2005年01月31日

マリア『イエロー・ダフォディルズ』

yellowdaffodils.jpg

「声」って天からの授かり物なんだなあ、ということを強烈に実感させる期待の新人マリアの 1st アルバム、その名も『イエロー・ダフォディルズ』、「黄水仙」です。

イギリス人とアフリカ人のハーフ。ビリー・ホリディをはじめ(9曲目「ソリチュード」では、ビリーの歌声をサンプリングしてデュエットしています。秀逸なセンスです!)、ジャズ・シンガーの影響を受けて育つも、演っている音楽はもはやジャズじゃない!? フレンチ・ソウル・ミュージックといったあたりがピッタリします。

とにかく10年に1人といわれる逸材、とびっきりのハスキー・ヴォイスにシビれちゃってください。最近聞いたヴォーカルものでは、ダントツの出来です。ちょ〜、おすすめ!

 

Malia "Yellow Daffodils"
(Epic 505369 5)

Malia (vocal)
Andre Manoukian (piano, keyboards, programming, guitar)
Bob Le Gal (guitar) #1, 2, 4, 6, 10
Manu Codja (guitar) #4, 5, 11, 12
Jean Christophe Bisson (guitar) #6
Marcello Giulianni (bass) #3, 4, 5, 12
Marc Herbetta (drums) #3, 4, 5, 12
Erik Truffaz (trumpet) #1
Booster (programming) #1
"Tiger Vince" Taeger (drums) #2
Pap Abdou Sek (vocal) #6

Produced by Andre Manoukian
Recorded and Mixed by Sebastien Husson, Andre Manoukian
Recorded at Studio "Reve Orange"

[Tracks] 
01. Yellow Daffodils (music: Andre Manoukian / words: Malia)
02. Purple Shoes (music: Andre Manoukian / words: Malia)
03. I Believed In Roses (music: Andre Manoukian / words: Malia)
04. I'm Not Jealous (music: Andre Manoukian / words: Malia)
05. India Song (music: M. Duras / words: C. D'Alessio)
06. Twinkling Little Star (music: Andre Manoukian / words: Malia)
07. Lifting You High (music: Andre Manoukian / words: Malia)
08. Angel Kiss (music: Andre Manoukian / words: Malia)
09. Solitude (music: Duke Ellington / words: Eddie DeLange, Irving Mills)
10. Big Brown Eyes (music: Andre Manoukian / words: Malia)
11. Let It Happen (music: Andre Manoukian / words: Malia)
12. Moon Glows (music: Andre Manoukian / Malia)

[Links: Malia]
malia-online (Official Site)

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2005年01月28日

カキ・キング『エヴリバディ・ラヴズ・ユー』

everybodylovesyou.jpg Kaki King - Everybody Loves You

ギター1本で驚きの世界を現出するカキ・キングのデビュー盤『エヴリバディ・ラヴズ・ユー』です(velour music より)。

以前紹介した2作目『レッグス・トゥ・メイク・アス・ロンガー』と比べると、完成度という意味では劣るかもしれませんが、こちらには、まだ商品としてパッケージ化されていない生々しさがあります。

ゲストなしの完全ソロ勝負。オーバー・ダヴィングもおそらくなし。最後の曲の後半で「ミャア、ミャア」と猫なで声でハミングするほかは、弦やボディをたたく音も含めて、ギター1本だけで構成された音空間。こりゃ、キテます。抜群のリズム感が支える血湧き肉踊る音世界へようこそ。

 

Kaki King "Everybody Loves You"
(velour vel-0302)

Kaki King (guitar)

Produced by Kaki King
Recorded by Brian Bauers (#1-4), Dominic Bartolini (#5, 8), Bill Rayner (#6), A.J. Tissian (#7, 9, 10)
Recorded at Big Wave Music (#1-4), Studio A (#5, 8) Point Lookout (#6) Dungeon Rock (#7, 9, 10)

[Tracks] Kaki King - Everybody Loves You
01. Kewpie Station (music: Kaki King)
02. Steamed Juicy Little Bun (music: Kaki King)
03. Carmine Street (music: Kaki King)
04. Night After Sidewalk (music: Kaki King)
05. Happy As A Dead Pig In The Sunshine (music: Kaki King)
06. The Exhibition (music: Kaki King)
07. Close Your Eyes & You'll Burst Into Flames (music: Kaki King)
08. Joi (music: Kaki King)
09. Everybody Loves You (music: Kaki King)
10. Fortuna (music: Kaki King)

[Links: Kaki King]
Kaki King (Official Website)

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2005年01月27日

カサンドラ・ウィルソン『ブルー・ライト・ティル・ドーン』

bluelighttildawn.jpg Cassandra Wilson - Blue Light 'Til Dawn

というわけで、カサンドラ・ウィルソンの『ブルー・ライト・ティル・ドーン』です(「夜明け前の薄明かり」といった意味でしょうか)。

このアルバム、前から不思議だったんですよ。前半は大好きで、とても耳になじむ音楽なのですが、後半になるとそうでもない。今回、ブランドン・ロスを個人的に「再発見」して(こちらを参照)、あらためてジャケットを眺めまわしてみると、やっぱりというか、私の好きな曲はみんな、ブランドンのアレンジだったんですね(もちろんギターでも参加してます)。おそれいりました、ブランドン。

大物アーティストがこぞって演奏した超有名スタンダード〈ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ〉。どうですか、この世界。曲の原型をとどめないような奇抜なアレンジを施すわけでもなく、淡々とメロディーを追っているだけなのに、完全にブランドンの世界になっています。どことなくカントリー調で、でも田舎臭くないというか、そこらへんのバランスが絶妙なんです。もちろん、カサンドラの歌声もすばらしい。やっぱり、傑作ですね、これは。

 

Cassandra Wilson "Blue Light 'Til Dawn"
(Blue Note 81357)

Cassandra Wilson (vocal)
Brandon Ross (guitar) #1, 2, 4, 5, 10
Gib Wharton (guitar) #8, 9, 11
Chris Whitley (guitar) #12
Charles Burnham (violin) #1, 10, 11
Kenny Davis (bass) #2, 3, 11
Lonnie Plaxico (bass) #10
Olu Dara (cornet) #5
Don Byron (clarinet) #6
Tony Cedras (accordian) #2
Kevin Johnson (percussion) #3, 4, 6, 10
Vinx (vocal) #4 (percussion) #4, 6
Bill McClellan (percussion) #6 (drums) #11
Jeff Haynes (percussion) #6, 8, 9, 11
Cyro Baptista (percussion) #6, 8, 9, 11
Lance Carter (drums) #2 (percussion) #4, 6, 10

Produced by Craig Street
Recorded and Mixed by Danny Kopelson
Recorded at Sear Sound, Sound On Sound, Greene St. Studios, RPM

[Tracks] Cassandra Wilson - Blue Light 'Til Dawn
01. You Don't Know What Love Is (music: Gene DePaul / words: Don Raye)
02. Come On In My Kitchen (music+words: Robert Johnson)
03. Tell Me You'll Wait For Me (music: Charles Brown, Oscar Moore)
04. Children Of The Night (music: T. Bell, L. Creed)
05. Hell Hound On My Trail (music+words: Robert Johnson)
06. Black Crow (music+words: Joni Mitchell)
07. Sankofa (music+words: Cassandra Wilson)
08. Estrellas (music: Cyro Baptista)
09. Redbone (music+words: Cassandra Wilson)
10. Tupelo Honey (music+words: Van Morrison)
11. Blue Light Til Dawn (music+words: Cassandra Wilson)
12. I Can't Stand The Rain (music+words: Peebles, Bryant, Miller)

[Links: Cassandra Wilson]
Cassandra Wilson (Official Website)
[Links: Brandon Ross]
Brandon Ross (Official Website)
[Links: Gib Wharton]
Gib Wharton (Official Website)
[Links: Chris Whitley]
Chris Whitley (Official Website)
[Links: Lonnie Plaxico]
Lonnie Plaxico (Official Website)
[Links: Don Byron]
Don Byron (Official Website)
[Links: Tony Cedras]
Tony Cedras (Official Website)
[Links: Vinx]
Vinx (Official Website)
[Links: Cyro Baptista]
Cyro Baptista (Official Website)

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2005年01月26日

ブランドン・ロス『コスチューム』

costume.jpg

ブランドン・ロスといえば、カサンドラ・ウィルソンの傑作『ブルー・ライト・ティル・ドーン』や『ニュー・ムーン・ドーター』のミュージカル・ディレクターとして知る人ぞ知る存在ですが、彼個人の名義では、この『コスチューム』が初リーダー作です(ブランドン (g)、メルヴィン・ギブス (b)、JT ルイス (ds) のトリオ Harriet Tubman 名義のアルバムは2枚出ています)。

と、いかにも知ったかぶりのコメントを書いていますが、ブランドンの存在をはっきり意識したのは、実は、このアルバムを買ってからです。以前紹介したカサンドラの『ニュー・ムーン・ドーター』やキップ・ハンラハンの『千夜一夜物語』という、私好みの作品に名を連ねていたブランドン。気にはなっていたのですが、いかんせんリーダー作がなかったので、彼自身がどんなタイプの音楽を演るのか、よくわからなかったんですね。

ところが、つい最近、このアルバムがタワレコのマーケティングやネット事業を手がけている NMNL(No Music No Life の略だそうです)傘下の intoxicate records から出ているのを知って、急いで入手してみたわけです。そしたら、どうでしょう。ズバッとストレートに私のツボにはまるじゃありませんか。

カサンドラにしろ、キップにしろ、好きなアーティストではありますが、実際によく聞くアルバムは限られています。そのいずれにも参加していたブランドンのアルバムを聞くと、私の耳によくなじむ音楽がくり広げられている。そうか、私の好きなのは、ブランドンの音楽だったのか。個人的には大発見です!

さて、ブランドンです。「速弾きすることなんて考えていない。(中略)大事なのは、内なる声とのつながりが見えていることだ」と語る彼の音楽は、とても静かで、ゆったりとして、かすかにクラシックの香りがします。いいなあ、ホントに。

ジャケットのインナーには、タイトル「コスチューム」の由来が短く語られています。ギリシャからオーストリアへのフライトで、近くに座った金髪の少年が彼を見て母親に尋ねていわく、「なんであの人はコスチュームを着ているの?」。少年が「黒人なのになぜ服を着ているの?」といいたかったのか、「(ブランドンの髪型を見て)どうして着ぐるみを着ているの?」といいたかったのか、それはわかりませんが、ブランドンはこのコラムのタイトルを「(Remembering) Who I am」と名づけています。



Brandon Ross "Costume"
(intoxicate intx-1004)

Brandon Ross (acoustic guitar, 12 string guitar, soprano guitar, banjo, vocal, body percussion)
Tsutomu Takeishi (bass)
JT Lewis (drums)
Shuni Tsou (di-zi)
Graham Haynes (cornet)
Gregoire Maret (harmonica)
Sadig Bey (voice, poetry)

Produced by Brandon Ross
Recorded by Chuck Zwicky
Recorded at the Shed, NYC; February 16-18, 2004

[Tracks] 
01. Another Approach (music: Brandon Ross)
02. No Wonder (music: Brandon Ross)
03. Peace Flows (music+words: Brandon Ross)
04. Race Face (music: Ornette Coleman)
05. Dry Lips (music: Brandon Ross)
06. I Am The Light (music: Revenard Gary Davis)
07. (Haerts bleting In A) September Sky 〜 For Aime And Wifredo (music: Brandon Ross) 〜 (music: Sadiq Bey)
08. One Solar Year (music: Brandon Ross)
09. Twelve Gates To The City (traditional)
10. Anthem For A New World Total Program (music: Brandon Ross)

[Links: Brandon Ross]
Brandon Ross (Official Website)
Harriet Tubman Music Online (Official Website。Brandon Ross (g) Melvin Gibbs (b) JT Lewis (ds) のユニット)

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2005年01月25日

アート・ペッパー&ジョージ・ケイブルス『テテ・ア・テテ』

teteatete.jpg

昨日アップした『ゴーイン・ホーム』と同日録音を含む、アート・ペッパー&ジョージ・ケイブルスのデュオ作品『テテ・ア・テテ』です。この作品では、ペッパーは本職のアルトに専念しています。

『ゴーイン・ホーム』より前の録音でありながら発売が後になったのは、5月のスタジオ・セッションの1か月後の6月15日にペッパーがあの世へ旅立ったことと無関係ではないはずです。彼の死を悼むアルバムには、どうしてもあの〈家路〉が必要だった。その気持ち、わかります。だって、泣けますもん。

でも、この『テテ・ア・テテ』は、けっして残り物の寄せ集めではありません。たとえば、冒頭の〈虹の彼方に〉。ペッパーのけっこうハードな無伴奏ソロからはじまりますが、最初は何の曲か、わかりません。それが開始32、3秒あたりから徐々に弛緩して38秒でついにテーマが顔を出します。そこに寄り添うように入ってくるケイブルスのピアノ。心の中に一気に温かいものが広がります。曲の終わりも、ペッパーのソロで〆かな、と思わせておいて、最後にふたたびケイブルスがやさしくサポートに入ります。この間合いがすばらしい! 曲を終えた後に思わず漏れる「オーライッ」の声もほほえましい名演です。

『ゴーイン・ホーム』のライナーで、未亡人となってしまったペッパー夫人のローリーがケイブルスを評して「ミスター・ビューティフル」と書いていますが、そのとおり、この人のピアノの響きは美しい。黒人としては恵まれた環境で育ったようですが、クラシックの素養が随所に感じられる知性的なピアノです。

タイトル曲〈テテ・ア・テテ〉は、フランス語で「2人だけのナイショ話」といった意味(英語でいえば「Face to Face」かな?)。気を許しあった2人だけの魂の交流。いいなあ。

 

Art Pepper, George Cables "Tete-A-Tete"
(Galaxy GXY 5147)

Art Pepper (alto sax)
George Cables (piano)

Produced by Ed Michel, Laurie Pepper
Recorded by Baker Bigsby, Wally Buck
Recorded at Fantasy Studios, Berkeley, CA; April 13 (#4), 14 (#1-3,5,6), May 11 (#7), 1982

[Tracks]
01. Over The Rainbow (music: Harold Arlen / words: Edgar Y. Harburg)
02. Tete-A-Tete (music: George Cables)
03. Darn That Dream (music: Jimmy Van Heusen / words: Eddie DeLange)
04. Body And Soul (music: Johnny Green / words: Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton)
04. The Way You Look Tonight (music: Jerome Kern / Dorothy Fields)
05. 'Round Midnight (music: Thelonious Monk, Cootie Williams / Bernie Hanighen)
06. You Go To My Head (music: J. Fred Coots / words: Heven Gillespie)

[Links: Art Pepper]
Art Pepper Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Art Of Pepper
[Links: George Cables]
George Cables (Official Website)

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2005年01月24日

アート・ペッパー&ジョージ・ケイブルス『ゴーイン・ホーム』

goinhome.jpg

若い頃と晩年で別人のように変わってしまったという意味では、アート・ペッパーもその1人。1925年9月1日、カリフォルニア州パサデナ生まれ。1982年6月15日、カリフォルニア州パノラマ・シティで死去。

同じ男が嫉妬するほどの、完璧なまでのイイ男ぶりと、その容姿を裏切るような、小鳥のさえずりのように軽やかなアルト奏法で人気の高かったペッパーは、ドラッグにはまって数回にわたり逮捕、入獄、更生施設収容をくりかえし、60年代を完全に棒に振りました。

50年代のペッパーと70年代以降の復活後のペッパーのどちらが好きかというのは、古くからのジャズファンにとっては耳タコな話題ですが、ワン・アンド・オンリーのアルト奏者としては、間違いなく前者が上でしょう。凡才がいくら努力しても出てこないようなフレーズが、それこそ鼻歌を歌うように、次から次へと湧き出るさまは、やはり天性のインプロヴァイザーというほかありません。

ならば、どうして70年代擁護派がいるかといえば、こっちのほうが今の耳にしっくりくるから、というのが本音ではないでしょうか。50年代のペッパーは、たしかに天才的なひらめきを感じさせてくれるけれど、ふだん聞く音楽としてはちょっと違うんだよな〜。かくいう私も、ペッパーのアルバムはたいがい持っていますが、日常聴くのは70年代以降、とくに最晩年のジョージ・ケイブルスがらみの作品が多いんです。

この『ゴーイン・ホーム』は、ペッパー最後のスタジオ録音作として知られています。タイトル曲は、チェコの作曲家ドヴォルザークの交響曲第9番〈新世界より〉の第2楽章。というより、小学唱歌〈家路〉といったほうがピンとくるかもしれません(今の若い人たちは習わないのかな?)。「いざや〜、たのし〜、ま〜どい〜せん〜、ま〜どい〜せん〜」のアレです。稀代のアルト吹きが、クラリネット1本で淡々と表現した〈家路〉。ペッパーの葬式でも流されたという〈家路〉ですが、彼はどこに還っていったのでしょう。

追記:パッパーの死から四半世紀を経た2007年6月15日に記す

ペッパーの死後25年を記念した記事を書こうと思って、雑誌『ジャズ批評114 アート・ペッパー』を読んでいたら、共演者ジョージ・ケイブルスのインタビューが載っていたので、少し長いですが、ここに引用します(聞き手は原田和典さん)。

 アート・ペッパーが僕を「ミスター・ビューティフル」と呼んでくれたのは光栄だった。僕はアートがいかに心地よく演奏してくれるかを第一に考え、ピアノを弾いた。アートはバラードが好きだった。ライヴではよく、二人でバラードを演奏した。最初の頃、アートはよく言ったものだ。「絶対、ダブル・タイムにするな。スロー・テンポをキープしろ。余計な音(エクストラ・ノーツ)も入れないでくれ」。たいていのミュージシャンはスロー・バラードを演奏していても、テーマが終わり、アドリブになるとミディアム・バウンス・テンポにするものだ。僕の経験でいえば、デクスター・ゴードンがそうだった。だが、アートはスロー・テンポのまま、見事な演奏を続けた。僕のサポートにアートが応え、そのアートのプレイに応え、僕が演奏する。お互いに高めていくんだ。そういうことを続けていくうちに、僕とアートはうちとけていった。音楽的にも、精神的にも、友人になれたんだ。(中略)
 アートは長年、ハードな人生を送ってきた。体調も芳しくなく、いつも何かと闘っているようだった。それを乗り越えるために、彼は演奏していた。演奏することで、彼は解き放たれていたのだと思う。
『ゴーイン・ホーム』のセッションの時だったか、アートはスタジオを飛び出し、しばらく帰ってこなかった。外を見回したら、嘔吐しながら大きなうめき声をあげているじゃないか。ひどい顔色だ。「オレは死ぬかもしれない」と彼は言った。プレイそのものは素晴らしかったが、僕はピアノの前で、もう一緒に彼と演奏したり、ツアーすることはないのかもしれないと思った。
 これを吹き込む前に、当時の妻の母が亡くなった。そしてレコーディングの後、一か月でアートは逝ってしまった。この『ゴーイン・ホーム』は、僕にとって重い一枚だ。


 

Art Pepper, George Cables "Goin' Home"
(Galaxy GXY 5143)

Art Pepper (clarinet) #1, 3, 5, 7 (alto sax) #2, 4, 5, 6, 8
George Cables (piano)

Produced by Ed Michel
Recorded by Baker Bigsby, Wally Buck
Recorded at Fantasy Studio, Berkeley, CA; May 11-12, 1982

[Tracks] 
01. Goin' Home (music: Antonin Dvorak)
02. Samba Mom Mom (music: Art Pepper)
03. In A Mellow Tone (music: Duke Ellington / words: Milt Gabler)
04. Don't Let The Sun Catch You Cryin' (music: Joe Green)
05. Isn't She Lovey (music+words: Stevie Wonder)
06. Billie's Bounce (music: Charlie Parker)
07. Lover Man (music: Roger Ramirez, Jimmy Sherman / words: Jimmy Davis)
08. The Sweetest Sounds (music: Richard Rodgers)

[Links: Art Pepper]
Art Pepper Discography Project (@ Jazz Discography Project)
The Art Of Pepper
[Links: George Cables]
George Cables (@ Jazz Corner)

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2005年01月21日

エラ・フィッツジェラルド&ジョー・パス『エラ&パス…アゲイン』

fitzgeraldandpassagain.jpg

エラ・フィッツジェラルドとジョー・パスの傑作デュオの第2弾『エラ&パス…アゲイン』。前作『テイク・ラヴ・イージー』以来、3年ぶりの再会セッションです。今回はエラの喉の調子がよほどよかったのか、よく通った張りのある歌声で、エリントン・ナンバーを中心に、よく知られたスタンダードをじっくり聞かせてくれます。

私はデュオやトリオなど、小編成のバンドをバックに歌ったヴォーカル作品に目がないのですが、それは大学時代によく通ったお店を大人になってからひさしぶりに訪ねたようななつかしさを感じるからかもしれません。ドアを開けた瞬間、あの当時にタイムスリップしたような錯覚に陥る、あのなんともいえない心地よさ。心の底からくつろげるインティメイトな雰囲気。いいねえ。

ちなみに、この『エラ&パス…アゲイン』は、1976年のグラミー賞(Best Jazz Vocal Performance)に輝いています。「ファースト・レディ」エラにとっても、実に14年ぶりの受賞でした。

 

Ella Fitzgerald, Joe Pass "Fitzgerald & Pass ... Again"
(Pablo 2310-772)

Ella Fitzgerald (vocal)
Joe Pass (guitar)

Produced by Norman Granz
Recorded at RCA Studios, LA; January 29, 30, February 8, 1976

[Tracks]
01. I Ain't Got Nothin' But The Blues (music: Duke Ellington / words: Don George)
02. 'Tis Autumn (music+words: Henry Nemo)
03. My Old Flame (music: Arthur Johnston / words: Sam Coslow)
04. That Old Feeling (music: Sammy Fain / words: Lew Brown)
04. Rain (music+words: Eugene Ford)
05. I Didn't Know About You (music: Duke Ellington / words: Bob Russell)
06. You Took Advantage Of Me (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
07. I've Got The World On A String (music: Harold Arlen / words: Ted Koehler)
08. All Too Soon (music: Duke Ellington / words: Carl Sigman)
09. The One I Love Belongs To Somebody Else (music: Isham Jones / words: Gus Kahn)
10. Solitude (music: Duke Ellington / words: Eddie DeLange, Irving Mills)
11. Nature Boy (music+words: Eden Ahbez)
12. Tennessee Waltz (music: Redd Stewart, Pee Wee King)
13. One Note Samba (music: Antonio Carlos Jobim / words: Neuton Mendonca)

[Links: Ella Fitzgerald]
Ella Fitzgerald (Official Website)
Ella Fitzgerald Fan Page
[Links: Joe Pass]
Joe Pass Memorial Hall (by Tabo Oishi)

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2005年01月20日

エラ・フィッツジェラルド&ジョー・パス『テイク・ラヴ・イージー』

takeloveeasy.jpg

エラ・フィッツジェラルドといえば、エラ、サラ、カーメンという女性ジャズヴォーカル界の御三家(古いね)の筆頭格で、本国アメリカでも「ファースト・レディ・オブ・ソング」と呼ばれていました。どんなに速いテンポでもラクラクと歌いこなすテクニックと圧倒的な声量、そしてでっぷりと貫禄のある体格(失礼!)で有名ですが、それは若い頃の話。

テイク・ラヴ・イージー』の録音の当時(50代後半)のエラはすっかりやせ細り、別人かと見まごうばかり。脂の乗った肉もおいしいけれど、年齢を積み重ねれば、余分な脂を落としたさっぱりとした肉が好きになるように、やせて声量は失われても、歌のエッセンスだけを取り出して、ひっそりとささやくように歌うエラの姿が、しみじみとした感動を呼び起こします。

もちろん、こんなアルバムに豪華なバックはいりません。ギター1本あれば十分です。そのギターをつま弾くのは、ヴァーヴ→パブロの名プロデューサー、ノーマン・グランツが生み出した最後のビッグスター、ジョー・パスです。「バーチュオーゾ」として売り出し中のパスを、円熟の極みに達したエラと組ませたグランツの眼力に拍手! 

黄昏時に聴きたい、大人のくつろぎの音楽です。『テイク・ラヴ・イージー』、おすすめです。

 

Ella Fitzgerald, Joe Pass "Take Love Easy"
(Pablo 2310-702)

Ella Fitzgerald (vocal)
Joe Pass (guitar)

Produced by Norman Granz
Recorded in LA; August 28, 1973

[Tracks]
01. Take Love Easy (music: Duke Ellington / words: John LaTouche)
02. Once I Loved (music: Antonio Carlos Jobim / words: Vinicius DeMoraes, Ray Gilbert)
03. Don't Be That Way (music: Edgar Sampson, Benny Goodman / words: Mitchell Parish)
04. You're Blase (music: Ord Hamilton / words: Bruce Siever)
05. Lush Life (music+words: Billy Strayhorn)
06. A Foggy Day (music: George Gershwin / words: Ira Gershwin)
07. Gee Baby, Ain't I Good To You (music: Don Redman / words: Andy Razaf)
08. You Go To My Head (music: J. Fred Coots / words: Heven Gillespie)
09. I Want To Talk About You (music+words: Billy Eckstine)

[Links: Ella Fitzgerald]
Ella Fitzgerald (Official Website)
Ella Fitzgerald Fan Page
[Links: Joe Pass]
Joe Pass Memorial Hall (by Tabo Oishi)

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2005年01月19日

スタン・ゲッツ&ケニー・バロン『ピープル・タイム』

peopletime.jpg Kenny Barron & Stan Getz - People Time - Live

ジャズメンといえども人間ですから、老いれば腕も衰えます。テクニシャンとして鳴らした人は悲惨で、晩年の作品には聴くに耐えないものも正直、あります。でも、テクニックではなく歌心で勝負してきた人が長命を得たとき、そこには枯れた味わいや円熟味が加わって、えも言われぬ境地に達することがあります。スタン・ゲッツなどは、その代表でしょう。

白人テナーの雄スタン・ゲッツ。1927年2月2日、ペンシルヴァニア州フィラデルフィア生まれ。1991年6月6日、カリフォルニア州マリブで死去。

「ゲッツは王様」というのは寺島靖国さんのフレーズですが、まさに王様にふさわしい数々のエピソードを残してくれました。そして、生涯のほとんどを白人だけのバンドで過ごした人でもあります(黒人中心のジャズの世界で、それがいかに不自然なことかは、ちょっと考えればわかるはず)。そういうネガティヴな要素はありますが、ゲッツが偉大なインプロヴァイザーだったという事実は消えません。

ピープル・タイム』は癌を告知され、死を覚悟して臨んだコペンハーゲンはカフェ・モンマルトルでの実況録音です(この3か月後に亡くなりました)。ここには、テナー1本で世を渡り歩いてきた、そして、ボサノヴァの大ヒットなどで日の当たる王道をつねに歩いてきた男の達観が感じられます。淡々と、そして朗々と歌い上げる名曲の数々。

選曲がまたニクイんです。チャーリー・ヘイデンの〈ファースト・ソング〉、ベニー・ゴルソンの〈アイ・リメンバー・クリフォード〉、マル・ウォルドロンの〈ソウル・アイズ〉などなど、ジャズファンなら、ある思い入れをもたずには聞けないような、ツボをついた曲が並んでいます。

ちなみに、このアルバムは、今やベテランの域に達したケニー・バロンの一世一代の名演でもあります。白人とばかり組んできたゲッツの最後の、そして最良の伴奏者が黒人のバロンだったというところが、人生の不思議でもあります(バロンのピアノは黒人臭をほとんど感じさせないのも事実ですが)。

 

Stan Getz, Kenny Barron "People Time"
(EmArcy 5101362)

Stan Getz (tenor sax)
Kenny Barron (piano)

Produced by Jean-Philippe Allard
Recorded and Mixed by Johnnie Hjerting
Recoreded live at the Cafe Montmartre, Copenhagen, March 3-6, 1991

[Tracks: Disc 1] Kenny Barron & Stan Getz - People Time - Live
01. East Of The Sun (And West Of The Moon) (music+words: Brooks Bowman)
02. Night And Day (music+words: Cole Porter)
03. I'm Okay (music+words: Eddie Del Barrio)
04. Like Someone In Love (music: Jimmy Van Heusen / words: Johnny Burke)
05. Stablemates (music: Benny Golson)
06. I Remember Clifford (music: Benny Golson)
07. Gone With The Wind (music: Allie Wrubel / words: Herbert Magidson)
08. First Song (For Ruth) (music: Charlie Haden)

[Tracks: Disc 2] Kenny Barron & Stan Getz - People Time - Live
01. There Is No Greater Love (music: Isham Jones / words: Marty Symes)
02. The Surrey With The Fringe On Top (music: Richard Rodgers / words: Oscar Hammerstein II)
03. People Time (music: Benny Carter)
04. Softly, As In A Morning Sunrise (music: Sigmund Romberg / words: Oscar Hammerstein II)
05. Hush-A-Bye (music: Sammy Fain / words: Jerry Seelen)
06. Soul Eyes (music: Mal Waldron)

[Links: Stan Getz]
Stan Getz Discography Project (@ Jazz Discography Project)
Stan Getz Discography (by Riccardo Di Filippo Luigi Maulucci & Nicola Rascio)
[Links: Kenny Barron]
Kenny Barron (Official Website)
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2005年01月18日

チック・コリア&ゲイリー・バートン『イン・コンサート』

inconcert.jpg

何でも続けるのはむずかしい。このブログも、「今日は時間がない」「徹夜あけで眠い」「二日酔いで体調が最悪」「どうしても気分が乗らない」などなど、いろいろ言い訳をつけては休みがちです。この年になると、生来の怠け癖がいっそう幅を利かして、なかなか思うようにコントロールできなくなってきます。よくないね、まったく。

気を持ち直して、チック・コリアとゲイリー・バートンのデュオ・ライヴ『イン・コンサート』にいきましょう。

クリスタル・サイレンス』でジャズの新しい地平を垣間見せてくれた2人が、7年後に再会して、すてきなコンサートを開いてくれました。あちらが「静」の音楽だとすると、こちらは「動」の音楽です。ピチピチとはじけるような躍動感、未来は無限の広がりをもって私の眼前にあるといった若さ特有の華やぎがあります。

もちろん、芸達者な2人のこと、リズム・セクションはまったく不要です。デュオという形式が、ここまで必然性を感じさせるペアはあまりいません。息もピッタリで、お互いの音楽性も近い。2人はこの後も、何作か共演を重ねています。

 

Chick Corea, Gary Burton "In Concert, Zurich, October 28, 1979"
(ECM 1182)

Gary Burton (vibraphone)
Chick Corea (piano)

Produced by Manfred Eicher
Recorded by Martin Wieland
Recorded live at the Limmathaus, Zurich, October 28, 1979

[Tracks]
01. Senor Mouse (music: Chick Corea)
02. Bud Powell (music: Chick Corea)
03. Crystal Silence (music: Chick Corea)
04. Tweak (music: Chick Corea)
05. Falling Grace (music: Steve Swallow)
06. Mirror, Mirror (music: Chick Corea)
07. Song To Gayle (music: Chick Corea)
08. Endless Trouble, Endless Pleasure (music: Steve Swallow)

[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Gary Burton]
Gary Burton (Official Website)

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2005年01月11日

チック・コリア&ゲイリー・バートン『クリスタル・サイレンス』

crystalsilence.jpg

先週末、静岡にいって本年度最後の講義をしてきました(塾で大学受験向けの小論文を教えています)。最初の頃は、まともな日本語を書けない人もいましたが、若いときの成長ってすごいですね。最後には、ほとんどの生徒がどこに出しても恥ずかしくないような論文を書くようになりました。あとは吉報を待つばかり。彼らのこれからが楽しみです。

というわけで、若くてみずみずしい音楽を1つ。初期のチック・コリアの作品は、本当にすばらしい。クリアで透き通ったサウンドというのは、それまでのジャズにはなかったもので、はじめてチックを聴いたときには新鮮な驚きを感じたものです。チック・コリア、本名は Armando Anthony Corea。1941年6月12日、マサチューセッツ州チェルシーの生まれです。

なかでも、ヴィブラフォンのゲイリー・バートンとのデュオ作品では、『クリスタル・サイレンス』、つまり、「水晶のような透明な静けさ」というタイトルそのものの、まったく新しい音世界がくり広げられています。いつ聴いても新しい、不思議な作品です。

 

Chick Corea, Gary Burton "Crystal Silence"
(ECM 1024)

Gary Burton (vibraphone)
Chick Corea (piano)

Produced by Mnfred Eicher
Recorded by Jan Erik Kongshaug
Recorded at the Arne Bendiksen Studio, Oslo, November 6, 1972

[Tracks] 
01. Senor Mouse (music: Chick Corea)
02. Arise, Her Eyes (music: Steve Swallow)
03. I'm Your Pal (music: Steve Swallow)
04. Desert Air (music: Chick Corea)
05. Crystal Silence (music: Chick Corea)
06. Falling Grace (music: Steve Swallow)
07. Feelings And Things (music: Michael Gibbs)
08. Children's Song (music: Chick Corea)
09. What Game Shall We Play Today (music: Chick Corea)

[Links: Chick Corea]
Chick Corea (Official Website)
Chick Corea Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Gary Burton]
Gary Burton (Official Website)

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2005年01月07日

ビル・エヴァンス『アフィニティ』

affinity.jpg Bill Evans - Affinity

究極の「なごみ」の1枚を。ビル・エヴァンスとトゥーツ・シールマンスの夢の共演、『アフィニティ』です。「アフィニティ」は「共感、親和性、類似点」を意味します。「似た者同士」エヴァンス&トゥーツにふさわしいタイトルです。

それにしても、この両者の組み合わせを考えた人はエラい! エヴァンスのリリカルなピアノとトゥーツのハーモニカは、本当によく「なじみ」ます。これが初顔合わせとは思えないほどです。

それはそれとして、ハーモニカの音色というのは、どうしてこうも「なつかしさ」を感じさせるのでしょう? 私は都内で何度か引っ越しを繰り返して育ったので、「ふるさと」と呼べるような場所も思い出もないのですが、トゥーツのハーモニカを聞くと、「郷愁の念」としかいいようのない感情にとらわれます。見たこともないはずの田舎の原風景が脳裏によみがえる。不思議な感覚です。

 

Bill Evans "Affinity"
(Warner Bros. BSK 3293)

Toots Thielemans (harmonica)
Bill Evans (piano)
Marc Johnson (bass)
Eliot Zigmund (drums)
Larry Schneider (tenor sax, soprano sax, alto flute)

Produced by Helen Keane
Recorded and Mixed by Frank Laico
Recorded at Columbia 30th Street Studios, NYC, October 30 - November 2, 1978

[Tracks] Bill Evans - Affinity
01. I Do It For Your Love (music: Paul Simon)
02. Sno' Peas (music: Phil Markowitz)
03. This Is All I Ask (music: Gordon Jenkins)
04. Days Of Wine And Roses (music: Henry Mancini / words: Johnny Mercer)
05. Jesus' Last Ballad (music: Gianni Bedon)
06. Tomato Kiss (music: Larry Schneider)
07. Noelle's Theme (The Other Side Of Midnight) (music: Michel Legrand)
08. Blue In Green (music: Miles Davis, Bill Evans)
09. Body And Soul (music: Johnny Green / words: Edward Heyman, Robert Sauer, Frank Eyton)

[Links: Bill Evans]
Bill Evans Webpage
Bill Evans Organization
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Toots Thielemans]
Toots Thielemans (Official Website)
Toots Thielemans (Nelson's Navigator for Modern Jazz)
[Links: Eddie Gomez]
Eddie Gomez (Official Website)
[Links: Eliot Zigmund]
Eliot Zigmund (Official Website)

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2005年01月06日

ビル・エヴァンス『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』

youmustbelieveinspring.jpg Bill Evans - You Must Believe in Spring

エヴァンスの作品の中でもっとも「美しい」アルバムは何か。エヴァンスの耽美的なアルバムというと、ジム・ホールとのデュオ作品『アンダーカレント』やリヴァーサイド時代の『ムーン・ビームス』などが浮かびますが、私はこの『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』がいちばんではないかと思っています。

手を触れただけで崩れ落ちてしまいそうな、繊細ではかない美しさ。これはとても悲しみにみちたアルバムです。1曲目は73年にエヴァンスとの別れを苦に、地下鉄に身を投げた最初の(事実上の)妻エレインに向けた曲(長年連れ添った彼女は、子どもを産めない身体でした。そのことが、エヴァンスが新しい妻ネネットを迎えた大きな理由でもあったようです。エヴァンスとネネットが結婚したのは73年8月5日、それから遠くないある日、エレインは独りで逝きます)、4曲目は77年にピストル自殺した兄のハリーに捧げた曲。でも、それがたんなる悲しみに終わっていない。愛するものをいたわる、そこはかとないやさしさが感じられます。とても静かで、やさしく、美しい音楽です。

表紙を飾るのは、アメリカの画家 Charles Burchfield の「Yearning(憧れ)」という作品です。エヴァンスの「憧れ」はどちらに向かっていたのでしょう。それはもしかしたら、先に逝ってしまった愛する人たちのもとへ、自ら赴いていくことに対する「憧れ」だったのかもしれません。

ちなみに、この作品はエディ・ゴメスが参加した最後のアルバムです。

追記:
後日、私はこのアルバムのオリジナル盤をオーディオ・マニアのHさんのお宅で聞かせていただきました。すると、どうでしょう。どうしようもないほどはかなく、美しいだけだったこのアルバムが、実は、非常にスリリングな展開をはらんでいることがわかりました。その原因をつくっているのは、エディ・ゴメスです。エッジのきいたベースが、ゾクゾクするような快感をもたらしてくれます。エディ・ゴメスのすごさが実感できる演奏です。

 

Bill Evans "You Must Believe In Spring"
(Warner Bros. XHS 3504)

Bill Evans (piano)
Eddie Gomez (bass)
Eliot Zigmund (drums)

Produced by Helen Keane, Tommy Lipuma
Recorded and Mixed by Al Schmitt
Recorded at Capitol Studios, Hollywood, CA, August 23-25, 1977

[Tracks] Bill Evans - You Must Believe in Spring
01. B Minor Waltz (For Ellaine) (music: Bill Evans)
02. You Must Believe In Spring (music: Michel Legrand / words: Marilyn Bergman, Alan Bergman)
03. Gary's Theme (music: Gary McFarland)
04. We Will Meet Again (For Harry) (music: Bill Evans)
05. The Peacocks (music: Jimmy Rowles)
06. Sometime Ago (music: Sergio Mihanovich)
07. Theme From M*A*S*H (Suicide Is Painless) (music: Johnny Mandel)

[Links: Bill Evans]
Bill Evans Webpage
Bill Evans' Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)
[Links: Eddie Gomez]
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[Links: Eliot Zigmund]
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2005年01月05日

ビル・エヴァンス『パリ・コンサート・エディション2』

theparisconcert2.jpg

昨日に引き続き、『パリ・コンサート・エディション2』を。ビル・エヴァンス最後のトリオによるライヴ録音です(ベースはマーク・ジョンソン、ドラムスはジョー・ラバーバラ)。

当時、エヴァンスがインタビューに答えて、「スコット・ラファロとポール・モチアンとのトリオに肩を並べる」といったとよく紹介されていますが、三位一体のトリオとしては、どう聞いてもラファロ&モチアン組に軍配があがります。なんてったって、ラファロの存在が圧倒的だからです。

彼らが残したリヴァーサイド4部作は、ピアノトリオの永遠の傑作ですから、これは比べるほうが無理があります。死を前にしてそういわざるを得なかったエヴァンスの悲哀を、むしろここでは感じたい。「彼の死は、歴史上一番時間をかけた自殺だった」という有名な言葉もあります。

マーク・ジョンソン&ジョー・ラバーバラとのトリオは、スリリングなインタープレイの応酬というよりも、エヴァンスの「我」を受け入れて、かつて「天才」と称された彼が残された時間を思う存分演奏できるような場を提供した存在、といったほうがいいように思います。共演者2人のエヴァンスに対する強いリスペクトを感じます。

ラファロとエヴァンスはあまり仲がよくなかったそうですが、ここにはそういう殺気だったやりとりは感じられません。偉大な先達のプレイを支える心優しき追従者といった雰囲気です。

 

Bill Evans "The Paris Concert, Edition Two"
(Elektra Musician 60311)

Bill Evans (piano)
Marc Johnson (bass)
Joe LaBarbera (drums)

Produced by Halen Keane
Recorded by Radio France (Stew Romaine)
Recorded at L'Espace Cardin, Paris, November 26, 1979

[Tracks]
01. Re: Person I Knew (music: Bill Evans)
02. Gary's Theme (music: Gary McFarland)
03. Letter To Evan (music: Bill Evans)
04. 34 Skidoo (music: Bill Evans)
05. Laurie (music: Bill Evans)
06. Nardis (music: Miles Davis)

[Links: Bill Evans]
Bill Evans Webpage
Bill Evans' Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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ビル・エヴァンス『パリ・コンサート・エディション1』

theparisconcert1.jpg 

謹賀新年。昨年はまさに「災」の年でしたが、今年はいったいどうなることやら。私は年末から風邪をこじらせて散々な正月でしたが、みなさんはいかがでした?

今年の一発目は、ビル・エヴァンスの最晩年の傑作『パリ・コンサート・エディション1』です。みんな大好き、ビル・エヴァンス。本名は、William John Evans。1929年8月26日、ニュージャージー州プレインフィールド生まれ。1980年9月15日、ニューヨーク州ニューヨークで死去。直接の死因は長年のドラッグ使用による出血性潰瘍と気管支肺炎でした。

ピーター・ペッティンガーによる伝記『ビル・エヴァンス―ジャズ・ピアニストの肖像』(水声社より。名著ですが、誤植が多いのが残念!)によると、エヴァンスは自分の作品の管理には人一倍神経を使っていたようで、水準に満たない作品が自分の与り知らないところで商品化されるのをひどく嫌っていたそうです。

エヴァンスの死後、「最後の音源」と称するライブ盤が続々と出ましたが、この話を知ってからというもの、それらのエヴァンス非公認のアルバムを買うのはやめました。有名な『Consecration』についても、共演者のマーク・ジョンソンが、「あれを出すのは反則だ」みたいなことをいっていました。死の直前という歴史的な価値はさておき、ボロ雑巾のように朽ち果てたエヴァンスを聞いて喜ぶのは、やはり私の趣味にはあいません。エヴァンスは、それ以前に聞くべき作品を山のように残してくれたのですから。

というわけで、この『パリ・コンサート』は生前のエヴァンスが自分で発売許可を出した最後の作品です。死期(翌80年没)を覚悟したエヴァンスの激しさが全編にみなぎっています。重苦しい作品です。でも、私はこの『パリ・コンサート』2部作をもっともよく聞きます。死の臭いがつきまとうこの作品には、エヴァンスという類い稀なる才能のすべてが凝縮されているように感じるからです。

 

Bill Evans "The Paris Concert, Edition One"
(Elektra Musician 60164)

Bill Evans (piano)
Marc Johnson (bass)
Joe LaBarbera (drums)

Produced by Halen Keane
Recorded by Radio France (Stew Romaine)
Recorded at L'Espace Cardin, Paris, November 26, 1979

[Tracks] 
01. I Do It For Your Love (music: Paul Simon)
02. Quiet Now (music: Denny Zeitlin)
03. Noelle's Theme (music: Michel Legrand)
04. My Romance (music: Richard Rodgers / words: Lorenz Hart)
05. I Loves You, Porgy (music: George Gershwin / words: DuBose Heyward, Ira Gershwin)
06. Up With the Lark (music: Jerome Kern / words: Leo Robin)
07. All Mine (Minha) (music: F. Hime, R. Guerra)
08. Beautiful Love (music: Victor Young, Wayne King, Egbert Van Alstyne / words: Heven Gillespie)

[Links: Bill Evans]
Bill Evans Webpage
Bill Evans' Discography
Bill Evans Discography Project (@ Jazz Discography Project)

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