声を鳴らす」ということに関しては、マリアの右に出る人はいないのではないでしょうか。

そして、ピアニスト、マリオ・ラジーニャのエキゾチックな曲の数々。この二人は、コンビを組んで何枚ものアルバムを出していますが、どれもすばらしい出来です。

この『Cor』はヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見500周年を記念してつくられたアルバムだそうで、実際にインドとモザンビーク(マリアのルーツでもあるそうです)を旅して集めた素材をもとに、制作されたコンセプト・アルバムです。タイトルの『Cor』はポルトガル語で「Color」。七色に輝くマリアのヴォイス、色彩感あふれるマリオ・ラジーニャの作曲にふさわしいタイトルですね。

アルバムは都会の喧噪からはじまります。道を行き交う車がクラクションを鳴らします。そこにかぶさるように登場する、マリアの高音ながら、しっとりとやさしい声。「ハア〜ア〜ン〜」「ハア〜ン〜ン〜」といっているだけなのですが、このどこかなつかしい雰囲気をどう表現したらいいのでしょう?

2曲目は一転して、マリアのヴォイス・パフォーマンスが楽しめます。「おお〜、なんだこりゃ〜!!!」はじめて聞いたときの感激は今でも忘れられません。ぜひ、ご自分の耳で確かめることをすすめます。きっと後悔はさせません。



Maria Joao, Mario Laginha "Cor"
(Verve 557 456-2)

Maria Joao (vocal)
Mario Laginha (piano)
Wolfgang Muthspiel (guitar, electric sitarl-guitar)
Trilok Gurtu (drums, percussion)

Produced by Reinhard Karwatky, Wolf Dieter Karwatky
Recorded by Alexander Pleines, Karwatky Bros.
Recorded at Cap a Pie Studios, Neutraubling; 1998

[Tracks] Maria Jo!)o & M!)rio Laginha - Cor
01. Horn Please Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
02. Ha Gente Aqui Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
03. Rafael Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
04. Nazuk Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
05. Saris Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
06. Petro Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
07. Charles Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
08. Nhlonge Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)
09. A Forbidden Love Affair Mario Laginha (music) / Maria Joao (lyrics)

[Links: Maria Joao]
Maria Joao (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Universal 系 [新録音] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

フルーリーン『クロース・イナフ・フォー・ラヴ』

closeenoughforlove.jpg

死のグループといわれたC組ですが、アルゼンチン対コートジボワールは2−1でアルゼンチン、オランダ対セルビア・モンテネグロは1−0でオランダが勝利、二強が順当に勝ち点3をゲットしています。スター選手のほとんどがプレイする欧州での大会ですから、各チーム、コンディショニングもばっちり。極東の地で行われた2002年の日韓W杯のような番狂わせは、なかなか起きにくいのかもしれません。

オランダのジャズというと、リタ・ライスやアン・バートンの女性ヴォーカルものが有名ですね。で、今日とりあげるのは、フルーリーン。今をときめくブラッド・メルドーとのデュオ作品『クロース・イナフ・フォー・ラヴ』といきましょう。

2人の出会いは1997年のノース・シー・ジャズ・フェスティヴァル。北海に面したオランダのデン・ハーグで開催されるこのお祭りでフルーリーンの歌声に惚れ込んだメルドーは、さっそく自身のヴレッジ・ヴァンガード公演に彼女をゲストとして迎え入れたといいます。以後、何度もいっしょにツアーに出かけたようです。

さて、このアルバム。メルドー初の歌伴ものというだけでも興味をひかれますが、デュオという最小単位の編成が濃密な空間を形作っていて、好きな人にはたまらない雰囲気にしあがっています。フルーリーンはけっして声量のある人ではありませんが、そのか細い声が、リリカルなメルドーのピアノと相まって、絶妙な味を醸し出しています。

ちなみに、前後関係はよくわかりませんが、メルドーとフルーリーンは結婚していて、すでに子ども(!!!)もいるそうです。フムフム。すると、こりゃ愛のささやきか(笑)。

 

Fleurine "Close Enough For Love"
(EmArcy/Universal 157 548-2)

Fleurine (vocal)
Brad Mehldau (piano)
with strings #1,6,9

Produced by Brad Mehldau, Fleurine
Recorded by James Farber
Recorded at Sear Sound, NYC; June 24, 25, 1999

[Tracks]
01. The Logical Song Rick Davis, Roger Hodgson (music and lyrics)
02. Caminhos Cruzados [Paths That Cross] Antonio Carlos Jobim (music) / Neuton Mendonca (lyrics)
03. Chanson De Delphine [Delphine's Song] Michel Legrand (music) / Jacques Demy (lyrics)
04. Up From The Skies Jimi Hendrix (music and lyrics)
05. Resignacao Nao Pra Nos [Resugnatuib Not For Us] Brad Mehldau (music) / Fleurine (lyrics)
06. Made Of Sand Fleurine (music and lyrics)
07. Better Days Ahead Pat Metheny (music) / Fleurine (lyrics)
08. Sem Resposta [Unrequited] Brad Mehldau (music) / Fleurine, L. Vieira (lyrics)
09. Close Enough For Love Johnny Mandel (music) / Paul Williams (lyrics)
10. Amor Chegou [Love Has Come] Brad Mehldau (music) / Fleurine (lyrics)

[Links: Brad Mehldau]
Brad Mehldau (Official Website)
Discography of Brad Mehldau
[Links: Fleurine]
Fleurine (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 01:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Universal 系 [新録音] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月11日

e.s.t.『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』

goodmorningsusiesoho.jpg e.s.t. Esbj!)rn Svensson Trio - Good Morning Susie Soho

B組第二試合、スウェーデン対トリニダード・トバゴ。カリブ海に浮かぶ人口130万の小国に、北欧の強国スウェーデンがまさかのスコアレス・ドロー。しかも、相手は一人退場の10人。スウェーデンには痛すぎる勝ち点1でした。

ここ数年、刺激的な作品を送り出しているスウェーデンのジャズ・シーンですが、なかでもとびっきりの話題といえば、e.s.t. (Esbjorn Svensson Trio) の躍進でしょう。かのキース・ジャレットが「いま最も注目するアーティスト」というエスビョルン・スヴェンソン(1964年、スウェーデン生まれ)。ベースのダン・ベルグルンド、ドラムのマグヌス・オストロムとともに、現代的なコンセプトの e.s.t. を結成したのが1993年のことでした。

一聴してわかるのは、その「現代的な響き」です。これはもはやジャズではない、そういう感想をもつ人もいるでしょう(事実、彼らが本国スウェーデンでランクインしたのは、ジャズ・チャートではなく、ポップ・チャートでした)。でも、ジャズに革新をもたらしてきたミュージシャンは、そういう型にはまったジャンル分けを拒んできました。そして、彼らの活躍がジャズの地平を切り開いてきたともいえます。

まあ、こういうのは、自分の耳でたしかめるしかありません。「これは私の音楽じゃない」という人がいてもけっこう、「これこそ私の求めていた音楽だ」という人もいるでしょう。個人的には、キースがあと30歳若かったら、今はこんな音楽を演っていたかもしれないと思いました。過去に築いた自分の殻にこもってしまったキースに「今の音楽」を求めることはできませんが、今まさに革新を遂げている e.s.t. には、それを求めることができます。『グッド・モーニング・スージー・ソーホー』、私は「買い」だと思います。

 

e.s.t. "Good Morning Susie Soho"
(Superstudio GUL C-4 / ACT 9009-2)

Esbjorn Svensson (piano, keyboard)
Dan Berglund (bass)
Magnus Ostrom (drums, percussion)

Produced by e.s.t.
Recorded by Janne Hansson
Recorded at Atlantis Studios, Stockholm; March-April, 2000

[Tracks] e.s.t. Esbj!)rn Svensson Trio - Good Morning Susie Soho
01. Somewhere Else Before e.s.t. (music)
02. Do The Jangle e.s.t. (music)
03. Serenity e.s.t. (music)
04. The Wraith e.s.t. (music)
05. Last Letter From Lithuania e.s.t. (music)
06. Good Morning Susie Soho e.s.t. (music)
07. Providence e.s.t. (music)
08. Pavane (Thoughts Of A Septuagenarian) e.s.t. (music)
09. Spam-Boo-Limbo e.s.t. (music)
10. The Face Of Love Nurat Fateh Ali Khan, David Robbins, Tim Robbins (music)
11. Reminicence Of A Soul e.s.t. (music)

[Links: e.s.t.]
est-music.com (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジョン・テイラー『覚醒』

decipher.jpg

1次リーグB組の1試合目、イングランド対パラグアイ。1−0でイングランドがかろうじて勝利を手にしました。初戦のむずかしさはあるにしても、イングランドの運動量、少なすぎですね。暑さでバテたのか、後半の精彩を欠いたプレイが心配です。2メートルをこえるといわれるクラウチ(倉内、蔵内?)は、ゴール前ではほとんど仕事をさせてもらえませんでした。ストレスがたまった彼がこの先、出場停止をくらって、8年前のベッカムのような圧力を受けずにすむよう、祈るばかりです。

イギリス人ジャズ・ピアニスト、ジョン・テイラー。1942年9月25日、イギリス・マンチェスター生まれ。ドイツの MPS レーベルに残された『覚醒』は(原題は Decipher。「(暗号などを)解読する」という意味です)、ミスター金字塔(笑)星野秋男さんが「欧州ジャズの金字塔」の一枚に推す強力なアルバムです。

いまでこそ、ジョン・テイラーはいわゆる ECM 系アーティストの一人と思われていますが、デビュー当時の彼は、もっとアグレッシヴで切れ味鋭いピアノを聞かせていました。知的でスリリング、甘さを排したハードボイルドな響きに、おもわずのけぞります。感情移入を拒む厳しさがありますが、シャープに切れ込むテイラーのピアノに、リリカルとは違う、欧州ジャズの別の側面を見る思いです。

SABA/MPS レーベルについては、こちらで。SABA/MPS Records Listing (Jazz Label Listings Project)



John Taylor "Decipher"
(MPS 15316)

John Taylor (piano)
Chris Lawrence (bass)
Tony Levin (drums)

Produced by MPS Records
Recorded at MPS ton studio, Villingen, Germany; 1972, 73

[Tracks]
01. Chipher 〜 Wait For Me John Taylor (music)
02. Leaping John Taylor (music)
03. Speak To Me John Taylor (music)
04. Song For A Child John Taylor (music)
05. White Magic John Taylor (music)

[Links: John Taylor]
John Taylor (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | SABA/MPS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月10日

『マルチン・ボシレフスキ・トリオ』

marcinwasilewskitrio.jpg

第二試合、ポーランド対エクアドル。酸素の少ないホーム(高地にある)でしか勝てないとのおおかたの予想を覆して、0−2でエクアドルの勝利。私はさすがに前半だけで沈没しましたが、ポーランドの攻めに迫力なし。いかにも南米的なパス主体のエクアドルに魅力を感じました。ドイツを食うとしたら、エクアドルのほうが可能性が高い。注目です。

さすがにエクアドルのジャズメンは知らないので(笑)、ポーランドの注目株、マルチン・ボシレフスキといきましょう。「誰だ、それ?」というあなた、『ハバネラ』あるいはシンプル・アコースティック・トリオ(SAT)でピンときませんか? そうです、数年前に輸入盤市場で話題となった SAT が ECM デビューを飾るにあたり、ユニット名をやめて個人名義で勝負したのが、この『マルチン・ボシレフスキ・トリオ』なのです(邦題ではマルチンのリーダー作のように見えますが、原題はそのものずばりの『トリオ』。三者対等の名義です)。

ピアノのマルチン、ベースのスワヴォミル・クルキエヴィッツは15歳の頃からのつきあいで、同じ音楽学校で学ぶ生徒だったとか。そこにドラムのミハウ・ミスキエヴィッツが加わり、SAT が誕生したのが、1993年の秋でした。ポーランド・ジャズ界の重鎮トーマス・スタンコに見出された SAT は、スタンコとの共演を重ねてキャリアを積みます。SAT がデビューを飾ったのは95年。以来、数枚のアルバムをものにしますが、2000年録音の『ハバネラ』で日本でも火がつきました。

彼らの音楽をひとことで表すと、静謐。どこまでもおだやかな空気のなかで、切なくなるような美しいメロディーが紡ぎ出されていきます。クラシックに接近したころのキースのソロに、ベースとドラムがからみあう感じ。といっても、そのからみかたは、ゲイリー・ピーコックやジャック・デジョネットのそれではなくて、もっと洗練された、抽象絵画のおもむきです。

この透明な空気感こそ、彼らが ECM に迎え入れられた理由でしょう。クリアな ECM サウンドと出会うことで、彼らの美意識がさらに研ぎすまされ、より自由な空間を獲得したように感じられます。じわりと心のなかに広がり、拡散して、やがて消えていく。「はかなさ」にとくべつな情感を抱く日本人にとって、この音楽はきっと、訴えかけるだけのものをもっています。

 

Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz "Trio"
(ECM 1891)

Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass)
Michal Miskiewicz (drums)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded at Rainbow Studio, Oslo; March 2004

[Tracks]
01. Trio Conversation (Introduction) Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
02. Hyperballad Bjo¨rk (music)
03. Roxana's Song Karol Szymanowski (music)
04. K.T.C. Marcin Wasilewski (music)
05. Plaza Real Wayne Shorter (music)
06. Shine Marcin Wasilewski (music)
07. Green Sky Tomasz Stanko (music)
08. Sister's Song Ewa Wasilewska, Marcin Wasilewski (music)
09. Drum Kick Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
10. Free-Bop Marcin Wasilewski (music)
11. Free Combinations For Three Instruments Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
12. Entropy Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)
13. Trio Conversation (The End) Marcin Wasilewski, Slawomir Kurkiewicz, Michal Miskiewicz (music)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ECM (Japo, Watt) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ユタ・ヒップ・アット・ザ・ヒッコリー・ハウス1&2』

atthehickoryhouse1.jpg atthehickoryhouse2.jpg

いよいよワールドカップがはじまりました。というわけで、このブログもW杯モードに突入です。マイルス&ピアニストの変遷はひとまずお休みして、W杯出場国のジャズ・ミュージシャンを紹介しましょう。

開幕戦を飾ったのは開催国ドイツ対コスタリカ。4対2でドイツが勝ちましたが、実にしまらない試合でした。ワンチョペのけっして速いとはいえない、のらりくらりとした動きに裏をとられてしまうドイツのディフェンダー、かなりの重症ですね。日本との親善試合でも見せたもろさを露呈してしまいました。地元開催という利点を考慮しても、優勝候補とはいえないでしょう。

黒人だらけ、男だらけのブルーノート1500番台にあって、数少ない白人というだけでなく、唯一の女性ピアニストとして知られるユタ・ヒップ。1925年2月4日、ドイツ・ライプツィヒ生まれ。2003年4月6日、ニューヨーク州クイーンズの自宅で死去。

ドイツのミュンヘンで演奏していたユタ・ヒップをニューヨークに連れてきたのは、評論家レナード・フェザーでした。ブルーノートは、ドイツからの移民アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフが旗揚げしたレーベルですから、同郷のよしみなのでしょう。ステーキハウス(?)ヒッコリーハウスでのライヴ録音が実現します。

MCでメンバー紹介しているのは、レナード・フェザーその人です。続いてユタ・ヒップの声が聞こえてきます。ベースはトリスターノ・スクールのピーター・インド。ドラムはのちにピーターソン・トリオに参加するエド・シグペンです。

一聴して、硬質な響きに驚きます。ジャケットの印象からか、女性らしい甘さを想像して聞くと、そのギャップに戸惑うかもしれません。この硬さは彼女がドイツ人ということと無関係ではないかもしれません。羽目をはずさないというか、融通が利かないというか、男を拒否しているような硬さが感じられますが、そこがたまらなくいい、という御仁もいるようです(笑)。

個人的には、彼女の曲紹介の「声」が大西順子さんのMCの声に似ている気がしますが、まあ、どうでもいいことですね。

 

"Jutta Hipp At The Hickory House, Vol. 1"
(Blue Note 1515)
"Jutta Hipp At The Hickory House, Vol. 2"
(Blue Note 1516)

Jutta Hipp (piano)
Peter Ind (bass)
Ed Thigpen (drums)

Produced by Alfred Lion, Leonard Feather
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Hickory House, NYC; April 5, 1956

[Tracks: Vol. 1]
01. Take Me In Your Arms Fred Markush (music) / Mitchell Parish (English lyrics)
02. Dear Old Stockholm (traditional)
03. Billie's Bounce Charlie Parker (music)
04. I'll Remember April Gene DePaul, Don Raye, Pat Johnston (music and lyrics)
05. Lady Bird Tadd Dameron (music)
06. Mad About The Boy Noel Coward (music and lyrics)
07. Ain't Misbehavin' Thomas "Fats" Waller (music) / Andy Razaf (lyrics)
08. These Foolish Things Jack Strachey, Harry Link (music) / Holt Marvell (lyrics)
09. Jeepers Creepers Harry Warren (music) / Johnny Mercer (lyrics)
10. The Moon Was Yellow Fred E. Ahlert, Edgar Leslie (music and lyrics)

[Tracks: Vol. 2]
01. Gone With The Wind Allie Wrubel (music) / Herbert Magidson (lyrics)
02. After Hours Avery Parish (music) / Robert Bruce, Buddy Fayne (lyrics)
03. The Squirrel Tadd Dameron (music)
04. We'll Be Together Again Carl Fischer (music) / Frankie Laine (lyrics)
05. Horacio Jutta Hipp (music)
06. I Married An Angel Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)
07. Moonlight In Vermont Karl Suessdorf (music) / John Blackburn (lyrics)
08. Star Eyes Gene DePaul, Don Raye (music and lyrics)
09. If I Had You Ted Shapiro, James Campbell, Reg Connelly (music and lyrics)
10. My Heart Stood Still Richard Rodgers (music) / Lorenz Hart (lyrics)

[Links: Ed Thigpen]
The Ed Thigpen website (Official Website)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 04:04| Comment(0) | TrackBack(0) | Blue Note | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。