2005年03月31日

ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』

anightatvillgevanguard.jpg Sonny Rollins - A Night At the Village Vanguard

エヴァンス&ラファロに敬意を表して、今日から「ヴィレッジ・ヴァンガード特集」を組みます。ジャズメンなら誰もが憧れるジャズの聖地。歴史に名を残す巨人たちの決定的瞬間を刻みつづけてきた名門クラブ。今年70周年を迎えたヴィレッジ・ヴァンガードは、ニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジの 178 セヴンス・アベニュー・サウスの地下にあります(オフィシャル・サイトの GALLERY をのぞくと、ヴィレッジ・ヴァンガードで録音された名盤の数々を確認できます)。

初代オーナーはマックス・ゴードン。マックス亡きあとは、ロレイン夫人が取り仕切っています。このロレイン夫人、実は、ブルーノートの創業者アルフレッド・ライオンの最初の奥さんで、当時はレーベルの広報担当をしていました。彼女の尽力で実現したのが、クラブ初のライヴ・レコーディングとなるこの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』です。テナー・タイタン、ソニー・ロリンズの最初のライヴ作品でもあります。

ソニー・ロリンズ。本名は、Theodore Walter Rollins。1930年9月7日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。御年75歳にしてバリバリの現役、最後のジャイアンツです。

アドリブの鬼、ロリンズだからこそ許されるピアノレス・トリオ(サックス+ベース+ドラムスからなるトリオのこと)。ピアノが抜けた分、演奏の自由度は飛躍的に増しますが、ふつうのサックス奏者だと間がもたない。諸刃の剣でもあるわけです。泉のごとく次から次へと湧きでるフレーズがあって、はじめてサマになる形態で、ロリンズは水を得た魚のように、楽しげに泳ぎまわります。

そう、いつも楽しげなんです、ロリンズは。お気に入りのフレーズ(ロリンズ節ともいう)を散りばめながら、余裕たっぷりに吹きまくるロリンズは、まさにアドリブの鬼なんですが、その鬼の顔はまったく怖くありません。むしろ笑っています。「ひょっとして、ちょっとたりない?」と聞きたくなるくらいです。このノーテンキな感じが、個人的にはどうしてもロリンズを好きになれない理由なのですが、本人はいたって真面目で、何度も挫折をくりかえすセンシティヴな神経の持ち主だったりします。

録音は午後と夜の2セットで行われます。午後はリハーサルですね。そして、ここがアルフレッドのすごいところだと思うのですが、リハーサルと本番でベースとドラムスをかえてしまうんです。ライヴであっても妥協しない、アルフレッドのこのこだわりが、ブルーノートのクオリティを保証しているんです。だから、例によって、このライヴも2枚組のコンプリート盤が出ていますが、私はよけいなオマケのないオリジナル仕様の作品性を高く評価します(ここらへんの議論は、中山康樹さんの本を読むとわかるるはずです。集英社新書『超ブルーノート入門:ジャズの究極・1500番台のすすめ』などをどうぞ)。

 

Sonny Rollins "A Night At The Village Vanguard"
(Blue Note BLP-1581)

Sonny Rollins (tenor sax)
Wilbur Ware (bass) except #5
Donald Bailey (bass) #5
Elvin Jones (drums) except #5
Pete LaRoca (drums) #5

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Village Vanguard, NYC; November 3, 1957

[Tracks] Sonny Rollins - A Night At the Village Vanguard
01. Old Devil Moon (music: Burton Lane / words: Edgar Y. Harburg)
02. Softly, As In A Morning Sunrise (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
03. Striver's Row (music: Sonny Rollins)
04. Sonnymoon For Two (music: Sonny Rollins)
05. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
06. I Can't Get Started (music: Vernon Duke / words: Ira Gershwin)

[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Elvin Jones]
Elvin Jones (Official Website)

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2005年03月30日

ビル・エヴァンス『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』

sundayatvillagevanguard.jpg

ビル・エヴァンス生涯最高のトリオの活動期間はわずか1年半。この1年半、たった4枚のアルバムで、ジャズピアノの歴史をかえてしまったのですから驚きです。

1961年、エヴァンス・トリオは何度もヴィレッジ・ヴァンガードに出演します。リヴァーサイド・レーベル(アルバムリストはこちら)のプロデューサー、オリン・キープニューズは、完璧主義者ゆえに録音を渋りがちなエヴァンスに初のライヴ録音をもちかけます。「腰の重いピアニストにとって、アルバムをつくる比較的楽な方法」とはキープニューズの弁ですが、その「楽な方法」によって、こんなにもすばらしいアルバムができてしまうのが、ジャズのおもしろいところです。

録音は2週間公演の最終日(6月25日の日曜日)。昼2セット、夜3セットの計5セットで行われました。人気があるのは『ワルツ・フォー・デビー』のほうですが、発売は本作『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』が先です。

ジャケットをよく見ると、「Featuring Scott LaFaro」の文字が見えます。曲目を見ても、なるほどラファロの自作曲ではじまり、最後もラファロの曲でしめくくられています。

スコット・ラファロは、この録音の11日後の7月6日の夜、両親のもとへ向かうため、ニューヨーク郊外で車を運転中、木に激突します。即死でした。享年25歳。したがって、この日がエヴァンス・トリオでの最後の演奏となってしまったのです(エヴァンス・トリオ以外では、7月3日、スタン・ゲッツのカルテットでニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演したときの模様が残されています)。

最高のパートナー、ラファロを失い、失意のどん底に陥ったエヴァンスは、その後1年ほど人前で演奏するのをやめてしまいます。

 

Bill Evans "Sunday At The Village Vanguard"
(Riverside RLP-376/9376)

Bill Evans (piano)
Scott LaFaro (bass)
Paul Motian (drums)

Produced by Orrin Keepnews
Recorded by Dave Jones
Recorded live at the Village Vanguard, NYC; June 25, 1961

[Tracks] 
01. Gloria's Step (music: Scott LaFaro)
02. My Man's Gone Now (music: George Gershwin / words: DuBose Heyward, Ira Gershwin)
03. Solar (music: Miles Davis)
04. Alice In Wonderland (music: Sammy Fain / words: Bob Hilliard)
05. All Of You (music+words: Cole Porter)
06. Jade Visions (music: Scott LaFaro)

[Links: Bill Evans]
The Bill Evans Webpage
Bill Evans Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Scott LaFaro]
Scott LaFaro: Beacon for Jazz Bassists (by Charles A. Ralston)
Scott LaFaro Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビー』

waltzfordebby.jpg ビル・エバンス・トリオ - Waltz for Debby

1961年には、ジャズ史に残る伝説のライヴがもう1つ残されています。ドルフィー&リトルのファイヴ・スポット・セッションの3週間前、場所は同じニューヨークにあるヴィレッジ・ヴァンガード。6月中旬の2週間、ここで演奏をくりひろげたのは、ビル・エヴァンス、スコット・ラファロ、ポール・モチアンの3人。世にいう「黄金のトリオ」唯一のライヴ音源からは、『ワルツ・フォー・デビイ』と『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』という2枚のアルバムが制作されました。

ピアノが主、ベースとドラムスが従というそれまでのピアノ・トリオの常識を覆し、三者対等の緊密なインタープレイで、ピアノ・トリオの理想形を実現したという一般的な説明は、もういいですね(笑)。書いている自分が情けなくなります。そんな能書きなしに、純粋に彼らの音楽に耳を傾けるだけで、この世の奇跡としかいいようのない究極の美に触れることができます。

冒頭の〈マイ・フーリッシュ・ハート〉。この美しさを何にたとえればいいのでしょう。「エヴァンス=ロマンチスト」のイメージは、この1曲がつくったといっても過言ではありません。掛け値なしの名演です。

2曲目の〈ワルツ・フォー・デビー〉。エヴァンスが姪のデビーに捧げたこの曲は、デビュー盤『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』では、ソロピアノでひっそりと演奏されていました。愛する姪っ子を包み込むような、叔父さんのやさしい眼差しがそのまま曲になったような、すてきな曲です。

4曲目、その名もずばり〈マイ・ロマンス〉。夢見るおとめ(死語)のようなウキウキしたピアノに鋭く切り込むラファロのベース。甘いだけではない、スリリングな展開が楽しめます。

 

Bill Evans "Waltz For Debby"
(Riverside RLP-399/9399)

Bill Evans (piano)
Scott LaFaro (bass)
Paul Motian (drums)

Produced by Orrin Keepnews
Recorded by David Jones
Recorded live at the Village Vanguard, NYC; June 25, 1961

[Tracks] ビル・エバンス・トリオ - Waltz for Debby
01. My Foolish Heart (music: Victor Young / words: Ned Washington)
02. Waltz For Debby (music: Bill Evans)
03. Detour Ahead (music+words: Herb Ellis, John Frigo, Lou Carter)
04. My Romance (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
05. Some Other Time (music: Leonard Bernstein / words: Betty Comden, Adolph Green)
06. Milestones (music: Miles Davis)

[Links: Bill Evans]
The Bill Evans Webpage
Bill Evans Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Scott LaFaro]
Scott LaFaro: Beacon for Jazz Bassists (by Charles A. Ralston)
Scott LaFaro Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年03月29日

エリック・ドルフィー『ヒア・アンド・ゼア』

hereandthere.jpg

ヒア・アンド・ゼア』はエリック・ドルフィーの死後に発売された寄せ集めの編集盤です。1、2曲目がファイブ・スポット・セッションから、3、4曲目はドルフィーのデビュー盤『アウトワード・バウンド』の未発表テイク、5曲目は『イン・ヨーロッパ Vol. 1』と同じセッションから収録されています。

聞きどころは、もちろんファイヴ・スポット・セッションの2曲。〈ステータス・シーキング〉はマル・ウォルドロンの『ザ・クエスト』のオープニングを飾った曲で、オリジナル・ヴァージョンよりもはやいテンポで突っ走るドルフィーのアルトがきてます。

ビリー・ホリディ作の〈ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド〉は、ドルフィーのバスクラのソロ演奏で有名です。すべての制約から解き放たれて、天高く舞い、地の底まで落ちていくドルフィーの「馬のいななき」をご堪能あれ。衝撃です。

「アルト・サックス列伝」はひとまずこれでおしまいにします。マクリーンはどうした、バド・シャンクやチャーリー・マリアーノもいるぞ、パーカーと並び称されるアルトの巨人ジョニー・ホッジズやベニー・カーターに触れなくてどうする、といった声も聞こえてきそうですが、それはまた後日ということで。



Eric Dolphy "Here And There"
(Prestige PRLP-7382)

#1, 2
Booker Little (trumpet) #1
Eric Dolphy (alto sax) #1, (bass clarinet) #2
Mal Waldron (piano) #1
Richard Davis (bass) #1
Ed Blackwell (drums) #1

Recorded live at the Five Spot, NYC; July 16, 1961

#3, 4
Freddie Hubbard (trumpet) #3
Eric Dolphy (alto sax) #3 (flute) #4
Jackie Byard (piano)
George Tucker (bass)
Roy Haynes (drums)

Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 1, 1960

#5
Eric Dolphy (flute)
Bent Axen (piano)
Erik Moseholm (bass)
Jorn Elniff (drums)

Recorded live at Berlingske Has, Copenhagen, Denmark; September 6, 1961

[Tracks]
01. Stratus Seeking (music: Mal Waldron)
02. God Bless The Child (music+words: Billie Holiday, Arthur Herzog Jr.)
03. April Fool (unknown)
04. G.W. (take 1)* (music: Eric Dolphy)
05. Don't Blame Me (take 2) (music: Jimmy McHugh / words: Dorothy Fields)
(* bonus track)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

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エリック・ドルフィー&ブッカー・リトル『メモリアル・アルバム』

memorialalbum.jpg

エリック・ドルフィーは、生きている間にまともな評価を受けることもなかったし(アンチ・ジャズとまで貶められていたんです)、恒常的なレギュラー・バンドをもつ幸運に恵まれませんでした。ブッカー・リトルとの双頭バンドにしても、このファイヴ・スポット・セッションのわずか3か月後、10月5日のリトルの急死によって、永遠に幕を閉じます(リトルの死因は尿毒症。享年23歳)。

この『メモリアル・アルバム』は、先に逝ってしまったリトルと、1964年6月29日にベルリンで客死したドルフィーの死後に出された追悼盤です(ドルフィーの死因は糖尿病による心臓発作。享年36歳。糖尿病といっても、いつも貧乏だったドルフィーがカロリーたっぷりの贅沢な食事を満喫できたことはなく、あまりの貧しさゆえ、蜂蜜のつぼを抱えて、そればかりなめていたというみじめな話をどこかで読みました)。

彼らの音楽からは、何かをつかもうと必死にもがく一途な気持ちが感じられますが、一方で、未完成ゆえのもろさ、ちょっとバランスを崩しただけでガラガラと崩壊してしまいそうな危うさも同居しています。そこにどうしようもなく惹きつけられてしまうんです。

1曲目はドルフィー作の〈ナンバー・エイト〉。2曲目〈ブッカーズ・ワルツ〉は〈グランド・ヴァルス〉としても知られるリトルの作品です(タイム盤『ブッカー・リトル』に収録)。

 

Eric Dolphy, Booker Little "Memorial Album"
(Prestige PRLP-7334)

Booker Little (trumpet)
Eric Dolphy (alto sax) #1 (bass clarinet) #2
Mal Waldron (piano)
Richard Davis (bass)
Ed Blackwell (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded live at the Five Spot, NYC; July 16, 1961

[Tracks]
01. Number Eight (Potsa Lotsa) (music: Eric Dolphy)
02. Booker's Waltz (aka. The Grand Valse) (music: Booker Little)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

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2005年03月28日

『エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 2』

atthefivespot2.jpg Eric Dolphy - At the Five Spot, Vol. 2 - Single

1961年7月16日。記憶力のなさから、歴史の年号を覚えることが苦手で、家族の記念日も忘れがちな私ですが(その結果、奥さんの怒りを買うのはいうまでもありません)、不思議とこの日付けだけは覚えています。

エリック・ドルフィーとブッカー・リトルの双頭バンドは、7月4日から2週間、ニューヨークのファイヴ・スポットに出演します。録音はその最終日、16日に行われました。通常のステージを終えた後、関係者や友人だけを招いて行われた究極のライヴ録音。2週間のステージの合間にもリハーサルを重ね、練りに練られた最高の演奏がくり広げられたはずです。ああ、なんという贅沢でしょう。私もその場にいて、歴史の一証人になりたかった。

エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 2』には、2つの演奏がおさめられています。

リトル作〈アグレッション〉。急速調のこの曲に、何かにせかされるように疾走し続けたドルフィー&リトルの生き様を投影してしまいます。彼らは何から逃れ、どこに向かっていたのでしょうか。

そして、有名スタンダードの〈ライク・サムワン・イン・ラヴ〉。ドルフィーはフルートを持つと表情が一変します。前衛(と呼ばれる音楽)特有の厳しさ、激しさが消え、ふっとやわらかい表情が顔を出す。親しみやすい人間ドルフィーがそこにいます。

 

"Eric Dolphy At The Five Spot, Vol. 2"
(Prestige PRLP-7294)

Booker Little (trumpet)
Eric Dolphy (bass clarinet) #1 (flute) #2
Mal Waldron (piano)
Richard Davis (bass)
Ed Blackwell (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded live at the Five Spot, NYC; July 16, 1961

[Tracks] Eric Dolphy - At the Five Spot, Vol. 2 - Single
01. Aggression (music: Booker Little)
02. Like Someone In Love (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Burke)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

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『エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 1』

atthefivespot1.jpg Eric Dolphy - At the Five Spot

エリック・ドルフィーとブッカー・リトル。この2人の名前を聞いただけで、私はどうしても冷静ではいられません。胸が締めつけられ、動悸が激しくなり、焦燥感に駆られて、何かをしないではいられない気持ちになってしまう。私にとって、この2人は特別な存在なんです。

アルト・サックスにフルート、バス・クラリネットをよくしたマルチ・リード奏者エリック・ドルフィー。本名は、Eric Allan Dolphy。1928年6月20日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。1964年6月29日、西ドイツ・ベルリンで客死。

愁いをおびたトランペットが印象的なブッカー・リトル。1938年4月2日、テネシー州メンフィス生まれ。1961年10月5日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。

年を重ねるにつれて、どこかに置き忘れてしまった何か。永遠に失われてしまったその「何か」が、はたして何だったのか、今となってはもうわかりません。でも、若くして散ったドルフィーとリトルの叫びに耳を傾けていると、その「何か」が思い出せそうな錯覚に陥ります。

甘美な思い出ではありません。もっと切実で、一途な何か。何かを成し遂げられそうで、できないもどかしさ。生きることの意味がわからず、それでも何かを追い求めていたあの頃の焦り、欲望、そして希望。本来なら時の彼方に消えてなくなる若かかりし頃の記憶が、奇跡的に数枚のレコードに刻印された。それが、一連のファイヴ・スポット・セッションじゃないかと個人的に考えています。

エリック・ドルフィー・アット・ザ・ファイヴ・スポット Vol. 1』には、ドルフィー&リトルの3つの演奏がおさめられています。

冒頭の〈ファイア・ワルツ〉。『ザ・クエスト』でも取り上げられていたマル・ウォルドロンの曲ですが、本当に何度聞いても、この演奏は私の心をわしづかみにしてはなしません。共鳴するとかそういう生半可なものではありません。文字どおり、心が揺さぶられるんです。ドキドキと胸が高鳴り、訳もなく焦燥感に駆られます。

2曲目の〈ビー・ヴァンプ〉では、ドルフィーのバスクラが炸裂します。ドルフィーのバスクラというと、完全無伴奏ソロがあまりにも有名ですが、リズム陣に追い立てられるように疾駆するこの演奏も捨てたものではありません。

3曲目〈プロフェット〉(予言者)はドルフィーの友人の画家リチャード・ジェニングスのあだ名です。ドルフィーの初リーダー作『アウトワード・バウンド』や、2nd『アウト・ゼア』のジャケットの摩訶不思議なイラストは、彼の作品です。

 

"Eric Dolphy At The Five Spot, Vol. 1"
(New Jazz NJLP-8260)

Booker Little (trumpet)
Eric Dolphy (alto sax) #1, 3 (bass clarinet) #2
Mal Waldron (piano)
Richard Davis (bass)
Ed Blackwell (drums)

Produced by Esmond Edwards
Recorded live at the Five Spot, NYC; Jul 16, 1961

[Tracks] Eric Dolphy - At the Five Spot
01. Fire Waltz (music: Mal Waldron)
02. Bee Vamp (music: Booker Little)
03. The Prophet (music: Eric Dolphy)

[Links: Booker Little]
Booker Little Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Booker Little (@ Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eric Dolphy]
Eric Dolphy Discography (by Alan Saul)
Making Eric Dolphy's Complete Discography (by Naohiko Hino)
Site Dolphy
Eric Dolphy Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Mal Waldron]
Mal Waldron Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Richard Davis]
The Richard Davis Homepage (Official Website)
[Links: Ed Blackwell]
Ed Blackwell Discography

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2005年03月18日

チャーリー・パーカー『ナウズ・ザ・タイム』

nowsthetime.jpg Charlie Parker Quartet - Now's the Time

ついにこの日がやってきてしまいました。いよいよ真打ち、チャーリー・パーカーの登場です。本名、チャールズ・パーカー Jr. 。1920年8月29日、カンザス州カンザスシティ生まれ。1955年3月12日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。愛称はご存じ Bird(空高く舞うトリさんです)。このブログのタイトルも、バードをもじってつけました。

でも、正直な話、バードのことを書くのは気乗りがしないんです。相手が大きすぎるというか、バードについて蘊蓄を垂れるほどバードのことをわかっている自信がないというか、要するに、闘う前から腰が引けてる状態ですね(笑)。

ジャズの世界には、それを認めるかどうかでその人の嗜好がたちどころにわかる「踏み絵」のようなやっかいな人が何人かいます。たとえば、オーネット・コールマンを認めるかどうか、エレクトリック・マイルスを認めるかどうか、というのはかなりエグイ質問です(幸いにして、私はどちらも好きですが)。この手の悪質な質問に下手に答えようものなら、フフンと鼻で笑われるか、場合によっては全人格(全ジャズ人生)を否定されかねない(笑)。バードもそんな「踏み絵」の1人です。というより、「バードを聞かずしてジャズを語る資格なし」という言葉が威圧感をもって迫ってくるのがジャズの世界です。

さて、バードです。バードの最盛期は1940年代。というわけで、録音状態はきわめて悪い。しかも、ビバップ革命というジャズ史上最大の事件の歴史的価値から、マスターテイクはもちろんのこと、何種類もの別テイクから未完成テイクにいたるまで、ありとあらゆる音源が CD 化されています。

同じ曲を何回もくり返して、それぞれ違った演奏をしてしまうバードは、たしかにすごい。それくらい、私にだってわかります。でも、同じ曲を何テイクもくり返して聞く忍耐力は、残念ながら私にはありません。だって、そうでしょう? 他のどんなジャンルの音楽で、制作途中の音源を市場に出しますか? 試行錯誤をくり返してながら、最終的に一番よかったものを商品としてリスナーに届ける(=それ以外のものは捨て去る)のが、プロフェッショナルじゃないかと思うのです。

ジャズの世界でよくある「コンプリート盤」は、一見すると価値がありそうな気がしますが、本来ならプロデューサーやミュージシャンの判断で「市場に出すべきではない」としたものを、市場に出すわけです。「それって、ボッタクリちゃう?」というのが、ふつうの神経です。

私がいいたいのは、バードは「研究」の対象であっても、「鑑賞」の対象じゃないのではないか、ということです。それは、バード関連サイトのいくつかが「研究(室)」を名乗っているところからもうかがわれます(下のリンクをご覧ください)。他の人のことはよくわかりませんが、少なくても私にとってはそうなんです、ごめんなさい(誰に謝っているのでしょう?)。

そんなわけで、気弱な私は、晩年(といっても30代前半ですが)のヴァーヴ盤をひそかに楽しむことにしています。『ナウズ・ザ・タイム』、いいじゃないですか。歴史的名演として名高いダイヤル盤とサヴォイ盤は、CD ラックの片隅で私に聞かれるのを待ち続けていますが、きっと待ちくたびれて眠りこけていることでしょう(しかも、別テイクてんこもりのコンプリート盤はもっていません。マスターテイク集だけはかろうじてもっていますが)。

追記:
この投稿を書いていて、はじめて寺島靖国さんの偉大さがわかりました。彼はおそらく、日本ではじめて公の場でパーカー至上主義に真っ向から異を唱えた人です。好きな音楽は必ずしも一致しませんが、寺島さんの勇気ある行動に拍手!

 

Charlie Parker "Now's The Time"
(Verve MGV-8005)

Charlie Parker (alto sax)
Hank Jones (piano)
Teddy Kotick (bass)
Max Roach (drums)

Produced by Norman Granz
Recorded in NYC; December 30, 1952

[Tracks] Charlie Parker Quartet - Now's the Time
01. The Song Is You (music: Jerome Kern / words: Oscar Hammerstein II)
02. Laird Baird (music: Charlie Parker)
03. Kim [alt.] (music: Charlie Parker)
04. Kim (music: Charlie Parker)
05. Cosmic Rays (music: Charlie Parker)
06. Cosmic Rays [alt.] (music: Charlie Parker)
07. Chi-Chi [alt.] (music: Charlie Parker)
08. Chi-Chi (music: Charlie Parker)
09. Chi-Chi (music: Charlie Parker)
10. I Remember You (music: Victor Schertzinger / words: Johnny Mercer)
11. Now's The Time (music: Charlie Parker)
12. Confirmation (music: Charlie Parker)

[Links: Charlie Parker]
Charlie Parker (Official Website)
Charlie Parker Sessions (@ Miles Ahead)
Charlie Parker Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Chasein' The Bird (by よういち)
村山秀樹による Charlie Parker 研究
Charlie Parker 研究室 (by netjazz)
[Links: Max Roach]
Max Roach Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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2005年03月17日

『ソニー・スティット・シッツ・イン・ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ』

sonnystittsitsinwith.jpg

ソニー・スティットとオスカー・ピーターソンの共演盤です。大物同士の顔合わせは、ノーマン・グランツ率いるヴァーヴの得意とするところですが、ジャズ界きっての名手2人がそろって悪かろうはずがありません(ジャケットはイマイチですが)。

この2人、楽器こそ違いますが、実はよく似たタイプなんです。まず、どちらもすごいテクニシャン。たんに指がよく動くだけじゃなくて、どんなにスピードをあげても髪型ひとつ乱れない(笑)。むずかしいことを軽々とやってのけるのが、真のテクニックでしょう? 饒舌(すぎる)という批判が多いのも共通しています。

2人とも、ものすごい多作家です。録音の数もさることながら、作品のレベルが均質なため、好きになると、あれもこれも買い集めなければならないという、コレクター泣かせの罪な人です(笑)。

つねに偉大な先人と比較されるところも似ています。スティットはもちろんチャーリー・パーカーと、ピーターソンはアート・テイタムと、いろいろ比べられてしまうわけです。2人の名誉のためにいっておくと、バードとテイタムはたしかにジニアスですが、ふだん聞くにはちょっと重い(録音も古いし)。気軽に匠の技を味わうなら、間違いなくスティットとピーターソンに軍配があがります。

ソニー・スティット・シッツ・イン・ウィズ・オスカー・ピーターソン・トリオ』は、グランツの JATP(Jazz At The Philharmonic の略。スイング〜モダン期の大物をごっそり引き連れて毎年のように行われたジャズ史上最大の興行ツアー)がヨーロッパを訪れた際に録音されました(録音はパリ)。

LP 時代のA面(1〜5曲目)をバード、B面(6〜8曲目)をプレス(レスター・ヤングの愛称)、スィーツ(ハリー・エディソンの愛称)、ベン・ウェブスターらスイング期の大物に捧げようというのは、スティットのアイディアだそうです。アルト(A面)とテナー(B面)の両刀使いのスティットならではの楽しい作品にしあがっています。

 

"Sonny Stitt Sits In With The Oscar Peterson Trio"
(Verve MGV-8344)

Sonny Stitt (alto sax, tenor sax)
Oscar Peterson (piano)
Ray Brown (bass)
Ed Thigpen (drums)

Produced by Norman Granz
Recorded in Paris; May 18, 1959

[Tracks] 
01. I Can't Give You Anything But Love (music: Jimmy McHugh / words: Dorothy Fields)
02. Au Privave (music: Charlie Parker)
03. The Gypsy (music: Billy Reid)
04. I'll Remember April (music: Gene DePaul, Pat Johnston / words: Don Raye)
05. Scrapple From The Apple (music: Charlie Parker)
06. Moten Swing (music: Bennie Moten, Buster Moten)
07. Blues For Pres, Sweets, Ben & All The Other Funky Ones (music: Sonny Stitt)
08. Easy Does It (music: Sy Oliver, Lester Young)

[Links: Oscar Peterson]
Oscar Peterson (Official Website)
Oscar Peterson: A Jazz Sensation (@ Library and Archives Canada)
Oscar Peterson Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Ed Thigpen]
Ed Thigpen (Official Website)

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ソニー・スティット『ニューヨーク・ジャズ』

newyorkjazz.jpg Sonny Stitt - New York Jazz

ソニー・スティットは活動期間が長く、ものすごい多作家なうえ(リーダー作だけでゆうに 100 枚は超えるそうです)、アルトをもたせてもテナーを吹かせても、つねに安定した実力を発揮したので、「スティットといえば、この1枚」という誰もが認める決定的名盤というのがありません。あまたある名盤選でも、スティットの推薦盤は人によって違っていることが多く、あとは個人の思い入れ次第という、ちょっと困った人なんです。逆にいうと、どれを買ってもソンはしないという希有な人でもあります。

ジャズは即興が基本の「瞬間芸術」ですから、そのときの体調や感情の起伏によって作品の出来、不出来に顕著な差が出ます。ジャズ史を彩る巨人といえども例外ではありません。だから、スティットのクオリティの一定さが際立つわけです。

そんなわけで、私はスティットのアルバムを買うときは、好きな曲が入っているかどうかを1つの基準にしています。スティットを聞くなら、やっぱり歌ものがいい。耳になじんだスタンダードを、何の飾り気もなく淡々と吹く彼は絶品です。とくに凝ったアレンジを施すわけでもないので、「心を激しく揺さぶる感動」とか「新鮮な驚き」とは無縁ですが、不思議と何度聞いても飽きがこない。スティットを凡百のサックス奏者と隔てているのは、やはり汲めども尽きない「引き出しの多さ」ではないでしょうか。

ニューヨーク・ジャズ』は、スタンダード中心の選曲もさることながら、ハイセンスなジャケットによって、私のお気に入りのリストに入っています。



Sonny Stitt "New York Jazz"
(Verve MGV-8219)

Sonny Stitt (alto s, tenor sax)
Jimmy Jones (piano)
Ray Brown (bass)
Jo Jones (drums)

Produced by Norman Granz
Recorded at Fine Sound, NYC; September 14, 1956

[Tracks] Sonny Stitt - New York Jazz
01. Norman's Blues (music: Sonny Stitt)
02. I Know That You Know (music: Vincent Youmans / words: Anne Caldwell)
03. If I Had You (music+words: Ted Shapiro, James Campbell, Reg Connelly)
04. Alone Together (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
05. 12th Street Rag (music: Euday L. Bowman)
06. Down Home Blues (music: Sonny Stitt)
07. Sonny's Tune (music: Sonny Stitt)
08. Stars Fell On Alabama (music: Frank Perkins / words: Mitchell Parish)
09. Body And Soul (music: Johnny Green / words: Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton)
10. Between The Devil And The Deep Blue Sea (music: Harold Arlen / words: Ted Koehler)

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2005年03月16日

『ソニー・スティット・プレイズ』

sonnystittplays.jpg 

ミスター・ジャイアンツといえば、長嶋茂雄。ミスター・レッズといえば、福田正博。では、ミスター・サクソフォンといえば? ヒントは、アルトやテナーではなく、「サクソフォン」というところがミソです。

正解は、アルトとテナーの二刀流でジャズ・サックス界に君臨し続けたソニー・スティットです。1924年2月2日、マサチューセッツ州ボストン生まれ。1982年7月22日、ワシントン DC で亡くなりました。

なぜ二刀流なのかって? しかも、音域の近いアルトとテナーでは、ネスカフェ・ゴールドブレンド(違いのわかる男ってやつね)の CM には出られないかもしれないのに? それは、同時代にチャーリー・パーカーという偉大なイノヴェイターが存在したからです。

スティットの吹くフレーズは、あまりにもパーカーにそっくりだった。まるっきりコピーじゃないか。そんな声が方々から聞こえてきます。プロのミュージシャンとして、これ以上の屈辱はないでしょう。怒ったスティットは、アルト・サックスを封印してテナーを演奏するようになります(そのテナーの実力も超一流というのですから、やっかみもあったことでしょう)。

破滅的な人生を歩んだパーカーが34歳の若さで死んだのが1955年3月。スティットにとっては「目の上のたんこぶ」がいなくなったわけで、この年をさかいに、彼はふたたびアルトを手にするようになります。この『ソニー・スティット・プレイズ』は、そんな時代の作品です。

スティットの演奏は、表面的にはたしかにパーカーとよく似ています。でも、2人には決定的な違いがあって、暴力的なまでの衝動を楽器を通じて爆発させたパーカーに対して、スティットはあくまで冷静沈着。パーカーの演奏がある種のすごみをもって迫ってくるのと比べると、同じようなフレーズであっても、らくらくと軽やかに吹きこなすスティットの演奏は、「迫力」というより「軽妙」「洒脱」「粋」といった言葉がよく似合います。

ジャズの世界を根本からひっくり返したパーカーの天才は疑いようがありませんが、スティットも別の意味で天才です。玄人好みの「粋人」なんですよ、スティットは。そういう意味では、スティットの人生は「違いのわからない男たち」に苦しめられた人生だったのかもしれませんね。

あっ、そうそう、忘れるところでした。このアルバムには私的テーマ曲〈イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー〉が入っています。いずれこの曲の特集をやるつもりですが、スティットの演奏もヴェリグーです(笑)。



"Sonny Stitt Plays"
(Roost LP 2208)

Sonny Stitt (alto sax)
Hank Jones (piano)
Freddie Greene (guitar)
Wendell Marshall (bass)
Shadow Wilson (drums)

Recorded in NY; September 1, 1956

[Tracks] 
01. There'll Never Be Another You (music: Harry Warren / words: Mack Gordon)
02. The Nearness Of You (music: Hoagy Carmichael / words: Ned Washington)
03. Biscuit Mix (music: Sonny Stitt)
04. Yesterdays (music: Jerome Kern / Otto Harbach)
05. Afterwards (music: Sonny Stitt)
06. If I Should Lose You (music: Ralph Rainger / Leo Robin)
07. Blues For Bobby (music: Sonny Stitt)
08. My Melancholy Baby (music: Ernie Burnett / words: George A. Norton)

[Links: Freddie Greene]
The Freddie Greene Web Site

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2005年03月15日

キャノンボール・アダレイ『キャノンボール・イン・ジャパン』

cannonballinjapan.jpg Cannonball Adderley Quintet - Cannonball In Japan

キャピトル時代のキャノンボールは「オーバーファンク」で趣味にあわない、という記事を何度か目にしたことがあります。でも、ちょっと待って。ファンクが「オーバー」ってことは、最高にファンキーでカッコいいってことじゃないの? そう思ったアナタはエラい! そうです、同じファンキー路線でも、リヴァーサイド時代に時たま顔を出す迷い(「野暮ったさ」といってもいいかも)がふっ切れ、洗練されたエンターテインメントに昇華したのが、キャピトル時代のキャノンボール・アダレイ・クインテットです。

キャノンボールといえば、MC のうまさも特筆ものです。顔に似合わず(失礼!)、クールでカッコいいんです、彼のしゃべりは。だから、キャノンボールを聞くなら、ぜったいライヴ! しかも、弟のナット・アダレイと組んだバンドのライヴに勝るものはありません(と思うのは、私だけですか?)。後にウェザー・リポートで一時代を築いたジョー・ザヴィヌルの参加も大きい。あの〈マーシー・マーシー・マーシー〉を作曲したのも彼ですから。

キャノンボール・イン・ジャパン』は、1966年に2度目の来日を果たしたキャノンボール様御一行のツアーの模様です(@東京サンケイホール)。ちなみに、初来日は63年。本物のパンダの初来日は72年の日中国交正常化のときですから、実に10年近くも前に、にせパンダが極秘入国していたことになります(まだ引っ張るか、そのネタ)。

 

Cannonball Adderley "Cannonball In Japan"
(Capitol CP 8096)

Nat Adderley (cornet)
Cannonball Adderley (alto sax)
Joe Zawinul (piano)
Victor Guskin (bass)
Roy McCardy (drums)

Recorded live at the Sankei Hall, Tokyo; Aug 26, 1966

[Tracks] Cannonball Adderley Quintet - Cannonball In Japan
01. Work Song (music: Nat Adderley)
02. Mercy, Mercy, Mercy (music: Joe Zawinul)
03. This Here (music: Bobby Timmons)
04. Money In The Pocket (music: Joe Zawinul, James Rowser)
05. The Sticks (music: Julian "Cannonball" Adderley)
06. Jive Samba (music: Nat Adderley)

[Links: Cannonball Adderley]
Cannonball Adderley Rendez-vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Zawinul]
Joe Zawinul (Official Website)
Zawinul Online (by Curt Bianchi)

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2005年03月14日

キャノンボール・アダレイ『マーシー・マーシー・マーシー』

mercymercymercy.jpg The Cannonball Adderley Quintet - Mercy, Mercy, Mercy - Live At 'The Club' - EP

「砲丸」のような愛嬌のある丸顔、「砲弾」のようなでっぷりとした体型、「弾丸」のようなスピード感あふれる演奏。人呼んで「キャノンボール」アダレイは、御大パーカーの跡目争いで、輝かしい音色と抜群のテクニック、そして圧倒的な存在感を示して勝利をおさめた剛の者です。といっても、けっしてコワモテのおっさんではなく、愛くるしい(?)見た目からか、おちゃめな「いじられキャラ」として認知されています。

本名は、これまたかわいらしい(笑)ジュリアン・アダレイ。1928年9月15日、フロリダ州タンパ生まれ。1975年8月8日、インディアナ州ゲイリーで亡くなりました。

キャノンボールの演奏姿を称して「パンダが笹の葉を食べている」といった人がいます(ネタ元はこちら)が、本国アメリカでこそパンダ並み(!?)の人気者だった彼も、ジャズに気品やシリアスさを求める日本では、まっとうな評価を受けることはありませんでした。

たとえば、有名な『サムシン・エルス』にしても、当時のボス、マイルス・デイヴィスが実質的なリーダーで、契約の関係からキャノンボール名義で出しただけという話が一人歩きして、「キャノンボール=どうでもいい人」という印象を与えがちです。

『サムシン・エルス』はマイルスを聞くため、『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』はエヴァンスを聞くため、『キャノンボール・アダレイ・クインテット・イン・シカゴ』はコルトレーンを聞くために買う人が多いなか(つくづく可哀想なパンダさん)、「じゃあ、いったいどのアルバムを買えばいいんだ」という向きにおすすめなのが、この『マーシー・マーシー・マーシー』です。

この作品、シカゴの「ザ・クラブ」でのライヴ盤と銘打ってありますが、これはジョークで、実は LA のキャピトル・スタジオにお客を招いて録音されたもののようです(後で知りました)。そういう事情はありますが、ジョー・ザヴィヌル作のタイトル曲〈マーシー・マーシー・マーシー〉のキャッチーな響きとともに、忘れられないアルバムにしあがっています。ちなみに、この曲はジャズ畑にしては珍しく売れて,クロスオーバー・チャートでトップ10入りしたそうです。

 

Cannonball Adderley "Mercy, Mercy, Mercy! Live At The Club"
(Capitol ST-2663)

Nat Adderley (cornet)
Cannonball Adderley (alto sax)
Joe Zawinul (piano, electric piano)
Victor Gaskin (bass)
Roy McCurdy (drums)

Produced by David Axelrod
Recorded by Hugh Davies
Recorded live at Capitol Studio, LA; October 20, 1966

[Tracks] The Cannonball Adderley Quintet - Mercy, Mercy, Mercy - Live At 'The Club' - EP
01. Fun (music: Nat Adderley)
02. Games (music: Nat Adderley)
03. Mercy, Mercy, Mercy (music: Joe Zawinul)
04. Sticks (music: Julian "Cannonball" Adderley)
05. Hippodelphia (music: Joe Zawinul)
06. Sack O' Woe (music: Julian "Cannonball" Adderley)

[Links: Cannonball Adderley]
Cannonball Adderley Rendez-vous (by Gilles Miton)
Cannonball Adderley Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Zawinul]
Joe Zawinul (Official Website)
Zawinul Online (by Curt Bianchi)

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2005年03月12日

ジミー・スミス『ルート・ダウン』

rootdown.jpg Jimmy Smith - Root Down

ジミー・スミスがジャズ史上最高のオルガン奏者だということを天下に知らしめた白熱のライヴ盤です。いやもう、熱い熱い。ものすごいテンションで、ギターもベースもオルガンも切れまくっています。これを聞くと、ブルーノート時代のスミスがいかに猫を被っていたかがよくわかります(笑)。

この『ルート・ダウン』は、ビースティー・ボーイズのサンプリング・ネタ(『Ill Communication』に収録)として新たに定番入りを果たしたのですが、学生時代、ジャイルス・ピーターソンのアシッド・ジャズ・ムーヴメント(なつかしいね)からジャズの世界に入った私としては、こういうグルーヴ感は嫌いじゃない。というか、はっきりいって大好きです。

クルセイダーズのウィルトン・フェルダーの参加もうれしいジミー・スミス入門の1枚です。おすすめ。

 

Jimmy Smith "Root Down"
(Verve V6 8806)

Jimmy Smith (organ)
Steve Williams (harmonica) #3
Arthur Adams (guitar)
Wilton Felder (bass)
Paul Humphrey (drums)
Buck Clarke (percussion)

Produced by Eric Miller
Recorded by Ed Greene, Jack Hunt
Recorded live at the Bombey Bicycle Club, LA; February 9, 1972

[Tracks] Jimmy Smith - Root Down
01. Sagg Shootin' His Arrow (music: Jimmy Smith)
02. For Everyone Under The Sun (music: Peter Chase)
03. After Hours (music: Avery Parrish)
04. Root Down (And Get It) (music: Jimmy Smith)
05. Let's Stay Together (music: Al Green, Al Jackson Jr., Willie Mitchell)
06. Slow Down Sagg (music: Jimmy Smith)

[Links: Jimmy Smith]
The Incredible Jimmy Smith

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ジミー・スミス『ザ・キャット』

thecat.jpg Jimmy Smith - The Cat

1963年、ブルーノート最大のスター、ジミー・スミスはより資金が潤沢にあったヴァーヴに引き抜かれます(当時、ヴァーヴの売れ筋路線を引っ張っていたのは、のちに CTI を興した名プロデューサー、クリード・テイラーです)。同じ時期、リヴァーサイドのビル・エヴァンスやウェス・モンゴメリーもヴァーヴに移籍しています。スターが育たないと経営が成り立たない、でもあまり売れすぎると他にもっていかれる、というインディーズのつらさを物語る出来事です。

ヴァーヴといえば、お金にものをいわせたゴージャスなアルバムづくりに定評がありますが(そこが気に入らないという人がいることも事実です)、移籍後のスミスも例外ではありません。この『ザ・キャット』は、古くは映画『燃えよドラゴン』、最近では『ミッション・インポッシブル』でおなじみの名コンポーザー、ラロ・シフリンのド派手なオーケストラをバックに、スミスがオルガンを弾きまくった、なんともぜいたくなアルバムです。

のっけから、タンゴの本場アルゼンチン生まれのシフリンらしいエキゾチック・サウンドが炸裂します。そうそう、このダイナミックなホーン・セクションこそ、シフリン・ミュージックの楽しさなんですよ。そこに乗っかるスミスもキテます。大言壮語のホラ吹き親父というのが、ジミー・スミスの素顔らしいのですが、こういうド派手なお祭り騒ぎでも貫禄を見せつけるスミスは、やっぱり口に違わずエラかった!

 

Jimmy Smith "The Cat"
(Verve V6 8587)

Jimmy Smith (organ)
Lalo Schifrin (arranger, conductor)
Ernie Royal, Bernie Glow, Jimmy Maxwell, Marky Markowitz, Snooky Young, Thad Jones (trumpet)
Ray Alonge, Jim Buffington, Earl Chapin, Bill Correa (French horn)
Billy Byers, Jimmy Cleceland, Urbie Green (trombone)
Tony Studd (bass trombone)
Dib Buttefield (tuba)
Kenny Burrell (guitar)
George Duvivier (bass)
Grady Tate (drums)
Phil Kraus (percussion)

Produced by Creed Taylor
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 27, 29, 1964

[Tracks] Jimmy Smith - The Cat
01. Theme From "Joy House" (music: Lalo Schifrin)
02. The Cat (music: Lalo Schifrin)
03. Basin Street Blues (music: Spencer Williams)
04. The Carpetbaggers' Theme (music: Elmer Bernstein)
05. Chicago Serenade (music: Eddie Harris)
06. St. Louis Blues (music: William Christopher Handy)
07. Delon's Blues (music: Jimmy Smith)
08. Blues In The Night (music: Harold Arlen / words: Johnny Mercer)

[Links: Jimmy Smith]
The Incredible Jimmy Smith
[Links: Lalo Schifrin]
the official website of Lalo Schifrin

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2005年03月09日

ジムー・スミス『ミッドナイト・スペシャル』

midnightspecial.jpg 

かのマイルス・デイヴィスがデビューまもないジミー・スミスを称して、「こいつは金になるぜ」とアルフレッド・ライオンにささやいたという話がまことしやかに伝えられていますが、その真偽は別として、スミスはまさに「金のなる木」として、ブルーノートになくてはならない存在でした。

2色刷りが当たり前だった当時のブルーノートのジャケットにあって、フルカラー+屋外撮影というスミスの諸作はきわだっています。それもそのはず、この『ミッドナイト・スペシャル』は、ブルーノート初のポップ・チャート入りを果たした作品なのです。全米ポップ・アルバム・チャート28位。シングルカットされた〈ミッドナイト・スペシャル〉も69位にランクイン。

「深夜特急」と題されたこの曲の、えもいわれぬ浮遊感はどうでしょう! レイジーでダルな、どこまでも脱力系の粘っこさ。黒いねえ。真っ黒です。スタンリー・タレンティンの参加もうれしいです。ただ、バレルのギターがあんまり聞こえません(笑)。バッキングに徹したバレルも好きなんですけどね。3曲目〈ジャンピン・ザ・ブルース〉もいいねえ。ノリノリです。

 

Jimmy Smith "Midnight Special"
(Blue Note BLP-4078/BST-84078)

Stanley Turrentine (tenor sax)
Jimmy Smith (organ)
Kenny Burrell (guitar)
Donald Bailey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; April 25, 1960

[Tracks] 
01. Midnight Special (music: Jimmy Smith)
02. A Subtle One (music: Stanley Turrentine)
03. Jumpin' The Blues (music: McShann, Parker, Brown)
04. Why Was I Born (music: Jerome Kern / words: Oscar Hammerstein II)
05. One O'Clock Jump (music: Count Basie)

[Links: Stanley Turrentine]
Stanley Turrentine Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jimmy Smith]
The Incredible Jimmy Smith

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2005年03月08日

ジミー・スミス『クレイジー・ベイビー』

crazybaby.jpg

ちょっと前の話ですが、訃報です。ジャズ界きってのファンキー親父ジミー・スミスが、去る2月8日にアリゾナ州の自宅で亡くなりました。1928年12月8日、ペンシルヴァニア州ノリスタウン生まれ。ホラ吹き親父ジミー・スミスらしく、25年生まれ説、30年生まれ説などがあるようです(笑)。

ジャズ・オルガンのパイオニアにして、あまたのエピゴーネンを生んで1960年代のソウルジャズ・ブームを牽引したスミスの死。というわけで、今週は急きょ「ジミー・スミス追悼特集」に切り替えます(「アルトサックス列伝」は次週以降に再開する予定です)。

ハモンド B3 オルガン。この楽器の名前を聞くと、私の脳裏には、ジミー・スミスがタップダンスのように足を踊らせながら鍵盤に向かっている姿が思い浮かびます(本人を見たことはありません。あくまで想像上の姿です)。フットペダルでベースラインを、左右の手でコードとメロディーラインを同時につま弾くスミスはまさに「一人オーケストラ」。ここまでそろえば、他のメンバーはいらないと思うのは素人で、オルガン+ギター+ドラムス(+時にはサックス)というベストな取り合わせを考えたのもスミスでした。

このブログで、創業者にしてプロデューサーのアルフレッド・ライオンが率いていた頃のブルーノートを取り上げるのは今回がはじめてですが、最初に紹介するのがジミー・スミスというのは、しごくまっとうな選択でしょう? ブルーノートの1500番台、4000番台でリーダー作が最も多いのはスミスだし、彼がいなければブルーノートは経営的に失敗していたでしょう。だから、ブルーノートの数多い名盤を聞くことができるのは、スミスのおかげともいえるわけです。

そういうと、「売らんかな」の商業主義じゃないかとの批判が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。アルフレッドはスミスのレコーディングを決めたとき、こういってはしゃいでいたそうです(中山康樹『超ブルーノート入門完結編』より引用。めちゃオモロイ本ですよ)。

これからはずっとジミーといっしょにツアーをしながらブルーノートのレコードを売る。そうすればいつでもジミーを聴けるからね。

それくらい、スミスの音楽は衝撃的だった。インクレディブル(= ウソでしょ? マジ? 超スゲエじゃん!)だったわけです。

クレイジー・ベイビー』あたりから、スミスはハードでシリアスなジャズ路線から、黒人のマーケットを意識した、よりファンキーで聞きやすい路線へとシフトします。むずかしいジャズからソウルフルでわかりやすいノリへ。そのあたりのニュアンスは「インクレディブル」と「クレイジー」の語感の違いにも現れている気がします。だって、〈ホエン・ジョニー・カムズ・マーチング・ホーム〉ですよ。たまりませんねえ、まったく。

 

Jimmy Smith "Crazy! Baby"
(Blue Note BLP-4030/BST-84030)

Jimmy Smith (organ)
Quentin Warren (guitar)
Donald Bailey (drums)

Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ; January 4, 1960

[Tracks] 
01. When Johnny Comes Marching Home (music: Louis Lambert)
02. Makin' Whoopee (music: Walter Donaldson / words: Gus Kahn)
03. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
04. Sonnymoon For Two (music: Sonny Rollins)
05. Mack The Knife (music: Kurt Weill / words: Bertolt Brecht, Marc Blitzstein)
06. What's New (music: Bob Haggart / words: Johnny Burke)
07. Alfredo (music: Jimmy Smith)

[Links: Jimmy Smith]
The Incredible Jimmy Smith

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2005年03月04日

デイヴ・ブルーベック『タイム・アウト』

timeout.jpg

朝起きたら、思いきり降ってますね、雪(@東京)。寒そうだな〜。外に出たくないな〜。でも、今日はゲラの戻しがあるしな〜。ああ、いやだいやだ。そうだ、こんな気分のときは、デイヴ・ブルーベックの『タイム・アウト』を聞きながら出かけよう。さんさんと降り注ぐカリフォルニアの太陽を思い浮かべながら(見たことはないけど)、晴れやかな気持ちで仕事に行きましょう!

美曲〈イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ〉の作者としても知られるピアニスト、デイヴ・ブルーベック。1920年12月6日、カリフォルニア州コンコード生まれ。

ジャズをまったく聞かない人でも、どこかで必ず耳にしたことのある超メジャー曲〈テイク・ファイヴ〉。作曲者は、リーダーのブルーベックではなく、アルトのポール・デスモンドです。

この人、スムースな語り口のアルト奏法からソフトな印象をもたれがちですが、実際はかなりの変わり者だったようです。当たりはソフト、でも出てくる言葉は、よくいえば知的でウィットに富んでいる、悪くいえば頑固で口数の多い変なオジサン(笑)。自己名義のアルバムでは、デスモンド流の人を食ったような文章を目にすることができます。だいたい、フォービートが主流のジャズの世界に変調子を持ち込もうという発想自体「変」ですから(笑)。

デスモンドのアルトを称して、「ドライ・マティーニのような音色」とはよくいわれることですが、なるほど、都会的な洗練、辛口の批評精神、わかる気がします。デイヴ・ブルーベック・カルテットはカレッジを中心にたいへんな人気だったそうで、パーカー亡きあと、ダウン・ビート誌(ジャズ雑誌)の読者人気投票でアルト部門の1位に輝いたのは、なんとデスモンドです。ひかえめな性格といわれていますが、なんとなく目立ってしまう人。それがデスモンドなのかもしれません。

〈テイク・ファイヴ〉があまりにも有名なので、アルバム名を『テイク・ファイヴ』だと勘違いしている人がいますが、正式には『タイム・アウト』といいます。つまり、タイムがアウト(つまり変調子)の作品が他にも入っていて、こちらは正真正銘のブルーベック作、〈トルコ風ブルー・ロンド〉なんかも演っています。こういう実験的な曲を演奏しても、まったく嫌みがないのは、やはりデスモンドによるところが多い気がします。

 

Dave Brubeck "Time Out"
(Columbia CL-1397/CS-8192)

Paul Desmond (alto sax)
Dave Brubeck (piano)
Eugene Wright (bass)
Joe Morello (drums)

Produced by Teo Macero
Recorded by Fred Plaut
Recorded at 30th Street Columbia Studios; June 25 (#4-6), July 1 (#2, 3), August 18 (#1, 7), 1959

[Tracks] 
01. Blue Rondo A La Turk (music: Dave Brubeck)
02. Strange Meadow Lark (music: Dave Brubeck)
03. Take Five (music: Paul Desmond)
04. Three To Get Ready (music: Dave Brubeck)
05. Kathy's Waltz (music: Dave Brubeck)
06. Everybody's Jumpin' (music: Dave Brubeck)
07. Pick Up Sticks (music: Dave Brubeck)

[Links: Paul Desmond]
Pure Desmond (by Paul Caulfield)
Paul Desmond Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Deve Brubeck]
Dave Brubeck (Official Website)
Dave Brubeck (by Malcolm Wallace)
Dave Brubeck Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Joe Morello]
Joe Morello (Official Website)

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2005年03月03日

ポール・デスモンド『テイク・テン』

taketen.jpg Paul Desmond - Take Ten

ふっくらとやわらかいアルトの音色。力強さや派手さとは無縁の、なめらかでやさしい語り口。ポール・デスモンドは、あまたいるアルト奏者の中でも、特異な位置を占めています。ポール・デスモンド。本名は、Paul Emil Breitenfeld。1924年11月25日、カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。1977年5月30日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。

ふだん自己主張の強い音楽ばかり聞いていると(ジャズは個性を楽しむ音楽です!)、たまに恋しくなるんです、こういうひかえめな個性の持ち主が(彼自身は、ちょっとクセのあるタイプのようですが)。同じく「なごみ系」のギタリスト、ジム・ホールとの相性もバッチリです。

そういえば、このジム・ホール、つくづく「なごみ系」のアーティストで、以前はトランぺットのアート・ファーマーと組んで、極上のリラックス盤をいくつか残してくれました(仲は相当悪かったそうですが)。

さて、この『テイク・テン』は、変調子ジャズの代名詞、デイブ・ブルーベック・カルテットの〈テイク・ファイヴ〉(『タイム・アウト』に収録)の続編という位置づけです。白人中心のカレッジで人気を博したこの曲は、自身も作曲をよくしたピアニスト、ブルーベックのアルバムにしては珍しく、ポール・デスモンドのオリジナルでした。

ブルーベックのもとを離れたデスモンドは、自分のリーダー作ではほとんどピアニストを用いませんでしたが、その理由は定かではありません。もしかしたら、ブルーベックとの間に何か確執でもあったのでしょうか? ただ、もともと線の細い、軽やかなサウンドを得意としたデスモンドには、饒舌なピアノが似合わないのは事実です。ジム・ホールのひかえめなバッキングこそ、デスモンドの特質を浮かび上がらせるのに最適だといえそうです。

そして、彼の「らしさ」がもっとも際立ってくるのが、「軽さこそ命」のボサノヴァを吹いたときです。このアルバムには、あの〈カーニバルの朝〉が入ってます。別名〈黒いオルフェ〉としても知られるボッサの名曲ですが、デスモンドのアルトが軽やかにステップを踏みはじめたとたん、そこにはたちまち涼しげな風が吹きはじめます。心地よい音楽で気持ちよくリラクゼーション。いやあ、なごみだねえ〜。

ドラマーのコニー・ケイは、MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)のメンバーです。デスモンドのなごみ系の音楽は、MJQ の室内楽ふうのサウンドとも近しい関係なのかもしれません。

 

Paul Desmond "Take Ten"
(RCA LPM-2569)

Paul Desmond (alto sax)
Jim Hall (guitar)
Gene Cherico (bass)
Gene Wright (bass) #1
Connie Kay (drums)

Produced by George Avakian
Recorded by Ray Hall
Recorded at Webster Hall, NYC; July 5 (#8), 10 (#5, 7), 12 (#3) 14 (#2, 4, 6), 25 (#1), 1963

[Tracks] Paul Desmond - Take Ten
01. Take Ten (music: Paul Desmond)
02. El Prince (music: Paul Desmond)
03. Alone Together (music: Arthur Schwartz / words: Howard Dietz)
04. Embarcadero (music: Paul Desmond)
05. Black Orpheus [Manha De Carnaval] (music: Luiz Bonfa / words: Antonio Moraes)
06. Nancy (With The Laughing Face) (music: Jimmy Van Heusen / Phil Silvers)
07. Samba De Orfeu (music: Antonio Carlos Jobim, Luiz Bonfa)
08. The One I Love Belongs To Somebody Else (music: Isham Jones / words: Gus Kahn)

[Links: Paul Desmond]
Pure Desmond (by Paul Caulfield)
Paul Desmond Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Jim Hall]
Jim Hall (Official Website)
Jim Hall Maniacs (by 益満妙 (エキマンタエ))

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2005年03月02日

リー・コニッツ『モーション』

motion.jpg リー・コニッツ - Motion - EP

パーカー派のフィル・ウッズ、ウェストコースト派のアート・ペッパーときたので、今度は同じ白人でもクール派の代表選手、リー・コニッツにご登場いただきましょう。クール・ジャズの創始者の1人、レニー・トリスターノの門下生のなかでは、つねに筆頭株だった実力者リー・コニッツ。1927年10月13日、イリノイ州シカゴ生まれ。

この『モーション』。曲目を見て「ああ、よくありがちなスタンダード集ね」なんて思ったら大間違い。ヤケドします(笑)。演っているのはたしかに誰もが知っているスタンダードばかりですが、テーマ(原曲のメロディー)はほとんど登場しません。全編アドリブだらけ。有名な〈ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ〉なんか、冒頭からアドリブではじまるので、最後まで聞かないと何の曲かまったくわかりません。即興の鬼と化したコニッツの面目躍如です。そのスゴさを実感するためにも、ぜひブラウニーが参加した『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』などで原曲のメロディーを覚えてから鑑賞してください。

クール派のコニッツと肉体派(笑)のエルヴィンの組み合わせというと、水と油のような気がしますが、そんな心配はご無用です。クールに燃える青白い炎と、熱く燃えたぎる真っ赤な炎が織りなすスリリングな展開。しかも、ピアノレスのトリオ作品というわけで、この両者がガップリ四つに組んで果し合いをするのですから、もうたまりません。

それにしても、リー・コニッツというのはビミョーな存在です。感情表現を極力抑えたクール派ですから、もともと感情移入しにくい人なのですが、「アルトサックスの代表選手を10人あげて」とか聞かれると、無視するわけにもいかない実力者です。実際、この『モーション』なんかを聞くと、「やっぱコニッツってスゲエな」と思ったりするわけです。徹底的に甘さを排して、ハードに迫るコニッツ。背中のほうからゾクゾクしてくる音楽なんて、そうざらにはありません。好きになりきれないけれど、気になる人。リー・コニッツ、侮れない存在です。

 

Lee Konitz "Motion"
(Verve MGV 8399)

Lee Konitz (alto sax)
Sonny Dallas (bass)
Elvin Jones (drums)

Produced by Creed Taylor
Recorded at Olmsted Sound Studios, NYC; August 29, 1961

[Tracks] リー・コニッツ - Motion - EP
01. I Remember You (music: Victor Schertzinger / words: Johnny Mercer)
02. All Of Me (music: Gerald Marks / words: Seymour Simons)
03. Foolin' Myself (music: Thomas "Fats" Waller / words: Andy Razaf)
04. You'd Be So Nice To Come Home To (music+words: Cole Porter)
05. I'll Remember April (music: Gene DePaul, Pat Johnston / words: Don Raye)

[Links: Elvin Jones]
Elvin Jones (Official Website)

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