

シャンソン生まれの名曲〈枯葉〉(原題は Les Feuilles Mortes)は、その印象的な旋律ゆえ、多くのジャズメンのレパートリーともなっています。ジョゼフ・コスマ作曲のバレエ曲〈ランデヴー〉に、詩人兼脚本家ジャック・プレヴェールが詞をつけて、1946年の映画『夜の門(LES PORTES LA NUIT)
ジャズの決定的名演はいくつもありますが、さしずめキャノンボール・アダレイの『サムシン・エルス
さて、この『サムシン・エルス』。キャノンボールの作品だとクレジットされていますが、実質的なリーダーはマイルスです。それは演奏を聞けばわかります。いつものように、いちばんおいしいところは、全部マイルスがもっていっちゃうわけです(笑)。自分だけにスポットライトが当たるように計算しつくされたアレンジ。こういう気恥ずかしいことをやってサマになるのは、やっぱりマイルスをおいて他にはいません。
ところが、このアレンジ。実はマイルスの独創ではなくて、元ネタがいます。当時、マイルスはシカゴのピアニスト、アーマッド・ジャマルに心酔していて、彼の演奏する〈枯葉〉のアレンジをそのまんま拝借したというのは、有名な話です。
ただ、私はジャマルが弾く〈枯葉〉を聞いたことがないので、正確なことはわかりません。気になる人は、『ポートフォリオ・オブ・アーマッド・ジャマル
それはさておき、この『サムシン・エルス』には、心あたたまる逸話が残されています。マイルスが重度のジャンキーで演奏もままならなかったころ、救いの手を差し伸べたのが、ブルーノートのプロデューサー、アルフレッド・ライオンでした。2人は「1年に1度のレコーディング」を約束し、52年、53年、54年とその約束を忠実に果たしていきます。その時代の記録が『マイルス・デイヴィス Vol. 1
ところが、マイルスが55年に大手コロンビアと契約したため、この約束が途絶えてしまいます。しかし、マイルスは忘れていなかった。意外と義理堅いところもあるんです、マイルスは。コロンビアとの契約の関係で、リーダーは別人を立てるしかありませんでしたが、久々に古巣ブルーノートで録音します。それも、とびっきりの名曲をひっさげて。
ブルーノートの倉庫に残されたマスターテープの箱には、アルフレッドの字で大きく「Miles」と書かれていたそうです。彼にとっては紛れもなく「マイルスのセッション」だったのでしょう。2人の友情に乾杯!
Cannonball Adderley "Somethin' Else"
(Blue Note BLP 1595)
Miles Davis (trumpet)
Cannonball Adderley (alto sax)
Hank Jones (piano)
Sam Jones (bass)
Art Taylor (drums)
Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ; March 9, 1958
[Tracks]

01. Autumn Leaves (music: Joseph Kosma / words: Jacques Prevert, Johnny Mercer)
02. Love For Sale (music+words: Cole Porter)
03. Somethin' Else (music: Miles Davis)
04. One For Daddy-O (music: Nat Adderley)
05. Dancing In The Dark (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
[Links: Miles Davis]
The Official Miles Davis Web Site
The Official Miles Davis Web Site (@ Sony Music)
Miles Ahead: A Miles Davis Website (by Peter Losin)
Miles Davis: Missing Links (by Thomas Westphal)
Miles Davis Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Cannonball Adderley]
The Cannonball Adderley Rendez-vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
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