

エヴァンス&ラファロに敬意を表して、今日から「ヴィレッジ・ヴァンガード特集」を組みます。ジャズメンなら誰もが憧れるジャズの聖地。歴史に名を残す巨人たちの決定的瞬間を刻みつづけてきた名門クラブ。今年70周年を迎えたヴィレッジ・ヴァンガードは、ニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジの 178 セヴンス・アベニュー・サウスの地下にあります(オフィシャル・サイトの GALLERY をのぞくと、ヴィレッジ・ヴァンガードで録音された名盤の数々を確認できます)。
初代オーナーはマックス・ゴードン。マックス亡きあとは、ロレイン夫人が取り仕切っています。このロレイン夫人、実は、ブルーノートの創業者アルフレッド・ライオンの最初の奥さんで、当時はレーベルの広報担当をしていました。彼女の尽力で実現したのが、クラブ初のライヴ・レコーディングとなるこの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜
ソニー・ロリンズ。本名は、Theodore Walter Rollins。1930年9月7日、ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。御年75歳にしてバリバリの現役、最後のジャイアンツです。
アドリブの鬼、ロリンズだからこそ許されるピアノレス・トリオ(サックス+ベース+ドラムスからなるトリオのこと)。ピアノが抜けた分、演奏の自由度は飛躍的に増しますが、ふつうのサックス奏者だと間がもたない。諸刃の剣でもあるわけです。泉のごとく次から次へと湧きでるフレーズがあって、はじめてサマになる形態で、ロリンズは水を得た魚のように、楽しげに泳ぎまわります。
そう、いつも楽しげなんです、ロリンズは。お気に入りのフレーズ(ロリンズ節ともいう)を散りばめながら、余裕たっぷりに吹きまくるロリンズは、まさにアドリブの鬼なんですが、その鬼の顔はまったく怖くありません。むしろ笑っています。「ひょっとして、ちょっとたりない?」と聞きたくなるくらいです。このノーテンキな感じが、個人的にはどうしてもロリンズを好きになれない理由なのですが、本人はいたって真面目で、何度も挫折をくりかえすセンシティヴな神経の持ち主だったりします。
録音は午後と夜の2セットで行われます。午後はリハーサルですね。そして、ここがアルフレッドのすごいところだと思うのですが、リハーサルと本番でベースとドラムスをかえてしまうんです。ライヴであっても妥協しない、アルフレッドのこのこだわりが、ブルーノートのクオリティを保証しているんです。だから、例によって、このライヴも2枚組のコンプリート盤
Sonny Rollins "A Night At The Village Vanguard"
(Blue Note BLP-1581)
Sonny Rollins (tenor sax)
Wilbur Ware (bass) except #5
Donald Bailey (bass) #5
Elvin Jones (drums) except #5
Pete LaRoca (drums) #5
Produced by Alfred Lion
Recorded by Rudy Van Gelder
Recorded live at the Village Vanguard, NYC; November 3, 1957
[Tracks]

01. Old Devil Moon (music: Burton Lane / words: Edgar Y. Harburg)
02. Softly, As In A Morning Sunrise (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
03. Striver's Row (music: Sonny Rollins)
04. Sonnymoon For Two (music: Sonny Rollins)
05. A Night In Tunisia (music: Dizzy Gillespie, Frank Paparelli)
06. I Can't Get Started (music: Vernon Duke / words: Ira Gershwin)
[Links: Sonny Rollins]
Sonny Rollins: Official Home of Saxophone Colossus
The Sonny Rollins Page
The Complete Sonny Rollins
Sonny Rollins Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Elvin Jones]
Elvin Jones (Official Website)
最後にポチッとよろしく。
