2005年07月29日

ローランド・カーク『リップ・リグ&パニック』

riprigandpanic.jpg Roland Kirk Quartet - Rip Rig and Panic / Now Please Don't You Cry Beautiful Edith

ここしばらく休みなし、睡眠時間なしで仕事に埋没していましたが、昨日10時間ほど爆睡して、ついに復活です! そうそう、ラサーンの話でしたよね(前回投稿したのが、はるか昔のような気がします)。今回は、伝統と革新が何の違和感もなく同居していたラサーンらしさがふんだんに詰まった傑作『リップ・リグ&パニック』の紹介といきましょう。

伝統の継承者としてのラサーンを聴きたければ、まずは1曲目の〈ノー・トニック・プレス〉。プレス(プレジデントの略)といえば、テナーの巨匠レスター・ヤングですね。
テナー1本で勝負かと思いきや、テナーによるソロと2管(3管?)同時吹奏がごく自然に入れかわり立ちかわり現れて、演奏をより深いものにしています。

そして、そのものズバリの〈フロム・ベシェ・バイアス・ファッツ〉。ソプラノのシドニー・ベシェ、テナーのドン・バイアス、ストライド・ピアノのファッツ・ウォーラーに捧げたこの曲で、ラサーンは得意の循環呼吸法を使って(サーキュラー・ブリージング。鼻で息を吸いながら口から息を吐き出す)、息継ぎなしのロングソロを炸裂させます。いやはや、強烈です! ラグタイムからフリーまで、なんでもこなすジャズ・ピアノの生きた歴史、ジャッキー・バイアードも大活躍です。

でも、このアルバムでいちばんの聴きものは、やはりなんといってもタイトル曲です。怪しげなテーマからはじまるこの曲は、途中、グラスの割れる音を境にガラリと様相を変え、一気にヒートアップします。グラスの割れる音? そうです、彼はこの音をどうしても使わなければならなかった。眠れる聴衆を叩き起こすために(くわしくは、下で説明します)。

耳から聞こえる音はなんでも演奏に取り込まずにはいられなかった「音の探求者」ラサーン。でも、それはギミックではありません。これほど効果的に「目を覚ます」方法を、私はほかに思いつきません。実際、眠気(いや、今日は眠くないけどね)が一発で吹っ飛ぶんですよ!

さて、このアルバムのタイトル、意味不明ですね〜。ラサーンはオリジナルな言語で話すクセがあったそうですが、これはなんと解釈したらいいのでしょう?「Rip」は「Rip Van Winkle」のこと。英辞郎によれば、「W. Irving 作『The Sketch Book』の主人公。20年間眠り続けた後で目覚めた」とあります。「Rig」は石油掘削装置やトレーラー、いたずら、八百長といった意味があるようですが、ラサーンによると「死後硬直」。つまり、人びとは生きているように見えて、その心は眠っていたり、硬直したりしている。覚醒してないってことですね。そして、最後の「Panic」がくる。「できると思いもしないことを私がやっているのを聴くと、彼らはパニックに陥るのさ」とは、ライナーノーツにあるラサーンの言葉です(訳は林建紀さんのものを拝借)。

1961年の『ウィー・フリー・キングス』にはじまるラサーン(当時はただの「ローランド・カーク」と名乗っていました)のマーキュリー録音は、このライムライト盤『リップ・リグ&パニック』で終焉を迎えます(ライムライトはエマーシーと並ぶマーキュリーの代表的な傍系レーベル。スーパーバイザーとして、クインシー・ジョーンズが参画していました)。次にラサーンが向かった先は、ブラック・ミュージックの宝庫アトランティック・レーベルですが、その話は次回にとっておきましょう。

マーキュリーといえば、Matsubayashi 'Shaolin' Kohji さんの手になる Mercury Records Collection というものすごいサイトがあります。録音データだけのディスコグラフィーでも、手持ちの CD のコレクションでもなく、アナログ盤(しかも、ほとんどがオリジナル盤だそうです)だけを詳細なコメントとジャケット写真つきで紹介する、という気の遠くなるようなサイトです。本家のマーキュリーはもちろん、傍系のエマーシーやライムライト(ジャズファンにとっては、こっちのほうがおなじみですね)などまで手を伸ばしていて、全部見るだけでも1日仕事(いや、1日じゃ終わりませんね、この量は)はたしていつまで続くのか。ご本人いわく、「生涯を通じた趣味になるでしょう」とのことです。私も陰ながら応援しています。

 

Roland Kirk "Rip, Rig And Panic"
(Limelight LM-82027/LS-86027)

Roland Kirk (tenor sax, stritch, manzello, castanets, siren)
Jaki Byard (piano)
Richard Davis (bass)
Elvin Jones (drums)

Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, NJ; Jan 13, 1965

[Tracks] Roland Kirk Quartet - Rip Rig and Panic / Now Please Don't You Cry Beautiful Edith
01. No Tonic Press (music: Roland Kirk)
02. Once In A While (music: Michael Edwards / words: Bud Green)
03. From Bechet, Byas And Fats (music: Roland Kirk)
04. Mystical Dreams (music: Roland Kirk)
05. Rip, Rig And Panic (music: Roland Kirk)
06. Black Diamonds (music: M. Sealey)
07. Slippery, Hippery, Flippery (music: Roland Kirk)

[Links: Roland Kirk]
Periodicals 林建紀 (@ Read NKYM!)
The Rahsaan Roland Kirk Website
Roland Kirk Discography (by Michael Fitzgerald)
Roland Kirk Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jaki Byard]
jakibyard,org
[Links: RIchard Davis]
The Richard Davis Page
[Links: Elvin Jones]
Elvin Jones: Official Web Site

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | Mercury (EmArcy, Limelight) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月13日

ローランド・カーク『ドミノ』

domino.jpg Roland Kirk Quartet - Domino

先日、とある酒席で「で、ユキヒロさんはいったい誰のファンなの?」と訊かれ、思わず「ローランド・カークです!」と答えてしまった私。これには自分で驚きました。そうか、自分はそんなにカークが好きだったのか、と。

持っている CD の枚数からすれば、キース、マイルス、エヴァンス、ゲッツが四巨頭で、カークは第二グループに属しています。ほかに、ペッパー、キャノンボール、ドルフィー、スティット、ロリンズ、デックス、トレーン、ペトちゃん、モンク、ブラウニーあたりがこのグループになりそうです。

でも、あのストリッチやマンゼロの甲高い叫び、息漏れまくりのフルートのむせび泣きを思い出しただけで、ダメなんです。楽器を通しているはずなのに、これほど肉声を感じる人はいません。

ラサーン・ローランド・カーク。1936年8月7日、オハイオ州コロンバス生まれ。1977年12月5日、インディアナ州ブルーミントンで亡くなりました。

彼は闇の住人です。生まれたときからほとんど見えなかったようですが、幼少時に眼の治療に失敗。残っていたわずかな視力も失いました。視覚をもたない人は、ほかの感覚が鋭敏になるといいます。ラサーンの場合、それは耳でした。あらゆる音を聞き分ける聴力。それをあらゆる楽器で再現する力。そうしたものが彼の驚異の記憶力といっしょになると、そこに「ジャズの生き字引」が誕生します。

そう、ラサーンは博覧強記の人でもありました。ありとあらゆるレコードを記憶していたみたいだ、との証言もあります。頭の中には「ジャズの歴史」が詰まっていて、いつでも引き出しから取り出せる状態にありました。共演者は彼から「ジャズの伝統」を教わり、聴衆は彼の扇情的な MC に耳を奪われました。

歴史上の人物に祭り上げられてしまったジャイアンツも、彼と同時代を生きたイノヴェイターたちも、ラサーンの中で何の違和感もなく同居していました。彼らは演奏の端々に顔を出しますが、出てきたときはみんなラサーンの音になっていました。

ラサーンはよくいわれるような「伝統を破壊する者」ではなく、むしろこの時代では珍しいほど「伝統を知り、それを受け継いだ者」でした。それは彼の音楽を聴けばわかります。ただし、それは過去の模倣ではありません。ラサ−ンは無類の新し物好き、実験好きでもあったのです。

ラサーンというと、どうしても、3本のサックスを首からぶら下げて同時に吹くとか、口でフルートを吹きながら同時に鼻でもフルートを吹くとか、視覚的なイメージが先行してしまいますが、目を閉じ、心を真っ白にして、彼の『ドミノ』に耳を傾けてください。この音楽のどこがギミックなのでしょうか?(「ギミックは「からくり」「奇怪な演奏」のこと。ラサーンは生涯、このギミックという言葉と闘い続けました)

歌なしで、ここまで感情移入できる演奏を私は知りません。フランス生まれのマイナー・ワルツを、ラサーンはすべて「肉声」で語っています。その声は私の心に直接語りかけてきます。そして、意識の奥のほうでうごめく私の情動に火をつけるのです。ああ、ラサーン。アンタってホンマにサイコーやわ!

ラサーニアン(笑)のマスト・アイテム『ローランド・カーク伝』(ジョン・クルース著/林建紀訳)は河出書房新社より絶賛発売中。上記の本の訳者でラサーン研究家、林建紀さんによるラサーン評伝 Periodicals 林建紀 (@ Read NKYM!)、必見です。

追記:〈ドミノ〉の別テイクについて

現在発売されている『ドミノ』の CD には、〈ドミノ〉の別テイクを含むボーナストラックが数曲ついています。1962年4月17日のこのセッションは、翌18日と同じメンバー(ピアノはウィントン・ケリー)で収録されたといわれてきました。ところが、実はピアノはハービー・ハンコックが弾いていたんだそうです。後年発掘されたドルフィーの『イリノイ・コンサート』とともに、才人ハービーの意外な一面を知る思いがします。

 

Roland Kirk "Domino"
(Mercury MG-20748/SR-60748)

Roland Kirk (tenor sax, stritch, manzello, flute, siren)
Wynton Kelly (piano) #7-10
Andrew Hill (piano, celeste) #1-6
Vernon Martin (bass)
Roy Haynes (drums) #7-10
Henry Duncan (drums) #1-6

Recorded at Nola Penthouse Studios, NYC; April 18, 1962 (#7-10)
Recorded at Ter-Mar Recording Studios, Chicago; September 6, 1962 (#1-6)

[Tracks]  Roland Kirk Quartet - Domino
01. Domino (music: Louis Ferrari / words: Jacques Plante)
02. Meeting On Termini's Corner (music: Roland Kirk)
03. Time (music: Richie Powell)
04. Lament (music: J.J. Johnson)
05. A Stritch In Time (music: Roland Kirk)
06. 3-In-1 Without The Oil (music: Roland Kirk)
07. Get Out Of Town (from "Leave It To Me") (music+words: Cole Porter)
08. Rolando (music: Roland Kirk)
09. I Believe In You (music+words: Frank Loesser)
10. E.D. (music: Roland Kirk)

[Links: Roland Kirk]
Periodicals 林建紀 (@ Read NKYM!)
The Rahsaan Roland Kirk Website
Roland Kirk Discography (by Michael Fitzgerald)
Roland Kirk Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Wynton Kelly]
Wynton Kelly: a discography with cover photos (by Atsushi acchan Ueda)
Wynton Kelly Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Andrew Hill]
Andrew Hill's Official Website
Andrew Hill - Discography / Sessionography (by Marcel Safier)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 12:15| Comment(0) | TrackBack(0) | Mercury (EmArcy, Limelight) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月12日

ズート・シムズ『ズート・アット・イーズ』

zootatease.jpg 

ズート・シムズのテナーはどこまでもスウィングする。ということはつまり、オールド・スタイルでもあるわけです。今でこそわかったようなことを書いていますが、私は最初、ズートのよさがわからなかった。マイルスやコルトレーンばかり聞いていた耳に、ズートはいかにも古臭かったわけです。

それはスウィング期の大物、たとえばレスター・ヤングの『プレス&ティディ』をはじめて聞いたときの感覚と似ています。「驚くほどモダンなフレーズが云々」というのは、レスターを紹介するときによく見かける言葉ですが、これなんかも強調すべきは「驚くほど」の部分で、基本はやっぱりスウィング・テナーなんです(その中に時折「驚くような」フレーズが飛び出すのが楽しいといえば楽しいのですが)。

ジャズの聴きはじめはたいてい、そのカッコよさに耳が奪われます。コルトレーン、ドルフィー、オーネットとフリー路線を突っ走る人もいれば、マイルス、ハンコック、ショーターとファンク&フュージョン路線に行き着く人もいます。そんな時期に、ズートを聞いてもわからない(笑)。でも、それが一段落したら、ぜひこの『ズート・アット・イーズ』に耳を傾けてください。今まで聞いてきた「ええかっこしいのジャズ」とは180度違った、豊潤なジャズの世界が広がっています。

なぜ『ズート・アット・イーズ』なのか。それはズートのソプラノ・サックスが聞けるからです。ズートのソプラノは、モダンな響きがします。彼のテナーがノスタルジックな味わいを感じさせるとすると、ソプラノは今の耳で聞いてもじゅうぶん新しい。コルトレーン以降、テナー奏者のソプラノ持ち替えが流行りましたが、この新しいオモチャを完全に自分のものにしたのはズートだけといったら、いいすぎでしょうか。そういいたくなるほど、彼のソプラノは完成されています。地に足が着いているというか、しっくりくるんです、ホントに。

ソプラノの軽い音色は、どちらかというとスピード感あふれる演奏向きで(トレーンとか)、また独特の浮遊感を出すのに適しています(ショーターとか)。ところが、ズートのソプラノは違います。きわめてオーソドックスなスタイルながら、出てくる響きはどこかモダンという、このさじ加減が絶妙なんです。ソプラノといえばコルトレーンの『マイ・フェヴォリット・シングス』しか知らない人は、ぜひズートのソプラノを聞いてください。私のいわんとしていることがわかるはずです。

私自身、このアルバムの1曲目〈朝日のようにさわやかに〉を聞いて、はじめてズートが好きになりました。そして、いったん好きになると、古臭く感じられた彼のテナーが急に愛おしくなるから不思議です。前半はソプラノとテナーが交互に演奏されます。これがまたいいんです。ソリッドな今のサウンドと温かみのある人間的な音が入れ替わり立ち現れて、あきません。

もう1つ、聞きどころは〈ローズマリーの赤ちゃん〉。1968年の同名映画からの選曲と思われます。この迫りくる緊迫感が見事としかいいようのない曲を作曲したのはポーランドのピアニスト、クシシュトフ・コメダです(英語では Christopher Komeda)。ただし、私がもっているプログレッシヴ盤のCD(PCD-7110)では、この曲のクレジットが別人になっています。ひょっとしたら別の曲なのでしょうか? ちなみに、映画のサントラ(残念ながら未聴です)では、「Rosemary's Baby」そのものがタイトルになった曲はありませんでした。情報求む。



Zoot Sims "Zoot At Ease"
(Famous Door HL-2000)

Zoot Sims (soprano sax) #1, 3, 5 (tenor sax) #2, 4, 6-8
Hank Jones (piano)
Milt Hinton (bass)
Louie Bellson (drums) #1, 4-7
Grady Tate (drums) #2, 3, 8)

Produced by Harry Lim
Recorded by Richard Blakin
Recorded at A&R Recording Studios, NYC; May 30 (#1, 4-7), August 9 (#2, 3, 8), 1973

[Tracks] 
01. Softly, As In A Morning Sunrise (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
02. In The Middle Of A Kiss (music: Sam Coslow)
03. Alabamy Home (music: Duke Ellington / words: Dave Ringle)
04. Do Nothin' Till You Hear From Me (music: Duke Ellington / words: Bob Russell)
05. Rosemary's Baby (music: Krzysztof Komeda)
06. Cocktails For Two (music: Arthur Johnston / words: Sam Coslow)
07. My Funny Valentine (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
08. Beach In The A.M. (aka. Minority) (music: Hank Jones)

[Links: Zoot Sims]
ZootSims.net (by くおーく)
Zoot Sims Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Milt Hinton]
MiltHinton.com
[Links: Louie Bellson]
Louie Bellson

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 08:54| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月11日

ズート・シムズ『ズート』

zoot.jpg

ズート・シムズのようなスウィンギーなテナー奏者は、ミディアム・テンポ中心のワンホーン・カルテットが最高。というわけで、アーゴ盤『ズート』の紹介です(アーゴ/カデット・レーベルのアルバム・リストはこちら)。

余談ながら、リヴァーサイドにも『ズート!』というアルバムがありますが、こちらには『!』がついています。ちと細かいか。

その場でつくる即興音楽なのに駄作・凡作がほとんどないというのは、いかにもスゴイことなのですが、どれを買ってもハズレなし、スタイルの変遷もほとんどなし、ということになると、コメントが書きにくいのは困ったことです(笑)。ズートはずーっとズートだった(爆)だけなのですが、違いがなければコメントのしようがないわけです。

で、そうなると、自然と細かなところに目が向きます。このアルバムでいえば、オスカー・ペティフォードのキラー・チューン〈ボヘミア・アフター・ダーク〉をズートは珍しくアルトで演奏しています。そういう重箱の隅をつつくようなところで違いを際立たせたくなるのですが、これはどうしても余技の域を超えない(笑)。予想以上に流暢で、後年ソプラノ・サックスで新たな才能を開花させたズートを思わせる好演ではありますが、ズートはやはりテナーを吹いてなんぼの人なんです。

聞きどころは、ミディアム調の1曲目「9時20分スペシャル」。あるいは、4曲目「ブルー・ルーム」なんかもらしくて好きです。



Zoot Sims "Zoot"
(Argo 608)

Zoot Sims (tenor sax) #1-6, 8 (alto sax) #7
John Williams (piano)
Knobby Totah (bass)
Gus Johnson (drums)

Recorded at Capitol Studios, NYC; October 12, 1956

[Tracks] 
01. 9:20 Special (music: Earl Warren / words: William Engvick)
02. The Man I Love (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
03. 55th And Stage (music: Zoot Sims)
04. Blue Room (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
05. Gus's Blues (music: Gus Johnson)
06. That Old Feeling (music: Sammy Fain / words: Lew Brown)
07. Bohemia After Dark (music: Oscar Pettiford)
08. Woody'n You (music: Dizzy Gillespie)

[Links: Zoot Sims]
ZootSims.net (by くおーく)
Zoot Sims Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 09:50| Comment(1) | TrackBack(0) | Argo/Cadet | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月09日

ズート・シムズ『クッキン!』

cookinzoot.jpg

酒さえ飲んでいれば、いつでもご機嫌だったというズート・シムズ。好不調の波がほとんどなく、ジャズのスタイルの変遷ともほとんど無縁で過ごした彼の酔いどれテナーを聞くときは、アルコールで頭をからっぽにするのが正しい聴く方。というわけで、今日も私は飲んでます(笑)。

その昔、イギリスは音楽的な「鎖国」状態にあったそうな。いわく、「アメリカのジャズメンがイギリスのクラブで演奏するのはけしからん。俺たちの職を奪うな」というわけで、イギリスのミュージシャン・ユニオンが外国のミュージシャンがイギリス国内で演奏するのを規制していた。今となっては笑い話ですが、そういう排他的なギルドが昔はあったんですね。

世の中がグローバル化した現代の視点から見れば、そういう排他的な行動は、実は自分たちの首を絞めることにしかならないわけです。本場のミュージシャンがこなければ、シーンそのものが活性化しない。というよりも、ジャズという音楽そのものが、シーンから消えてしまう可能性があります。それじゃ元も子もない。

かの地のミュージシャンもそれに気づいたんでしょう。今の言葉でいう「規制緩和」を実施しました。アメリカのミュージシャンも来ていいよ。ていうか、来てください。お願いします、ってなわけで、ズート・シムズが呼ばれたのは、ロンドンにあるロニー・スコッツ・ジャズ・クラブ。1961年の暮れでした。

オーナー自らサックス吹きというこのクラブで、ズートは「これぞテナー」というご機嫌な演奏を聞かせてくれます。寺島靖国さんから「キング・オブ・スウィング」の称号をもらったズートのこと(ただしモダン期限定。ふつう「キング・オブ・スウィング」といえば、御大ベニー・グッドマンを指します)。気取らない、構えない、普段着のスウィング・テナーを思う存分楽しんでください。最後のオマケをのぞけば、すべてワン・ホーン・フォーマットでの録音というのも、ファンとしてはうれしいですね。

ジャケットの女性が印象的な『クッキン!』。一聴の価値はあります。



Zoot Sims "Cookin'!"
(Fontana 683 273 JCL / 883 273 JCY)

Zoot Sims (tenor sax)
Stan Tracy (piano)
Kenny Napper (bass)
Jackie Dougan (drums)
Jimmy Deuchar (trumpet) #6
Ronnie Scott (tenor sax) #6

Recorded live at Ronnie Scott's Jazz Club, London; November 13-15, 1961

[Tracks] 
01. Stompin' At The Savoy (music: Edgar Sampson, Chick Webb, Benny Goodman / words: Andy Razaf)
02. Love For Sale (music+words: Cole Porter)
03. Somebody Loves Me (music: George Gershwin / words: Buddy G. DeSylva, Ballard MacDonald)
04. Gone With The Wind (music: Allie Wrubel / words: Herbert Magidson)
05. Autumn Leaves (music: Joseph Kosma / words: Jacques Prevert, Johnny Mercer)
06. Desperation (music: Jimmy Deuchar)

[Links: Zoot Sims]
ZootSims.net (by くおーく)
Zoot Sims Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 20:28| Comment(0) | TrackBack(1) | Fontana | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月08日

ズート・シムズ&アル・コーン『ハーフノートの夜』

jazzalive.jpg 

スタン・ゲッツはウディ・ハーマンのセカンド・ハード時代(1947年〜)に名を挙げましたが、フォー・ブラザーズと呼ばれた花形サックス・セクションには、ゲッツのほかに、同じくテナーのズート・シムズとハービー・スチュワード(途中脱退。代わりにアル・コーンが加入した)、そしてバリトンのサージ・チャロフがいました。4人のアンサンブルにスポットを当てた、その名も「フォー・ブラザーズ」という有名なナンバーは、同楽団の作編曲家で、自身もテナー、バリトン、クラリネットを操るジミー・ジュフリーの作品です。

ハーマン楽団出身のズート・シムズとアル・コーンが、お互いに引き寄せられるように2テナー・チーム「アル&ズート」を結成したのが1957年。以来、2人は数々の愛すべき作品をものにします。

スインギーなテナー奏者の代表格、ズート・シムズ。本名は、John Haley Sims。1925年10月29日、カリフォルニア州イングルウッド生まれ。1985年3月23日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。

作編曲家としてもすぐれた手腕を発揮したアル・コーン。1925年3月14日、ニューヨーク州ブルックリン生まれ。1988年2月15日、ペンシルヴァニア州ストラウズバーグで死去。

2テナーといえば、お互いに持てる技を競いあう「バトル」のイメージが強いですが、この2人には、そういう「対決」的な要素はありません。というのも、ズートとアルはよく似ています。双子じゃないかと思うくらいです。だから、個性をぶつけ火花を散らすというよりも、気のあう仲間が集まり心ゆくまで演奏を楽しむといったほうが近い。「和気あいあい」や「アットホーム」という言葉が、これほどふさわしいバンドはほかに思いつきません。

このアルバムは、彼らが根城にしていたニューヨークはハーフノートにおけるライブ盤です。邦題は『ハーフ・ノートの夜』。

2人の相性の良さは、冒頭の〈恋人よ我に帰れ〉を聞けば、一発でわかります。こんなにご機嫌な演奏は、そうそうあるものではありません。小難しいこと一切なし。サイコーにハッピーで、ノリノリの2人のかけあいに身を委ねれば、思わず頬もゆるみます。イエ〜イ!

「こんなところにこの人が」的な発見がおもしろいピアノのモーズ・アリソン(!)とドラムスのポール・モチアン(59年といえば、エヴァンス・トリオ加入直前ですね)。また、3、4曲目にはフィル・ウッズが客演しています。

 

Zoot Sims, Al Cohn "Jazz Alive! A Night At The Half Note"
(United Artisits UAS-5040)

Zoot Sims (tenor sax)
Al Cohn (tenor sax)
Mose Allison (piano)
Nabil Totah (bass)
Paul Motian (drums)
Phil Woods (alto sax) #3, 4

Produced by Jack Lewis
Recorded by Dick Olmsted
Recorded live at the Half Note, NYC; February 6, 7, 1959

[Tracks] 
01. Lover Come Back To Me (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
02. It Had To Be You (music: Isham Jones / words: Gus Kahn)
03. Wee Dot (music: J.J. Johnson, L. Parker)
04. After You've Gone (music: Turner Layton / words: Henry Creamer)

[Links: Zoot Sims]
ZootSims.net (by くおーく)
Zoot Sims Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Phil Woods]
The Official Phil Woods Website
[Links: Mose Allison]
Mose Allison: Official Webiste
The Mose Allison Webiste
[Links: Paul Motian]
Paul Motian (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 22:58| Comment(0) | TrackBack(1) | United Artists (Solid State) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月07日

スタン・ゲッツ『ピュア・ゲッツ』

puregetz.jpg

スタン・ゲッツのコンコード・レーベル第2弾。ドラマーは前作と同じヴィクター・ルイス(曲によってビリー・ハート)、ピアノはジム・マクニーリー、ベースはマーク・ジョンソンという、当時のレギュラー・バンドによる録音です。『ピュア・ゲッツ』というタイトルからもわかるように、ゲッツはますます「純なるもの」へと回帰していきます。

ボサノヴァの大ヒットによってチヤホヤされた60年代。しかし、その後は一度ミリオンセラーを放った者の宿命がつきまといます。いい作品をつくっても売れない。そりゃそうです。ジャズ本来のマーケットはそんなに大きくないのですから。でも、レコード会社はそうは思わない。だから、せっせとコマーシャル路線のアルバムをつくるよう要求します。

そうして、ゲッツのふだんの音楽活動と、商品としてのアルバムに乖離が生じます。レギュラー・バンドでは、ゲイリー・バートン、チック・コリア、スタンリー・カウエル、ミロスラフ・ヴィトウスら、生きのいい若手を次々と迎え、ゲッツ自身もフレッシュな音楽を展開していたのに、それがなかなか商品として流通しない。大金と名声を手にしたにもかかわらず、自分のやりたいことができないもどかしさ。ゲッツはしだいに心の闇を抱えるようになります。

80年代になって、当時はまだマイナー・レーベルにすぎなかったコンコードと契約を交わしたのは、ゲッツ流の「ストレート・アヘッド回帰宣言」です。自分はまっとうなジャズで生きていくしかないという悟り。そして、ほんとうの自分らしさを取り戻した喜び。1991年に亡くなるまでの10年間、ゲッツは最後の、そして力強い炎を燃やし続けます。

1曲目の〈オン・ジ・アップ・アンド・アップ〉。あまりの若々しさに、出だしから圧倒されっぱなしです。ゲッツ、おそるべし。

マイルスゆかりの2曲、〈シッピン・アット・ベルズ〉(Bell's というのはハーレムにあったバーの名前。sip は「お酒などをチビチビ飲む」こと。パーカー時代のマイルスの作品です。ソニー・クラークの人気盤『クール・ストラッティン』にも収録)と、バド・パウエル作曲の〈テンパス・フュージット〉(『マイルス・デイヴィス Vol. 1』のバージョンが有名です)。ゲッツらしからぬ選曲ですが、これがまたいいんです。

何度か共演したエヴァンスの〈ヴェリー・アーリー〉も演っています。

 

Stan Getz "Pure Getz"
(Concord Jazz CJ 188)

Stan Getz (tenor sax)
Jim McNeely (piano)
Marc Johnson (bass)
Victor Lewis (drums) #1, 2, 4, 7
Billy Hart (drums) #3, 5, 6)

Produced by Carl E. Jefferson
Recorded by Phil Edwards, Ed Trabanco
Recorded at Coast Recorders Studios, SF; Jan 29, 1982 (#1, 2, 4, 7)
Recorded at Soundmixers, NYC; Feb 5, 1982 (#3, 5, 6)

[Tracks]
01. On The Up And Up (music: Jim McNeely)
02. Blood Count (music: Billy Strayhorn)
03. Very Early (music: Bill Evans)
04. Sippin' At Bell's (music: Miles Davis)
05. I Wish I Knew (music: Harry Warren / words: Mack Gordon)
06. Come Rain Or Come Shine (music: Harold Arlen / words: Johnny Mercer)
07. Tempus Fugit (music: Bud Powell)

[Links: Stan Getz]
Stan Getz Discography (by Riccardo Di Filippo, Luigi Maulucci & Nicola Rascio)
Stan Getz Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jim McNeely]
Jim McNeely's home page
[Links: Marc Johnson]
Marc Johnson (@ ジャズCDの個人ページ by K. Kudo)
[Links: Billy Hart]
Billy Hart Homepage (by Jeremy Jones)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | Concord Jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月06日

スタン・ゲッツ『ザ・ドルフィン』

thedolphin.jpg

1970年代に吹き荒れたフュージョン旋風。王様ゲッツといえども、その影響と無縁ではいられませんでした。メジャー・レーベル CBS に残したいくつかのコマーシャルなアルバムに、その時代のゲッツの苦悩が刻まれています。しかし、80年代の幕開けとともにジャズは復活します。ゲッツもまた、活動の拠点をそれまでのニューヨークから西海岸に移し、新たにコンコードと専属契約を結ぶことで、メインストリーム・ジャズに帰ってきます。

ゲッツがイルカとたわむれる写真がまぶしい『ザ・ドルフィン』は、もう一度王道で勝負するぞ、という彼の意気込みが感じられる傑作です(コンコード第1弾)。あるべきところにあるべき人がおさまる感じ。思わず「お帰りなさい」と声をかけたくなるような、「しっくり感」がこの作品にはあります。ゲッツはやっぱりこうじゃなくちゃ。

そうした心境の変化には、旧友ルー・レヴィとの再会もいい影響をおよぼしたことでしょう。ゲッツとレヴィは、古くはウディ・ハーマンのセカンド・ハード時代からのつきあいで(1947年〜。クール時代の幕開けを告げた有名な〈アーリー・オータム〉が吹き込まれたのはこの時代です)、『ウェスト・コースト・ジャズ』、『アウォード・ウィナー』、『ザ・スティーマー』、『ゲッツ・ミーツ・マリガン』などなど、共演作も数多く残されています。変人ゲッツが珍しく素直に接した相手レヴィ。このアルバムに聞かれる解放感には、そんな2人の間柄も関係しているのかもしれません。

冒頭の〈ドルフィン〉。ボサノヴァ調のこの曲を、ゲッツは軽やかに料理してくれます。そうそう、そうなんです。この軽みこそ「ジャズ・ボッサ」にふさわしい。この1曲を聞いただけで、このアルバムの成功がわかろうというものです。

そして、ジョニー・マンデル作の2曲目〈ア・タイム・フォー・ラヴ〉。私はケイコ・リーの 3rd アルバム『ビューティフル・ラヴ』に収められた同曲が大好きで、この甘いメロディーを聞いただけでメロメロになってしまうのですが、ゲッツの演奏もすばらしい。スイートでいながらも甘いだけではない、大人の男を感じさせる名演です。このバラード解釈は、ゲッツ最後の名盤『ピープル・タイム』にも通じるものがあります。

 

Stan Getz "The Dolphin"
(Concord Jazz CJ 158)

Stan Getz (tenor sax)
Lou Levy (piano)
Monty Budwig (bass)
Victor Lewis (drums)

Produced by Carl E. Jefferson
Recorded by Phil Edwards
Recorded live at Keystone Korner, SF; May 10, 1981

[Tracks]
01. The Dolphin (music: Luiz Eca)
02. A Time For Love (music: Johnny Mandel / words: Paul Francis Webster)
03. Joy Spring (music: Clifford Brown)
04. My Old Flame (music: Arthur Johnston / words: Sam Coslow)
05. The Night Has A Thousand Eyes (music: Jerry Brainin / words: Buddy Bernier)
06. Close Enough For Love (music: Johnny Mandel / words: Paul Williams)

[Links: Stan Getz]
Stan Getz Discography (by Riccardo Di Filippo, Luigi Maulucci & Nicola Rascio)
Stan Getz Discography Project (@ Jazz Discography Project)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 10:08| Comment(0) | TrackBack(0) | Concord Jazz | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月05日

スタン・ゲッツ『スウィート・レイン』

sweetrain.jpg

一連のボサノヴァ・ブームで大金を手にしたゲッツは、一時休養に入ります。そして、復帰後の彼が起用したのは、当時、無名に近かったチック・コリアでした。チックの名を決定的にしたソリッドステイト盤『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス 』は翌68年の録音です。

若き才人チックのシャープなピアノに影響されたのか、ゲッツは『スウィート・レイン』で、切れ味鋭いモーダルなテナー吹きとして、新たな一歩を踏み出します。それにしても、男ゲッツ40歳にしてこのみずみずしさはどうでしょう。実際、この変貌ぶりは驚くべきものです。それは昔のゲッツと聴き比べると、一聴瞭然です。

マイルスは派手なパフォーマンスで時代の最先端を切り開く「進化の人」でしたが、その実、彼のトランペット奏法はほとんど変化しません。50年代のハードバップ時代も、60年代のモード時代も、70年代のエレクトリック時代も、変わったのは周りのサウンドだけで、マイルス自身はいつも変わらぬ音色でトランペットと対峙している。彼はサウンド・イノヴェイターであって、楽器奏者としてのマイルスに変化はないわけです。

それと比べると、ゲッツは音色そのものを変化させながら、時代にあった吹き方をきわめていきます。楽器奏者として進化し続けたわけです。テナーの王様ゲッツここにあり、です。

チックのオリジナル〈リザ〉〈ウィンドウズ〉に聞かれる、もぎたてフルーツのフレッシュな響きも好きですが、個人的にはジョビン作の〈オ・グランジ・アモール(大いなる愛)〉にゲッツの音楽的成熟を感じます。

この曲は、前回紹介したいわくつきの迷盤『ゲッツ/ジルベルト』でも演奏されていました。前作では、必要以上に力の入ったゲッツのテナーが、ジョアン・ジルベルトの軽妙洒脱な味わいをかき消していたのですが、今回はそうした不自然さが感じられません。とてもリラックスしたソフトなサウンドが、「そうそう、これなんだよなあ」とうまいぐあいに腑に落ちます。

ブームが去り、ジョアンも去って、ひとりのテナーマンとしてこの曲に向き合ったとき、ムダな力みが消え、楽曲を完全に自分のものとしたゲッツ。この演奏を前に、「本来のボサノヴァは云々」といった野暮な言葉はいりません。ただ耳を傾けてください。テナー吹きゲッツの一つの到達点を聞くことができます。やっぱり「王様」なんですよ、彼は。

 

Stan Getz "Sweet Rain"
(Verve V/V6-8693)

Stan Getz (tenor sax)
Chick Corea (piano)
Ron Carter (bass)
Grady Tate (drums)

Produced by Creed Taylor
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englwood Cliffs, NJ; March 21 (#1-3), 30 (#4-5), 1967

[Tracks]
01. Litha (music: Chick Corea)
02. O Grande Amor (music: Antonio Carlos Jobim / words: Vinicius DeMoraes)
03. Sweet Rain (music: Mike Gibbs)
04. Con Alma (music: Dizzy Gillespie)
05. Windows (music: Chick Corea)

[Links: Stan Getz]
Stan Getz Discography (by Riccardo Di Filippo, Luigi Maulucci & Nicola Rascio)
Stan Getz Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Chick Corea]
Chick Corea Official Website
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Ron Carter]
Ron Carter Official Website

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | Verve | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト『ゲッツ/ジルベルト』

getzgilberto.jpg Astrud Gilberto, Jo!)o Gilberto & Stan Getz - Getz / Gilberto

1960年代の前半のこと。ブラジル発の「新しい波」がアメリカのミュージック・シーンを席巻します。ボサノヴァ(Bossa Nova。New Wave とか New Feeling といった意味)と呼ばれたその音楽は、1958年頃、リオのカーニヴァルで有名なリオ・デ・ジャネイロで生まれました。熱狂的なサンバのリズムをクールダウン。都会的な洗練を加えて、繊細という名のスパイスをほどこせば、そこにボサノヴァの風が吹きはじめます。

この『ゲッツ/ジルベルト』は、すでに前年(1962年)にブラジル帰りのギタリスト、チャーリー・バードと組んだ『ジャズ・サンバ』のメガヒットによって、一躍スターダムを駆け上がったスタン・ゲッツが、ボサノヴァの生みの親ジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビンを迎え、本格的にボサノヴァに取り組んだアルバムです。ジョアンのそよ風を思わせる軽やかな歌声と繊細なギター、ジョアンの当時の妻アスラッド・ジルベルトのあとをひくヴォーカル、そしてゲッツのソフトなテナー・サウンドがあいまって、独特の世界が生み出されました。

この作品もブームに乗って売れに売れ、ビルボードに96週間チャートインという、とてつもない記録をうち立てます(発売は64年)。この年のグラミー賞では、アルバム『ゲッツ/ジルベルト』が Album Of The Year を、シングルカットされた〈イパネマの娘〉が Record Of The Year を、それぞれ受賞するという快挙も達成しましたとさ。パチパチパチ。

と、ここまでが公式の(?)プロフィール。でも、この作品には悲劇的な逸話が残されています。

このアルバム、ボサノヴァの作品としては、世評でいわれているほど完成度は高くありません。ボサノヴァは本来、とてもデリケートな音楽です。ところが、ここでのゲッツは意外なほどマッシヴ。ジョアンのささやくような歌声と軽やかなギターがボサノヴァ本来の味わいだとすると、ゲッツのテナーがそれをぶち壊しています。むやみに音がデカイのです。

これにはプロデューサーのクリード・テイラーも一枚噛んでいます。ゲッツのパートの音量をあげたのは彼。そして、〈イパネマの娘〉をシングルカットした際、あろうことかジョアンの歌をすべてボツにして、アスラッドだけが歌ったかのように見せかけたのも彼でした。

この録音時点で、アスラッドはほとんど素人同然。そんな彼女のヘタウマな魅力に目をつけたクリード・テイラーの眼力には恐れ入りますが、それにしても、ジョアンの歌を消し去ることはないでしょう!

このアルバムの成功で、ゲッツとクリード・テイラーは豪邸を購入、アスラッドは「ボサノヴァの歌姫」の名をほしいままにし、ジョビンもまた作曲者として莫大な印税を手にしましたが、ジョアンはほんのわずかのギャラを受け取っただけで、失意のまま、アメリカ商業主義の前から姿を消します。ボサノヴァのあの繊細なスタイルを確立したジョアンは、それにふさわしい尊敬と報酬を受けることができず、ついでに奥さんも失ってしまったのです(アスラッドはこの後、ジョアンと離婚して、個人の名前でヴァーヴに何枚ものアルバムを残します)。

 

Stan Getz, Joao Gilberto "Getz/Gilberto"
(Verve V/V6-8545)

Stan Getz (tenor sax)
Joao Gilberto (guitar, vocal)
Antonio Carlos Jobim (piano)
Tommy Williams (bass)
Milton Banana (percussion)
Astrud Gilberto (vocal)

Produced by Creed Taylor
Recorded by Phil Ramone
Recorded in NYC; March 18, 19, 1963

[Tracks] Astrud Gilberto, Jo!)o Gilberto & Stan Getz - Getz / Gilberto
01. The Girl From Ipanema (music: Antonio Carlos Jobim / words: Vinicius DeMoraes, Norman Gimbel [E])
02. Doralice (music: Danilo Caymmi, Laurindo Almeida)
03. Para Machucar, Meu Coracao (To Hurt My Heart) (music: Ary Barroso)
04. Desafinado (music: Antonio Carlos Jobim / words: Newton Mendonca)
05. Corcovado (aka. Quiet Nights Of Quiet Stars) (music: Antonio Carlos Jobim / words: Gene Lees)
06. So Danco Samba (aka. Jazz Samba) (music: Antonio Carlos Jobim / words: Vinicius DeMoraes)
07. O Grande Amor (music: Antonio Carlos Jobim / words: Vinicius DeMoraes)
08. Vivo Sohando (Dreamer) (music: Antonio Carlos Jobim)

[Links: Stan Getz]
Stan Getz Discography (by Riccardo Di Filippo, Luigi Maulucci & Nicola Rascio)
Stan Getz Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Astrud Gilberto]
Astrud Gilberto Official Website
[Links: Joao Gilberto]
The Joao Gilberto Discography (by Laura Pelner McCarthy)
[Links: Antonio Carlos Jobim]
Clube De Tom
Remembering Antonio Carlos Jobim (by Barbara J. Major)

最後にポチッとよろしく。 人気ブログランキング
posted by ユキヒロ at 13:05| Comment(0) | TrackBack(0) | Verve | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。